説明

フーリエ位相解析を用いたスワイプセンサ画像アライメントの方法およびシステム

【課題】バイオメトリック画像解析に用いられ得る、背景ノイズ、不均一な照明、およびその他の画像化のアーチファクトの影響を低減するロバストな画像位置合わせ技術が必要とされている。
【解決手段】画像スライスを解析する方法であって、第1のスライスと第2のスライスとを周波数領域に変換することと、該変換された第1および第2のスライスの位相成分のみから、該第1のスライスと該第2のスライスとの間のシフトデータを決定することとを包含する、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像アライメントに関する。より具体的には、本発明は、スワイプ形式のバイオメトリックセンサデバイスによって生成される部分的な画像を整列させることに関する。
【背景技術】
【0002】
バイオメトリック画像解析の分野において、従来の技術は、画像(例えば、指紋)がセンサ機構を横切ってスワイプされるときに、その画像をサンプリングする。このセンサ機能(指紋センサであり得る)は、1回のスワイプの間に指紋の部分的な画像をキャプチャする。この1回のスワイプは、異なる時間の異なる座標系内のデータのセットを生成する。それ故、これらのデータのセットをサンプリングし、部分的な画像を組み合わせ、指紋の完全な画像を形成することによって全体の指紋に関する画像を再構成するために、コンピュータビジョン技術が用いられ得る。
【0003】
これらの異なるデータのセットを1つの座標系に変換するプロセスは、画像位置合わせの当業者には公知である。位置合わせは、異なる測定結果から獲得されたデータを比較または統合することを可能にするために必要である。
【0004】
従来の画像位置合わせ技術は、2つの分類、すなわち(i)面積ベースおよび(ii)特徴ベースに含まれる。オリジナルの画像は、しばしば参照画像と称され、参照画像にマッピングされる画像は、ターゲット画像と称される。面積ベースの画像位置合わせ方法の場合、この技術は、相関量、フーリエ特性、およびその他の構造解析を介して、画像の構造を観察する。
【0005】
しかしながら、ほとんどの特徴ベースの方法は、画像の特徴の相関に対し、マッピングを細かく調整する。これらの特徴は、例えば、直線、曲線、点、直線交差、境界等を含む。これらの特徴ベースの方法は、画像の全体構造を観察する代わりに、複数の画像を相関付ける。
【0006】
しかしながら、これらの従来の画像位置合わせ技術の両方は、欠点がある。例えば、従来の技術は、背景ノイズ、不均一な照明、またはその他の画像化のアーチファクトの影響を受けやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、バイオメトリック画像解析に用いられ得る、背景ノイズ、不均一な照明、およびその他の画像化のアーチファクトの影響を低減するロバストな画像位置合わせ技術が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、画像スライスを解析する方法に関する。本発明は、第1のスライスと第2のスライスとを周波数領域に変換し、変換された第1および第2のスライスの位相成分のみから、第1のスライスと第2のスライスとの間のシフトデータを決定することを含む。
【0009】
本発明は、2つの部分的な画像の間で、空間領域(特に、指紋のようなバイオメトリック画像)におけるx方向およびy方向の相対的なシフトを調べるためのユニークなアプローチを提供する。より具体的には、本発明は、相関付けの必要なしに、ノイズのないレベルで、正確なx座標とy座標とを決定する手段を提供する。2つの連続する部分的な画像の間でxシフトとyシフトとの大きさを正確に決定することは、複数の部分的な画像の全てから再構成される全体の指紋を精密かつシームレスに構成することに対して、基本的なことである。
【0010】
本発明の技術は、背景の照明の問題をほぼ無視する。例えば、指紋に関連する背景画像がグレーまたは暗い背景画像の場合(指紋を囲むリッジによって間違って表現され得る)は、無視される。このプロセスは、xシフトとyシフトとのより正確な決定を助ける。
【0011】
本発明のさらなる実施形態、特徴および利点、ならびに本発明の様々な実施形態の構造および動作は、添付図面を参照して以下に詳細に記載される。
【0012】
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
(項目1)
画像スライスを解析する方法であって、
第1のスライスと第2のスライスとを周波数領域に変換することと、
該変換された第1および第2のスライスの位相成分のみから、該第1のスライスと該第2のスライスとの間のシフトデータを決定することと
を包含する、方法。
(項目2)
第3のスライスと第4のスライスとに関連付けられたエッジの平滑化のために、該第3のスライスと該第4のスライスとに窓を適用することと、
該窓を適用された第3のスライスと第4のスライスとの面積を拡大し、上記第1のスライスと上記第2のスライスとを得ることと
をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
上記窓を適用することは、Tukey窓およびHamming窓のうちの少なくとも1つを用いることによって実行される、項目2に記載の方法。
(項目4)
上記拡大することは、平滑化されたスライスを大きな画像に埋め込むことを含む、項目2に記載の方法。
(項目5)
上記大きな画像は、ブランク画像である、項目4に記載の方法。
(項目6)
上記変換することは、高速フーリエ変換(FFT)を適用することを含む、項目1に記載の方法。
(項目7)
上記FFTは、2次元である、項目6に記載の方法。
(項目8)
上記シフトデータは、垂直方向および水平方向におけるシフト情報を含む、項目1に記載の方法。
(項目9)
上記垂直および水平のシフト情報に基づいて、上記第1のスライスと上記第2のスライスとを整列させることをさらに含む、項目8に記載の方法。
(項目10)
上記決定することは、PHAse変換を適用することを含む、項目1に記載の方法。
(項目11)
画像スライスを解析する装置であって、
第1のスライスと第2のスライスとを周波数領域に変換する手段と、
該変換された第1および第2のスライスの位相成分のみから、該第1のスライスと該第2のスライスとの間のシフトデータを決定する手段と
を含む、装置。
(項目12)
第3のスライスと第4のスライスとに関連付けられたエッジの平滑化のために、該第3のスライスと該第4のスライスとに窓を適用する手段と、
該窓を適用された第3のスライスと第4のスライスとの面積を拡大し、上記第1のスライスと上記第2のスライスとを得る手段と
をさらに含む、項目11に記載の装置。
(項目13)
上記窓を適用することは、Tukey窓またはHamming窓のうちの少なくとも1つを用いることによって実行される、項目12に記載の装置。
(項目14)
上記拡大することは、平滑化されたスライスを大きな画像に埋め込むことを含む、項目12に記載の装置。
(項目15)
上記大きな画像は、ブランク画像である、項目14に記載の装置。
(項目16)
上記変換することは、高速フーリエ変換(FFT)を適用することを含む、項目11に記載の装置。
(項目17)
上記FFTは、2次元である、項目16に記載の装置。
(項目18)
上記シフトデータは、垂直方向および水平方向におけるシフト情報を含む、項目11に記載の装置。
(項目19)
上記垂直および水平のシフト情報に基づいて、上記第1のスライスと上記第2のスライスとを整列させることをさらに含む、項目18に記載の装置。
(項目20)
上記決定することは、PHAse変換を適用することを含む、項目11に記載の装置。
【0013】
(摘要)
画像スライスを解析する方法が提供される。本方法は、第1のスライスと第2のスライスとを周波数領域に変換することと、変換された第1および第2のスライスの位相成分のみから、第1のスライスと第2のスライスとの間のシフトデータを決定することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、従来のスワイプ形式のバイオメトリックセンサデバイスの図示である。
【図2】図2は、指紋画像の一連の重なり合っている画像の図示である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態にしたがって適用されるTukey窓のグラフ図である。
【図4A】図4Aは、本発明の一実施形態にしたがって配列される拡大されたバイオメトリック画像スライスの図示である。
【図4B】図4Bは、図4Aの画像スライスの位相成分と振幅成分との図示である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態にしたがう、バイオメトリック画像アライメントプロセスのブロック図による図示である。
【図6】図6は、本発明が実施され得る例示的なコンピュータシステムのブロック図による図示である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付図面は、記載と一緒に本発明を示しており、さらには、本発明の原理を説明し、当業者が本発明を実施および使用することを可能にする。
【0016】
本発明は、以下、添付図面を参照して記載される。一般に図中では、同じ参照番号は、同一、機能的に類似および/または構造的に類似の要素を示している。要素が最初に現れる図面は、参照番号中の最も左の桁によって示される。
【0017】
本明細書は、本発明の特徴を組み込んだ1つ以上の実施形態を開示する。記載されている(少なくとも1つの)実施形態ならびに本明細書中での「一実施形態」、「実施形態」、「例示的実施形態」等への言及は、記載されている(少なくとも1つの)実施形態が、特定の特徴、構造または特性を含み得るが、必ずしも全ての実施形態がその特定の特徴、構造または特性を含むとは限らないということを意味する。さらに、そのようなフレーズは、必ずしも同じ実施形態を参照しない。さらに、特定の特徴、構造または特性が一実施形態に関連して記載されるときには、そのような特定の特徴、構造または特性は、明示的に記載されているか否かに関わらず、その他の実施形態に関連して、そのような特徴、構造または特性の実施のために、当業者の知識の範囲内にあるものとして示される。
