説明

フルチカゾン含有医薬組成物

【課題】本発明の目的は、優れたロイコトリエン産生抑制効果を奏する医薬組成物を提供することである。
【解決手段】(a)フルチカゾン及び/又はその塩と、(b)グリチルリチン酸及びその塩、コンドロイチン硫酸及びその塩、並びに硫酸亜鉛よりなる群から選択される少なくとも1種の成分とを組み合わせて配合して、医薬組成物を調製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルチカゾン及び/又はその塩を含み、優れたロイコトリエン産生抑制効果を奏する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アレルギー性鼻炎の症状は、アレルゲンとの反応後直ぐに症状が現れる即時相の症状と、即時相の症状の後に遅れて現れる遅発相の症状に大別される。アレルギー性鼻炎の即時相の代表的な症状としては、くしゃみ、鼻水等があり、また遅発相の症状の代表的なものとしては鼻閉がある。従来、上記鼻炎の症状の改善には、抗ヒスタミン作用を有する抗アレルギー薬が汎用されている。しかしながら、このような抗アレルギー薬では、上記鼻炎症状の内、即時相の症状に対しては一定の効果を示すものの、遅発相の症状に対しては満足できる効果が得られていないのが現状である。
【0003】
近年、このようなアレルギー性鼻炎の遅発症の症状は、ケミカルメディエーターとしてロイコトリエンが関与することにより引き起こされていることが報告され、ロイコトリエンの産生抑制が当該症状の改善に有効であることが明らかにされている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
また、ロイコトリエンの産生は、鼻閉等のアレルギー性鼻炎の遅発相の症状だけでなく、風邪による鼻閉、鼻閉症状が慢性化した慢性副鼻腔炎、蕁麻疹、湿疹、皮膚炎、皮膚掻痒症、痒疹、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性結膜炎、春季カタル、慢性結膜炎、リウマチ様関節炎、脊椎関節炎、痛風、アテロ−ム性動脈硬化症、慢性炎症性腸疾患、肺循環昇圧、片頭痛等にも関与していることが知られている。
【0005】
そこで、従来、ロイコトリエンの産生を抑制する成分について、精力的な検討がなされ、種々の化合物が提案されている。これまでに、プロピオン酸フルチカゾンには、ヒスタミンやロイコトリエンといった炎症性メディエーターの産生抑制作用があり、抗アレルギー効果や抗炎症効果を有していることが知られている。しかしながら、近年、ロイコトリエンが関与する上記疾患の患者が増加し、その症状の重篤化する傾向があり、従来公知のプロピオン酸フルチカゾン含有製剤では、ロイコトリエン産生抑制効果の点で満足できなくなっている。
【0006】
このような従来技術を背景として、ロイコトリエンの産生抑制作用に優れており、鼻閉等のロイコトリエンに起因する症状を改善できる医薬組成物の開発が望まれている。
【非特許文献1】小島 正等、「アレルギー性鼻炎患者におけるケミカル・メディエーターに関する研究 (第二報)二相性反応の鼻汁中ヒスタミン、ロイコトリエン、キニンに関する検討」、日耳鼻、第94巻、1991年、第366−376頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決することである。より具体的には、本発明は、優れたロイコトリエン産生抑制効果を奏する医薬組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、(a)フルチカゾン及び/又はその塩と、(b)グリチルリチン酸及びその塩、コンドロイチン硫酸及びその塩、並びに硫酸亜鉛よりなる群から選択される少なくとも1種の成分とを組み合わせて配合することによって、ロイコトリエンの産生抑制作用を相乗的に増強できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づき、更に改良を重ねることによって完成したものである。
【0009】
即ち、本発明は下記に掲げる医薬組成物である:
項1.(a)フルチカゾン及び/又はその塩、及び(b)グリチルリチン酸及びその塩、コンドロイチン硫酸及びその塩、並びに硫酸亜鉛よりなる群から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする、医薬組成物。
項2. 上記(a)成分100重量部に対して、上記(b)成分が10〜15000重量部の割合で含まれる、項1に記載の医薬組成物。
項3. ロイコトリエン産生抑制剤である、項1又は2に記載の医薬組成物。
項4. 点鼻剤である、項1乃至3のいずれかに記載の医薬組成物。
項5. 鼻閉症状の治療又は改善剤である、項4に記載の医薬組成物。
【0010】
また、本発明は、下記に掲げるロイコトリエン産生抑制作用の増強方法である:
項6. (a)フルチカゾン及び/又はその塩を含む医薬組成物のロイコトリエン産生抑制作用を増強する方法であって、該医薬組成物に、(b)グリチルリチン酸及びその塩、コンドロイチン硫酸及びその塩、並びに硫酸亜鉛よりなる群から選択される少なくとも1種の成分を添加することを特徴とする、ロイコトリエン産生抑制作用の増強方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の医薬組成物は、(a)フルチカゾン及び/又はその塩と、(b)グリチルリチン酸及びその塩、コンドロイチン硫酸及びその塩、並びに硫酸亜鉛よりなる群から選択される少なくとも1種の成分とを組合わせて含有しており、かかる配合成分の特有の組合わせを採用することによって、相乗的に増強されたロイコトリエン産生抑制作用を発揮することが可能になっている。このような優れたロイコトリエンの産生抑制作用に基づいて、発明の医薬組成物は、ロイコトリエンが関与する疾患や症状を効果的に緩和乃至治癒させることができる。
