説明

ブタ・コレラウイルスのE2構造糖タンパク質中の新規毒性決定因子

ブタ・コレラウイルス(CSFV)のE2糖タンパク質は、ブタの中和抗体及び防御免疫を誘発する主要な物質である。E2は標的細胞へのウイルスの吸着を仲介し、ウイルスの毒性に関連する遺伝的決定因子を含む。CSFVのE2は、モノクローナル抗体(mAb)WH303によって認識されるエピトープ(TAVSPTTLR)を829番目ないし837番目のアミノ酸残基の間に含むが、前記抗体は、近縁のペスチウイルスのウシ・ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)及びボーダー病ウイルス(BDV)と、CSFVとを鑑別するのに用いられる。本明細書では毒性のブレスシア単離体(BICv)の感染性CSFVクローンが、CSFVのE2のmAb WH303エピトープをBVDVのNADL株のE2の相同アミノ酸配列(TSFNMDTLA)にするように突然変異を蓄積するために用いられた。前記突然変異の蓄積により生じるウイルス突然変異体T1v(TSFSPTTLR)、T2v(TSFNPTTLR)、T3v(TSFNMTTLR)は、親株BICvのin vitroでの成長特性に類似する成長特性を示したが、突然変異体T4v(TSFNMDTLR)及びT5v(TSFNMDTLA)は親株BICと比較して、ウイルス生産量が10分の1に低下し、プラークサイズが有意に縮小した。WH303との免疫組織化学反応は、T3v、T4v及びT5vでのみ消失した。興味深いことに、WH303エピトープに突然変異が蓄積することはブタにおけるウイルスの弱毒化に相加的な影響があり、T1v、T2v又はT3v突然変異体は重篤度が下がるが、常に致死性のCSFを誘発し、T4vは軽度で一過的な臨床疾患のみを誘発し、T5vは全く疾患を誘発しない。T4v又はT5vのいずれかに感染したブタは、扁桃腺、流入リンパ節、脾臓及び腎臓でのウイルス複製の低下と、ウイルス粒子放出の有意な減少とを示した。最後に、T5vに感染した動物は、T5vの接種後3日目又は21日目で毒性のブレスシアウイルスに感染させられたとき、臨床疾患から保護された。E2の830番目ないし834番目のアミノ酸残基はブタにおけるCSFVの毒性に重要であり、この遺伝子座での人工改変は合理的に設計されたCSF弱毒性ワクチンの基礎を提供する場合があることをこれらの結果は示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、E2構造糖タンパク質中の新規ブタ・コレラウイルス(CSFV)の毒性決定因子の単離及び特徴付けと、CSF弱毒性生ワクチンを設計するためのこれらの新規毒性決定因子の利用とに関する。
【背景技術】
【0002】
ブタ・コレラ(CSF)は、本質的に急性又は慢性のいずれにもなりうるブタの高伝染性疾患である(非特許文献1)。病原体であるCFSウイルス(CSFV)は、+鎖1本鎖RNAゲノムを有するエンベロープを持つ小型ウイルスであり、ウシ・ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)及びボーダー病ウイルス(BDV)とともにフラビウイルス科中のぺスチウイルス属の仲間として分類される(非特許文献2)。12.5kbのCSFVゲノムは1個のオープン・リーディング・フレームを含み、該オープン・リーディング・フレームはアミノ酸4000個のポリタンパク質をエンコードし、細胞内及びウイルスのプロテアーゼによる前記ポリタンパク質の翻訳と同時のプロセッシングと、翻訳後のプロセッシングとを通じて11個ないし12個の最終開裂産物(NH2−Npro−C−Erns−E1−E2−p7−NS2−NS3−NS4A−NS4B−NS5A−NS5B−COOH)を最終的に産生する(非特許文献3)。
【0003】
毒性及び宿主域の表現型は、CSFVの単離体の間でも、ぺスチウイルスの間でも異なる。CSFV強毒性株の感染は感染した動物を死に至らしめるが、毒性が中程度ないし弱い単離体は遷延性慢性疾患を誘発する(非特許文献1)。さらにウシ及びヒツジの病原体であるおのおののBVDV及びBVDは、臨床疾患を誘発することなく、ブタに感染できる(非特許文献1)。異なる毒性の表現型のCSFVと、BVDVと、BDVとに由来するゲノム配列が利用可能であるにもかかわらず、自然宿主におけるCSFV毒性の遺伝的基礎は理解されていない(非特許文献1)。逆遺伝学の利用は、ウイルス毒性決定因子の同定を可能にし、CSF弱毒性生ワクチン候補の開発を促進した(非特許文献4−12)。
【0004】
キャプシドタンパク質と、Erns、E1及びE2の糖タンパク質とは、CSFVのビリオンの構造上の構成要素であり、E1及びE2はカルボキシル末端でエンベロープに固定され、Ernsはウイルスエンベロープと緩く結合する(非特許文献13−15)。3個の糖タンパク質全てが、CSFV毒性に関連する(非特許文献5、8及び9)。
【0005】
E2遺伝子の部分的又は完全な欠損を含むウイルス突然変異体は生存できないと証明されたので、E2糖タンパク質がCSFVの複製に必須と考えられている(非特許文献16)。Erns(非特許文献4)及びE1(非特許文献17)とともにE2は宿主細胞へのウイルスの吸着に関与すると考えられ、確かに、ぺスチウイルスのキメラは前記E2遺伝子の供与体の感染性及び細胞親和性の表現型との一致を示す(非特許文献12及び16)。E2は免疫原性が最も高いCSFVの糖タンパク質であり(非特許文献14及び18)、中和抗体と致死性感染に対する保護とを誘導する。CSFVのE2は、モノクローナル抗体(mAb)WH303によって認識される829番目ないし837番目のアミノ酸残基間のエピトープ(非特許文献19)を含み、BVDV又はBDVのE2と反応せず、CSFの診断に日常的に用いられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】van Oirschot, J. T.ら、Diseases of Swine,第6版, Lemanら編集, Iowa State University Press, アイオワ州エームズ,289頁(1986).
