説明

フールプルーフ包装

【課題】悪戯による開蓋や不用意な開蓋の発生を防止することができ、かつ、容器に印刷を施さなくても明瞭な識別性を発揮することができ、また、表面に鋭利な角が発生しないようにしたフールプルーフ包装を提供する。
【解決手段】裏面にグラビヤ印刷が施された自己粘着性を有するラップフィルム1により、内部に食品6を収納した容器本体21と蓋体22からなる被包装体2をシュリンク包装してなり、かつ、ラップフィルム1に施される縦シール3の合わせ面に、印刷時における見当制御のための光電感4を配設し、該光電感4を開封端としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラビヤ印刷したラップフィルムで被包装体をシュリンク包装することにより悪戯による開蓋や搬送時や取り扱い時等における不用意な開蓋の発生を防止できるようにしたフールプルーフ包装に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニやスーパーマーケット等では、意匠性のある印刷が施された容器にかき氷やアイスクリームを入れて、これらを冷凍庫(又は冷蔵庫)に収納して販売している。それらの容器がプラスチック材等の容器本体と蓋体とで構成される場合には、悪戯による開蓋や搬送時や取り扱い時等における不用意な開蓋の発生を防ぐために、シュリンクテープで蓋体に封をしたり、シーラント剤で蓋体を容器本体に固定したりしていた。
【0003】
また、シュリンクフィルムによって容器をシュリンク包装して販売されることも多い(例えば、特許文献1参照)。その場合、原反ロールから繰り出される長尺帯状のフィルムを被包装体の上から被せて、その下部で幅方向の両側縁同士を重ね合わせて縦シールを施した後、筒状となったフィルムの幅方向の前後両端を横シールし、この包装体を、シュリンクトンネル内を通過させることで、フィルムを被包装体に密着させた状態にシュリンクさせて最終の商品形態とされる。
【0004】
一方、ラップフィルムによって食品類が包装されることも多い。ラップフィルムは、自己粘着性があるため、接着剤や粘着テープを要することなく包装が容易であり、また、透明であるため、内部に収納した食品類を外から明確に確認することができる。ところが、ラップフィルムには、通常、防曇剤が塗り込まれており、また、その厚さが薄いため、従来、印刷はできないものとされていた。そのため、多くの場合、物品名や値段等の内容表示をするためのラベル(シール)を別途作成して、これを個々の包装体の表面に貼り付ける方法がとられていた。
【0005】
【特許文献1】特開2003−246367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述のように、シュリンクテープで蓋体が封じられていると、蓋体を開ける時にそのテープを剥がすのが面倒であった。また、その封をするためにシュリンク工程が必要とされコストが嵩むという問題もあった。このような点については、シーラント剤で蓋体を容器本体に固定している場合も同様であった。
【0007】
また、容器がシュリンク包装されている場合には、特に、その横シールの端部に鋭利な角(ツノ)ができるため、開封時にその角で手指に怪我をすることがあった。また、シュリンクフィルムが透明である場合には容器に印刷することが多いが、印刷された容器はリサイクルが難しい場合があり、省資源の観点からは容器が無地であることが望ましい。
【0008】
さらに、透明なラップフィルムで包装する場合のように、個々の包装体にラベルを貼り付けるのは大変な手間と時間を要する上に、一般的にラベルそのものの見栄えがよくなく、グラビヤ印刷のような視覚的にアッピールできる優れた意匠性をラベルに具備させるのは困難であった。また、容器にラベルを貼り付ける場合には、剥がしにくく、容器の再使用も困難であった。
【0009】
本発明は、このような実情に鑑みてなされ、悪戯による開蓋や不用意な開蓋の発生を防止することができ、かつ、容器に印刷を施さなくても明瞭な識別性を発揮することができ、また、表面に鋭利な角が発生しないようにしたフールプルーフ包装を提供することを目的とする。
【0010】
