説明

ブリストルを備えたボアスコーププラグ

【課題】ブリストルを備えたボアスコーププラグを提供すること。
【解決手段】一実施形態において、システムは、回転機械を含み、該回転機械が、ケーシング(40)と、ケーシング(40)を通って延在するシャフト(19)と、ケーシング(40)内部でシャフト(19)に結合された複数のブレード(44)とを有する。本システムはまた、ケーシング(40)内の開口(54)に配置されたプラグ(46)を含み、該プラグ(46)がベース(50)に結合されたフィラーを含み、該フィラーが、ブレード(44)と衝突で破断するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンエンジンに関し、より具体的にはボアスコーププラグに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガスタービンエンジンは、加圧空気及び燃料の混合気を燃焼させて、高温の燃焼ガスを生成する。燃焼ガスは、タービンを通って流れ、負荷及び/又は圧縮機のための出力を発生することができる。圧縮機は、一連の段を通って空気を加圧し、各段は中心シャフトの回りを回転する複数のブレードを有する。定期的な圧縮機保守は、ボアスコープを各圧縮機段に挿入して、圧縮機ブレード及び他の圧縮機構成部品を検査することを伴う場合がある。ボアスコープは、ガスタービンエンジンの運転中ではない期間中に、圧縮機の軸方向及び/又は円周方向に沿って位置付けられた検査ポートを通じて挿入することができる。ボアスコープが取り外されてガスタービンが使用中になった後に、加圧空気が検査ポートを通じて漏出するのを防ぐために、各ポートはプラグでシールすることができる。これらのプラグは、検査ポートの全長にわたって実質的に延在するフィラーを含むことができる。しかしながら、検査ポートの長さは、圧縮機の長手方向軸線に沿って変わる可能性がある。従って、より長い検査ポート用に構成されたフィラーが短い検査ポート内に配置された場合、フィラーが圧縮機内部に突き出ることがある。このような状況では、圧縮機ブレードがフィラーと接触する恐れがあり、場合によっては圧縮機ブレードに損傷を与える可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6474941号明細書
【発明の概要】
【0004】
最初に請求項に記載された本発明の範囲内にある一部の実施形態について以下で要約する。これらの実施形態は、特許請求した本発明の技術的範囲を限定することを意図するものではなく、むしろそれらの実施形態は、本発明の実施可能な形態の簡潔な概要を示すことのみを意図している。当然のことながら、本発明は、下記に説明した実施形態と同様のもの又は該実施形態と異なるものとすることができる様々な形態を含むことができる。
【0005】
第1の実施形態では、システムは、回転機械を含み、該回転機械が、ケーシングと、ケーシングを通って延在するシャフトと、ケーシング内部でシャフトに結合された複数のブレードとを有する。本システムはまた、ケーシング内の開口に配置されたプラグを含み、プラグがベースに結合されたフィラーを含み、該フィラーが、ブレードと衝突で破断するように構成されている。
【0006】
第2の実施形態において、システムは、回転機械の検査開口内に装着するよう構成されたプラグを含む。プラグは、装着ベースに結合された複数のブリストルを含み、ブリストルが、回転機械において少なくとも1つの回転ブレードとの衝突で破断するよう構成される。
【0007】
第3の実施形態において、システムは、第2の構成部品に対して移動可能な第1の構成部品を有する機械を含む。本システムはまた、第2の構成部品内の検査開口に配置された検査プラグを含み、該検査プラグは、ベースに結合された複数のファイバーを含み、該該バーが、第1の構成部品と衝突で破断するよう構成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の教示の特定の実施形態による、圧縮機の内部を検査するための監視システム及びボアスコープを有するタービンシステムのブロック図。
