ブリスター包装機械
ブリスター包装機械は、基底シートにある浅鉢状の窪みの中に製品を入れるための詰込みステーションと、その下流に配され、供給されるカバーシートで上記基底シートを封止して帯状ブリスターシートを形成するための封止ステーションとを備える。サイクル的に動作する上記封止ステーションには、サイクル的に動作し、上記基底シートおよび上記カバーシートを上記封止ステーションの中を通して非連続的に搬送するための第1の駆動装置が関連付けられる。ここで、上記詰込みステーションと上記封止ステーションとの間に、上記基底シートを非連続的に搬送するための、上記基底シート用の第2の駆動装置が配置されることとする。上記第1の駆動装置と上記第2の駆動装置との各駆動運動は、固定式に構成された上記詰込みステーションにおいて上記基底シートが一定速度で搬送されるように重ね合わされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ブリスター包装機械であって、基底シートにある浅鉢状の窪みの中に製品を入れることのできる詰込みステーションと、その下流に配され、供給されるカバーシートで上記基底シートを封止して帯状ブリスターシートを形成することのできる封止ステーションとを備え、サイクル的に動作する上記封止ステーションには、サイクル的に動作し、上記基底シートおよび上記カバーシートを上記封止ステーションの中を通して非連続的に搬送することのできる第1の駆動装置が関連付けられる、ブリスター包装機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ブリスター包装機械は成形ステーションを備えている。成形ステーションにおいては、たとえばプラスチックまたはアルミニウムなどからなる基底シートに多数の浅鉢状の窪みが形成され、その下流に配した詰込みステーションにおいて各窪みの中に医薬錠剤などの製品が入れられる。基底シートは製品が入れられた後に封止ステーションに供給される。この封止ステーションのすぐ上流またはその中でカバーシートが供給され、基底シートの浅鉢状の窪みについての開いた側で基底シート上に置かれる。封止ステーション内の熱作用および圧力によって基底シートがカバーシートで密閉封止され、これにより製品が浅鉢状の窪みの中に封じ込められる。
【0003】
基底シートの浅鉢状の窪みの中に製品を正確に供給して入れる作業を確実なものとするためには、詰込みステーションを場所固定あるいは固定式に構成することと、基底シートを詰込みステーションの中で一定速度で均一に案内することとが望まれる。このため、その下流にある封止ステーションにおけるカバーシートでの封止動作もまた連続的なものとなる。封止工程においては、一般的に、加熱装置を用いて所望の指定温度へ調節可能な回転封止ローラが使用される。基底シートはカバーシートとともに一定の搬送速度で封止ステーションの中、すなわち封止ローラと対向するローラとの隙間を通って移送され、ここで熱が封止ローラからシートに伝達されてシート同士を結合する。封止ローラからシートの間の熱伝達は、シートの搬送速度に依存する。搬送速度が高い場合、封止ローラとシートとの接触時間が比較的短くなるため、シートの中に持込まれ得る熱の量はごく少なくなる。シートの中に持込まれる熱が少なすぎると、封止が不完全となって基底シートとカバーシートとの間に密封性が得られないという危険が生じる。一方、搬送速度が低い場合、封止ローラとシートとの接触時間は比較的長くなるため、シートの中に持込まれる熱の量が大きくなるが、これは比較的熱に敏感なカバーシートが損傷を受ける危険を伴う。この場合も、基底シートとカバーシートとの間に信頼のできる密封性が確保されない。
【0004】
上述の理由から、多くのユーザの間では、連続的に動作する封止ステーションでなく、サイクル的に動作し、開け閉めされる封止プレートを有する封止ステーションが望まれている。このような封止ステーションにおいては、シートへの熱伝達およびこれに伴い封止プロセスが、封止プレートの閉時間によって極めて正確に調節可能であり、このため全体的に封止の様態が極めて均一的なものとなる。公知のサイクル的動作の封止ステーションにおいては、帯状ブリスターシート(基底シートの中に製品を入れてカバーシートで封止したもの)は、封止ステーションの下流において、たとえばペンチ(Zange)の形をとるサイクル的に動作する駆動装置によって把持されて所定の分だけ引き進められ(vorziehen)、それからペンチを開けて帯状ブリスターシートに沿って搬送方向に逆らうように移動させ、帯状ブリスターシートを上流の部分で再び把持させる。このため、帯状ブリスターシートの搬送運動と休止状態とが常に交替することになる。基底シートもまたこの断続的な運動を経験するため、基底シートは詰込みステーションの中をサイクル的に牽引され
る。しかしながら、サイクル的な運転の際には詰込みステーションで障害が多く生じることがわかり、このためユーザからは、詰込みステーションについては連続的に動作するものが望まれている。
【0005】
このように、一方では連続的に動作する詰込みステーションと、他方ではサイクル的に動作する封止ステーションとに対する相反する要求を満たすことができるように、詰込みステーションを基底シートに沿って移動可能に構成することが試みられている。この場合、基底シートの休止時間中に詰込みステーションを基底シートに対して相対的に変位させる。しかしこのプロセスは構造的に極めて複雑なためコスト高となるのに加え、変位可能な詰込みステーションは極めて故障が多く、ブリスター包装機械の能力が大きく制約を受けることがわかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、サイクル的に動作する封止ステーションを備えた上述の類のブリスター包装機械であって、高性能の詰込みステーションが信頼できる態様で使用可能となったものを提供することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1に記載の特徴を備えた上述の類のブリスター包装機械において解決される。ここでは、上記詰込みステーションと上記封止ステーションとの間に、上記基底シートを非連続的に搬送することのできる、上記基底シート用の第2の駆動装置が配置され、上記第1の駆動装置と上記第2の駆動装置との各駆動運動が、固定式に構成された上記詰込みステーションにおいて上記基底シートが一定速度で搬送されるように重ね合わされることとする。
【0008】
