説明

フレキシブル基板を有する装置およびモータ装置

【課題】接続ピンに半田付けされるフレキシブル基板を有する装置およびこれを備えるモータ装置において、組立時の半田付けを容易にすべくフレキシブル基板の浮き上がりを効果的に抑制することを目的とする。
【解決手段】平坦な第一の取付面411aから突出した接続ピン10と、前記第一の取付面411a上に載置され前記接続ピン10に半田付けされるランド212が形成された端子部21を有するフレキシブル基板20と、前記フレキシブル基板20の端子部21の少なくとも一部に面接触してこの一部を前記第一の取付面411aに押しつける基板保持部31と、を備えるフレキシブル基板を有する装置(モータ装置1)とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置内の所定の位置に取り付けられるフレキシブル基板を有する装置およびこのようなフレキシブル基板を有する装置を備えたモータ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、フレキシブル基板(FPC)が半田により端子に接続された構成が記載されている(特許文献1の図3等参照)。この特許文献1では、フレキシブル基板の浮き上がりを抑えるために、半田付けの前にフレキシブル基板が基板(取付面)に接着される。しかし、かかる構成では、半田付けの前にフレキシブル基板の接着作業が必要となる。また、接着剤が硬化するまでフレキシブル基板の半田付け作業に取りかかれないという問題も生ずる。
【0003】
また、下記特許文献2には、このようなフレキシブル基板の浮き上がりをアーム部によって防止した構成が記載されている(特許文献2の図5等参照)。しかし、かかる構成は、アーム部をフレキシブル基板に点(線)接触させたものであるため、この接触部分から離れた部分の浮き上がりを抑える効果が低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−192836号公報
【特許文献2】特開2009−42635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記問題に鑑みて、本発明が解決しようとする課題は、接続ピンに半田付けされるフレキシブル基板を有する装置およびこれを備えるモータ装置において、組立時の半田付けを容易にすべくフレキシブル基板の浮き上がりを効果的に抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明にかかるフレキシブル基板を有する装置は、平坦な第一の取付面から突出した接続ピンと、前記第一の取付面上に載置され前記接続ピンに半田付けされるランドが形成された端子部を有するフレキシブル基板と、前記フレキシブル基板の端子部の少なくとも一部に面接触してこの一部を前記第一の取付面に押しつける基板保持部と、を備えることを要旨とする。
【0007】
上記構成によれば、第一の取付面上に載置される端子部の一部を面状に押しつける基板保持部を有するから、フレキシブル基板における接続ピンに半田付けされるランド近傍の浮き上がりが抑えられる。したがって、フレキシブル基板を接続ピンに半田付けする作業が容易になる。また、上記構成は、フレキシブル基板を第一の取付面に接着する構成ではないから、組立作業性やコスト面で優れる。
【0008】
また、前記フレキシブル基板は、前記接続ピンに半田付けされるランドが形成された側の反対側に延びる部分が、前記端子部から屈曲した状態で取り付けられていればよい。
【0009】
このように、フレキシブル基板における接続ピンに半田付けされるランドが形成された側の反対側に延びる部分が、端子部から屈曲した状態で取り付けられる構成であると、接続ピンに接続される側がフレキシブル基板の弾性で大きく浮き上がり、半田付けが困難になるおそれがある。しかし、本発明では、上記基板保持部の存在により、このような浮き上がりを抑えることができる。
【0010】
また、前記基板保持部は、前記第一の取付面に直交する方向から取り付けられる構成であればよい。
【0011】
このように、基板保持部が第一の取付面に直交する方向から取り付けられる構成とすれば、基板保持部がフレキシブル基板の表面を擦ることがないため、組立時にフレキシブル基板を傷つけてしまうことが防止される。
【0012】
また、前記第一の取付面は第一の部材に形成され、前記基板保持部は第二の部材に形成され、第一の部材に対して第二の部材が位置決めされていればよい。
