説明

フレキシブル基板の貼り付け装置及び貼り付け方法、並びに貼り付けプログラム

【課題】関連技術としてのFPCの貼り付け装置に比べて低コストで高効率にFPCの貼り付け作業を行うことができるFPCの貼り付け装置を提供する。
【解決手段】第1のY駆動軸9の動作により、第1の搬送ヘッド1がFPC供給部2から位置補正部4へFPC3を搬送する。位置補正部4はFPC3を外形規制してFPC3の位置を補正する。第2のY駆動軸10の動作により、第2の搬送ヘッド5は、第1の搬送ヘッド1の動作と同期して、位置補正部4から貼り付けプレート6へFPC3を搬送し、FPC3を貼り付けプレート6へ乗せる。また、第1の搬送ヘッド1が位置補正部4からFPC供給部2まで戻る動作と、第2の搬送ヘッド5がFPC3を貼り付け終わってから位置補正部4まで戻る動作とを同期させて行う。FPC3が搭載された貼り付けプレート6は貼り付けプレート搬送用可動ステージ7によりプレス部8へ移動してプレスされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フレキシブル基板(以下、簡単に、FPCとも言う)を表面実装するSMT(Surface Mount Technology:表面実装技術)に係り、特に、複数のFPCを貼り付けプレートに貼り付けて表面実装するためのフレキシブル基板の貼り付け装置、及び貼り付け方法、並びに該方法をコンピュータに実行させるの貼り付けプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
FPC(Flexible Printed Circuit)のSMTに関しては、従来より、粘着性の貼り付け面を持つ貼り付けプレートに複数個のFPCを並べて貼り付け、個々の貼り付けプレートごと一括して半田印刷や部品搭載やリフロー等の各工程を順番に通過させてFPCの表面実装を行っている。これらの各工程においては、貼り付けプレートにFPCを貼り付ける作業は、作業者が手作業によって実施するか、又は、画像処理装置による画像認識によって行われている。画像処理装置を用いて表面実装を行う場合は、画像処理機能と画像処理結果とに基づいて水平面内のFPCの位置補正を行いながら、FPCの表面実装を自動的に行っている。
【0003】
図6は、本願発明の関連技術に係るFPCの貼り付け装置の構成を概略示す平面図である。図6において、搬送ヘッド31は、X駆動軸36とY駆動軸37とによってX−Y方向へ自在に移動できるように構成されている。すなわち、この搬送ヘッド31は、X駆動軸36とY駆動軸37とによって平面上の所望の方向へ移動しながら、FPC33をFPC供給部32から吸着して持ち上げ、そのFPC33をカメラ認識部34の上部へ搬送する。そして、カメラ認識部34によってFPC33のパターンを画像認識し、さらに所定の位置とのズレ量を演算処理によって求めて位置補正を行った後、搬送ヘッド31を貼り付けプレート35の上部へ移動させて、FPC33を貼り付けプレート35の表面の所定位置へ貼り付ける。このようにして、複数のFPC33を貼り付けプレート35の表面へ順次貼り付けて行く。
【0004】
関連技術としてのFPCの貼付け装置は、例えば、特許文献1等に開示されている。この技術によれば、搬送ヘッドがX−Y方向へ移動することでFPCを吸着・搬送しながら、途中の仮置きテーブル上にFPCを仮置きし、画像認識によってFPCの位置補正を行う。そして、その後に、再度、搬送ヘッドによってFPCを吸着・搬送して貼り付けプレートの上部へ貼り付けて行く。これによって、FPCの位置は事前に補正されて貼り付けプレートの上部へ搬送されるので、多数のFPCを貼り付けプレートの表面へ正確に貼り付けることができる。
【0005】
また、複数の回路基板(FPC)が収納されたトレイから回路基板接続装置へFPCを順次供給する回路基板供給装置に関する技術も開示されている(例えば、特許文献2参照)。この技術によれば、1枚の予備のFPCをトレイから予備置き台へ搬送する第1の工程と、予備置き台に置かれている1枚のFPCを回路基板接続装置へ搬送する第2の工程とをそれぞれ独立して行っている。このようにして2つの工程を連続して行うことにより、トレイから回路基板接続装置へFPCを供給する作業の稼働率を向上させることができるので、回路基板接続装置の作業効率を改善させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−189142号公報
