説明

ブラックマトリクス用金属シート部材及びこれを用いたフラットパネル型表示装置

【課題】鉄系金属シート状ブラックマトリクスと前面ガラス基板との接着強度を改善し、鉄イオンによる蛍光体輝度の低減を抑制する。
【解決手段】蛍光体を塗布するための多数の開口APAをマトリックス状に設けた鉄・ニッケル系合金のベースシートSHTの表面をFe34とFe23を共に含む膜厚0.6〜3μmの酸化皮膜FLXで被覆したシート状の鉄系金属シート状のブラックマトリクスBMを黒色フリットガラスBFTで前面ガラス基板BFTに接合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光体を埋設して塗布するためのブラックマトリクス用金属シート部材及びこれを用いたフラットパネル型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子放出型の表示装置が開発されている。この種の表示装置の一例として薄膜型電子源を備えたものがある。この表示装置は、ガラスを好適とする二枚の基板を所定の間隔で貼り合わせてなる。一方の基板は背面ガラス基板あるいは単に背面基板とも称し、この背面ガラス基板の内面に複数の薄膜型電子源を画素ごとに設け、他方の基板(前面ガラス基板あるいは単に前面基板)に塗布された蛍光体に電子線を衝突させることにより、蛍光体を発光させる方式の自発光型のディスプレイである。前面ガラス基板側には3原色(赤,緑,青)の蛍光体が画素ごとに並べて設けられている。蛍光体に関しては例えば非特許文献1などに詳細に記されている。
【0003】
さらに、外光の反射を抑えて明所コントラストを改善するため、前面板側の画素と画素の間に遮光膜(ブラックマトリックス)を設けたものが特許文献1に開示されている。また、反射した照射電子が隣接する他の領域を発光させることによる解像度や色純度の劣化を防ぐため、ブラックマトリックス上に隔壁を設ける方法が開示されている。その隔壁が絶縁物であると電子の衝突により帯電して、画質低下の原因となるため、隔壁には導電性の付与が必要である。そこで、前面ガラス基板の内面に設けるブラックマトリックスとして、多数の開口(微細孔)をマトリックス状に設けた金属シートを積層して一体化する方法が(特許文献2、特許文献3)に開示されている。
【0004】
この形式の表示装置の組み立てに際しては、前面ガラス基板とブラックマトリクス用の金属シートを一体化した後に複数の加熱プロセスを経るため、該金属シートの熱膨張係数が前面ガラス基板の熱膨張係数とが合致している必要がある。これに該当する金属シートの材料としては、重量%でニッケルNiを43〜53%含むFe−Ni系合金シートなどが好適である。この材料は、マトリックス状の多数の微細孔をエッチングにより形成することが可能である。このFe−Ni系合金シートと前面ガラス基板との接合に先立ち、Fe−Ni系合金シートの接合面側をメッキや表面酸化によって黒化処理を施す。これをフリットガラスを用いて前面ガラス基板の内面に接合することにより、前面ガラス基板の表示側表面から黒く見えるようになり、さらに反射電子を遮る機能を併せ持つ。このような部材を金属ブラックマトリックスと呼ぶことにする。
【特許文献1】特開2003−323853号公報
【特許文献2】特開2004−127728号公報
【特許文献3】特開2004−265781号公報
【非特許文献1】映像情報メディア学会編 「電子情報ディスプレイハンドブック」培風館 2001年発行。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前面ガラス基板と鉄・ニッケル(Fe−Ni)系合金シートの接合に際し、残留応力などを考慮すれば接合温度はガラス基板の歪点以下で実施することが望ましい。プラズマディスプレイなどで用いられる高歪点ガラスでは歪点は600℃程度であり、通常の板ガラスでは500℃程度である。
【0006】
一方、前記Fe−Ni系合金シートと前面ガラス基板との接合後、蛍光体の塗布と焼き付け、前面ガラス基板と背面ガラス基板の封着のため、最低でも2回の熱プロセスが施される。バインダ、溶剤と混錬して塗布された蛍光体は400〜450℃で焼成する必要がある。更に、前面ガラス基板と背面ガラス基板とを封止枠で封着する際には封着内部を高温で脱ガスと排気が実施されて高真空とされる。
【0007】
前記の熱プロセス中において、前記Fe−Ni系合金シートと前面ガラス基板との接合状態を保持する必要があり、このためには表面に酸化皮膜を有するFe−Ni系合金シートと前面ガラス基板と、それらを結合するフリットガラスとの結合強度を高めることが必要である。ここで、接合強度にはFe−Ni系合金シートの表面状態も影響すると考えられるが、この観点での検討はこれまでされていなかった。したがって、本発明の第1の目的は、高い接合強度を実現するための表面状態を有するブラックマトリクス用Fe−Ni系合金シートを提供することにある。