この発明の根本概念は、封止ステーションについて設けられサイクル的に動作する第1の駆動装置による基底シートのサイクル的すなわち断続的な前進運動を、詰込みステーションと封止ステーションとの間で好ましくはカバーシートの供給よりも上流において第2の駆動装置から基底シートに作用を及ぼして非連続的な制御された搬送運動を上記基底シートに与えることによって補完するというものである。第1の駆動装置および第2の駆動装置による両方の駆動運動は、結果として詰込みステーション内またはその付近で生じる基底シートの運動が、一定の搬送速度で連続的に引き進められる運動となるように互いに対して調整される。こうすることで、製品を浅鉢状の窪みの中に詰込む工程を、それ自体公知の固定式詰込みステーションによって連続的に実行することに加えて、封止工程をサイクル的すなわち非連続的に実施することが可能となる。
【0009】
上記第2の駆動装置が基底シートに対して作用するのは特に、封止プロセス中、第1の駆動装置が基底シートの動きを引き起こさないときである。封止プレートが開くと、第1の駆動装置は直ちに帯状ブリスターシートおよびこれに伴い基底シートを先へ牽引する。これにより、基底シートを引き進める長さについて、少なくとも、封止プロセス中に第2の駆動装置が引き進めた分は補償(ausgleichen)される。
【0010】
この発明の好ましい実施例においては、上記第2の駆動装置は、基本位置と別の位置との間で変位可能な方向転換装置を含み、その変位によって、上記詰込みステーションにある上記基底シートに対して牽引力が及ぼされることとする。基底シートは上記方向転換装置のまわりをループ状に巡らされる。上記方向転換装置を変位させると、基底シートのループは大きくなる。その際、方向転換装置の変位は、基底シートの主搬送方向に対してほぼ垂直に行なわれることが好ましい。封止ステーションが閉じられて基底シートがその方すなわち方向転換装置の下流で締着され保持されているときに方向転換装置を変位させる
ことによって、方向転換装置を基本位置から別の位置に変位させるのに伴い、基底シートは方向転換装置の詰込みステーション側で引き進められる。
【0011】
特に、上記方向転換装置が上記別の位置から上記基本位置へ戻るように変位可能とすることができる。このように方向転換装置を基本位置へと戻るように変位させることによって基底シートのループは小さくなり、そして、これにより自由になる基底シートの長さは、封止ステーションについて設けられたサイクル的に動作する第1の駆動装置によって補償される。その際、これら各運動は、詰込みステーションにおいて基底シートが一定速度で搬送されるように互いに合わせて調整される。
【0012】
上記方向転換装置は、自らの長手方向に対して垂直に変位可能な方向転換ローラを含むこともあり得る。しかし実際にはこれには問題がある。この場合に基底シートの浅鉢状の窪みは方向転換ローラの側面上に置かれることになるからである。したがって、この発明の好ましい実施例では、上記方向転換装置は、互いに間隔をあけた複数の比較的薄い方向転換板が配置されたモータ駆動の変位可能シャフトを含むこととする。上記方向転換板同士の間隔は、基底シートにおけるそれぞれ2つの浅鉢状の窪みのちょうど間に上記方向転換板が配置される一方、方向転換装置の内部で方向転換板同士の間に浅鉢状の窪みがぶら下がるように選択される。
【0013】
異なるブリスターサイズおよびこれに伴い異なって配置される浅鉢状の窪みに合わせて上記方向転換装置を調節可能とするために、この発明の別の実施例においては、上記方向転換板は、その互いの間隔について上記シャフトに沿って変更可能とする。
【0014】
封止ステーションについて設けられた第1の駆動装置を用いて基底シートが方向転換装置の中を通って、そしてこれに伴い方向転換板上を牽引されるときに摩擦力が発生する場合がある。この摩擦力を減少させるためには、この発明の別の実施例において、上記方向転換板を上記シャフト上に回転可能に配置すればよい。
【0015】
一般的に、ブリスター包装機械において基底シートは、浅鉢状の窪みが上方へ向いて開いて、製品が上記浅鉢状の窪みの中に上方から入れられるように配置される。製品が中に入った基底シートが方向転換装置内でループ状に、好ましくは上方へ方向転換される際、個々の製品が浅鉢状の窪みからこぼれ落ちるという状況が生じ得る。これを確実に防止するために、別の実施例においては、上記方向転換装置は、基底シートが上記浅鉢状の窪みの開いた側で当たる複数のガイド要素、特にガイド壁を含むこととする。これにより、基底シートが方向転換装置の中をループ状に通過する間、浅鉢状の窪みは蓋をされることになり、こうして製品がこぼれ落ち得ることを確実に防止する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この発明についてのその他の詳細および特徴は、添付の図面を参照して以下の実施例の説明から明らかとなる。
【0017】
図1は、ブリスター包装機械10における複数のステーションを示す概略図である。図示しない成形ステーションにおいて従来の仕方で複数の浅鉢状の窪み12が中に形成される基底シート11は、基底シート11の主搬送方向を表わす矢印Hによって示すように、上記複数のステーションの中を順に通過する。まず基底シート11は固定の詰込みステーション13の中を通過する。詰込みステーション13においては、基底シート11の浅鉢状の窪み12の中に錠剤などの製品14がそれぞれ上方から入れられる。基底シート11は水平方向に走り、次に方向転換装置20に到達する。方向転換装置20においては、基底シート11は、上方へ突き出る波状のループの形で方向転換され、続いて再び水平方向の状態に戻される。方向転換装置20は、両方向の矢印Aで示すように高さについて垂直
方向に上下に変位可能であり、基底シート11についての第2の駆動装置15を構成する。
【0018】
方向転換装置20の下流において、封止ステーション18のすぐ上流でカバーシート16が基底シートに対して供給され、カバーシート16は方向転換ロール17を介して基底シート11の上側に置かれる。封止ステーション18は、矢印Cで示すように垂直方向に開け閉めされる封止プレート18a,18bを備える。封止プレート18a,18bは、加熱されて基底シート11をカバーシート16で封止することによって基底シート11の浅鉢状の窪み12を密封するように働く。
【0019】
封止ステーション18の下流、すなわち主搬送方向Hで封止ステーション18の後において、基底シート11と、中に入れた製品14と、カバーシート16とからなる帯状ブリスターシート30のための第1の駆動装置19が配置される。第1の駆動装置19は、帯状ブリスターシート30を把持するための把持器すなわちペンチ19aを含む。ペンチ19aは、図1で両方向の矢印Bで示すように、帯状ブリスターシート30の主搬送方向Hと平行に走る線形案内部19bに沿って、封止ステーション18側の開始位置から、図1では点線のみで示す終了位置へ、そして再び開始位置へとモータ駆動で移動させることが可能である。ペンチ19aが開始位置にて帯状ブリスターシート30を把持した後、ペンチ19aを終了位置へと移動させることによって帯状ブリスターシート30を主搬送方向Hで引き進める。ペンチ19aは終了位置にて帯状ブリスターシート30を解放し、それから開始位置へと戻るよう移動する。このように、帯状ブリスターシート30に、およびこれにより基底シート11にも断続的すなわちサイクル的な引き進め運動が与えられる。
