説明

フロキュレーション安定なジケトピロロピロール顔料調製物

本発明は、次式(I)、(II)及び(III)で表される化合物からの顔料調製物であって、a) C.I.ピグメントレッド254を95〜99.9%、b) スルホン酸塩(II)を0.1〜5%、c) ビススルホン酸塩(III)を0〜0.5%を含むことを特徴とする、顔料調製物。
【化1】


(式中、M2+は、ストロンチウムイオン又はバリウムイオン、又はストロンチウムイオン及びバリウムイオンの任意の混合物である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(II)及び場合によっては(III)で表される、特定のスルホン化及びレーキ化された相乗作用剤(Synergisten)を含むC.I.ピグメントレッド254調製物に関する。
【背景技術】
【0002】
ジケトピロロピロール(DPP)顔料の使用時にしばしば生じる問題の一つは、塗料中における顔料のフロキュレーションである。乾燥の間に、顔料が塗料系中で沈降すると、明らかに色調が変化する。結果として、光沢に乏しい曇った色調がもたらされる。フロキュレーションは、塗料を塗布する時間及びやり方に依存するため、その作用は、塗装面を後塗装又は補修する際に、非常に好ましくない作用をもたらす。
【0003】
DPP顔料のフロキュレーションが、相乗作用剤によって減少できることは知られている。相乗作用剤の典型例は、スルホン酸、カルボン酸又はリン酸を含有するDPPをベースとする無機添加剤であり、例えば、欧州特許出願公開第0224445A2号(特許文献1)、欧州特許出願公開第0430875A2号(特許文献2)及びドイツ国特許出願公開第4037556A1号(特許文献3)中に記載されている。それら酸基含有の相乗作用剤は、アンモニウムカチオン又は金属カチオンでレーキ化することができる。
【0004】
これまでに知られている相乗作用剤をC.I.ピグメントレッド254と組み合わせて使用することで、その顔料の汎用性が制限されていた。例えば、それらの相乗作用剤は、純粋なC.I.ピグメントレッド254に比べて、その色調を著しくシフトさせる。それゆえ、その色調の逸脱を減少させるために、最少量のDPPベースの相乗作用剤が使用されている。しかしながら、この逸脱を完全に抑制することはできていない。
【0005】
水ベース塗料の場合、PR254と組み合わせてこれまでに使用されていた相乗作用剤の本質的な欠点とは、DIN EN20105−A02による上塗り堅牢度(Ueberlackierechtheit)が明らかにより劣っていることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0224445A2号
【特許文献2】欧州特許出願公開第0430875A2号
【特許文献3】ドイツ国特許出願公開第4037556A1号
【特許文献4】欧州特許出願公開第0184982A1号
【特許文献5】欧州特許出願公開第0094911A2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、一方で、C.I.ピグメントレッド254のフロキュレーションを阻止し、それと同時に、処理されていない顔料と比べて匹敵する色調及び、特に水ベース塗料において、匹敵するDIN EN20105−A02による上塗り堅牢度を備えた、顔料調製物を提供するという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、以下で定義する、特別にレーキ化したDPP相乗作用剤を有するPR254顔料調製物が上記の課題を解決することが見出された。
【0009】
本発明の対象は、
a) 次式(I)で表されるC.I.ピグメントレッド254を95〜99.9重量%、好ましくは97〜99.9重量%、特に好ましくは98.5〜99.9重量%;
b) 次式(II)で表されるスルホン酸塩を0.1〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%、特に好ましくは0.1〜1.5重量%;
c) 次式(III)で表されるビススルホン酸塩を0〜0.5重量%、好ましくは0〜0.3重量%、特に好ましくは0〜0.2重量%、
を含む顔料調製物であり、それぞれは該顔料調製物の全重量(100重量%)に基づいている。
【0010】
【化1】

【0011】
式中、M2+は、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、又はストロンチウムイオン及びバリウムイオンの混合物であるが、とりわけストロンチウムである。
【0012】
上記の式(III)のビススルホン酸塩が存在する場合、その含有量は、顔料調製物の全重量に基づいて有利には0.01〜0.5重量%、好ましくは0.01〜0.3重量%、特に好ましくは0.01〜0.2重量%である。
【0013】
上記の式(II)及び(III)の相乗作用剤の製造は、ベンゾニトリル及び4−クロロ−ベンゾニトリルからなる適した混合物を用いて、例えば、ドイツ国特許出願公開第4037556A1号(特許文献3)、例1に従い慣用的なDPP混合合成、及び引き続くスルホン化及びSt及び/又はBaでのレーキ化によって遂行できる。そのようにして得られた混合物は、約30〜70重量%がC.I.ピグメントレッド254からなり、20〜50重量%がモノスルホン酸塩からなり、そして5〜30重量%がビススルホン酸塩からなる。この混合物は、更に別のC.I.ピグメントレッド254を用いて所望する使用濃度にすることができる。
【0014】
代替的に、純粋な形態の上記の式(II)の相乗作用剤を、例えば、欧州特許出願公開第0184982A1号(特許文献4)、例6に従って製造された非対称性ジケトピロロピロール(IV)を、次の化学スキームに従ってスルホン化し、そしてその後レーキ化するよって得ることができる。
【0015】
【化2】

