説明

フレキシブルコンテナ

【課題】吊りベルト側とコンテナ本体側に配設された導電性線条体との間の電気的な結合を簡単な構成の付加だけで確実に行うことができるようにし、高い帯電防止性能を有するフレキシブルコンテナの提供。
【解決手段】第1の導電性線条体4が配設されたコンテナ本体2と第2の導電性線条体5が配設された吊りベルト3とが電気的に結合するように縫合糸を用いて縫製してなるフレキシブルコンテナであって、吊りベルト3は第2の導電性線条体5がベルト本体の表面に露出する線条体露出部を有すると共に、線条体露出部とベルト本体との間に導電性を有する樹脂製帯状体からなる挟み込み部材6が第2の導電性線条体5の長さ方向と交差する方向に長く延びるように介装されており、コンテナ本体2と吊りベルト3とは挟み込み部材6が介装されている面をコンテナ本体2側に向け、且つ、挟み込み部材6の少なくとも一部がコンテナ本体2の前記第1の導電性線条体4と重なり合うように接合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルコンテナに関し、詳しくは、静電気の帯電を防止するフレキシブルコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、合成樹脂ペレット、セメント等の粉粒体の移送には、熱可塑性合成樹脂製の布状体で構成されたフレキシブルコンテナが広く使用されている。
【0003】
フレキシブルコンテナは、布状体で形成された袋本体の下部又は下部と上部に移送物を充填、排出するための開口部が形成され、上部には吊りベルトが取り付けられてクレーンのフック等の吊り上げ治具で吊り上げて作業ができるように形成されており、フレキシブルコンテナは、可撓性の布状体であることから、軽量で、強靭であり、衝撃に強い特徴を有する。
【0004】
しかし、粉粒体の投入時、あるいは排出時においては、粉粒体間、あるいは、粉粒体とフレキシブルコンテナ間に摩擦が生じ、静電気が発生し易い問題がある。フレキシブルコンテナに静電気が発生すると、収容物がフレキシブルコンテナに貼り付いて落下せず、内部に残留するものが生じ、次の収容物に異物として混じることになり、商品の品質低下を招く原因となる。
【0005】
更に、静電気放電の際の火花に起因して、粉塵爆発等の災害を引き起こす恐れもある。
【0006】
従来、静電気対策用のフレキシブルコンテナとして、特許文献1には、導電性線状体が配設された布状体からなるコンテナ本体と、同様に導電性線条体が配設された布状体からなる吊りベルトとが縫製にて結合され、コンテナ本体の表面に露出する導電性線条体と吊りベルトの表面に露出する導電性線条体とが互いに接触して電気的に接合されるようにしたものが提案されている。このコンテナ本体の導電性線条体と吊りベルトの導電性線条体との間の電気的な結合を確実にするために、これらコンテナ本体と吊りベルトとの間に導電性シートを介装することが記載されている。
【0007】
また、特許文献2には、フレキシブルコンテナを構成する導電性基布間に、シート状の導電性織物若しくは編物又は導電性不織布を介装することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−252397号公報
【特許文献2】特開2008−265808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一般にフレキシブルコンテナは、コンテナ本体と吊りベルトとを縫合糸を用いてミシンによって縫製することによって一体化している。また、コンテナ本体自体も、布状体等を用いて袋状に縫製することによって形成している。静電気対策用のフレキシブルコンテナは、コンテナ全体に亘る導電性を確保する観点から、このような各縫製部位において導電性線条体同士の確実な電気的結合が必要とされるが、導電性線条体同士の接触では線と線との接触となって確実な電気的結合を得ることが難しい。特許文献1、2では、縫製部位に導電性シート状体を挟むことで、線と面との接触を行うようにしているが、単に導電性シート状体を介装して線と面との接触を図っても、特にコンテナ本体と吊りベルトとの縫製部位では、次のような理由によって信頼性の高い電気的結合を得ることが困難であった。
【0010】
すなわち、吊りベルトは、大きな吊り上げ荷重に耐え得るだけの高い機械的強度が要求されることから、一般に柔軟なコンテナ本体に比べて肉厚、嵩高で剛性を有している。このため、それ自体はコンテナ本体や導電性シート状体に対して馴染みにくい。特に、吊りベルトがフラットヤーンからなる線条体を用いて織成された布状体からなるものである場合、その表面は織目によって大きな凹凸状となるため、この吊りベルトに配設された導電性線条体は表面の凹凸に埋もれてしまってコンテナ本体側の導電性線条体との密着を図ることが難しい。たとえ間に導電性シート状体を介装したとしても、コンテナ本体の側面は比較的平坦であるのに対し、吊りベルトの表面は大きな凹凸状であるため、導電性シート状体がコンテナ本体の表面に追従した場合は吊りベルトの表面に追従し難く、一方、吊りベルトの表面に追従した場合はコンテナ本体の表面に追従し難くなり、いずれにしても両者の間で確実な密着状態を得ることが難しかった。
【0011】
また、吊りベルトは幅広に形成され、そこに配設される導電性線条体もベルト幅方向に複数並設されるものが一般的である。フレキシブルコンテナの確実な帯電防止を図るには、吊りベルトに配設される複数本の導電性線条体の全てがコンテナ本体側の導電性線条体又は導電性シート状体と確実に密着して電気的結合を行う必要があるが、上述したように、コンテナ本体側の導電性線条体や導電性シート状体との間の密着性の困難さから、吊りベルト側の全ての導電性線条体を確実にコンテナ本体側の導電性線条体と電気的結合させることは困難であった。
【0012】
