説明

フロアマット

【課題】圧縮強度と高い屈曲性のヒールパッドを提供する。
【解決手段】フロアマット本体と、フロアマット本体の上面と同じ面が上面、その反対面であって、垂直方向に突き出た複数の独立した支持部材42がある面を下面22としたヒールパッドとで構成される。支持部材42は、中空で、その水平断面形状が、円形、楕円形、三角形、四角形、五角形、六角形、多角形のいずれかとし、互いに間隔を置いて縦と横に列を作って配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロアマットに関し、より詳細には自動車の中で通常使用される柔軟な保護マットを保護するためのフロアマットに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用のフロアマットは、一般に、土や水などによって自動車のフロアが汚れるのを防ぐために使用される。さらに、自動車用のフロアマットは、アクセルペダルを操作する運転者の足を載せるヒールパッドとして、車両の運転者側に使用される。このようなヒールパッドは、上面を耐摩擦性にし、下面をヒールパッドの支持格子を設けた構成としている。フロアマットは、上面は厚い素材で作られ、その周囲のマット上面より僅かに高くするのが一般的で、運転者の足の重さを受けている。
【0003】
ヒールパッドは、一般にパッドの下に支持格子を設けてそこに空洞を形成している。したがって、支持格子は、運転者の足の重さを受けて、これを支える構成であり、一般に碁盤目状に形作られたプラスチックの格子編みリブによって作られる。
【0004】
従来の自動車用のフロアマットは、射出成形によって製造されるため、この製造工程でヒールパッドと支持格子は一体的に形成される。そこで支持格子は、加圧下でプラスチックを射出成型し易い形状になっている。
【0005】
また、運転者がアクセルペダルを操作しているときには、足は傾いているので、運転者の足の重さは、フロアマットの運転者のかかとが当たる部分に集中してかかる。運転者が重い靴を履いている場合にはなおさらである。
【0006】
そこで、支持格子は、集中する力に対処できるように設計され、周囲のフロアマット素材に比較して相対的に硬く、柔軟でなくなっている。フロアマット業界では、フロアマットの全表面で柔軟性を増すことが望まれている。
【0007】
自動車のフロアマットについては、例えば、下面にリブを格子状に形成して、吸振・防音性能に優れるとともに、足当たりの感触のよい運転ステップ用の可撓性マット〔特許文献1〕、表皮部材と、表皮部材の床面側に格子状に形成されて表皮部材を補強するリブ部材とを備え、表皮部材の下面から床面へ向けて柱状に立設する柱状リブと、柱状リブに対し着脱自在に支持される面状リブを設けて、柔軟性を高めたフロアマット〔特許文献2〕などの報告がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平09−193703号公報
【特許文献2】特開2007−182114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、圧縮強度と高い屈曲性のヒールパッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の要望は、フロアマットのヒールパッド部分に独立した支持部材を設けることによって満たされる。そこでヒールパッドは、この支持部材を、柔軟性が優れた素材で従来の支持格子と少なくとも同じ数設けて、通常のマット素材の柔軟性に匹敵するヒールパッドが実現できる。
【0011】
そこで、本発明のフロアマットは、フロアマット本体と、フロアマット本体の上面と同じ面が上面、その反対面であって、垂直方向に突き出た複数の独立した支持部材がある面を下面としたヒールパッドとで構成される。
【0012】
本発明の支持部材は、ヒールパッドの下面に水平断面形が円形、楕円形、三角形、四角形、五角形、六角形、その他の多角形形状で、互いに間隔をおいてそれzれ独立に突出して、見た目には縦と横に列を作っている。特に好ましい模様では、個々の支持部材が、従来の支持格子の交差点となっていた場所に位置する。
【0013】
別の実施態様では、a)フロアマット本体と、フロアマットの上面と同じ面となる上面と、その反対面にあって、垂直方向に突き出た複数の独立した支持部材がある下面を有するヒールパッドと、b)ヒールパッドの下面は、周縁壁から間隔をおいて、空洞を有する支持部材が配列され、c)支持部材は、それぞれフロアマット本体の厚さの2/3に相当する長さである、構成となっている。
【発明の効果】
【0014】
本発明のヒールパッドは、ヒールパッド部分でフロアマットが後方上方向に折り曲げられる程に柔軟である。加えて、本発明のフロアマットのヒールパッド部分は、多方向に折り曲げできる柔軟性があり、マットの設置及び取り外しの操作が容易になる。ヒールパッドを備えた従来のマットとは対照的に、格子編みではないことによって、接続された支持クロスメンバーは柔軟性を促す。同時に、
【0015】
本発明のヒールパッドは、従来のものと同等の圧縮強度を持ち、しかもプラスチック素材が少なくて済む。柔軟性を増した本発明のヒールパッドのもう一つの利点は、多くの車両でファイアウォールに隣接したアクセルペダルの近くに比較的硬いヒールパッドが位置するとき、このフロアマットは、従来のものに比べて車両ファイアウォールのより近くに適合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来技術における自動車用フロアマットの上面平面図である。