【0016】
前述のレーキ化は、有利には、適当な溶媒、好ましくは水中に溶解した又は懸濁液としての可溶性の無機バリウム塩及び/又はストロンチウム塩、例えば、ハロゲン化バリウム又はハロゲン化ストロンチウム、水酸化バリウム又は水酸化ストロンチウム、又は酢酸バリウム又は酢酸ストロンチウム、好ましくは塩化バリウム又は塩化ストロンチウム、臭化バリウム又は臭化ストロンチウム、及び酢酸バリウム又は酢酸ストロンチウムを用いて行われる。特に好ましくは、pH値3.5〜12、特に好ましくはpH7〜pH10で、20〜100℃、特に好ましくは50〜80℃の温度のBaCl又はSrClである。
【0017】
上記の式(I)のC.I.ピグメントレッド254は、慣用的な、当業者に公知の方法に従って製造できる。所望の使用分野に応じて、透明な結晶形態も不透明な(deckenden)結晶形態のいずれの場合も本発明の顔料調製物に使用できる。例えば、欧州特許出願公開第0094911A2号(特許文献5)、例6に従って製造可能な不透明な結晶形態に望ましい塗料系中へ使用するのが好ましい。
【0018】
150〜450nm、特に300〜400nmのd50一次粒度分布を有するC.I.ピグメントレッド254が特に好ましい。
【0019】
不透明な(deckende)顔料形態が望ましい場合、水中又は有機溶媒中、場合によっては水及び有機溶媒の混合物中で熱的後処理することが有利であることが判明している。好ましくは、そのために、ハロゲン、アルキル又はニトロで置換された芳香族化合物、ヘテロ芳香族化合物、例えば、ピリジン、ピコリン又はキノリン、ケトン、アルコール、エーテル、アミド、又はスルホキシドが使用される。
【0020】
本発明の顔料調製物の製造は、有利には、上記の式(I)、(II)及び場合によっては(III)の化合物を、上述の量比で、乾燥形態又は水で湿潤したフィルターケークの形態で混合することにより遂行される。その混合は粉砕過程と組み合わることもでき、その際、例えば、ボールミル、エアジェットミル、インパクトミル(Prallmuhl)、ビードミル又はロールミルのような慣用的な粉砕装置が好ましい。
【0021】
上記の式(I)で表されるC.I.ピグメントレッド254を、上記の式(II)及び場合によっては(III)の相乗作用剤と共に水中で撹拌し、そして次いで単離して、慣用的な方法、例えば、噴霧乾燥、棚乾燥、ベルト乾燥、パドル乾燥、スピンフラッシュ乾燥、ターンブル乾燥又は流動層乾燥によって乾燥するのが好ましい。
【0022】
本発明の顔料調製物は、より均質な粒子形態を得るべく、懸濁液、フィルターケーク又は乾燥材料として、溶媒による後処理に供することができる。その際、水又は水蒸気揮発性溶媒、例えば、アルコール及び芳香族溶媒、特に好ましくは分岐状又は非分岐状のC−C−アルコール、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロトルエン又はニトロベンゼンを、大抵、高められた温度、例えば200℃までの温度及び場合によっては高められた圧力下で使用するのが好ましい。
【0023】
本発明の顔料調製物は、更に別の慣用的な助剤又は添加剤、例えば、界面活性剤、分散剤、フィラー、調整剤(Stellmittel)、樹脂、ワックス、消泡剤、防塵剤、エキステンダー、帯電防止剤、保存料、乾燥遅延剤、湿潤剤、酸化防止剤、UV吸収剤及び光安定剤などを、顔料調製物の全重量に基づいて、好ましくは0.01〜15重量%、特に0.1〜10重量%の量で含むことができる。
【0024】
本発明の顔料調製物は、原則的に、天然由来又は合成由来の全ての高分子量有機材料、例えば、プラスチック、樹脂、塗料、ペイント、印刷インキ、電子写真用トナー及び現像剤、カラーフィルター並びにインキ、インクジェットインキさえも顔料着色するのに使用できる。
【0025】