【0020】
第1の駆動装置19が帯状ブリスターシート30および基底シート11を搬送する間に、封止プレート18aと18bとを互いから離すように移動させることにより、封止ステーション18をなす封止装置を開ける。第1の駆動装置19による帯状ブリスターシート30を引き進める運動が終了すると、封止プレート18a,18bを直ちに閉じることにより、カバーシート16は、封止ステーション18の内部にある部分で基底シート11に対して封止される。これと同時に、ペンチ19aはその開始位置へ戻るよう移動する。この期間中には、基底シート11は第1の駆動装置19を用いて搬送することはできない。図6aは、基底シート11が第1の駆動装置19のみによって詰込みステーション13の領域で動く理論的な様態を表わす行程/時間図を示す。時点t0にて、第1の駆動装置19は帯状ブリスターシート30を解放し、期間T1の間に開始位置へ戻るよう移動する。ペンチ19aはこの開始位置で帯状ブリスターシート30を再び把持する。上記期間T1の間、第1の駆動装置19によって帯状ブリスターシート30あるいは基底シート11が動くことは全くない。封止ステーション18が開くと直ちに、時点t1にて、第1の駆動装置19のペンチ19aを線形案内部19bに沿って移動させることによる帯状ブリスターシート30およびこれに伴い基底シート11の引き進めが始まり、時点t2にて終了位置に到達するまで継続される。その際、帯状ブリスターシート30および基底シート11は行程s2を進んでいる。この後再び、上記期間T1に対応する期間T3の間、第1の駆動装置19による帯状ブリスターシート30およびこれに伴い基底シート11の休止状態となる。
【0021】
第1の駆動装置19のみによる場合、基底シート11については、詰込みステーション13の領域において不所望の非連続的・サイクル的な搬送運動が生じることになる。これに鑑みて、詰込みステーション13と封止ステーション18との間には方向転換装置20の形をとる第2の駆動装置15が設けてある。第2の駆動装置15は、詰込みステーション13の領域で基底シート11に追加的な運動を引き起こし、第1の駆動装置19と第2の駆動装置15との各駆動運動は、詰込みステーション13において基底シート11が一定速度で搬送されるように重ね合わされる。
【0022】
図7〜9に従うと、方向転換装置20は、主搬送方向Hに対してほぼ垂直に走る水平方向のシャフト21を備える。シャフト21には、3つの方向転換板22が互いに対して軸方向に間隔をあけながら各々が回転可能に載置されている。方向転換板22の互いに対する間隔は変更可能となっており、これによって基底シート11の浅鉢状の窪み12が方向転換板22同士の間を通り抜けることが確実となっている。シャフト21は、背面壁28を垂直の長円形の孔27で貫通して、背面壁28について方向転換板22とは反対側で、伝動具26を介して、保持板31に装着されたサーボモータ25と接続されている。方向転換板22の上側は、ごく狭い隙間をあけて、ガイド要素を形成する覆い部24によって覆われる。さらに、シャフト21は、基礎板としての背面壁28の案内溝32の中で摺動可能に受けられる案内ブロック29と接続される。シャフト21と、ここに設置された方向転換板22と、覆い部24と、案内ブロック29とは、サーボモータ25を用いて垂直方向に上下に動かすことができ、その際案内ブロック29を案内溝32に係合させていることで案内が確実となっている。
【0023】
方向転換板22の側方にはそれぞれ凸型に湾曲したガイド板金23が設けられる。ガイド板金23は基礎板としての背面壁28に取付けられており、シャフト21あるいは方向転換板22とともに垂直方向に上下に動くことはない。
【0024】
図2に示すように、詰込みステーションから送られてきた基底シート11は、垂直方向に上方へ突き出るループを形成しながら方向転換装置20の中を通過する。基底シート11は詰込みステーションから水平方向の状態で方向転換装置20に到達し(図2の左)、その際、それぞれ1個の製品14が中に配置された浅鉢状の窪み12は上方に開いている。次に、基底シート11は、この基底シートのために設けられたガイド板金23の下にもぐり込む。板金23は、浅鉢状の窪み12を覆うことにより製品14がこぼれ落ちることを防ぐものである。基底シート11は垂直方向に上方に90°方向転換され、次に方向転換板22と覆い部24との間の隙間を通り抜け、こうしてループを形成しながら垂直方向に下方に180°方向転換される。この領域において、覆い部24によって製品14が浅鉢状の窪み12からこぼれ落ちることを防ぐ。この後、基底シート11は再び90°方向転換されて最初の水平方向の状態にされ、この領域において、もう1つのガイド板金23によって製品14がこぼれ落ちることを防ぐ。この水平方向の状態で次に基底シート11は封止ステーション18に到達する。
【0025】
封止ステーション18が閉じている間、方向転換板22を伴うシャフト21は、図2での下方の開始位置から図3での上方の終了位置へ移動させられる。こうして基底シート11に対し牽引力が加えられることになる。基底シート11は封止ステーション18の中で締着されているため、方向転換装置20から基底シート11に対して及ぼされる牽引力によって、詰込みステーション13の領域において基底シート11の搬送運動が生じる。図6bの行程/時間図に示すように、基底シート11でこの搬送運動を生じさせるのは期間T1、すなわち封止ステーション18が閉じている間である。期間T2にて、再び第1の駆動装置19によって帯状ブリスターシート30およびこれに伴い基底シート11の搬送運動が引き起こされると、方向転換装置20は直ちに再び下方の開始位置へと戻る。その際、図6bに従う図では期間T2における戻し搬送運動として示されるように、基底シート11のうちの過剰分が解放される。しかし、この戻し搬送運動によって基底シート11が主搬送方向Hに逆らって動くことはない。というのも、第1の駆動装置19の搬送速度が、この期間T2中に補償のための方向転換装置20を戻すことによって生じる基底シートの解放よりも大きいので基底シート11のうちの上記過剰分が補償され、結果として基底シート11には、詰込みステーション13の領域で主搬送方向Hの搬送運動が残るからである。
【0026】
