説明

フレキシブルコンテナ

【課題】大型化することなく、粉粒体の飛散を防止できる構造を有し、粉粒体の排出時に粉粒体が散逸することを抑制できるフレキシブルコンテナを提供することを課題とする。
【解決手段】本体2の底面3に開口する排出口3aと連通して下方に延出する排出筒4の外側を覆うように、柔軟な排出スカート5が備わるフレキシブルコンテナ1とする。排出スカート5の裾部5aには伸縮部7を設けて裾部5aを円周方向に弾性収縮し、裾部5aを半径方向に縮んだ状態に維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容物である粉粒体を排出する排出筒と、排出筒を外側から覆う排出スカートを有するフレキシブルコンテナで、粉粒体を排出する時に、粉粒体の飛散を防止する構造を有するフレキシブルコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
粉粒体の保管及び搬送には、基布を融着、又は縫合して形成されるフレキシブルコンテナが広く利用されている。フレキシブルコンテナの底面には、収容物である粉粒体を排出するための排出口が開口し、排出口から下方に向かって排出筒が延出している。
このようなフレキシブルコンテナから粉粒体を排出して収納庫に収納する場合、上方に向かって筒状に伸びる収納庫の投入口に、フレキシブルコンテナの排出筒を内挿し、排出筒の内側を通るように粉粒体を落下させて、粉粒体を収納庫に収納する。
【0003】
しかしながら、粉粒体の落下に伴って収納庫内に上昇気流が発生すると、微細で軽量な粉粒体は上昇気流で舞い上がって投入口と排出筒の連結部分から飛び出し、粉粒体がフレキシブルコンテナの周囲に飛散することがある。
その結果、フレキシブルコンテナの周囲環境が汚染されるという問題がある。また、貴金属や希土類元素など高価な元素を含んだ粉粒体の場合は、粉粒体の飛散によって高価な元素が散逸することになり、経済的な損失が大きくなるという問題がある。
【0004】
このような問題を解決するため、例えば特許文献1には、フレキシブルコンテナを保持するとともに粉体分配器や中空フードなどを備えた開袋装置の技術が開示されている。この開袋装置は、粉粒体の排出時に発生する上昇気流から粉粒体を分離し、粉粒体の飛散を防止することができる。
【0005】
しかしながら、例えば特許文献1に開示される開袋装置は、フレキシブルコンテナを保持するのに必要な大きさや強度が要求されることから開袋装置が大型化する。そのため、運用コストが高くなるという問題、及び設置スペースや保管スペースを確保する必要があるという問題が発生する。
【0006】
また、例えば特許文献2には、底面に備わる3層構造のスカートの中間層スカートに鉛直方向のスリットを設け、中間層スカートが受器投入口外周と一体化するように、スリットの端部を結束用の紐で結束できるフレキシブルコンテナの技術が開示されている。このフレキシブルコンテナは、最内層スカートを受器投入口内部に垂らし込むとともに、中間層スカートが受器投入口外周と一体化するようにスリットの端部を結束することで、粉粒体の飛散を防止することができる。
【0007】
しかしながら、例えば特許文献2に開示されるフレキシブルコンテナは、スリットの端部を結束用の紐で結束する作業が必要になり、作業が煩雑になるという問題がある。また、スリットの端部を結束する作業者の熟練度の差によって、粉粒体の飛散を抑える効果が異なるという問題がある。
さらに、中間層スカートに設けられるスリットは、粉粒体がフレキシブルコンテナから排出されるときは閉鎖するため、中間層スカートの内側に溜まる空気の排気口がない。したがって、粉粒体を排出するときに発生する上昇気流が排出スカートの内側に流れ込むと、排出スカートが膨張してスリットの端部の結束が解放され、粉粒体が飛散することがあるという問題がある。
【特許文献1】特開2000−079921号公報
【特許文献2】特開2007−131348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記問題を解決するためになされたものであり、大型化することなく、粉粒体の飛散を防止できる構造を有し、粉粒体の排出時に粉粒体が散逸することを抑制できるフレキシブルコンテナを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、収容物である粉粒体を排出する排出筒が本体の底面から下方に延出し、排出筒の外側を覆う柔軟な排出スカートを有するフレキシブルコンテナとした。そして、排出スカートの裾部の少なくとも一部に伸縮部を設け、裾部を円周方向に弾性収縮することを特徴とした。