【0013】
上記構成によれば、第一の部材と第二の部材の相対位置精度に優れる。すなわち、第一の取付面と基板保持部の相対位置精度に優れる。したがって、ランド近傍におけるフレキシブル基板の浮き上がりを確実に抑えることができる
【0014】
また、本発明にかかるモータ装置は、前記接続ピンに半田付けされるランドが形成された側の反対側に延びる部分が、前記端子部から屈曲した状態で取り付けられたフレキシブル基板を有する装置と、モータと、このモータの出力側端面よりも出力側に設けられるリジッド基板と、リジッド基板に接続された端子ピンと、を備え、前記フレキシブル基板における前記接続ピンに半田付けされるランドが形成された側の反対側に延びる部分は、前記モータの側面に設けられたモータ端子に半田付けされ、前記端子ピンは、前記第一の取付面と平行かつ前記第一の取付面よりも低い第二の取付面から突出して設けられ、前記基板保持部によって前記第一の取付面に押しつけられた前記フレキシブル基板の前記端子部に形成された前記接続ピンに半田付けされるランドは、前記リジッド基板における前記第二の取付面に載置される部分に形成された前記端子ピンに半田付けされるランドと略同じ高さに位置することを要旨とする。
【0015】
上記モータ装置によれば、第一の取付面と第二の取付面との間の段差によって、フレキシブル基板の接続ピンに接続されるランドは、リジッド基板における端子ピンに接続されるランドと略同じ高さに位置するため、半田付け作業が行いやすい。
【0016】
また、前記接続ピンおよび前記端子ピンは、前記第一の取付面および前記第二の取付面が形成された第一の部材を貫通して、この第一の部材とともに前記モータの出力側と逆方向でコネクタの脱着が可能なコネクタ嵌合部を構成すればよい。
【0017】
このように、接続ピンおよび端子ピンが、第一の取付面および第二の取付面が形成された第一の部材を貫通して、モータの出力側と逆方向でコネクタの脱着が可能なコネクタ嵌合部を構成すれば、コネクタ嵌合部はモータの出力側と逆を向くことになり、モータの出力側を相手部品との取付面とした場合でもコネクタの脱着が容易になる。
【0018】
また、前記フレキシブル基板における前記接続ピンに半田付けされるランドおよび前記モータ端子に半田付けされるランドは、全て一方の面に形成されていればよい。
【0019】
このようにランドが一方の面に形成される構成であれば、フレキシブル基板を安価に構成できる。
【0020】
また、前記フレキシブル基板には、前記接続ピンに半田付けされるランドと前記モータ端子に半田付けされるランドを電気的に接続する導電体が形成され、この導電体は、前記モータ端子の突出方向を避けて配置されていればよい。
【0021】
このようにすれば、モータ端子の先端によってフレキシブル基板の導電体が傷ついてしまうことが防止される。また、モータ端子突出方向における装置の大きさを小さくすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、基板保持部によってフレキシブル基板におけるランド近傍の浮き上がりが抑えられ、フレキシブル基板を接続ピンに半田付けする作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態にかかるモータ装置(フレキシブル基板を有する装置)の分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるモータ装置(フレキシブル基板を有する装置)の上ケースを取り外した状態の外観図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかるモータ装置(フレキシブル基板を有する装置)の上ケースを取り外した状態の平面図(上方から見た図)である。
【図4】本発明の一実施形態にかかるモータ装置のケースを取り外した状態の側面図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかるモータ装置のケースを取り外した状態の側面図(図4とは反対方向から見た側面図)である。
【図6】プレート部材と下ケースの係合を説明するための図である。
【図7】本発明の一実施形態にかかるモータ装置(フレキシブル基板を有する装置)が有するフレキシブル基板の断面図である。
【図8】モータ端子とフレキシブル基板が、モータ端子の突出方向において重なっていない状態を示した図である。