【特許文献2】特開平09−283985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記関連技術としてのSMTによる実装方法にあっては、貼り付けプレートにFPCを貼り付ける作業を手作業で行っているため、貼り付け作業の人件費が嵩んで加工コストが高くなってしまう虞がある。また、FPCの位置補正を画像認識処理によって行っているために、SMT装置の構成が複雑になると共に高額な設備投資が必要となり、採算性の面で課題が残る。また、FPCの貼り付け作業を自動機で実施する場合は、トレイ供給部よりFPCを吸着して取って画像処理部へ搬送し、カメラによってFPCのパターンを撮像して画像処理を実施して位置補正を行い、貼り付け部へFPCを搬送して貼り付けプレートへ貼り付けるという一連の作業を順番に繰り返すため、生産工程の時間が比較的長くなってしまう。
【0008】
また、図6に示す技術や特許文献1の技術によるFPCの貼り付け装置においては、FPC33をFPC供給部32からカメラ認識部34へ搬送して画像認識処理を行い、FPC33のθズレ及び水平方向のズレを補正している。そして、その後にFPC33を貼り付けプレート35へ搬送して貼り付け作業を行うという一連の動作を繰り返えしている。このため、FCP33をFPC供給部32より取り上げてから貼り付けプレート35へ貼り付けるまでの搬送時間が比較的長くかかってしまう。さらに、カメラ認識部34においてカメラを使用して、画像の取り込みと画像処理とによってFPC33の位置補正を行うため、カメラユニット、画像処理ユニット、及び画像処理結果に対応した位置を補正する機構を備える必要がある。このため、FPCの貼り付け装置の設備コストが比較的高額になってしまう。
【0009】
また、特許文献2の技術においては、FPCをトレイから予備置き台へ搬送する第1の工程と、FPCを予備置き台から回路基板接続装置へ搬送する第2の工程とをそれぞれ独立して行っているが、2つの工程が同期して行われているわけではないので、各工程間に待ち時間が発生する虞がある。言い換えると、第1の工程から第2の工程へ引き継ぐ過程において時間待ちが発生する虞がある。したがって、トレイから回路基板接続装置へFPCを供給する作業の稼働率をさらに向上させる余地が残っている。言い換えると、FPCの搬送作業の稼動効率をさらに改善させる余地が残っている。
【0010】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、関連技術としてのフレキシブル基板の貼り付け装置に比べて低コストで高効率にフレキシブル基板の貼り付け作業を行うことができるフレキシブル基板の貼り付け装置及び貼り付け方法、並びにその方法をコンピュータに実行させるフレキシブル基板の貼り付けプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、この発明の第1の構成は、フレキシブル基板を貼り付けプレートに貼り付けるための貼り付け装置に係り、フレキシブル基板が収納されたフレキシブル基板供給部から、そのフレキシブル基板の位置補正を行う位置補正部までフレキシブル基板を搬送する第1の搬送手段と、位置補正部で位置補正されたフレキシブル基板を、その位置補正部から貼り付けプレートまで搬送する第2の搬送手段とを備え、第1の搬送手段と第2の搬送手段は、それぞれ、互いに独立した駆動系によって同期動作を行うことを特徴としている。
【0012】
この発明の第2の構成は、フレキシブル基板を貼り付けプレートに貼り付ける貼り付け方法に係り、フレキシブル基板が収納されたフレキシブル基板供給部から、そのフレキシブル基板の位置補正を行う位置補正部までフレキシブル基板を搬送する第1の搬送工程と、位置補正部で位置補正されたフレキシブル基板を、その位置補正部から貼り付けプレートまで搬送する第2の搬送工程とを有し、第1の搬送工程と第2の搬送工程は、それぞれ、互いに独立した駆動系によって同期動作を行うことを特徴としている。