【非特許文献2】Hulstら、J. Virol. 75: 9585−9595(2001).
【非特許文献3】Rice, C. M、Fundamental Virology,第3版,Fields及びHowley編,Lippincott Raven,フィラデルフィア,931−959頁(1996).
【非特許文献4】Mayerら、Vaccine 22: 317−328(2004).
【非特許文献5】Meyersら、J. Virol. 73: 10224−10235(1999).
【非特許文献6】Moormanら、J. Virol. 70: 763−770(1996).
【非特許文献7】Moserら、Virus Genes 23: 63−68(2001).
【非特許文献8】Risattiら、J. Virol. 79: 3787−3796(2005a).
【非特許文献9】Risattiら、Virology 343: 116−117(2005b).
【非特許文献10】Ruggliら、J. Virol. 70: 3478−3487(2006).
【非特許文献11】Tratschinら、J. Virol. 72: 7681−7684(1998).
【非特許文献12】van Gennipら、Vaccine 19: 447−459(2000).
【非特許文献13】Thielら、J. Virol. 65: 4705−4712(1991).
【非特許文献14】Weilandら、J. Virol. 64: 3563−3569(1990).
【非特許文献15】Weilandら、J. Gen. Virol. 80: 1157−1165(1999).
【非特許文献16】van Gennipら、Vaccine 20: 1544−1556(2002).
【非特許文献17】Wangら、Virology 330: 332−341(2004).
【非特許文献18】Konigら、J. Virol. 69: 6479−6486(1995).
【非特許文献19】Linら、J. Virol. 74:11619−11625(2000).
【非特許文献20】Meyerら、J. Virol. 76: 8494−8503(2002).
【非特許文献21】van Gennipら、J. Virol. 78: 8812−8823(2004).
【非特許文献22】Zhangら、Archives of Virology 151 (1): 37−54(2006).
【非特許文献23】Dongら、Vaccine 23:3630−3633(2005).
【非特許文献24】Hulstら、J. Gen. Virol. 78: 2779−2787(1997).
【非特許文献25】Lianら、J. Gen. Viol. 84: 1269−1274(2003).
【非特許文献26】Hulstら、J. Virol. 74: 9553−9561(2001).
【非特許文献27】Sangerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74: 5463−5467(1977).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書でCSFVのE2のWH303エピトープ中に生じた突然変異の効果を発明者は報告するが、前記突然変異は毒性のCSFVのブレスシア(Brescia)株のアミノ酸配列をBVDVのNADL株と相同なアミノ酸配列へと次第に変化させ、ブタでのウイルス毒性の相加作用とアミノ酸6個の変化後の完全な弱毒化とを示す。かかる弱毒ウイルスはCSF弱毒性生ワクチンの合理的な設計を可能にする。ワクチン接種後3日目ないし21日目で毒性ブレスシアウイルスに感染されたとき、ウイルスの突然変異体に感染した動物は保護された。WH303エピトープ中のこの部位での改変は、感染動物とワクチン接種された動物とを鑑別する診断試験の開発を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者はE2糖タンパク質中の新規毒性決定因子を同定した。
【0009】
本発見に従って、改変されたCSFVのE2糖タンパク質をエンコードするDNAを含む、組み換えブタ・コレラウイルス(CSFV)を提供することが本発明の目的である。
【0010】
高病原性ブレスシア株のE2遺伝子の一部に突然変異を累積することによる改変が施されたCSFVのE2糖タンパク質をエンコードするDNAを含む、組み換えブタ・コレラウイルス(CSFV)を提供することが本発明の目的であって、前記改変はBVDV由来のWH303エピトープ配列の相同E2遺伝子により類似させ、CSFVを弱毒性にする。
【0011】
生存能力のある組み換えブタ・コレラウイルス(CSFV)を含み、該ウイルスは改変されたCSFVのE2糖タンパク質を含む、免疫原性の組成物を提供することが本発明のさらなる目的である。
【0012】
CSFの重篤度を低下する合理的に設計されたCSF弱毒性生ワクチンを提供することが本発明のさらなる目的である。
【0013】
毒性ブレスシア株CSFVに感染したとき、臨床CSF疾患から動物を有効に保護するように合理的に設計されたCSF弱毒性生ワクチンを提供することが本発明の他の目的である。