そこで、本発明の課題は、吊りベルト側に配設された導電性線条体とコンテナ本体側に配設された導電性線条体との間の電気的な結合を、簡単な構成の付加だけで確実に行うことができるようにし、高い帯電防止性能を有するフレキシブルコンテナを提供することにある。
【0013】
本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0015】
(請求項1)
第1の導電性線条体が配設された熱可塑性樹脂製のコンテナ本体と、第2の導電性線条体が長さ方向に沿うように配設された熱可塑性樹脂製の吊りベルトとを、前記第1の導電性線条体と前記第2の導電性線条体とが電気的に結合するように縫合糸を用いて縫製してなるフレキシブルコンテナであって、
前記吊りベルトは、前記第2の導電性線条体がベルト本体の表面に露出する線条体露出部を有すると共に、前記線条体露出部と前記ベルト本体との間に、導電性を有する樹脂製帯状体からなる挟み込み部材が、前記第2の導電性線条体の長さ方向と交差する方向に長く延びるように介装されており、
前記コンテナ本体と前記吊りベルトとは、前記挟み込み部材が介装されている面を前記コンテナ本体側に向け、且つ、該挟み込み部材の少なくとも一部が前記コンテナ本体の前記第1の導電性線条体と重なり合うように接合されていることを特徴とするフレキシブルコンテナ。
【0016】
(請求項2)
第1の導電性線条体が配設された熱可塑性樹脂製のコンテナ本体と、第2の導電性線条体が長さ方向に沿うように配設された熱可塑性樹脂製の吊りベルトとを、前記第1の導電性線条体と前記第2の導電性線条体とが電気的に結合するように縫合糸を用いて縫製してなるフレキシブルコンテナであって、
前記吊りベルトは、前記第2の導電性線条体がベルト本体の表面に露出する線条体露出部を有すると共に、前記線条体露出部と前記ベルト本体との間に、導電性を有する樹脂製帯状体からなる挟み込み部材が、前記第2の導電性線条体の長さ方向と交差する方向に長く延びるように介装されており、
前記コンテナ本体と前記吊りベルトとは、前記挟み込み部材が介装されている面を前記コンテナ本体側に向け、且つ、前記コンテナ本体と前記吊りベルトとの間に、前記第1の導電性線条体と前記挟み込み部材とに重なり合うように導電性シート状体を挟んで接合されていることを特徴とするフレキシブルコンテナ。
【0017】
(請求項3)
前記導電性シート状体は、樹脂製の導電性線条体を用いて形成された織布、編布又は不織布からなる布状体であることを特徴とする請求項2記載のフレキシブルコンテナ。
【0018】
(請求項4)
前記第2の導電性線条体は、前記ベルト本体の長さ方向に沿って複数本平行に配設されており、
前記挟み込み部材は、全ての前記第2の導電性線条体の前記線条体露出部に亘って前記ベルト本体との間に共通に介装されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載のフレキシブルコンテナ。
【0019】
(請求項5)
前記吊りベルトは、前記第2の導電性線条体の長さ方向に沿って間隔をおいて複数個所の前記線条体露出部を有しており、該複数の線条体露出部と前記ベルト本体との間に前記挟み込み部材がそれぞれ個別に介装されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフレキシブルコンテナ。
【0020】
(請求項6)
前記挟み込み部材は、シート状体が1回又は複数回折り畳まれて帯状に形成され、その復元力によって前記第2の導電性線条体を前記ベルト本体から持ち上げるように付勢してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフレキシブルコンテナ。
【0021】
(請求項7)
前記挟み込み部材は、中空の管状体からなり、前記線条体露出部と前記ベルト本体との間に介装されることによって押し潰されて帯状に形成され、その復元力によって前記第2の導電性線条体を前記ベルト本体から持ち上げるように付勢してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフレキシブルコンテナ。
【0022】
(請求項8)
前記挟み込み部材の幅は、前記線条体露出部と前記ベルト本体との間に介装された状態で、前記縫合糸の縫製ピッチよりも大きいことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のフレキシブルコンテナ。
【0023】
(請求項9)
前記吊りベルトは、熱可塑性樹脂製線条体を少なくとも前記ベルト本体の長さ方向に沿う方向に使用して織成されてなり、
前記第2の導電性線条体は、前記ベルト本体の表裏に交互に露出して前記線条体露出部を形成するように一体に織り込まれていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のフレキシブルコンテナ。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、吊りベルト側に配設された導電性線条体とコンテナ本体側に配設された導電性線条体との間の電気的な結合を、簡単な構成の付加だけで確実に行うことができるようになり、高い帯電防止性能を有するフレキシブルコンテナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係るフレキシブルコンテナの一例を示す斜視図
【図2】コンテナ本体を構成する布状体の一例を示す平面図
【図3】コンテナ本体を構成する布状体の一例を示す断面図
【図4】(a)〜(c)は布状体を構成する熱可塑性樹脂製線条体の断面図
【図5】吊りベルトを構成する布状体の一例を示す断面図
【図6】導電性線条体が配設された吊りベルトの一部分を示す斜視図
【図7】導電性線条体が配設された吊りベルトの一部分を示す断面図