【図2】図1のフロアマットの下面平面図である。
【図3】図2の線3−3に沿った断面図である。
【図4】図1のフロアマットの上面斜視図である。
【図5】本発明に係るフロアマットの上面平面図である。
【図6】図5のフロアマットの下面平面図である。
【図7】図6の線7−7に沿った垂直断面図である。
【図8】図7の部分拡大図である。
【図9】図5のマットの下面斜視図である。
【図10】図5のフロアマットを部分的に曲げた状態での斜視図である。
【図11】図1の従来技術におけるフロアマットを部分的に曲げた状態での斜視図である。
【図12】図5のマットの下面拡大平面図であり、図中の(A)は、支持部材の断面形状の例である。
【図13】本発明に係るフロアマットを、端部を面に対して垂直上方向に引上げた状態の斜視図である。
【図14】本発明に係るフロアマットを、面に対して垂直な軸を中心にねじる方向に力を加えたときの状態の斜視図である。
【図15】本発明に係るフロアマットを、水平に後方向に折り曲げたときの状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜4には従来の自動車用フロアマットを示しており、通常、自動車用として設計されている。しかし本発明のフロアマットは、住居、ビジネス、公共施設などで使用される柔軟なフロア保護マットと同じ性状の素材構成で形成可能である。フロアマットは、射出成形、またはその他の成形技術で形成できる。そして、その素材は、当技術分野で周知のように、熱可塑性エラストマ(TPE)で可能である。
【0018】
従来のフロアマット10は、フロアマット本体11の上面12が、周縁14で形どられている。フロアマット10を車両フロア(表示していない)に確実に固定するために、少なくとも一つの留め具16が設けられる。周知のように、上面12は、多くの場合カーペット状になって、足を載せる部分では摩擦面にしている。運転者側での使用のために設計されたフロアマット10の場合では、上面12の一部がヒールパッド18にしている。
【0019】
ヒールパッド18は、フロアマット10の上面と同じ面が上面20、その反対面が下面22となって、周縁壁26によって区画され、下面22から碁盤目状にリブ30が突起して支持格子28を作り、リブ30の間が空洞24になっている。
【0020】
このような従来のヒールパッド18は、支持格子28により柔軟性が著しく低下し、設置や取り外しの際に扱い難く、車両ファイアウォールにぴったりと沿うようにするのを難しくしている。
【0021】
支持格子28は、射出成形過程で溶融プラスチックの流れを促進するためにリブ30の厚みを薄くする必要がある。しかし、リブ30を薄くすることで柔軟性を上げようとする試みは、製品の成型性を悪くして商業的に不利であり、さらに、ヒールパッドを支持する力が不充分となることがある。また、リブ30の厚みが厚いと、この特定の部位の溶融プラスチックを冷やすのに長い時間を要することになり、結果として望まない凸凹が出来、部分的な収縮もあって不均一な外観となる。
【0022】
図5〜9及び図12には、本発明のフロアマット40を示している。ここで、従来のフロアマット10と共通する部分は、同じ参照番号を付している。従来のフロアマット10と本発明のフロアマト40の主な違いは、従来のフロアマット10におけるフロアマット10の支持格子28の代わりに、本発明のフロアマト40では、ヒールパッド43の下面22に独立した複数の支持部材42を備えているところにある。すなわち、ヒールパッド43は、その下面22から複数の支持部材42がそれぞれ独立した配置で垂直方向に突き出ている。
【0023】
支持部材42は、中空、好ましくは円筒状で水平切断面が円形とする。もちろん、水平切断面が楕円形、三角形、四角形、五角形、六角形、その他多角形であってもよく、またこれらが入り交ざった形態でもよい。図12の(A)には、支持部材の水平切断面における断面形状の例を示している。
【0024】
支持部材42は、柔軟性が優れた素材で、ヒールパッド43と一体に形成され、その上端44がヒールパッド43の下面22に接続し、上端44の反対側となる下端46がフロアマット40の下端48と同じ面になるようにする。
【0025】
好ましい実施態様では、支持部材42は、従来の支持格子28におけるリブ30の交差点に相当する位置に分布され、代表的に、縦と横に列をなして分布される。また、支持部材42は、ヒールパッド43の周縁壁26に接触しないのが好ましいが、支持部材42のいくつかが周縁壁26に接触しても、ヒールパッド43の他の部位には影響しない。
【0026】
支持部材42は、上記のように中空で、下面22から突出しており、その長さは、フロアマット本体11の厚さ“T”の2/3であることが好ましい。具体的には、支持部材42の長さは、0.060から0.090インチの範囲にあるのが好ましい。
【0027】
図10と図11には、本発明のフロアマットと従来のフロアマットそれぞれを部分的に曲げた状態を示している。本発明のフロアマット40のヒールパッド構造は、高い屈曲性となり、従来のフロアマット10の支持格子28と同等のZ軸方向強度が満たされる利点がある。
【0028】
さらに、従来のフロアマット10の場合とは対照的に、本発明のフロアマット40のヒールパッド43は、後方向に丸く曲げられるほどに柔軟である。
【0029】