【0014】
ワクチン接種された動物と、CSFVに感染した動物とを血清学的に判別可能にする、マーカーワクチンを提供することが本発明のさらなる目的である。
【0015】
合理的に設計されたCSFV弱毒性生ワクチンの有効量を投与することによってCSFに対して動物を保護する方法を提供することが本発明のさらなる目的である。
【0016】
本発明の他の目的及び利点は、以下の詳細な説明から容易に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】E2糖タンパク質のmAb WH303エピトープ領域のCSFVのブレスシア、BVDVのNADL株及びCSFVのT1−5突然変異体ウイルスの比較を示す図。CSFVのポリタンパク質のアミノ酸残基の位置が示される。斜字体はNADL株BVDV及びT1vないしT5vCSFVの両方と、ブレスシア株のE2のアミノ酸残基と異なるアミノ酸残基を示す。
【図2A】T1v−T5v突然変異体及びBICvの特徴の比較を示すグラフ。図2AはT1v−T5v突然変異体及びBICvのin vivoでの成長の特徴を示す。SK6の単層は、T1v、T2v、T3v、T4v、T5v又はBICvとともに感染させられ(MOI=0.01)、ウイルスの生産量は感染後間隔をおいてタイター測定された。データは2回の独立の実験からの平均値及び標準偏差値を示す。
【図2B】T1v−T5v突然変異体及びBICvの特徴の比較を示す図。図2Bは、T1v−T5v突然変異体及びBICVのプラーク形成と、mAbの反応性とを示す。SK6の単層培養は50ないし100TCID50で感染させられ、0.5%アガロースで重層され、37°Cで3日間培養された。プレートは50%(vol/vol)エタノール−アセトンで固定され、mAb WH303及びmAb WH308で差異が分かるように免疫組織化学染色された。
【図3】組み換えウイルスのT1v−T5vと、BICvとに感染したブタから記録された臨床スコアを示すグラフ。以前に説明されたやり方に修正を施して臨床スコアは算出され、動物2個体(T1v、T2v、T3v及びT4v)又は動物6個体(T5v及びBICv)の観察に基づいている。
【図4】組み換えウイルスのT1v−T5vと、BICvとに感染したブタの末梢白血球(図4A)及び血小板(図4B)の総数を示すグラフ。総数は1mLあたりの細胞数として表され、各点は動物2個体(T1v、T2v、T3v及びT4v)又は動物6個体(T5v及びBICv)の平均値及び標準誤差値を示す。
【図5】T1v−T5v突然変異体か、あるいはBICvに感染したブタの血液(図A)、鼻腔ぬぐいサンプル(図5B)及び咽頭ぬぐいサンプル(図5C)でのウイルスタイターを示すグラフ。各点は動物2個体(T1v、T2v、T3v及びT4v)又は動物6個体(T5v及びBICv)のTCID50/mLの平均値及び標準偏差値を示す。
【図6】偽ワクチンか、T5vかでワクチン接種され、3又は21DPIのBICvで感染されたブタの末梢白血球(図6A)及び血小板(図6B)の総数を示すグラフ。対照動物、偽ワクチン接種動物及び感染動物の値は四角で示される。総数は1mLあたりの細胞数として表され、標準誤差値を示す誤差棒を用いて4個体の平均値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
CSFVのアウトブレイクの際の疾患制御戦略の開発は保護の早期開始を必要とし、該保護の早期開始は、例えば、保護の持続期間よりも重要なワクチンの性能のパラメーターとなる。前記ワクチンの開発は合理的に設計されたCSFV弱毒性生ワクチンの生産を伴う。
【0019】
ぺスチウイルスの毒性の基礎となる遺伝的基礎及び分子機構はまだ不明瞭である。CSFVの場合では、異なる報告が、ウイルスタンパク質又は特異的なゲノム領域と、毒性とに関連がある旨記載されている。アルフォート(Alfort)株CSFVのErns糖タンパク質のRNase活性を消失させる1個又は2個のコドン突然変異はブタでウイルスを弱毒化した(非特許文献5)。同様の結果は、BVDVのErns糖タンパク質のRNaseドメインに突然変異を起こすことによって観察された(非特許文献20)。より最近、CSFVの毒性アルフォート/187株及びエイストラップ(Eystrup)株からNproを欠失させるとブタで弱毒ウイルスが生じることが示された(非特許文献20)。Ernsの3個のアミノ酸置換を伴うCSFVのE2糖タンパク質のアミノ酸置換は、ブタで毒性の低下につながった(非特許文献21)。さらに、CSFVのブレスシア株のE1遺伝子への19個のアミノ酸のインフレーム挿入は、in vivoでの弱毒性をもたらした(非特許文献9)。CSFVのE2は毒性への関与が考えられている。CSワクチン株に由来するE2遺伝子でブレスシア株CSFVのE2遺伝子を置換することにより、in vivoで非常に弱毒化されるウイルスのキメラが生じる(非特許文献8)。ブレスシア株のE2タンパク質の配列と比較すると、CSワクチン株ウイルスのE2タンパク質における22個のアミノ酸置換はいずれも、mAb WH303エピトープに影響を与えない。ブレスシア、CS及びキメラの3種類のウイルスの全てはmAb 303と強く反応し、CSFVの弱毒性に関連する他の遺伝的決定因子の存在を示唆する。