【0012】
アレルギー性鼻炎の遅発相の症状である鼻閉には、好酸球を中心とする種々の浸潤した炎症細胞からロイコトリエンが産生されることが一因となっていることが分かっている。本発明の医薬組成物は、この鼻閉を引き起こす炎症細胞からのロイコトリエン産生を効果的に抑制できるので、特に鼻閉症状に対する治療剤として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の医薬組成物及びロイコトリエン産生抑制作用の増強方法について詳細に説明する。
1. 医薬組成物
本発明の医薬組成物は、フルチカゾン及び/又はその塩(以下、該成分を単に(a)成分と表記することもある)を含有する。
【0014】
フルチカゾンは、アンドロスタン骨格を有するステロイドであり、ロイコトリエン産生抑制作用を有している公知化合物である。
【0015】
また、本発明では、フルチカゾンは塩の形態でも使用される。フルチカゾンの塩としては、薬理学的に又は生理学的に許容されることを限度として、特に制限されるものではないが、例えば、プロピオン酸塩、フマル酸塩、硫酸塩、酢酸塩、塩酸塩、硝酸塩等の有機酸塩が挙げられる。これらのフルチカゾンの塩は1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0016】
本発明の医薬組成物において、上記(a)成分として、好ましくは、フルチカゾンのプロピオン酸塩であるプロピオン酸フルチカゾンが例示される。
【0017】
本発明の医薬組成物において、上記(a)成分の配合割合については、該(a)成分の種類、該医薬組成物の用途や形態等に応じて適宜設定される。通常、上記(a)成分の配合割合として、医薬組成物の総量に対して、0.01〜0.3重量%、好ましくは0.03〜0.2重量%、更に好ましくは0.05〜0.1重量%が例示される。
【0018】
本発明の医薬組成物は、上記(a)成分に加えて、グリチルリチン酸及びその塩、コンドロイチン硫酸及びその塩、並びに硫酸亜鉛よりなる群から選択される少なくとも1種の成分(以下、該成分を単に(b)成分と表記することもある)を含有する。該(b)成分自体には、ロイコトリエン産生抑制作用が殆どない又は僅かにしか認められないが、上記(a)成分と当該(b)成分とを組み合わせることによって、該(a)成分及び(b)成分の相加的効果を遙かに超えて増強されたロイコトリエン産生抑制作用を発現することが可能になる。
【0019】
上記(b)成分の内、グリチルリチン酸及びその塩(以下、単に(b-1)成分と表記することもある)は、抗炎症薬成分として使用されている公知の化合物である。該(b-1)成分の内、グリチルリチン酸の塩については、薬理学的に又は生理学的に許容されることを限度として、特に制限されない。グリチルリチン酸の塩として、具体的には、グリチルリチン酸二カリウム等の無機塩、グリチルリチン酸二アンモニウム等のアンモニウム塩が例示される。これらのグリチルリチン酸の塩は1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。また、本発明の医薬組成物において、該(b-1)成分を配合する場合、グリチルリチン酸又はその塩の何れか一方のみを使用しても、またグリチルリチン酸及びその塩の双方を組み合わせて使用してもよい。該(b-1)成分の中でも、好ましくはグリチルリチン酸二カリウムである。
【0020】
また、上記(b)成分の内、コンドロイチン硫酸及びその塩(以下、単に(b-2)成分と表記することもある)についても、医薬製剤分野で使用実績のある公知の化合物である。該(b-2)成分の内、コンドロイチン硫酸の塩としては、薬理学的に又は生理学的に許容されることを限度として、特に制限されない。コンドロイチン硫酸の塩として、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が例示される。これらのコンドロイチン硫酸の塩は1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。また、本発明の医薬組成物において、該(b-2)成分を配合する場合、コンドロイチン硫酸又はその塩の何れか一方のみを使用してもよく、またコンドロイチン硫酸及びその塩の双方を組み合わせて使用してもよい。該(b-2)成分の中でも、好ましくはコンドロイチン硫酸ナトリウムである。
【0021】
更に、上記(b)成分の内、硫酸亜鉛(以下、単に(b-3)成分と表記することもある)については、抗炎症薬成分又は収斂薬成分として医薬製剤分野で使用実績のある化合物である。
【0022】
本発明の医薬組成物において、(b)成分として、上記(b-1)成分〜(b-3)成分の何れか1つを選択して使用してもよく、また(b-1)成分〜(b-3)成分の内2つ。以上の成分を組み合わせて使用してもよい。
【0023】