【図2】本技術の特定の実施形態による、図1に示すタービンシステムの切り欠き側面図。
【図3】本技術の特定の実施形態による、図2の線3−3で囲まれた圧縮機の切り欠き側面図。
【図4】本技術の特定の実施形態による、図3の線4−4に囲まれたボアスコーププラグの切り欠き側面図。
【図5】本技術の特定の実施形態による、図3の線4−4で囲まれ、検査ポートの端部を過ぎて延在するブリストルを有するボアスコーププラグの切り欠き側面図。
【図6】本技術の特定の実施形態による、図3の線4−4に囲まれ、検査ポートの長さよりも短いブリストルを有するボアスコーププラグの切り欠き側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のこれらの及びその他の特徴、態様並びに利点は、図面全体を通して同じ参照符号が同様の部分を表す添付図面を参照して以下の詳細な説明を読む時、より良好に理解されるようになるであろう。
【0010】
本発明の1以上の特定の実施形態について、以下に説明する。これら実施形態の簡潔な説明を行うために、本明細書では、実際の実施態様の全ての特徴については説明しないことにする。何れかの技術又は設計プロジェクトと同様に、このような何らかの実際の実装の開発において、システム及びビジネスに関連した制約への準拠など、実装毎に異なる可能性のある開発者の特定の目標を達成するために、多数の実装時固有の決定を行う必要がある点は理解されたい。更に、このような開発の取り組みは、複雑で時間を要する可能性があるが、本開示の利点を有する当業者にとっては、設計、製作、及び製造の日常的な業務である点を理解されたい。
【0011】
本発明の種々の実施形態の要素を導入する際に、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「said」は、要素の1以上が存在することを意味するものとする。用語「備える」、「含む」、及び「有する」は、包括的なものであり、記載した要素以外の付加的な要素が存在し得ることを意味する。
【0012】
本開示の実施形態は、圧縮機ブレードとの衝突で破断するよう構成されたフィラーを有するボアスコーププラグを利用することにより、圧縮機ブレードの損傷の可能性を実質的に低減又は排除することができる。この構成において、ボアスコーププラグが圧縮機ブレードの経路内に延在する場合、ブレードと接触するフィラーの部分が破断することができる。例えば、特定の実施形態において、ボアスコーププラグは、ある材料から構成されるブリストルを含み、該ブリストルは、圧縮機ブレードとの接触によりブリストルの一部を破断すると同時に、圧縮機ブレードへの損傷を実質的に低減又は排除するような厚み及び密度を有する。ブリストルの向きは、例えば、半径方向、円周方向、及び/又は軸方向に沿うことができる。更に、ブリストルは、他の場合には圧縮機内に圧力振動を誘起する可能性がある音響エネルギーを吸収する役割を果たすことができる。
【0013】
次に図面に移り、最初に図1を参照すると、ガスタービンシステム10の一実施形態のブロック図が示されている。ブロック図は、燃料ノズル12、供給燃料14、及び燃焼器16を含む。図示のように、供給燃料14は、液体燃料及び/又はガス燃料(天然ガスなど)を燃料ノズル12を通じて燃焼器16内に通す。燃焼器16は、燃料空気混合気を点火して燃焼させ、次いで、高温の加圧排気ガスをタービン18に送る。排気ガスは、タービン18内のタービンブレードを通過し、これによりタービン18を駆動して回転させる。タービン18内のブレードとシャフト19との結合によりシャフト19の回転が引き起こされることになり、該シャフト19はまた、図示のようにタービンシステム10全体にわたる複数の構成部品に結合される。最終的に、燃焼プロセスの排気は、排気出口20を介してタービンシステム10から出ることができる。
【0014】
