説明

フロアカーペットの取付構造

【課題】インストルメントパネルに対するフロアカーペットの取付作業性を向上させることができるフロアカーペットの取付構造を提供すること。
【解決手段】フロアカーペット1の取付構造は、車両の前席のフロアパネル上に配置するフロアカーペット1の中央側端部11に、その面方向に延長形成した突出部12を有している。フロアカーペット1は、突出部12に設けた掛止穴121に、インストルメントパネル2の下部に一体成形した掛止フック22の先端部221を挿入し、掛止フック22によって突出部12を掛止することによって、インストルメントパネル2に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前席の床面に配置するフロアカーペットの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の前席(運転席及び助手席)の床面に配置するフロアカーペットは、インストルメントパネルの下部に設けた取付部に対して、樹脂製のクリップを用いて取り付けている。このとき、フロアカーペットに設けた貫通穴にクリップの掛止フックを差し込み、この掛止フックを取付部に設けた取付穴に掛止させている。
また、例えば、特許文献1の車両のフロア構造においては、フロアカーペットにスリットを入れて切り起こした立ち上げ部の上部を、インパネサポートに係止した車両のフロア構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−67194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記クリップを用いたフロアカーペットの取付構造においては、作業者は、フロアカーペットを持ちながらクリップを取付穴に差し込む必要があり、作業性に優れない。また、上記特許文献1においては、車両におけるコンソールブラケットに対して、ねじを用いてコンソールボックス及びフロアカーペットの立ち上げ部の上部を固定している。そのため、作業者は、コンソールボックス及びフロアカーペットの両方に設けた穴にねじを挿入して締め付ける必要があり、その作業性に優れない。
【0005】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、インストルメントパネルに対するフロアカーペットの取付作業性を向上させることができるフロアカーペットの取付構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両の前席のフロアパネル上に配置するフロアカーペットの中央側端部に、その面方向に延長形成した突出部を有し、
該突出部に設けた掛止穴に、インストルメントパネルの下部に一体成形した掛止フックの先端部を挿入し、該掛止フックによって上記突出部を掛止することによって、上記フロアカーペットを上記インストルメントパネルに取り付けたことを特徴とするフロアカーペットの取付構造にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0007】
本発明のフロアカーペットの取付構造においては、フロアカーペットの突出部の掛止穴をインストルメントパネルの掛止フックに掛止させるといった極めて簡単な取付構造により、フロアカーペットの中央側端部をインストルメントパネルに取り付けることができる。
また、突出部はフロアカーペットから延長形成し、掛止フックはインストルメントパネルに一体成形している。これにより、フロアカーペット及びインストルメントパネルを簡単に作製することができる。また、フロアカーペットの突出部は、クリップ、ねじ等を用いることなくインストルメントパネルに取り付けることができる。これにより、作業者は極めて簡単にフロアカーペットの取付作業を行うことができる。
【0008】
それ故、本発明のフロアカーペットの取付構造によれば、インストルメントパネルに対するフロアカーペットの取付作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例における、フロアカーペットを示す斜視図。
【図2】実施例における、フロアパネルにインストルメントパネルを組み付けた状態を示す斜視図。
【図3】実施例における、フロアパネルにフロアカーペットを配置した状態を示す斜視図。
【図4】実施例における、フロアパネル及びインストルメントパネルにコンソールボックスを組み付けた状態を示す斜視図。
【図5】実施例における、インストルメントパネルの掛止フックに、フロアカーペットの突出部を掛止させた状態を示す斜視図。
【図6】実施例における、掛止フックに突出部を掛止させた部分を拡大して示す斜視図。
【図7】実施例における、掛止フック及び突出部をコンソールパネルで覆った部分を拡大して示す斜視図。
【図8】実施例における、掛止フックに突出部を掛止させた部分の左右方向の断面を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上述した本発明のフロアカーペットの取付構造における好ましい実施の形態につき説明する。
本発明において、上記突出部をコンソールボックスの側壁部によって覆うことが好ましい(請求項2)。
この場合には、インストルメントパネルの掛止フックに対するフロアカーペットの突出部の外れ防止を行うことができ、かつ掛止フックが視認できなくなったことによる見栄えの向上を図ることができる。また、掛止フックをコンソールボックスによって覆うことにより、車両の乗員に対する加害性を低下させることができる。
【実施例】
【0011】
以下に、本発明のフロアカーペットの取付構造に係る実施例につき、図面を参照して説明する。
本例のフロアカーペット1の取付構造は、図1、図3に示すごとく、車両の前席5のフロアパネル3上に配置するフロアカーペット1の中央側端部11に、その面方向に延長形成した突出部12を有している。フロアカーペット1は、図5、図6に示すごとく、突出部12に設けた掛止穴121に、インストルメントパネル2の下部に一体成形した掛止フック22の先端部221を挿入し、掛止フック22によって突出部12を掛止することによって、インストルメントパネル2に取り付けられている。