図6cにおける行程/時間図から理解されるように、第1の駆動装置19と、第2の駆動装置15あるいは方向転換装置20との各運動は、詰込みステーション13の領域で基底シート11に一定速度の連続的な搬送運動が生じるように互いに合わせて調整され同期を取られる。上記一定速度は、期間T1においては第2の駆動装置15のみによって、そして期間T2においては駆動装置19と駆動装置15との各駆動運動の重なり合いによって決定される。
【0027】
以下に図2〜5を用いて、封止ステーション18および第1の駆動装置19についてのサイクルに関し、第2の駆動装置15による駆動も含めて説明を行なう。
【0028】
図2に従うと、時点t0にて、ペンチ19aはその終了位置にあり、方向転換装置20は下方の開始位置にある。封止ステーションが閉じ(矢印S)、これにより基底シート11が締着される。期間T1の間、第1の駆動装置19のペンチ19aはその開始位置へ戻るように移動し(矢印R)、方向転換装置20は垂直方向に上方に(矢印V1)移動することによって、詰込みステーションの領域で基底シート11に一定速度の搬送運動を生じさせる。図3に示す時点t1にて、方向転換装置20は上方の終了位置に達しており、その間に第1の駆動装置19のペンチ19aは封止ステーション18側の開始位置にあって帯状ブリスターシート30を把持している。次に、封止ステーション18が開き(矢印O)、第1の駆動装置19は、矢印Zで示すように、帯状ブリスターシート30およびこれに伴い基底シート11を主搬送方向Hで牽引する。これと同時に、方向転換装置20は下方へ移動する(矢印V2)。この第1の駆動装置19と方向転換装置20との各運動は異なった速度でのものであるため、結果として、詰込みステーションの領域で基底シート11に一定速度の搬送運動が残るようになっている。この一定速度は、期間T1の間、すなわち第2の駆動装置15のみによる速度に対応するものである。
【0029】
図4は、期間T2中の中間運動位置を示す。ここでは、第1の駆動装置19のペンチ19aはまだ前進運動(矢印Z)をしており、方向転換装置20はまだ下方への運動(矢印V2)をしている。
【0030】
図5は、期間T2の終わりの時点t2で当該サイクルが終わったところを示す。第1の駆動装置19のペンチ19aは終了位置に到達しており、方向転換装置20は下方の開始位置にある。時点t2(図5)にて新たなサイクルが始まるが、個々のステーションおよび構成要素は時点t0(図2)と同じ位置にあり、サイクルは上述の態様で再び最初から繰返されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明に従うブリスター包装機械における複数のステーションを示す概略図である。
【図2】ブリスター包装機械におけるいくつかのステーションがサイクルの始まりの状態にあるところを示す図である。
【図3】図2に示す各ステーションがサイクルの第1の中間状態にあるところを示す図である。
【図4】図2に示す各ステーションがサイクルの第2の中間状態にあるところを示す図である。
【図5】図2に示す各ステーションがサイクルの終わりの状態にあるところを示す図である。
【図6a】詰込みステーションの領域での基底シートの(理論的な)運動であって第1の駆動装置のみによるものを示す行程/時間図である。
【図6b】詰込みステーションの領域での基底シートの(理論的な)運動であって第2の駆動装置のみによるものを示す行程/時間図である。
【図6c】第1および第2の駆動装置によって得られた、詰込みステーションの領域での基底シートの実際の運動を示す図である。
【図7】方向転換装置の斜視図である。
【図8】方向転換装置を下方より示す斜視図である。
【図9】方向転換装置を後方より示す斜視図である。
【技術分野】
【0001】
この発明は、ブリスター包装機械であって、基底シートにある浅鉢状の窪みの中に製品を入れることのできる詰込みステーションと、その下流に配され、供給されるカバーシートで上記基底シートを封止して帯状ブリスターシートを形成することのできる封止ステーションとを備え、サイクル的に動作する上記封止ステーションには、サイクル的に動作し、上記基底シートおよび上記カバーシートを上記封止ステーションの中を通して非連続的に搬送することのできる第1の駆動装置が関連付けられる、ブリスター包装機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ブリスター包装機械は成形ステーションを備えている。成形ステーションにおいては、たとえばプラスチックまたはアルミニウムなどからなる基底シートに多数の浅鉢状の窪みが形成され、その下流に配した詰込みステーションにおいて各窪みの中に医薬錠剤などの製品が入れられる。基底シートは製品が入れられた後に封止ステーションに供給される。この封止ステーションのすぐ上流またはその中でカバーシートが供給され、基底シートの浅鉢状の窪みについての開いた側で基底シート上に置かれる。封止ステーション内の熱作用および圧力によって基底シートがカバーシートで密閉封止され、これにより製品が浅鉢状の窪みの中に封じ込められる。
【0003】
基底シートの浅鉢状の窪みの中に製品を正確に供給して入れる作業を確実なものとするためには、詰込みステーションを場所固定あるいは固定式に構成することと、基底シートを詰込みステーションの中で一定速度で均一に案内することとが望まれる。このため、その下流にある封止ステーションにおけるカバーシートでの封止動作もまた連続的なものとなる。封止工程においては、一般的に、加熱装置を用いて所望の指定温度へ調節可能な回転封止ローラが使用される。基底シートはカバーシートとともに一定の搬送速度で封止ステーションの中、すなわち封止ローラと対向するローラとの隙間を通って移送され、ここで熱が封止ローラからシートに伝達されてシート同士を結合する。封止ローラからシートの間の熱伝達は、シートの搬送速度に依存する。搬送速度が高い場合、封止ローラとシートとの接触時間が比較的短くなるため、シートの中に持込まれ得る熱の量はごく少なくなる。シートの中に持込まれる熱が少なすぎると、封止が不完全となって基底シートとカバーシートとの間に密封性が得られないという危険が生じる。一方、搬送速度が低い場合、封止ローラとシートとの接触時間は比較的長くなるため、シートの中に持込まれる熱の量が大きくなるが、これは比較的熱に敏感なカバーシートが損傷を受ける危険を伴う。この場合も、基底シートとカバーシートとの間に信頼のできる密封性が確保されない。
【0004】