また、排出スカートの一部に通気性部材を備え、排出スカートに通気部を設けることを特徴とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、裾部を円周方向に弾性伸縮させることで裾部が半径方向に縮まった柔軟な排出スカートを、本体の底面から下方に延出する排出筒の外側を覆うように備えることができる。
したがって、収容物である粉粒体を収納する収納庫の投入口に排出筒を内挿して排出スカートを投入口にかぶせたとき、排出スカートの裾部と投入口の外周を密着させることができる。
この構成により、投入口と排出筒の連結部分を排出スカートで覆うことができ、投入口と排出筒の連結部分から飛び出す粉粒体を排出スカートの内側に飛散させることができる。
【0011】
また、本発明によれば、排出スカートの一部に通気性部材を備えて通気部を設け、排出スカートの内側に溜まった空気を通気部を介して排出スカートの外側に排気することができる。
したがって、排出スカートの内側に溜まった空気が、排出スカートの裾部を押し広げることを抑制でき、排出スカートの内側に飛散した粉粒体が、押し広げられた排出スカートの裾部から散逸することを抑制できる。
【0012】
以上のように、本発明は、大型化することなく、粉粒体の飛散を防止できる構造を有し、粉粒体の排出時に粉粒体が散逸することを抑制できるフレキシブルコンテナを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、適宜図を参照して詳細に説明する。
図1の(a)は、本実施形態に係るフレキシブルコンテナの構造を示す一部破断図、(b)は、裾部の拡大図である。
図1の(a)に示すように、フレキシブルコンテナ1は、基布を融着、又は縫合して、例えば円筒状に構成される本体2の下部を、中央部に排出口3aが開口している底面3で塞いで構成される。底面3には、排出口3aと連通した排出筒4が下方に延出するように備わり、底面3と排出筒4の接合部3bには、排出筒4の外側を覆うような排出スカート5が取り付けられる。
なお、本体2の上部には、例えば本体2と同じ基布で形成される蓋部2bが、必要に応じて取り付けられ、密閉容器の本体2が形成される。
また、必要に応じて、粉粒体を注入するための図示しない注入口と、注入口に連通した図示しない注入筒を、例えば蓋部2bの中央部に設けてもよい。
そして、本体2の外側には、必要に応じて、フレキシブルコンテナ1を吊り下げる吊り下げ装置1aを保持する保持部2aが取り付けられる。
【0014】
本体2は、樹脂加工布やゴム引布、フラットヤーンクロスなどからなる基布を融着、又は縫合して形成される。
本体2を形成する基布となる樹脂加工布は、ポリエステルフィラメントやナイロンフィラメントからなる平織物の両面をポリ塩化ビニル(PVC)樹脂で被覆したPVCターポリンやエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂で被覆したEVAターポリン、又は、ポリオレフィン素材からなるフラットヤーンを平織りもしくは綾織りしたクロスの両面を、ポリオレフィン樹脂で被覆したフラットヤーンラミネートクロスなどである。
【0015】
また、本体2を形成する基布となるゴム引布は、主にナイロンフィラメントの平織物の両面をクロロプレンゴムなどで被覆したものであり、本体2を形成する基布となるフラットヤーンクロスは、ポリオレフィン素材からなるフラットヤーンを平織りもしくは綾織りしたクロスなどである。
なお、ポリオレフィンとしては、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、EVAなどが使用される。
【0016】
底面3は、例えば、本体2と同じ材質の基布を本体2の下部に融着、又は縫合して形成される。底面3には、本体2に収容される粉粒体を排出するための排出口3aが開口し、底面3の下方には、排出口3aと連通する排出筒4が延出している。そして、底面3と排出筒4の接合部3bには、排出筒4の外側を覆うように排出スカート5が取り付けられる。
【0017】