ところで、シュリンク包装体では、フィルムが被包装体に密着しているため、開封時に、どこを開封の端緒としてよいか判らず開封が容易でないことがあった。そこで、多くの場合、人目に付きやすい箇所のフィルムにミシン目や切れ目を入れて開封を容易としていた。しかし、フィルムにミシン目や切れ目を縦シールに入れると、その部分から裂けやすくなり包装強度(耐衝撃強度等)が低下してしまうという難点があった。また、切れ目を入れると、その部分があたかも破れているかのように見え外観上好ましくないことがあった。そこで、本発明は、フールプルーフ包装の包装強度を低下させることなく開封を容易にすることをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明に係るフールプルーフ包装は、グラビヤ印刷が施された自己粘着性を有するラップフィルム1により被包装体2をシュリンク包装してなることを特徴とする。
【0012】
ラップフィルム1によってシュリンク包装する場合、まず、原反ロールから繰り出される長尺帯状のグラビヤ印刷されたラップフィルム1を被包装体2の上から被せて、その下部で幅方向の両側縁同士を重ね合わせて縦シール3を施した後、筒状となったフィルムの幅方向の前後両端を溶断シールにより横シール5,5し、この包装体をシュリンクトンネル内を通過させるシュリンク工程で、包装体が加熱されたベルトに載せられて移動する間に、重ね合わされた縦シール3が加熱されることによって粘着シールされると共に、フィルムが熱収縮して被包装体2に密着された状態となり最終の商品形態とされる。
【0013】
このようなラップフィルム1によってシュリンク包装された包装体は、容易に開封できないため、悪戯による開蓋や不用意な開蓋の発生を効果的に防止することができる。また、容器に印刷を施さなくてもラップフィルム1に施されたグラビヤ印刷によって明瞭な識別性を発揮することができるため、容器は無地でよく、容器の流用、転用、再生が可能となる。そのラップフィルム1としては、厚さ10μm〜18μmのポリエチレン系の共押出ストレッチシュリンクが好ましいが、このような薄いラップフィルム1に溶断シールによって形成される横シール5,5には、シュリンクフィルムのような鋭利な角(ツノ)は発生せず感触がソフトであるため、触れても手指に怪我をするようなことがない。また、ラップフィルム独特のソフトな感触により購買意欲をかきたてることもできる。
【0014】
このようなフールプルーフ包装では、前記ラップフィルム1に施される縦シール3の合わせ面に、印刷時における見当制御のための光電感4を配設し、該光電感4を開封端としてもよい。このようにすれば、光電感4が形成された箇所はシールされないため、光電感4の配置位置を適切に設定すれば、その光電感4を開封端として包装体を容易に開封することができる。また、ラップフィルム1にグラビヤ印刷を施す場合に必ず必要とされる光電感4を利用して開封端を形成することができるため、別途、面倒な加工は一切不要となり、開封端を安価に形成することができる。なお、縦シール3の一部に光電感4を配置しても、包装強度が低下したりシュリンク工程で引きつれが生じたりすることはない。
【0015】
縦シール3は、通常、包装体の底部に跨がって形成されるため、包装体の底部に開封端を形成すると、開封時に包装体を反転させなければならず面倒であり、また、被包装体2が容器入りの食品である場合には、反転させることによって食品が潰れたり盛りつけが崩れてしまうこともある。従って、通常の容器等では、光電感4を設ける箇所は、横シール5の直下辺りの陳列状態でも人目に付きやすいところを選択するのが好ましい。
【0016】
(2)前記グラビヤ印刷を裏面印刷として、その印刷部分を、被包装体2の上面に配置してもよい。このようにすれば、印刷部分が裏刷りであるため、多少擦られても印刷面にきずがつきにくい。従って、複数個を積み重ねても印刷面にきずが付かないため、取り扱いやすいという利点がある。
【0017】
また、このような包装形態では、従来、ラベルをラップフィルムに貼り付けていた場合に必要とされていた多大な手間と時間を省くことができる。さらに、被包装体2が容器である場合には、容器からラベルを剥がすのが容易でなく、その容器を再度の使用に供することができなかったが、この構成によればラップフィルムを外せば容器の再使用も可能となる。
【0018】
