説明

ブドウ発酵物及びその製造方法

【課題】優れた生理活性効果を有し、風味が改善されたブドウ発酵物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ブドウの種子及び/又は果皮を培地とし、ラクトバチルス・プランタルムとラクトバチルス・ブレビスとを少なくとも含む乳酸菌で発酵させてブドウ発酵物を得る。発酵は、27〜37℃で、24〜72時間行うことが好ましい。また、培地にアルカリ剤を添加して、pHを3.8〜6に調整をしながら発酵を行うことが好ましい。そして、発酵終了後、前記培地を加熱殺菌して液状のブドウ発酵物を得るか、あるいは、発酵終了後、前記培地を加熱殺菌し、その後凍結乾燥して粉末状のブドウ発酵物を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブドウの種子及び/又は果皮を乳酸発酵させた、健康飲食品やその原料などに用いられるブドウ発酵物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリフェノール類は、抗酸化性等の様々な生理効果を有することが報告されている。ポリフェノール類を多量に含むものとしては、例えばブドウがある。なかでも、ブドウの種子や果皮には、アントシアニン、プロアントシアニジン、カテキン、タンニン、フラボノイドなどのポリフェノール類が特に多く含まれているとされている。このため、近年では、ブドウの種子や果皮を健康食品の原料として用いる試みがなされている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、ポリフェノールを含むブドウ果皮種子の粗抽出エキスおよび糖を含有してなるブドウ果皮種子抽出エキス配合飲料が開示されている。
【0004】
また、下記特許文献2には、ぶどう果実粒の種皮及び/又は種子を含む圧搾かすを乾燥及び粉砕して食用粉末とすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−69945号公報
【特許文献2】特開2002−360208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ブドウの種子や果皮は、渋みが強く、飲食品に用いた場合、飲食品本来の風味を損なう傾向にあった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、ブドウの種子や果皮に含まれる有効成分を損なうことなく、優れた生理活性効果を有し、風味が改善されたブドウ発酵物及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するにあたり、本発明者らは、種々の検討の結果、ブドウの種子及び/又は果皮を、ラクトバチルス・プランタルムとラクトバチルス・ブレビスとを少なくとも含む乳酸菌で混合発酵することにより、ブドウの種子や果皮に含まれるポリフェノール類の体内への吸収が促進され易くなり、更には、渋みなどが改善されて、風味が向上することを見出した。
【0009】
したがって、本発明のブドウ発酵物は、ブドウの種子及び/又は果皮を、ラクトバチルス・プランタルムとラクトバチルス・ブレビスとを少なくとも含む乳酸菌で発酵させたものであることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のブドウ発酵物の製造方法は、ブドウの種子及び/又は果皮を培地とし、ラクトバチルス・プランタルムとラクトバチルス・ブレビスとを少なくとも含む乳酸菌で発酵させることを特徴とする。
【0011】
本発明のブドウ発酵物の製造方法は、前記発酵を、27〜37℃で、24〜72時間行うことが好ましい。この態様によれば、乳酸菌の活性が生育適温にて発酵される。
【0012】
本発明のブドウ発酵物の製造方法は、前記培地にアルカリ剤を添加して、pHを3.8〜6に調整をしながら発酵を行うことが好ましい。この態様によれば、乳酸発酵に伴って培地pHが低下することを、アルカリ剤の添加によって防止しつつ、乳酸菌の生育に適したpHを維持しつつ発酵を継続できる。このため、培地が乳酸菌によって充分に資化されるまで発酵を行わせることができ、ポリフェノール類の体内への吸収性を高めると共に、発酵による風味改善効果も高めることができる。