【0020】
本明細書において、高病原性CSFVのブレスシア株のE2糖タンパク質中のmAb WH303エピトープに導入された突然変異はウイルスの弱毒化をもたらすと発明者は示す。BVDVのNADL株のE2タンパク質中の同じ部位(TSFNMDTLA、配列番号2)で見られるアミノ酸残基に近似するように蓄積的な変化がCSFVのブレスシア株のWH303エピトープ(TAVSPTTLR、配列番号1)に導入された。興味深いことに、TSFNMDTLR(T4v)又はTSFNMDTLA(T5v)はmAB WH303への反応性を消失し、プラークが小さい形態を示し、in vivoで非常に弱毒化される。BICvの感染によって誘発される急性致死疾患と異なり、T4v及びT5vの感染は無症状であり、標的器官でのウイルスの複製低下と、ウイルス粒子放出の減少とによって特徴付けられる。
【0021】
ファージ−ディスプレイ・ランダム・ペプチド・ライブラリーを用いてCSFVのE2及びErnsに対する中和モノクローナル抗体を特徴付ける際に、主要免疫優勢エピトープと、WH303とに関連があることが最近観察された(非特許文献22)。これらのモノクローナル抗体は、WH303エピトープ(SPTTL)に位置する共通のモチーフのSPTxLに結合することが発見された。さらに、さまざまなペプチド−ワクチンがCSFVに対する免疫を誘導し、該ペプチド−ワクチンはアミノ酸20個ないし25個の範囲の長さの重複するペプチド6個からなり、WH303エピトープを含む(非特許文献23)。
【0022】
ブタでのT5vの弱毒性は、in vivoでの重大な標的細胞へのウイルスの接合及び/又は効率的な進入のいくつかの局面を含む場合があると考えられる。Erns、E1及びE2はCSFVのビリオンのエンベロープの構造糖タンパク質である(非特許文献13)。エンベロープに固定されるとき、E2はジスルフィドの架橋によって結合されるホモ及びヘテロ二量体の両方(非特許文献13、14、15)として示され、Erns(非特許文献24)及びE1(非特許文献17)とともにウイルスの感受性に重要であることが示されている。E2タンパク質のキメラを含む人工ペスチウイルスは宿主域が変わった。ヒツジ・ペスチウイルスであるボーダー病ウイルス(BDV)に由来する完全なE2遺伝子を有するBVDVのキメラはウシ肝臓細胞(MDBK)におけるプラーク形成能を消失するが、ヒツジ細胞におけるプラーク形成能は保持した(非特許文献25)。しかしながら、感染後24時間のウイルスの産生量の違いは野生型BVDVの100分の1であるにもかかわらず、MDBK細胞はキメラに対して許容性であった。同様に、BVDVに由来する相同配列でのC株CSFVのE2のアミノ末端の部分的な置換は、ブタ腎臓細胞(SK6)でウイルスの産生量を10分の1に低下させた。SK6細胞はキメラと、BVDVのE2供与体とに同程度に許容性であったが、前記キメラはBVDVのウシ胎児上皮細胞感染能を獲得できなかった(非特許文献12)。同様に、BICv、T1v、T2v及びT3vと比較して、T4v及びT5vはSK細胞でのウイルスの産生量を10分の1に減少させ(図2A)、ウシ腎臓細胞(MDBK)での効率的な複製能力を喪失する(データは示さず)。
【0023】
SK細胞において親のBICvと比較して約70%のプラークサイズの縮小をT4v及びT5vは示した(図2B)。プラークが小さい類似の表現型はSK6細胞におけるBVDVのNADL株で観察され、これらのウイルスはin vitroでの結合及び/又は拡散の能力が改変されたことを示唆する。in vitroでのプラークサイズの縮小と、in vivoでのCSFVの弱毒性との関連はまだ確立されていないが、関係があることを示唆する複数の観察が存在する。ブタ腎臓培養細胞での継代後に獲得されるヘパリン硫酸結合依存性のブレスシア株CSFVのバリアント(variants)は、プラークサイズが小さいことをHulstらは観察した(非特許文献2、25)。Ernsタンパク質での1個のアミノ酸突然変異を含むこれらのバリアントは、ブタで毒性があった(非特許文献25)。しかしながら、E1(非特許文献9)及びE2(非特許文献8)の突然変異を含む2個の異なるブレスシア株CSFV由来の組み換えウイルスは、ブタ腎臓培養細胞でプラークサイズが小さい表現型を示し、ブタでの毒性が弱かった。
【0024】
要約すると、E2糖タンパク質に関連する新規CSFVの毒性の遺伝的因子が同定された。弱毒化の基礎となる機構は知られていないが、興味深いことに、mAB WH303との反応性の段階的な消失はCSFVの最終的な弱毒性に繋がるin vivoでの毒性の消失に対応し、エピトープ配列の欠失と、ブタにおいて他のペスチウイルス(BVDV及びBDV)によって疾患が誘発できないこととの間に関連があることを示唆している。CSFVの毒性の遺伝的基礎の理解を深めることは、安全性、有効性及び利用性が高いCSF弱毒性生ワクチンの合理的な設計を可能にするであろう。さらにT4v及びT5vウイルスという特別な場合では、高い特異性を有し、かつ、保存されたCSFVのエピトープを認識するmAb WH303との反応性の消失は、弱毒性マーカーワクチンとしてこれらのウイルス突然変異体を使用する可能性を開く。