タービンシステム10の一実施形態において、圧縮機ベーン又はブレードが圧縮機22の構成部品として含まれる。圧縮機22内のブレードは、シャフト19に結合することができ、シャフト19がタービン18により回転駆動されると回転することになる。圧縮機22は、吸気口24を介してタービンシステム10に空気を取り込むことができる。更に、シャフト19は、負荷26に結合することができ、該負荷は、シャフト19の回転によって駆動することができる。理解されるように、負荷26は、発電プラント又は外部の機械的負荷など、タービンシステム10の回転出力によって出力を発生することができる何れかの好適なデバイスとすることができる。例えば、負荷26は、発電機、航空機のプロペラ、その他を含むことができる。吸気口24は、燃料ノズル12を介して供給燃料14と空気30を後で混合するために、低温吸気口などの好適な機構を介してタービンシステム10内に空気30を引き込む。以下で詳細に説明するように、タービンシステム10により取り込まれる空気30が送給されて、圧縮機22内の回転ブレードにより加圧されて加圧空気にすることができる。次に、加圧空気は、矢印32で示すように燃料ノズル12に送給することができる。次いで、燃料ノズル12は、加圧空気と参照数字34で示す燃料とを混合し、燃焼のため、例えば、燃料を浪費せず又は過剰エミッションを生じないように、燃料をより完全に燃焼させる燃焼のための好適な混合比をもたらすことができる。
【0015】
特定の実施形態において、システム10は、圧縮機22の内部を検査するためのボアスコープ36及び監視システム38を含むことができる。例えば、ボアスコープ36は、硬性スコープ又はファイバスコープとすることができる。ボアスコープ36は、タービンシステム10が作動中でない期間中に圧縮機22の種々の部分(例えば、ポート)に挿入することができる。このようにして、圧縮機ブレード及び圧縮機22の他の構成部品を検査し、圧縮機22が適正に動作していることを確認することができる。ボアスコープ36は、監視システム38に光学的に結合することができる。監視システム38は、ボアスコープ36を介して圧縮機22の内部を照明する光源を含むことができる。加えて、監視システム38は、ボアスコープ36からの画像を監視、表示、及び/又は記録することが可能な光学センサを含むことができる。特定の実施形態において、ボアスコープ36は、圧縮機22の内部からの画像を監視システム38に中継するように構成された内側コアと、監視システム38からの光を圧縮機22に伝送するよう構成された外層とを含むことができる。この構成において、圧縮機22の内部を監視及び解析し、圧縮機22が設定パラメータの範囲内で確実に作動するようにすることができる。別の実施形態では、染料浸透アプリケータ、超音波プローブ、又は渦電流プローブなどの代替の圧縮機検査デバイスを利用して、圧縮機22の内部を検査することができる。
【0016】
ボアスコープ36又は他の圧縮機検査デバイスは、圧縮機22全体にわたって位置付けられた検査ポート又は開口を介して圧縮機22に挿入することができる。例えば、圧縮機22は、圧縮機段当たりに少なくとも1つの検査ポートを含むことができる。別の実施形態では、圧縮機22は、各圧縮機段の周囲に配置された複数の検査ポートを含むことができる。例えば、圧縮機22は、各圧縮機段に対して円周方向に間隔を置いて配置された1、2、3、4、5、6、7、8、又はそれ以上の検査ポートを含むことができる。別の実施形態では、圧縮機22は、各円周方向位置における各圧縮機段に対して下流側位置及び上流側位置両方に配置された検査ポートを含むことができる。この構成は、圧縮機ブレードの前縁及び後縁の両方の検査を可能にすることができる。
【0017】
圧縮機22の検査が完了すると、各検査ポートは、タービン作動中の加圧空気の漏出を阻止するようシールすることができる。特定の実施形態において、この検査ポートは、装着ベース及びフィラーを含むボアスコーププラグを用いてシールすることができる。ベースは、圧縮機22の外側ケーシングに固定するネジ部を含むことができる。特定の実施形態において、フィラーは、ベースから各検査ポートの全長に実質的に沿って延在する複数のブリストルを含むことができる。この構成において、過度に長いブリストルを有するボアスコーププラグが検査ポートに挿入された場合、ブリストルは、回転圧縮機ブレードに接触することで屈曲又は破断することができる。具体的には、ブリストルは薄型で、圧縮機ブレードよりも軟性の材料で構成することができるので、圧縮機ブレードは、ブレードに実質的に損傷を与えることなく接触範囲についてブリストルを剪断することができる。換言すると、ブリストルは、不適切な長さのボアスコープが検査ポート内に挿入された場合に、圧縮機が損傷を受けるのを防ぐことができる。更に、ブリストルは、他の場合では圧縮機22内の圧力振動を誘起する可能性がある音響エネルギーを減衰させる役割を果たすことができる。
