説明

フローセンサ

【課題】流体の流量を検出可能な検出部を有するフローセンサにおいて、前記検出部に対する水分等の浸入を防止して耐久性を向上させる。
【解決手段】フローセンサ10は、筒状に形成されたボディ14の側面に検出部16が設けられ、前記ボディ14の内部に形成された第1及び第2通路26、28が、第1及び第2センサ通路34、36を介して前記検出部16の導入通路18と連通している。この第1及び第2センサ通路34、36は、ボディ14の内周面から所定高さで半径内方向に突出した第1及び第2突出部38、40に貫通してそれぞれ開口し、前記第1及び第2通路26、28と連通している。そして、第1通路26から第1センサ通路34へと流通した流体が、導入通路18へと導かれて検出部16によってその流量が検出された後、第2センサ通路36を通じて第2通路28へと流通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流量を測定可能なフローセンサに関し、詳しくは、該フローセンサの流路構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、空気等の流体の流量を測定するために、該流体が流れる流路と、該流路に臨むように設置されたセンサとを有するフローセンサが知られている。このフローセンサは、本体ブロックの内部に流体の流通する流体通路が形成され、該流体通路の上流側に接続される上流側センサ流路と、該流体通路の下流側に接続される下流側センサ流路とを備え、前記上流側センサ流路と下流側センサ流路とがセンサ管によって互いに接続されると共に、該センサ管にはセンサ素子が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−149017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係る従来技術においては、流体中に含まれた水分等が流体通路の内壁面を伝って上流側センサ流路、センサ管及び下流側センサ流路へと浸入してしまうことが懸念される。これにより、センサ管に臨むように配置されたセンサ素子が浸入した水分等によって不具合を起こし、前記センサ素子によって流体の流量を正確に測定することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、検出部に対する水分等の浸入を防止して耐久性を向上させると共に、該水分等の付着に起因した検出精度の低下を回避することが可能なフローセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するために、本発明は、流体が流通する上流側に設けられる第1通路と、前記第1通路に対して下流側に設けられる第2通路と、該第1通路と第2通路との間に設けられた絞りとを有するボディと、
前記ボディに設けられ、前記第1通路から第2通路へと流通する前記流体の流量を検出可能な検出部と、
前記検出部に臨み、且つ、前記第1及び第2通路にそれぞれ連通し、前記流体を前記検出部へと流通させる検出通路と、
前記第1及び第2通路の内壁面からそれぞれ突出し、内部に前記検出通路が設けられた一組の突出部と、
を備え、
前記検出通路は、前記突出部を介して前記第1及び第2通路側に開口することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、検出部に臨む検出通路を、ボディにおける第1及び第2通路の内壁面から突出した一組の突出部に開口させ、前記第1及び第2通路と連通させている。そして、第1通路から絞りを通じて第2通路へと流体を流通させる際、該流体の一部が検出通路へと流通し、検出部によって前記流体の流量が検出される。この際、流体中に含有された水分等が第1及び第2通路の内壁面に付着して流体の流通作用下に下流側に徐々に移動していく。
【0008】
このような場合でも、検出通路が突出部を介して第1及び第2通路側に開口しているため、水分等が第1及び第2通路の内壁面を通じて前記検出通路内へと直接的に浸入することが防止される。従って、検出通路内に水分等が浸入した際に懸念される検出部の故障を確実に回避することができ、該検出部の耐久性を向上できると共に、該検出部のメンテナンスサイクルを延ばすことが可能となる。
【0009】
また、検出部に水分等が付着した際に懸念される検出精度の低下を回避することができ、常に高精度で流体の流量を検出することができる。
【0010】
さらに、突出部の高さを、第1及び第2通路の内壁面に対して同一高さで設定するとよい。
【0011】
さらにまた、第2通路に設けられた突出部の高さを、第1通路に設けられた突出部の高さに対して大きく設定することにより、第1通路から絞りを通じて第2通路へと流通する流体の差圧を低く調整することが可能となる。
【0012】
またさらに、第1通路に設けられた一方の突出部を、ボディの軸線方向に沿った絞りに対する離間距離が、第2通路に設けられた他方の突出部の離間距離に対して大きくなるように設定してもよい。
【0013】