本発明の顔料調製物で顔料着色できる高分子量有機材料は、例えば、セルロース化合物、例えば、セルロースエーテル及びセルロースエステル、例えば、エチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート又はセルロースブチラート、天然のバインダー、例えば脂肪酸、脂肪油、樹脂及びそれらの変換産物、又は合成樹脂、たとえば重縮合物、重付加物、重合物及び共重合物、例えば、アミノプラスト、とりわけ尿素ホルムアルデヒド樹脂及びメラミンホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、フェノールプラスト、及びフェノール樹脂、例えば、ノボラック又はレゾール、尿素樹脂、ポリビニル、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリ酢酸ビニル又はポリビニルエーテル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、例えば、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン又はポリプロピレン、ポリ(メタ)アクリレート及びそれの共重合体、例えば、ポリアクリル酸エステル又はポリアクリルニトリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、クマロン−インデン樹脂及び炭化水素樹脂、エポキシ樹脂、様々な硬化機構を有する不飽和合成樹脂(ポリエステル、アクリレート)、ワックス、アルデヒド樹脂及びケトン樹脂、ゴム、弾性ゴム、及びそれらの誘導体及びラテックス類、カゼイン、シリコーン及びシリコーン樹脂、のそれぞれ又は混合物である。
【0026】
その際、言及した高分子量有機化合物が、プラスチック材料、溶融物として、又は紡糸液、分散液、塗料、ペイント又は印刷インキの形態で存在するかどうかは重要ではない。使用目的に応じて、本発明の顔料調製物は、ブレンドとして、又は調合物(Praeparation)や分散物の形態で使用するのが有利であることがわかっている。
【0027】
本発明の顔料調製物は、溶媒含有塗料を顔料着色するのに特に適しているが、とりわけ、例えば自動車産業のための、水ベースの塗料系を顔料着色するのに特に適している。
【0028】
両方の塗料系においてフロキュレーション安定性及び上塗り堅牢度に利点がある。水ベースの塗料における上塗り堅牢度が特に有利である。本発明の顔料調製物で有利に顔料着色できる水ベースの塗料は、例えば、アクリルベース、ポリウレタンベース、ポリエステルベース又はポリイソシアネートベース、又はそれの組み合わせからなる塗料である。
【0029】
それゆえ、本発明の対象は、本発明の顔料調製物を含有する水ベースの塗料、好ましくは本発明の顔料調製物を乾燥塗膜に基づいて0.1〜20重量%の濃度で含有する水ベースの塗料でもある。
【0030】
以下の例において、部は重量部を意味し、そして百分率は重量%を意味する。
【0031】
製造例1:
欧州特許出願公開第0184982A1号(特許文献4)の例6に従って製造した3−(4−クロロフェニル)−6−フェニル−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン20部を、発煙硫酸(Oleum)(20%SO)150部中で18時間室温で撹拌し、氷水2000部で沈殿させ、そして塩化ナトリウム150部と混ぜ合わせる。得られた赤色の懸濁液を吸引ろ過し、300部の5%濃度の塩化ナトリウム溶液で洗浄し、そして乾燥させる。本質的にスルホン酸(塩(II)の前段階物)からなる混合物20部が得られる。
H−NMR(500MHz, DSO):7.39(d, J=9Hz, 2H), 7.28(t, J=9Hz,4H), 6.84(d, J=9Hz, 2H)。
【0032】
【化3】

