説明

ブラックライト用の画像および画像提供装置。

【課題】 単一波長にピークのある紫外線光源を用いても鮮明な画像が得られるブラックライト用の画像を提供すること。
【解決手段】 可視光を反射する画像と紫外線に反応して発光するブラックライト・インクを用いて描かれた画像とを含む対象画像に対し、紫外線光源のための発光LEDと、可視光源のための発光LEDとにそれぞれ異なる照射時間とタイミングとで電力を提供する発光LED制御装置を備えているので、簡便に且つ安価に精度よく、映像効果を高める画像提供装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット式プリンタ等により作成された可視光を反射する画像と紫外線に反応して発光するいわゆるブラックライト・インクを用いて描かれた画像とを含むブラックライト用の画像および対象画像に光源を照射し映像効果を高める画像提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、照明装置特に発光LEDや、この発光LEDを用いた照明技術の進歩により、コンピュータを用いて光の3原色の光源を独立して制御し、壁などに設けた対象画像に照射してインテリアや室内装飾効果を高める装置が使用されるようになった。また一方で、紫外線光(ブラックライト)励起により発光するブラックライト・インクが発明され、これらのブラックライト・インクなどの色材を用いて画像を対象画像に描き、インテリアや室内装飾効果を高めることが可能となった。ブラックライトアートは、このようなブラックライト・インクを用いて描かれた画像であり、通常光では何も見えない白い壁面がブラックライトを照射することで幻想的で美しい非日常空間に変化する特殊アートが好まれるようになってきた。この紫外線光を照射する照明としてはUV蛍光灯やUV水銀灯などが従来使われている。このような照明では300nm〜400nmの波長の光を連続的に放出する特性がある。しかしながら、350nm以下の波長の光は日焼けなどを加速するため必ずしも人体に影響がないとはいえないものであった。このため近年では、350nm以下の波長を使用しない紫外線発光LEDがブラックライトとして使用されるようになった。この紫外線発光LEDは365nmや375nmなどの特定の単一波長にピークを有する光源である。特許文献1は、ブラックライト・インクを用いて描かれた画像の構成を示す発明であり、非特許文献1は紫外線発光LEDがブラックライトとして使用されるブラックライトアート表現の例を示すものである。
【特許文献1】 特開2002−363455号公報
【非特許文献1】 ビジナビNo/30 2008年1月発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のブラックライトアートに使われてきたブラックライト・インクは、300nm〜400nmの波長の光を連続的に放出する特性のUV蛍光灯やUV水銀灯を対象にしていたため、ひろい波長域の中に赤、青、緑色の発光ピークがあれば使用に耐えるものであった。しかし紫外線発光LEDは365nmや375nmなどの特定の単一波長にピークを有する光源に対しては、発光エネルギーが異なり、例えば緑色、青色は奇麗に発光するが、赤色はたとえば反応する光源の波長のピークが320nmであったりするとほとんど発光ない。したがって従来の300nm〜400nmの波長の光を連続的に放出する特性がある蛍光灯では奇麗に発光するが、紫外線発光LEDでは赤みの抜けた画像になってしまい鮮明な画像に見えないという問題が生じる。
また、発光LED等を照明として用いる場合、紫外線光源用と可視光源用とでは発光特性が異なり紫外線光源と可視光源とを関連付けて制御することが困難であったため、可視光を反射する画像と紫外線に反応して発光するいわゆるブラックライト・インクを用いて描かれた画像とを含む対象画像に光源を照射し映像効果を高める画像提供装置は実現されていなかった。
【0004】
