説明

フレキシブルフラットケーブル

【課題】低い製造コストで製造することができ、接続信頼性が高く一方接続抵抗は低い接続端末を有するフレキシブルフラットケーブル、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】絶縁フィルム上に平板型の導体が、複数本並列して設けられている接続端末を有するフレキシブルフラットケーブルであって、前記導体の露出部が、導電性フィラーを20〜90重量%含有する導電性フィラー入りカーボンで被覆されていることを特徴とするフレキシブルフラットケーブル、及びその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続抵抗が低くかつ低コストで作製可能な端末接続部を有するフレキシブルフラットケーブル(FFC)に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルフラットケーブルとは、平板型の導体を複数本幅方向に平行に並べ絶縁体で被覆してなるリボン状の電線・ケーブルである。フレキシブルフラットケーブルは、断面円形の導体からなる電線に比較して薄くすることができ、可動部分や狭い場所での使用が容易である。又、容易に多芯化でき多芯を一括で接続できる。さらに、価格が安い等の利点もある。そこで、電気機器の小型化、電子部品や回路の高密度化の進行に伴い、薄く実装スペースをとらない配線材として広く用いられている。
【0003】
フレキシブルフラットケーブルは、複数本の平板型の導体を並列したものを2枚のリボン状の絶縁フィルム間に挟んで絶縁被覆した構造であるが、その端末部では、コネクタとの接続のため、一方の絶縁フィルムは取除かれており、他方の絶縁フィルム上に導体が露出している。図1(a)は、フレキシブルフラットケーブルの端末部(端末接続部)を示す斜視図であり、図3は、このフレキシブルフラットケーブルの端末部を、コネクタに接続する様子を示す斜視図である。図中、1は導体であり、2は絶縁フィルムであり、3は、ケーブルの端末部に剛性を付与してコネクタとの接続を容易にするために設けられた補強板であり、4はコネクタである。
【0004】
図1(a)に示されるように端末部では導体1は露出しているので、外気との接触による劣化が生じやすい環境にある。例えば、外気中の水及び湿気に曝され導体を形成する金属が水や湿気と反応し、生成された化合物がブリッジとなり各導体間が電気的に接続される所謂マイグレーションが生じやすくなる場合がある。
【0005】
そこで、端末部における導体の表面を、劣化しにくい金等の金属やカーボン等により被覆して外気による劣化の防止が図られている。例えば、特許文献1では、導体にカーボンペーストを重ね印刷することにより、端末部における導体のマイグレーションを抑制する方法が開示されている(段落0014)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−232011号公報(段落0014)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
金を導体に被覆する方法によれば、高温、高湿、低温などの厳しい環境下でも、外気による表面状態の劣化(腐食等)を防止することができる。その結果、安定的に電流が流れる状態を保つことができ、高い接続信頼性は得られる。しかし、製造コストが高いとの問題がある。一方、低価格の金属例えば錫の被覆では、接続信頼性が低いとの問題がある。特許文献1で開示されているカーボンペーストの重ね印刷等により導体をカーボンで被覆する方法によれば、製造コストは低く、高い接続信頼性も得られる。しかし、この方法によれば、接続部の電気抵抗(接続抵抗)が高くなるとの問題があった。
【0008】
本発明は、上記の従来技術の問題の解決を目的とし、低い製造コストで製造することができるとともに、接続抵抗は低くかつ接続信頼性は高い接続端末(コネクタと接続する端末部)を有するフレキシブルフラットケーブル、及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を達成するために鋭意検討した結果、フレキシブルフラットケーブルの接続端末の導体を特定組成の導電性フィラー入りカーボンで被覆することにより、低い製造コストで製造することができ、接続抵抗は低くかつ接続信頼性は高い接続端末を有するフレキシブルフラットケーブルが得られることを見出し、以下に示す構成からなる本発明を完成した。