【0018】
図1は、本発明の実施形態にしたがう、従来のスワイプ形式のバイオメトリックセンサデバイス100の図示である。図1において、デバイス100は、バイオメトリックデータ(例えば、指紋データ)を獲得するためのセンサ102を含む。一部の実施形態において、センサ102は、音響インピディオグラフィ(acoustic impediography)または圧電デバイスであり得る。センサ102は、バイオメトリックデバイスの部分的な画像(例えば、上述のように指紋)をキャプチャするために用いられる。
【0019】
図2は、図1のスワイプ形式のセンサ102から生成され得る指紋の一連の重なり合った部分的な画像200の図示である。画像位置合わせの欠点(上述)は、部分的な画像200内の連続的な画像のペアの各々の間で、x方向およびy方向の両方の、空間的なシフトが予想され得るということである。
【0020】
背景技術によると、2つの画像スライスの間の空間的なシフトの推定は、数学的には2つ以上の変換器の位置において受信される音響信号またはレーダ信号の間の時間遅延を推定することと等価である。受信信号の間での到着の時間遅延(TDOA;time delay of arrival)の精密な推定は、信号処理の無数の産業用途において決定的な役割を演じる。長年にわたって、様々なTDOA推定の手順(特に、相互相関関数、ユニットインパルス応答計算、平滑化コヒーレンス変換、最尤推定等を含む)が提案および実施されてきた。
【0021】
TDOA推定に用いられる一般的な離散時間モデルは、以下のように記述される:
(n)=x(n)+s(n) (1)
(n)=x(n−D)+s(n) (2)
ここで、u(n)およびu(n)は、観察地点(すなわち、センサ)における2つの信号である。x(n)は、第1のセンサによる、参照される対象の信号(ゼロ時間遅延)であり、信号が第2のセンサに到着する時間の場合、時間Dの遅延を有し得る。s(n)およびs(n)はそれぞれ、第1および第2のセンサのノイズ成分である。
【0022】
TDOA推定の目的は、音源信号x(n)またはノイズに関する事前のどんな知識もなしに、各センサから獲得されるデータのセグメントが与えられた場合に、Dを推定することである。この問題は、過去に広く調べられ、考慮する用途に応じて、様々なアプローチが提案されてきた。
【0023】
最も一般的に用いられるTDOA推定技術は、相互相関である。相互相関において、実際のTDOA Dに対する
推定
【0024】
【数1】

は、
【0025】
【数2】

によって得られ、周波数領域において計算され得る相互相関は、式
【0026】
【数3】

となる。ここで、U(ejω)およびU(ejω)はそれぞれ、u(n)およびu(n)の離散時間フーリエ変換である。
【0027】
例えば、1972年ソナーシステムにおけるTDOA推定のためのPHAse変換(PHAse Transform)と呼ばれるアドホックな技術がConnecticut州New LondonのNaval Underwater Systems Centerで開発された。PHAse変換についてのさらなる情報は、Charles H.KnappおよびG.Clifford Carterによる「The Generalized Correlation Method for Estimation of Time Delay」,IEEE transactions on Acoustics,Speech,and Signal Processing,Vol.ASSP−24,No.4,1976年8月、ならびにOmid S.JahromiおよびParham Aarabiによる「Theory and Design of Multirate Sensor Arrays」,IEEE Transactions On Signal Processing,Vol.53,No.5,2005年5月、を参照されたい。上記2つの文献は共に本明細書においてそれら全体が援用される。PHAse変換技術は、フーリエ変換の振幅を完全に無視し、時間遅延を推定するために以下の積分を用いる。
【0028】
【数4】

PHAse変換は、周波数領域においては、「直線フィッティング」の形式として解釈され得る。例えば、ノイズが無視することが可能であることと、時間遅延Dが観測された信号u(n)およびu(n)の長さよりもかなり小さいこととを仮定する。この場合、u(n)がu(n)の循環桁上げされた(circularly shifted)バージョンに非常に近いことが安全に仮定され得る。このことは、
【0029】
【数5】

を意味する。
【0030】