本発明の医薬組成物において、上記(b)成分の配合割合については、該(b)成分の種類、該医薬組成物の用途や形態等に応じて適宜設定することができるが、上記(a)成分に対する配合比率が以下の範囲を充足しておくことが望ましい:(a)成分100重量部に対して、(b)成分が、通常10〜15000重量部、好ましくは100〜10000重量部、更に好ましくは500〜5000重量部。このような比率で(a)及び(b)成分を含有することにより、ロイコトリエン産生抑制作用をより一層有効に増強させることが可能になる。より具体的には、(a)成分100重量部に対する(b)成分の配合比として、以下の範囲が好適に例示される:
上記(b-1)成分の場合:通常100〜5000重量部、好ましくは300〜4000重量部、更に好ましくは600〜3000重量部。
上記(b-2)成分の場合:通常500〜15000重量部、好ましくは1000〜12000重量部、更に好ましくは5000〜10000重量部。
上記(b-3)成分の場合:通常10〜10000重量部、好ましくは100〜5000重量部、更に好ましくは500〜2500重量部。
【0024】
また、本発明の医薬組成物に含まれる上記(b)成分の配合割合は、上記の比率を満たす範囲内で、更に以下の範囲を充足しておくことが望ましい:(b)成分の配合割合として、医薬組成物の総量に対して、0.001〜1.5重量%、好ましくは0.01〜1.0重量%、更に好ましくは0.05〜0.5重量%。より具体的には、医薬組成物中の該(b)成分の配合割合として、以下の範囲が例示される:
上記(b-1)成分の場合:通常0.01〜0.5重量%、好ましくは0.03〜0.4重量%、更に好ましくは0.06〜0.3重量%。
上記(b-2)成分の場合:通常0.05〜1.5重量%、好ましくは0.1〜1.2重量%、更に好ましくは0.5〜1.0重量%。
上記(b-3)成分の場合:通常0.001〜1.0重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%、更に好ましくは0.05〜0.25重量%。
【0025】
本発明の医薬組成物は、上記(a)成分及び(b)成分に加えて、更に抗ヒスタミン薬成分、ケミカルメディエーター遊離抑制作用薬成分、ロイコトリエン拮抗薬成分、トロンボキサン阻害拮抗薬成分等の抗アレルギー薬成分を含有させてもよい。これらの抗アレルギー薬成分を含有している場合には、例えば、鼻炎症状(くしゃみ、鼻水、鼻閉)の抑制等の有用薬理効果をより有効に獲得できるという利点が得られる。かかる抗アレルギー薬成分としては、例えば、クロルフェニラミン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、イプロヘプチン、イソチペンジル、ジフェテロール、ジフェニルピラリン、トリプロリジン、トリペレナミン、トンジルアミン、プロメタジン、メトジラジン、カルビノキサミン、アリメマジン、プロメタジン、メブヒドロリン、フェネタジン、ケトチフェン、アゼラスチン、オキサトミド、メキタジン、テルフェナジン、アステミゾール、エバスチン、セチリジン、レボカバスチン、オロパタジン、エメダスチン、及びそれらの薬理学的に又は生理学的に許容される塩(例えば、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、フマル酸ケトチフェン、フマル酸クレマスチン、塩酸アゼラスチン、塩酸レボカバスチン、クロモグリク酸ナトリウム、フマル酸エメダスチンなど)等の抗ヒスタミン薬成分;クロモグリク酸、トラニラスト、アンレキサノクス、イブジラスト、ペミロラスト、タザノラスト等のケミカルメディエーター遊離抑制作用薬成分;プランルカスト、ザフィルカスト、モンテルカスト等のロイコトリエン拮抗薬成分;オザグレル、セラトロダスト、ラマトロバン等のトロンボキサン阻害拮抗薬成分が例示できる。これらの抗アレルギー薬成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0026】
本発明の医薬組成物に抗アレルギー薬成分を配合する場合、該成分の配合量は、該医薬組成物の用途や形態、該成分の種類等に応じて適宜設定できる。一例として、本発明の医薬組成物の総量当たり、抗アレルギー薬成分が0.00001〜10重量%、好ましくは0.0001〜5重量%、更に好ましくは0.001〜1重量%となる割合が挙げられる。
【0027】
また、本発明の医薬組成物は、更に、消炎酵素及び/又は抗炎症薬成分を含有している場合には、例えば、鼻粘膜の炎症抑制等の有用薬理効果をより有効に獲得できるという利点が得られる。該消炎酵素又は抗炎症薬成分としては、リゾチーム、セラペプターゼ、セミアルカリプロテイナーゼ、プロナーゼ、アラントイン、アズレン、アズレンスルホン酸、トラネキサム酸、イプシロン−アミノカプロン酸、ベルベリン、インドメタシン、ジクロフェナク、プラノプロフェン、ピロキシカムおよび薬理学的に許容される塩(例えば、塩化リゾチーム、アズレンスルホン酸ナトリウム、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、ジクロフェナクナトリウムなど)などが例示できる。これらの消炎酵素及び抗炎症薬成分は、1種単独で使用してもよく、また任意に2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0028】
本発明の医薬組成物に消炎酵素及び/又は抗炎症薬成分を配合する場合、該成分の配合量は、該医薬組成物の用途や形態、該成分の種類等に応じて適宜設定できる。一例として、本発明の医薬組成物の総量当たり、該消炎酵素及び/又は抗炎症薬成分が0.0001〜10重量%、好ましくは0.0001〜5重量%となる割合が挙げられる。
【0029】