【図8】コンテナ本体と吊りベルトとの接合部を示す正面図
【図9】コンテナ本体と吊りベルトとの接合部を示す断面図
【図10】(a)〜(c)は挟み込み部材の他の態様を示す断面図
【図11】(a)(b)は挟み込み部材の更に他の態様を示す斜視図
【図12】複数の挟み込み部材を介装した吊りベルトを示す斜視図
【図13】コンテナ本体と複数の挟み込み部材を介装した吊りベルトとの接合部を示す正面図
【図14】コンテナ本体と吊りベルトの間に更に導電性シート状体を介装した態様を示す接合部の正面図
【図15】コンテナ本体と吊りベルトの間に更に導電性シート状体を介装した他の態様を示す接合部の正面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0027】
図1は、本発明に係るフレキシブルコンテナの一例を示す斜視図である。
【0028】
図1において、1はフレキシブルコンテナである。フレキシブルコンテナ1は、コンテナ本体2と、該コンテナ本体2を吊り上げるための適宜数の吊りベルト3とを有している。
【0029】
コンテナ本体2は、熱可塑性樹脂製の布状体20によって、粉体、粒体等の収容物を収容するための角筒状、円筒状等の袋状に形成され、上部には収容物を充填するための充填口21と、下部には収容物を排出するための排出口22とがそれぞれ開閉可能に設けられている。
【0030】
コンテナ本体2を構成する布状体20は、熱可塑性樹脂製の線条体によって形成された可撓性を有するものであり、例えば、図2、図3に示すように、熱可塑性樹脂製の線条体20a、20bを経糸、緯糸に用いて織成された織布とすることができる。織り方は、一般には平織りとされるが、綾織り等であってもよい。また、熱可塑性樹脂製の線条体を用いて編成した編布であってもよい。ここでは平織りされた布状体20を示している。
【0031】
熱可塑性樹脂製の線条体20a、20bとしては、一軸延伸された熱可塑性樹脂のモノフィラメント、フラットヤーン、スプリットヤーン等を用いることができるが、中でもフラットヤーンが好ましい。
【0032】
線条体20a、20bとしては、図4(a)に示すように、結晶性樹脂の基層200の単層からなる単層体であってもよく、また、図4(b)に示すように、基層200の片面に接合層201が積層されたものであってもよく、また、図4(c)に示すように、基層200の両面に接合層201を積層したものであってもよい。中でも、図4(c)に示すように、テープ状の基層200の両面に低融点の接合層201を積層したものが好ましい。
【0033】
このような単層体または積層体における基層200を構成する熱可塑性合成樹脂としては、延伸効果の大きい樹脂、一般には結晶性樹脂が用いられ、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド等を用いることができる。
【0034】
中でも加工性と経済性からポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましい。特に、高密度ポリエチレンが好ましく、高密度ポリエチレンとしては、密度が0.930〜0.970g/cm、好ましくは0.940〜0.960g/cm、MFR(メルトフローレート)が0.2〜10.0g/10分、好ましくは0.3〜3.0g/10分のものが好ましい。
【0035】
接合層201は、熱可塑性樹脂製の線条体20a、20bが織成されて布状体とされた後、線状体20a、20b間を接合し、あるいは布状体に積層される後述する熱可塑性樹脂層20cとの間を接合するもので、基層200を構成する合成樹脂より融点が低く、熱融着性の優れた合成樹脂が用いられる。
【0036】
具体的には、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、アクリル樹脂等の合成樹脂から基層200を構成する合成樹脂より融点の低い合成樹脂を選択して用いられる。
【0037】
基層200あるいは接合層201として用いられる合成樹脂には、目的に応じて各種の添加剤を添加することができる。
【0038】
具体的には、有機リン系、チオエーテル系等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系等の光安定剤;ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系等の紫外線吸収剤;帯電防止剤;ビスアミド系、ワックス系、有機金属塩系等の分散剤;アミド系、有機金属塩系等の滑剤;含臭素有機系、リン酸系、三酸化アンチモン等の難燃剤;有機顔料;無機顔料;無機充填剤、有機充填剤;金属イオン系などの無機、有機抗菌剤等が挙げられる。
【0039】
これら添加剤は、適宜組み合わせて、基層200や接合層201の材料組成物を製造するいずれかの工程で配合される。添加剤の配合は、従来の公知の二軸スクリュー押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロール等の混練装置を用いて所定割合に混合して、これを溶融混練して調製してもよいし、高濃度のいわゆるマスターバッチを作製し、これを希釈して使用するようにしてもよい。
【0040】
線条体20a、20bとして基層200と接合層201の積層体が使用される場合、成形材料となる積層フィルムを成形する手段としては、予め基層200となるフィルムと接合層201となるフィルムを形成してドライラミネート法や熱ラミネート法を用いて複層化する手段や、基層200となるフィルムの表面に接合層201となる合成樹脂をコーティングする方法、予め形成した基層200となるフィルムに接合層201を押出ラミネートする方法、あるいは、多層共押出法によって積層フィルムとして押出成形するなどの公知の手段から適宜選択して用いることができる。中でも、成形の容易さやコスト面、並びに、製品の各層間の接着性の点では、多層共押出法によって基層200と接合層201の積層体を一段で得る方法が好ましい。
