ブリケットシート分断用カッターロール

【課題】圧縮造粒装置において製造された数珠状のブリケットシートを、角部に直角または鋭角のバリのないブリケットに切断することができるブリケットシート分断用カッターロールを提供すること
【解決手段】
ブリケットシートを個々のブリケットに切断する円柱状のカッターロールにおいて、外周面に前記ブリケットの半面を収容できる大きさを有するポケット部が、前記ブリケットシートにおける各ブリケットの間隔と等しい間隔をおいて凹設されるとともに、各ポケット部間には前記ブリケットシートの連結部を切断するための分断刃が設けられ、前記分断刃は、カッターロールの回転軸方向に伸びる直線部と、該直線部の両端に設けられるバリ除去部よりなることを特徴とするカッターロールを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、圧縮造粒機で製造されたブリケットシートを切断するブリケットシート分断用カッターロールに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、スチールやアルミなどの金属粉末または顆粒を、一対のブリケットロールを用いてブリケット状に成型する圧縮造粒装置においては、平刃状のカッターロールを用いて、ブリケットが数珠状に連結されたブリケットシートを個々のブリケットに切断していた（例えば、特許文献１の図２，３および特許文献２の図５参照）。
【０００３】
しかしながら、このように平刃状のカッターロールでブリケットシートを切断すると、ブリケットの切断部に直角または鋭角のバリが形成されるため、後工程のハンドリングにおいてコンベヤを破損させる、あるいは作業者を負傷させる可能性があるといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００９−１８５３４５号公報
【特許文献２】特開２００９−８３０８８号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、圧縮造粒装置において製造された数珠状のブリケットシートを、角部に直角または鋭角のバリのないブリケットに切断することができるブリケットシート分断用カッターロールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記の目的を達成するために本発明は、複数のブリケットが連結部を介して数珠状に連結されたブリケットシートを個々のブリケットに切断する円柱状のカッターロールにおいて、外周面に前記ブリケットの半面を収容できる大きさを有するポケット部が、前記ブリケットシートにおける各ブリケットの間隔と等しい間隔をおいて凹設されるとともに、各ポケット部間には前記ブリケットシートの連結部を切断するための分断刃が設けられ、前記分断刃は、カッターロールの回転軸方向に伸びる直線部と、該直線部の両端に設けられるバリ除去部よりなることを特徴とするカッターロールを提供する。このように分断刃にバリ除去部を設けることにより、角部に直角または鋭角のバリの無いブリケットを製造することができる。
【０００７】
また本発明のブリケットシート分断用カッターロールは、前記バリ除去部は、カッターロール外周面における平面形状が、頂点が前記直線部の端部に接する楔形形状を成すことを特徴とするカッターロールとしても良い。これにより、ブリケットシートを切断した際に切断部に直角または鋭角のバリが生じない。
【０００８】
また本発明のブリケットシート分断用カッターロールは、前記バリ除去部の楔形形状が凹状曲線の斜辺からなることを特徴とするカッターロールとしても良い。これにより、ブリケットの角部を丸みを帯びた形状に切断することができ、後工程における安全性をより高めることができる。
【０００９】
また本発明は、前記ブリケットシート分断用のカッターロールにおいて、カッターロールの回転軸方向に分割可能であることを特徴とするカッターロールとしても良い。このようにカッターロールを回転軸方向に分割できる構造とすると、切断角部の刃加工が容易になり、カッターロールの加工コストを抑制することができる。
【００１０】
また本発明は、前記ブリケットシート分断用のカッターロールにおいて、円周方向に複数のセグメントに分割可能であることを特徴とするカッターロールとしても良い。このように多分割構造とすることにより、カッターロールが部分的に破損した際に破損部のみを交換することが可能になり、メンテナンスコストを抑制することができる。
【発明の効果】
【００１１】
以上の通り本発明は、数珠状のブリケットシートを角部に直角または鋭角のバリの無いブリケットに分断することにより、ブリケットのバリによるコンベヤの破損等の不具合を防止することができ、さらには作業者の安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】（ａ）は本発明のブリケットシートおよび切断されたブリケットを示す正面図、（ｂ）はその断面図である。
【図２】本発明のブリケットシートの押し切り工程を示す正面図である。
【図３】（ａ）は本発明のカッターロールを示す正面図、（ｂ）はその側面図である。
【図４】（ａ）は円周方向に３分割可能な本発明のカッターロールを示す正面図、（ｂ）はその側面図である。
【図５】（ａ）は円周方向に直交する方向に複数のセグメントに分割可能な本発明のカッターロールを示す正面図、（ｂ）はその側面図である。
【図６】本発明のカッターロールの側面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【００１３】
以下、本発明のカッターロールの実施形態について図面を参照して説明する。図２に示すように、圧縮造粒装置において製造された数珠状のブリケットシート１は、外周面に複数の分断刃２を有し、互いに逆回転する一対のカッターロール３，３により個々のブリケットに切断される。それぞれの分断刃２の間には、ブリケット４の半面を収容できる大きさを有するポケット部８が設けられている。ポケット部８は、ブリケット４の半面を収容できる大きさ・形状であれば、どのような大きさ・形状でも良く、ブリケットシートにおけるブリケットと同じ間隔でカッターロールの外周面に凹設されている。ここで、従来のカッターロールにおいては、各カッターロールに設けられる分断刃の形状は平刃状（直線状）であるため、前記特許文献１の図２に示されるように、切断された個々のブリケットの両端切断部にはバリが形成され、これが後工程における不具合または作業者の負傷の原因となっていた。なお、ブリケットシート１の製造には、一対のブリケットロールを用いて各種金属材料をブリケット状に圧縮成型する圧縮造粒装置を用いている。
【００１４】
一方、本発明のカッターロール３においては、分断刃にバリ除去部が設けられ、切断後のブリケットにバリが残ることが無い。この点について詳しく説明すると、図６に示されるように、本発明におけるカッターロールの分断刃２は、カッターロールの回転軸方向に伸びる直線部７と、その両端に設けられるバリ除去部６とで構成されている。バリ除去部６は、頂点が直線部７の端部に接する楔形形状とされ、その斜辺６ａ、６ｂは、凹状曲線とされている。本実施例において斜辺６ａ、６ｂを凹状曲線としたのは、切断後のブリケットの角部を丸みのある曲線状にするためであるが、これに限定されるものではなく、斜辺６ａ、６ｂは直線としても良い。ただしこの場合、ブリケットの切断部も直線状となるため、本発明の効果を高めるためには、斜辺６ａ、６ｂは凹状曲線とするのが好適である。
【００１５】
なお、分断刃２のバリ除去部６の外側（ポケット部の反対側）には、溝部９が彫設されている。ブリケットシートを切断する際にバリ除去部により切除されたバリは、溝部９からブリケットより分離される。
【００１６】
また本発明のカッターロール３は、図４に示すように、カッターロールの回転軸方向に分割可能な構造としても良い。このように分割可能な構造とする場合には、図６において点線で示すように、前記分断刃２の直線部７とバリ除去部６の交点を基準として３つに分割することができる。このようにカッターロール３を回転軸方向に３分割可能な構造とすることにより、カッターロール３を製作する際に分断刃２が曲線部を有する部分３ｂと直線部のみの部分３ｂとを別々に製作することができ、機械加工が容易になる。これにより、加工コストを減らすことができる。また、分断刃が破損した際に破損した部分のみを交換することができるため、メンテナンスに要する費用を少なくすることができる。
【００１７】
さらに本発明のカッターロール３は、図５に示すように、円周方向に複数のセグメントに分割可能な構造としても良い。この場合、図５に示すように、カッターロール３を円周方向に等分割できる構造にすることができる。図５においては、ポケット部８毎のセグメントに分割される例を示すが、特にこの例に限定されず、カッターロール３の円周方向であれば、どのようなセグメントに分割しても良い。これにより、分断刃が破損した際にその部分のみを交換することができ、メンテナンスコストをさらに少なくすることができる。
【００１８】
以上の通り本発明のカッターロールは、分断刃を直線部とその両端に設けられるバリ除去部とで構成することにより、ブリケットシートを切断する際にバリが発生しない。これにより、作業者がバリにより負傷したりコンベヤが破損したりすることを防止することができる。また、カッターロールの回転軸方向や円周方向に分割できる構造とすることにより、メンテナンスコストや製造コストを減らすことができる。なお、本発明においてカッターロール３の材質は、金属などの剛性体またはこれを硬化処理したものを用いる。分割構造のカッターロールの場合には、材質の異なる材料を各分割部に分けて使用しても良い。また、本発明におけるブリケットシートは、特にその種類は問わないが、アルミニウムやアルミニウムにスチールを混合した原料の場合に特に好適である。例えば、アルミ缶をペレット状に処理したものを原料としたブリケットシートに好適である。また、カッターロールのポケット部の形状をブリケットの形状に合わせて変更することにより、様々な形状のブリケットに本発明のカッターロールを使用することが可能である。
【００１９】
以上、本発明による代表的実施例について説明したが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、当業者であれば、添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、種々の代替実施例及び改変例を見出すことは可能である。
【符号の説明】
【００２０】
１ブリケットシート
２分断刃
３カッターロール
４ブリケット
６バリ除去部
７直線部
８ポケット部