また、本発明の医薬組成物は、更にキサンチン誘導体を含有してもよい。キサンチン誘導体を含有することにより、鼻炎に伴う頭痛感を緩和する作用を備えることができる。かかるキサンチン誘導体の配合は、本発明の医薬組成物が内服剤の場合に特に有効である。
かかるキサンチン誘導体としては、例えば、カフェイン、テオフィリン、テオブロミン、ジプロフィリン、プロキシフィリン、ペントキシフィリンまたはその塩や、安息香酸ナトリウムカフェインなどが例示でき、好ましくはカフェイン、安息香酸ナトリウムカフェイン等が例示される。これらのキサンチン誘導体は、無水物であってもよい。
【0030】
本発明の医薬組成物にキサンチン誘導体を配合する場合、該キサンチン誘導体の配合量は、該医薬組成物の用途や形態、該成分の種類等に応じて適宜設定できる。一例として、本発明の医薬組成物の総量当たり、該キサンチン誘導体が0.00001〜2重量%、好ましくは0.0001〜1重量%となる割合が挙げられる。
【0031】
本発明の医薬組成物は、本発明の効果を妨げないことを限度として、上記成分の他に、種々の成分(薬理活性成分や生理活性成分を含む)を組み合わせて含有することができる。このような成分の種類は特に制限されず、例えば、解熱鎮痛薬、鎮静催眠薬、鎮咳薬、去痰薬、ビタミン類、粘膜保護成分、清涼化成分等が例示できる。本発明において好適な成分としては、例えば、次のような成分が例示できる。
【0032】
解熱鎮痛薬成分:例えばアスピリン、アスピリンアルミニウム、アセトアミノフェン、エテンザミド、サザピリン、サリチルアミド、サリチル酸ナトリウム、ラクチルフェネチジン、イブプロフェンおよびケトプロフェン等。
【0033】
鎮静催眠薬成分:例えば、ブロムワレリル尿素、アリルイソプロピルアセチル尿素等。
【0034】
鎮咳薬成分:アクロラミド、クロペラスチン、ペントキシベリン(カルベタペンタン)、チペピジン、ジブナート、デキストロメトルファン、コデイン、ジヒドロコデイン、ノスカピンおよびそれらの薬理学的に許容される塩(例えば、塩酸クロペラスチン、ヒベンズ酸チペピジン、臭化水素酸デキストロメトルファン、リン酸コデイン、リン酸ジヒドロコデイン、塩酸ノスカピン等)等。
【0035】
去痰薬:グアヤコールスルホン酸カリウム、グアイフェネシン等。
【0036】
ビタミン類:例えば、ビタミンA類[例えば、レチナール、レチノール、レチノイン酸、カロチン、デヒドロレチナール、リコピンおよびその薬理学的に許容される塩類(例えば、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等)等]、ビタミンB類[例えば、チアミン、チアミンジスルフィド、ジセチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、フルスルチアミン、リボフラビン、フラビンアデニンジヌクレオチド、ピリドキシン、ピリドキサール、ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミン、メチルコバラミン、デオキシアデノコバラミン、葉酸、テトラヒドロ葉酸、ジヒドロ葉酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチニルアルコール、パントテン酸、パンテノール、ビオチン、コリン、イノシトールまたはその薬理学的に許容されるこれらの塩類(例えば、塩酸チアミン、硝酸チアミン、塩酸ジセチアミン、塩酸フルスルチアミン、酪酸リボフラビン、リン酸リボフラビンナトリウム、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、塩酸ピリドキシン、リン酸ピリドキサール、リン酸ピリドキサールカルシウム、塩酸ヒドロキソコバラミン、酢酸ヒドロキソコバラミン、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム等)等]、ビタミンC類[例えば、アスコルビン酸、エリソルビン酸、その誘導体またはその薬理学的に許容される塩類(例えば、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム等)等]、ビタミンD類[例えば、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、ヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロタキステロールおよびその薬理学的に許容される塩類等)等]、ビタミンE類[例えば、トコフェロールおよびその誘導体、ユビキノン誘導体およびその薬理学的に許容される塩類(酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、コハク酸トコフェロールカルシウム等)等]、その他のビタミン類[例えば、ヘスペリジン、カルニチン、フェルラ酸、γ−オリザノール、オロチン酸、ルチン、エリオシトリンおよびその薬理学的に許容される塩類(塩化カルニチン等)等]。
【0037】
粘膜保護成分:例えば、アミノ酢酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、ジヒドロキシアルミニウム・アミノ酢酸塩等のアルミニウム系粘膜保護剤、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ヒドロタルサイト、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウムの共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムの共沈生成物、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物等のマグネシウム系粘膜保護剤等。