【0025】
実施例
以上本発明を一般的に説明したが、同じ発明は複数の具体的な実施例を参照することによってより理解されるであろうが、前記実施例は本発明をさらに例示するためにのみ本明細書に含まれ、請求の範囲で定められる本発明の射程を限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0026】
ウイルス及び細胞の培養
BVDVが存在しないブタ腎臓細胞(SK6)(29)は10% ウシ胎児血清(FCS)(Atlas Biologicals、コロラド州フォートコリンズ)とともにダルベッコ最小必須培地(DMEM)(Gibco、ニューヨーク州グランド島)で培養された。ブレスシア株CSFVはSK6細胞で増殖され、感染性cDNAクローンの構築のために用いられた(17)。臨床サンプル由来のCSFVのタイター測定は、96ウェルのプレート(Costar、マサチューセッツ州ケンブリッジ)中でSK6細胞を用いて実施された。CSFVのモノクローナル抗体のWH303又はWH308(1)と、ベクタステイン(商標)ABCキット(Vector Laboratories、カリフォルニア州バーリンガム)とを用いて免疫ペルオキシダーゼアッセイによって、ウイルスの感染性は培養4日後に検出された(25)。タイターはリード・ミンチ(Reed and Muench)(14)法を用いて算出され、TCID50/mLとして表された。実施されたとき、試験感度は>1.8TCID50/mLであった。
【実施例2】
【0027】
CSFVの感染性クローンT1−T5の構築
毒性ブレスシア株の完全長感染性クローン(IC)の単離体(pBIC)(17)は鋳型として用いられ、E2の829番目ないし837番目間の前記WH303エピトープ(TAVSPTTLR、配列番号1)の6個のアミノ酸残基はBVDVのNADL株(TSFNMDTLA、配列番号2)中に存在する6個の相同なアミノ酸残基を反映するように突然変異が起こされた(非特許文献19)。突然変異は蓄積され、以下のウイルス突然変異体の回収のために5つのICが産生され、該突然変異体は、T1v(TSFSPTTLR、配列番号3)、T2v(TSFNPTTLR、配列番号4)、T3v(TSFNMTTLR、配列番号5)、T4v(TSFNMDTLR、配列番号6)及びT5v(TSFNMDTLA、配列番号7)である(図1)。クイックチェンジ(QuickChange)XL部位直接的突然変異体の作製キット(Stratagene、テキサス州シーダークリーク)と、表1に記載されたプラーマー及び標的プラスミドとを用いる部位直接的突然変異体の作製によって突然変異は導入され、該部位直接的突然変異体の作製は製造者の意図に従って実施された。
【0028】
【表1】

【0029】
ブレスシア株CSFV又はT1ないしT5突然変異体の完全長ICからin vitroで感染性RNAは転写され、SK6細胞にトランスフェクションするために用いられた(図1A)。ウイルスは、トランスフェクション後4日目にトランスフェクションされた細胞から回収された。回収されたウイルスゲノムの核酸配列は親のDNAプラスミドと同一であり、該配列はWH303エピトープをエンコードする遺伝子座中の突然変異のみがT1v−T5vに反映させられたと証明する。
【実施例3】
【0030】
CSFVのブレスシア及びT1v−T5v突然変異体ウイルスのin vitroでの回収
完全長ゲノムの感染性クローンはSrfIで直鎖化され、T7メガスクリプトシステム(Ambion、テキサス州オースティン)を用いてin vitroで転写された。RNA産物はLiClで沈殿させられ、BTX630電気穿孔機(BTX、カリフォルニア州サンディエゴ)を用いて、500ボルト、720オーム、100ワットで電気穿孔法によってSK6細胞にトランスフェクションされた。細胞は12ウェルのプレート及び25cmのフラスコに播種され、37°C及び5% CO雰囲気下で4日間培養された。CSFVのE2特異的モノクローナル抗体(WH308)を用いて免疫ペルオキシダーゼ染色によってウイルスは検出された。回収されたウイルスのストックは−70°Cで保管された。導入された突然変異の精度は突然変異体ウイルスのE2遺伝子をシークエンスすることによって証明された。
【実施例4】
【0031】
T1v−T5vのin vitro及びin vivo解析
親のpBICvと比較してT1v−T5vのin vitroでの成長の特徴は、多段階の成長曲線で評価された。SK6の細胞培養は、細胞あたり0.01TCID50の重複感染度(MOI)で感染させられた。ウイルスは1時間で吸着され(0時間)、サンプルは感染後の72時間を通して収集された。T1v、T2v及びT3v突然変異体はpBICvと事実上鑑別できない成長の特徴を示めす一方で、T4及びT5は最終的なウイルス生産量を10分の1の減少を示した。BICv、T1v、T2v及びT3vと比較して、T4及びT5はプラークサイズの80−90%の減少を示した(図2B)。最終的に、Mab WH303を用いる免疫細胞化学反応は、T1v、T2v及びpBICvと同等であるが、前記反応はT3vで部分的に消失し、T4v及びT5vが感染した細胞で完全に消失した(図2B)。CSFVのin vitroでの複製能力に影響を及ぼすWH303エピトープの突然変異は、WH303の反応に同様に影響を及ぼすとこれらの結果は示す。