【0013】
本発明のブドウ発酵物の製造方法は、発酵終了後、前記培地を加熱殺菌して液状のブドウ発酵物を得るか、あるいは、発酵終了後、前記培地を加熱殺菌し、その後凍結乾燥して粉末状のブドウ発酵物を得ることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ブドウの種子及び/又は果皮を、ラクトバチルス・プランタルムとラクトバチルス・ブレビスとを少なくとも含む乳酸菌で発酵させたことで、ブドウの種子や果皮に含まれるポリフェノール類の体内への吸収性が向上し、更には渋みが和らげられ、風味が向上する。そして、ポリフェノール類と、乳酸菌との相乗効果により、抗酸化作用、抗アレルギー作用、α−アミラーゼ阻害活性作用などの様々な生理活性効果が得られ、健康食品、医薬品及びこれらの原料素材などとして有用に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のブドウ発酵物によるIgE産生抑制活性を示す図表である。
【図2】本発明のブドウ発酵物によるα−アミラーゼ阻害活性を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のブドウ発酵物は、ブドウの種子及び/又は果皮を、ラクトバチルス・プランタルムとラクトバチルス・ブレビスとを少なくとも含む乳酸菌で発酵させてなるものである。
【0017】
本発明において、原料となるブドウとしては、特に限定はなく、白系ブドウ、赤系ブドウ等のいずれでもよい。白系ブドウとしては、シャルドネ種、リースリング種、マスカット種などが挙げられる。赤系ブドウとしては、甲州種、巨峰種、ピオーネ種、カベルネ・フラン種、カベルネ・ソービニヨン種、メルロ種、ピノ・ノアール種、ピノ・ムニエ種、マスカット・ベリーA種、シラー種、ガメイ種、グルナッシュ種、ムールヴェードル種、サンソー種、グロロー種などが挙げられる。なかでも、赤系ブドウの果皮には、アントシアニンやフラボノイドなどが比較的多量に含まれているので、赤系ブドウが好ましく用いられる。
【0018】
本発明において、ブドウの種子、果皮の発酵に用いる乳酸菌としては、ラクトバチルス・プランタルムとラクトバチルス・ブレビスとを少なくとも含むものを用いる。ブドウの種子や果皮を、ラクトバチルス・プランタルムと、ラクトバチルス・ブレビスとを少なくとも含む乳酸菌で混合発酵することにより、ブドウの種子や果皮に含まれるポリフェノール類が、配糖体の切断や、有機酸の結合などにより、体内への吸収性が高まる。更には、ブドウの種子や果皮の渋み、苦味、青臭さが低減され、風味が向上する。また、ブドウの種子や果皮に含まれるポリフェノール類と、ラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・ブレビスとが相乗的に作用し、免疫力、便通改善、抗アレルギー性、α−アミラーゼ阻害活性等の生理機能が向上する。
【0019】
また、本発明では、ラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・ブレビス以外の乳酸菌(以下、「他の乳酸菌」と記す)を併用することもできる。他の乳酸菌としては、食品として利用可能なものであれば、特に限定されない。例えば、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、エンテロコッカス・アビウム、エンテロコッカス・デュランス、エンテロコッカス・マラドラートス、エンテロコッカス・カセリフラブス、エンテロコッカス・ガリナール、ロイコノストック・クレモリス、ロイコノストック・シトロボラム、ロイコノストック・メゼンテロイデス、ペディオコッカス・セルビシェ、ペディオコッカス・ハロフィルス、ストレプトコッカス・アセトイニカス、ストレプトコッカス・エビウム、ストレプトコッカス・クレモリス、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