本発明は上記実情を鑑みてなされたものであって、紫外線発光LED等の単一波長にピークのある紫外線光源を用いても鮮明な画像が得られるブラックライト用の画像を提供するとともに、安価に精度よく、可視光を反射する画像と紫外線に反応して発光するいわゆるブラックライト・インクを用いて描かれた画像とを含む対象画像に光源を照射し映像効果を高める画像提供装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本発明のブラックライト用の画像は、紫外線光に反応して発光するブラックライト・インクを用いて描かれた画像であって、画像は特定の単一波長の紫外線光に対して光の三原色である赤色、緑色、青色の発光エネルギーが同程度に発光する3種類のブラックライト・インクを用いて構成した画像を含む、構成を備える。また、さらなに、上記課題を解決するため本発明のブラックライト用の画像は、可視光を反射する画像と、紫外線光に反応して発光するブラックライト・インクを用いて描かれた画像と、が共通の面に形成された画像であって、画像は、特定の単一の紫外線光に対して光の三原色である赤色、緑色、青色の発光エネルギーが同程度に発光する3種類のブラックライト・インクを用いて構成した画像を含む、構成を備える。可視光を反射する画像もしくは紫外線光に反応して発光するブラックライト・インクを用いて描かれた画像の少なくとも一方がインクジェットプリンタにより作成されたものであってもよい。
【0006】
上記課題を解決するため本発明の画像提供装置は、可視光を反射する画像と紫外線に反応して発光するブラックライト・インクを用いて描かれた画像とを含む対象画像と、対象画像に対して紫外線を照射する紫外線光源と、対象画像に対して可視光を照射する可視光源と、を含み、可視光源および紫外線光源はそれぞれ発光LEDが使用され、可視光源および紫外線光源のための発光LEDに対し、それぞれ異なる照射時間とタイミングとで電力を提供する発光LED制御装置を備えた、構成を有する。また可視光源の少なくとも一部が自然光を用いた光源を含むものであってもよい。さらに上記課題を解決するため本発明のブラックライト・インクは、特定の単一波長の紫外線光に対して光の三原色である赤色、緑色、青色の発光エネルギーが同程度に発光する赤色、緑色、青色の3種類の発光要素を含む、構成である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像は特定の単一波長の紫外線光に対して光の三原色である赤色、緑色、青色の発光エネルギーが同程度に発光する3種類のブラックライト・インク、さらにはこのようなブラックライト・インクを用いて構成した画像であるため、単一波長にピークのある紫外線光源を用いても鮮明な画像が得られる。また、可視光を反射する画像と紫外線に反応して発光するブラックライト・インクを用いて描かれた画像とを含む対象画像に対し、紫外線光源のための発光LEDと、可視光源のための発光LEDとにそれぞれ異なる照射時間とタイミングとで電力を提供する発光LED制御装置を備えているので、簡便に且つ安価に精度よく、映像効果を高める画像提供装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施の形態である画像提供装置について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の一実施の形態である画像提供装置の構成図である。図2は同画像提供装置の発光LED制御装置の回路構成図である。図において、可視光を反射する画像1と紫外線に反応して発光するブラックライト・インクを用いて描かれた画像2とを含む対象画像3が壁面等に設けられ、この対象画像3に対して紫外線光を照射する紫外線光源4と、対象画像3に対して可視光を照射する可視光源が設けられている。そして紫外線光源4のための発光LEDと、可視光源5のための発光LEDとに対し、それぞれ異なる照射時間とタイミングとで電力を提供する発光LED制御装置6をそなえ、これらにより全体として画像提供装置が構成される。
【0009】
なお、画像2は、紫外線光に反応して発光するブラックライト・インクを用いて描かれた画像であり、画像1を含めてインクジェットプリンタにより作成されたものであっても良い。可視光源の少なくとも一部が自然光源をさらに利用する構成であってもよい。対象画像3は壁面等が利用さインテリアとして使用される本実施の形態の応用例としては、間仕切り、上下昇降式対象画像などが対象画像として使用が可能である。また、これらを具リーチングカード、はがき裏柄、インテリア用壁布、テーブルクロス、ブライダル衣装などにも応用可能である。
【0010】