【0010】
請求項1の発明は、絶縁フィルム上に平板型の導体が複数本並列して設けられている接続端末を有するフレキシブルフラットケーブルであって、前記接続端末の導体が、導電性フィラーを20〜90重量%含有する導電性フィラー入りカーボンで被覆されていることを特徴とするフレキシブルフラットケーブルである。
【0011】
ここで、フレキシブルフラットケーブルとは、前記のように、平板型の導体を複数本平行に並べ、2枚のリボン状絶縁フィルム間に挟み絶縁被覆した柔軟なケーブル・電線である。このフレキシブルフラットケーブルは、その端末でコネクタと接続され、コネクタを通して機器の回路と接続される。コネクタは、端末部の各導体に対応する位置に複数の電極を有し、端末部の各導体とコネクタの各電極がそれぞれ接触して接続される。そこで端末部では、導体を挟む2枚の絶縁フィルムの少なくとも1方は取り除かれて、導体が露出している。通常、この導体は、その位置を固定しスムーズな接続を達成するために、1枚の絶縁フィルム上に接着されている。
【0012】
本発明のフレキシブルフラットケーブルは、その端末部の導体の外気に露出している部分が、導電性フィラー入りカーボンで被覆されていることを特徴とする。導電性フィラー入りカーボンで被覆されているので、外気との接触による導体の劣化が防がれ、マイグレーション等の問題を抑制することができる。
【0013】
導電性フィラー入りカーボンは、金等の貴金属と比較して安価であり、後述するスクリーン印刷等の方法により容易に導体表面を被覆することができるので、金等の貴金属により導体を被覆する場合と比べて、端末部を低いコストで作製することができる。又、導電性フィラー入りカーボンの被覆はカーボンを含むので、それ自体も酸化や化学反応をしにくい。その結果、高い接続信頼性が得られる。一方、導電性フィラー入りカーボンの電気抵抗は、カーボン等と比べて小さいので、低い接続抵抗が達成される。
【0014】
導電性フィラー入りカーボンとは、樹脂中に、カーボン及び導電性フィラーが分散されているものである。導電性フィラー入りカーボンの被覆は、導電性フィラー入りカーボンペーストを被覆した後、焼成してペースト中の樹脂を硬化することにより得ることができる。導電性フィラー入りカーボンペーストとは、カーボンペースト中に導電性フィラーを分散させたものであり、カーボンペーストとは、黒鉛等のカーボン粒子をエポキシ等の樹脂中に分散させたものである。
【0015】
導電性フィラーとは、導電率1×10S/m以上のフィラーであり、好ましくは、導電率1×10S/m以上のフィラーである。
【0016】
導電性フィラーの含有量は、被覆を形成する導電性フィラー入りカーボンペースト中の5〜80重量%である。このペーストを用いることにより、全重量に対し20〜90重量%が導電性フィラーからなる被覆が得られる。導電性フィラーの含有量が、20重量%未満の場合は、接続抵抗が高くなり、本発明の目的が達成されない。90重量%を超える場合は、被覆の強度や硬度が低下し、挿抜繰返しによる表面損傷が生じやすくなり、被覆の剥がれが生じる場合もある。又、金属フィラーの場合は、マイグレーション等の劣化の問題が生じやすくなる。好ましくは、20〜70重量%の範囲であり、この範囲であれば、接続抵抗は充分低くなり、被覆の強度や硬度も好ましい範囲とすることができ、より優れた接続信頼性が得られる。
【0017】
請求項2の発明は、前記導電性フィラーが、銀、ニッケル、銀コート銅及びカーボンナノチューブからなる群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルフラットケーブルである。導電性フィラーとしては、金属フィラーやカーボンナノチューブ等の導電率の高いカーボンフィラーを挙げることができるが、被覆の劣化を抑制するためには、銀、ニッケル、銀コート銅等の金属フィラーやカーボンナノチューブが好ましく、これらから選ばれた1種のフィラーを単独で又は2種以上併用して用いることが好ましい。
【0018】
請求項3の発明は、導電性フィラー入りカーボンの被覆の厚さが1〜50μmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載ののフレキシブルフラットケーブルである。被覆の厚さが、厚すぎる場合は接続抵抗が高くなり、薄すぎる場合は、被覆の強度が低下して挿抜繰返しにより剥がれ等が生じやすくなる。厚さが1〜50μmであれば、本発明の目的を達成する低い接続抵抗となり、又充分な被覆の強度が得られる。被覆の厚さは、5〜20μmの範囲がより好ましく、接続抵抗及び被覆の強度ともより好ましい範囲とすることができる。