【0008】
また、非特許文献1に記載されているように、鉄イオンは消光中心を形成する不純物として知られており、ブラックマトリクスにFe−Ni合金シートを用いることによる蛍光体に与える鉄イオンの影響を検討する必要がある。しかし、こうした観点での検討がこれまでされていなかった。従って、本発明の第2の目的は、蛍光体輝度の低下の問題のないFe−Ni系合金シートをブラックマトリクスに用いたフラットパネル型表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記第1の目的は、以下の手段により達成される。すなわち、本発明のブラックマトリクス用金属シート部材は、蛍光体を埋設して塗布するためのマトリクス配置された複数の開口を有し、表示装置の前面ガラス基板に接着される。この金属シート部材は、Fe−Ni系合金シートの表面に、膜厚が0.6〜3.0μmのFe34とFe23からなる酸化皮膜を被覆してなる。
【0010】
また、本発明のブラックマトリクス用金属シート部材は、前記酸化皮膜に対してCuKα線を光源としたX線回折測定を実施した時、Fe34の(311)ピークおよびFe23の(104)ピークが共に検出され、後者のピーク強度が前者に対し、0.1〜1.0の範囲にあることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のブラックマトリクス用金属シート部材は、前記前面ガラス基板へ接合する側の面における前記酸化皮膜の膜厚が、該接合する側の面と反対側の面の前記酸化皮膜の膜厚より大きいことを特徴とする。
【0012】
また、本発明のブラックマトリクス用金属シート部材は、前記酸化皮膜に対してCuKα線を光源としたX線回折測定を実施した時、前面ガラス基板へ接合する側の面でのFe23の(104)ピークに対するFe34の(311)ピークの比が該接合する側の面と反対側の面におけるFe23の(104)ピークに対するFe34の(311)ピークの比より大きく、かつ0.1〜1.0の範囲にあることを特徴とする。
【0013】
また、本発明のブラックマトリクス用金属シート部材は、前記前面ガラス基板への接着が黒色ガラスとすることができ、この黒色ガラスがバナジウム酸化物およびリン酸化物を主成分とすることができる。そして、黒色ガラスにフィラーとしてFe23およびFe34を添加することができる。
【0014】
本発明のフラットパネル型表示装置は、薄膜型電子源からなる多数のカソードを形成した背面ガラス基板と、前記カソードに対向する多数の蛍光体およびアノードを形成した前面ガラス基板と、前記背面ガラス基板の前記薄膜型電子源の形成面と前記前面ガラス基板の前記蛍光体およびアノード形成面との対向間隙に介在させて当該カソード基板と当該アノード基板との間の間隙を所定値に保持するスペーサとを有する。そして、前記蛍光体は金属シート部材からなるブラックマトリクスに形成した複数の開口に埋設して塗布されており、前記金属シート部材が、Fe−Ni系合金シートの表面に、膜厚が0.6〜3.0μmのFe34とFe23からなる酸化皮膜を被覆してなることを特徴とする。
【0015】
また、本発明のフラットパネル型表示装置は、前記酸化皮膜に対してCuKα線を光源としたX線回折測定を実施した時、Fe34の(311)ピークおよびFe23の(104)ピークが共に検出され、後者のピーク強度が前者に対し、0.1〜1.0の範囲にあることを特徴とする。
【0016】
また、本発明のフラットパネル型表示装置は、前記前面ガラス基板へ接合する側の面における前記酸化皮膜の膜厚が、該接合する側の面と反対側の面の前記酸化皮膜の膜厚より大きいことを特徴とする。
【0017】
また、本発明のフラットパネル型表示装置は、前記酸化皮膜に対してCuKα線を光源としたX線回折測定を実施した時、前面ガラス基板へ接合する側の面でのFe23の(104)ピークに対するFe34の(311)ピークの比が該接合する側の面と反対側の面におけるFe23の(104)ピークに対するFe34の(311)ピークの比より大きく、かつ0.1〜1.0の範囲にあることを特徴とする。
【0018】