【0018】
図2は、タービンシステム10の一実施形態の切り欠き側面図を示す。図示のように、本実施形態は、燃焼器26の環状アレイ(例えば、6、8、又は12個の燃焼器16)に結合された圧縮機22を含む。各燃焼器16は、少なくとも1つの燃料ノズル12(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上)を含み、燃料ノズルは、各燃焼器16内に配置された燃焼ゾーンに空気燃料混合気を送給する。燃焼器16内での空気燃料混合気の燃焼により、排気ガスが排気出口20に向かって通過すると、タービン18内のベーン又はブレードが回転するようになる。以下で詳細に検討するように、圧縮機22の特定の実施形態は、不適切な長さのボアスコーププラグが検査ポート内に挿入された場合に、圧縮機ブレードへの損傷の可能性を低減するための様々な固有の特徴部を含む。
【0019】
図3は、図2の線3−3で囲まれた圧縮機22の一部の詳細断面図を示している。空気は、軸方向41に沿って圧縮機22に流入する。次いで、1以上の圧縮機段を空気が通過する。圧縮機22は、例えば、1から25、5から20、10から20、又は14から18個の凝縮器段を含むことができる。各圧縮機段は、圧縮機22の回りに円周方向43で実質的に等間隔に配置されたベーン42及びブレード44を含む。ベーン42は、圧縮機22に堅固に装着され、ブレード44に向けて空気を配向するよう構成される。ブレード44は、シャフト19により回転駆動される。空気が各圧縮機段を通過すると、空気圧が増大し、これにより適正な燃焼のために十分な空気を燃焼器16に提供する。
【0020】
上述のように、圧縮機22は、タービンシステム10が作動していない間に圧縮機22内部を監視するために、ケーシング40内に配置された複数の検査ポートを含むことができる。タービンシステム10が使用中であるときにこれらのポートを通って空気が漏出するのを防ぐために、圧縮機22は、検査ポートをシールするよう構成された複数のボアスコーププラグ46を含むことができる。以下で詳細に検討するように、これらのボアスコーププラグ46の各々は、検査ポートの全長に実質的に沿って延在するブリストルを含むことができる。この構成は、他の場合では圧縮機22内の圧力振動を誘起する可能性がある音響エネルギーを吸収することができる。更に、ブリストルは、タービンブレード44を偶発的なブリストルとの接触から保護する役割を果たすことができる。具体的には、ブリストルは、タービンブレード44との衝突で屈曲又は破断するよう構成することができる。このようにして、タービンブレード44は、検査ポートに対して長すぎるブリストルを有するボアスコーププラグ46の偶発的な挿入から保護することができる。
【0021】
図4は、図3の線4−4に囲まれたボアスコーププラグ46の切り欠き側面図である。図示のように、ボアスコーププラグ46は、ヘッド48、シール50、及びブリストル52を含む。ボアスコーププラグ46は、圧縮機の動作中の加圧空気の漏出を阻止するよう検査ポート54内に位置付けられる。シール50は、検査ポート54の第1のアパーチャ55内に収まるように構成され、ブリストル52は、第2のアパーチャ56に沿って延在するように構成される。シール50の直径58は、第1のアパーチャ55の直径60と実質的に同様である。この構成では、タービンシステムの動作中に高圧空気が圧縮機22から漏出するのを阻止するために、密閉シールを形成することができる。特定の実施形態において、シール50はネジ部を含み、第1のアパーチャ55は、相補的なネジ溝(すなわち、嵌合ネジ)を含み、ボアスコーププラグ46をヘッド48の回転により圧縮機ケーシング40に固定することができるようになる。このような配置において、ヘッド48は、例えば、ボアスコーププラグ46をレンチで固定できるように、6角パターンを含むことができる。更に、第1のアパーチャ55の長さ62は、シール50の長さ63よりも大きくし、2つの構成部品間の適切な接触を可能にすることができる。