【0013】
この発明の第3の構成は、フレキシブル基板の貼り付け方法をコンピュータに実行させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
この発明によるフレキシブル基板の貼り付け装置によれば、フレキシブル基板をフレキシブル基板供給部から位置補正部まで搬送する第1の搬送工程と、フレキシブル基板を位置補正部から貼り付けプレートまで搬送する第2の搬送工程とを、同時に同期させながら実行している。したがって、フレキシブル基板をフレキシブル基板供給部から貼り付けプレートまで搬送して所望の位置に貼り付ける時間を短縮化することができる。また、フレキシブル基板の位置補正を画像処理によって行うことなく、フレキシブル基板の外形規制によって自動的に位置補正を行っているため、比較的低コストな設備でフレキシブル基板の位置補正を行い貼り付けプレートに貼り付けることができる。このようにして、従来、手作業にて実施していたフレキシブル基板の貼り付け作業を、画像処理装置を用いることなく自動化しているので、フレキシブル基板の貼り付け工程における生産加工費を低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の実施形態1に係るFPCの貼り付け装置の構成を概略示す平面図である。
【図2】同貼り付け装置を構成する位置補正部の詳細な構成を示す図であり、(a)は平面面図、(b)は側面図である。
【図3】図1に示す貼り付けプレート搬送用可動ステージに搭載された貼り付けプレートにFPCを位置決めして貼り付ける状態を概略示す側面図である。
【図4】図1に示すプレス部の詳細な構成を示す側面図である。
【図5】この発明の実施形態2に係るFPCの貼り付け装置の構成を概略示す平面図である。
【図6】関連技術に係るFPCの貼り付け装置の構成を概略示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明に係るFPC(フレキシブル基板)の貼り付け装置は、FPCをFPC供給部から位置補正部まで搬送する第1の搬送動作(第1の搬送工程)と、FPCを位置補正部から貼り付けプレートまで搬送する第2の搬送動作(第2の搬送工程)とを、それぞれ独立した2つの駆動軸によって同期させながら同時に行うことを第1の特徴としている。また、FPCの位置補正を簡易的なFPCの外形規制によって実施することを第2の特徴としている。これにより、関連技術としてのFPCの貼り付け装置に比べて、FPCの貼り付け作業時間を短くすることができると共に、カメラを含めた画像処理機構や位置補正機構が不要になるので、FPCの貼り付け装置の低コスト化を図ることができる。以下、図面を参照しながら、この発明に係るFPCの貼り付け装置の実施形態の幾つかについて詳細に説明する。
【実施形態1】
【0017】
図1は、この発明の実施形態1に係るFPCの貼り付け装置の構成を示す概念図である。図1において、FPC供給部2には、多数のFPC3が高さ方向(図の紙表方向)に段積みされている。第1の搬送ヘッド1は、第1のY駆動軸9に取り付けられていて、FPC供給部2と位置補正部4との間を往復できるように構成されている。したがって、第1の搬送ヘッド(第1の搬送手段)1は、第1のY駆動軸9によるY方向の駆動によって、FPC供給部2からFPC3を1枚ずつ真空吸着して持ち上げ、そのFPC3を位置補正部4まで搬送することができる。また、位置補正部4は、FPC3を1枚ずつ収納して、そのFPC3の位置を図2で後述する外形規制部によって補正するように構成されている。
【0018】
第2の搬送ヘッド(第2の搬送手段)5は、第2のY駆動軸10に取り付けられていて、位置補正部4と貼り付けプレート6と間を往復できるように構成されている。したがって、第2の搬送ヘッド5は、第2のY駆動軸10によるY方向の駆動によって、位置補正部4にて位置補正されたFPC3を真空吸着して持ち上げ、そのFPC3を貼り付けプレート6の上部へ搬送して、図3で後述する位置決め機構によって、FPC3を貼り付けプレート6の所定の位置へ貼り付けることができる。
