説明

フルカラーLEDの拡散制御

【課題】 複数色の単体LEDで構成されたフルカラーLEDから表示される色や照度調整などを、マイクロチップなどのプログラム構造を使用した簡単な制御で行えるようにする。
【解決手段】 フルカラーLEDを構成する複数色のLEDを駆動する制御において、それぞれの構成LEDごとに時間軸で分散させた2値による拡散方式を使用することで、中間色などの微細な輝度バランスを必要とする色を表示し、色を制御する周期より長い周期での点灯制御により表示色を維持したままLED全体としての照度調整を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数色の単体LEDで構成されるフルカラーLEDの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDの輝度を変更する駆動方式はPWM(=振幅変調)方式がある。
【0003】
複数の単色LEDで構成されるフルカラーLEDにおいてもPWM方式により各LEDの輝度を調整して、合成色としてLED全体の色を決定している。
【0004】
PWM方式による輝度調整方法は一定の短い周期において点灯する時間と消灯する時間の割合を調整することにより行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−277582
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数色の単体LEDで構成されたフルカラーLEDから表示される色を、微細な輝度バランスの中間色などを含めて希望する色にするために必要な制御を容易に行えるようにする。またフルカラーLED全体としての表示色を維持したままでの照度調整や視覚的に認識できる表示色の段階的推移に対しても同様に容易な制御で行えるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
フルカラーを構成する複数色のLED駆動に拡散方式を導入する。本願では、拡散方式とはPWMのように点灯と消灯の2値を使い短い周期で同じ形式を繰り返して制御するLED駆動制御において、その周期内で点灯する時期を時間軸方向に分散する方式を呼ぶ。また拡散方式でLED駆動するときに繰り返される周期を拡散周期、拡散方式を制御するために用意された2値による配列を拡散形式と呼ぶ。
【0008】
拡散周期に対してある程度長い照度調整周期を設定し、その周期単位で点灯制限することにより、フルカラーLEDを構成するそれぞれ単体LEDの輝度バランスを維持したままフルカラーLED全体としての照度調整を行う。
【0009】
現在表示している色から別な色への段階的変更に対しては、現在使用されている拡散形式から新しい色に対応する拡散形式に向かって段階的に推移させることで、中間色を経由させながら表示色を変更する。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、フルカラーLEDを使用した照明機器で、制御の難しかった微細な輝度バランスでの中間色表示や表示色を保持したままの照度調整、また段階的な色変更など照明機器として必要な制御が低価格の構成でも簡単に実施できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の全体構成を示す構成図
【図2】輝度の異なる拡散形式の説明図
【図3】照度調整する周期を示した説明図
【図4】段階的な色変更において拡散形式推移の説明図
【図5】PWM方式と拡散方式との違いを示す説明図
【図6】LED駆動時間とLED輝度との相関図
【符号の説明】
【0012】
1...拡散方式制御R、2...拡散方式制御G、3...拡散方式制御B、4...照度調整制御、5...赤LED駆動回路(LED−R)、6...緑LED駆動回路(LED−G)、7...青LED駆動回路(LED−B)、8...マイクロチップ
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1で全体構造を示す。フルカラーLEDを構成する各単色LEDを含み、そのLEDを駆動する回路を赤LED駆動回路(LED−R)、緑LED駆動回路(LED−G)、青LED駆動回路(LED−B)とし、マイクロチップからの制御信号と接続する。また本願では、マイクロチップとはプログラム構造を定義でき、そのプログラム制御により外部に対しての制御信号を処理できるものを呼ぶ。
【0014】
マイクロチップには拡散方式制御R、拡散方式制御G、拡散方式制御Bおよび照度調整制御を行うプログラムを格納する。
【0015】
マイクロチップより出力される制御信号によりLED−R、LED−G、LED−Bの各LED駆動回路は、それぞれのLEDを点灯(ON)と消灯(OFF)の2値による制御ができるようにする。
【0016】
マイクロチップ内のプログラム構造によりLED−R、LED−G、LED−Bを対象として個別に拡散方式制御を行う。各拡散方式制御は内部に個別の拡散形式を保持し、この保持された個別の拡散形式により接続されたLED駆動回路の輝度を決定する。この制御を図1の拡散方式制御R、拡散方式制御G、拡散方式制御Bとして示す。
【0017】
