説明

ブリスターパックとその製造方法

【課題】 製造作業の煩雑さを解消し、商品を取り出しやすい構成とするブリスターパックとその製造方法を提供する。
【解決手段】 商品の説明等が印刷された台紙11と、商品を収納する凹部12aを備えたプラスチック製カバー12とを有し、プラスチック製カバーの接着用平面部12bに溶融したホットメルト接着剤16を部分的に塗布し、その上に台紙11を所定の位置に合わせ、軽く押圧することで、台紙11とプラスチック製カバー12とを接着させて製造するブリスターパック。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台紙と商品を収納する凹部を備えた透明なプラスチック製カバーとを接着して製造され、購入者が商品を購入する際に、台紙に印刷された商品の説明や被包装物である商品を視認できる包装構造であるブリスターパックとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図4に示すような従来のブリスターパックは、まず、台紙11に商標を付したり、商品14の説明等を印刷した後、樹脂13を台紙11の表面全体に塗布する。また、これと平行して、商品14を入れる凹部12aと、接着用平面部12bとを有する透明なプラスチック製カバー12を形成する。その後、台紙11とプラスチック製カバー12を所定の位置に合わせ、プラスチック製カバー12の接着用平面部12bを均一に押圧し、加熱することで樹脂13が溶融し、接着されて、ブリスターパックが製造される。ここで、接着用平面部12bは、プラスチック製カバー12の凹部12aを除く全面となっている。
【0003】
このようにして製造されたブリスターパックは、プラスチック製カバー12が透明であることから、台紙11に印刷された商品の説明等や商品14そのものを視認することができるという特徴を有する。また、商品14を密封することができたり、台紙11とプラスチック製カバー12を貫通させて孔をあけることにより、吊して展示できるという特徴も有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のブリスターパックの製造作業は、非常に煩雑なものである。すなわち、プラスチック製カバー12の接着用平面部12bのみを加熱する必要があるため、接着用平面部12bと同じ形状の金型を用意しなければならない。
【0005】
さらに、従来のブリスターパックでは、接着用平面部12bの全面が台紙11と接着しているので剥がしにくい。そこで、購入者が商品14を取り出し易くするため、台紙11の裏面にミシン目15を設けている。しかし、運搬中や展示中に商品14が出てしまうことを避けるため、ミシン目15は簡単には切れないようになっていることが多い。そのため、ミシン目15のところで破れず、簡単に商品14を取り出せないこともある。したがって大抵の場合、購入者にとって商品14は取り出しにくいものとなっている。
【0006】
このような実情に鑑み、本発明は、金型を用いなくても台紙11とプラスチック製カバー12の接着ができ、商品14を取り出すときに台紙11をプラスチック製カバー12から比較的容易に剥がすことができるブリスターパックとその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明のブリスターパックは、商品の説明等が印刷された台紙と、商品を収納する凹部を備えたプラスチック製カバーとを有し、前記台紙と前記プラスチック製カバーとが部分的に塗布されたホットメルト接着剤により接着された構成を特徴としている。
【0008】
このとき、前記ホットメルト接着剤が、点状に分散して塗布されたり、少なくとも商品を取り囲むように塗布される構成とすることもできる。
【0009】
また、このようなブリスターパックは、商品の説明等を台紙に印刷する工程と、商品を収納する凹部を備えたプラスチック製カバーを形成する工程との後、前記プラスチック製カバーと前記台紙が接着する面に溶融されたホットメルト接着剤を部分的に塗布する工程と、前記台紙と前記プラスチック製カバーを所定の位置に合わせ、接着させる工程とからなる製造方法によって、製造される。
【発明の効果】
【0010】
本発明のブリスターパックによれば、台紙とプラスチック製カバーとは、部分的にホットメルト接着剤によって接着されている構成であることから、購入者が商品を取り出す際に、比較的容易に台紙とプラスチック製カバーを剥がすことができるという優れた効果を奏する。
【0011】
