説明

フレキシブルコンテナバッグ

【課題】使い勝手の低下や大幅なコストアップを招くことなく、屋外で1年以上の実使用に耐えられるワンウエイタイプのフレキシブルコンテナバッグを提供する。
【解決手段】袋状本体部10(胴部11、上蓋13、及び底蓋15)は、所要の引張強度を有する、例えば、ポリプロピレン(PP)を主原料とするフラットヤーンで織られた生地が使用された内裏材と、この内裏材より引張強度は低いが前記内裏材より耐候性に優れた、例えば、ポリエチレン(PE)を主原料とし、それに耐候剤を添加混入してなるフラットヤーンで織られた生地が使用された外装材との二重構造とされてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米、麦、飼料、砂、建設資材、廃材等の紛状ないし粒状物を大量輸送する際等に使用されるフレキシブルコンテナバッグに係り、特に、一回限りの使用で用済みとなるワンウエイタイプ(いわゆる使い捨てタイプ)のフレキシブルコンテナバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
ワンウエイタイプのフレキシブルコンテナバッグ(以下、フレコンバッグと略称する)は、下記特許文献1、2等にも見られるように、可撓性及び柔軟性を有する合成樹脂製の生地(後述)で折り畳み可能に作製された大型(容量が500〜2000リットル程度)の袋状容器であり、その構造は、通常、有底もしくは無底の筒状の胴部に底蓋及び/又は上蓋が縫着等により結合されて袋状本体部が構成され、この袋状本体部に、注入口及び/又は排出口や吊りベルト等が付設される。
【0003】
前記袋状本体部の素材となる生地(原反)としては、従来、ポリプロピレンを主原料とし、これに色付けするためのマスターバッジ、及び、必要に応じて紫外線に対する耐候剤(UV剤)を添加混入してなるフラットヤーン(扁平な糸)で織られたもの(以下、ポリプロピレンを主原料とした生地と称する)が使用されることが多い。
【0004】
【特許文献1】特開2005−22736号公報
【特許文献2】特開2003−321086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記ポリプロピレンを主原料とした生地で作製されたフレコンバッグは、所要の引張強度は得られるものの、紫外線に対する耐候性が充分ではなく、太陽光が照射する屋外で使用した場合、劣化の進行速度が速く、前記のように耐候剤(UV剤)を添加混入する等して最大限の紫外線対策を講じても、屋外での実使用可能期間は、せいぜい6ヶ月止まりであった。
【0006】
近年、ワンウエイタイプのフレコンバッグの使用数量が急増しており、それに伴い用途や使用方法も変化拡大していることもあって、ユーザーからは、使い勝手の低下や大幅なコストアップを招くことなく、屋外で1年以上の実使用に耐えられるワンウエイタイプのフレコンバッグの開発が強く要望されている。
【0007】
本発明は、上記要望に応えるべくなされたもので、その目的とするところは、使い勝手の低下や大幅なコストアップを招くことなく、屋外で1年以上の実使用に耐えられるワンウエイタイプのフレキシブルコンテナバッグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成すべく、本発明に係るフレキシブルコンテナバッグの一つは、基本的には、袋状本体部が、相互に重ね合わせられた内裏材と外装材の二重構造とされ、前記内裏材として、所要の引張強度を有する樹脂材料からなる生地が使用され、前記外装材として、前記内裏材より引張強度は低いが前記内裏材より耐候性に優れた樹脂材料からなる生地が使用されていることを特徴としている。
【0009】
本発明に係るフレキシブルコンテナバッグの他の一つは、基本的には、袋状本体部が、相互に重ね合わせられた内裏材と外装材の二重構造とされ、前記内裏材として、ポリプロピレンを主原料とするフラットヤーンで織られた生地が使用され、前記外装材として、ポリエチレンを主原料とし、それに耐候剤を添加混入してなるフラットヤーンで織られた生地が使用されていることを特徴としている。
【0010】