ストレプトコッカス・サングィウス、ストレプトコッカス・ソイエ、ストレプトコッカス・デュランス、ストレプトコッカス・パラシトロボルス、ストレプトコッカス・ラクチス等の乳酸球菌、ラクトバチルス・サリバリウス、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ヘルベティクス等の乳酸桿菌、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ロングム、ビフィドバクテリウム・ブレーベ等のビフィズス菌等が挙げられる。
【0020】
次に、本発明のブドウ発酵物の製造方法について説明する。
【0021】
ブドウの種子、果皮を粉砕し、ブドウ粉砕物を得る。好ましくは、粒径が100μm以下となるまで粉砕する。ブドウ粉砕物の粒径が100μm以下であれば、ザラツキ感が無くなり、食感の良いものとなり、更には、乳酸菌による発酵効率が向上する。
【0022】
ブドウの種子、果皮の粉砕方法は、湿式粉砕が好ましい。湿式粉砕は、例えば、磨砕機、カッター等を用いて行うことができる。また、ブドウの種子、果皮を粉砕するにあたり、種子や果皮を含むブドウの果実をそのまま粉砕してもよく、ブドウの果実から種子や果皮を分離し、分離したブドウの種子、果皮のみを粉砕してもよい。すなわち、ブドウ粉砕物には、ブドウの果肉や果汁が含まれていてもよいが、ポリフェノール成分に富む種子及び果皮を主成分とすることが好ましい。
【0023】
次に、得られた粉砕物に適当量の水を加え、グルコース、酵母エキス等の他の栄養源を加えた後、pHを調整し、加熱殺菌して培地を調製する。
【0024】
培地中のブドウ粉砕物の濃度は、10〜40質量%が好ましく、25〜35質量%がより好ましい。ブドウ粉砕物の濃度が10質量%未満であると、得られる発酵物のポリフェノール含有量が少なくなるので、十分な生理効果が期待できないことがあり、更には、発酵物を粉末化する場合、手間や時間を要するので製造コストがかさむ。また、ブドウ粉砕物の濃度が40質量%を超えると、培地の粘度が上昇して攪拌し難くなり、乳酸発酵が不均一に行われる傾向にあり、更には、乳酸菌の増殖に時間がかかって生産性が低下する。
【0025】
培地の加熱殺菌は、110〜125℃で、10〜30分間行うことが好ましく、115〜120℃で、10〜20分間行うことがより好ましい。上記条件で加熱殺菌を行うことにより、ポリフェノール類を破壊することなく、雑菌などの繁殖を抑制できる。
【0026】
次に、上記培地に、ラクトバチルス・プランタルムとラクトバチルス・ブレビスとを少なくとも含む乳酸菌を添加して乳酸発酵を行う。
【0027】
乳酸菌の添加量は、特に限定されないが、培地1リットルに対して、ラクトバチルス・プランタルムの菌体数が1×10〜5×10個、ラクトバチルス・ブレビスの菌体数が1×10〜5×10個となるように添加することが好ましい。
【0028】
乳酸発酵は、温度27〜37℃、pH3.8〜6、培養時間24〜72時間の条件で行うことが好ましく、より好ましくは、温度30〜33℃、pH4.5〜6、培養時間40〜50時間の条件で行う。また、乳酸発酵の進行に伴い培地のpHが低下し、乳酸菌が増殖しにくくなるため、培地にアルカリ剤を連続的あるいは間欠的に添加して、培地のpHが3.8〜6(より好ましくはpH4.5〜6)となるように調整することが好ましい。アルカリ剤としては、水酸化カルシウムや、炭酸カルシウムなどのカルシウム塩が好ましく用いられる。カルシウム塩を添加することで、発酵によって形成された乳酸とカルシウムとが反応して、発酵物中に乳酸カルシウムが形成される。この乳酸カルシウムは、消化しやすいカルシウム源として知られており、カルシウムを豊富に含むブドウ発酵物を得ることができる。
【0029】
このようにして乳酸発酵して得られる発酵物は、ポリフェノール類の吸収性が高められている。この理由としては、乳酸発酵により、ポリフェノール類の配糖体が切断されたり、有機酸が結合したものによると考えられる。また、この発酵物には、発酵物の固形分100mg中に、ラクトバチルス・プランタルムが1×10〜5×10個、ラクトバチルス・ブレビスが1×10〜5×10個含まれていることが好ましい。