【0041】
また、延伸して線条体20a、20bとする手段としては、単層体の場合は公知の方法で行うことができ、積層体の場合は、基層200となるフィルムを一軸方向に延伸した後、接合層201となる合成樹脂を積層し、これをテープ状にスリットしてもよく、あるいは、基層200と接合層201が積層された積層フィルムをスリットする前、又は、スリットした後、一軸方向に延伸することによって得ることもできる。延伸倍率は通常3〜10倍程度とされる。
【0042】
線条体20a、20bの太さは特に制限はないが、一般には75〜10000dt(デシテックス)、糸幅が0.3〜30mmの範囲のフラットヤーンとすることができる。こうして得られた一軸延伸フラットヤーンは、縦方向に小さな切れ目を入れてスプリットヤーンとすることもできる。
【0043】
このような線条体20a、20bによって織成された布状体20には、その片面に、図3に示すように、熱可塑性樹脂製のフィルムからなる熱可塑性樹脂層20cを積層することもできる。この熱可塑性樹脂層20cは、本発明において必須のものではないが、この熱可塑性樹脂層20cによって布状体20の線条体20a、20b間の隙間が塞がれるため、熱可塑性樹脂層20cの積層面が内面となるようにしてコンテナ本体2を形成することにより、特に粉状物の収容に適したフレキシブルコンテナとすることができる。
【0044】
この熱可塑性樹脂層20cとして使用される樹脂としては、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミドを用いることができも中でも、ポリオレフィンが好ましい。ポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等の単独重合体、あるいはこれらを主成分とする共重合体を用いることができる。特に、メタロセン触媒を用いて重合されたポリオレフィン、好ましくはポリエチレン、ポリプロピリン、エチレン・α−オレフィン共重合体を用いることができる。
【0045】
布状体20に熱可塑性樹脂層20cを積層する方法は、公知の手段によって行うことがき、例えば布状体20の上に熱可塑性樹脂層20cを重ねて熱ロールを用いて熱圧着する方法、布状体20の上に熱可塑性樹脂層20cをフィルム状に押出して押出しラミネートする方法、熱可塑性樹脂層20cをホットメルト剤等の接着剤によって接着する方法等を採用することができる。
【0046】
この熱可塑性樹脂層20cの厚さは任意に選択できるが、一般には30〜700μm、好ましくは30〜500μm、更に好ましくは30〜600μmとされる。
【0047】
コンテナ本体2の布状体20には、図1、図2に示すように、縦方向及び横方向に亘って延びる多数本の第1の導電性線条体4が、縦方向及び横方向にそれぞれ所定の間隔をおいて配設されている。
【0048】
第1の導電性線条体4としては、アルミニウム、銅、鉄、ステンレススチール等の金属線、導電性の熱可塑性樹脂製の線条体等、一定の導電性を示し、コンテナ本体2の膨張や折り畳みに追従可能な線条体であればよい。
【0049】
導電性の熱可塑性樹脂製の線条体としては、カーボンブラック、グラファイト、銅、真鍮、青銅、鉄、アルミニウム等の粉体を混練した熱可塑性樹脂を用いて形成された線条体とすることができる。導電性としては、表面抵抗が1010Ω/□以下、好ましくは10Ω/□以下であるものが用いられる。具体的な熱可塑性樹脂としては、布状体20を構成する非導電性の線条体20a、20bと同一のものを用いることができる。
【0050】
第1の導電性線条体4の断面形状は特に制限はなく、テープ状、丸形状、長円形等とすることができるが、線条体20a、20bと同様のフラットヤーンからなる細幅のテープ状であることが好ましい。幅あるいは直径は3μm〜10mm程度、厚みは3μm〜30μm程度とすることができる。
【0051】
フラットヤーンからなる第1の導電性線条体4とする場合は、図4(c)に示す線条体の表面層となる接合層201のみを導電性樹脂とし、中央の基層200には導電性を付与させず、この基層200を例えば高密度ポリエチレン等によって形成して芯材とし、線条体としての強度を保つようにすることが好ましい。
【0052】
この第1の導電性線条体4は、コンテナ本体2の全面に亘って多数本が布状体20に配設される。具体的な配設方法としては、織成又は編成後の布状体20に対して、後作業として、第1の導電性線条体4が表裏に交互に露出するように縫い込むようにしてもよいが、図2に示すように、布状体20を構成する一部の線条体20a、20bの代わりに経糸及び緯糸として用いることにより、線条体20a、20bと共に一度に布状体20を織成又は編成することが好ましい。
【0053】
布状体20に配設された縦横の各第1の導電性線条体4、4同士は、図2に示すように、少なくとも交差する交差部位4aにおいて直に接触して接合されることで電気的に結合されている。
【0054】
第1の導電性線条体4同士の間隔は、コンテナ本体2のサイズにもよるが、縦横に5〜150mm程度とすることが好ましい。また、第1の導電性線条体4は、コンテナ本体2の縦横に均等ピッチで格子状に配設するものに限らず、縦横のピッチがそれぞれ異なるように配設してもよい。
【0055】
吊りベルト3は、ベルト本体30が、図5に示すように、熱可塑性樹脂製の線条体30a、30bを用いて織成又は編成された布状体からなる所定幅の帯状体であり、コンテナ本体2の側面上部に両端が縫合されることによって、コンテナ本体2の上部に、吊り上げ治具(図示せず)等を用いて吊り上げる際の吊り輪部3Aを形成している。
【0056】