また、本発明のフラットパネル型表示装置は、前記前面ガラス基板への接着が黒色ガラスとすることができ、この黒色ガラスがバナジウム酸化物およびリン酸化物を主成分とすることができる。そして、黒色ガラスにフィラーとしてFe23およびFe34を添加することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、金属ブラックマトリックスを構成するFe−Ni系合金シートの表面酸化膜の膜厚、組成を工夫することにより、フリットガラスとの接合強度を高めることができ、信頼性や歩留まり率が向上する。また、蛍光体と接する部分に表面酸化膜を設け、鉄イオンの消光中心の発生源となる鉄イオンの流出を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態いついて、添付の図面を参照して詳細に説明する。以下に説明する実施例では、フラットパネル型表示装置の1例であるMIM方式の薄膜型電子源を備えた表示装置を例として説明する。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明にかかる表示装置の実施例1を説明する1画素の構成例の断面模式図である。この表示装置は、背面パネルPNL1と前面パネルPNL2からなる。背面パネルPNL1は背面基板SUB1を有し、この背面基板SUB1の主面(内側表面)にアルミニウム(Al)膜を好適とする電子源の下部電極を構成する信号線CL、下部電極のアルミニウムを陽極酸化した陽極酸化膜からなる第1の絶縁膜INS1、窒化シリコン膜SiNを好適とする第2の絶縁膜INS2、給電電極(接続電極)ELC、クロムCrを好適とする走査線GL、走査線GLに接続した画素の電子源を構成する上部電極AEDが形成されている。
【0022】
電子源は、信号線CLを下部電極とし、下部電極の上に位置する第1の絶縁膜INS1の一部を形成する薄膜部分INS3、前記薄膜部分INS3の上層に積層する上部電極AEDの部分とで構成される。上部電極AEDは、走査線GLと給電電極ELCの一部とを覆って形成されている。薄膜部分INS3は、所謂トンネル膜である。この構成で、所謂ダイオード電子源が形成される。
【0023】
一方、前面パネルPNL2は、透明なガラス基板を好適とする前面ガラス基板SUB2を有し、この前面基板SUB2の主面にブラックマトリクスBMで隣接画素と区画された蛍光体PH、アルミニウム蒸着膜(所謂メタルバック)を好適とする陽極ADが形成されている。ブラックマトリクスBMは、ブラックマトリクス用金属シート部材BMSとこのブラックマトリクス用金属シート部材BMSを前面ガラス基板SUB2の内面に接着する黒色フリットガラスBFTとで構成される。なお、背面パネルPNL1と前面パネルPNL2の間の間隔は3ないし5mm前後であり、この間隔をスペーサSPCで維持している。
【0024】
この様な構成において、背面パネルPNL1の上部電極AEDと前面パネルPNL2の陽極ADの間に加速電圧(2、3kV乃至10kV程度、図1では約5kV)を印加すると、下部電極である信号線CLに供給される表示データの大きさに応じた電子e-が放出される。この電子e-は加速電圧によって加速されて蛍光体PHに射突し、これを励起して所定周波数の光Lを前面パネルPNL2の外部に出射する。なお、フルカラー表示の場合は、この単位画素はカラーの副画素(サブピクセル)であり、通常は赤(R)、緑(G)、青(B)の3つの副画素で1カラー画素(カラーピクセル)を構成する。
【0025】
図2は、本発明のブラックマトリクス用金属シート部材の実施例1を説明する部分平面図である。また、図3は、図1に示したブラックマトリクス用金属シート部材の断面図で、図3(a)は図2のA−A'線に沿った断面を、図3(b)は図2のB−B'線に沿った断面を示す。このブラックマトリクスBM用の金属シート部材(以下、単に金属シート部材とも称する)BMSは、エッチング等で形成された蛍光体の埋設塗布用の複数の開口(微細孔)APAを有するFe−Ni系合金シートをベースシートSHTとし、このベースシートSHTの上記開口APAの内壁も含めた全表面に酸化皮膜FLXが被覆されている。なお、この実施例の金属シート部材BMSの表面、すなわちカソード側には、スペーサSPCを設置するためのスペーサ固定溝TRCが形成されている。しかし、このスペーサ固定溝TRCは必須のものでない。
【0026】
図4は、本発明の実施例1におけるブラックマトリクスの構成を説明する要部断面図である。ブラックマトリクスBMは、金属シート部材BMSを黒色フリットガラスBFTを用いて前面ガラス基板SUB2の主面に接着して構成される。金属シート部材BMSの表面に形成されている酸化皮膜(Fe34とFe23)と黒色フリットガラスBFTとの接着性は良好であるため、加熱プロセスを経た後でも両者の高い接合強度を維持することができる。
【0027】