【0038】
また、本発明の水性組成物には、発明の効果を損なわない範囲であれば、その用途や形態に応じて、常法に従い、様々な成分や添加物を適宜選択し、一種またはそれ以上を併用して含有させてもよい。それらの成分または添加物として、例えば、半固形剤や液剤などの調製に一般的に使用される担体(水、水性溶媒、水性又は油性基剤など)、増粘剤、糖類、界面活性剤、防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤、pH調節剤、等張化剤、香料または清涼化剤、キレート剤、緩衝剤、などの各種添加剤を挙げることができる。以下に本発明の水性組成物に使用される代表的な成分を例示するが、これらに限定されない。
【0039】
増粘剤:例えば、カルボキシビニルポリマー、セラミド、セルロース誘導体(エチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース、ニトロセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロースなど)、多糖類又はその誘導体(アラビアゴム、アルギン酸、エラスチン、カゼイン、カラギーナン、カラヤガム、寒天、キサンタンガム、キチン及びその誘導体、キトサン及びその誘導体、キャロブガム、グアーガム、グアヤク脂、クインスシード、コラーゲン、コンドロイチン硫酸、ゼラチン、ダンマルガム、トラガントガム、ベンゾインゴム、デキストリン、デキストラン、デンプン、ヒアルロン酸、ペクチン、ヘパラン硫酸、ヘパリノイド、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ポリガラクツロン酸、ローカストビーンガムなど)、デオキシリボ核酸、ポリアクリル酸、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール(完全、又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメタアクリレート、マクロゴール、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体、リボ核酸など、及びその薬理学的に許容される塩類(例えば、アルギン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウムなど)など。
【0040】
糖類:例えば、アラビノース、ガラクトース、キシロース、グルコース、シクロデキストリン、スクロース、セロビオース、デオキシリボース、トレハロース、フルクトース、プルラン、マルチトール、マルトース、マンノース、ラクツロース、ラクトース、ラフィノース、リキソース、リブロース、リボースなど及びその薬理学的に許容される塩類など。
【0041】
糖アルコール類:例えば、キシリトール、ソルビトール、マンニトールなど。
これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
【0042】
界面活性剤:例えば、ポリオキシエチレン(以下、POEと略す)−ポリオキシプロピレン(以下、POPと略す)ブロックコポリマー (例えば、ポロクサマー407 、ポロクサマー235 、ポロクサマー188 など) 、エチレンジアミンのPOE-POPブロックコポリマー付加物(例えば、ポロキサミン)、モノラウリル酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート20) 、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン (ポリソルベート80) 、ポリソルベート60などのPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POE(60)硬化ヒマシ油などのPOE硬化ヒマシ油、POE(9) ラウリルエーテルなどのPOEアルキルエーテル類、POE(20)POP(4) セチルエーテルなどのPOE・POPアルキルエーテル類、POE(10)ノニルフェニルエーテルなどのPOEアルキルフェニルエーテル類、POE(10)ノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類、ステアリン酸ポリオキシルなどの非イオン性界面活性剤;アルキルジアミノエチルグリシンなどのグリシン型、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの酢酸ベタイン型、イミダゾリン型などの両性界面活性剤;アルキルエーテルカルボン酸塩、テトラデセンスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩、N−ココイルメチルタウリンナトリウムなどのN−アシルタウリン塩、POE(10)ラウリルエーテルリン酸ナトリウムなどのPOEアルキルエーテルリン酸及びその塩、ラウロイルメチルアラニンナトリウムなどのN−アシルアミノ酸塩、POE(3) ラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのPOEアルキルエーテル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩などの陰イオン界面活性剤;アルキルアミン塩、アルキル4級アンモニウム塩(塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなど)、アルキルピリジニウム塩(塩化セチルピリジニウム、臭化セチルピリジニウムなど)などの陽イオン界面活性剤などが挙げられる。なお、括弧内の数字は付加モル数を示す。