【0030】
そして、上記発酵物を、好ましくは60〜80℃で、5〜10分間加熱殺菌することで、液状のブドウ発酵物が得られる。上記ブドウ発酵物には、必要に応じて、ガラクトオリゴ糖、ショ糖などの糖類や、果汁などを加えてもよい。
【0031】
また、加熱殺菌後の上記発酵物を乾燥、粉末化することで、粉末状のブドウ発酵物が得られる。乾燥方法としては、例えば熱風乾燥、噴霧乾燥、ドラム乾燥、真空乾燥などが挙げられるが、ポリフェノール類の破壊が少なく、優れた生理活性を維持し易いという理由から凍結乾燥が好ましい。凍結乾燥は、例えば、発酵物を−60〜−40℃で1〜3時間凍結し、圧力0.1mbr以下、時間24〜48時間、温度20〜30℃の条件で行うことが好ましい。
【0032】
このようにして得られた液状又は粉末状のブドウ発酵物は、IgE産生抑制活性、α−アミラーゼ阻害活性などの点において優れた効果を示す。そして、これを摂取することにより、花粉アレルギー、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎などのIgEが関与するI型アレルギー反応の発症を抑制できる。また、α−アミラーゼ阻害作用を有することから、食後血糖値の上昇抑制作用を有し、過血糖症状及び過血糖に起因する肥満症、脂肪過多症、糖尿病等のメタボリックシンドローム関連症の予防及び治療に対し優れた効果を示す。そして、医薬品、食品等の各種分野で用いられ、医薬の有効成分、食品原料等として使用することができる。
【0033】
例えば、液状のブドウ発酵物は、容器に入れて、飲料品とすることができる。また、粉末状のブドウ発酵物は、必要に応じて賦形剤を添加し、粉末のまま、又は顆粒、錠剤等の形状に造粒したり、カプセル化したりして健康食品とすることができる。更に、飲食品の原料として用いることもできる。
【実施例】
【0034】
(実施例1)
甲州種のブドウ果皮及び種子を1kgに、1Lの水を加え、微粒磨砕機を用いて湿式粉砕し、粒径100μm以下のブドウ粉砕物を得た。
このブドウ粉砕物2kgに、水1L、グルコース15g、酵母エキス6gを加え、pHを6とし、120℃、20分間加熱殺菌して培地を調製した。得られた培地のブドウ粉砕物濃度は33質量%であった。
上記培地に、ラクトバチルス・プランタルムを5ml(菌体数5×10個)、ラクトバチルス・ブレビスを5ml(菌体数5×10個)を加え、培養温度を33±1℃に維持し、48時間発酵した。なお、発酵中、培地のpHが4.5を下回ったら、水酸化カルシウムを添加して、培地のpHを4.5〜6に維持した。
発酵終了後、70℃で10分間加熱殺菌し、ガラクトオリゴ糖300g、ブドウ果汁300mlを加え、液状のブドウ発酵物を3600g得た。このブドウ発酵物100mg(固形分)中に、ラクトバチルス・プランタルムの死菌体が1×10個、ラクトバチルス・ブレビスの死菌体が1×10個含まれていた。
【0035】
(実施例2)
実施例1において、培地の発酵終了後、70℃で10分間加熱殺菌した後。培地全体を凍結させた後、圧力0.1mbr以下、24時間、30℃の条件で凍結乾燥して、粉末状のブドウ発酵物を250g得た。このブドウ発酵物100mg中に、ラクトバチルス・プランタルムの死菌体が1×10個、ラクトバチルス・ブレビスの死菌体が1×10個含まれていた。
【0036】
(試験例1)
[IgE産生抑制活性試験]
6週齢のBALB/c雄マウスを用いて試験を行った。
マウスを、A〜Dの4群(N=5)に分け、各群のマウスに、卵白アルブミン0.1mgと水酸化アルミニウムゲル1.6mgとを腹腔内投与し、Th2細胞を誘導させて血中にIgE抗体を産生させ、感作させた。そして、その1週間後、卵白アルブミン0.1mgと水酸化アルミニウムゲル1.6mgとを腹腔内投与し、さらにその1週間後、卵白アルブミン0.1mgを1日おきに3回経鼻投与して抗原誘発を行った。そして、最終投与の翌日に各群のマウスから血液を採取し、血清中の抗原特異的IgE抗体値を、ELISAキット(大日本住友製薬株式会社製)を用いて測定した。なお、各群のラットには、感作初日から、最終抗原誘発日まで、1日1回、以下の試料を経口投与した。