上記発光LED制御装置6について、図2により詳細に説明する。可視光源5は、本実施の形態では、光の3原色である赤(R),緑(G)、青(B)の各光源5a,5b,5cから構成され、各光源は対応する色R、G、Bに対応する色を発光する発光LED7,8,9を備え、また、紫外線光源のための発光LED10を備える。発光LED制御装置6は、前記可視光源5のための発光LED7、8、9と紫外線光源のための発光LED10に対し、それぞれ異なる照射時間とタイミングとで電力を提供する発光LED制御回路11と、この発光LED制御回路11に対し制御信号を与え、公知のプログラム等が可能な電子制御用等のCPUを含むコンピュータ12と、発光LED制御回路11およびコンピュータ12へ電力を供給する電源装置13と、外部とのデータ通信や制御信号を入出力するためのRS232C仕様やUSB仕様のインターフェイス14とを備える。
【0011】
図3は、前記可視光源5のための発光LED7、8、9と紫外線光源のための発光LED10に対し、それぞれ異なる照射時間とタイミングとで電力を提供している発光LED制御回路11の動作状態の一例を示す説明図である。可視光源5のための発光LED7、8、9は電圧YVで駆動され、紫外線光源のための発光LED10は電圧XVで駆動される。それぞれの駆動電圧は発光LEDの製造メーカの設計により異なる。公知のプログラム等が可能なコンピュータ12からの制御信号により、発光LED制御回路11は図3に一例を示すようにそれぞれ異なる照射時間t1、t2、t3、t4とタイミング(図中のTは経過時間を表す)とで電力を提供することが可能となり、またこれにより赤(R),緑(G)、青(B)の各光源5a,5b,5cと、紫外線光源のための発光LED10を備える紫外線光源が独立してそれぞれ点滅するので対象画像3による画像はさまざまな変化を見せ、装飾効果等の優れたインテリアが提供される。
【0012】
次に本発明の実施の形態で使用されるブラックライト・インクと照射の用いられる紫外線光源のための発光LEDの波長との関係を説明する。図4は本発明の実施の形態におけるブラックライト・インクの発光特性と発光LEDの波長との関係を説明する説明図である。本発明の実施の形態で使用されるブラックライト・インクでは、特定の単一波長の紫外線光である、365nmにピークを有する発光LED、あるいは375nmにピークを有する発光LEDに対して光の三原色である赤色、緑色、青色の発光エネルギーが同程度に発光する赤色、緑色、青色の3種類の発光要素の、ブラックライト・インクの発光エネルギーをR,G,Bで示している。このように、単一波長にピークのある紫外線光源として365nmにピークを有する発光LED、あるいは375nmにピークを有する発光LEDを用いても、赤色、緑色、青色の発光エネルギーが同程度に発光するため、各色のバランスが崩れることなく鮮明な画像が得られる。
【0013】
そして、このような紫外線光に反応して発光するブラックライト・インクを用いて描かれた画像は単一波長にピークのある紫外線光源として365nmにピークを有する発光LED、あるいは375nmにピークを有する発光LEDを用いても、光の三原色である赤色、緑色、青色の発光エネルギーが同程度に発光する3種類のブラックライト・インクを用いて構成した画像を構成するので、赤色、緑色、青色の発光エネルギーが同程度に発光するため、各色のバランスが崩れることなく鮮明な画像となっている。
【0014】
勿論、このブラックライト用の画像は従来のUV−蛍光灯の下でも、鮮明な色彩のブラックライト画像を得ることが出来、さらに光源を蛍光灯からLEDに替えることにより、点灯−点滅の切り替えの早いブラックライトによる演出が可能となる。また、UV−発光LED使用により、紫外線の光源域の中でも、より健康上問題が少ないとされる高波長域365nm又は375nmの単一波長のみでの照射利用が可能となった。従来のUV−蛍光灯では、単一高波長のみの照射は不可能であった。紫外線を長時間照射する上での健康面での問題をより向上させた。
【0015】