(3)前記グラビヤ印刷が表面印刷であり、その印刷部分を、被包装体2の上面に配置してもよい。このようにすれば、印刷部分が表刷りであるため、被包装体2が容器に収納された食品等である場合、食品等に接触しないため衛生面で不都合はなく、また、食品等によって印刷面が擦られて見えにくくなるようなこともなくなる。従って、例えば、蓋付き容器で販売していたケーキや菓子、弁当等の蓋をなくして、ラップフィルムで蓋を兼ねて包装することができる。
【0019】
また、このような包装形態では、従来、ラベルをラップフィルムに貼り付けていた場合に必要とされていた多大な手間と時間を省くこともできる。さらに、従来のように、容器にラベルを貼り付ける場合には、そのラベルを剥がすのが容易でなく、容器を再度の使用に供することができなかったが、この構成によれば、ラップフィルムを外したあとの容器の再使用が可能になる。
【0020】
(4)前記ラップフィルム1に施される縦シール3の合わせ面に、印刷時における見当制御のための光電感4を配設し、該光電感4を開封端としてもよい。このようにすれば、光電感4が形成された箇所はシールされないため、光電感4の配置位置を適切に設定すれば、その光電感4を開封端として包装体を容易に開封することができる。また、明瞭な識別性を付与するためにラップフィルム1にグラビヤ印刷等の印刷を施す場合に必ず必要とされる光電感4を利用して開封端を形成することができるので、別途、面倒な加工は一切不要となり、開封端を安価に形成することができる。なお、縦シール3の一部に光電感4を配置しても、包装強度が低下したり、シュリンク工程により引きつれが生じたりすることはない。
【0021】
ところで、横シールは、通常、溶断シールによって形成されるため、開封の端緒となる手段を形成するのは技術的に難しい。一方、縦シール3は、封筒貼り状の重ね貼りや合掌貼り等によって形成されるため、開封端を形成しやすい。即ち、縦シール3が粘着シール方式により形成される場合、光電感4が形成された箇所はシールされないため、その光電感4を開封端とすれば、包装体を容易に開封することができる。しかし、縦シール3は、通常、包装体の底部に跨がって形成されるため、包装体の底部に開封端を形成すると、開封時に包装体を反転させなければならず面倒であり、また、被包装体2が食品である場合には、反転させることによって食品が潰れたり盛りつけが崩れてしまうこともある。従って、光電感4を設ける箇所は、包装体の形状に応じて適宜に選択されてよいが、通常の容器では、横シールの直下辺りの陳列状態でも人目に付きやすいところを選択すればよい。
【0022】
(5)前記縦シール3の合わせ面に配設される光電感4は、開封端であることを表した抜き文字や図柄として形成されるのが好ましい。このようにすれば、開封端を容易に見つけ出すことができるため、開封容易性がより一層向上する。
【0023】
(6)前記ラップフィルム1に代えて、熱収縮性フィルムにより前記被包装体2をシュリンク包装してもよい。熱収縮性フィルムによるシュリンク包装では、縦シール3を静電シール方式で形成することができるが、その場合においても、光電感4が形成された箇所はシールされないため、その光電感4を開封端とすれば、包装体を容易に開封することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るフールプルーフ包装は、グラビヤ印刷が施されたラップフィルムにより被包装体をシュリンク包装するので、容易に開封できないため悪戯による開蓋や不用意な開蓋の発生を効果的に防止することができる。また、容器に印刷を施さなくてもラップフィルムに施されたグラビヤ印刷によって明瞭な識別性を発揮することができるため、容器は無地でよく、容器の流用、転用、再生が可能となる。そして、ラップフィルムに形成される横シールには、シュリンクフィルムのような鋭利な角(ツノ)は発生せず感触がソフトであるため、触れても手指に怪我をするようなことがない。また、ラップフィルム独特のソフトな感触により購買意欲をかきたてることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明の最良の実施の形態に係るフールプルーフ包装について詳細に説明する。図1(a)(b)は、かき氷を収納した容器をシュリンク包装した斜視図、図2は、ソフトクリームを収納したコーン状容器をシュリンク包装した斜視図を示す。これらの図にて、符号1は、グラビヤ印刷を施したラップフィルム、2は被包装体で、21は容器本体、22は蓋体で図1の場合は落とし蓋、図2の場合はコーン状蓋である。3は縦シール、4は開封端となる光電感(光電感オープン)、5は横シール、6は食品で、図1の場合はかき氷、図2の場合はソフトクリームである。被包装体2はラップフィルム1によりシュリンク包装されており、その裏面側に施されたグラビヤ印刷部分が蓋体22の上に被さるように配置され顕著な識別性を発揮している。