【図9】下ケースの外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明における上下方向(高さ方向)とは、図1における上下方向をいうものとする。
【0025】
図1から図9に詳細を示す本実施形態にかかるモータ装置1(フレキシブル基板20を有する装置)は、モータ50を駆動源とする駆動装置であって、接続ピン10と、この接続ピン10に接続されるフレキシブル基板20と、このフレキシブル基板20に接触する基板保持部31と、を備える。
【0026】
接続ピン10は、導電性材料で形成された軸状の部材であり、平坦な第一の取付面411aから上方に突出して設けられている。本実施形態にかかるモータ装置1は、四つの接続ピン10を有する。接続ピン10が設けられた第一の取付面411aは、下ケース41(本発明における第一の部材に相当する)に形成された平坦な面である。下ケース41における第一の取付面411aが形成された部分には、ケース内側から外側に向かって窪んだ凹部(肉盗み部)413が等間隔に複数形成されている。また、下ケース41には、第一の取付面411aと平行な第二の取付面411bが並んで形成されている。第二の取付面411aは、第一の取付面411aよりも低く、両取付面の間(境界)には段差B(両取付面の高さの差)が存在する。この凹部413および段差Bによる作用については後述する。この下ケース41は、下ケース41に対して着脱自在に構成される上ケース42とともに、モータ装置1を構成する各種部材が収容されるケース40を構成する。
【0027】
フレキシブル基板20は、その一方側の端部に設けられる端子部21を有する。端子部21は、上記第一の取付面411a上に載置されている。また、端子部21には、貫通孔211(本実施形態では四つ)が形成され、各貫通孔211の周囲にはランド212が形成されている。この端子部21に形成された各貫通孔211に接続ピン10が挿通され、各接続ピン10は各ランド212に半田付けされている。すなわち、フレキシブル基板20(に形成された電気回路)と各接続ピン10は電気的かつ物理的に接続されている。
【0028】
このフレキシブル基板20は、ランド212が形成された側の反対側に延びる部分(他方側の端部に向かって延びる部分)は、端子部21から屈曲した状態で取り付けられている。具体的には、端子部21から屈曲して下方に向かって延び、モータ50が有するモータ端子51より下方でUターンさせるようにさらに屈曲している。このように屈曲させられるフレキシブル基板20の他方側の端部は、モータ50のモータ端子51と接続されている。フレキシブル基板20の他方側端部には、上記一方側端部と同じような貫通孔221およびランド222が形成されている。この他方側端部に形成されたランド222は、上記一方側端部に形成されたランド212(接続ピン10が接続されるランド212)と同一面(フレキシブル基板20の一方側の面)に形成されている。この他方側端部に形成された各貫通孔221にモータ端子51が挿通され、各モータ端子51はランド222に半田付けされる。このように、フレキシブル基板20を介して、モータ50と接続ピン10とは電気的に接続されている。
【0029】
さらに、フレキシブル基板20における端子部21から屈曲して下方に向かって延びている部分は、モータ端子51の突出方向において(モータ端子51の突出方向から見て)、モータ端子51と重ならないような形状に形成されている(図8参照)。すなわち、フレキシブル基板20は、モータ端子の突出方向を避けて配置されている。したがって、フレキシブル基板20における端子部21から屈曲して下方に向かって延びている部分をモータ50に近づけても(例えば、Uターンの屈曲部を小さくすると当該部分がモータ50に近づく)、モータ端子51の先端がフレキシブル基板20に接触することがない。モータ端子51がフレキシブル基板20に接触することがないということは、フレキシブル基板20に形成された、接続ピン10に半田付けされるランド212とモータ端子51に半田付けされるランド222を電気的に接続する導電体23(導電パターン;図7参照)に、モータ端子51が接触することがないということである。したがって、モータ端子51によって導電体23が損傷すること(断線等)を防止できる。
【0030】