【0033】
製造例2: Ba塩化合物(II)の製造
製造例1に記載の生成物20部を水2000部中で撹拌し、70℃まで加熱し、そして苛性ソーダ溶液(Natoronlauge)でpH=8に調整する。その暗赤色の溶液を、BaCl20部と混ぜ、そして引き続き更に1時間、後撹拌する。それをろ過し、そして水500部で洗浄する。固形物含有量36%及びバリウム含有量8.7%(乾燥)を有する暗赤色のプレスケークが得られる。
【0034】
製造例3: Sr塩化合物(II)の製造
製造例2と同様に合成を行うが、塩化バリウムの代わりに塩化ストロンチウム20部を使用する。固形物含有量47%及びストロンチウム含有量5.4%を有する明赤色のプレスケークが得られる。
【0035】
製造例4: 化合物(I)、(II)及び(III)(スルホン酸として)の混合物の製造
tert−アミルアルコール及びナトリウム−tert−アミラートからなる高温溶液に、ベンゾニトリル10部、4−クロロベンゾニトリル14部及びコハク酸ジイソプロピルエステル30部からなる混合物を、2時間以内で連続的に添加する。2時間の後撹拌後、その反応混合物を、氷酢酸25部、水100部及びイソプロパノール500部と混ぜ、そして更に1時間100℃で撹拌する。その後ろ過し、イソプロパノール及び水で洗浄し、そして乾燥棚中において75℃で乾燥させる。赤色の固形物20部が得られる。
【0036】
その得られた顔料を、発煙硫酸(20%SO)200部中に投入し、そしてその混合物を18時間、室温で撹拌する。その溶液を、氷水2000部で沈殿させ、そして塩化ナトリウム150部で塩析させる。その得られた懸濁液を吸引ろ過し、500部の5%NaCl溶液で洗浄し、そして乾燥棚中において75℃で真空中で乾燥させる。65%がC.I.ピグメントレッド254、30%がモノスルホン酸(II)、及び5%がビススルホン酸(III)からなる生成混合物50部が得られる。
【0037】
製造例5: Ba塩化合物(II)及び(III)の製造
製造例4から得られた生成物20部を、水2000部中で撹拌し、70℃に加熱し、そして苛性ソーダ溶液でpH=9に調整する。その暗赤色の溶液を、塩化バリウム(II)20部と混ぜ、そしてその後更に1時間、後撹拌する。それをろ過し、そして水500部で洗浄する。35%の固形物含有量及び5.03%(乾燥)のバリウム含有量を有する赤色のプレスケークが得られる。
【0038】
製造例6: Sr塩化合物(II)及び(III)の製造
製造例5と同様に製造を行うが、塩化バリウムの代わりに塩化ストロンチウム20部を使用する。固形物含有量47%、ストロンチウム含有量3.8%。
【0039】
比較製造例1: Ca塩化合物(II)の製造
合成は製造例2と同様に行うが、塩化バリウムの代わりに塩化カルシウム20部を使用する。36%の固形物含有量及び2.50%のカルシウム含有量を有する明赤色のプレスケークが得られる。
【0040】
比較製造例2: Ca塩化合物(II)及び(III)の製造
製造は製造例5と同様に行うが、塩化バリウムの代わりに塩化カルシウム20部を使用する。固形物含有量37%、カルシウム含有量2.25%。
【0041】
以下の例では、欧州特許出願公開第0094911A2号(特許文献5)、例6に従って製造したピグメントレッド254を使用する。
【0042】
例1:
製造例2から得られたプレスケーク2.7部(乾燥重量1部に相当)を、ピグメントレッド254の湿性プレスケーク200部(固形物含有量50%;乾燥重量に基づいて100部に相当)と共に、水2000部中で2時間、室温で撹拌し、ろ過し、乾燥させ、そして粉砕する。
【0043】
例2:
製造例3から得られたプレスケーク2.1部(乾燥重量1部に相当)を、ピグメントレッド254の湿性のプレスケーク200部(固形物含有量50%;乾燥重量に基づいて100部に相当)と共に、水2000部中で2時間、室温で撹拌し、ろ過し、乾燥させ、そして粉砕する。
【0044】
例3:
例2で説明したとおりを行うが、製造例3からのプレスケーク1.5部だけを使用する。
【0045】
例4:
例3で説明したとおりを行うが、製造例3からのプレスケーク1部だけを使用する。
【0046】
例5:
製造例5から得られたプレスケーク2.8部(乾燥重量1部に相当)を、ピグメントレッド254の湿性プレスケーク200部(固形物含有量50%;乾燥重量に基づいて100部に相当)と共に、水2000部中で2時間、室温で撹拌し、ろ過し、乾燥させ、そして粉砕する。
【0047】
例6:
製造例6から得られたプレスケーク2部(乾燥重量1部に相当)を、ピグメントレッド254の湿性プレスケーク200部(固形物含有量50%;乾燥重量に基づいて100部に相当)と共に、水2000部中で2時間、室温で撹拌し、ろ過し、乾燥させ、そして粉砕する。
【0048】
例7:
製造例6から得られたプレスケーク4部(乾燥重量2部に相当)を、ピグメントレッド254の湿性プレスケーク200部(固形物含有量50%;乾燥重量に基づいて100部に相当)と共に、水2000部中で2時間、室温で撹拌し、ろ過し、乾燥させ、そして粉砕する。
【0049】
例8:
製造例6から得られたプレスケーク6部(乾燥重量3部に相当)を、ピグメントレッド254の湿性プレスケーク200部(固形物含有量50%;乾燥重量に基づいて100部に相当)と共に、水2000部中で2時間、室温で撹拌し、ろ過し、乾燥させ、そして粉砕する。
【0050】
比較例1:
比較製造例1から得られたプレスケーク2.7部(乾燥重量1部に相当)を、ピグメントレッド254の湿性プレスケーク200部(固形物含有量50%;乾燥重量に基づいて100部に相当)と共に、水2000部中で2時間、室温で撹拌し、ろ過し、乾燥させ、そして粉砕する。
【0051】
比較例2:
比較製造例2から得られたプレスケーク2.7部(乾燥重量1部に相当)を、ピグメントレッド254の湿性プレスケーク200部(固形物含有量50%;乾燥重量に基づいて100部に相当)と、水2000部中で2時間、室温で撹拌し、ろ過し、乾燥させ、そして粉砕する。
【0052】
使用例1a〜8a: 溶媒含有焼付け塗料におけるフロキュレーション挙動
例1〜例8の顔料調製物を、焼付け塗料中でのそのフロキュレーション挙動に関して試験する。そのために、5〜8%の顔料含有量を有する低粘度のアルキド−メラミン塗料を、PEフィルム上にキャストする(光沢値“キャスト(gegossen)”)。これを、垂直に吊り下げて1時間換気し(ablueften)、そしてその後炉中で130℃で乾燥させる。二番目のPEフィルムは、フィルム延伸装置を用いて同様に塗工する(光沢値“延伸(gezogen)”)。
【0053】
顔料のフロキュレーションがわずかな場合、上記二つの方法後の光沢値は、ほぼ同じである。光沢度の測定はEN ISO 2813に従い、20°の角度で行った。
【0054】
【表1】

