説明

ブラインド

【課題】
窓に取り付けて太陽光(自然光)を平均に奥まで取り入れ、日中光を最大限活用できるブラインドを提供する。
【解決手段】
複数枚のスラットを配列し、該スラットを旋回さることにより開閉するようにしたブラインドにおいてスラットを構成する基材(フイルム材)に拡散塗料を塗布すると共に該基材(フイルム材)を長手方向の略中央部分で折り曲げて逆「く」の字状とし、太陽による直射光を拡散光にしてやわらかい光を部屋の奥まで届けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓、又は天窓に設置し、複数のスラットを開閉することで太陽光を室内に採光するブラインドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ブラインドを構成する複数のスラットはアルミニウム金属の薄板に塗装を附したものが一般に使用されている。このアルミ二ウム金属ブラインドは変形を防ぐため長手方向に断面円弧状の形状として角度を変化させることで採光調節を行う構造になっている。通常は外光の眩しさを防ぐために遮蔽して使用されるが、それによって室内の照度が低下し人口照明を必要以上に点灯し無駄なエネルギーを消費していた。
【0003】
したがって、これらの欠点を解消すべく、例えば特許文献1の様に、上部と下部のスラットの傾斜角度を順次変化させてスラットに反射した太陽光が上部スラットほど室内の奥側までとどくようにした構成のものや特許文献2の様に、ブラインドによる太陽光の採光を季節、太陽高度に応じて適切の行えるようにスラットが適正な角度になるように角度調整機構を自動的に制御するもの等、室内の奥まで太陽光を取り入れようとする工夫が見受けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−317850号公報
【特許文献2】特開2000−170467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的なブラインドはスラットの角度を調節(開・閉)して採光調節できるようになっているが、太陽光が直接室内に入ってくる場合、眩しいので閉じた状態にして利用し室内での奥側は暗い状態になるため照明が必要であった。
【0006】
本発明は、従来のブラインド特有の問題点を解決するためになされたもので、室内に取込まれる太陽の自然光をスラット通過する際、拡散光(やわらかい光)に変換して取り込み部屋全体を眩しくない状態で明るくすることができ、工夫されたスラット形状と相まって部屋の奥側まで光を届けることができ、スラット剛性も向上したブラインドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の最大の特徴は、本ブラインドを太陽光(自然光)が通過する時、拡散塗料の塗布したスラットにより光を拡散して拡散光とし室内に取り入れ、日中の光を最大限活用できる点にある。
また、該スラットは中央部分を長手方向に逆「く」の字に曲げる事により通常断面円弧上のスラットに比べより室内の奥側まで光を導入することができ基材(フィルム材)の薄さで起こり得るスラットの垂れ下がりを防止し剛性も向上し得るものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、太陽光の差し込む窓面に設けられ、複数枚のスラットを互いに間隔を持って配列すると共にこれら複数枚のスラットを旋回させて開閉可能としたブラインドにおいて、複数枚のスラットは光を拡散する拡散塗料を塗布した基材(フィルム材)で構成すると共に長手方向の略中央部分を逆「く」の字状に折り曲げて吊設したので太陽光(自然光)をスラット通過する際、拡散光に変換して室内の隅々にまで取り入れることができ、多少の曇りであっても人工照明を必要とせず、必要以上の照明を使用しないためエネルギーの無駄を省き照明器具から発する熱も抑える事が出来るため省エネブラインドとして効果的に、内外からの視界を遮ることが出来るが可視光線の量は多く取り入れて室内を明るくできる。
【0009】
本発明の請求項2記載のように請求項1記載のスラットを構成する拡散塗料を基材(フィルム材)の片面あるいは両面に塗布可能とすることにより、より太陽光の強い地域あるいは窓の設置状況等により拡散塗料の塗布を選択して最適な状況が実現できる。
【0010】
本発明の請求項3記載のようにスラットを逆「く」の字状に折り曲げ角度を、90°〜180°の範囲内とすることにより、部屋の窓からの距離により充分な光の取込を可能とすることができる。
【0011】
本発明のスラットに基材(フィルム)を使用したためにスラットの断面は柔らかく幼児が触れても安全なものである。又、基材がフィルムであるためスラットに空いている穴を昇降コードやラダーコードが繰り返し上下しても摩擦が起きないためにコードの切れが無いとともに柔らかいフィルムのため故意に曲げようとしない限り折れ曲がる事はない。しかも、スラットを逆「く」の字状に構成したため薄いにもかかわらず剛性も向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は従来ブラインドを取り付けた全体斜視図である。
【図2】図2は従来構造と本件発明との使用状態を表す断面図である。
【図3】(A)は拡散塗料を片面に塗布した説明図である。 (B)は両面に塗布した説明図である。
【図4】図4は太陽光の取込み状態を示す図である。
【図5】図5は室内での測定ポイントを示す図である。
【図6】図6は本発明の照度実験結果データーである。
【図7】図7は紫外線・赤外線の入射グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のブラインドについて実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0014】
図1は従来のブラインドの全体を示すもので、1は断面円弧状にして複数上下に形成されスラットである。このスラット1は適宜幅で上方ボトム5に吊り下げて開閉可能にしている。吊り下げはラダーコードという糸で構成されており、通常開いた状態(図の状態)で太陽光を取入れ、閉の状態で光を止めるように窓の室内側に吊り下げて使用する。
【0015】
図2は従来のスラット1と本発明のスラット1を使用状態で比較した断面図であり、本発明は複数のスラット1を逆「く」の字状に折り曲げた形状とし、太陽光(自然光)がスラット1を通過する時に拡散光10(やわらかい光)として室内の奥側まで取り込まれる様な形状となしたものである。
【0016】
折り曲げ形状は90°〜180°の範囲内とし、図4に示すように採光ブラインドとして外光を室内に取り入れて光を拡散する効果を高めるためには、スラットの長手中央を約160°「く」の字に曲げた仕様が最適である。本発明のブラインドを「く」の字折り曲げた角度である90°〜180°は太陽光の入射光率を最大限に高める為の角度設定である。
【0017】
本発明の最大の特徴である構成は、図3に示す如く、スラット1である基材(フィルム材)4を使用すると共に該基材4に光拡散塗料3を塗布して構成したことにある。光を拡散する塗料は高分子(ポリマー)樹脂透明フィルムの基材4に拡散性を付与した樹脂塗料(コーティング材料)を塗工したものであり、基材4は間仕切り等に使用する建材用塩ビで透明材としての対光性に最も優れており約1000時間程度の耐久性があるもので構成されている。
実施例としてはA片面塗布とB両面塗布を示している。A片面に塗布する場合は図4に表したように室内側に塗布した方がより効果的である。
【0018】
太陽光がスラットを通してどのように入光し、入光した光が拡散されているかを示したものが図4である。
該図4で示す様に本発明のブラインドは通常のヨコ型、タテ型ブラインドとは異なり多数のスラットを梯子形の支持コード(通常ラダーコードと呼ぶ)によって、上下に一定の間隔を隔てて水平に支持するようにしてヨコ型、タテ型を形成し操作としては遮蔽した状態で使用することで、面で光を受け拡散光として室内に光が入光する。
従来のブラインドでは太陽光が室内に入ってくると眩しいためにスラットを閉じた状態とするため部屋の奥側は暗くなり照明等を必要としていた。本発明は、日中の光を最大限利用して部屋全体を眩しくない状態で明るくすることができ、上記スラット1の形状と相まって最適な部屋環境を実現できる。環境条件によっては入射光が強く眩しさを感じる時、ブラインドのスラットの角度を変える事により眩しさを軽減することが可能であると共に、水平になったスラットの面に太陽光が反射し室内を明るくする効果も得られる。
【0019】
以下、本発明について実証試験を行っているので図5〜図7及び表1について説明する。
【0020】
照度を測定した、室内の測定箇所は図5に示す。
測定状況:南向き窓 室内の広さ(幅3.6mx奥行き7.0mx高さ2.4m)
測定箇所:窓の対面側5箇所 窓の大きさ 1800X1350 4枚
その結果を下記、表1と図6に示す。
【0021】
【表1】