上述の理由から、多くのユーザの間では、連続的に動作する封止ステーションでなく、サイクル的に動作し、開け閉めされる封止プレートを有する封止ステーションが望まれている。このような封止ステーションにおいては、シートへの熱伝達およびこれに伴い封止プロセスが、封止プレートの閉時間によって極めて正確に調節可能であり、このため全体的に封止の様態が極めて均一的なものとなる。公知のサイクル的動作の封止ステーションにおいては、帯状ブリスターシート(基底シートの中に製品を入れてカバーシートで封止したもの)は、封止ステーションの下流において、たとえばペンチ(Zange)の形をとるサイクル的に動作する駆動装置によって把持されて所定の分だけ引き進められ(vorziehen)、それからペンチを開けて帯状ブリスターシートに沿って搬送方向に逆らうように移動させ、帯状ブリスターシートを上流の部分で再び把持させる。このため、帯状ブリスターシートの搬送運動と休止状態とが常に交替することになる。基底シートもまたこの断続的な運動を経験するため、基底シートは詰込みステーションの中をサイクル的に牽引され
る。しかしながら、サイクル的な運転の際には詰込みステーションで障害が多く生じることがわかり、このためユーザからは、詰込みステーションについては連続的に動作するものが望まれている。
【0005】
このように、一方では連続的に動作する詰込みステーションと、他方ではサイクル的に動作する封止ステーションとに対する相反する要求を満たすことができるように、詰込みステーションを基底シートに沿って移動可能に構成することが試みられている。この場合、基底シートの休止時間中に詰込みステーションを基底シートに対して相対的に変位させる。しかしこのプロセスは構造的に極めて複雑なためコスト高となるのに加え、変位可能な詰込みステーションは極めて故障が多く、ブリスター包装機械の能力が大きく制約を受けることがわかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、サイクル的に動作する封止ステーションを備えた上述の類のブリスター包装機械であって、高性能の詰込みステーションが信頼できる態様で使用可能となったものを提供することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1に記載の特徴を備えた上述の類のブリスター包装機械において解決される。ここでは、上記詰込みステーションと上記封止ステーションとの間に、上記基底シートを非連続的に搬送することのできる、上記基底シート用の第2の駆動装置が配置され、上記第1の駆動装置と上記第2の駆動装置との各駆動運動が、固定式に構成された上記詰込みステーションにおいて上記基底シートが一定速度で搬送されるように重ね合わされることとする。
【0008】
この発明の根本概念は、封止ステーションについて設けられサイクル的に動作する第1の駆動装置による基底シートのサイクル的すなわち断続的な前進運動を、詰込みステーションと封止ステーションとの間で好ましくはカバーシートの供給よりも上流において第2の駆動装置から基底シートに作用を及ぼして非連続的な制御された搬送運動を上記基底シートに与えることによって補完するというものである。第1の駆動装置および第2の駆動装置による両方の駆動運動は、結果として詰込みステーション内またはその付近で生じる基底シートの運動が、一定の搬送速度で連続的に引き進められる運動となるように互いに対して調整される。こうすることで、製品を浅鉢状の窪みの中に詰込む工程を、それ自体公知の固定式詰込みステーションによって連続的に実行することに加えて、封止工程をサイクル的すなわち非連続的に実施することが可能となる。
【0009】
上記第2の駆動装置が基底シートに対して作用するのは特に、封止プロセス中、第1の駆動装置が基底シートの動きを引き起こさないときである。封止プレートが開くと、第1の駆動装置は直ちに帯状ブリスターシートおよびこれに伴い基底シートを先へ牽引する。これにより、基底シートを引き進める長さについて、少なくとも、封止プロセス中に第2の駆動装置が引き進めた分は補償(ausgleichen)される。
【0010】
この発明の好ましい実施例においては、上記第2の駆動装置は、基本位置と別の位置との間で変位可能な方向転換装置を含み、その変位によって、上記詰込みステーションにある上記基底シートに対して牽引力が及ぼされることとする。基底シートは上記方向転換装置のまわりをループ状に巡らされる。上記方向転換装置を変位させると、基底シートのループは大きくなる。その際、方向転換装置の変位は、基底シートの主搬送方向に対してほぼ垂直に行なわれることが好ましい。封止ステーションが閉じられて基底シートがその方すなわち方向転換装置の下流で締着され保持されているときに方向転換装置を変位させる
ことによって、方向転換装置を基本位置から別の位置に変位させるのに伴い、基底シートは方向転換装置の詰込みステーション側で引き進められる。
【0011】
特に、上記方向転換装置が上記別の位置から上記基本位置へ戻るように変位可能とすることができる。このように方向転換装置を基本位置へと戻るように変位させることによって基底シートのループは小さくなり、そして、これにより自由になる基底シートの長さは、封止ステーションについて設けられたサイクル的に動作する第1の駆動装置によって補償される。その際、これら各運動は、詰込みステーションにおいて基底シートが一定速度で搬送されるように互いに合わせて調整される。
【0012】
上記方向転換装置は、自らの長手方向に対して垂直に変位可能な方向転換ローラを含むこともあり得る。しかし実際にはこれには問題がある。この場合に基底シートの浅鉢状の窪みは方向転換ローラの側面上に置かれることになるからである。したがって、この発明の好ましい実施例では、上記方向転換装置は、互いに間隔をあけた複数の比較的薄い方向転換板が配置されたモータ駆動の変位可能シャフトを含むこととする。上記方向転換板同士の間隔は、基底シートにおけるそれぞれ2つの浅鉢状の窪みのちょうど間に上記方向転換板が配置される一方、方向転換装置の内部で方向転換板同士の間に浅鉢状の窪みがぶら下がるように選択される。
【0013】
異なるブリスターサイズおよびこれに伴い異なって配置される浅鉢状の窪みに合わせて上記方向転換装置を調節可能とするために、この発明の別の実施例においては、上記方向転換板は、その互いの間隔について上記シャフトに沿って変更可能とする。
【0014】
封止ステーションについて設けられた第1の駆動装置を用いて基底シートが方向転換装置の中を通って、そしてこれに伴い方向転換板上を牽引されるときに摩擦力が発生する場合がある。この摩擦力を減少させるためには、この発明の別の実施例において、上記方向転換板を上記シャフト上に回転可能に配置すればよい。
【0015】