【0019】
請求項4の発明は、フレキシブルフラットケーブルの端末の導体を露出させ、露出した導体表面に、導電性フィラー入りカーボンペーストを印刷し、その後、端末部を焼成することを特徴とするフレキシブルフラットケーブルの製造方法である。
【0020】
端末の導体の露出は、導体を挟持する2枚の絶縁フィルムの1枚を剥離して取除くことにより行われる。導体の位置が固定されていないと、コネクタとの接続をスムーズに行いにくくなるので、露出された導体は、好ましくは接着剤等により他の絶縁フィルム上に固定されている。又、好ましくは、コネクタとの接続部分に剛性を与えて接続を容易にするため、端末部の絶縁フィルムの導体が保持されている面の反対側の面に補強フィルムが付着されている。
【0021】
導電性フィラー入りカーボンペーストの印刷は、例えば、孔版印刷、特にスクリーン印刷により行うことができる。孔版印刷の場合は、孔が開けられた孔版を、ペーストが付与される部分(すなわち、端末部に露出している導体)に孔が重なるように被せ、孔版の上(端末部に接する面とは反対側の面)からペーストを付与し、前記の孔からペーストを擦りつけることでペーストを転写する方法により行われる。スクリーン印刷の場合は、前記の版として、印刷に不要な個所を乳剤等で固めた(ペーストが透過しないようにされた)スクリーン(網)にペーストをのせ、スキージと呼ばれるゴムのヘラで擦る方法を挙げることができる。
【0022】
上記のようにして製造されたフレキシブルフラットケーブルは、その端末部でコネクタと接続され、そのコネクタに接続する回路間、電気機器間を導通する。このフレキシブルフラットケーブルは、可動部分や狭い場所での使用が容易であり、多芯を一括で接続でき薄く実装スペースをとらない配線材として好適に用いられる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のフレキシブルフラットケーブルは、接続抵抗は低くかつ接続信頼性が高いとともに、低い製造コストで製造することができる端末(接続端末)を有する。そこで、回路間、電気機器間の導通のために好適に使用される。又、このフレキシブルフラットケーブルは、本発明の製造方法により容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】フレキシブルフラットケーブルの端末部を示す図である。
【図2】本発明の製造方法の一工程を示す斜視図である。
【図3】フレキシブルフラットケーブルの端末部とコネクタとの接続を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明の範囲はこの形態に限定されるものではなく本発明の趣旨を損なわない範囲で種々の変更をすることができる。
【0026】
図1は、フレキシブルフラットケーブル10の端末部を示す図である。図1(a)は斜視図であり、(b)は、(a)に示されたA−Aにおける断面図である。
【0027】
図1中、1は、被覆された端末導体であり、2は絶縁フィルムであり、3は補強板であり、これらによりフレキシブルフラットケーブル10が構成されている。図1(b)に示されるように、端末導体1は、導体線12とそれを被覆する保護被覆11より構成されている。
【0028】
又、図1(a)に示されるように、導体線12は、2枚のリボン状の絶縁フィルム2により挟持されているが、端末部のB部では、1枚の絶縁フィルム2は取除かれており、端末導体1が他の1枚の絶縁フィルム2上に露出している。B部(すなわち露出部)では、導体線12は保護被覆11により被覆され、外気による劣化が防がれている。又、B部のみ、絶縁フィルム2の端末導体1とは反対側の面に補強板3が設けられている。
【0029】
図3は、図1のフレキシブルフラットケーブルの端末部とコネクタとの接続を示す斜視図である。図中の、1、2、3、10、12及びBは、図1の場合と同じ部材、部分を表わし、補強板3が(図中の)上側に、端末導体1が下側になるように配置されている。図3中の4はコネクタであり、41は、コネクタ4に設けられた複数の電極であり、各電極が、フレキシブルフラットケーブルのB部にある各端末導体1と対応している。
【0030】