支持部材42それぞれの間隔は、縦、横ともに大凡1インチ〜2インチであり、これ以外の間隔も考えられる。支持部材42の直径は、小さい方がより柔軟なマットとなる。直径が大きくなると、支持部材42は最終的には隣接した支持部材と接触し、柔軟性が減少するので、これは避けたいことである。好ましい直径は、隣接した支持部材との間隔の約1/2である。
【0030】
図3と図7を比較すると、本発明のフロアマト40(図7)は、従来のフロアマット10(図3)と異なり、独立した垂直に伸びる支持格子42を有している。このような形態の支持部材42は、図1〜4の従来のフロアマット10における支持格子28よりも、Z軸へより強度を増すことは明らかである。
【0031】
図13〜15を参照すると、本発明のフロアマット40は、従来のマット10と比較して、ヒールパッド43部分で柔軟性が大きくなっている。図13〜15では、マット40を曲げたときの動き方向を矢印で描いている。具体的には、マット40は、図13では周縁14のうち長さ方向端部を面に対して垂直上方向に引上げたときであり、柔軟に曲げられ、図14では面に対して垂直な軸を中心にねじる方向に力を加えたときであり、柔軟で、折り曲げ可能であり、図15では、水平に後方向に折り曲げたときであり、後方向に折り曲げ可能である。すなわち、フロアマット40は、多方向に屈曲できる。
【0032】
すなわち、本発明のフロアマット40のヒールパッド18は、従来のフロアマット10の支持格子28より柔軟であり、本発明のフロアマット40は、従来のフロアマット10よりも柔軟になる。
【0033】
以上、複数の独立した支持部材42を有する本発明のフロアマットを、特定の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲の記載から、当業者によって適切に変更及び修正されることができる。
【符号の説明】
【0034】
10;(従来技術による)フロアマット
11;フロアマット本体
12;(フロアマットの)上面
14;(フロアマットの)周縁
16;(フロアマットの)留め具
18;ヒールパッド
20;(ヒールパッドの)上面
22;(ヒールパッドの)下面
24;空洞
26;(ヒールパッドの)周縁壁
28;支持格子
30;リブ
40;フロアマット
42;支持部材
43;ヒールパッド
44;(支持部材の)上端
46;(支持部材の)下端
48;(フロアマットの)下端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアマット本体(11)と、
前記フロアマット本体(11)の上面と同じ面を上面(20)、その反対面であって、垂直方向に突き出た複数の独立した支持部材(42)がある面を下面(22)としたヒールパッド(43)と、
でなることを特徴とするフロアマット。
【請求項2】
複数の前記支持部材(42)は、互いに間隔を置いて縦と横に列を作って配置されていることを特徴とする請求項1に記載のフロアマット。
【請求項3】
前記支持部材(42)は、水平断面形状が、円形、楕円形、三角形、四角形、五角形、六角形、多角形のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のフロアマット。
【請求項4】
前記支持部材(42)は、中空であることを特徴とする請求項1に記載のフロアマット。
【請求項5】
前記支持部材(42)の直径は、隣接した支持部材(42)との間の距離の1/2であることを特徴とする請求項1に記載のフロアマット。
【請求項6】
前記ヒールパッド(43)は、多方向に屈曲できる柔軟性をもつことを特徴とする請求項1に記載のフロアマット。
【請求項7】
前記ヒールパッドの下面(22)は、周縁壁(26)から間隔をおいて、空洞(24)を有する前記支持部材(42)が配列されていることを特徴とする請求項1に記載のフロアマット。
【請求項8】
前記支持部材(42)はそれぞれ、前記フロアマット本体の厚さの2/3に相当する長さであることを特徴とする請求項1に記載のフロアマット。
【請求項9】
前記支持部材(42)の長さは、0.060から0.090インチの範囲であることを特徴とする請求項8に記載のフロアマット。
【請求項10】
フロアマット本体(11)と、
前記フロアマット(11)の上面と同じ面となる上面(20)と、その反対面であって、垂直方向に突き出た複数の独立した支持部材(42)がある下面(22)を有するヒールパッド(43)と、でなり、
前記ヒールパッドの下面(22)は、周縁壁(26)から間隔をおいて、空洞(24)を有する前記支持部材(42)が配列され、
前記支持部材(42)は、それぞれ前記フロアマット本体の厚さの2/3に相当する長さである
ことを特徴とするフロアマット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−112344(P2013−112344A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−262200(P2012−262200)
【出願日】平成24年11月30日(2012.11.30)
【出願人】(512310103)サーモフレックス コーポレーション (1)
【氏名又は名称原語表記】THERMOFLEX CORPORATION
【住所又は居所原語表記】1535 South Lakeside Drive Waukegan,Illinois 60085,USA
【Fターム(参考)】