【0012】
以下に、本例のフロアカーペット1の取付構造につき、図1〜図8を参照して詳説する。
図1に示すごとく、本例のフロアカーペット1は、乗用自動車の運転席及び助手席のフロアパネル3に配置するものであり、運転席側部分1Aと助手席側部分1Bとが繋がれている。フロアカーペット1は、ゴムからなる基材の表面側に繊維質からなる表面材を張り合わせて構成されている。本例の突出部12は、ゴムからなる基材を延長形成してなる。運転席側部分1Aと助手席側部分1Bとは、面ファスナ等の着脱可能なシート13によって繋いでおくことができる。突出部12は、フロアカーペット1の運転席側部分1A及び助手席側部分1Bにおいて、中央側端部11の前方側位置に形成してある。
なお、図1〜図7においては、車両の前方を符号Fによって示す。
【0013】
図2に示すごとく、インストルメントパネル2は、車両の前方において計器類等を配設する樹脂製の内装パネルである。フロアパネル3は、その左右方向の中心部分を隆起させたフロアトンネル部31を有している。図5、図6に示すごとく、掛止フック22は、インストルメントパネル2の左右方向の中心部分の下方に延設した下方延設部21から形成されており、先端部221が上方に向けて屈曲されたフック形状を有している。
【0014】
図3に示すごとく、フロアカーペット1は、フロアトンネル部31の表面を避けながらフロアパネル3上に配置される。フロアカーペット1の運転席側部分1A及び助手席側部分1Bの中央側端部11は、フロアトンネル部31の左右の側面に配置され、図4に示すごとく、フロアトンネル部31の上方に設けられるコンソールボックス4の左右の側壁部41によって覆われる。そして、図7、図8に示すごとく、掛止穴121がインストルメントパネル2の掛止フック22に掛止されたフロアカーペット1の突出部12は、コンソールボックス4の側壁部41の内側に設けられた突起42によって押さえられ、掛止フック22に対する突出部12の掛止状態の外れ防止がなされている。
なお、図8は、掛止フック22に突出部12を掛止させた部分の左右方向Wの断面を示す。
【0015】
車両の組付を行う際には、図2に示すごとく、フロアパネル3を含む車両ボディに対してインストルメントパネル2を組み付ける。次いで、図3に示すごとく、フロアパネル3上にフロアカーペット1を配置する。このとき、インストルメントパネル2に設けた掛止フック22の先端部221を突出部12の掛止穴121に挿入し、突出部12を掛止フック22によって掛止する。
なお、フロアカーペット1は、掛止フック22に掛止させる突出部12以外の部分(中央側端部11の後方位置、左右方向外側端部の前後位置等)は、クリップ、面ファスナ等を用いてフロアパネル3等に取り付けることができる。
【0016】
次いで、フロアパネル3及びインストルメントパネル2にコンソールボックス4を組み付け、フロアカーペット1の中央側端部11をコンソールボックス4の左右の側壁部41によって覆う。このとき、側壁部41の内側に設けられた突起42によって突出部12を押さえ付け、掛止フック22に対する突出部12の掛止状態の外れ防止を行う。
【0017】
本例のフロアカーペット1の取付構造においては、フロアカーペット1の突出部12をインストルメントパネル2の掛止フック22に掛止させるといった極めて簡単な取付構造により、フロアカーペット1の中央側端部11をインストルメントパネル2に取り付けることができる。
また、突出部12はフロアカーペット1から延長形成し、掛止フック22はインストルメントパネル2に一体成形している。これにより、フロアカーペット1及びインストルメントパネル2を簡単に作製することができる。そして、フロアカーペット1の突出部12は、クリップ、ねじ等を用いることなくインストルメントパネル2に取り付けることができる。これにより、作業者は極めて簡単にフロアカーペット1の取付作業を行うことができる。
【0018】
それ故、本例のフロアカーペット1の取付構造によれば、インストルメントパネル2に対するフロアカーペット1の取付作業性を向上させることができる。
また、コンソールボックス4の側壁部41によって突出部12を覆うことにより、掛止フック22に対する突出部12の外れ防止を行うことができ、かつ掛止フック22が視認できなくなったことによる見栄えの向上を図ることができる。また、掛止フック22をコンソールボックス4によって覆うことにより、車両の乗員に対する加害性を低下させることができる。
【符号の説明】
【0019】
1 フロアカーペット
11 中央側端部
12 突出部
121 掛止穴
2 インストルメントパネル
22 掛止フック
221 先端部
3 フロアパネル
4 コンソールボックス
41 側壁部
5 車両の前席

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前席のフロアパネル上に配置するフロアカーペットの中央側端部に、その面方向に延長形成した突出部を有し、
該突出部に設けた掛止穴に、インストルメントパネルの下部に一体成形した掛止フックの先端部を挿入し、該掛止フックによって上記突出部を掛止することによって、上記フロアカーペットを上記インストルメントパネルに取り付けたことを特徴とするフロアカーペットの取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載のフロアカーペットの取付構造において、上記突出部をコンソールボックスの側壁部によって覆ったことを特徴とするフロアカーペットの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−207458(P2011−207458A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80054(P2010−80054)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【Fターム(参考)】