また、本発明のブリスターパックの製造方法によれば、樹脂を台紙とプラスチック製カバーの接着用平面部の全面に塗布するのではなく、溶融したホットメルト接着剤を台紙又はプラスチック製カバーの接着用平面部に部分的に塗布し、ホットメルト接着剤が固化する前に、台紙とプラスチック製カバーを軽く押圧して接着させることができる。そのため、従来のような金型を用いて熱圧着する必要がないという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。図1は本発明のブリスターパックを製造する工程の一例で、台紙11と商品を収納する凹部12aを備えたプラスチック製カバー12を接着させるところである。なお、商品の記載は省略している。プラスチック製カバー12の接着用平面部12bに溶融したホットメルト接着剤16を部分的に塗布し、その上に台紙11を所定の位置に合わせ、軽く押圧することで、台紙11とプラスチック製カバー12とを接着させる。このような製造方法だと、ホットメルト接着剤16に後から熱を加える必要がないため金型が不要になる。
【0013】
図2には、ホットメルト接着剤16を点状に分散させて塗布した実施例を示す。このとき、ホットメルト接着剤16は溶融したものを点状に分散させて塗布するだけで、従来のように樹脂を全体的に塗布する必要はない。また、溶融しているホットメルト接着剤16と台紙11を重ねるだけで、熱圧着する必要もない。さらに、台紙11とプラスチック製カバー12をこのように点状のホットメルト接着剤16で接着した場合、接着面が小さくなるので、購入者が商品を取り出すときに台紙11とプラスチック製カバー12を剥がしやすく、台紙裏面にミシン目を設ける必要もない。
【0014】
このようなブリスターパックの場合、製造方法が簡易であるので、生産性が従来のものより10倍程度向上すると見込まれる。さらに、購入者としては、台紙11とプラスチック製カバー12を剥がしやすいので、商品を取り出し易いだけでなく、厚紙で作られることの多い台紙とプラスチック製カバー12とは、ゴミとして捨てる際に分別し易いという利点もある。
【0015】
ただし、本実施形態は商品を密封する形態ではないため、密封する必要のない商品についてのみ適した実施例であると考えられる。そこで図3では、商品を取り囲むように溶融されたホットメルト接着剤16を4本の直線状に塗布した実施例を示す。商品の周りを接着することで、商品は密封され、台紙11とプラスチック製カバー12との隙間から商品を汚してしまうといった心配がなくなる。このように、ホットメルト接着剤16を直線状に塗布し、複数の直線で商品を囲むことにより、比較的簡単に商品を密封することができる。
【0016】
従来のブリスターパックでは、樹脂は台紙全面に塗布していたので、乾燥させる必要があった。乾燥させた樹脂とプラスチック製カバーを接着させるために、金型で押圧し、加熱する必要があったが、本発明により、この工程が大きく簡素化された。
【0017】
これらの実施例以外にも、ホットメルト接着剤を線状に塗布するなど、接着強度と剥がし易さとのバランス、商品の形状、プラスチック製カバーの接着用平面部の大きさ等を考慮して、それぞれの状況に応じた塗布の形態を考えることができる。
【0018】
また、ホットメルト接着剤をプラスチック製カバーの接着用平面部に塗布する方法だけでなく、台紙に塗布する方法でも良く、製造装置に合わせるなど、製造し易い方法を採用すれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のブリスターパックの製造例を示す図である。
【図2】ホットメルト接着剤を点状に分散して塗布した例を示す図である。
【図3】ホットメルト接着剤を商品を囲むように塗布した例を示す図である。
【図4】従来のブリスターパックの製造例を示す図である。
【符号の説明】
【0020】
11 台紙
12 プラスチック製カバー
13 樹脂
14 商品
15 ミシン目
16 ホットメルト接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の説明等が印刷された台紙と、商品を収納する凹部を備えたプラスチック製カバーとを有し、前記台紙と前記プラスチック製カバーとが部分的に塗布されたホットメルト接着剤により接着されていることを特徴とするブリスターパック。
【請求項2】
上記ホットメルト接着剤が、点状に分散して塗布されることを特徴とする請求項1記載のブリスターパック。
【請求項3】
上記ホットメルト接着剤が、少なくとも商品を取り囲むように塗布されることを特徴とする請求項1記載のブリスターパック。
【請求項4】
商品の説明等を台紙に印刷する工程と、商品を収納する凹部を備えたプラスチック製カバーを形成する工程との後、前記プラスチック製カバーと前記台紙が接着する面に溶融されたホットメルト接着剤を部分的に塗布する工程と、前記台紙と前記プラスチック製カバーを所定の位置に合わせ、接着させる工程とからなることを特徴とするブリスターパックの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−46152(P2009−46152A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−214216(P2007−214216)
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(501194215)株式会社ナルシマ (3)
【Fターム(参考)】