フルカラーLEDで希望する色を表示するときは、まず光の合成としてLED−R、LED−G、LED−Bの各LED輝度を決定し、それぞれの適正な輝度になるように調整する拡散形式を3つ用意する。
【0018】
図5はPWM方式と拡散方式とを比較したものである。拡散周期bの期間では両者とも点灯と消灯の割合は50%で同じであるが、拡散方式はPWM方式を使用する場合より大きなLED輝度が保たれる。この原理によりPWM方式では対数的となるLED駆動時間とLED輝度との関係を、拡散方式では直線的な関係に近づけることができる。このようにPWM方式と拡散方式で異なる相関関係を図6で示す。
【0019】
LEDの輝度調整を対数的から直線的な関係に近づけることにより、中間色を表示するために必要な最小制御周期aをPWM方式に比較して長く設定でき、マイクロチップのプログラム制御構造による処理が可能となる。
【0020】
図2では代表例として3つの輝度の異なる拡散形式を示す。拡散形式での輝度調整は拡散周期b内での合計点灯時間と最小制御単位aで組み合わされる点灯間隔を調整することにより行う。例としてあげた3つの拡散形式は次のような輝度関係になる。拡散形式1>拡散形式2>拡散形式3。
【0021】
拡散形式を決定する輝度調整方法の最初の段階としては、目的とする輝度から割り出されたLEDの合計点灯時間を拡散周期b内で間隔がなるべく等間隔になるように配置することからはじめる。その後さらに細かい輝度調整が必要な場合は、点灯間隔を等間隔から少しずつ偏らすことによりに調整することができる。
【0022】
人間の目の残像効果により、構成されるそれぞれのLEDが点灯する時期を拡散周期内で意識的にずらすことにより、合成色として表示されるフルカラーLEDの彩度を上げることができる。
【0023】
マイクロチップのプログラム構造により制御信号の出力を行う時は用意した3つの拡散形式それぞれの先頭からから順番に最小制御時間a単位で論理値を取り出し、その論理値を元に点灯と消灯を決定する。
【0024】
最小制御周期aをなるべく短くし、拡散形式を構成する論理値の数を多くすることにより輝度調整の幅が広がり、その結果フルカラーLEDとして表示可能な色数も増えることになる。
【0025】
拡散形式の最後の論理まで到達したあとは先頭に戻り繰り返し制御を行う。この繰り返す周期を拡散周期bとして図2に示す。
【0026】
最終的にマイクロチップから制御信号を出力する前にフルカラーLED全体の照度調整を行う。図3で示すように照度調整制御には拡散周期bより長く設定された照度調整周期cを設定し、その周期内で拡散方式により決定された論理値が点灯と消灯のどちらであっても、フルカラーLED全体の照度を落とす目的で消灯にする割合を決定する。また照度調整周期cはフルカラーLED全体として点滅していると感じない程度に短くする必要がある。この制御を図1の照度調整制御として示す。
【0027】
最終的に決定された点灯と消灯の論理値より導かれた制御信号をマイクロチップから出力し、LED−R、LED−G、LED−Bの駆動回路によりフルカラーLEDを点灯させる。
【0028】
ある時点でフルカラーLEDに表示されている色Aから別な色Bへ視覚的効果を目的とした段階的変化を行いたい場合は、色Aと色Bで使用されるを拡散形式をそれぞれ拡散形式Aと拡散形式Bとして、拡散形式Aから拡散形式Bに向かっての段階的変化として実行できる。図4で表した拡散形式A’が段階的変化途中の拡散形式となり、拡散形式A’の時点での表示色は色Aと色Bのそれぞれが合成されるため、色1と色2の中間色となる。視覚的効果を目的とした表示色の段階的変化は観測できるほどゆっくり行うことを前提とするため、拡散周期bと照度調整周期cに対して十分に長くなり拡散方式による制御に影響を及ぼすことはない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数色で構成するフルカラーLEDの駆動制御において、単体LEDを駆動する一定周期での点灯制御を、それぞれの単体LEDごとに用意した時間軸で分散された2値による制御配列により決定し、合成色として目的とした色を表示するフルカラーLED表示装置。
【請求項2】
目的とする色を出力するための制御周期に比較してより長い周期での点灯制御により、色を維持したままLED全体としての照度変化を行うことを特徴とした請求項1に記載したフルカラーLED表示装置。
【請求項3】
現在の表示色から別な色に変更するときに、最初に出力している制御形式から変更する色を出力するための制御形式までの間を段階的に推移させることにより、色を視覚的に認識できる速度で階的に変化させることを特徴とした請求項1に記載したフルカラーLED表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−165526(P2011−165526A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28281(P2010−28281)
【出願日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【特許番号】特許第4740377号(P4740377)
【特許公報発行日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(710000778)
【Fターム(参考)】