ベルト本体30を構成する布状体は、収容物が充填されたコンテナ本体2の吊り上げ荷重に十分耐え得るだけの機械的強度、特に引張強度を有するものであり、熱可塑性樹脂製の線条体30a、30bを用いて、コンテナ本体2を構成する布状体20よりも肉厚、嵩高で剛性を有するように形成されている。
【0057】
ここでは、熱可塑性樹脂製の線条体30aとして一軸延伸されたフラットヤーンを使用し、これを吊りベルト3の長さ方向に沿う方向の糸(経糸)とし、熱可塑性樹脂製の線条体30bとしてマルチフィラメントを使用し、これを吊りベルト3の長さ方向と直交する幅方向の糸(緯糸)として使用して織成している。
【0058】
熱可塑性樹脂製の線条体30aとしては、コンテナ本体2の布状体20に使用される線条体20a、20bと同様の一軸延伸された熱可塑性樹脂の基層の単層体又は基層と接合層との積層体からなるフラットヤーンとすることができる。
【0059】
線条体30aの太さは特に制限はないが、一般には75〜10000dt、糸幅が0.3〜30mmの範囲のフラットヤーンとすることが好ましく、特に、機械的強度の高い肉厚で嵩高な吊りベルト3とするためには、このようなフラットヤーンを複数本重ね合せて集束し、1本の線条体3aを形成することが好ましい。織成する場合の織り方は平織り、綾織りとすることができるが、特にベルト本体30を形成した時の厚みが3mm以上の肉厚で嵩高なものとなるように綾織りすることが好ましい。
【0060】
吊りベルト3としての帯幅は、コンテナ本体2のサイズにもよるが、一般には40〜100mm程度とされる。
【0061】
吊りベルト3には、図1、図6に示すように、第2の導電性線条体5が、長さ方向の少なくとも一部がベルト本体30の表面(コンテナ本体2と接合される面)に露出するように、該吊りベルト3の長さ方向に沿って配設されている。
【0062】
第2の導電性線条体5としては、第1の導電性線条体4と同一構成とすることができる。すなわち、アルミニウム、銅、鉄、ステンレススチール等の金属線、導電性の熱可塑性樹脂製の線条体等、一定の導電性を示すものであればよいが、ベルト本体30の伸びに追従可能な線条体であることが好ましく、具体的には、ベルト本体30が伸びた際に破断することがなく、ベルト本体30の破断伸度よりも大きな破断伸度を有するものであることが好ましい。このため熱可塑性樹脂製の導電性線条体とすることが好ましい。
【0063】
熱可塑性樹脂製の導電性線条体としては、カーボンブラック、グラファイト、銅、真鍮、青銅、鉄、アルミニウム等の粉体を混練した熱可塑性樹脂を用いて形成された線条体とすることができる。導電性としては、表面抵抗が1010Ω/□以下、好ましくは10Ω/□以下であるものが用いられる。また、熱可塑性樹脂としては、布状体20を構成する線条体20a、20bと同一のものを用いることができる。
【0064】
第2の導電性線条体5は、ベルト本体30を構成する線条体30aと同様の一軸延伸されたフラットヤーンの他、一軸延伸されたモノフィラメントとすることもできる。第2の導電性線条体5の太さは、75〜10000dt程度が好ましく、複数本のフラットヤーン又はモノフィラメントを重ね合せて束ねて1本としたものを使用することが好ましい。
【0065】
ここで、吊りベルト3の長さ方向に沿って複数本(図示例では3本)の第2の導電性線条体5が並列するように配設された好ましい態様を示しているが、第2の導電性線条体5の配設本数は特に問わない。
【0066】
第2の導電性線条体5は、織成又は編成後のベルト本体30に後作業として縫い込むことによって配設してもよいが、ベルト本体30を織成又は編成する際に同時に織り込むことによって、ベルト本体30の表裏に交互に露出するように配設されることが好ましい。これにより、図6に示すように、ベルト本体30の一方の面のみを見た場合、第2の導電性線条体5の線条体露出部5aが吊りベルト3の長さ方向に沿って点線状に現われる。なお、図6では布状体からなるベルト本体30を簡略化して示している。
【0067】
ベルト本体30の長さ方向に沿う一つの線条体露出部5aの長さは、後述する挟み込み部材6の挟み込みが容易且つ確実となるように、5mm〜20mm程度となるように形成することが好ましい。第2の導電性線条体5をベルト本体30を織成する際に同時に織り込む場合は、第2の導電性線条体5の線条体30b(緯糸)に対する飛び数を適宜選択することによって、線条体露出部5aを所望の長さとすることができる。この第2の導電性線条体5の線条体30b(緯糸)に対する飛び数は、線条体30a(経糸)の飛び数よりも大きいものとされる。
【0068】
この線条体露出部5aは、3本の第2の導電性線条体5の並設方向で同一位置に配置されており、並設方向の3つの線条体露出部5aを一組として、該線条体露出部5aの組が吊りベルト3の長さ方向に沿い、該吊りベルト3の全長に亘って点線状に連続して多数配設されている。
【0069】
コンテナ本体2の側面に対して接合される吊りベルト3の接合端部領域3B(図1)において、第2の導電性線条体5の線条体露出部5aの組の少なくとも一つの組には、導電性を有する樹脂製の挟み込み部材6が、並列する全ての第2の導電性線条体5の線条体露出部5aに亘り、該第2の導電性線条体5の長さ方向と交差する方向に長く延びるように、第2の導電性線条体5とベルト本体30との間に共通に介装されている。
【0070】
挟み込み部材6は導電性を有する樹脂製帯状体である。この挟み込み部材6が、並列する線条体露出部5aに亘ってベルト本体30の表面との間に介装されることで、第2の導電性線条体5をベルト本体30表面の凹凸に埋もれさせることなく、且つ、並設される各第2の導電性線条体5相互間を電気的に結合する。これにより、各第2の導電性線条体5の線からなる導電部位を帯状体からなる挟み込み部材6による面からなる導電部位とすることができる。しかも、吊りベルト3がコンテナ本体2と接合されると、並列される3本の線条体露出部5aの全てが、コンテナ本体2と挟み込み部材6との間に挟まれて圧接される形となるため、第2の導電性線条体5と挟み込み部材6とはより密着することとなり、両者間の電気的結合をより確実なものとすることができる。