排出筒4は、例えば本体2と同じ、樹脂加工布やゴム引布、フラットヤーンクロスなどの基布で形成される筒状部材である。排出筒4には結束部4aが備わり、排出筒4を閉塞することができる。結束部4aには、例えば排出筒4を外周から締め付けて排出筒4を閉塞するひも状の結束部材が備わり、排出筒4を閉塞してフレキシブルコンテナ1の収容物である粉粒体の排出を止めることができる。
さらに、フレキシブルコンテナ1から粉粒体を排出しないとき、排出筒4は本体2の内部に収納される構成であってもよい。
このように、結束部4aで結束して閉塞したり、本体2の内部に収納したりするため、排出筒4は本体2より柔軟に形成されることが好適であり、排出筒4は、本体2より薄い基布で形成される構成が好ましい。
なお、排出筒4を、アルミニウム、鉄鋼、ステンレスなどの金属で形成してもよい。この場合、排出筒4の閉塞及び開放を切り換える、図示しないコックなどを備える構成が好適である。
【0018】
排出スカート5は、例えば排出筒4と同じ、樹脂加工布やゴム引布、フラットヤーンクロスなどの基布からなり、柔軟に形成される。排出スカート5は、例えば、一端が排出筒4と底面3の接合部3bに接合されて、底面3から延出する排出筒4の外側を覆うように備わり、底面3に接合されない他端(裾部5a)に向かって、裾広がりに形成される。
そして、本実施形態に係る排出スカート5には、裾部5aを円周方向に弾性収縮する伸縮部7が設けられる。
【0019】
図1の(a)、(b)に示すように、伸縮部7は、裾部5aを円周方向に弾性収縮して、裾部5aを半径方向に縮めた状態に維持する。そして、例えば作業者が手作業で、裾部5aを径方向に容易に広げられる構成が好ましい。
【0020】
図2は、伸縮部の構成を示す図であって、(a)は、裾部に弾性部材を取り付ける構成例を示す図、(b)は、袋状の裾部に弾性部材を通す構成例を示す図、(c)は、裾部の一部に伸縮部を備える構成例を示す図である。
【0021】
図2の(a)に示すように、排出スカート5の伸縮部7は、排出筒4と略同等の半径に縮めた裾部5aに、テープ状の弾性部材5cを収縮した状態で、融着や縫合などによって取り付けて形成することができる。
【0022】
また、図2の(b)に示すように、排出スカート5の裾部5aを折り返して袋状に形成し、袋状の裾部5aに、例えば紐状の弾性部材5cを通して伸縮部7を形成してもよい。
【0023】
また、図2の(a)、(b)は、排出スカート5の裾部5aの全周にわたって弾性部材5cを取り付ける構成としたが、この構成に限定されるものではない。図2の(c)に示すように、例えば裾部5aの一部に弾性部材5cを取り付けた伸縮部7であってもよい。この場合、複数の弾性部材5cを、裾部5aに取り付ける構成であってもよい。
【0024】
伸縮部7に備わる弾性部材5cは限定するものではないが、ゴムや熱可塑性エラストマーを使用した紐、テープ、及びバンドなどの使用が考えられる。
【0025】
図3は、フレキシブルコンテナに収容される粉粒体を収納庫に移す状態を示す図、図4の(a)は、図3におけるX1−X1断面図、(b)は、図4の(a)におけるA1部拡大図である。
図3に示すように、収納庫12には、上方に向かって筒状に延出する投入口13が形成され、フレキシブルコンテナ1から排出された粉粒体は、投入口13を介して、収納庫12に移される。
【0026】
投入口13は、フレキシブルコンテナ1の本体2に備わる排出筒4より大きな外形の筒状を呈し、フレキシブルコンテナ1の粉粒体を収納庫12に移すときには、図4の(a)に示すように、投入口13に排出筒4を内挿する。
【0027】
そして、本実施形態に係るフレキシブルコンテナ1においては、排出筒4の外側に配置される投入口13の外側を覆うように排出スカート5をかぶせる。
【0028】
このとき、作業者は、例えば投入口13に排出筒4を内挿した後、先に奥の側に排出スカート5をかぶせ、手前の側に裾部5aを引き寄せながら手前の側に排出スカート5をかぶせると、容易に作業できる。
【0029】
このように、作業者は、排出スカート5を投入口13にかぶせる作業をするだけであり、容易に作業をすることができる。
また、排出スカート5を投入口13にかぶせる作業だけであることから、作業者の熟練度にかかわらず、常に同じ状態で排出スカート5を投入口13にかぶせることができる。
【0030】
