説明

ブラウンガス発生装置

【課題】必要に応じたブラウンガスを効率的に発生させることができるブラウンガス発生装置の提供。
【解決手段】複数の電解槽1の電極を直列接続し、電圧降圧回路を用いずに各電解槽の電極にかかる電圧をさげ、すべての電解槽の電流を同一にするとともに、PWM定電流制御回路により、常に所定の電流が電解槽1に流れるように制御し、さらに必要とするブラウンガス量から電流を算出することで、効率的に必要とするブラウンガス量を発生することができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を分解し、水素対酸素の化学当量比が2対1で構成されたブラウンガスを発生させる装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水を電気分解し、水素と酸素の混合ガスを発生させる、ブラウンガス発生装置は、40年ほど前から研究開発されており、近年バーナーやあるいは動力源として実用化が進み、これからも益々、用途が拡大するものと思われる。
【0003】
このようなブラウンガスを発生させる装置として、特許文献1,2に記載されたものがある。特許文献1に記載のものは、複数の平板状の電極板に絶縁ガスケットを重ねて1対とすることで、複数の電解室が装備され、外側に設けられた電源端子に直流電源を接続することで、内部の各電極板が帯電し、電解液から水素と酸素の混合ガスを発生させるものである。
【0004】
また、特許文献2に記載のものは、電解槽の電極を、陽電極群と陰電極群をU字型に構成し対とすることで、効率的なブラウンガス発生を可能とするものである。
【特許文献1】特開平11−302885号公報
【特許文献2】特開平2005−171383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の可燃性混合ガス発生装置は、両外側の電極板に電圧を印加することで帯電した内側の電極板により混合ガスを発生させているので、大きな電力が必要であり、また、熱が発生するために、冷却するための工夫が必要となり、構造がより複雑になる問題がある。また、特許文献2においても、ガス発生に伴う熱の発生に対する対策が必要となる問題がある。
【0006】
そこで本発明では、簡単な構造で、効率よく水素と酸素の混合ガスを発生させることができる電極の構成および電流の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電解槽および電解槽の電極構造は、電解液から酸素と水素とを含む混合ガスを発生させる電解槽の電極構造において、電解槽は、複数のユニットに分けられ、小さな複数の同じ容量の電解槽から構成されている。そして、各電解槽の電極は直列に接続されており、どの電解槽にもほぼ同じ電圧がかかり、同一電流が流れるように構成されている。ブラウンガスの発生は、水酸化ナトリューム電解液の場合、おおよそ電圧4ボルト程度のとき、もっとも効率よく発生することができるため、元電源に対し、電圧値が約4Vになるように電解槽の数を調整し、電解槽の電極を直列に接続することで、降圧回路によるロスを生じることなく、効率的な電力の消費が可能となる。
【0008】
さらに、電源にPWM方式のチョッパー型定電流回路を用いる。通常の電源(バッテリ)をそのまま、電解槽に接続した場合、電解槽は発熱により、より大きな電流が流れるようになり、さらに発熱するとういう悪循環に陥る。ところが、チョッパー型定電流電源を用い、電解槽に流れる電流が一定となるように制御した場合、発熱により電解液の電気抵抗が小さくなっても流れる電流は一定であるため、発熱量も一定であり、電解槽や電極からの放熱で十分な冷却が可能であり、特別な構造を持つ冷却方式は不要となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユニット化された複数の電解槽の電極を直列に接続しているので、降圧回路などの無駄がなく効率的に混合ガスを発生させることができる。また、チョッパー型の定電流電源を用いるので、発熱量を抑制することができ、冷却装置などが不要になり簡単な構造で実現できる。さらに、必要とするブラウンガス量に対応した電流量による定電流制御を行うことで、必要な量のブラウンガスだけをを発生させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の形態に係るブラウンガス発生装置を図面に基づいて説明する。まずは、本実施の形態に係るブラウンガス発生装置の構成を図1に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るブラウンガス発生装置の複数電解槽を直列に接続した状態を示す図である。図2は、電解槽へ供給する電流制御方式を示す、PWM制御による定電流電源の回路図である。