【0071】
導電性を有する挟み込み部材6は、第2の導電性線条体5と同様にして、カーボンブラック、グラファイト、銅、真鍮、青銅、鉄、アルミニウム等の粉体を混練した熱可塑性樹脂を用いて形成することができる。挟み込み部材6は、このような導電性を有する熱可塑性樹脂を用いて所定厚みのフィルム状に形成されたシート状体であってもよいし、導電性を有する熱可塑性樹脂からなるフラットヤーンを経緯に使用して織成された布状体からなるシート状体であってもよい。また、布状体の片面又は両面に、導電性を有する熱可塑性樹脂からなるフィルムを積層することによって表面に導電性が付与されたものであってもよい。
【0072】
挟み込み部材6における第2の導電性線条体5の長さ方向と直交する方向の幅W(図7)は、線条体露出部5aとベルト本体30との間に挿入し得るように、5mm〜20mm程度とすることができる。
【0073】
挟み込み部材6は、第2の導電性線条体5をベルト本体30の表面から持ち上げる方向にある程度の付勢力を及ぼし得るものであることが好ましい。例えば、図6、図7に示すように、シート状体を長さ方向に沿う折り目6aに沿って1回折り畳んで二つ折りにした断面V字状の挟み込み部材6とし、その折り目6aの延在方向が第2の導電性線条体5の長さ方向と交差するように介装することができる。
【0074】
このような挟み込み部材6は、樹脂シート自体の弾性復元力によって折り目6aが開く方向に付勢力が働くので、挟み込み部材6が介装された第2の導電性線条体5の線条体露出部5aは、図7に示すようにベルト本体30の表面から高く突出するように持ち上げられ、ベルト本体30表面の凹凸に埋もれてしまうことがないので、後述するように、この吊りベルト3がコンテナ本体2に接合された際に、コンテナ本体2側の第1の導電性線条体4と確実に接触させることができ、両者の確実な電気的な結合状態を得ることができるようになる。
【0075】
この第2の導電性線条体5の線条体露出部5aの突出高さhは、コンテナ本体2側の第1の導電性線条体4との確実な電気的結合を行う観点から、コンテナ本体2への接合前の状態で、ベルト本体30の最表面から1mm〜5mm程度が好ましい。
【0076】
また、挟み込み部材6の長さ(吊りベルト3の幅方向の長さ)は、少なくとも3本の第2の導電性線条体5に亘る長さであればよいが、図6に示すように、ベルト本体30の幅方向よりも長尺に形成して側方にはみ出すように形成してもよい。これにより、吊りベルト3をコンテナ本体2に接合する際、挟み込み部材6によって線条体露出部5aが持ち上げられている部位を外側から容易に確認することができ、コンテナ本体2側の第1の導電性線条体4、特にコンテナ本体2の横方向に沿って配設されている第1の導電性線条体4との位置合わせが容易となるため、縫製時に位置合わせを行う場合であっても、作業性の低下を招くおそれはない。
【0077】
挟み込み部材6をはみ出させる場合は、図示するようにベルト本体30の両側にはみ出させるものに限らず、いずれか一方の側のみにはみ出させるようにしても同様の効果を得ることができる。
【0078】
挟み込み部材6を線条体露出部5aとベルト本体30との間に介装させる手段としては、ベルト本体30の片面の所定位置に予め挟み込み部材6を配置しておき、第2の導電性線条体5が挟み込み部材6の上を跨ぐように織り込み又は縫い込みするようにしてもよいし、第2の導電性線条体5が配設された後のベルト本体30の一組の線条体露出部5aに亘って、後作業として横方向から挿入するようにしてもよい。
【0079】
このようにして形成された吊りベルト3は、図8、図9に示すように、両接合端部領域3Bを、挟み込み部材6が介装されている面がコンテナ本体2の側面に配置されるようにして所定部位に添設した後、縫合糸7によって縫合される。ここでは、コンテナ本体2側の横方向(図示左右方向)に延びる第1の導電性線条体4が、縦方向(図示上下方向)に所定間隔で多数配設されており、吊りベルト3は、挟み込み部材6が横方向に延びるいずれかの第1の導電性線条体4の位置に重なり合うように接合されている。この挟み込み部材6も横方向に延びていると共にその両端は吊りベルト3の幅よりも突出しているので、この位置合わせは極めて容易である。
【0080】
この接合時、挟み込み部材6によって持ち上げられた第2の導電性線条体5の線条体露出部5aは、コンテナ本体2に向けて大きく突出する形となるため、ベルト本体30が肉厚で嵩高に形成されていても、当該線条体露出部5aがコンテナ本体2の第1の導電性線条体4に対して大きく突出して接触することができる。
【0081】
そして、この状態で、コンテナ本体2と吊りベルト3とは、縫合糸7によって縫合される。この縫合糸7による縫合は、図8では縦方向、横方向及び斜め方向に行うようにしているが、少なくとも挟み込み部材6とコンテナ本体2側の第1の導電性線条体4との重合部を通過し得るように縫合される。これにより、第1の導電性部材4、挿み込み部材6及び第2の導電性部材5の線条体露出部5aが縫合糸7によって一体に締め付けられて緊密に密着するようになり、これらの間の電気的結合は確実なものとなる。
【0082】
挟み込み部材6の幅Wは、図8に示すように、線条体露出部5aとベルト本体30との間に介装された状態で、縫合糸7の縫製ピッチPよりも大きいことが好ましい。これにより、縫合糸7によって挟み込み部材6を縦断するように縦方向に縫合しても、縫合糸7は必ず挟み込み部材6の部位を貫通することになり、導電性の挟み込み部材6をコンテナ本体2の表面に確実且つ緊密に密着させることができる。
【0083】
なお、コンテナ本体2と吊りベルト3とは、更に、吊りベルト3の幅方向に亘って挟み込み部材6の長さ方向に沿うように、縫合糸7によって該挟み込み部材6の部位に集中的に縫合を行うようにして、電気的結合の更なる確実性を図るようにしてもよい。