そして、図1の(b)に示すように、作業者は、投入口13にかぶせた排出スカート5の裾部5aから手を差し込んで排出筒4に備わる結束部4aの結束を解放し、排出筒4の閉塞を解除する。この作業によって、排出筒4が開放され、図4の(a)に示すように、本体2に収容される粉粒体が、排出筒4の内側を収納庫12に向かって落下する。
【0031】
このように、排出筒4が内挿される投入口13の外側を覆うように排出スカート5をかぶせることで、図3に示すように、排出筒4と投入口13の連結部分を排出スカート5で覆うことができる。
【0032】
図4の(a)に示すように、本体2から粉粒体が落下すると、それに伴って排出筒4の内側に空気の下降気流が発生し、その下降気流の一部が収納庫12の内部で上昇気流に転じて投入口13を上昇する。このとき、上昇気流は、微細で軽量な粉粒体を巻き上げ、投入口13と排出筒4の間隙を通って粉粒体を上昇させる。そして、上昇気流で上昇した粉粒体は、例えば排出筒4と投入口13の連結部分から飛び出す。
【0033】
本実施形態に係るフレキシブルコンテナ1は、図4の(a)に示すように、排出筒4と投入口13の連結部分を排出スカート5で覆うことができる。したがって、投入口13と排出筒4の間隙を通って上昇して、排出筒4と投入口13の連結部分から飛び出す粉粒体を、排出スカート5の内側に飛散させることができる。
【0034】
さらに、排出スカート5の裾部5aには伸縮部7が形成され、裾部5aを円周方向に弾性収縮して、裾部5aを半径方向に縮めることから、裾部5aと投入口13の外周は密着される。したがって、排出スカート5の裾部5aから粉粒体が漏出することを好適に抑制できる。この構成によって、排出スカート5の内側に飛散した粉粒体を、排出スカート5の内側に溜めることができる。そして、排出スカート5の内側に溜まった粉粒体を回収することで、粉粒体の散逸を抑制できる。
【0035】
また、本実施形態に係るフレキシブルコンテナ1の排出スカート5の裾部5aには伸縮部7が形成されることから、作業者の熟練度にかかわらず、一定の状態で裾部5aと投入口13の外周を密着させることができる。したがって、仮に熟練度の低い作業者が作業した場合であっても、粉粒体が排出スカート5の外部に飛散することを好適に抑制できるという優れた効果を奏する。
【0036】
なお、排出スカート5の裾部5aと投入口13の外周を好適に密着させるため、図4の(b)に示すように、例えば裾部5aの内側に沿って、不織布やゴムなど、弾性を有する部材からなる密着部材7aを取り付ける構成であってもよい。このような構成によって、排出スカート5の裾部5aと投入口13の外周の間から、粉粒体が漏出することをより好適に抑制することができる。
【0037】
また、本実施形態に係る排出スカート5は、底面3と排出筒4の接合部3bに融着、又は縫合されて取り付けられる構成としたが、図示しない面ファスナ等の固定部材を介して、底面3に着脱可能に備わる排出スカート5であってもよい(図1参照)。
【0038】
図5の(a)は、胴体部に伸縮部を設ける排出スカートを示す図、(b)は、排出スカートを収納庫の投入口にかぶせた状態を示す断面図である。図5の(a)に示すように、本実施形態に係る排出スカート5は、胴体部5dに伸縮部7を備える構成であってもよい。図5の(a)には、2つの伸縮部7を備える排出スカート5を図示している。
【0039】
図5の(a)に示すように、排出スカート5は、胴体部5dを円周方向に弾性収縮し、胴体部5dを半径方向に縮める伸縮部7を備えてもよい。
このように、胴体部5dに伸縮部7を備える構成によって、図5の(b)に示すように、排出スカート5を収納庫12の投入口13にかぶせたときに、排出スカート5の裾部5aと収納庫12の投入口13が密着するとともに、胴体部5dと投入口13が密着する。
したがって、排出スカート5と投入口13が密着する部分が増え、排出スカート5から粉粒体が漏出することをより好適に抑制できる。
なお、伸縮部7の数は2つに限定されるものではなく、3つ以上の伸縮部7が備わる排出スカート5であってもよい。
【0040】
図6の(a)は、通気部を設けた排出スカートを示す図、(b)は、通気部を設けた排出スカートが取り付けられたフレキシブルコンテナの粉粒体を収納庫に収納する状態を示す断面図である。
【0041】
図6の(a)に示すように、例えば排出スカート5の一部に通気性部材8aを備え、排出スカート5に通気部8を設ける構成であってもよい。通気性部材8aは、通気性があって粉粒体を通過させない部材であれば限定されるものではなく、不織布や織布、穿孔フィルムなどを使用すればよい。