フレキシブルフラットケーブルの端末部10は、図3中の矢印が示すように、コネクタ4の電極41と金属バネ42の間に挿入される。すると、金属バネ42のバネ力により、各端末導体1と各電極41が接触し、導通する。その後、レバー43を動かして金属バネ42を下側に押圧することにより、各端末導体1と各電極41間の接触、導通が確保される。
【0031】
以上の説明は、従来のフレキシブルフラットケーブル及び本発明のフレキシブルフラットケーブルのいずれについても適用できる。すなわち、本発明のフレキシブルフラットケーブルは、以下に述べる点を除けば、従来のフレキシブルフラットケーブルと同様な構造を有する。
【0032】
本発明のフレキシブルフラットケーブルは、導体の被覆、すなわち図1における保護被覆11が、導電性フィラー入りカーボンにより形成されていることを特徴とする。従来のフレキシブルフラットケーブルでは、保護被覆11が、金や錫等の金属のメッキやカーボンペーストを被覆により形成したカーボン等で形成されていた。本発明のフレキシブルフラットケーブルは、保護被覆11が導電性フィラー入りカーボンにより形成されているので、接続信頼性が高く一方接続抵抗は低いとともに、低い製造コストで製造することができる。
【0033】
導電性フィラー入りカーボンを構成する導電性フィラーとしては、前記の例示の他に、スズ、鉛、亜鉛、アルミニウム、金、銅等のフィラーを挙げることができる。導電性フィラーの平均粒径は、30μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以下である。平均粒径が30μmを超えると脱粒しやすくなる。なお、製造限界から、導電性フィラーとしては平均粒径0.1μm以上のものが通常入手可能であり、平均粒径1μm以上のものが入手しやすい点で好適である。フィラーの粒子の形状は特に限定されず、鱗片状、球状、針状等のフィラーを用いることができる。
【0034】
導体線12、絶縁フィルム2、補強板3等を構成する材質やその断面形状、大きさ、厚さ等は、従来のフレキシブルフラットケーブルの場合と同様であり、特に限定されない。通常、導体線12は、銅や銀等からなる断面が平型の電線であり、その幅は0.05〜0.8mm、その厚さは0.01〜0.7mm程度である。又、導体線12が設けられる間隔(ピッチ)は0.1〜1mm程度であり、このような導体線12(芯)が、2〜80芯程度並列しているフレキシブルフラットケーブルに本発明が好適に適用される。又、図1、図3におけるB部の長さ(芯線長)は0.5〜10mm程度である。
【0035】
図2は、本発明の製造方法の一工程を示し、具体的には、端末の導体が露出されたフレキシブルフラットケーブルの導体の表面に導電性フィラー入りカーボンペーストを印刷する様子を示す斜視図である。図中、10は端末の導体が露出されたフレキシブルフラットケーブルであり、12は導体線であり、導体線12を被覆していた絶縁フィルム2は取除かれている。フレキシブルフラットケーブル10の端末部は定盤9上に保持されている。
【0036】
又、図2中の8は、絹、ナイロン等からなるスクリーン(網)であり、スクリーン8のペースト透過部6以外の部分は、ペーストが透過しないように加工されている。そして、各導体線12に各ペースト透過部6が重なるようにして、スクリーン8を、定盤9上のフレキシブルフラットケーブル10に被せる。
【0037】
その後、スクリーン8上に載せられた導電性フィラー入りカーボンペースト7を、スキージ5により、ペースト透過部6に擦りつける。その結果、ペースト透過部6を透過した導電性フィラー入りカーボンペースト7により、各導体線12が被覆される。ペースト透過部6の幅、すなわち、導電性フィラー入りカーボンペースト7が印刷される幅は、導体線12の幅より少し大きくする必要があり、従って、通常0.08〜1mmの範囲である。又、導電性フィラー入りカーボンの被覆の厚さを1〜50μmとするために、0.005〜0.05mm程度の厚さで印刷される。
【0038】
導電性フィラー入りカーボンペースト7は、前記の導電性フィラーを、カーボンペーストに混練して作製することができる。導電性フィラー入りカーボンペーストの作製に用いられるカーボンペーストとは、エポキシ樹脂等の樹脂に、黒鉛粒子等のカーボン粒子を混合し、必要により溶剤等とともに混練した導電性のペーストである。樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエステル等を挙げることができ、溶剤としては、前記樹脂を溶解する溶媒であり、例えばシクロヘキサノン、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートを挙げることができる。又、カーボンとしては、黒鉛等を挙げることができる。本発明に使用する導電性フィラー入りカーボンペーストの作製に用いられるカーボンペーストとしては、樹脂15〜35重量%、溶剤45〜65重量%、カーボン粒子1〜20重量%の範囲の組成を有するものが好ましい。