また、ボディには、検出通路の外周側に設けられ、内壁面に対して半径外方向に窪んだ環状の凹部を有することにより、前記内壁面に沿って移動する水分等が前記凹部内に浸入して堰き止められるため、前記凹部の中央に配置された検出通路に対する前記水分等の浸入をより一層確実に防止できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0015】
すなわち、検出部に臨む検出通路を、ボディにおける第1及び第2通路の内壁面から突出した一組の突出部に開口させ、前記第1及び第2通路と連通させている。これにより、流体中に含有された水分等が第1及び第2通路の内壁面に付着した場合でも、前記水分等が突出部によって前記検出通路内へと直接的に浸入することが防止される。その結果、検出通路内に浸入した水分等が検出部に付着することが防止され、その耐久性を向上できると共に、前記検出部に水分等が付着した際に懸念される検出精度の低下を回避し、常に高精度で流体の流量を検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係るフローセンサについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0017】
図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係るフローセンサを示す。
【0018】
このフローセンサ10は、図1〜図4に示されるように、例えば、空気、窒素等の流体が流通する流路12を有するボディ14と、該ボディ14の上部に装着され該流体の流量を検出する検出部16と、前記流体を前記流路12から前記検出部16へと導く導入通路18と、前記流路12に設けられて該流体の整流や塵埃等の除去が可能な整流子20とを含む。
【0019】
ボディ14は、例えば、金属製材料から筒状に形成され、その一端部には、流体の供給される第1ポート22が形成され、他端部には、前記流体が排出される第2ポート24が形成されている。この第1及び第2ポート22、24の内周面には、ねじ22a、24aが刻設され、配管等の接続された継手部材(図示せず)が螺合されて連結される。なお、ここでは、第1ポート22が、流体が流通する際に上流側となり、第2ポート24が下流側となるように用いられる場合について説明する。
【0020】
また、ボディ14の内部には、第1ポート22と第2ポート24とを接続するように流路12が一直線上に設けられ、該流路12は、第1ポート22に隣接した第1通路26と、第2ポート24に隣接した第2通路28と、前記第1通路26と第2通路28との間に設けられる連通路30とを含む。第1通路26は、第1ポート22の端部から第2ポート24側(矢印A方向)に向かって所定長さで延在し、且つ、該第1ポート22に対して半径内方向に縮径して形成される。
【0021】
第2通路28は、第2ポート24の端部から第1ポート22側(矢印B方向)に向かって所定長さで延在し、且つ、該第2ポート24に対して半径内方向に縮径して形成される。
【0022】
連通路30は、第1通路26の端部と第2通路28の端部との間に設けられ、該第1及び第2通路26、28の内周面に対して突出した環状壁部32の内部に形成される。すなわち、連通路30は、第1及び第2通路26、28に対して小径で形成されるため、第1通路26から第2通路28へと流体が流通する際にその流量を絞る絞りとして機能する。
【0023】
さらに、ボディ14には、該ボディ14の軸線と直交し、半径方向に向かって延在した一組の第1及び第2センサ通路(検出通路)34、36が形成され、該第1及び第2センサ通路34、36は、第1及び第2通路26、28と前記ボディ14の外部とを互いに連通している。第1センサ通路34は、第1通路26において環状壁部32の近傍に開口し、該第1通路26の内周面に対して半径内方向に突出した第1突出部38の内部まで延在して一端部が開口している。
【0024】
第2センサ通路36は、第2通路28において環状壁部32の近傍に開口し、該第2通路28の内周面に対して半径内方向に突出した第2突出部40まで延在して開口している。第1及び第2センサ通路34、36は、その間となる環状壁部32から等間隔離間した位置(図2中、L1=L2)に設けられると共に、第1及び第2突出部38、40は、断面円形状に形成され、その中央部に第1及び第2センサ通路34、36がそれぞれ形成される。また、第1及び第2突出部38、40の高さは略同一に形成される(図2中、T1=T2)。
【0025】
すなわち、第1及び第2センサ通路34、36は、その一端部が、第1及び第2通路26、28の内周面に対して半径内方向に所定高さ(T1、T2)だけ離間した位置で開口している。
【0026】
一方、第1及び第2センサ通路34、36の他端部は、ボディ14の側面に開口し、該他端部を覆うように検出部16が装着されている(図1参照)。
【0027】
検出部16は、中空状のケーシング42と、該ケーシング42に収容される基板44と、該基板44に設けられた検出素子46と、前記ケーシング42の側面に開口し、第1センサ通路34から流体が導入される導入通路18と、前記基板44に対して電気的に接続されたリード線48とを含む。
【0028】