一般的に、ブリスター包装機械において基底シートは、浅鉢状の窪みが上方へ向いて開いて、製品が上記浅鉢状の窪みの中に上方から入れられるように配置される。製品が中に入った基底シートが方向転換装置内でループ状に、好ましくは上方へ方向転換される際、個々の製品が浅鉢状の窪みからこぼれ落ちるという状況が生じ得る。これを確実に防止するために、別の実施例においては、上記方向転換装置は、基底シートが上記浅鉢状の窪みの開いた側で当たる複数のガイド要素、特にガイド壁を含むこととする。これにより、基底シートが方向転換装置の中をループ状に通過する間、浅鉢状の窪みは蓋をされることになり、こうして製品がこぼれ落ち得ることを確実に防止する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この発明についてのその他の詳細および特徴は、添付の図面を参照して以下の実施例の説明から明らかとなる。
【0017】
図1は、ブリスター包装機械10における複数のステーションを示す概略図である。図示しない成形ステーションにおいて従来の仕方で複数の浅鉢状の窪み12が中に形成される基底シート11は、基底シート11の主搬送方向を表わす矢印Hによって示すように、上記複数のステーションの中を順に通過する。まず基底シート11は固定の詰込みステーション13の中を通過する。詰込みステーション13においては、基底シート11の浅鉢状の窪み12の中に錠剤などの製品14がそれぞれ上方から入れられる。基底シート11は水平方向に走り、次に方向転換装置20に到達する。方向転換装置20においては、基底シート11は、上方へ突き出る波状のループの形で方向転換され、続いて再び水平方向の状態に戻される。方向転換装置20は、両方向の矢印Aで示すように高さについて垂直
方向に上下に変位可能であり、基底シート11についての第2の駆動装置15を構成する。
【0018】
方向転換装置20の下流において、封止ステーション18のすぐ上流でカバーシート16が基底シートに対して供給され、カバーシート16は方向転換ロール17を介して基底シート11の上側に置かれる。封止ステーション18は、矢印Cで示すように垂直方向に開け閉めされる封止プレート18a,18bを備える。封止プレート18a,18bは、加熱されて基底シート11をカバーシート16で封止することによって基底シート11の浅鉢状の窪み12を密封するように働く。
【0019】
封止ステーション18の下流、すなわち主搬送方向Hで封止ステーション18の後において、基底シート11と、中に入れた製品14と、カバーシート16とからなる帯状ブリスターシート30のための第1の駆動装置19が配置される。第1の駆動装置19は、帯状ブリスターシート30を把持するための把持器すなわちペンチ19aを含む。ペンチ19aは、図1で両方向の矢印Bで示すように、帯状ブリスターシート30の主搬送方向Hと平行に走る線形案内部19bに沿って、封止ステーション18側の開始位置から、図1では点線のみで示す終了位置へ、そして再び開始位置へとモータ駆動で移動させることが可能である。ペンチ19aが開始位置にて帯状ブリスターシート30を把持した後、ペンチ19aを終了位置へと移動させることによって帯状ブリスターシート30を主搬送方向Hで引き進める。ペンチ19aは終了位置にて帯状ブリスターシート30を解放し、それから開始位置へと戻るよう移動する。このように、帯状ブリスターシート30に、およびこれにより基底シート11にも断続的すなわちサイクル的な引き進め運動が与えられる。
【0020】
第1の駆動装置19が帯状ブリスターシート30および基底シート11を搬送する間に、封止プレート18aと18bとを互いから離すように移動させることにより、封止ステーション18をなす封止装置を開ける。第1の駆動装置19による帯状ブリスターシート30を引き進める運動が終了すると、封止プレート18a,18bを直ちに閉じることにより、カバーシート16は、封止ステーション18の内部にある部分で基底シート11に対して封止される。これと同時に、ペンチ19aはその開始位置へ戻るよう移動する。この期間中には、基底シート11は第1の駆動装置19を用いて搬送することはできない。図6aは、基底シート11が第1の駆動装置19のみによって詰込みステーション13の領域で動く理論的な様態を表わす行程/時間図を示す。時点t0にて、第1の駆動装置19は帯状ブリスターシート30を解放し、期間T1の間に開始位置へ戻るよう移動する。ペンチ19aはこの開始位置で帯状ブリスターシート30を再び把持する。上記期間T1の間、第1の駆動装置19によって帯状ブリスターシート30あるいは基底シート11が動くことは全くない。封止ステーション18が開くと直ちに、時点t1にて、第1の駆動装置19のペンチ19aを線形案内部19bに沿って移動させることによる帯状ブリスターシート30およびこれに伴い基底シート11の引き進めが始まり、時点t2にて終了位置に到達するまで継続される。その際、帯状ブリスターシート30および基底シート11は行程s2を進んでいる。この後再び、上記期間T1に対応する期間T3の間、第1の駆動装置19による帯状ブリスターシート30およびこれに伴い基底シート11の休止状態となる。
【0021】
第1の駆動装置19のみによる場合、基底シート11については、詰込みステーション13の領域において不所望の非連続的・サイクル的な搬送運動が生じることになる。これに鑑みて、詰込みステーション13と封止ステーション18との間には方向転換装置20の形をとる第2の駆動装置15が設けてある。第2の駆動装置15は、詰込みステーション13の領域で基底シート11に追加的な運動を引き起こし、第1の駆動装置19と第2の駆動装置15との各駆動運動は、詰込みステーション13において基底シート11が一定速度で搬送されるように重ね合わされる。
【0022】
図7〜9に従うと、方向転換装置20は、主搬送方向Hに対してほぼ垂直に走る水平方向のシャフト21を備える。シャフト21には、3つの方向転換板22が互いに対して軸方向に間隔をあけながら各々が回転可能に載置されている。方向転換板22の互いに対する間隔は変更可能となっており、これによって基底シート11の浅鉢状の窪み12が方向転換板22同士の間を通り抜けることが確実となっている。シャフト21は、背面壁28を垂直の長円形の孔27で貫通して、背面壁28について方向転換板22とは反対側で、伝動具26を介して、保持板31に装着されたサーボモータ25と接続されている。方向転換板22の上側は、ごく狭い隙間をあけて、ガイド要素を形成する覆い部24によって覆われる。さらに、シャフト21は、基礎板としての背面壁28の案内溝32の中で摺動可能に受けられる案内ブロック29と接続される。シャフト21と、ここに設置された方向転換板22と、覆い部24と、案内ブロック29とは、サーボモータ25を用いて垂直方向に上下に動かすことができ、その際案内ブロック29を案内溝32に係合させていることで案内が確実となっている。
【0023】
方向転換板22の側方にはそれぞれ凸型に湾曲したガイド板金23が設けられる。ガイド板金23は基礎板としての背面壁28に取付けられており、シャフト21あるいは方向転換板22とともに垂直方向に上下に動くことはない。