基板保持部31は、フレキシブル基板20の端子部21の少なくとも一部に面接触する、合成樹脂などの絶縁性材料で形成された板状の部分である。本実施形態において基板保持部31は、モータ50の出力側に設けられる(モータプレート53の上面に密着して取り付けられる)プレート部材30(本発明における第二の部材に相当する)に形成されている。具体的には、基板保持部31は、プレート部材30のベース部32の一方側の側縁から突出して形成されている。図示されるように、基板保持部31は断面略「L」字状に形成されており、基板保持部31はベース部32よりも高い位置に(上に)位置する。すなわち、プレート部材30における基板保持部31とベース部32との境界には段差が存在する。
【0031】
この基板保持部31は、第一の取付面411a上に載置されるフレキシブル基板20の端子部21の少なくとも一部を覆い、当該一部を第一の取付面411aに押しつけるように(当該一部を第一の取付面411aと基板保持部31との間に挟持するように)取り付けられる。フレシキブル基板の端子部21は、この基板保持部31によって第一の取付面411aに押さえつけられた状態にあるため、大きく浮き上がることはない。
【0032】
ここで、基板保持部31は、端子部21におけるランド212(貫通孔211)から所定距離離れた所定の範囲を覆う。なお、この端子部21における基板保持部31に覆われる範囲は、できるだけ(半田付け作業を著しく困難にすることがない程度に)ランド212(貫通孔211)に近い方がよい。ランド212に近ければ近いほど、接続ピン10が半田付けされるランド212(貫通孔211)が形成された部分の浮き上がりが抑えられ、上記半田付けが容易になるからである。
【0033】
このように、フレシキブル基板20の端子部21は、できるだけ広い範囲で基板保持部31と第一の取付面411aとの間に挟まれた状態にあることが好ましい。したがって、第一の取付面411aにおける接続ピン10が設けられた位置よりも内側の部分(フレシキブル基板の端子部21が載置される部分)は、できるだけ大きくすることが好ましい。しかし、かかる部分を大きくすると、下ケース41における第一の取付面411aを構成する部分(当該部分の体積)が大きくなってしまい、下ケース41の樹脂成形時に当該部分に大きなヒケが発生し、接続ピン10が傾いてしまうおそれがある。このように接続ピン10が傾いてしまうと、後述するコネクタ嵌合部80に外部機器のコネクタが嵌合できないなどの問題が発生する可能性がある。
【0034】
これに対し本実施形態では、図7および図9に示すように、下ケース41における第一の取付面411aが形成された部分のケース内側寄りには、凹部(肉盗み部)413が形成されている。このような凹部413が形成されることにより、当該部分の体積が小さくなるから、大きなヒケの発生が防止される。また、凹部41は、(端子部21の幅方向に)等間隔に複数形成されている。このように凹部41が等間隔に複数形成されているということは、取付面411aにおけるフレシキブル基板20の端子部21と接触する部分(基板保持部31との間でフレシキブル基板20の端子部21を挟み込む部分)が均等に広がった構成であるということであるから、フレキシブル基板20の端子部21がより安定した状態で保持される。
【0035】
さらに、凹部41が形成される位置は、接続ピン10が並ぶ方向において、接続ピン10(接続ピン10が圧入される孔)同士の間(接続ピン10が圧入される孔の中心を通る直線D同士の間)に形成されていることが望ましい(図9参照)。かかる構成とすれば、接続ピン10が圧入される各孔に及ぼす凹部41の作用(ヒケ量の低減)が均等になる。つまり、接続ピン10の傾倒を防止する凹部41の機能が、各接続ピン10に均等に作用する。
【0036】
また、上記構成において、プレート部材30におけるベース部32の下面と基板保持部31の下面との高さの差は、第一の取付面411aとモータ50が所定位置に取り付けられたときにおけるモータプレート53の上面との高さの差よりも若干(寸法公差程度)小さくすることが好ましい。かかる構成とすれば、プレート部材30をモータプレート53に密着させて所定位置に取り付けたとき、基板保持部31がその根元から若干上方に弾性変形したような状態となるから、第一の取付面411aと基板保持部31との間にフレキシブル基板20の端子部21がより強固に(より強い圧力で)挟み込まれた状態となる。したがって、フレキシブル基板20の端子部21の位置ずれ等が防止され、接続ピン10に半田付けされた部分にかかる力が低減される。つまり、接続ピン10からフレキシブル基板20の接続部が外れてしまう(電気的に断線してしまう)おそれが低減される。