【0026】
ところで、従来、ラップフィルムにグラビヤ印刷を施すことはできなかったが、本出願人は、ラップフィルムへのグラビヤ印刷技術を確立している。即ち、基本的には、ラップフィルムとして、厚さ10μm〜18μmのポリエチレン系の共押出ストレッチシュリンク(例えば、ポリプロピレン系樹脂層の両面をポリエチレン系樹脂層で挟むように積層した多層ラップフィルム)を用い、そのラップフィルムに特殊な表面処理を施してグラビヤ印刷用の印刷インキが定着できるようにすると共に、薄くて伸縮性のあるラップフィルムに印刷時に腰を持たせて安定化を図ることで、多色刷りのグラビヤ印刷が可能となる。
【0027】
グラビヤ印刷されたラップフィルム1によって被包装体2をシュリンク包装する場合、まず、原反ロールから繰り出される長尺帯状のラップフィルム1を被包装体2の上から被せて、その下部で幅方向の両側縁同士を重ね合わせて縦シール3を施した後、筒状となったフィルムの幅方向の前後両端を溶断シールにより横シール5,5し、この包装体をシュリンクトンネル内を通過させるシュリンク工程で、包装体が加熱されたベルトに載せられて移動する間に、重ね合わされた縦シール3が加熱されることによって粘着シールされると共に、フィルムが熱収縮して被包装体2に密着された状態となり最終の商品形態とされる。
【0028】
横シール5は、上述のように、被包装体2のフィルムの送り方向の前後に対称に形成されるが、図示の例では、片方のみ図示している。縦シール3は、図1の場合では、被包装体2の底部に跨がって形成されるため、包装体の底部に開封端を配置すると、開封時に包装体を反転させなければならず面倒であり、また、被包装体2が容器入りの食品である場合には、反転させることによって食品が潰れたり盛りつけが崩れてしまうこともある。従って、光電感4を設ける箇所は、横シール5の直下辺りの陳列状態でも人目に付きやすいところを選択するのが好ましい。また、図2の場合には、包装工程で被包装体2を横倒しにした状態で送り移動させつつラップフィルム1を被せるので、縦シール3は、被包装体2の側面に沿って形成されるため、例えば、図示のように、容器本体21の上部辺りに光電感4を配置すればよい。
【0029】
また、その光電感4は、開封端であることを表した図柄(矢印)や抜き文字に形成するのが好ましい。即ち、例えば、黒地に白抜きの矢印や文字を形成すればよい。この光電感4は、ラップフィルム1にグラビヤ印刷を施す場合に必ず必要とされるため、別途、面倒な加工は一切不要で、開封端を安価に形成することができる。なお、上述のように、縦シール3の一部に光電感4を配置しても、包装強度が低下したりシュリンク工程で引きつれが生じたりすることはない。
【0030】
このようにラップフィルム1によってシュリンク包装された包装体は、開封端である光電感4を引っ張らない限り容易に開封されないため、悪戯による開蓋や不用意な開蓋の発生を効果的に防止することができる。また、容器本体21と蓋体22からなる被包装体2(容器)に印刷を施さなくてもラップフィルム1に施されたグラビヤ印刷によって明瞭な識別性を発揮することができるため、容器は無地でよく、容器の流用、転用、再生が可能となる。
【0031】
そのラップフィルム1としては、厚さ10μm〜18μmのポリエチレン系の共押出ストレッチシュリンクが好ましいが、このような薄いラップフィルム1に溶断シールによって形成される横シール5,5には、シュリンクフィルムのような鋭利な角(ツノ)は発生せず感触がソフトであるため、触れても手指に怪我をするようなことがない。また、ラップフィルム独特のソフトな感触により購買意欲をかきたてることもできる。
【0032】
このようなフールプルーフ包装では、グラビヤ印刷が裏面印刷であり、その印刷部分を、被包装体2の上面に配置するのが好ましい。このようにすれば、印刷部分が裏刷りであるため、表面が多少擦られても印刷面にきずがつきにくい。従って、複数個を積み重ねても印刷面にきずが付かないため、取り扱いやすいという利点がある。