【0024】
図2に示すように、詰込みステーションから送られてきた基底シート11は、垂直方向に上方へ突き出るループを形成しながら方向転換装置20の中を通過する。基底シート11は詰込みステーションから水平方向の状態で方向転換装置20に到達し(図2の左)、その際、それぞれ1個の製品14が中に配置された浅鉢状の窪み12は上方に開いている。次に、基底シート11は、この基底シートのために設けられたガイド板金23の下にもぐり込む。板金23は、浅鉢状の窪み12を覆うことにより製品14がこぼれ落ちることを防ぐものである。基底シート11は垂直方向に上方に90°方向転換され、次に方向転換板22と覆い部24との間の隙間を通り抜け、こうしてループを形成しながら垂直方向に下方に180°方向転換される。この領域において、覆い部24によって製品14が浅鉢状の窪み12からこぼれ落ちることを防ぐ。この後、基底シート11は再び90°方向転換されて最初の水平方向の状態にされ、この領域において、もう1つのガイド板金23によって製品14がこぼれ落ちることを防ぐ。この水平方向の状態で次に基底シート11は封止ステーション18に到達する。
【0025】
封止ステーション18が閉じている間、方向転換板22を伴うシャフト21は、図2での下方の開始位置から図3での上方の終了位置へ移動させられる。こうして基底シート11に対し牽引力が加えられることになる。基底シート11は封止ステーション18の中で締着されているため、方向転換装置20から基底シート11に対して及ぼされる牽引力によって、詰込みステーション13の領域において基底シート11の搬送運動が生じる。図6bの行程/時間図に示すように、基底シート11でこの搬送運動を生じさせるのは期間T1、すなわち封止ステーション18が閉じている間である。期間T2にて、再び第1の駆動装置19によって帯状ブリスターシート30およびこれに伴い基底シート11の搬送運動が引き起こされると、方向転換装置20は直ちに再び下方の開始位置へと戻る。その際、図6bに従う図では期間T2における戻し搬送運動として示されるように、基底シート11のうちの過剰分が解放される。しかし、この戻し搬送運動によって基底シート11が主搬送方向Hに逆らって動くことはない。というのも、第1の駆動装置19の搬送速度が、この期間T2中に補償のための方向転換装置20を戻すことによって生じる基底シートの解放よりも大きいので基底シート11のうちの上記過剰分が補償され、結果として基底シート11には、詰込みステーション13の領域で主搬送方向Hの搬送運動が残るからである。
【0026】
図6cにおける行程/時間図から理解されるように、第1の駆動装置19と、第2の駆動装置15あるいは方向転換装置20との各運動は、詰込みステーション13の領域で基底シート11に一定速度の連続的な搬送運動が生じるように互いに合わせて調整され同期を取られる。上記一定速度は、期間T1においては第2の駆動装置15のみによって、そして期間T2においては駆動装置19と駆動装置15との各駆動運動の重なり合いによって決定される。
【0027】
以下に図2〜5を用いて、封止ステーション18および第1の駆動装置19についてのサイクルに関し、第2の駆動装置15による駆動も含めて説明を行なう。
【0028】
図2に従うと、時点t0にて、ペンチ19aはその終了位置にあり、方向転換装置20は下方の開始位置にある。封止ステーションが閉じ(矢印S)、これにより基底シート11が締着される。期間T1の間、第1の駆動装置19のペンチ19aはその開始位置へ戻るように移動し(矢印R)、方向転換装置20は垂直方向に上方に(矢印V1)移動することによって、詰込みステーションの領域で基底シート11に一定速度の搬送運動を生じさせる。図3に示す時点t1にて、方向転換装置20は上方の終了位置に達しており、その間に第1の駆動装置19のペンチ19aは封止ステーション18側の開始位置にあって帯状ブリスターシート30を把持している。次に、封止ステーション18が開き(矢印O)、第1の駆動装置19は、矢印Zで示すように、帯状ブリスターシート30およびこれに伴い基底シート11を主搬送方向Hで牽引する。これと同時に、方向転換装置20は下方へ移動する(矢印V2)。この第1の駆動装置19と方向転換装置20との各運動は異なった速度でのものであるため、結果として、詰込みステーションの領域で基底シート11に一定速度の搬送運動が残るようになっている。この一定速度は、期間T1の間、すなわち第2の駆動装置15のみによる速度に対応するものである。
【0029】
図4は、期間T2中の中間運動位置を示す。ここでは、第1の駆動装置19のペンチ19aはまだ前進運動(矢印Z)をしており、方向転換装置20はまだ下方への運動(矢印V2)をしている。
【0030】
図5は、期間T2の終わりの時点t2で当該サイクルが終わったところを示す。第1の駆動装置19のペンチ19aは終了位置に到達しており、方向転換装置20は下方の開始位置にある。時点t2(図5)にて新たなサイクルが始まるが、個々のステーションおよび構成要素は時点t0(図2)と同じ位置にあり、サイクルは上述の態様で再び最初から繰返されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明に従うブリスター包装機械における複数のステーションを示す概略図である。
【図2】ブリスター包装機械におけるいくつかのステーションがサイクルの始まりの状態にあるところを示す図である。
【図3】図2に示す各ステーションがサイクルの第1の中間状態にあるところを示す図である。
【図4】図2に示す各ステーションがサイクルの第2の中間状態にあるところを示す図である。
【図5】図2に示す各ステーションがサイクルの終わりの状態にあるところを示す図である。
【図6a】詰込みステーションの領域での基底シートの(理論的な)運動であって第1の駆動装置のみによるものを示す行程/時間図である。
【図6b】詰込みステーションの領域での基底シートの(理論的な)運動であって第2の駆動装置のみによるものを示す行程/時間図である。
【図6c】第1および第2の駆動装置によって得られた、詰込みステーションの領域での基底シートの実際の運動を示す図である。
【図7】方向転換装置の斜視図である。
【図8】方向転換装置を下方より示す斜視図である。
【図9】方向転換装置を後方より示す斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブリスター包装機械であって、基底シート(11)にある浅鉢状の窪み(12)の中に製品(14)を入れることのできる詰込みステーション(13)と、その下流に配され、供給されるカバーシート(16)で前記基底シート(11)を封止して帯状ブリスターシート(30)を形成することのできる封止ステーション(18)とを備え、サイクル的に動作する前記封止ステーション(18)には、サイクル的に動作し、前記基底シート(11)および前記カバーシート(16)を前記封止ステーション(18)の中を通して非連続的に搬送することのできる第1の駆動装置(19)が関連付けられる、ブリスター包装機械において、