【0037】
また、基板保持部31の幅(接続ピン10が並んでいる方向の長さ)は、フレキシブル基板20の端子部21の幅よりも大きいことが好ましい。このようにすれば、フレキシブル基板20の端子部21の幅方向両側がめくれ上がるようなことはないから、接続ピン10に半田付けされた部分にかかる力が低減され、接続ピン10からフレキシブル基板20の接続部が外れてしまう(電気的に断線してしまう)おそれが低減される。
【0038】
このように構成された基板保持部31を有するプレート部材30は、第一の取付面411aが形成された下ケース41に位置決めされる。具体的には、下ケース41に形成された二つの係合突起412が、プレート部材30のベース部32に形成された二つの係合穴321に係合されることによって、プレート部材30が下ケース41に位置決めされている。したがって、第一の取付面411aと基板保持部31の相対位置のずれは小さい。
【0039】
また、図6に示すように、プレート部材30は、下ケース41に形成された係合突起412を係合穴321に係合させることによって位置決めされ取り付けられる構成であるため、上方向(すなわち、第一の取付面411aに直交する方向)からしか取り付けることができない。つまり、第一の取付面411aの平面方向にスライドさせるようにして取り付けることは不可能である。
【0040】
以上詳細を説明した各構成に加え、本実施形態にかかるモータ装置1は、駆動源であるモータ50と、リジッド基板60と、端子ピン70と、を備える。
【0041】
モータ50は下ケース41に保持されている。本実施形態ではモータ50の種別は問わない。円柱状に形成されたモータ50の側面(外周面)には、モータケースから外側に突出した四本のモータ端子51が設けられている。モータ端子51は、上下方向に直交する方向(各モータ端子51が平行)に突出している。上述したように、モータ端子51には、フレキシブル基板20の他方側が接続されている。また、このモータ端子51の高さ方向位置は、フレキシブル基板20の端子部21よりも低い。すなわち、モータ50の出力軸方向におけるフレキシブル基板20の端子部21の位置は、モータ端子51の位置(モータ端子51の軸線の位置)と異なる。
【0042】
リジッド基板60は、モータ50の出力側端面(モータプレート53)よりも出力側に設けられる、硬質の基材で構成された基板である。リジッド基板60とモータ50の出力側端面(モータプレート53)は、上下方向において重なる。基板の一方側には、貫通孔61(本実施形態では三つ)が形成され、各貫通孔61の周囲にはランド62が形成されている。この各貫通孔61には端子ピン70が挿通され、各端子ピン70はランド62に半田付けされている。つまり、リジッド基板60(に形成された電気回路)と端子ピン70は電気的に接続されている。図2等から分かるように、この端子ピン70は、上記第二の取付面411bから上方に突出して設けられる。第二の取付面411bは、第一の取付面411aと並んで形成されており、接続ピン10と端子ピン70は一直線上に並ぶ。両取付面の間(境界)に存在する段差B(両取付面の高さの差)は、フレキシブル基板20の厚みとリジッド基板60の厚みの差と略等しく設定されている。したがって、第一の取付面411a上に載置されるフレキシブル基板20の端子部21の上側面の高さと、リジッド基板60における第二の取付面411bの上側面の高さは略同じになる。そのため、フレキシブル基板20における端子部21の上側面に形成されたランド212と、リジッド基板60における第二の取付面411bに載置された部分の上側面に形成されたランド62の高さ方向位置は略同じになる。
【0043】
そして、これら接続ピン10と端子ピン70における第一の取付面411aおよび第二の取付面411bから上方に突出した部分の反対側は、下ケース41の下方から突出している。この下方に突出した部分およびそれを囲む下ケース41の一部が、モータ装置1を外部機器と電気的に接続するためのコネクタが嵌合するコネクタ嵌合部80を構成する。なお、コネクタ嵌合部80は、モータ50の出力方向(被駆動体が接続される側)とは反対方向に形成されている(コネクタ嵌合部80の開口方向が反出力方向である)ため、モータ装置1が被駆動体に接続された状態であっても、コネクタ嵌合部80に対するコネクタの脱着が可能である。
【0044】