【0033】
また、このようなフールプルーフ包装では、従来、ラベルをラップフィルムに貼り付けていた場合に必要とされていた多大な手間と時間を省くことができる。さらに、被包装体2が容器である場合には、容器からラベルを剥がすのが容易でなく、その容器を再度の使用に供することができなかったが、この構成によればラップフィルムを外せば容器の再使用も可能となる。
【0034】
さらに、グラビヤ印刷を表面印刷としてもよい。このようにすれば、印刷部分が表刷りであるため、被包装体2が容器に収納された食品等である場合、食品等に接触しないため衛生面で不都合はなく、また、食品等によって印刷面が擦られて見えにくくなるようなこともなくなる。従って、図示は省略するが、例えば、蓋付き容器で販売していたケーキや菓子、弁当等の蓋をなくして、ラップフィルムで蓋を兼ねて包装することができる。
【0035】
図3,図4に示す例では、矩形の箱状に形成された被包装体2の内部にインスタント食品(例えば、中華そば等)を収納しており、ラップフィルム1の裏面側に施されたグラビヤ印刷が被包装体2の蓋体22の上に被さるように配置され顕著な識別性を発揮している。この場合も、横シール5は、フィルムの送り方向の前後に対称に形成されるが、図示の例では、片方のみ図示している。この場合、被包装体2が比較的に大きいため光電感4を形成するスペースを広くとれることから、例えば、図3(b)(c)に示すように、抜き文字で光電感4を形成することもできる。即ち、黒地に白抜きの文字を形成することができる。
【0036】
このような座りのよい容器の場合、光電感4を配設する位置は、容器本体21の側面の横シール5の直下辺りが適当である。このような位置に光電感4を配設すれば、卓上においた状態でも陳列状態でも一目瞭然であり、また、開封操作の際に、包装体をひっくり返さなくてもよいため、内部に収納している食品が潰れたり盛りつけが崩れてしまうようなこともなくなり開封操作性が良好となる。
【0037】
上述のようなラップフィルム1を用いたフールプルーフ包装では、開封操作性が良好となるだけでなく、従来、ラベルをラップフィルムに貼り付けていた場合に必要とされていた多大な手間と時間を省くことができる利点もある。さらに、従来のように、容器本体にラベルを貼り付ける場合には、そのラベルを剥がすのが容易でなく、容器本体を再度の使用に供することができなかったが、このような構成によれば、ラップフィルム1を外すのが容易であるため、ラップフィルム1を外せば容器本体21の再使用が可能となる利点もある。また、ラップフィルム1に裏刷り印刷を施した場合には、表面が多少擦られても印刷面がきずつけられる虞がなく、例えば、複数個を積み重ねても印刷面にきずが付きにくいという利点もある。
【0038】
図5は、熱収縮性フィルム(シュリンクフィルム)14でフールプルーフ包装を形成した例を示す。この場合、光電感オープン(光電感)4は、静電シール方式によって形成される縦シール3の合わせ面に形成される。図示の例では、台紙7の上に3つの(容器本体21と蓋体22からなる)ヨーグルトカップを載せてこれらをシュリンクフィルム14でシュリンク包装し、フィルム14の送り方向の前後に対称に形成される横シール(図示は片側のみ)5,5の直下の位置に光電感4を配設している。
【0039】
熱収縮性フィルム14としては、通常のシュリンク包装に用いられている樹脂であれば特に限定なく使用することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、エチレン酢酸ビニル共重合体、軟質ポリ塩化ビニル等々を用いることができる。また、単層フィルムであっても多層フィルムであってもよい。静電シールによる縦シール3については、周知のように、互いに重ね合わせたフィルムの両端部を、静電シール機の電位差のある二つの電極間を通すことによって行うことができる。
【0040】
本例においても、原反ロールから繰り出される長尺帯状の印刷された熱収縮性フィルム14を被包装体2の上から被せて、その下部で幅方向の両側縁同士を重ね合わせて静電シールにより縦シール3を施した後、筒状となったフィルムの幅方向の前後両端を溶断シールにより横シール5,5し、この包装体をシュリンクトンネル内を通過させることによって、フィルム14を熱収縮させて被包装体2に密着された状態として最終の商品形態とされる。