【0019】
このようにして、第1のY駆動軸9によって駆動する第1の搬送ヘッド1と、第2のY駆動軸10によって駆動する第2の搬送ヘッド5とが、個別に、同期しながら同時に動作することにより、FPC供給部2→位置補正部4→貼り付けプレート6のルートでFPC3を搬送する動作を繰り返えすように構成されている。これによって、貼り付けプレート搬送用可動ステージ7の上部に載置された貼り付けプレート6の所定の位置へ多数のFPC3を順番に配置することができる。
【0020】
また、貼り付けプレート6を載置した貼り付けプレート搬送用可動ステージ7は、例えば、ボールねじ等のX駆動軸11に取り付けられていて、ガイドレール11a、11aに案内されて、そのX駆動軸11によってプレス部8へ往復移動できるように構成されている。したがって、貼り付けプレート6に所定の数量のFPC3が配置されると、その貼り付けプレート6が載置された貼り付けプレート搬送用可動ステージ7は、X駆動軸11によるX方向への駆動によってプレス部8へ移動し、貼り付けプレート6の全体が平面台にてプレスされるように構成されている。
【0021】
次に、図1に示す位置補正部4が、FPC3の位置を外形規制することによって位置補正を行う構成について詳細に説明する。図2は、図1に示す位置補正部4の詳細な構成を示す図であり、(a)は平面図、また、(b)は側面図を示している。
【0022】
図2に示す位置補正部4は、例えば樹脂板等で形成した冶具として構成されていて、外形規制部14は、上方向から見るとFPC3の外形と同じ形状に掘り込んである。すなわち、治具底面部14aではFPC3の外形と同じ寸法の外形であり、冶具入口部19は治具底面部14aより大きくなっていてFPC3と相似形であり、冶具入口部19から治具底面部14aまでの側面13は傾斜角度が30度程度に傾斜している。また、治具底面部14aの底部には、冶具入口部19から滑り落ちてきたFPC3を治具底面部14aに吸着保持するための真空吸着口20が形成されている。
【0023】
このように構成された位置補正部4において、治具入口部19へFPC3を落下させ、そのFPC3を治具底面部14aの真空吸着口20より吸着する。これにより、FPC3が治具底面部14aに落下する際に、治具の傾斜した側面13の側壁によって自動的に目的位置(つまり、治具底面部14a)まで落下する。そして、FPC3は、治具底面部14aの寸法(つまり、外形規制部14の寸法)に規制されて位置が補正され、所定の位置に位置決めされる。
【0024】
次に、FPC3を貼り付けプレート6の所定の位置へ貼り付けるための位置決め機構について説明する。図3は、図1に示す貼り付けプレート搬送用可動ステージ7に搭載された貼り付けプレート6にFPC3を位置決めして貼り付ける状態を示す概念図である。すなわち、図3に示すように、貼り付けプレート搬送用可動ステージ7には、貼り付けプレート6を貫通するように位置決めピン12が所定の間隔で立てられている。一方、FPC3の両端部分には、2つの位置決めピン12の間隔と等しい間隔で位置決め穴18が形成されている。
【0025】
したがって、貼り付けプレート搬送用可動ステージ7に搭載された貼り付けプレート6の上部に存在する第2の搬送ヘッド5から落下したFPC3の両端の位置決め穴18は、図3に示すように、貼り付けプレート6に突き出た2つの位置決めピン12に落とし込まれる。このようにして、FPC3を貼り付けプレート6の所定の位置へ配置してFPC3の位置決めを行うことができる。
【0026】
次に、図1に示すプレス部8の構成について説明する。図4は、図1に示すプレス部8の詳細な構成を示す側面図である。プレス部8は、可動プレス部8aと固定プレス部8bとを備えていて、固定プレス部8bに対して可動プレス部8aが図の矢印Bの方向へ移動してプレスが行われるように構成されている。したがって、X駆動軸11によってプレス部8の内部へ移動してきた貼り付けプレート搬送用可動ステージ7が固定プレス部8bの上部位置に配置されると、可動プレス部8aが図の矢印Bの方向へ移動して、貼り付けプレート搬送用可動ステージ7に搭載された貼り付けプレート6へFPC3をプレスする。なお、可動プレス部8a側のスプリング8cは、可動プレス部8aがFPC3と貼り付けプレート6を押圧したときの衝撃を吸収するためのショック吸収機構である。