【0039】
従来も、フレキシブルフラットケーブルの端末の導体の被覆にカーボンペーストが用いられており、例えば特許文献1に開示されているが、これらと同様なカーボンペーストを本発明に使用する導電性フィラー入りカーボンペーストの作製に用いることができる。又、市販品も用いることができる。市販品としては、十条ケミカル社製のCH−10、タムラ製作所社製のMRX−713J−A等を挙げることができる。
【0040】
導電性フィラー入りカーボンペースト7を導体線12上に印刷した後、端末部は焼成される。焼成は、導電性フィラー入りカーボンペースト7を構成する樹脂が硬化し、溶剤が除去される条件で行われ、通常80〜150℃、10〜60分程度で行われる。
【実施例】
【0041】
平均径2〜3μmのAgフィラーを、表1に示す配合量(Agフィラー入りカーボンペーストの全量に対するAgフィラーの重量%)で、カーボンペースト(十条ケミカル社製のCH−10)中に分散して導電性フィラー入りカーボンペーストを得た。
【0042】
幅0.2mm、厚さ0.035mmの導体線(芯)が0.5mmのピッチで20本(芯)設けられているフレキシブルフラットケーブルの端末部に露出している導体線(芯)(露出部の長さ4mm)上に、前記の導電性フィラー入りカーボンペーストを、図2に示す方法により、印刷幅0.3mm、厚さ0.015mmで印刷した。印刷後、100℃、30分で焼成し、フレキシブルフラットケーブルの端末部を形成した。
【0043】
形成した端末部について、次に示す方法で、接続抵抗及び表面硬度を測定した。その結果を表1に示す。
[接続抵抗の測定方法]:四端子法により測定した。
[表面硬度の測定方法]:鉛筆硬度。具体的には、9B〜9Hの鉛筆を塗装品に対して45°にあてて傷がつく鉛筆硬度により表面硬度を評価する。
【0044】
【表1】

【0045】
表1より明らかなように、フィラー配合量を20重量%以上とすることにより接続抵抗を2Ω以下とすることでできる。フィラー配合量を30重量%以上とすれば接続抵抗は、0.8Ω以下とすることででき、特に、フィラー配合量を50重量%以上とすれば接続抵抗は、0.02Ω以下とすることででき、非常に低い接続抵抗が達成される。又、フィラー配合量を60重量%としても、鉛筆硬度は6H以上であり、表面硬度についての問題も生じない。
【符号の説明】
【0046】
1 端末導体
11 保護被覆
12 導体線
2 絶縁フィルム
3 補強板
4 コネクタ
41 電極
42 金属バネ
43 レバー
5 スキージ
6 ペースト透過部
7 導電性フィラー入りカーボンペースト
8 スクリーン
9 定盤
10 フレキシブルフラットケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁フィルム上に平板型の導体が複数本並列して設けられている接続端末を有するフレキシブルフラットケーブルであって、前記接続端末の導体が、導電性フィラーを20〜90重量%含有する導電性フィラー入りカーボンで被覆されていることを特徴とするフレキシブルフラットケーブル。
【請求項2】
前記導電性フィラーが、銀、ニッケル、銀コート銅及びカーボンナノチューブからなる群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルフラットケーブル。
【請求項3】
導電性フィラー入りカーボンの被覆の厚さが1〜50μmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフレキシブルフラットケーブル。
【請求項4】
フレキシブルフラットケーブルの端末の導体を露出させ、露出した導体表面に、導電性フィラー入りカーボンペーストを印刷し、その後、端末部を焼成することを特徴とするフレキシブルフラットケーブルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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