前記袋状本体部は、好ましくは、有底もしくは無底の筒状の胴部に底蓋及び/又は上蓋が結合された構造とされ、該袋状本体部に、注入口及び/又は排出口や吊りベルト等が付設される。
【0011】
前記袋状本体部は、好ましくは、黒色にされる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るフレキシブルコンテナバッグは、袋状本体部が、所要の引張強度を有する、例えば、ポリプロピレンを主原料とするフラットヤーンで織られた生地が使用された内裏材と、この内裏材より引張強度は低いが前記内裏材より耐候性に優れた、例えば、ポリエチレンを主原料とし、それに耐候剤を添加混入してなるフラットヤーンで織られた生地が使用された外装材との二重構造とされるので、ポリプロピレンを主原料とした生地のみの一重構造であった従来のフレキシブルコンテナバッグに比して、耐候性が格段に向上するとともに、引張強度も向上する。
【0013】
すなわち、外装材として耐候性に優れた生地が使用され、かつ、その外装材で内裏材が覆われているので、当該バッグを屋外で使用しても内裏材に紫外線は当たり難くなる。そのため、内裏材(ポリプロピレンを主原料とした生地)の劣化が従来のもの(同じポリプロピレンを主原料とした生地)に比して遅くなり、その結果、耐用寿命が従来のものに比して2倍以上に延び、屋外で1年以上の実使用に耐えられることになる。
【0014】
また、二重構造であることから、内裏材の引張強度(従来のものの引張強度)に外装材の引張強度が加算されることになり、袋状本体部の引張強度は従来のものに比して大幅にアップする。
【0015】
さらに、内裏材及び外装材として、大量生産される市販のシート(耐候剤入り)をそのまま使用できるので、さほど大きなコストアップにはつながらず、寿命が2倍以上に延びることから充分な費用対効果が得られる。
【0016】
加えて、バッグの形状構成は、従前のものとほとんど同じでよいので、使い勝手が低下することはなく、耐候性及び引張強度が大幅に向上することと併せれば、商品価値、信頼性が格段に向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明のフレキシブルコンテナバッグの実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1、図2は、それぞれ本発明に係るフレキシブルコンテナバッグの第1実施形態、第2実施形態を示す図である。
【0018】
図1に示される第1実施形態のフレキシブルコンテナバッグ1は、ワンウエイタイプのもので、米、麦、飼料、砂、建設資材、廃材等の紛状ないし粒状物が投入収容される、容量が1000リットル程度の袋状本体部10を備えている。この袋状本体部10は、円筒状の胴部11の上下にそれぞれ上蓋13及び底蓋15が縫着、接着、溶着等の適宜の手法で結合されて構成されている。また、上蓋13には小径円筒状の注入口17及び注入口押さえ18が設けられ、底蓋15には、小径円筒状の排出口19及び排出口押さえ20が設けられている。
【0019】
袋状本体部10の底蓋15に配置された底部ロープ31から胴部11の外周側面にかけて、2本の吊りベルト21、21が上部で襷掛けとなるように掛け廻されて胴部11の外周側面の4箇所で補強布23と共に固着されている。吊りベルト21、21の上部襷掛け部分には、吊りベルトカバー22が被着されている。以上の他、密封梱包等に必要とされる注入口縛りテープ25、排出口縛りテープ26、注入口押さえロープ28、排出口押さえロープ30等が備えられている。
【0020】
そして、本実施形態のフレコンバッグ1の袋状本体部10(胴部11、上蓋13、及び底蓋15)は、所要の引張強度を有する、例えば、ポリプロピレン(PP)を主原料とするフラットヤーンで織られた生地(PP Lami 1600D 15×15)が使用された内裏材と、この内裏材より引張強度は低いが前記内裏材より耐候性に優れた、例えば、ポリエチレン(PE)を主原料とし、それに耐候剤を添加混入してなるフラットヤーンで織られた生地(PE Lami 1200D 15×15)が使用された外装材との二重構造となっている。すなわち、本実施形態では、従来の袋状本体部に使用されていたポリプロピレンを主原料とした生地に、耐候性に優れたポリエチレン(PE)+耐候剤の生地を重ね合わせて接着剤等で貼り付けることにより、二重構造の生地(基布)を作製し、この基布を各部の仕様に合わせてカットし、しかる後、ポリプロピレン(PP)を主原料とした生地を内側(裏側)、ポリエチレン(PE)+耐候剤の生地を外側にして、各部を縫着等により結合することにより袋状本体部10が作製されている。