【0027】
上述のようにしてプレス部8によってFPC3と貼り付けプレート6とがプレスされると、FPC3は、図3に示すようにあらかじめ設けられている位置決め穴18が位置決めピン12に案内されて自動的に位置補正され、貼り付けプレート6の表面に正確に貼り付けられることになる。
【0028】
以上、FPCの貼り付け装置についての構成を詳細に述べたが、貼り付けプレート6と貼り付けプレート6を載置するための貼り付けプレート搬送用可動ステージ部7の構成については、当業者にとって周知の構成内容であり、かつ、本発明とは直接的には関係ないので、その詳細な構成については説明を省略する。
【0029】
次に、図1に示すFPCの貼り付け装置の動作について、図2、図3、及び図4を参照しながら詳細に説明する。図1において、FPC供給部2には多数のFPC3が高さ方向に段積みされている。また、第1の搬送ヘッド1は、第1のY駆動軸9に取り付けられていて、その第1のY駆動軸9によってFPC供給部2と位置補正部4との間を直線的に往復できるようになっている。したがって、第1の搬送ヘッド1は、FPC供給部2に段積みされている一番上面のFPC3を真空吸着して持ち上げて位置補正部4まで搬送する。
【0030】
第1の搬送ヘッド1は、位置補正部4の上部において真空吸着力を解除すると、FPC3が位置補正部4の冶具入口部19へ落下する。すなわち、図2に示すように、冶具入口部19はFPC3の外形より大きい相似形になっていて、その冶具入口部19から傾斜したテーパ状の側面13の底部がFPC3の外形と同じ大きさの冶具底面部14aとなっている。したがって、冶具入口部19へ落下したFPC3は、傾斜した側面13に沿って冶具底面部14aまで落ち込むので、FPC3は、真空吸着口20からの真空引きによって冶具底面部14aにおいて外形規制されて正確に位置が補正される。
【0031】
さらに詳しく述べると、位置補正部4によるFPC3の外形規制は次のようにして行われる。FPC3の外形と同形に掘り込みのある治具入口部19へ、第1の搬送ヘッド1からFPC3を落下させ、治具底面部14aの下部に設けられた真空吸着口20より真空引きを行う。これによって、FPC3は、治具底面部14に落下する際に、治具入口部19から傾斜した側面13によって、自動的に治具底面部14aの水平面内において所定の位置に補正される。
【0032】
また、第2の搬送ヘッド5は、第2のY駆動軸10に取り付けられていて、この第2のY駆動軸10によって位置補正部4と貼り付けプレート部6との間を直線的に往復できるようになっている。したがって、第2の搬送ヘッド5は、位置補正部4にて位置補正されたFPC3を真空吸着して持ち上げ、このFPC3を貼り付けプレート6の上部へ搬送する。そして、図3に示すように、このFPC3の両端の位置決め穴18が、貼り付けプレート6に突き出た2つの位置決めピン12に落とし込まれる。これによって、FPC3は貼り付けプレート6の所定の位置へ配置される。
【0033】
このとき、第1の搬送ヘッド1も、同時に、FPC供給部2に段積みされている多数のFPC3の中から一番上段のFPC3を真空吸着して持ち上げ、そのFPC3を位置補正部4まで搬送する。
【0034】
このような、FPC供給部2→位置補正部4→貼り付けプレート6へのFPC3の搬送動作を、第1の搬送ヘッド1と第2の搬送ヘッド5とが同期しながら連携して繰り返し、貼り付けプレート6の所定の部分へ順番にFPC3を乗せて行く。
【0035】
そして、必要な個数のFPC3を貼り付けプレート6へ乗せ終わると、貼り付けプレート6が載置された貼り付けプレート搬送用可動ステージ7は、X駆動軸11によってプレス部8の位置へ移動する。これによって、図4に示すように、FPC3が載せられた貼り付けプレート6の全体部分が、プレス部8によって上側より平面全体でプレスされる。
【0036】