PHAse変換積分(5)は、直線ωDと位相誤差∠U(ejω)−∠U(ejω)との間の相違が最小になるようなDを見出すことを本質的に行う。しかし、PHAse変換技術と従来の方法(例えば、最良のフィッティングを計算するために最小二乗平均誤差を用いる直線フィッティング方法)との間には重要な違いがある。PHAse変換は、測定されたフーリエ位相差∠U(ejω)−∠U(ejω)と完全な直線ωDとの間の誤差を計算するためにコサイン関数を用いる。この手法は、複素フーリエ変換係数を計算する間に生じる±2πのアンビギュイティが自動的に消去されるという利点を有する。
【0031】
例えば、到着時間遅延を決定するためのフーリエ変換位相の使用は、当業者には周知である。最近になって、本出願の発明者によって、PHAse変換は、マルチレート信号に一般化された。さらなる情報に関しては、Omid S.JahromiおよびParham Aarabiによる「Theory and Design of Multirate Sensor Arrays」,IEEE Transactions On Signal Processing,Vol.53,No.5,2005年5月、を参照されたい。
【0032】
理論的な観点から、2つのオーバーラップする画像間での空間シフトを推定するために、上記の一次元PHAse変換を一般化することが正しい。しかし、この手法には解決されなければならない問題が伴う。これらの問題は、本発明において解決され、本発明は、PHAse変換技術をバイオメトリック画像解析に適用する。より具体的には、本発明は、オーバーラップする指紋画像スライスを整列させるため、およびこれらのオーバーラップするスライスを結合して、完全でシームレスな指紋画像を形成するためにPHAse変換技術を用いる。
【0033】
PHAse変換技術をバイオメトリック画像解析に適用するために、まず、部分的な画像のエッジを平滑化するように丁寧に設計された窓関数を部分的な画像200の各々に掛け合わせ得る。
【0034】
図3は本発明の実施形態に従って適用された、例示的なTukey窓関数300のグラフ表示である。Tukey窓は、単なる例示的な手法として図3において用いられる。しかし、本発明は、Tukey窓に限定されない。例えば、いくつか例を挙げると、Hamming窓またはKaiser窓もまた使用され得る。窓関数は、画像(部分的な画像200など)のエッジ近くの画素のシャープネスを平滑化または減少させるために用いられる。
【0035】
平滑化された後、次いで、部分的な画像が拡張のためにより大きな画像に埋め込まれる。すなわち、部分的な画像の各々はゼロパッドされ、その結果、画像のエリアが元のサイズのほぼ2倍にまで拡大される。
【0036】
図4Aは、本発明に従う、拡張された(ゼロパッドされた)バイオメトリック画像スライス402および404のプロット400である。例えば、図4Aにおいて、画像200のうちの2枚(例えば、画像402および404)が、サイズにおいて拡大される。他の拡大サイズが選択され得るが、例示のために画像402および404は、64×512であるように選択された。この選択は、下記されるように各画像スライスがフーリエ変換された後には、十分な空間−周波数分解能を提供する。
【0037】
図4Bは、周波数領域に変換後の拡大された画像スライス402および404の位相成分および振幅成分のプロット406である。例示のために、図4Bは、拡大された画像スライス402のみへの二次元高速フーリエ変換の適用を表す。対応して、積U(ejω1,ejω2)U(ejω1,ejω2)は、拡大された画像スライス402へのFFTの適用から導出される。プロット406において、この積は、振幅画像408および位相画像410によって表される。積のU(ejω1,ejω2)部分は、振幅画像408を表す。積のU(ejω1,ejω2)部分は、位相画像410を表す。
【0038】
本発明において、スライス402に関連する位相画像410は重要であるが、振幅画像408は用いられず、それゆえ処分される。図4Bで見られ得るように、位相画像410は、波状パターン412を含み、このパターンからシフトデータが抽出され得る。このシフトデータは、シフトデータが拡大された画像スライス402を拡大された画像スライス404に整列させることに関して特に関連する。このシフトデータは、上述されるように、PHAse変換の適用によって抽出される。
【0039】
拡大された画像スライス402を参照して上述されたプロセスが拡大された画像スライス404に関して繰り返されることに留意することが重要である。すなわち、拡大された画像スライス404に関連する位相成分および振幅成分は、FFTの適用を介して導出され、結果生じる振幅成分は処分される。拡大された画像スライス404の位相成分(図示せず)もまた波状パターンを含む。
【0040】
より具体的には、位相画像410および拡大されたスライス404に関連する対応する位相画像からの波状パターン412の周波数は、これら2つの連続的な画像(すなわち拡大された画像スライス402および404)の間でのy(垂直)方向におけるシフトを表す。(完全に水平な波面に対する)波の傾斜は、画像スライス402および404の間のx(水平)方向におけるシフトを表す。
【0041】
拡大された画像スライス402および404の間のxおよびy方向におけるシフトの正確な値は、PHAse変換をそれぞれの位相成分に適用することによって、決定され得る。例示のために、PHAse変換は、以下の例示的な方法であらわされ得る。