【0043】
防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤:例えば、アクリノール、アルキルポリアミノエチルグリシン(塩酸アルキルジアミノエチルグリシンなど)、安息香酸又はその塩(安息香酸ナトリウムなど)、イソプロパノール、イソプロピルメチルフェノール、ウンデシレン酸、エタノール、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ポリドロニウム、塩化メチルロザニリン、オルトフェニルフェノール、過酸化水素、カプリル酸、クロルキシレノール、クロルヘキシジン又はその塩(塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジンなど)、クロロフェン、クロロブタノール、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、臭化セチルピリジニウム、スルファミン、ソルビン酸またはその塩(ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸トリクロカルバンなど)、チアベンダゾール、チメロサール、チモール、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、トリクロサン、パラオキシ安息香酸エステル(パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチルなど)、ハロカルバン、ビグアニド化合物(ポリヘキサメチレンビグアニドなど)、8−ヒドロキシキノリン(硫酸オキシキノリン)、ヒノキチオール、フェネチルアルコール、フェノキシエタノール、プロパノール、プロピオン酸、ベンジルアルコール、ポピヨンヨードなどの担持体、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリ[オキシエチレン(ジメチルイミニオ)エチレン−(ジメチルイミニオ)エトレンジクロリド]、ポリエチレンポリアミン・ジメチルアミンエピクロルヒドリン重縮合物(商品名例えばBusan1157、バックマン社製)、ポリミキシンB、ポリリジン、マーキュロクロム、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、ラクトフェリン、リゾチーム、レゾルシン、Glokill (商品名、例えばGlokill PQ、ローディア社製) など、及びその薬理学的に許容される塩類等が挙げられる。
【0044】
pH調整剤:例えば、無機酸(塩酸、ホウ酸、ポリリン酸、硫酸、リン酸など)、有機酸(アスパラギン酸、アミノエチルスルホン酸、イプシロン−アミノカプロン酸、クエン酸、グルコン酸、グルタミン酸、コハク酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、プロピオン酸、リンゴ酸など)、グルコノラクトン、酢酸アンモニウム、無機塩基(水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ砂など)、有機塩基(ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、リジンなど)、及びその薬理学的に許容される塩類など。
【0045】
等張化剤:例えば、無機塩類(例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウムなど)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリオール、プロピレングリコールなど)、糖類または糖アルコール類(例えば、ソルビトール、ブトウ糖、マンニトールなど)など。
【0046】
香料又は清涼化剤:テルペン類(例えば、アネトール、オイゲノール、カンフル、ゲラニオール、シネオール、ボルネオール、メントール、リモネン、リュウノウなど。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。)精油(ウイキョウ油、クールミント油、ケイヒ油、スペアミント油、ハッカ水、ハッカ油、ペパーミント油、ベルガモット油、ユーカリ油、ローズ油など)など。
【0047】
キレート剤:例えば、アスコルビン酸、エデト酸、クエン酸、コハク酸、トリヒドロキシメチルアミノメタン、ニトリロトリ酢酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、ヘキサメタリン酸、ポリリン酸、メタリン酸等、及びその薬理学的に許容される塩類等(例えば、エデト酸四ナトリウム、エデト酸ナトリウム)。
【0048】