図5は、実施例1における接合強度を評価するモデル試験片の説明図である。この試験片を用いてベースシートSHTであるFe−Ni合金シートと前面ガラス基板SUB1との接合強度に対するFe−Ni合金シートの表面に有する酸化皮膜FLXの影響を検討する。図5において、表面酸化状態の異なるFe−Ni系合金シート(ベースシートSHT)にバナジウム酸化物とリン酸化物を主体とした黒色フリットガラスBFTにより前面ガラス基板SUB2と同じガラス板SGPに接合し、その密着性を評価した。
【0028】
評価方法として、ベースシートSHTを冶具に固定し、ガラス板SGPの上部側面に荷重Fを加える。荷重Fを徐々に増加させ、接合面が剥離に至る荷重を測定し、これを接合強度とした。その結果、酸化皮膜FLXの組成と膜厚によって接合強度が大きく異なることが判った。
【0029】
酸化皮膜FLXの膜厚としては、後述するように、略0.6μm〜3.0μmの範囲で高い接合強度を示す結果が得られた。さらに、酸化皮膜FLXの組成として、従来黒化処理として弱酸化条件で形成されるFe34単体の組成の酸化皮膜より、Fe23を含む酸化皮膜とする方がより高い接合強度を得ることができた。
【0030】
CuKα線を光源とするX線回折装置により前記酸化皮膜を測定した結果、接合強度の高いFe−Ni合金シートではFe34ピークのみでなくFe23の回折ピークが得られた。これの回折ピークのうち、Fe34の(311)ピークとFe23の(104)ピークに着目し、前者に対する後者の比を比較した結果、接合強度を高めるためにはその比が0.1以上であることが望ましいことが判った。
【0031】
図6は、酸化皮膜FLXの膜厚が薄い場合の金属シート部材BMSの断面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察した顕微鏡写真である。また、図7は、酸化皮膜FLXの膜厚が厚い場合の金属シート部材BMSの断面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察した顕微鏡写真である。先ず、酸化皮膜FLXの膜厚が0.6μ未満と薄い場合は、前面ガラス基板SUB1はベースシートSHTであるFe−Ni合金シートから酸化皮膜FLXごと剥離される。このような場合には、図6に示されたように酸化皮膜FLXと金属材のベースシートSHTの界面は平坦である。すなわち、黒色フリットガラスBFTと金属シート部材BMSの間の結合強度が低いことを意味し、両者が容易に剥離する原因と考えられる。
【0032】
一方、酸化皮膜FLXの膜厚が0.6μm〜3μmと厚い場合、図7の断面SEM観察の結果のように酸酸化皮膜FLXと金属材の金属シート部材BMSの界面は噛み合うような起伏がみられる。これがアンカー効果として働き、両者の結合強度を高めていると考えられる。熱酸化による反応は内部に向かって進行するため、このような形状が形成される。
【0033】
しかし、酸化反応を過度に進めすぎて酸化皮膜FLXの膜厚を3μmを越える膜厚にすると、酸化皮膜FLXの体積膨張の影響で当該皮膜がカサブタ状にスケール化する。こうなると接合強度が低下する。
【0034】
酸化皮膜の組成に関しては、黒色フリットガラスとの濡れ性や界面反応によりFe23を含む酸化膜の方が比較的メタリックなFe34単体の膜より良好であることが接合強度に関与したと考えられる。
【0035】
なお、前記黒色フリットガラスでは、リン酸化物の混入比率を変えることにより軟化温度の調節が可能である。また、フィラー材を添加することにより軟化時の流動性を制御することができる。接合面では前述の鉄酸化物が黒色フリットガラスと接触し、界面で一部は拡散により反応層が形成される。フィラー材として酸化皮膜の成分であるFe23およびFe34を用いることにより、熱膨張の挙動が接合界面と接合ガラス内部で近くなることにより応力緩和の効果により接合強度を高くすることができる。
【0036】
次に、Fe−Ni合金と蛍光体輝度の関係について説明する。緑色蛍光体であるY2SiO5:Tbを、(1)ガラス上に塗布したもの(基準サンプル)、(2)表面に酸化膜を形成していないFe−Ni系合金シート上に塗布したもの、(3)表面にFe34膜を形成したFe−Ni系合金シート上に塗布したもの、(4)ベースシートSHTの表面にFe23とFe34を含む酸化皮膜FLXを形成したFe−Ni系合金シートにそれぞれ塗布し、450℃で1時間熱処理した後の輝度を比較した。
【0037】
その結果、(3)ガラスの表面にFe34膜を形成したFe−Ni系合金シート、(4)表面にFe23とFe34を含む酸化皮膜に塗布した蛍光体は、(1)ガラス上に塗布した基準サンプルのものとほぼ同等の輝度が得られ、(2)金属Fe−Ni系合金シートに直接塗布された蛍光体のみ輝度が低かった。このときの酸化皮膜の膜厚は約0.6μmであった。このことから、表面に酸化皮膜を形成し、この酸化皮膜を挟んで蛍光体を塗布させることにより輝度低下を防げることが判った。