【0022】
アルミ金属ブラインドの照度基本値を100ルクスとすると測定箇所5箇所の 平均ルクスは下記に様な結果となる。
本発明:フィルム片面ブラインド 11440Lux
フィルム両面ブラインド 10150Lux
従来 :アルミ金属ブラインド 100Lux
窓のみ :1980Lux
【0023】
図7は分光光度計にて計測した赤外線、紫外線の入射を示す。
図7のスペックはフィルムの両面に拡散塗料を塗布したものであり、可視光線の透過率は95%と高いが、赤外線は85%、紫外線は95%カットしている。
【符号の説明】
【0024】
1 スラット
2 ラダーコード
3 光拡散塗料
4 基材(フィルム)
5 ボトム
6 太陽
7 太陽光
8 窓
9 室内
10 光拡散
11 測定位置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光の差し込む窓面に設けられ、複数枚のスラットを互いに間隔を持って配列すると共にこれら複数枚のスラットを旋回させて開閉可能としたブラインドにおいて、複数枚のスラットは光を拡散する拡散塗料を塗布した基材(フイルム材)で構成すると共に長手方向の略中央部分を逆「く」の字状に折り曲げて吊設したことを特徴とするブラインド。
【請求項2】
スラットを構成する拡散塗料は基材(フイルム材)の片面あるいは両面に塗布可能としたことを特徴とする請求項1記載のブラインド。
【請求項3】
逆「く」の字状に折り曲げたスラットの角度は、90°〜180°の範囲内としたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のブラインド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−14909(P2013−14909A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147351(P2011−147351)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(711004780)
【出願人】(511161096)