緩衝剤:クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤など。例えば、アミノエチルスルホン酸、アスパラギン酸又はその塩(アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウムなど)、イプシロン−アミノカプロン酸、クエン酸又はその塩(クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウムなど)、酢酸又はその塩(酢酸カリウム、酢酸ナトリウムなど)、炭酸又はその塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなど)、ホウ酸またはその塩(テトラホウ酸カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ砂、メタホウ酸カリウムなど) 、リン酸又はその塩 (リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、など)、など。
【0049】
安定剤:ジブチルヒドロキシトルエン、トロメタモール、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)、トコフェロール、ピロ亜硫酸ナトリウム、モノエタノールアミン、モノステアリン酸アルミニウムなど。
【0050】
溶解剤、基剤:オクチルドデカノール、オリーブ油、ゴマ油、酸化チタン、臭化カリウム、ダイズ油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、パラフィン、ヒマシ油、プラスチベース、ラッカセイ油、ラノリン、ワセリンなど。
【0051】
医薬分野において上記の各種成分の配合量は既知であり、組成物中の上記成分の配合量は、組成物の剤型、活性成分の種類等に応じて適宜選択される。具体的には、本発明の医薬組成物の総量に対する上記各種成分の配合割合は、下記の範囲が例示される。
増粘剤:例えば、0.0005〜50重量%、好ましくは、0.001〜10重量%
糖類:例えば、0.001〜10重量%、好ましくは、0.01〜5重量%
界面活性剤:例えば、0.0001〜10重量%、好ましくは、0.005〜5%
防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤:例えば、0.00001〜5重量%、好ましくは、0.0001〜2重量%
pH調節剤:例えば、0.00001〜5重量%、好ましくは、0.0001〜2重量%
等張化剤:例えば、0.001〜10重量%、好ましくは、0.01〜5重量%
香料または清涼化剤:例えば、0.00001〜5重量%、好ましくは、0.0001〜2重量%
キレート剤:例えば、0.00001〜5重量%、好ましくは、0.0001〜2重量%
緩衝剤:例えば、0.001〜10重量%、好ましくは、0.01〜5重量%
本発明の医薬組成物を点鼻剤として用いる場合、鼻腔粘膜に適用した場合に不快な刺激を生じにくくするために、該医薬組成物のpHを適切に調整しておくことが望ましい。具体的には、本発明の医薬組成物を点鼻剤として用いる場合、該医薬組成物のpHは、通常4.0 〜9.0、好ましくは、4.5 〜7.5、さらに好ましくは5.0〜7.0の範囲を満たしておくことが望ましい。
【0052】
本発明の医薬組成物は、上記(a)成分及び(b)成分の併用に基づいて、ロイコトリエン産生抑制作用が相乗的に増強されて、顕著に優れたロイコトリエン産生抑制作用を発揮する。故に、本発明の医薬組成物は、ロイコトリエン産生抑制剤として使用でき、ロイコトリエンが関与する疾患や症状の治療又は改善剤として有用である。ロイコトリエンが関与する疾患や症状としては、例えば、鼻閉等のアレルギー性鼻炎の遅発相の症状の他、風邪による鼻閉、鼻閉症状が慢性化した慢性副鼻腔炎、蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、皮膚掻痒症、痒疹、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性結膜炎、春季カタル、慢性結膜炎、リウマチ様関節炎、脊椎関節炎、痛風、アテロ−ム性動脈硬化症、慢性炎症性腸疾患、肺循環昇圧、片頭痛等が挙げられる。中でも、本発明の医薬組成物は、特に、鼻閉症状に対して、優れた治療乃至改善効果を奏することができる。
【0053】
また、本発明の医薬組成物の形態については制限されず、固形剤、半固形剤または液剤の何れの形態であってもよい。本発明の医薬組成物の形態として、より具体的には、錠剤(口腔内側崩壊錠、咀嚼可能錠、発泡錠、トローチ剤、ゼリー状ドロップ剤等を含む)、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、ドライシロップ剤、液剤(ドリンク剤、懸濁剤、シロップ剤、点鼻液、点眼液を含む)、ゲル剤、リポソーム剤、エキス剤、チンキ剤、レモネード剤、ゼリー剤、貼付剤、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、スプレー剤(点鼻スプレーを含む)等の公知の形態が例示される。これらの中で、好ましくは液剤、懸濁剤、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、ローション剤、スプレー剤である。
【0054】
本発明の医薬組成物の適用形態については、特に制限されず、用途や目的、適用対象者等に応じて適宜設定できる。例えば、経口投与、点鼻形態での適用、点眼形態での適用、その他外用適用等の適用形態が例示される。このましくは、点鼻形態での適用である。
【0055】
また、本発明の医薬組成物は、上記製剤形態、用途、適用形態に応じて、内服剤(例えば、感冒薬、鼻炎用内服剤等)、局所適用剤(例えば、点鼻剤、点眼剤等)、外用剤(例えば、貼付剤、ローション、軟膏等)等、好ましくは局所適用剤、更に好ましくは点鼻剤として使用される。
【0056】