すなわち、プレス部8と貼り付けプレート6が載置された貼り付けプレート搬送用可動ステージ7との配置関係は図4のようになる。これにより、プレス部8によってプレスが行われると、FPC3は、あらかじめ2個設けられた位置決め穴18が位置決めピン12に案内されて自動的に位置補正され、貼り付けプレート6へ密着して貼り付けられることになる。
【0037】
すなわち、実施形態1に係るFPCの貼り付け装置の動作について要約すると、第1の搬送ヘッド1がFPC供給部2から位置補正部4までFPC3を搬送すると、位置補正部4は、FPC3を外形規制してFPC3の位置を補正する。また、第2の搬送ヘッド5は、第1の搬送ヘッド1の動作と同期して、位置補正部4から貼り付けプレート6上へFPC3を搬送して、そのFPC3を貼り付けプレート6へ乗せる。
【0038】
また、図3に示すように、貼り付けプレート6は、貼り付けプレート搬送用可動ステージ7の上面に乗せられている。したがって、FPC3が位置決めピン12にガイドされて貼り付けプレート6の表面に乗せられると、図4に示すようにプレス部8へ引き込まれ、貼り付けプレート6の上面全体がプレス部8によってプレスされて、FPC3が貼り付けプレート6に密着固定される。
【0039】
このように、FPC供給部2から貼り付けプレート6へFPC3を搬送して貼り付けプレート6へ貼り付ける一連の動作において、FPC供給部2から位置補正部4へのFPC3の搬送と、位置補正部4から貼り付けプレート6へのFPC3の搬送とを同期させて行っている。
【0040】
また、第1の搬送ヘッド1が位置補正部4からFPC供給部2まで戻る動作と、第2の搬送ヘッド5がFPC3を貼り付け終わってから位置補正部4まで戻る動作とを同期させて行っている。
【0041】
このようにして、実施形態1に係るFPCの貼り付け装置では、FPC供給部2から位置補正部分4までの搬送動作と、位置補正部分4から貼り付けプレート6までの搬送動作とを、独立した2つの駆動軸(すなわち、第1のY駆動軸9と第2のY駆動軸10)で同時に同期して行っている。また、位置補正部4におけるFPC3の位置補正を、FPC3の外形規制によって実施している。このような一連の動作を行うことにより、従来から用いられている一般的なFPCの貼り付け装置に対して、比較的低コストで、かつ処理能力の高いFPCの貼り付け装置を実現することができる。
【実施形態2】
【0042】
図5は、この発明の実施形態2に係るFPCの貼り付け装置の構成を示す概念図である。図5に示すの実施形態2に係るFPCの貼り付け装置は、図1に示すの実施形態1の構成と異なる要素のみ符合が変えてある。
【0043】
すなわち、図5に示すの実施形態2に係るFPCの貼り付け装置は、FPC供給部22、第1の搬送ヘッド21、位置補正部24、及び第2の搬送ヘッド25が、それぞれ、複数個(図では2個)で構成されている点が図1に示す実施形態1と異なっている。なお、複数個で構成された第1の搬送ヘッド21及び第2の搬送ヘッド25は、それぞれ1個の第1のY駆動軸及び第2のY駆動軸によって駆動される。
【0044】
このような構成のFPCの貼り付け装置によれば、図5を参照すると、FPC供給部22には2組のFPC3が段積みされているので、第1の搬送ヘッド21は、同時に2個のFPC3をFPC供給部22から位置補正部24へ搬送することができる。また、位置補正部24は、2個の外形規制部を備えているので、同時に2個のFPC3の位置補正を行うことができる。
【0045】
さらに、第2の搬送ヘッド25は、第1の搬送ヘッド21の搬送動作と同期して、同時に2個のFPC3を位置補正部24から貼り付けプレート6へ搬送することができる。なお、貼り付けプレート搬送用可動ステージ7が、貼り付けプレート6に配置された複数のFPC3をプレス部9へ搬送してプレスを行う動作は図1に示す実施形態1と同じである。
【0046】
すなわち、実施形態2に係るFPCの貼り付け装置は、第1の搬送ヘッド21と第2の搬送ヘッド25が同期して、FPC供給部22→位置補正部24→貼り付けプレート6へ2つの(複数の)FPC3を同時に搬送することができる。これによって、実施形態1に係るFPCの貼り付け装置に比べてさらに生産効率を改善することができる。
【0047】