インクジェットプリンターによりブラックライト画像の製作をすることにより、コンピューターにダウンロードさせた写真画像など、あらゆるコンピュータ画像をブラックライト画像として再現することが出来る。インクジェットプリンタによるブラックライト画像の製作により、画像の細かい描写や自然色彩により近い発光色彩をブラックライト画像上に表現させることが可能となる。また、インクジェットプリンタによるブラックライト画像の製作により、ブラックライト画像一枚から、同一画像の複数枚以上の大量製作も容易に可能となる。さらにはインクジェットプリンタによるブラックライト画像の製作は、手書き手法での、現場での(壁画や天井画製作のような)作業を必要とせず、壁紙などの基材上に印刷される為、工場生産となり、作品の移送、輸送が簡単である。そしてインクジェットプリンタによるブラックライト画像の製作手法は従来の手書きやシルクスクリーン手法に比べ、製作コストを安くすることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明によれば優れた装飾効果等が提供可能なので、レストラン、ホテル、テーマパークなどに好適に使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】 本発明の一実施の形態に係る画像提供装置の構成図である。
【図2】 同画像提供装置の発行LED制御装置の回路構成図である。
【図3】 同画像提供装置において可視光源のための発光LEDと紫外線光源のための発光LEDに対し、それぞれ異なる照射時間とタイミングとで電力を提供している発光LED制御回路の動作状態の一例を示す説明図である。
【図4】 本発明の実施の形態におけるブラックライト・インクの発光特性と発光LEDの波長との関係を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0018】
1、可視光を反射する画像、2 紫外線光に反応して発光するブラックライト・インクを用いて描かれた画像、3 対象画像、4 紫外線光を照射する紫外線光源、5 可視光を照射する可視光源、6 LED制御装置、7,8,9、10 発光LED、11 発光LED制御回路、12 コンピュータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線光に反応して発光するブラックライト・インクを用いて描かれた画像であって、前記画像は特定の単一波長の紫外線光に対して光の三原色である赤色、緑色、青色の発光エネルギーが同程度に発光する3種類のブラックライト・インクを用いて構成した画像を含む、ブラックライト用の画像。
【請求項2】
可視光を反射する画像と、
紫外線光に反応して発光するブラックライト・インクを用いて描かれた画像と、
が共通の面に形成された画像であって、
前記画像は、特定の単一の紫外線光に対して光の三原色である赤色、緑色、青色の発光エネルギーが同程度に発光する3種類のブラックライト・インクを用いて構成した画像を含む、ブラックライト用の画像。
【請求項3】
可視光を反射する画像もしくは紫外線光に反応して発光するブラックライト・インクを用いて描かれた画像の少なくとも一方がインクジェットプリンタにより作成されたものであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のブラックライト用の画像
【請求項4】
可視光を反射する画像と紫外線に反応して発光するブラックライト・インクを用いて描かれた画像とを含む対象画像と、
前記対象画像に対して紫外線を照射する紫外線光源と、
前記対象画像に対して可視光を照射する可視光源と、
を含み、
前記可視光源および前記紫外線光源はそれぞれ発光LEDが使用され、
前記可視光源および前記紫外線光源のための発光LEDに対し、それぞれ異なる照射時間とタイミングとで電力を提供する発光LED制御装置を備えた、画像提供装置。
【請求項5】
前記可視光源の少なくとも一部が自然光を用いた光源を含む、請求項4に記載の画像提供装置。
【請求項6】
特定の単一波長の紫外線光に対して光の三原色である赤色、緑色、青色の発光エネルギーが同程度に発光する赤色、緑色、青色の3種類の発光要素を含む、ブラックライト・インクを用いて描かれた画像を構成するための、ブラックライト・インク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−186945(P2009−186945A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−51213(P2008−51213)
【出願日】平成20年2月2日(2008.2.2)
【出願人】(505289270)株式会社装建管理 (8)
【Fターム(参考)】