【0032】
ブタでCSFVの毒性に関するWH303エピトープの突然変異の影響を調査するために、T1v−T5v突然変異体と、BICvの野生型ウイルスとの毒性の表現型は105TCID50のウイルスを鼻腔内に接種されたヨークシャー・ブタの6グループで比較され、臨床疾患をモニターされた。この実験結果は表2及び図3−5で示される。WH303エピトープの突然変異の特徴及び安定性は、6DPIでT1v−T5vに感染した動物の扁桃腺から回収されたウイルスの核酸配列解析によって証明された(データは示されていない)。
【0033】
【表2】

【0034】
予想されたように、ブタで、高病原性、効率的に誘発される発熱、臨床の徴候及び死をBICvはもたらしたが、T1v−T5v突然変異体はますます弱毒化された毒性の表現型となると示された(表2、図3)。T1v及びT2vは、BICvと同じやり方で、高病原性、効率的に誘発される熱病及びブタでの死をもたらしたが(表2)、BICvと比較してT2vは臨床スコアの軽度の遅延を示した(表3)。死が4−8日後にもたらしたとき、T3vは致死性疾患を誘発したが、BICvと比較して遅延型の動態であった(表2)。顕著に、T4v及びT5vは致死性疾患を誘発できず、T4vは中程度で一過性の発熱のみを誘発し、T5vはまったく臨床疾患を誘発しなかった(表2、図3)。同様に、BICv、T1v、T2v及びT3vの感染は6DPIで白血球(WBC)及び血小板の総数の激減をもたらし、死ぬまで低いままであったが、T4v及びT5vの感染は一過的に誘発され、劇的な影響はほとんどなかった(図4)。
【0035】
【表3】

【0036】
T1v−T5vの弱毒化はウイルス血症及びウイルス粒子放出に反映された。T1v及びT2vによって誘発されるウイルス血症を起こすタイターはBICvによって誘導されるウイルス血症を起こすタイターに匹敵し、T3vは10ないし10log10まで低下され、T4v及びT5vによって誘発されるタイターは類似の感染後の時間でのBICvのタイターよりもより低い10ないし10log10であった(図5A)。類似のパターンは鼻腔ぬぐいサンプルないし咽頭ぬぐいサンプルに由来するウイルスタイターで観察され、T3v、T4v及びT5vのタイターは遅延されたDPIで検出可能なレベルより低く低下する(図5B及びCの各々)。
【0037】
T5vの病原性のより詳細な検討のために、T5v及びBICvに感染した動物は、2、4、6、8及び14DPIで安楽死され(一個体/時点/グループ)、ウイルスタイターは、扁桃腺、顎下神経節、脾臓、血液及び腎臓の組織サンプルと、鼻腔ぬぐいサンプル及び咽頭ぬぐいサンプルとで測定された(表3)。BICvと比較して、T5vは扁桃腺で非常に低レベルのウイルス複製を示した(約10ないし10log10)。T5vないしBICv間の類似の差異は、所属排出下顎リンパ節、脾臓及び腎臓に由来するウイルスタイター間で観察された(表3)。
【0038】
CSFVのE2のWH303エピトープ中での突然変異の数の増大はブタに対してウイルスを弱毒化する相加作用をもたらし、T4v及びT5vに存在する前記突然変異はウイルス毒性の重大な低下をもたらすとこれらの結果は示す。さらに、非常に穏やかで一過的な臨床疾患と、扁桃腺及び標的組織でのウイルスの複製低下と、ウイルス粒子放出の劇的な減少とによってT5vの感染は特徴付けられる。
【実施例5】
【0039】
DNAシークエンス及び解析
完全長感染性クローンと、in vitroで回収されたウイルスと、感染動物から回収されたウイルスとはジデオキシヌクレオチドチェーンターミネーション法によってCSFVに特異的なプライマーを用いて完全にシークエンスされた(非特許文献27)。シークエンス反応は色素ターミネーターサイクルシークエンスキット(Perkin−Elmer、マサチューセッツ州ボストン)で調製された。反応産物は、PRISM 3730xl 自動DNAシークエンサー(PE Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティー)でシークエンスされた。シークエンスデータはPhrapソフトウェアプログラムで組み立てられ、確証的な組み立てはCAP3で実施された(www.phrap.org)。最終的なDNAの共通配列は、塩基部位のおのおのにおいて平均で5倍の重複性を示した。シークエンスの比較はBioEditを用いて実施された。
【実施例6】
【0040】
動物の感染
ブレスシアウイルスと比較して、T4v―T5v突然変異体のそれぞれはブタでその毒性の表現型を初めに検査された。本明細書の全ての動物実験で用いられたブタは10ないし12週齢の40ポンドのブタであり、10TCID50の突然変異体又は野生型のウイルスのいずれかを用いて経鼻接種された。スクリーニングのために、12個体のブタは各2個体の6グループに無作為に配分され、各グループのブタはT1v―T5v突然変異体又はpBICvのうちの1つで接種された。臨床徴候(食欲不振、抑うつ状態、発熱、紫色の皮膚への変色、よろめき歩行、下痢及び咳)は実験を通じて日々観察され、以前に説明されたやり方に修正を施して記録が取られた。