【0084】
挟み込み部材6は、第2の導電性線条体5の線条体露出部5aに対して同様の付勢力を及ぼし得るものであれば、断面V字状に折り畳むものに限らず、例えば図10(a)に示すように、2箇所の折り目6a、6bを有する断面Z字状としてもよく、更に図10(b)に示すように、3箇所の折り目6a、6b、6cを有する断面W字状としてもよい。更に4箇所以上の蛇腹状に折り畳むようにしてもよいことはもちろんである。
【0085】
また、挟み込み部材6は、図10(c)に示すように、断面O字状となる中空円筒形状の管状体によって形成してもよい。このような管状体からなる挟み込み部材6であっても、線条体露出部5aとベルト本体30との間に介装されると、両者間に押し潰されて帯状の挟み込み部材6となり、それが管状に戻ろうとする復元力によって、線条体露出部5aを持ち上げるように付勢力を付与することができる。
【0086】
挟み込み部材6を折り畳みによって形成する場合、図11(a)に示すように、第2の導電性線条体5の長さ方向に沿う折り目6dによって挟み込み部材6自体の長さ方向に折り畳むようにしてもよい。折り畳み回数は複数回であってもよく、例えば図11(b)に示すように、二つの折り目6d、6eを形成したものとすることもできる。
【0087】
更に、挟み込み部材6は、図12に示すように、吊りベルト3においてコンテナ本体2と接合される接合端部領域3B内に、ベルト本体30に配設された第2の導電性線条体5の長さ方向に沿って間隔をおいて複数個所の線条体露出部5aを有する場合、該複数個所の線条体露出部5aのそれぞれとベルト本体30との間に個別に介装してもよい。これにより、コンテナ本体2側の第1の導電性線条体4との電気的結合をより一層確実なものとすることもできる。特に、図13に示すように、複数の挟み込み部材6の間隔を、コンテナ本体2の横方向に延びる第1の導電性線条体4の縦方向の間隔と等間隔となるように配設すると、各挟み込み部材6を第1の導電性線条体4とそれぞれ重なり合うように接合することができ、更に電気的結合の確実性を増すことができる。
【0088】
以上の説明では、コンテナ本体2と吊りベルト3とを直に接合させて縫合するようにしたが、両者間に更に導電性シート状体を挟むようにしてもよい。
【0089】
図14は、導電性シート状体8を更に介装してコンテナ本体2と吊りベルト3とを縫合した状態を示している。
【0090】
導電性シート状体8は、樹脂製の導電性線条体を用いて形成された柔軟なシート状体であり、第1の導電性線条体4と同様の導電性の熱可塑性樹脂製の線条体を用いて形成された織布、編布又は不織布からなる布状体の他、導電性樹脂フィルムを用いて形成されたシート状体を用いることもできる。特に、コンテナ本体2や吊りベルト3との追従性が良好な布状体からなる導電性シート状体が好ましい。
【0091】
導電性シート状体8は、吊りベルト3のコンテナ本体2と接合される接合端部領域3Bの全面と接するように介装することもできるが、図14に示すように、少なくとも挟み込み部材6とコンテナ本体2の第1の導電性線条体4との双方にそれぞれ重なり合うように介装すればよい。少なくとも挟み込み部材6と接触していれば、吊りベルト3に配設されている全ての第2の導電性線条体5との電気的結合を図ることができるためである。
【0092】
図14では、吊りベルト3の両側部に沿うように配設された2枚の帯状の導電性シート状体8を、コンテナ本体2の側面を縦方向に延びる第1の導電性線条体4に沿うように介装し、縫合糸7によって縫合した例を示している。縫合糸7は、縦方向に延びる第1の導電性線条体4の近傍、好ましくは該第1の導電性線条体4の真上に沿い、且つ、導電性シート状体8の長さ方向に沿うように縫製されている。
【0093】
導電性シート状体8は、コンテナ本体2と同様に柔軟性を有するため、コンテナ本体2の表面の撓みに容易に追従し、第1の導電性線条体4との密着を良好にすると同時に、挟み込み部材6とも良好に密着し、縫合糸7によって緊密に締め付けられて第1の導電性線条体4と第2の導電性線条体5との間の電気的結合を確実なものとする。
【0094】
しかも、このように導電性シート状体8を介装する場合、この導電性シート状体8を介してコンテナ本体2の第1の導電性線条体4と吊りベルト3の第2の導電性線条体5との電気的結合を行うので、必ずしも挟み込み部材6がコンテナ本体2の第1の導電性線条体4と重なり合っている必要はない。このため、吊りベルト3の接合作業において位置決めを行う手間を省くことができ、作業性が向上する。
【0095】
特に、図14に示すように、導電性シート状体8を挟みこみ部材6と直交するように縦方向に長く延びるように介装すると、コンテナ本体2の縦方向の長い距離に亘って挟み込み部材6との電気的結合を行うことができる。これは、例えばコンテナ本体2の第1の導電性線条体4が、図8に示したように横方向に延び、それが縦方向に所定間隔をおいて並設されるものである場合であっても、挟み込み部材6の位置合わせを行う必要なく、該挟み込み部材6を介して第2の導電性線条体5と第1の導電性線条体4との電気的結合を可能にする。
【0096】
なお、導電性シート状体8は、更に横方向に延びるように介装してもよいことはもちろんである。例えば図15に示すように、挟み込み部材6に沿って該挟み込み部材6と重なり合って密着するように横方向に延びる導電性シート状体8Aを介装し、更に、この導電性シート状体8Aとコンテナ本体2との間に、縦方向に延びる第1の導電性線条体4に沿うように縦方向に延びる導電性シート状体8Bを介装し、これらを一体に縫合糸7によって縫合することもできる。これによれば、比較的柔軟な導電性シート状体8A、8B同士の良好な密着によって電気的結合を図ることができるので、より確実な電気的結合を行うことができる。