【0021】
より詳細には、内裏材となる生地は、ポリプロピレン(PP)を主原料として、これに色付けのためのマスターバッジ及び耐候剤(UV剤)を添加混入したものからフラットヤーン(扁平な糸)を作り、このフラットヤーンを織機で織って作製されたものである。なお、このポリプロピレンを主原料とした生地は、大量生産された市販品(シート、クロス類)から適宜のものを選択可能である。
【0022】
また、外装材となる生地は、ポリエチレン(PE)を主原料として、これに色付けのためのマスターバッジ及び耐候剤(UV剤)を添加混入したものからフラットヤーン(扁平な糸)を作り、このフラットヤーンを織機で織って作製されたものである。なお、このポリエチレンを主原料とした生地も、大量生産された市販品(シート、クロス類)から適宜のものを選択可能であり、例えば、井笠製袋(株)から販売されているUVシート[型番#4000](引張強度[N/5cm]:930〜980、耐候性:耐候試験2年後、強力残率80%以上)等が好適である。
【0023】
次に、上記袋状本体部10以外の部分について説明する。
・注入口17と排出口19は、さほど大きな強度は必要としないので、耐候性を優先して、内裏材:ポリエチレン(PE)+耐候剤の生地(1000D 10×10)、外装材:ポリエチレン(PE)+耐候剤の生地(1200D 15×15)とした二重構造とする。
・吊りベルト21、吊りベルトカバー22は、大きな引張強度を必要とするので、100mm幅ベルト仕様で、上部1,100mmの部分を二つ折りにして、ポリプロピレンを主原料としたベルト基体部分(1500D 15×15)をカバーするように包み込む。このようにベルト21とカバー22の二重構造にすることによって耐候性が2倍になり、また、リフター等による引き上げ時等における摩耗損傷を軽減できる。
・補強布23は、内裏材:ポリプロピレン(PP)+耐候剤の生地(1500D 15×15)、外装材:ポリエチレン(PE)+耐候剤の生地(1200D 15×15)とした二重構造とする。
【0024】
このような構成とされた本実施形態のフレキシブルコンテナバッグ1は、袋状本体部10が、所要の引張強度を有する、例えば、ポリプロピレンを主原料とするフラットヤーンで織られた生地が使用された内裏材と、この内裏材より引張強度は低いが前記内裏材より耐候性に優れた、例えば、ポリエチレンを主原料とし、それに耐候剤を添加混入してなるフラットヤーンで織られた生地が使用された外装材との二重構造とされるので、ポリプロピレンを主原料とした生地のみの一重構造であった従来のフレキシブルコンテナバッグに比して、耐候性が格段に向上するとともに、引張強度も向上する。
【0025】
すなわち、外装材として耐候性に優れた生地が使用され、かつ、その外装材で内裏材が覆われているので、当該バッグ1を屋外で使用しても内裏材に紫外線は当たり難くなる。そのため、内裏材(ポリプロピレンを主原料とした生地)の劣化が従来のもの(同じポリプロピレンを主原料とした生地)に比して遅くなり、その結果、耐用寿命が従来のものに比して2倍以上に延び、屋外で1年以上の実使用に耐えられることになる。
【0026】
また、二重構造であることから、内裏材の引張強度(従来のものの引張強度)に外装材の引張強度が加算されることになり、袋状本体部10の引張強度は従来のものに比して大幅にアップする。
【0027】
さらに、内裏材及び外装材として、大量生産される市販のシート(耐候剤入り)をそのまま使用できるので、さほど大きなコストアップにはつながらず、寿命が2倍以上に延びることから充分な費用対効果が得られる。
【0028】
加えて、バッグの形状構成は、従前のものとほとんど同じでよいので、使い勝手が低下することはなく、耐候性及び引張強度が大幅に向上することと併せれば、商品価値、信頼性が格段に向上する。
【0029】