【0038】
なお、Fe34は0.1Ω・cm程度の電気導電性を有する。このため、Fe−Ni系合金シートの端部にアースを接続しておけば、蛍光体に電子照射した際に反射した電子が開口APA内の酸化皮膜を形成した壁面に吸収されてもFe−Ni系合金シート内を経由して帯電した電荷を逃がし、帯電電荷による電子の不所望な偏向や放電を回避することが可能である。
【0039】
一方、Fe23は絶縁体であるため、過度に存在すると帯電の除去に支障を来たすため、注意が必要である。また、帯電回避の観点からFe34の導電性は金属に劣るため、酸化皮膜が過度に厚いと帯電の問題を生じる。
【0040】
以上のことから、前面ガラス基板との接合面側の酸化皮膜については、接合強度の観点から、Fe23が多く含まれて膜厚が厚めで、開口の内壁面や接合面側の反対側の酸化皮膜についてはFe23の比率が低くて膜厚が薄めの構造が望ましい。
【0041】
こうした部分的に酸化皮膜の膜厚、組成を変える手段としては、酸化皮膜形成とその部分除去の手段を組み合わせる方法もある。しかし、より簡便な方法としては開口の内壁面や前面ガラス基板との接合面と反対側にあらかじめ有機薄膜をミクロンからサブミクロンオーダの厚みで塗布しておき、一方で、接合面側は剥き出しの状態としておく。そして、これを酸化雰囲気で加熱することにより、有機薄膜を塗布した部位は有機薄膜の燃焼に酸素が消費されるためにFe23の比率が低く、薄い酸化皮膜が形成され、剥き出しの接合面側はFe23の比率が高く厚い酸化皮膜が形成され、望ましい酸化皮膜の形態が実現される。
【0042】
図9は、本発明の実施例1に係るブラックマトリクス用金属シート部材を用いたフラットパネル型表示装置の要部を説明する断面図である。このフラットパネル型表示装置は、図4に示したブラックマトリクス開口の中に蛍光体PHを埋設し塗布した様子を示す。図9において、図4と同一参照符号は同一機能部分に対応する。ブラックマトリクスBMの開口APA内に蛍光体PHを塗布し埋設する。この蛍光体PHの背面にブラックマトリクスBMの表面も含む全域にアルミニウムを好適とする導電膜を蒸着してメタルバックMBCを形成する。このメタルバックMBCはアノードADとなる。こうして、フラットパネル型表示装置の前面パネルが構成される。この前面パネルを背面パネルと組合せてフラットパネル型表示装置が構成される。
【実施例2】
【0043】
図8は、本発明の実施例2に係るブラックマトリクス用金属シート部材の要部断面図である。実施例2のFe−Ni系合金シートでは、酸化皮膜FLXの膜厚を黒色フリットガラスを用いた前面ガラス基板との接合面側と接合面と反対側とで変えたものである。図8において、図3と同一参照符号は同一機能部分に対応する。図8では上側が前面ガラス基板との接合面側で、酸化皮膜FLXの膜厚は前面ガラス基板との接合面側で厚く、該接合面側の反対側で薄く形成されている。
【0044】
なお、接合面側を残して裏面と開口の内壁にも有機薄膜を塗布する手段としては例えば、有機材料を溶解した溶液に表面すなわち接合面側の表面だけ残して浸漬後、乾燥するなどの方法がある。
【0045】
図10は、本発明の実施例2に係るブラックマトリクス用金属シート部材を用いたフラットパネル型表示装置の要部を説明する断面図である。このフラットパネル型表示装置は、ブラックマトリクスBMの開口APAの中に蛍光体PHを埋設し塗布した様子を示す。図10において、図8と同一参照符号は同一機能部分に対応する。図10では、前面ガラス基板SUB2との接合面側の酸化皮膜FLXを接合面と反対側の膜厚より厚くした。
【0046】
前面ガラス基板SUB2に金属シート部材BMSを黒色フリットガラスBFTで接合してブラックマトリクスBMを構成する。そして、ブラックマトリクスBMの開口APA内に蛍光体PHを塗布し埋設する。この蛍光体PHの背面にブラックマトリクスBMの表面も含む全域にアルミニウムを好適とする導電膜を蒸着してメタルバックMBCを形成する。このメタルバックMBCはアノードADとなる。こうして、フラットパネル型表示装置の前面パネルが構成される。この前面パネルを背面パネルと組合せてフラットパネル型表示装置が構成される。
【0047】
以上の実施例1、実施例2で説明したように、膜厚が0.6μm〜3μmで、Fe23とFe34からなる表面酸化膜をFe−Ni系合金シートに形成することにより、フリットガラスとの高い接合強度と、これに蛍光体を塗布することにより輝度低下抑制を導電性を保持した上で実現できる。
【具体例1】
【0048】