【特許請求の範囲】
【請求項１】
複数のブリケットが連結部を介して数珠状に連結されたブリケットシートを個々のブリケットに切断する円柱状のカッターロールにおいて、外周面に前記ブリケットの半面を収容できる大きさを有するポケット部が、前記ブリケットシートにおける各ブリケットの間隔と等しい間隔をおいて凹設されるとともに、各ポケット部間には前記ブリケットシートの連結部を切断するための分断刃が設けられ、前記分断刃は、カッターロールの回転軸方向に伸びる直線部と、該直線部の両端に設けられるバリ除去部よりなることを特徴とするカッターロール。
【請求項２】
請求項１記載のブリケットシート分断用のカッターロールにおいて、前記バリ除去部は、カッターロール外周面における平面形状が、頂点が前記直線部の端部に接する楔形形状を成すことを特徴とするカッターロール。
【請求項３】
請求項２記載のブリケットシート分断用のカッターロールにおいて、前記バリ除去部の楔形形状の斜辺が凹状曲線からなることを特徴とするカッターロール。
【請求項４】
請求項１乃至３記載のブリケットシート分断用のカッターロールにおいて、カッターロールの回転軸方向に分割可能であることを特徴とするカッターロール。
【請求項５】
請求項４記載のブリケットシート分断用のカッターロールにおいて、前記分断刃の直線部とバリ除去部の交点を基準として３つに分割可能であることを特徴とするカッターロール。
【請求項６】
請求項１乃至５記載のブリケットシート分断用のカッターロールにおいて、円周方向に複数のセグメントに分割可能であることを特徴とするカッターロール。

【図１】