【0041】
感染中に異なる器官でのT5v突然変異体のウイルス粒子放出及び分布の影響を評価するために、10個体のブタは各動物5個体の2グループに不作為に配分され、T5v突然変異体又はpBICvで接種された。グループあたり1個体のブタは、2、4、6、8及び14DPIで屠殺された。血液サンプル、鼻腔ぬぐいサンプル及び咽頭ぬぐいサンプルは検死においてブタから得られた。組織サンプル(扁桃腺、下顎リンパ節、脾臓及び腎臓)はウイルスのタイター測定のために液体窒素で急速冷凍された。
【0042】
保護の検討のために、12個体のブタは各動物4個体の3グループに不作為に配分された。グループ1及び2のブタはT5vで接種され、グループ3の動物は偽感染された。3DPI(グループ1)又は21DPI(グループ2)で、グループ3の動物とともに動物はBICvに感染させられた。臨床徴候及び体温は上述したような実験を通じて日々記録された。血液、血清、鼻腔ぬぐいサンプル及び咽頭ぬぐいサンプルは感染後間隔をおいて収集され、全ての異なる白血球の総数を算出するために、EDTA中の前大静脈から得られた血液は管(バキュテナー)に入れられる。全ての異なる白血球及び血小板の総数は、ベックマンコールターACTを用いて得られた(Beckman、カリフォルニア州コールター)。
【実施例7】
【0043】
T5vの感染は病原性BICvの感染に対してブタを保護する。
BICvの感染に対する保護を誘導するT5vの能力は評価された。T5vでワクチン接種されたブタは3又は21DPIで10TCID50の病原性BICvに感染させられた。T5vを全く供与されていない偽ワクチン接種された対照のブタは、BICvの感染後(DPC)4日目までに、食欲不振、抑うつ状態及び発熱を発症し、感染後7日目(7DPC)までに循環する白血球及び血小板の著しい低下を発生させ、死亡するか、あるいは瀕死となり感染後12日目(12DPC)までに安楽死させられた。
【0044】
【表4】

【0045】
特に、3DPIまでに誘導されるT5vは臨床疾患を誘発するBICvに対する保護を達成する。全てのブタは感染に耐え、臨床的に正常であり、2個体のみが4DPIで一過的に発熱したが(表4)、ブタの血算値の重大な変化はなかった(図6)。同様に、T5vの感染後12日目で感染されたブタは臨床的に正常であった(表4)。
【0046】
mAb WH303で特異的に検出されるようなBICvの感染性ウイルスの血症及びウイルス粒子放出は、4、6、8、14及び21DPCで調べられた(データは示されていない)。偽ワクチン接種された対照動物で予想されたように、BICvのウイルス血症は5DPCで観察され、死亡するまでウイルスタイターは高いままであり(8DPCで10TCID50/mL)、BICvは4DPCでの鼻腔ぬぐいサンプル及び咽頭ぬぐいサンプルからタイター測定され、8DPCで1mLあたり10−10TCID50のタイターに達した。対照的に、感染後にT5vでワクチン接種されたブタ由来の全ての臨床サンプル(血液、鼻腔ぬぐいサンプル又は咽頭ぬぐいサンプル)でBICvは存在しなかった。T5vはCSFVの致死性感染に対する完全な保護を急速に誘導でき、感染ウイルスに由来するウイルス血症又はウイルス粒子放出をT5vで免疫されたブタは全く検出できないとこれらの結果は示す。
【0047】
したがって、T5のワクチン接種後3日目又は28日目のいずれかで親の毒性ブレスシアウイルスに感染させられたとき、実験的にワクチン接種された動物で臨床疾患の発症及び感染ウイルスの複製の両方に対する完全な保護をT5vは誘導可能である。
【0048】
文献又は特許のそれぞれが引用により取り込まれたと明確かつ個別的に示されたのと同程度に、本明細書で言及された文献及び特許の全ては引用により本明細書に取り込まれた。
【0049】
本発明の前記説明と、ある代表的な実施態様及び詳細とは本発明の例示及び説明の目的のために提供されている。開示された厳密な形式は本発明を完全にするか、あるいは限定を意図するものではない。本発明の範囲から逸脱することなく、改変及び変更は本明細書にもたらされる場合があると当業者に示されるであろう。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
改変が施されたブタ・コレラウイルス(CSFV)E2糖タンパク質をエンコードするDNAを含むことを特徴とする、組み換えブタ・コレラウイルス。
【請求項2】
高病原性ブレスシア株のE2遺伝子の一部に突然変異を蓄積することによる改変が施されたCSFVE2糖タンパク質をエンコードするDNAを含む組み換えブタ・コレラウイルスであって、前記改変はBVDV由来の相同E2遺伝子に部分的に類似させ、ブタ・コレラウイルスを弱毒性にすることを特徴とする、組み換えブタ・コレラウイルス。
【請求項3】