図2に示される第2実施形態のフレキシブルコンテナバッグ2も、第1実施形態と同様に、ワンウエイタイプのもので、容量が1000リットル程度の袋状本体部50を備えている。この袋状本体部50は、円筒状の胴部51の下端部に底蓋53が縫着、接着、溶着等の適宜の手法で結合されて構成されている。また、胴部51の上端部には、それと同径の円筒状開放型の注入口55(排出口兼用)が連設されている。
【0030】
袋状本体部50の底蓋53に配置された底部ロープ63から胴部51の外周側面にかけて、2本の吊りベルト57、57が平行掛けとなるように掛け廻されて胴部51の外周側面の4箇所で補強布59と共に固着されている。吊りベルト57、57の上部U字状部分には、吊りベルトカバー58が被着されている。以上の他、密封梱包等に必要とされる注入口縛りテープ62(2本)等が備えられている。
【0031】
このような構成のフレキシブルコンテナバッグ2においても、第1実施形態のものと同様に、袋状本体部50(胴部51及び底蓋53)は、所要の引張強度を有する、例えば、ポリプロピレン(PP)を主原料とするフラットヤーンで織られた生地(PP No-Lami 1500D 15×15)が使用された内裏材と、この内裏材より引張強度は低いが前記内裏材より耐候性に優れた、例えば、ポリエチレン(PE)を主原料とし、それに耐候剤を添加混入してなるフラットヤーンで織られた生地(PE Lami 1200D 15×15)が使用された外装材との二重構造となっている。
【0032】
また、注入口55、吊りベルト57、吊りベルトカバー58、補強布59も、第1実施形態のものと同様に二重構造となっている。
【0033】
このような構成とされた第2実施形態のフレキシブルコンテナバッグ2においても、第1実施形態のものと略同様な作用効果が得られる。
【0034】
なお、ワンウエイタイプのフレコンバッグは、通常、外部との調和等を考慮してベージュ色とされているが、耐候性の向上させるためには黒色にすることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係るフレキシブルコンテナバッグの第1実施形態を示し、(A)は概略斜視図、(B)は概略平面図、(C)は概略底面図。
【図2】本発明に係るフレキシブルコンテナバッグの第2実施形態を示し、(A)は概略斜視図、(B)は概略平面図、(C)は概略底面図。
【符号の説明】
【0036】
1、2 ワンウエイタイプのフレキシブルコンテナバッグ
10、50 袋状本体部
11、51 胴部
13 上蓋
15、53 底蓋
17、55 注入口
19 排出口
21、57 吊りベルト
22、58 吊りベルトカバー
23、59 補強布

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋状本体部が、相互に重ね合わせられた内裏材と外装材の二重構造とされ、前記内裏材として、所要の引張強度を有する樹脂材料からなる生地が使用され、前記外装材として、前記内裏材より引張強度は低いが前記内裏材より耐候性に優れた樹脂材料からなる生地が使用されていることを特徴とするフレキシブルコンテナバッグ。
【請求項2】
袋状本体部が、相互に重ね合わせられた内裏材と外装材の二重構造とされ、前記内裏材として、ポリプロピレンを主原料とするフラットヤーンで織られた生地が使用され、前記外装材として、ポリエチレンを主原料とし、それに耐候剤を添加混入してなるフラットヤーンで織られた生地が使用されていることを特徴とするフレキシブルコンテナバッグ。
【請求項3】
前記袋状本体部は、有底もしくは無底の筒状の胴部に底蓋及び/又は上蓋が結合された構造とされ、該袋状本体部に、注入口及び/又は排出口や吊りベルト等が付設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のフレキシブルコンテナバッグ。
【請求項4】
前記袋状本体部は、黒色にされていることを特徴とする請求項1又は2に記載のフレキシブルコンテナバッグ。

【図1】
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【図2】
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