ケーシング42は、図示しないボルトによってボディ14に固定され、該ボディ14に臨む底部には断面略U字状に形成された導入通路18が形成され、その一端部が、第1センサ通路34に接続されると共に、他端部が第2センサ通路36に接続される。これにより、導入通路18が、第1及び第2センサ通路34、36を通じて第1及び第2通路26、28と連通する。
【0029】
このボディ14に装着されるケーシング42の側面には、導入通路18の開口部を囲むように環状溝を介してシールリング50がそれぞれ設けられ、前記ボディ14との間に挟持される。これにより、第1及び第2センサ通路34、36と導入通路18との間を通じて流体が外部に漏出することが防止される。
【0030】
基板44は、ボディ14の軸線と略平行に設けられ、その下面中央部には検出素子46が、導入通路18に臨むように配置される。この検出素子46は、例えば、導入通路18の流量を検出可能であり、該検出素子46で検出された検出結果が基板44及びリード線48を介して図示しないコントローラや表示装置等に出力される。
【0031】
整流子20は、複数の開孔を有する薄板からなり、該開孔を通じて流体が通過可能に形成される。この整流子20は、断面円形状に形成され、ボディ14の軸線方向(矢印A、B方向)に沿って互いに等間隔離間して複数(例えば、6枚)設けられ、第1通路26の拡径部26aに挿入される。そして、拡径部26aの外周側に挿通されたリング状のスペーサ52によって挟持されて互いに固定される。
【0032】
一方、前記整流子20は、第2通路28の拡径部28aにも挿入され、該拡径部28aの外周側に挿通されたリング状のスペーサ52と該拡径部28aの端部との間に挟持されて固定される。
【0033】
そして、第1及び第2拡径部26a、28aの開口端部には、整流子20及びスペーサ52に当接するようにOリング54が設けられ、リング状の押えプレート56を挟んでボディ14の内周面に係合された係止リング58で固定される。これにより、整流子20及びスペーサ52が、第1及び第2通路26、28内において固定され、そのがたつきが防止される。
【0034】
このように、第1通路26及び第2通路28の内部に整流子20を設けることにより、ボディ14の内部を流通する流体が開孔を通じて整流子20を通過することによって整流され、その流れが安定した状態で第1及び第2センサ通路34、36へと導入することができる。これにより、検出部16によって安定した流量を検出することができる。
【0035】
また、第1通路26内に整流子20を複数配置することにより、流体が流通する際に上流側となる第1通路26内で多くの塵埃等が除去可能であり、一方、下流側となる第2通路28内に単一の整流子20で配置することにより、万が一、前記流体が逆流した場合に前記整流子20で塵埃等を除去可能な構成としている。
【0036】
なお、図5に示されるフローセンサ100のように、第1通路26側と同様に、第2通路28側にも複数(例えば、6枚)の整流子20を設けるようにしてもよい。このような構成とすることにより、例えば、流体を流通させる際に第2通路28側を上流側とし、第1通路26側へと流体を流通させる場合でも、複数の整流子20によって塵埃等を確実に除去可能であり、しかも、流体が流通する際の整流効果が双方向で得られることから、ボディ14を含むフローセンサ100の使用方向が限定されることがなく、該フローセンサ100を双方向で使用することができる。
【0037】
本発明の実施の形態に係るフローセンサ10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、図1を参照しながらその動作並びに作用効果について説明する。
【0038】
先ず、第1及び第2ポート22、24に対して配管の接続された継手部材(図示せず)を接続し、前記第1ポート22に対して流体(例えば、空気)を供給する。この第1ポート22に供給された流体は、複数の整流子20の開孔を通過して第1通路26内へと流通する。この際、流体中に含有された塵埃等が、該第1通路26内における複数の整流子20によって捕捉されて除去されることとなる。
【0039】
そして、流体は、縮径した連通路30を通じて第2通路28内へと流通すると共に、その一部が第1センサ通路34へと流通して導入通路18側へと流通する。この導入通路18内に導入された流体は、該導入通路18を経て第2センサ通路36へと流通した後、第2通路28内へと導出され、第1通路26側から連通路30を通じて流通してきた流体と合流して第2ポート24側(矢印A方向)へと流通する。そして、導入通路18内を流通する流体の流量が、検出素子46によって検出され、検出信号として基板44及びリード線48を通じてコントローラや表示装置等へと出力される。
【0040】
この際、流体中には、水分、油分等Wが含有されている場合があり、該水分や油分等Wは、第1通路26の内周面に付着して前記流体の流通に伴って下流側(矢印A方向)へと徐々に移動していく(図2参照)。例えば、図6に示されるような従来のフローセンサ10aでは、ボディ14における流路12の内周面を伝った水分や油分等Wが、該内周面に開口している第1センサ通路34内へと浸入し、そのまま検出部16側へと移動した後、検出素子46に付着してしまうこととなる。このような検出素子46は、一般的に、水分、油分等Wに対して弱いため、該水分、油分等Wの付着によって故障してしまうことが懸念される。