前記詰込みステーション(13)と前記封止ステーション(18)との間に、前記基底シート(11)を非連続的に搬送することのできる、前記基底シート(11)用の第2の駆動装置(15)が配置され、前記第1の駆動装置(19)と前記第2の駆動装置(15)との各駆動運動が、固定式に構成された前記詰込みステーション(13)において前記基底シート(11)を一定速度で搬送できるように重ね合わされることを特徴とする、ブリスター包装機械。
【請求項2】
前記第2の駆動装置(15)が、基本位置と別の位置との間で変位可能な方向転換装置(20)を含み、その変位によって、前記詰込みステーション(13)にある前記基底シート(11)に対して牽引力を及ぼすことができることを特徴とする、請求項1に記載のブリスター包装機械。
【請求項3】
前記方向転換装置(20)が前記別の位置から前記基本位置へ戻るように変位可能であることを特徴とする、請求項2に記載のブリスター包装機械。
【請求項4】
前記方向転換装置(20)が、前記基底シート(11)の主搬送方向(H)に対してほぼ垂直に変位可能であることを特徴とする、請求項2または3に記載のブリスター包装機械。
【請求項5】
前記方向転換装置(20)が、互いに間隔をあけた複数の方向転換板(22)が配置されたモータ駆動の変位可能シャフト(21)を含むことを特徴とする、請求項2から4のいずれかに記載のブリスター包装機械。
【請求項6】
前記方向転換板(22)が、その互いの間隔について前記シャフト(21)に沿って変更可能であることを特徴とする、請求項5に記載のブリスター包装機械。
【請求項7】
前記方向転換板(22)が前記シャフト(21)上で回転可能に配置されることを特徴とする、請求項5または6に記載のブリスター包装機械。
【請求項8】
前記方向転換装置(20)は、前記基底シート(11)が前記浅鉢状の窪み(12)の開いた側で当たる複数のガイド要素(23,24)を含むことを特徴とする、請求項2から7のいずれかに記載のブリスター包装機械。
【請求項1】
ブリスター包装機械であって、基底シート(11)にある浅鉢状の窪み(12)の中に製品(14)を入れることのできる詰込みステーション(13)と、その下流に配され、供給されるカバーシート(16)で前記基底シート(11)を封止して帯状ブリスターシート(30)を形成することのできる封止ステーション(18)とを備え、サイクル的に動作する前記封止ステーション(18)には、サイクル的に動作し、前記基底シート(11)および前記カバーシート(16)を前記封止ステーション(18)の中を通して非連続的に搬送することのできる第1の駆動装置(19)が関連付けられる、ブリスター包装機械において、
前記詰込みステーション(13)と前記封止ステーション(18)との間に、前記基底シート(11)を非連続的に搬送することのできる、前記基底シート(11)用の第2の駆動装置(15)が配置され、前記第1の駆動装置(19)と前記第2の駆動装置(15)との各駆動運動が、固定式に構成された前記詰込みステーション(13)において前記基底シート(11)を一定速度で搬送できるように重ね合わされることを特徴とする、ブリスター包装機械。
【請求項2】
前記第2の駆動装置(15)が、基本位置と別の位置との間で変位可能な方向転換装置(20)を含み、その変位によって、前記詰込みステーション(13)にある前記基底シート(11)に対して牽引力を及ぼすことができることを特徴とする、請求項1に記載のブリスター包装機械。
【請求項3】
前記方向転換装置(20)が前記別の位置から前記基本位置へ戻るように変位可能であることを特徴とする、請求項2に記載のブリスター包装機械。
【請求項4】
前記方向転換装置(20)が、前記基底シート(11)の主搬送方向(H)に対してほぼ垂直に変位可能であることを特徴とする、請求項2または3に記載のブリスター包装機械。
【請求項5】
前記方向転換装置(20)が、互いに間隔をあけた複数の方向転換板(22)が配置されたモータ駆動の変位可能シャフト(21)を含むことを特徴とする、請求項2から4のいずれかに記載のブリスター包装機械。
【請求項6】
前記方向転換板(22)が、その互いの間隔について前記シャフト(21)に沿って変更可能であることを特徴とする、請求項5に記載のブリスター包装機械。
【請求項7】
前記方向転換板(22)が前記シャフト(21)上で回転可能に配置されることを特徴とする、請求項5または6に記載のブリスター包装機械。
【請求項8】
前記方向転換装置(20)は、前記基底シート(11)が前記浅鉢状の窪み(12)の開いた側で当たる複数のガイド要素(23,24)を含むことを特徴とする、請求項2から7のいずれかに記載のブリスター包装機械。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2007−512189(P2007−512189A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540290(P2006−540290)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【国際出願番号】PCT/EP2004/012971
【国際公開番号】WO2005/061330
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(598056456)イー・ベー・カー・フェルパックングステクニク・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (7)
【氏名又は名称原語表記】IWK VERPACKUNGSTECHNIK GMBH
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【国際出願番号】PCT/EP2004/012971
【国際公開番号】WO2005/061330
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(598056456)イー・ベー・カー・フェルパックングステクニク・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (7)
【氏名又は名称原語表記】IWK VERPACKUNGSTECHNIK GMBH
【Fターム(参考)】
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