【0055】
使用例1b〜8b:
例1〜例8並びに比較例1及び比較例2の顔料調製物を、その上塗り堅牢度に関して試験する。試験は、アルキド−メラミン塗料系及び水性塗料(水及びブチルジグリコールをベースとする)において、それぞれの塗料系中8%の顔料含有量で遂行する。
【0056】
上塗り堅牢度を測定するために、顔料着色していない白色塗料を各塗料上に塗布し、30分の間120℃及び160℃で乾燥させる。
【0057】
上塗り堅牢度を定量化するために、顔料着色していない白色塗料に対する全色差デルタEを測定する。デルタEの全色差が4超の場合、白色塗料が明らかに着色されていると認められる。
【0058】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ顔料調製物の全重量に基づいて、
a) 式(I)で表されるC.I.ピグメントレッド254を95〜99.9重量%;
b) 式(II)で表されるスルホン酸塩を0.1〜5重量%;
c) 式(III)で表されるビススルホン酸塩を0〜0.5重量%、
を含む顔料調製物。
【化1】

(式中、M2+は、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、又はストロンチウムイオン及びバリウムイオンの混合物である。)
【請求項2】
a) C.I.ピグメントレッド254 97〜99.9重量%;
b) スルホン酸塩(II) 0.1〜3重量%;
c) ビススルホン酸塩(III) 0〜0.3重量%、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の顔料調製物。
【請求項3】
2+がストロンチウムイオンであることを特徴とする、請求項1または2に記載の顔料調製物。
【請求項4】
前記式(I)で表されるC.I.ピグメントレッド254を、前記式(II)及び場合によっては式(III)で表される化合物と混合することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載の顔料調製物を製造する方法。
【請求項5】
前記式(I)で表されるC.I.ピグメントレッド254を、前記式(II)及び場合によっては(III)で表される化合物と、水中で撹拌することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
天然由来又は合成由来の高分子量有機材料を顔料着色するための、請求項1〜3のいずれか一つに記載の顔料調製物の使用。
【請求項7】
プラスチック、樹脂、塗料、ペイント、印刷インキ、電子写真用トナー及び現像剤、カラーフィルター並びにインキ類、特にインクジェットインキを顔料着色するための、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
水ベース塗料を顔料着色するための、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
請求項1〜3のいずれか一つに記載の顔料調製物を含有する、水ベース塗料。
【請求項10】
前記顔料調製物を、乾燥塗膜に基づいて0.1〜20重量%の濃度で含有する、請求項9に記載の水ベース塗料。

【公表番号】特表2012−509945(P2012−509945A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536749(P2011−536749)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【国際出願番号】PCT/EP2009/007694
【国際公開番号】WO2010/060516
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(398056207)クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド (182)
【Fターム(参考)】