【0041】
これに対して、本実施の形態では、図2に示されるように、第1及び第2センサ通路34、36が、第1及び第2通路26、28の内周面より突出した第1及び第2突出部38、40を介して該第1及び第2通路26、28にそれぞれ開口しているため、該内周面を伝ってボディ14の下流側へと移動する水分、油分等Wが、前記第1及び第2センサ通路34、36に対して直接浸入することが阻止される。
【0042】
以上のように、本実施の形態では、第1及び第2通路26、28側に開口した第1及び第2センサ通路34、36の一端部を、該第1及び第2通路26、28の内周面より半径内方向に突出した第1及び第2突出部38、40に開口させている。これにより、流体中に含有された水分、油分等Wが第1及び第2通路26、28の内周面に付着した場合でも、該水分、油分等Wが前記第1及び第2センサ通路34、36の内部へと直接的に浸入することが防止される。
【0043】
すなわち、流体の一部を検出部16へと導く第1センサ通路34の開口端部と、検出部16を通過した該流体を導出する第2センサ通路36の開口端部を、それぞれ第1及び第2通路26、28の内周面に直接開口させずに、該第1及び第2通路26、28から突出した第1及び第2突出部38、40に開口させるという簡素な構造で、第1及び第2センサ通路34、36への水分、油分等Wの浸入を防止することができる。
【0044】
その結果、検出部16を構成する検出素子46が、前記水分、油分等Wの付着によって故障することがなく、前記検出部16の耐久性を向上させることができると共に、該検出部16のメンテナンスサイクルを延ばすことが可能となる。
【0045】
また、検出部16に水分、油分等Wが付着した場合に懸念される検出精度の低下を招くことがなく、常に高精度に流量検出を行うことができる。
【0046】
次に、図7〜図9を参照しながら、変形例に係る第1突出部110、122、132、142及び第2突出部112、124、134、144を有したフローセンサ114、120、130について説明する。
【0047】
先ず、図7に示されるフローセンサ114における第1及び第2突出部110、112は、第1通路26に設けられる第1突出部110が、第2通路28に設けられる第2突出部112に対して環状壁部32からさらに離間するように設けられている。すなわち、第1突出部110と環状壁部32との離間距離L3が、第2突出部112と前記環状壁部32との離間距離L4と比較して大きく設定される(L3>L4)。
【0048】
このように、絞りとして機能する連通路30を有したフローセンサ114では、該連通路30を有する環状壁部32からの離間距離を、上流側となる第1突出部110が下流側に配置された第2突出部112に対して大きくなるように確保するとよい。例えば、第1突出部110の離間距離L3は、第1通路26の内周径と同等に設定され、一方、第2突出部112の離間距離L4は、第2通路28の内周径の半分に設定される。
【0049】
また、図8に示されるフローセンサ120のように、第1通路26の内周面に対する第1突出部122の高さT3と、第2通路28の内周面に対する第2突出部124の高さT4とを相違させるようにしてもよい。なお、ここでは、第2突出部124の高さT4が、第1突出部122の高さT3に比べて高く設定されている(T3<T4)。
【0050】
このように、第2突出部124の高さT4を、第1突出部122の高さT3に対して変化させることにより、ボディ14の内部を流通する流体に生じる差圧を制御することが可能となる。例えば、上述したように第2突出部124の高さT4を、第1突出部122の高さT3より高く設定することにより、前記第1及び第2突出部122、124の高さT3、T4が同等の場合と比較し、差圧を低くすることができる。
【0051】
さらに、図9に示されるフローセンサ130のように、第1及び第2突出部132、134の外周側に環状の凹部136a、136bをそれぞれ設けるようにしてもよい。この凹部136a、136bは、第1及び第2通路26、28の内周面に対して所定深さで窪み、第1及び第2センサ通路34、36の半径外方向に同軸上に形成される。
【0052】
すなわち、第1及び第2通路26、28の内周面に対して凹部136a、136bを設けることにより、第1及び第2通路26、28の内周面に付着した水分、油分等Wが、第1及び第2センサ通路34、36の手前で前記凹部136a、136b内に浸入して溜まるため、前記凹部136a、136bの中心に設けられた前記第1及び第2センサ通路34、36への浸入をより一層確実に防止することが可能となる。
【0053】
一方、ボディ14の内周面から突出した第1及び第2突出部38、40は、上述したように断面円形状に形成される場合に限定されるものではなく、例えば、図10に示されるフローセンサ140における第1及び第2突出部142、144のように、ボディ14の軸線方向(矢印A、B方向)に沿って長径で、該軸線と直交方向に短径となる断面楕円形状に形成してもよい。このように、第1及び第2突出部142、144を、断面楕円形状とすることにより、第1及び第2通路26、28内を流体が流通する際の流路抵抗が低減し、前記流体を所望の流速で円滑に流通させることができると共に、前記第1及び第2突出部142、144の外壁面に水分、油分等Wが付着した場合でも、該水分、油分等Wを流体の流通作用下に前記外壁面に沿って下流側(矢印A方向)へと移動させて取り除くことが可能となる。