次に、本発明の金属シート部材BMSのより具体的な構成について、前記した図5の試験片を参照して説明する。Niを48.5重量%含むFe−Ni系合金シートに歪点600℃の前面ガラス基板用ガラス板をバナジウム酸化物とリン酸化物を主成分とする黒色のフリットガラスで520℃の接合温度で接合し、図5に示す評価サンプルを作製した。前記Fe−Ni系合金シートは接合前に400℃〜700℃で酸化処理を実施し、雰囲気ガス、処理温度の調整により酸化皮膜の膜厚、組成を変えたものを作製した。Fe−Ni系合金シート側を治具に固定し、ガラス基板上部に室温下で荷重を加えてゆき、接合部が剥離あるいは破壊した荷重を記録した。
【0049】
図11は、図5の試験片を用いて行なった接合強度を試験した結果の説明図で、横軸に酸化皮膜の膜厚、縦軸に剥離あるいは破壊に至った荷重をプロットした。図中、白丸で示されるプロットはFe34単体の酸化皮膜を形成したFe−Ni合金シートの結果であり、黒四角で示したプロットはFe23とFe34を共に含む酸化皮膜を形成したFe−Ni合金シートの結果である。
【0050】
これによりFe34とFe23を共に含む膜厚0.6μm〜3μmの酸化皮膜を有するFe−Ni系合金シートの接合強度が大きいことが確認された。これらの酸化皮膜のCuKα線を線源としたX線回折の結果からFe34の(311)ピークおよびFe23の(104)ピークが共に検出され、後者のピーク強度が前者に対し、0.1から1.0の範囲にあった。
【0051】
さらに、エッチングにより開口APAをマトリックス状に形成したFe−Ni系合金シートについてもバナジウム酸化物とリン酸化物を主成分とする黒色のフリットガラスでガラス基板に接合したところ、上記結果と同様、膜厚が薄く、Fe34のみからなる酸化皮膜を形成したシートより、Fe34とFe23を共に含み、膜厚0.6μm〜3μmの酸化皮膜を有するFe−Ni系合金シートの方が機械的に剥離させることが困難であった。
【0052】
さらにバナジウム酸化物とリン酸化物を主成分とする黒色のフリットガラスにFe34粉末をフィラー材として混錬することにより、添加量により流動性を変化させることができた。これにより、接合温度における流動性を最適化することができる。
【具体例2】
【0053】
前面ガラス基板用ガラス板、Niを48.5重量%含むFe−Ni系合金シート、同Fe−Ni系合金シートを酸化処理して表面にFe34酸化皮膜を形成したもの、さらに同Fe−Ni系合金シートを酸化処理して表面にFe23を含むFe34酸化皮膜を形成したものに、それぞれ緑蛍光体であるY2SiO5:Tb粉末をバインダと溶剤で混錬して作製したペーストを印刷し、250℃で仮焼後、450℃で1時間焼成した。図12に輝度をプロットしたものを示した。酸化皮膜を形成したFe−Ni系合金シートにおいては鉄を含まないガラス基板上に塗布したものと同等の輝度が得られ、消光中心の形成の兆候は見られなかった。
【0054】
図9、図10で説明したように、微細孔壁面上の酸化皮膜に蛍光体を塗布することにより、消光中心の原因となる鉄イオンの拡散を防止できる。図9、図10において、蛍光体PHは表面の酸化皮膜FLXと接し、Fe−Ni合金1とは直接接しない。さらに、アルミニウムなどのメタルバックMBCを蒸着して前面パネルが形成される。図10ではFe−Ni系合金シートの前面ガラス基板へ接合する面のみ酸化皮膜を厚くし、Fe23の比率を高めることにより、前面ガラス基板との接合強度を高めつつ、反対側の面と微細孔壁面の酸化皮膜を薄くし、電導度の高いFe34の比率を高めることにより、帯電を効果的に除くことが可能になる。
【0055】
なお、上記Fe−Ni系合金シートは以下のように作製される。有機ポリマーを溶剤に溶かした液にFe−Ni系合金シートを接合面まで液面が上がらないよう浸漬し、引き上げ後、乾燥する。接合面側と反対側の面と開口の内壁面に有機ポリマーの薄膜を形成し、酸化処理を行う。これにより、有機ポリマーの酸化分解に酸素が消費される接合の反対面と開口の内壁面ではFe34主体の薄い酸化皮膜が形成され、有機ポリマー薄膜が形成されなかった接合面側には厚く、かつFe23比率の高い酸化皮膜が形成される。
【0056】
以上の様にして形成した前面パネルをマトリックス状の電子源を配置した背面パネルと合わせ、必要に応じてスペーサを介在させ、内部を真空に排気しながら封着することにより電子放出型の表示装置が構成される。
【0057】
図13は、本発明にかかるフラットパネル型表示装置の全体構成例を説明する展開斜視図である。背面パネルPNL1には、第1の基板である背面ガラス基板SUB1の主面に、一方向に延在し該一方向と直交する他方向に並設されて前記他方向に走査信号が順次印加される複数の走査信号配線GLと、他方向に延在し走査信号配線GLに交差する如く前記一方向に並設された複数の画像信号配線CLと、走査信号配線GLと画像信号配線CLの各交差部に設けた前記の電子源ELSを有する。そして、前面パネルPNL2には、前面ガラス基板SUB2の主面に前記した構成をもつブラックマトリクスBMで互いに区画された3色(赤(R)、緑(G)、青(B))の3つの副画素(サブピクセル)PHと、陽極(アノード)ADが形成されている。この構成例では、背面パネルPNL1の走査信号配線sの上に、当該走査信号配線sに沿ってスペーサSPCを設置して両パネルを所定の間隔で図示しない封止枠により封止している。