【0042】
【数6】

上記の(6)式において、
【0043】
【数7】

は、連続的な拡大された画像スライス402および404の間のx方向におけるシフトを正確に表す。
【0044】
【数8】

は、これらの連続的な画像スライス間のy方向のシフトを正確に表す。しかし、本発明は、PHAse変換が多くの他の方法によって決定され得るという点で、特定の式(6)に限定されない。このプロセスは、その後、下記されるように、オーバーラップする部分的な画像200内の全ての連続的な画像スライスのペアに対して繰り返される。x方向およびy方向におけるシフトを正確に決定することは、部分的な画像からの完全な指紋の正確でシームレスな構築に対して基礎的である。
【0045】
図5は、本発明に従う、例示的な画像アラインメントプロセス500のブロック図表示である。図5において、部分的な画像200が示されている。これらの画像は、スワイプ型のバイオメトリックセンサ(例えば、図1のデバイス100のセンサ102)を用いるキャプチャによって生成される。いくつかの他の同様なデバイスもまた使用され得る。次いで、特定の連続的な画像スライス502および504が部分的な画像200から処理のために選択される。
【0046】
Tukey窓300などの窓関数が、画像502および504の各々に適用され、上述のように平滑化する局面を提供する。適切な窓関数の適用後、結果生じる平滑化されたスライスは、拡張のために、より大きなブランクの画像に埋め込まれる。この拡張プロセスは、拡大された画像スライス402および404を生成する。拡大された画像スライス402および404は、次いで、FFTを適用することによって、画像領域に変換され、本質的に複素積を生成する。
【0047】
すなわち、周波数領域において、拡大された画像スライス402および404の各々が対応する振幅成分および位相成分を有する。例えば、拡大された画像スライス402はそれぞれ位相成分410および振幅成分408を生成する。同様に、拡大された画像スライス404は、それぞれ、位相成分506および振幅成分508を生成する。本発明に従って、振幅成分408および508が処分される。
【0048】
次いで、PHAse変換が位相成分410および506に適用され、連続的な画像スライス402および404の間の水平方向および垂直方向におけるシフトを決定する。図5の例において、yシフト510は垂直方向における画像402および404の間のシフトを表す。xシフト512は水平方向における画像402および404の間のシフトを表す。次いで、このプロセスは、部分的な画像200からの残りの全ての連続的な画像に対して繰り返される。部分的な画像200内の全ての連続的なスライスの相対的な位置を正確に決定することによって、これらの画像の全てが一体化され、示されるような完全な指紋514を形成し得る。
【0049】
本発明の局面は、ソフトウェア、ハードウェアまたはこれらの組み合わせにおいて実装され得る。本発明のこれらの局面は、コンピュータシステムまたは他の処理システムに実装され得る。このようなコンピュータシステム600の例が図6に示される。
【0050】
図6において、コンピュータシステム600は、1つ以上のプロセッサ(例えば、プロセッサ604)を含む。プロセッサ604は専用デジタル信号プロセッサまたは汎用デジタル信号プロセッサであり得る。プロセッサ604は通信インフラストラクチャ606(例えば、バスまたはネットワーク)に接続される。様々なソフトウェア実装がこの例示的なコンピュータシステムに関して記載される。この記載を読んだ後、他のコンピュータシステムおよび/またはコンピュータアーキテクチャを用いて本発明をどのように実装するかは、当業者にとって明らかとなる。
【0051】
コンピュータシステム600はまた、メインメモリ608(好ましくは、ランダムアクセスメモリ(RAM))を含み、また、二次メモリ610も含み得る。二次メモリ610は、例えば、ハードディスクドライブ612および/または、(フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、磁気テープドライブ、光学ディスクドライブなどを表す)取り外し可能ストレージドライブ614を含み得る。取り外し可能ストレージドライブ614は、周知の方法で、取り外し可能ストレージユニット618から読み出し、取り外し可能ストレージユニット618に書き込む。取り外し可能ストレージユニット618は、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、光学ディスクなどを表し、これらは、取り外し可能ストレージドライブ614によって読み出され、取り外し可能ストレージドライブ614に書き込まれる。理解されるように、取り外し可能ストレージユニット618は、その中にコンピュータソフトウェアおよび/またはデータを格納するコンピュータ使用可能ストレージ媒体を含む。
【0052】