【0054】
また、ボディ14の内部に整流子20を設けることによって流体の流れを迅速に整流して安定した流れとすることができるため、該流体の流れを安定させるために前記ボディ14の上流側となる第1ポート22に接続される図示しない継手部材、配管等の直線部分を長く設定する必要がなく、前記継手部材や配管等のレイアウトの自由度を増大させることができる。
【0055】
さらに、例えば、第1通路26に対して通路径が小径となる継手部材を第1ポート22接続した場合にも、該継手部材からの流体の流れが、整流子20によって整流され半径外方向に拡散して拡径部26aに沿って流通させることができる。その結果、第1通路26の通路径より小径な継手部材から流体を供給した場合でも、前記流体を環状壁部32に衝突させて連通路30で差圧を確実且つ好適に発生させることができる。
【0056】
なお、本発明に係るフローセンサは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本実施の形態に係るフローセンサの全体構成図である。
【図2】図1のフローセンサにおける検出部近傍を示す拡大断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】図1のフローセンサにおいて第1及び第2センサ通路をボディの半径内方向から見た拡大横断面図である。
【図5】第2通路に複数のフィルタを設けた変形例に係るフローセンサの全体構成図である。
【図6】第1及び第2突出部を備えていない比較例に係る従来のフローメータを示す拡大断面図である。
【図7】環状壁部に対する第1及び第2突出部の離間距離を相違させた変形例に係るフローセンサの拡大縦断面図である。
【図8】第1及び第2突出部の突出高さを相違させた変形例に係るフローセンサの拡大縦断面図である。
【図9】第1及び第2突出部の周囲に環状の凹部を設けた変形例に係るフローセンサの拡大縦断面図である。
【図10】第1及び第2突出部が断面楕円状に形成されたフローセンサの変形例を示す横断面図である。
【符号の説明】
【0058】
10、100、114、120、130、140…フローセンサ
12…流路 14…ボディ
16…検出部 18…導入通路
20…整流子 26…第1通路
28…第2通路 30…連通路
32…環状壁部 34…第1センサ通路
36…第2センサ通路
38、110、122、132、142…第1突出部
40、112、124、134、144…第2突出部
42…ケーシング 44…基板
46…検出素子 136a、136b…凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流通する上流側に設けられる第1通路と、前記第1通路に対して下流側に設けられる第2通路と、該第1通路と第2通路との間に設けられた絞りとを有するボディと、
前記ボディに設けられ、前記第1通路から第2通路へと流通する前記流体の流量を検出可能な検出部と、
前記検出部に臨み、且つ、前記第1及び第2通路にそれぞれ連通し、前記流体を前記検出部へと流通させる検出通路と、
前記第1及び第2通路の内壁面からそれぞれ突出し、内部に前記検出通路が設けられた一組の突出部と、
を備え、
前記検出通路は、前記突出部を介して前記第1及び第2通路側に開口することを特徴とするフローセンサ。
【請求項2】
請求項1記載のフローセンサにおいて、
前記突出部の高さは、前記第1及び第2通路の内壁面に対して同一高さで設定されることを特徴とするフローセンサ。
【請求項3】
請求項1記載のフローセンサにおいて、
前記第2通路に設けられた突出部の高さが、前記第1通路に設けられた突出部の高さに対して大きく設定されることを特徴とするフローセンサ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のフローセンサにおいて、
前記第1通路に設けられた一方の突出部は、前記ボディの軸線方向に沿った前記絞りに対する離間距離が、前記第2通路に設けられた他方の突出部の離間距離に対して大きく設定されることを特徴とするフローセンサ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のフローセンサにおいて、
前記ボディには、前記検出通路の外周側に設けられ、前記内壁面に対して半径外方向に窪んだ環状の凹部を有することを特徴とするフローセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−287982(P2009−287982A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−138824(P2008−138824)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(000102511)SMC株式会社 (344)
【Fターム(参考)】