【0058】
図14は、本発明にかかるフラットパネル型表示装置の等価回路例を説明する図である。図14中に破線で示した領域は表示領域ARであり、この表示領域ARにn本の信号線CLとm本の走査線GLが互いに交差して配置されてn×mのマトリクスが形成されている。マトリクスの各交差部は副画素を構成し、図中の3つの単位画素(あるいは、副画素:サブピクセル)"R","G","B"の1グループでカラー1画素(カラーピクセル)を構成する。信号線CLは、信号線引出端子CLTで画像信号駆動回路DDRに接続され、走査線GLは走査線引出端子GLTで走査信号駆動回路SDRに接続されている。画像信号駆動回路DDRには外部信号源から画像信号NSが入力され、走査信号駆動回路SDRには同様に走査信号SSが入力される。
【0059】
これにより、順次選択される走査線GLに交差する信号線CLに画像信号を供給することで、二次元のフルカラー画像を表示することができる。本構成例の表示パネルを用いることにより、比較的低電圧で高効率の自発光平面型の画像表示装置が実現される。
【産業上の利用可能性】
【0060】
ガラスとFe系の合金を接合し、一体化する上で本発明は有効であり、ガラスとメッシュ状の鋼板を一体化したフィルターなどにも利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明にかかる表示装置の実施例1を説明する1画素の構成例の断面模式図である。
【図2】本発明のブラックマトリクス用金属シート部材の実施例1を説明する部分平面図である。
【図3】図1に示したブラックマトリクス用金属シート部材の断面図である。
【図4】本発明の実施例1におけるブラックマトリクスの構成を説明する要部断面図である。
【図5】実施例1における接合強度を評価するモデル試験片の説明図である。
【図6】酸化皮膜FLXの膜厚が薄い場合の金属シート部材BMSの断面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察した顕微鏡写真である。
【図7】酸化皮膜FLXの膜厚が厚い場合の金属シート部材BMSの断面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察した顕微鏡写真である。
【図8】本発明の実施例2に係るブラックマトリクス用金属シート部材の要部断面図である。
【図9】本発明の実施例1に係るブラックマトリクス用金属シート部材を用いたフラットパネル型表示装置の要部を説明する断面図である。
【図10】本発明の実施例2に係るブラックマトリクス用金属シート部材を用いたフラットパネル型表示装置の要部を説明する断面図である。
【図11】図5の試験片を用いて行なった接合強度を試験した結果の説明図である。
【図12】前面ガラス基板および鉄・ニッケル系合金シート上の緑色蛍光体の輝度比較図である。
【図13】本発明にかかるフラットパネル型表示装置の全体構成例を説明する展開斜視図である。
【図14】本発明にかかるフラットパネル型表示装置の等価回路例を説明する図である。
【符号の説明】
【0062】
PNL1・・・背面パネル
PNL2・・・前面パネル
CL・・・信号線(下部電極)
GL・・・走査線
AED・・・上部電極
BM・・・ブラックマトリクス
BMS・・・ブラックマトリクス用金属シート部材
SHT・・・ベースシート(鉄・ニッケル系合金シート)
FLX・・・酸化皮膜
APA・・・開口(微細孔)
SUB1・・・背面ガラス基板
SUB2・・・前面ガラス基板
SGP・・・前面ガラス基板用ガラス板
BFT・・・黒色フリットガラス
TRC・・・スペーサ固定溝
PH・・・蛍光体
MBC・・・メタルバック
SPC・・・スペーサ
AD・・・アノード(陽極)
L・・・出射光
ELS・・・電子源。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光体を埋設して塗布するためのマトリクス配置された複数の開口を有し、表示装置の前面ガラス基板に接着されるブラックマトリクス用金属シート部材であって、
前記金属シート部材は、Fe−Ni系合金シートの表面に、膜厚が0.6〜3.0μmのFe34とFe23からなる酸化皮膜を被覆してなることを特徴とするブラックマトリクス用金属シート部材。