代替的な実装において、二次メモリ610は、コンピュータプログラムまたは他の命令がコンピュータシステム600にロードされることを可能にするための他の同様の手段を含み得る。このような手段は、例えば、取り外し可能ストレージユニット622およびインターフェース620を含み得る。このような手段の例は、プログラムカートリッジおよびカートリッジインターフェース(例えば、ビデオゲームデバイスにおいて見出される)、取り外し可能メモリチップ(例えば、EPROMまたはPROM)および関連するソケット、ならびにその他の取り外し可能ストレージユニット622、およびソフトウェアとデータとが取り外し可能ストレージユニット622からコンピュータシステム600へ転送されることを可能にするインターフェース620を含み得る。
【0053】
コンピュータシステム600はまた、通信インターフェース624を含み得る。通信インターフェース624は、ソフトウェアおよびデータがコンピュータシステム600と外部デバイスとの間で伝送されることを可能にする。通信インターフェース624の例は、モデム、ネットワークインターフェース(例えば、イーサネット(登録商標)カード)、通信ポート、PCMCIAスロットとカードなどを含み得る。通信インターフェース624を介して伝送されたソフトウェアおよびデータは信号628の形式で伝送され、この信号628は、電子信号、光学信号または通信インターフェース624によって受信されることが可能なその他の信号であり得る。これらの信号628は、通信経路626を介して通信インターフェース624に提供される。通信経路626は、信号628を運び、ワイヤまたはケーブル、光ファイバ、電話線、セルラー電話リンク、RFリンクおよびその他の通信チャネルを用いて実装され得る。
【0054】
本願において、用語「コンピュータ読み取り可能媒体」および「コンピュータ使用可能媒体」は、概して、例えば、取り外し可能ストレージドライブ614、ハードディスクドライブ612にインストールされたハードディスク、および信号628を言うために用いられる。これらのコンピュータプログラム製品は、ソフトウェアをコンピュータシステム600に提供するための手段である。
【0055】
コンピュータプログラム(コンピュータ制御論理とも呼ばれる)は、メインメモリ608および/または二次メモリ610に格納される。コンピュータプログラムはまた、通信インターフェース624を介して受信される。このようなコンピュータプログラムは、実行されると、コンピュータシステム600が本明細書で議論される本発明を実装することを可能にする。
【0056】
特に、コンピュータプログラムは、実行されると、プロセッサ604が本発明のプロセスを実装することを可能にする。従って、このようなコンピュータプログラムは、コンピュータシステム600のコントローラを表す。例として、本発明の実施形態において、エンコーダおよび/またはデコーダの信号処理ブロックによって行われるプロセスおよび/または方法は、コンピュータ制御論理によって実行され得る。本発明は、ソフトウェアを用いて実装され、該ソフトウェアは、コンピュータプログラム製品に格納され得、取り外し可能ストレージドライブ614、ハードドライブ612または通信インターフェース624を用いて、コンピュータシステム600にロードされ得る。
【0057】
(結論)
本発明の方法、システムおよびコンポーネントの例示的な実施形態が本明細書に記載されてきた。いずれかの箇所で示したように、これらの例示的な実施形態は、例示のみのために記載され、限定されない。その他の実施形態は可能であり、かつ本発明に含まれる。このようなその他の実施形態は、本明細書に含まれる教示に基づいて、当業者には明らかである。従って、本発明の外延および範囲は、上述の例示的な実施形態のいずれにも限定されないが、以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物にしたがってのみ規定される。
【0058】
特定の実施形態の前述の記載は、本発明の一般的な特徴を完全に明らかにし、その結果、当業者の知識を適用することにより、その他が、過度の実験を行うことなしに、本発明の一般的な概念から逸脱することなしに、このような特定の実施形態のような様々な用途のために、修正および/または適応させることが可能である。それゆえ、このような適応および修正は、本明細書に示される教示および指示に基づき、開示される実施形態の均等物の意味および範囲内であることが意図される。本明細書における表現法または専門用語が、説明を意図しており、制限を意図したものではなく、その結果、本明細書の専門用語または表現法は、教示および指示に関して当業者によって解釈されるべきである。
【0059】
本発明の外延および範囲は、上述の例示的な実施形態のいずれにも限定されるべきではないが、以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物にしたがってのみ規定される。
【符号の説明】
【0060】
200 部分的な画像
300 Tukey窓
402、404 画像スライス
408、508 振幅画像
410、506 位相画像
510 yシフト
512 xシフト