言い換えると、実施形態2に係るFPCの貼り付け装置では、第1の搬送ヘッド21及び第2の搬送ヘッド25にはそれぞれ複数個のヘッドが設置されている。したがって、ヘッドの個数が2個であれば2倍の生産効率、ヘッドの個数がN個であればN倍の生産効率が得られる。
【0048】
なお、前述したFPCの貼り付け方法は、コンピュータがプログラムを読み込むことによって実現される。したがって、FPCの貼り付け方法の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、前述したFPCの貼り付け方法の各処理が行われる。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM(Compact Disk−Red Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk−Red Only Memory)、半導体メモリ等をいう。
【0049】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、この発明の具体的に構成は、これらの実施形態に限られるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもそれらはこの発明に含まれる。例えば、第1の搬送ヘッドと第2の搬送ヘッドを2つの独立した駆動系で同期して動作させるのではなく、1つの駆動系によって第1の搬送ヘッドと第2の搬送ヘッドとを別々の工程領域で動作させても良い。言い換えると、1つの駆動系によって第1の搬送ヘッドと第2の搬送ヘッドとを同時に動作させるが、第1の搬送ヘッドにはFPC供給部から位置補正部までのFPCの搬送を分担させ、第2の搬送ヘッドには位置補正部から貼り付けプレートまでのFPCの搬送を分担させても良い。これにより、実質的には第1の搬送ヘッドと第2の搬送ヘッドが同期してそれぞれの工程領域のFPCを搬送することになる。また、X(Y)駆動軸は、ボールねじに限らず、例えば、リニアモータでも良く、要するに、線形性の駆動軸であれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0050】
この発明によるFPCの貼り付け装置は、1枚の基板上に同一の回路パターンが多数形成されている集合基板の製造装置等に有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1、21 第1の搬送ヘッド
2、22、32 FPC供給部
3、33 フレキシブル基板(FPC)
4、24 位置補正部
5、25 第2の搬送ヘッド
6、35 貼り付けプレート
7 貼り付けプレート搬送用可動ステージ
8 プレス部
8a プレス可動部
8b プレス固定部
8c スプリング
9 第1のY駆動軸
10 第2のY駆動軸
11、36 X駆動軸
12 位置決めピン
13 側面
14 外形規制部
14a 冶具底面部
18 位置決め穴
19 冶具入口部
20 真空吸着口
31 搬送ヘッド
34 カメラ認識部
37 Y駆動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル基板を貼り付けプレートに貼り付けるための貼り付け装置であって、
前記フレキシブル基板が収納されたフレキシブル基板供給部から、そのフレキシブル基板の位置補正を行う位置補正部まで前記フレキシブル基板を搬送する第1の搬送手段と、
前記位置補正部で位置補正されたフレキシブル基板を、その位置補正部から前記貼り付けプレートまで搬送する第2の搬送手段とを備え、
前記第1の搬送手段と前記第2の搬送手段は、それぞれ、互いに独立した駆動系によって同期動作を行う構成になされていることを特徴とするフレキシブル基板の貼り付け装置。
【請求項2】
前記位置補正部は、前記フレキシブル基板と相似形に形成されてそのフレキシブル基板の外形を規制する外形規制部を備え、その外形規制部によって前記フレキシブル基板の位置を補正することを特徴とする請求項1記載のフレキシブル基板の貼り付け装置。
【請求項3】
前記外形規制部は、
前記フレキシブル基板より大きい相似形の形状に形成された冶具入口部と、
その冶具入口部から側面がテーパ状に縮小され、前記フレキシブル基板とほぼ同じ大きさの形状に形成された冶具底面部と、