【0042】
このような通気性部材8aを、接着剤による接着、融着、又は縫合などの取り付け方法で排出スカート5に備えることで、排出スカート5に通気部8を設けることができる。
このように、排出スカート5に通気部8を設ける構成によって、例えば排出スカート5の内側の空気を排出スカート5の外側に排気できる。
【0043】
図6の(b)に示すように、本体2に収容される粉粒体を収納庫12に移すときに収納庫12で発生する上昇気流によって、排出スカート5の内側に空気が流れ込む。そして、排出スカート5の内側に空気が流れ込んで排出スカート5の内側の気圧が高くなると、空気は、投入口13に密着している裾部5aを押し開き、排出スカート5の外側に抜け出る。このとき、排出スカート5の内側に溜まっている粉粒体が、空気によって裾部5aから押し出されると、フレキシブルコンテナ1の周囲に粉粒体が飛散することになる。
【0044】
排出スカート5に通気部8を設けると、排出スカート5の内側に流れ込んだ空気は、通気部8から排出スカート5の外側に排気され、排出スカート5の内側の気圧が高くなることを抑制できる。したがって、排出スカート5の内側の空気が裾部5aを押し開くことを抑制でき、粉粒体の飛散を抑制できる。
【0045】
図7の(a)は、着脱可能に備わる通気性部材を示す図、(b)は、蓋状に備わる通気性部材を示す図である。
図7の(a)に示すように、着脱可能に、排出スカート5に備わる通気性部材8bによって、通気部8を設ける構成であってもよい。排出スカート5に、例えば矩形の通気穴8cを形成し、通気穴8cの周囲には、ファスナや面ファスナなどからなる取り付け部材8dを備える。通気性部材8bは、通気穴8cを覆う大きさで、周囲に排出スカート5の取り付け部材8dに対応する取り付け部材8bを備える。
【0046】
そして、通気性部材8bの取り付け部材8bと排出スカート5の取り付け部材8dを互いに係合させて、通気性部材8aを排出スカート5に取り付け、通気部8を構成する。
この構成によって、仮に通気性部材8bが目詰まりした場合であっても、通気性部材8bを容易に交換することができ、通気部8は、排出スカート5の内側の空気を外側に排気する性能を維持できるという優れた効果を奏する。
【0047】
なお、排出スカート5の取り付け部材8d及び通気性部材8bの取り付け部材8bを、例えば樹脂からなる枠状の部材とし、図示しないねじ等の締結部材で、通気性部材8bの取り付け部材8bを排出スカート5の取り付け部材8dに締結固定する構成であってもよい。
また、通気穴8cの形状及び通気性部材8bの形状は矩形に限定されず、例えば円形であってもよい。
【0048】
さらに、図7の(b)に示すように、通気性部材8eが、蓋状に排出スカート5に備わって、通気部8を設ける構成であってもよい。排出スカート5に、例えば矩形の通気穴8cを形成し、通気穴8cの周囲には、ファスナや面ファスナなどからなる取り付け部材8dを備える。通気性部材8eは、通気穴8cを覆う大きさで、周囲に排出スカート5の取り付け部材8dに対応する取り付け部材8eを備える。そして、通気性部材8eの一端(例えば上端)を、融着や縫合などによって排出スカート5に固定する。
【0049】
通気性部材8eが通気穴8cを閉じたとき、排出スカート5の取り付け部材8dと通気性部材8eの取り付け部材8eが係合して、通気性部材8eを排出スカート5に固定する。
この構成によると、例えば、通気性部材8eを頻繁に開閉しても、通気性部材8eが無くならず、例えば、通気部8を作業用窓として利用することができる。
【0050】
なお、排出スカート5の内側の空気を外側に排気する必要がない場合、通気性部材8eに代えて、排出スカート5を形成する基布と同じ素材からなる蓋部材で作業用窓を構成してもよい。
【0051】
以上のように、本実施形態に係るフレキシブルコンテナは、粉粒体の保管及び輸送に用いられるフレキシブルコンテナであって、粉粒体を排出する時に、粉粒体が飛散することを好適に防止できる。したがって、周囲環境に飛散させたくない粉粒体を保管及び輸送する場合にも、本実施形態に係るフレキシブルコンテナを使用できる。
また、粉粒体が周囲環境に飛散することによる粉塵爆発の危険性を排除することができる。