A群:蒸留水
B群:体重1kgあたり、ブドウ種子及び果皮の粉砕物を100mg
C群:体重1kgあたり、実施例2のブドウ発酵物を100mg
D群:体重1kgあたり、ラクトバチルス・プランタルムの死菌体を1×10個と、ラクトバチルス・ブレビスの死菌体を1×10
【0037】
結果を図1に記す。図1に示すように、本発明のブドウ発酵物を投与したC群のラットは、ブドウ種子及び果皮の粉砕物をそのまま投与したB群、乳酸菌のみを投与したD群に比べ、IgEの産生が有意に抑制されていた。
このことから、本発明のブドウ発酵物を摂取することで、IgEが関与するI型アレルギー反応の発症を効果的に抑制でき、花粉アレルギー、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎などの予防や症状緩和などに有効であることがわかる。
【0038】
(試験例2)
[花粉症の改善性]
実施例2のブドウ発酵物を、表1の症状の花粉症患者50人に200mg/日摂取させたところ、50人中19人は、花粉症の症状に改善が見られ、50人中31は大いに改善が見られた。
【0039】
【表1】

【0040】
(試験例3)
[α−アミラーゼ阻害活性試験]
アミラーゼ活性測定キット(商品名「アミラーゼテストワコー」、和光純薬工業製)を用い、以下の方法でα−アミラーゼ阻害活性を測定した。
α−アミラーゼ溶液2mlに、検体溶液A〜Eを1ml加え、37℃で5分間インキュベートした後、デンプン溶液を1ml添加して37℃で10分間インキュベートした。その後、沸騰水中で10分間インキュベートして反応を止めた。その後、ヨウ素液を10ml加えて、波長660nmの吸光度を測定した。
検体溶液A:蒸留水
検体溶液B:蒸留水1mlにブドウ種子及び果皮の粉砕物を2mg溶解させたもの
検体溶液C:蒸留水1mlにブドウ種子及び果皮の粉砕物をラクトバチルス・プランタルムで乳酸発酵したブドウ発酵物を2mg溶解させたもの
検体溶液D:蒸留水1mlにブドウ種子及び果皮の粉砕物をラクトバチルス・ブレビスで乳酸発酵したブドウ発酵物を2mg溶解させたもの
検体溶液E:蒸留水1mlに実施例2のブドウ発酵物を2mg溶解させたもの
【0041】
結果を図2に記す。図2に示すように、検体溶液C〜Eは、α−アミラーゼ阻害活性が強いことが分かる。特に、ブドウ種子及び果皮の粉砕物を、ラクトバチルス・ブレビスと、ラクトバチルス・プランタルムとで乳酸発酵したブドウ発酵物を含む検体溶液Eは、更に強い活性阻害を示した。
α−アミラーゼ阻害活性が向上することで、多糖類が分解されにくくなり、体外に排出されやすくなるので、本発明のブドウ発酵物を摂取することで、糖の吸収を抑制し、糖尿病などの治療や予防に有効であることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブドウの種子及び/又は果皮を、ラクトバチルス・プランタルムとラクトバチルス・ブレビスとを少なくとも含む乳酸菌で発酵させたブドウ発酵物。
【請求項2】
ブドウの種子及び/又は果皮を培地とし、ラクトバチルス・プランタルムとラクトバチルス・ブレビスとを少なくとも含む乳酸菌で発酵させることを特徴とするブドウ発酵物の製造方法。
【請求項3】
前記発酵を、27〜37℃で、24〜72時間行う、請求項2に記載のブドウ発酵物の製造方法。
【請求項4】
前記培地にアルカリ剤を添加して、pHを3.8〜6に調整をしながら発酵を行う、請求項2又は3に記載のブドウ発酵物の製造方法。
【請求項5】
発酵終了後、前記培地を加熱殺菌して液状のブドウ発酵物を得る、請求項2〜4のいずれか1項に記載のブドウ発酵物の製造方法。
【請求項6】
発酵終了後、前記培地を加熱殺菌し、その後凍結乾燥して粉末状のブドウ発酵物を得る、請求項2〜4のいずれか1項に記載のブドウ発酵物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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