一方、リジッド基板60の他方側には、ポテンショメータ63が実装されている。ポテンショメータ63は、動力伝達手段90を構成する一の歯車と噛合する検出用歯車94の回転方向位置を検出する。すなわち、検出用歯車94の回転方向位置から、モータ50の回転量(出力量)などを検出することができるようになっている。また、リジッド基板60は、第一の位置決め孔64に動力伝達手段90を構成する一の歯車の軸受部33が係合され、第二の位置決め孔65に位置決め突起が係合されることにより、プレート部材30に対して所定位置に位置決めされている。
【0045】
また、本実施形態にかかるモータ装置1は、駆動源であるモータ50の回転動力を被駆動体(図示せず)に伝達する動力伝達手段90を備える。本実施形態では、プレート部材30に固定された支持軸に回転自在に支持される第一の歯車91および第二の歯車92や、上ケース42に回転自在に支持される出力歯車93から構成される。モータ50の回転動力は、モータ50のロータと一体的に回転するロータ歯車52、ロータ歯車52に噛合する第一の歯車91、第一の歯車91に噛合する第二の歯車92、第二の歯車92に噛合する出力歯車93、の順で被駆動体に伝達される。そして、本実施形態では、出力歯車93に上記検出用歯車94が噛合している。なお、かかる動力伝達手段90の構成は一例であり、モータ50の動力が被駆動体に伝達される構成であればその構成は特に限定されない。
【0046】
以上説明した本実施形態にかかるモータ装置1(フレキシブル基板を有する装置)によれば次のような作用効果が奏される。本実施形態にかかるモータ装置1は、第一の取付面411a上に載置される端子部21の一部を面状に押しつける基板保持部31を有するから、フレキシブル基板20における接続ピン10に半田付けされるランド212近傍の浮き上がりが抑えられる。したがって、フレキシブル基板20を接続ピン10に半田付けする作業が容易になる。また、上記構成は、フレキシブル基板20を第一の取付面411aに接着する構成ではないから、組立作業性やコスト面で優れる。
【0047】
また、本実施形態にかかるモータ装置1は、フレキシブル基板20における接続ピン10に半田付けされるランド212が形成された側の反対側に延びる部分が、端子部21から屈曲した状態で取り付けられる構成である。かかる構成であると、接続ピン10に接続される側がフレキシブル基板20の弾性で大きく浮き上がり、半田付けが困難になるおそれがあるが、上記基板保持部31の存在により、このような浮き上がりを抑えることができる。
【0048】
また、本実施形態では、基板保持部31(プレート部材30)は、第一の取付面411aに直交する方向から取り付けられるため、基板保持部31がフレキシブル基板20の表面を擦ることがない。すなわち、組立時に基板保持部31によってフレキシブル基板20を傷つけてしまうことが防止される。
【0049】
また、本実施形態では、第一の取付面411aは第一の部材である下ケース41に形成され、基板保持部31は第二の部材であるプレート部材30に形成され、下ケース41に対してプレート部材30が位置決め固定されている。そのため、下ケース41とプレート部材30の相対位置精度に優れる。すなわち、第一の取付面411aと基板保持部31の相対位置精度に優れる。したがって、ランド212近傍におけるフレキシブル基板20の浮き上がりを確実に抑えることができる
【0050】
また、本実施形態では、第一の取付面411aと第二の取付面411bとの間の段差Bによって、フレキシブル基板20の接続ピン10に接続されるランド212は、リジッド基板60における端子ピン70に接続されるランド62と略同じ高さに位置するため、半田付け作業が行いやすい。
【0051】
また、本実施形態では、リジッド基板60がモータ50の出力側端面と重なるように設けられているため、フレキシブル基板20を屈曲させて接続ピン10とモータ端子51とを接続する必要が生ずる。つまり、基板保持部31によってフレキシブル基板20の浮き上がりを防止する意義が大きい。
【0052】
また、本実施形態では、フレキシブル基板20における接続ピン10に半田付けされるランド212およびモータ端子51に半田付けされるランド222は、全て一方の面に形成されているため、フレキシブル基板20を安価に構成できる。なお、このようにランド212,222が全て一方の面に形成されているため、フレキシブル基板20の他端側22を「U」字状に屈曲させる必要が生ずる。また、このように一方の面にのみランド212,222が形成されているため、組立時にはまずフレキシブル基板20の他端側22がモータ端子51に半田付けされ、その後フレキシブル基板20の一端側が接続ピン10に半田付けされることになる。