高病原性ブレスシア株のCSFVE2遺伝子の領域に突然変異を蓄積することによる改変が施されたE2糖タンパク質をエンコードするDNAを含む組み換えブタ・コレラウイルスであって、前記領域はCSFVのE2糖タンパク質の829番目ないし837番目のアミノ酸をエンコードし、前記DNAに突然変異を蓄積することは、CFSVE2糖タンパク質の特徴である1個ないし6個のアミノ酸をBVDVのE2糖タンパク質の相同領域の特徴である1個ないし6個のアミノ酸に変更させ、前記改変はCSFVを弱毒性にすることを特徴とする、組み換えブタ・コレラウイルス。
【請求項4】
配列番号6(TSFNMDTLR)に列挙される配列を有する突然変異CSFVE2糖タンパク質をエンコードするDNAを含む組み換えブタ・コレラウイルスであって、前記突然変異CSFVE2糖タンパク質の改変はCSFVを弱毒性にすることを特徴とする、組み換えブタ・コレラウイルス。
【請求項5】
配列番号7(TSFNMDTLA)に列挙される配列を有する突然変異CSFVE2糖タンパク質をエンコードするDNAを含む組み換えブタ・コレラウイルスであって、前記突然変異CSFVE2糖タンパク質の改変はCSFVを弱毒性にすることを特徴とする、組み換えブタ・コレラウイルス。
【請求項6】
請求項1−3のうちいずれか1つに記載の組み換えブタ・コレラウイルスを含むことを特徴とする、合理的に設計されたブタ・コレラ(CSF)弱毒性生ワクチン。
【請求項7】
請求項4に記載の組み換えブタ・コレラウイルスを含むことを特徴とする、合理的に設計されたブタ・コレラ(CSF)弱毒性生ワクチン。
【請求項8】
請求項5に記載の組み換えブタ・コレラウイルスを含むことを特徴とする、合理的に設計されたブタ・コレラ(CSF)弱毒性生ワクチン。
【請求項9】
請求項1−5のうちいずれか1つに記載の組み換えブタ・コレラウイルスを含むワクチンを動物に投与するステップを含むことを特徴とする、ブタ・コレラ(CSF)に対する免疫を付与する方法。
【請求項10】
臨床ブタ・コレラ(CSF)から前記動物を保護するために有効な量の請求項8に記載のワクチンを前記動物に投与するステップを含むことを特徴とする、ブタ・コレラ(CSF)に対して動物を保護する方法。
【請求項11】
評価対象の動物由来の血清がmAb 303の結合を阻害するか否かを決定するために競合ELISA法で前記血清を分析するステップを含むことを特徴とする、請求項8に記載の合理的に設計されたブタ・コレラ(CSF)弱毒性生ワクチンでワクチン接種された動物から、CSFVに感染した動物を判別する方法。
【請求項12】
評価対象の動物由来の血清がmAb 303の結合を阻害するか否かを決定するために競合ELISA法で前記血清を分析するステップを含むことを特徴とする、請求項7に記載の合理的に設計されたブタ・コレラ(CSF)弱毒性生ワクチンでワクチン接種された動物から、CSFVに感染した動物を判別する方法。
【請求項13】
(a)高病原性ブレスシア株における毒性決定因子を同定するステップと、
(b)ブタで病原性がない近縁ウイルスにおいて相同性がある毒性決定因子を同定するステップと、
(c)前記毒性決定因子をエンコードするDNAに突然変異を順次蓄積するステップと、
(d)CSFVの弱毒性化を達成するステップとを含み、
前記DNAに突然変異を蓄積することは、CFSVの毒性決定因子の特徴であるアミノ酸を前記相同性がある毒性決定因子の特徴であるアミノ酸に変更することであることを特徴とする、弱毒性組み換えブタ・コレラウイルスを生産する戦略。
【請求項14】
前記近縁ウイルスはBVDV又はBDVであることを特徴とする、請求項13に記載の戦略。
【請求項15】
改変が施されたCFSVE2糖タンパク質をエンコードするDNAを含む弱毒性組み換えブタ・コレラウイルスを生産する方法であって、
(a)高病原性ブレスシア株のCSFVE2遺伝子の領域に突然変異を累積するステップと、
(b)前記改変の結果としてCSFVの弱毒性化を達成するステップとを含み、
前記領域はCSFVE2糖タンパク質の829番目ないし837番目のアミノ酸をエンコードし、前記DNAに突然変異を蓄積することは、CFSVE2糖タンパク質の特徴である1個ないし6個のアミノ酸をBVDVのE2糖タンパク質の相同領域の特徴である1個ないし6個のアミノ酸に変更させることを特徴とする、弱毒性組み換えブタ・コレラウイルスを生産する方法。


【図1】
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【図2A】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図2B】
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【公表番号】特表2009−538628(P2009−538628A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513411(P2009−513411)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/069852
【国際公開番号】WO2007/143442
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(500031032)
【Fターム(参考)】