【0011】
図1に示すように、ブラウンガス発生装置は、同じ形状の電解槽1が6個直列接続されている。それぞれの電解槽1は、プラス電極2とマイナス電極3が一定の間隔で固定されており、定電流電源装置5から電圧を供給する。この電解液は、例えば、水酸化ナトリウム水溶液や、水酸化カリウム水溶液などとすることができる。そして、発生した混合ガスが取り出されるように、上部の混合ガス取り出しパイプ4が取り付けられている。
本実施例では、元電源として24Vのバッテリーを利用しているので、電化槽が6個直列と成っている。元電源電圧に対する、電化槽の数は左記電源電圧/(3.5〜4)で求めらる個数とする。
【0012】
6個の電解槽の電極は、チョッパー型直流電源5からの電源が、直列になるように接続されている。それぞれの電解槽のプラス電極2とマイナス電極3にチョッパー型直流電源5により電圧を印加することで、水素と酸素の混合ガスを発生させるものである。
【0013】
チョッパー型直流電源5は、24Vの直流電源であり、6個の電解槽の電極が直列に接続されているため、それぞれの電解槽の電極には、4Vの電圧が印加されていることになる。さらに、電源から供給される電流は、PWM制御により常に一定電流になるように調整されている。直列接続であることにより、6個の電解槽には同じ一定電流が流れるようになり、各電解槽からほぼ同一量の混合ガスを発生させ取り出すようにするものとなる。
【0014】
図2に示すように、電解槽に供給する電流は、一定値になるように制御されている。8は、電解槽に流れる電流を検知し、流れる電流を一定量に制御するPWM定電流制御回路である。そして、11は内燃機関の負荷状態を示す信号であり、必要とするブラウンガス量を算出することができる。6は必要とするブラウンガスの発生量から電解槽に流す電流量を算出する回路であり、7において必要とする電流量に対応したPWM制御信号を発生する。9において、8の定電流制御のためのPWM信号と、7の必要とする電流量に対応したPWM信号のANDをとることで、電流量の上限値を設定した、必要とするブラウンガス量に対応した電流供給が実現される。
【0015】
チョッパー型直流電源は、常に必要とするブラウンガス量に対応した一定の電流を供給するように制御しており、各電解槽の電極には同一の電流が常に流れるようになる。従って、ブラウンガスの発生は必要とする量に保たれ、かつブラウンガスの発生による熱の発生も常に一定以下であり、特別な冷却をすることなく自然排熱により電解槽内は一定温度に保たれている。
【0016】
このように、チョッパー型定電流電源と、電極が直列に接続された複数の電解槽によって、低電力で発熱を抑えて効率のよいブラウンガスを発生させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、電気分解によりブラウンガスと呼ばれる水素と酸素の混合ガスを発生する電解槽に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る電解槽を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る定電流制御を示す図である
【符号の説明】
【0019】
1 電解槽
2 プラス電極
3 マイナス電極
4 混合ガス排出用パイプ
5 チョッパー型定電流電源
6 ブラウンガス発生量演算回路
7 ブラウンガス発生量に対応したPWM信号発生回路
8 電解槽に流れる電流検知およびPWM定電流制御回路
9 PWM信号AND回路
10 電解槽電極
11 内燃機関状態信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解液から酸素と水素の混合ガスを発生させる複数の電解槽を、直列に接続することで、電圧降下手段を用いずに、電解液に最適な電圧を各電解槽に供給し効率的に上記ガスを発生させる、ことを特徴とするブラウンガス発生装置。
【請求項2】
請求項1において電解槽の電極に、一定電流が流れるように電流制御を行うことを特徴とするブラウンガス発生装置。
【請求項3】
請求項1において、必要とするブラウンガス発生量から、電解槽に流す電流量を決定し、その電流量に基づき電流制御を行うことを特徴とするブラウンガス発生装置。
【請求項4】
請求項1において、電流制御をPWM方式に行うことを特徴とすブラウンガス発生装置。
【請求項5】
請求項1において、陽極電極の対抗電極を陽極電極の両面に配置することを特徴とするブラウンガス発生装置。

【図1】
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【図2】
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