【請求項2】
請求項1記載のブラックマトリクス用金属シート部材であって、
前記酸化皮膜に対してCuKα線を光源としたX線回折測定を実施した時、Fe34の(311)ピークおよびFe23の(104)ピークが共に検出され、後者のピーク強度が前者に対し、0.1〜1.0の範囲にあることを特徴とするブラックマトリクス用金属シート部材。
【請求項3】
請求項1又は2記載のブラックマトリクス用金属シート部材であって、
前記前面ガラス基板へ接合する側の面における前記酸化皮膜の膜厚が、該接合する側の面と反対側の面の前記酸化皮膜の膜厚より大きいことを特徴とするブラックマトリクス用金属シート部材。
【請求項4】
請求項1記載のブラックマトリクス用金属シート部材であって、
前記酸化皮膜に対してCuKα線を光源としたX線回折測定を実施した時、前面ガラス基板へ接合する側の面でのFe23の(104)ピークに対するFe34の(311)ピークの比が該接合する側の面と反対側の面におけるFe23の(104)ピークに対するFe34の(311)ピークの比より大きく、かつ0.1〜1.0の範囲にあることを特徴とするブラックマトリクス用金属シート部材。
【請求項5】
請求項1記載のブラックマトリクス用金属シート部材であって、
前記前面ガラス基板への接着が黒色ガラスであることを特徴とするブラックマトリクス用金属シート部材。
【請求項6】
請求項5記載のブラックマトリクス用金属シート部材であって、
前記黒色ガラスがバナジウム酸化物およびリン酸化物を主成分とすることを特徴とするブラックマトリクス用金属シート部材。
【請求項7】
請求項5又は6記載のブラックマトリクス用金属シート部材であって、
前記黒色ガラスにフィラーとしてFe23およびFe34が添加されていることを特徴とするブラックマトリクス用金属シート部材。
【請求項8】
薄膜型電子源からなる多数のカソードを形成した背面ガラス基板と、前記カソードに対向する多数の蛍光体およびアノードを形成した前面ガラス基板と、前記背面ガラス基板の前記薄膜型電子源の形成面と前記前面ガラス基板の前記蛍光体およびアノード形成面との対向間隙に介在させて当該カソード基板と当該アノード基板との間の間隙を所定値に保持するスペーサとを有するフラットパネル型表示装置であって、
前記蛍光体は金属シート部材からなるブラックマトリクスに形成した複数の開口に埋設して塗布されており、
前記金属シート部材が、Fe−Ni系合金シートの表面に、膜厚が0.6〜3.0μmのFe34とFe23からなる酸化皮膜を被覆してなることを特徴とするフラットパネル型表示装置。
【請求項9】
請求項8記載のフラットパネル型表示装置であって、
前記酸化皮膜に対してCuKα線を光源としたX線回折測定を実施した時、Fe34の(311)ピークおよびFe23の(104)ピークが共に検出され、後者のピーク強度が前者に対し、0.1〜1.0の範囲にあることを特徴とするフラットパネル型表示装置。
【請求項10】
請求項8又は9記載のフラットパネル型表示装置であって、
前記前面ガラス基板へ接合する側の面における前記酸化皮膜の膜厚が、該接合する側の面と反対側の面の前記酸化皮膜の膜厚より大きいことを特徴とするフラットパネル型表示装置。
【請求項11】
請求項8記載のフラットパネル型表示装置であって、
前記酸化皮膜に対してCuKα線を光源としたX線回折測定を実施した時、前面ガラス基板へ接合する側の面でのFe23の(104)ピークに対するFe34の(311)ピークの比が該接合する側の面と反対側の面におけるFe23の(104)ピークに対するFe34の(311)ピークの比より大きく、かつ0.1〜1.0の範囲にあることを特徴とするフラットパネル型表示装置。
【請求項12】
請求項8記載のフラットパネル型表示装置であって、
前記前面ガラス基板への接着が黒色ガラスであることを特徴とするフラットパネル型表示装置。
【請求項13】
請求項12記載のフラットパネル型表示装置、
前記黒色ガラスがバナジウム酸化物およびリン酸化物を主成分とすることを特徴とするフラットパネル型表示装置。
【請求項14】
請求項5又は6記載のフラットパネル型表示装置であって、
前記黒色ガラスにフィラーとしてFe23およびFe34が添加されていることを特徴とするフラットパネル型表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−242256(P2007−242256A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−58927(P2006−58927)
【出願日】平成18年3月6日(2006.3.6)
【出願人】(000005083)日立金属株式会社 (2,051)
【Fターム(参考)】