【0053】
また、フレキシブル基板20の導電体23は、モータ端子51の突出方向を避けて配置されているため、モータ端子51の先端によってフレキシブル基板20の導電体23が傷ついてしまうことが防止される。また、モータ端子51の突出方向における装置の大きさを小さくすることができる。
【0054】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 モータ装置(フレキシブル基板を有する装置)
10 接続ピン
20 フレキシブル基板
21 端子部
211 貫通孔
212 (フレキシブル基板に形成された)ランド
23 導電体
30 プレート部材
31 基板保持部
411a 第一の取付面
411b 第二の取付面
50 モータ
51 モータ端子
60 リジッド基板
62 (リジッド基板に形成された)ランド
70 端子ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦な第一の取付面から突出した接続ピンと、
前記第一の取付面上に載置され前記接続ピンに半田付けされるランドが形成された端子部を有するフレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板の端子部の少なくとも一部に面接触してこの一部を前記第一の取付面に押しつける基板保持部と、を備えることを特徴とするフレキシブル基板を有する装置。
【請求項2】
前記フレキシブル基板は、前記接続ピンに半田付けされるランドが形成された側の反対側に延びる部分が、前記端子部から屈曲した状態で取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル基板を有する装置。
【請求項3】
前記基板保持部は、前記第一の取付面に直交する方向から取り付けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフレキシブル基板を有する装置。
【請求項4】
前記第一の取付面は第一の部材に形成され、前記基板保持部は第二の部材に形成され、第一の部材に対して第二の部材が位置決めされていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のフレキシブル基板を有する装置。
【請求項5】
請求項2に記載のフレキシブル基板を有する装置と、
モータと、
このモータの出力側端面よりも出力側に設けられるリジッド基板と、
このリジッド基板に接続された端子ピンと、を備え、
前記フレキシブル基板における前記接続ピンに半田付けされるランドが形成された側の反対側に延びる部分は、前記モータの側面に設けられたモータ端子に半田付けされ、
前記端子ピンは、前記第一の取付面と平行かつ前記第一の取付面よりも低い第二の取付面から突出して設けられ、
前記基板保持部によって前記第一の取付面に押しつけられた前記フレキシブル基板の前記端子部に形成された前記接続ピンに半田付けされるランドは、前記リジッド基板における前記第二の取付面に載置される部分に形成された前記端子ピンに半田付けされるランドと略同じ高さに位置することを特徴とするモータ装置。
【請求項6】
前記接続ピンおよび前記端子ピンは、前記第一の取付面および前記第二の取付面が形成された第一の部材を貫通して、この第一の部材とともに前記モータの出力側と逆方向でコネクタの脱着が可能なコネクタ嵌合部を構成することを特徴とする請求項5に記載のモータ装置。
【請求項7】
前記フレキシブル基板における前記接続ピンに半田付けされるランドおよび前記モータ端子に半田付けされるランドは、全て一方の面に形成されていることを特徴とする請求項6に記載のモータ装置。
【請求項8】
前記フレキシブル基板には、前記接続ピンに半田付けされるランドと前記モータ端子に半田付けされるランドを電気的に接続する導電体が形成され、この導電体は、前記モータ端子の突出方向を避けて配置されていることを特徴とする請求項7に記載のモータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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