【0097】
このようにしてコンテナ本体2に適宜数の吊りベルト3が接合されることによってフレキシブルコンテナ1が完成する。完成したフレキシブルコンテナ1は、収容物の充填又は排出の際等に、吊りベルト3にフック等の吊り上げ治具(図示せず)を引っ掛けた状態で収容物の充填、排出が行われる。この際、コンテナ本体2及び吊りベルト3に帯電した静電気を、コンテナ本体2の適宜の部位に設けられた導電性シート状体等からなる除電部9(図1参照)を介して逃がし、フレキシブルコンテナ1全体の帯電を防止することができ、高い帯電防止性能を得ることができる。
【符号の説明】
【0098】
1:フレキシブルコンテナ
2:コンテナ本体
20:布状体
20a、20b:線条体
20c:熱可塑性樹脂層
200:基層
201:接合層
21:充填口
22:排出口
3:吊りベルト
3A:吊り輪部
3B:接合端部領域
30a、30b:線条体
4:第1の導電性線条体
4a:交差部位
5:第2の導電性線条体
5a:線条体露出部
6:挟み込み部材
6a、6b、6c、6d、6e:折り目
7:縫合糸
8、8A、8B:導電性シート状体
9:除電部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電性線条体が配設された熱可塑性樹脂製のコンテナ本体と、第2の導電性線条体が長さ方向に沿うように配設された熱可塑性樹脂製の吊りベルトとを、前記第1の導電性線条体と前記第2の導電性線条体とが電気的に結合するように縫合糸を用いて縫製してなるフレキシブルコンテナであって、
前記吊りベルトは、前記第2の導電性線条体がベルト本体の表面に露出する線条体露出部を有すると共に、前記線条体露出部と前記ベルト本体との間に、導電性を有する樹脂製帯状体からなる挟み込み部材が、前記第2の導電性線条体の長さ方向と交差する方向に長く延びるように介装されており、
前記コンテナ本体と前記吊りベルトとは、前記挟み込み部材が介装されている面を前記コンテナ本体側に向け、且つ、該挟み込み部材の少なくとも一部が前記コンテナ本体の前記第1の導電性線条体と重なり合うように接合されていることを特徴とするフレキシブルコンテナ。
【請求項2】
第1の導電性線条体が配設された熱可塑性樹脂製のコンテナ本体と、第2の導電性線条体が長さ方向に沿うように配設された熱可塑性樹脂製の吊りベルトとを、前記第1の導電性線条体と前記第2の導電性線条体とが電気的に結合するように縫合糸を用いて縫製してなるフレキシブルコンテナであって、
前記吊りベルトは、前記第2の導電性線条体がベルト本体の表面に露出する線条体露出部を有すると共に、前記線条体露出部と前記ベルト本体との間に、導電性を有する樹脂製帯状体からなる挟み込み部材が、前記第2の導電性線条体の長さ方向と交差する方向に長く延びるように介装されており、
前記コンテナ本体と前記吊りベルトとは、前記挟み込み部材が介装されている面を前記コンテナ本体側に向け、且つ、前記コンテナ本体と前記吊りベルトとの間に、前記第1の導電性線条体と前記挟み込み部材とに重なり合うように導電性シート状体を挟んで接合されていることを特徴とするフレキシブルコンテナ。
【請求項3】
前記導電性シート状体は、樹脂製の導電性線条体を用いて形成された織布、編布又は不織布からなる布状体であることを特徴とする請求項2記載のフレキシブルコンテナ。
【請求項4】
前記第2の導電性線条体は、前記ベルト本体の長さ方向に沿って複数本平行に配設されており、
前記挟み込み部材は、全ての前記第2の導電性線条体の前記線条体露出部に亘って前記ベルト本体との間に共通に介装されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載のフレキシブルコンテナ。
【請求項5】
前記吊りベルトは、前記第2の導電性線条体の長さ方向に沿って間隔をおいて複数個所の前記線条体露出部を有しており、該複数の線条体露出部と前記ベルト本体との間に前記挟み込み部材がそれぞれ個別に介装されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフレキシブルコンテナ。
【請求項6】
前記挟み込み部材は、シート状体が1回又は複数回折り畳まれて帯状に形成され、その復元力によって前記第2の導電性線条体を前記ベルト本体から持ち上げるように付勢してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフレキシブルコンテナ。
【請求項7】
前記挟み込み部材は、中空の管状体からなり、前記線条体露出部と前記ベルト本体との間に介装されることによって押し潰されて帯状に形成され、その復元力によって前記第2の導電性線条体を前記ベルト本体から持ち上げるように付勢してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフレキシブルコンテナ。
【請求項8】
前記挟み込み部材の幅は、前記線条体露出部と前記ベルト本体との間に介装された状態で、前記縫合糸の縫製ピッチよりも大きいことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のフレキシブルコンテナ。
【請求項9】
前記吊りベルトは、熱可塑性樹脂製線条体を少なくとも前記ベルト本体の長さ方向に沿う方向に使用して織成されてなり、
前記第2の導電性線条体は、前記ベルト本体の表裏に交互に露出して前記線条体露出部を形成するように一体に織り込まれていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のフレキシブルコンテナ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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