514 完全な指紋


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像スライスを解析する方法であって、
第1のスライスと第2のスライスとを周波数領域に変換することと、
該変換された第1および第2のスライスの位相成分のみから、該第1のスライスと該第2のスライスとの間のシフトデータを決定することと
を包含する、方法。
【請求項2】
第3のスライスと第4のスライスとに関連付けられたエッジの平滑化のために、該第3のスライスと該第4のスライスとに窓を適用することと、
該窓を適用された第3のスライスと第4のスライスとの面積を拡大し、前記第1のスライスと前記第2のスライスとを得ることと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記窓を適用することは、Tukey窓およびHamming窓のうちの少なくとも1つを用いることによって実行される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記拡大することは、平滑化されたスライスを大きな画像に埋め込むことを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記大きな画像は、ブランク画像である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記変換することは、高速フーリエ変換(FFT)を適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記FFTは、2次元である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記シフトデータは、垂直方向および水平方向におけるシフト情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記垂直および水平のシフト情報に基づいて、前記第1のスライスと前記第2のスライスとを整列させることをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記決定することは、PHAse変換を適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
画像スライスを解析する装置であって、
第1のスライスと第2のスライスとを周波数領域に変換する手段と、
該変換された第1および第2のスライスの位相成分のみから、該第1のスライスと該第2のスライスとの間のシフトデータを決定する手段と
を含む、装置。
【請求項12】
第3のスライスと第4のスライスとに関連付けられたエッジの平滑化のために、該第3のスライスと該第4のスライスとに窓を適用する手段と、
該窓を適用された第3のスライスと第4のスライスとの面積を拡大し、前記第1のスライスと前記第2のスライスとを得る手段と
をさらに含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記窓を適用することは、Tukey窓またはHamming窓のうちの少なくとも1つを用いることによって実行される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記拡大することは、平滑化されたスライスを大きな画像に埋め込むことを含む、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記大きな画像は、ブランク画像である、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記変換することは、高速フーリエ変換(FFT)を適用することを含む、請求項11に記載の装置。
【請求項17】
前記FFTは、2次元である、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記シフトデータは、垂直方向および水平方向におけるシフト情報を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項19】
前記垂直および水平のシフト情報に基づいて、前記第1のスライスと前記第2のスライスとを整列させることをさらに含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記決定することは、PHAse変換を適用することを含む、請求項11に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−163744(P2009−163744A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2965(P2009−2965)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(508264586)ソナベーション, インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】