【0041】
このような縦シール3の形成時に、前述したように、印刷が施された光電感4の部分は印刷インキが載っているため、シールされることなく重なり合ったままの状態となり、シュリンク工程が終了した後においても、その光電感4及びその周辺部は、従来の切れ目を入れた場合のような破れているかのような変形はなく見映えの低下はない。また、光電感4の前後がシールされていることで、充分なシール強度が確保される。
【0042】
本例においても、グラビヤ印刷を行う場合に必要とされる光電感4を開封端として利用するので、開封端を形成するために、別途、何らの加工を施す必要がなく、通常の包装工程で開封端を形成することができるため、このような光電感オープン4を備えた包装体を安価に提供することができる。また、その光電感4を、前実施の形態と同様に、図柄(矢印)や抜き文字等の印刷パターンで印刷することにより、開封端として容易に認識させることができ、ユーザーの利便性を向上させることができるのは言うまでもない。
【0043】
なお、本発明は、実施の形態に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、適宜、必要に応じて、設計変更や改良等を行うのは自由であり、例えば、被包装体は、容器類に限られることなく、電池等の日用品小物類であってもよい。また、包装形態についても、種々の形態が選択されてよい。光電感の印刷パターンも、図柄(矢印)や抜き文字以外であっても、開封端として認識させることができ、かつ、見当制御(又はピッチ制御)時に認識できるものであれば、その形状や構成の如何を問わない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】(a)は本発明の実施の形態に係るフールプルーフ包装の側面図、(b)はその断面図である。
【図2】同別のフールプルーフ包装の斜視図である。
【図3】(a)は同異なるフールプルーフ包装の側面図、(b)(c)は要部拡大図である。
【図4】(a)は同異なるフールプルーフ包装の斜視図、(b)は底面図である。
【図5】同他のフールプルーフ包装の斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
1…ラップフィルム、2…被包装体、3…縦シール、4…光電感

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラビヤ印刷が施された自己粘着性を有するラップフィルム(1)により被包装体(2)をシュリンク包装してなることを特徴とするフールプルーフ包装。
【請求項2】
前記グラビヤ印刷が裏面印刷であり、その印刷部分を、被包装体(2)の上面に配置したことを特徴とする請求項1に記載のフールプルーフ包装。
【請求項3】
前記グラビヤ印刷が表面印刷であり、その印刷部分を、被包装体(2)の上面に配置したことを特徴とする請求項1に記載のフールプルーフ包装。
【請求項4】
前記ラップフィルム(1)に施される縦シール(3)の合わせ面に、印刷時における見当制御のための光電感(4)を配設し、該光電感(4)を開封端としたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のフールプルーフ包装。
【請求項5】
前記光電感(4)は、開封端であることを表した抜き文字や図柄として形成されることを特徴とする請求項4に記載のフールプルーフ包装。
【請求項6】
前記ラップフィルム(1)に代えて、熱収縮性フィルムにより前記被包装体(2)をシュリンク包装してなることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のフールプルーフ包装。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−206108(P2006−206108A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−21191(P2005−21191)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(594146180)中本パックス株式会社 (40)
【Fターム(参考)】