このように、本実施形態に係るフレキシブルコンテナは、粉粒体の飛散を効果的に抑制できることから、プラスチックパウダ、コンクリート等の粉粒体のほか、貴金属や希土類元素などの粉粒体も収容できる。
【0052】
なお、本実施形態に係る排出スカート5(図1参照)は、形状や接合位置を変更することができる。
図8の(a)は円筒形の排出スカートを示す図、(b)は、排出スカートを底面に取り付けたことを示す図、(c)は、排出スカートを排出筒に取り付けたことを示す図である。
【0053】
例えば、図8の(a)に示すように、排出筒4より径の大きい円筒形の排出スカート5であってもよい。この場合、排出スカート5は、排出筒4の外側を覆うように底面3に接合される構成が好適である。
また、図8の(b)に示すように、例えば裾広がりに形成される排出スカート5を、底面3に接合する構成であってもよいし、図8の(c)に示すように、裾広がりに形成される排出スカート5を、排出筒4に接合する構成であってもよい。
このような構成であっても、排出スカート5の裾部5aを円周方向に弾性収縮する伸縮部7を設けることで、例えば図1の(a)に示す排出スカート5と同等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】(a)は、本実施形態に係るフレキシブルコンテナの構造を示す一部破断図、(b)は、裾部の拡大図である。
【図2】伸縮部の構成を示す図であって、(a)は、裾部に弾性部材を取り付ける構成例を示す図、(b)は、袋状の裾部に弾性部材を通す構成例を示す図、(c)は、裾部の一部に伸縮部を備える構成例を示す図である。
【図3】フレキシブルコンテナに収容される粉粒体を収納庫に移す状態を示す図である。
【図4】(a)は、図3におけるX1−X1断面図、(b)は、図4の(a)におけるA1部拡大図である。
【図5】(a)は、胴体部に伸縮部を設ける排出スカートを示す図、(b)は、排出スカートを収納庫の投入口にかぶせた状態を示す断面図である。
【図6】(a)は、通気部を設けた排出スカートを示す図、(b)は、通気部を設けた排出スカートが取り付けられたフレキシブルコンテナの粉粒体を収納庫に収納する状態を示す断面図である。
【図7】(a)は、着脱可能に備わる通気性部材を示す図、(b)は、蓋状に備わる通気性部材を示す図である。
【図8】(a)は円筒形の排出スカートを示す図、(b)は、排出スカートを底面に取り付けたことを示す図、(c)は、排出スカートを排出筒に取り付けたことを示す図である。
【符号の説明】
【0055】
1 フレキシブルコンテナ
2 本体
3 底面
3a 排出口
3b 接合部
4 排出筒
5 排出スカート
5a 裾部
5c 弾性部材
5d 胴体部
7 伸縮部
8 通気部
8a、8b、8e 通気性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体の底面に開口する排出口と連通し、下方に延出する排出筒と、
前記排出筒を外側から覆う排出スカートと、を有するフレキシブルコンテナであって、
前記排出スカートは柔軟性を有し、裾部の少なくとも一部に伸縮部を設けて前記裾部を円周方向に弾性収縮し、前記裾部を半径方向に縮まった状態に維持していることを特徴とするフレキシブルコンテナ。
【請求項2】
前記伸縮部を前記排出スカートの胴体部に設け、前記胴体部の少なくとも一部を円周方向に弾性収縮し、半径方向に縮まった状態に維持していることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルコンテナ。
【請求項3】
前記伸縮部は、前記排出スカートを円周方向に弾性収縮する弾性部材を、前記排出スカートに取り付けて構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフレキシブルコンテナ。
【請求項4】
前記排出スカートの少なくとも一部に通気性部材を備え、前記排出スカートに通気部を設けることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のフレキシブルコンテナ。
【請求項5】
前記通気性部材は、前記排出スカートに着脱可能に備わることを特徴とする請求項4に記載のフレキシブルコンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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