前記冶具入口部に落下して前記テーパ状の側面を滑り落ちた前記フレキシブル基板を真空引きするために、前記冶具底面部に形成された真空吸着口と
を備えていることを特徴とする請求項2記載のフレキシブル基板の貼り付け装置。
【請求項4】
前記貼り付けプレートは、貼り付けプレート搬送用可動ステージの表面に搭載され、
前記貼り付けプレート搬送用可動ステージは、前記貼り付けプレートの所定位置を貫通する位置決めピンを備え、
前記第2の搬送手段から前記貼り付けプレートへ落下した前記フレキシブル基板は、自己に形成された位置決め穴が前記位置決めピンにガイドされて前記貼り付けプレートの表面に配置されることを特徴とする請求項3記載のフレキシブル基板の貼り付け装置。
【請求項5】
前記第1の搬送手段は、前記フレキシブル基板供給部から前記位置補正部へ同時に複数個のフレキシブル基板を搬送し、
前記位置補正部は同時に複数個のフレキシブル基板の位置補正を行い、
前記第2の搬送手段は、前記位置補正部から前記貼り付けプレートへ同時に複数個のフレキシブル基板を搬送することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載のフレキシブル基板の貼り付け装置。
【請求項6】
フレキシブル基板を貼り付けプレートに貼り付けるための貼り付け方法であって、
前記フレキシブル基板が収納されたフレキシブル基板供給部から、そのフレキシブル基板の位置補正を行う位置補正部まで前記フレキシブル基板を搬送する第1の搬送工程と、
前記位置補正部で位置補正されたフレキシブル基板を、その位置補正部から前記貼り付けプレートまで搬送する第2の搬送工程とを含み、
前記第1の搬送工程と前記第2の搬送工程は、それぞれ、互いに独立した駆動系によって同期動作を行うことを特徴とするフレキシブル基板の貼り付け方法。
【請求項7】
前記第1の搬送工程の終了後、前記位置補正部は、前記フレキシブル基板と相似形に形成されてそのフレキシブル基板の外形を規制する外形規制部によって前記フレキシブル基板の位置を補正することを特徴とする請求項6記載のフレキシブル基板の貼り付け方法。
【請求項8】
前記外形規制部が、
前記フレキシブル基板より大きい相似形の形状に形成された冶具入口部へ前記フレキシブル基板を投下する投下工程と、
その冶具入口部から側面がテーパ状に縮小され、前記フレキシブル基板とほぼ同じ大きさの形状に形成された冶具底面部へ前記フレキシブル基板を滑り落とす滑落工程と、
前記冶具底面部へ滑り落ちた前記フレキシブル基板を真空吸着口から真空引きして、そのフレキシブル基板を前記冶具底面部に吸着される吸着工程とによって、
前記フレキシブル基板の位置補正を行うことを特徴とする請求項7記載のフレキシブル基板の貼り付け方法。
【請求項9】
前記貼り付けプレートは、貼り付けプレート搬送用可動ステージの表面に搭載され、
前記貼り付けプレート搬送用可動ステージは、前記貼り付けプレートの所定位置を貫通する位置決めピンを備え、
前記第2の搬送工程において前記貼り付けプレートへ落下した前記フレキシブル基板は、自己に形成された位置決め穴が前記位置決めピンにガイドされて前記貼り付けプレートの表面に配置されることを特徴とする請求項8記載のフレキシブル基板の貼り付け方法。
【請求項10】
前記第1の搬送工程において、前記フレキシブル基板供給部から前記位置補正部へ同時に複数個のフレキシブル基板を搬送し、
前記第1の搬送工程の終了後、前記位置補正部が同時に複数個のフレキシブル基板の位置補正を行い、
前記第2の搬送工程において、前記位置補正部から前記貼り付けプレートへ同時に複数個のフレキシブル基板を搬送する
ことを特徴とする請求項6乃至9の何れか一に記載のフレキシブル基板の貼り付け方法。
【請求項11】
請求項6乃至10の何れか1項記載のフレキシブル基板の貼り付け方法をコンピュータに実行させるフレキシブル基板の貼り付けプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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