2.ロイコトリエン産生抑制作用の増強方法
前述するように、(a)フルチカゾン及び/又はその塩と、(b)グリチルリチン酸及びその塩、コンドロイチン硫酸及びその塩、並びに硫酸亜鉛よりなる群から選択される少なくとも1種の成分とを組み合わせて配合して医薬組成物を調製することにより、該医薬組成物に、相乗的に増強されたロイコトリエン産生抑制作用を備えさせることができる。従って、本発明は、他の観点から、(a)フルチカゾン及び/又はその塩を含む医薬組成物に、(b)グリチルリチン酸及びその塩、コンドロイチン硫酸及びその塩、並びに硫酸亜鉛よりなる群から選択される少なくとも1種の成分を添加することを特徴とする、(a)成分含有医薬組成物のロイコトリエン産生抑制作用の増強方法を提供する。当該方法において、使用される(a)成分、(b)成分、及び該医薬組成物に配合可能な他の成分の種類、それらの成分の配合割合、医薬組成物の形態や用途等については、前記「1.医薬組成物」の項の記載内容が援用される。
【実施例】
【0057】
以下に、試験例、実施例等に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
試験例1 ロイコトリエン産生抑制効果評価試験
DMEM培地を用いて、ラット好塩基球細胞株(RBL-2H3、JCRB0023)を96穴プレートに1.5×105cells/well(各ウェル中の培地量は0.1mL)となるように播種し、一晩培養(二酸化炭素5%、37℃)して細胞を各ウェルの基底に付着させた。各ウェルから培養上清を除去した後、各ウェル中の細胞をPIPESバッファー(25mM PIPES, 118mM NaCl, 7.5mM KCl, 5.6mM glucose, 0.4mM MgCl2mM 3mM CaCl2および0.1%BSA)で2回洗浄した。次いで、表1に示す組成の試験液(実施例1−3及び比較例1−4)を各ウェルに0.1mL添加し、37℃で1時間静置した。次いで、各ウェルに、カルシウムイオノフォアA23187を5μMの割合で含有するPIPESバッファーを0.1mL添加して0.5時間静置してロイコトリエンの産生を誘発した後、上清を回収した。回収した上清中のロイコトリエン濃度をELISA法により定量した。
【0058】
また、本試験では、コントロールとして、表1に示す組成の試験液(実施例1−3及び比較例1−4)の代わりに、プロピオン酸フルチカゾン、グリチルリチン酸二カリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、及び硫酸亜鉛の何れも含まないPIPESバッファーを用いて同様の試験を行い、回収した上清中のロイコトリエン濃度を定量した。ロイコトリエン濃度から、各試験液(実施例1−3及び比較例1−4)においてロイコトリエンの産生が抑制されている率(ロイコトリエン産生抑制率(%))を下式により算出することにより、ロイコトリエン産生抑制作用を評価した。
【0059】
【数1】

【0060】
結果を表1に併せて示す。表1の結果から明らかなように、プロピオン酸フルチカゾンと、グリチルリチン酸二カリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム又は硫酸亜鉛とを組合わせることによって、各化合物単独で使用した場合に認められるロイコトリエン産生抑制作用の相加的効果を遙かに超えて、顕著に優れたロイコトリエン産生抑制作用が認められた。
【0061】
【表1】

【0062】
実施例4−21 製剤例
表2−4に記載の組成の点鼻剤(実施例4−21)を常法に従い調製した。
【0063】
【表2】

【0064】
【表3】

【0065】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)フルチカゾン及び/又はその塩、及び
(b)グリチルリチン酸及びその塩、コンドロイチン硫酸及びその塩、並びに硫酸亜鉛よりなる群から選択される少なくとも1種
を含有することを特徴とする、医薬組成物。
【請求項2】
上記(a)成分100重量部に対して、上記(b)成分が10〜15000重量部の割合で含まれる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
ロイコトリエン産生抑制剤である、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
点鼻剤である、請求項1乃至3のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項5】
鼻閉症状の治療又は改善剤である、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
(a)フルチカゾン及び/又はその塩を含む医薬組成物のロイコトリエン産生抑制作用を増強する方法であって、該医薬組成物に、(b)グリチルリチン酸及びその塩、コンドロイチン硫酸及びその塩、並びに硫酸亜鉛よりなる群から選択される少なくとも1種の成分を添加することを特徴とする、ロイコトリエン産生抑制作用の増強方法。

【公開番号】特開2008−156327(P2008−156327A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−350385(P2006−350385)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000115991)ロート製薬株式会社 (366)
【Fターム(参考)】