【0022】
第2のアパーチャ56の長さ66は、ブリストル52の長さ68と実質的に同様とすることができる。このような構成において、ブリストル52は、圧力振動が第2のアパーチャ56内に形成されるのを実質的に軽減又は阻止することができる。更に、ブリストル52は、第2のアパーチャ56の直径64内に収まるように配置することができる。以下で詳細に説明するように、ブリストル52が圧縮機ブレード44の経路内に延在する場合、ブリストル52の構成により、ブレード44がブリストル44を屈曲又は破断できるようになり、これによりブレードの損傷の可能性を低減することができる。反対に、ブリストル52の長さが第2のアパーチャ56の長さ66よりも短い場合、ブリストル52は、音響エネルギーを吸収し、圧縮機22内の圧力振動を制限することができる。
【0023】
図示のように、ブリストル52は、シール50のネジ軸線69に実質的に平行に向けられる。代替の実施形態は、ネジ軸線69に実質的に垂直な方向(例えば、軸方向41又は円周方向43)に向けられたブリストルを含むことができる。他の実施形態は、半径方向45、軸方向41及び/又は円周方向43に向かってネジ軸線69に対し約1°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、又はそれ以上よりも大きい角度をなすブリストル52を含むことができる。別の実施形態は、上記の方向の組み合わせに向けられたブリストル52を含むことができる。例えば、特定の実施形態は、ネジ軸線69に実質的に平行(例えば、半径方向45)に向けたブリストルの第1のセットと、該ブリストルの第1のセットに対して軸方向41及び/又は円周方向43に向かって約0°から90°、20°から70°、30°から60°、又は約45°に向けたブリストルの第2のセットとを含むことができる。特定の実施形態において、ブリストル52は、ランダムな向きに配列することができる(例えば、スチールウール、ミネラルウール、チョップドストランドマット、その他)。他の実施形態は、織り合わせメッシュ構成で配列されたブリストル52を含むことができる。更に別の実施形態は、樹脂と共に接合されて複合構造体を形成するブリストル52を含むことができる。
【0024】
代替の実施形態は、ブリストル52の代わりに、金属発泡フィラーを利用してもよい。金属発泡体は、複数のガス充填細孔を有する固体金属構造である。細孔の密度及びサイズは、圧力振動が検査ポート54内で形成されるのを実質的に低減又は阻止し、且つ接触が生じた場合に圧縮機ブレードの損傷を実質的に低減又は阻止する構造を提供するよう特に構成することができる。別の実施形態において、フィラーは、バインダー中に懸濁された金属粒子などの摩耗性又は脆弱性材料から構成することができる。脆弱材料は、加圧下で変形させるのではなく、破片に断片化される傾向がある。従って、圧縮機ブレード44が脆弱性材料に衝突する場合、衝突力によって金属粒子が衝突点にてバインダーから分離されるようにすることができる。従って、圧縮機ブレード44と接触したフィラーの部分をフィラーの残りの部分から破断させ、金属粒子に分解することができる。
【0025】
図示のように、検査ポート54及びボアスコーププラグ46は、実質的に半径方向45に向けられる。代替の実施形態では、検査ポート54は、円周方向43及び/又は軸方向41に向けて回転させることができる。例えば、検査ポート54は、圧縮機ブレード44の回転方向から離れる円周方向43に向けて回転させることができる。換言すると、プラグ46の軸線は、シャフト19の回転軸線に向かって配向されるが、該回転軸線からオフセットすることができる。この構成により、圧縮機ブレード44に接触することでブリストル52の変形及び/又は破断を増強することができる。例えば、検査ポート54は、円周方向43に向かって軸方向41の回りに少なくとも1°、2°、5°、8°、10°、15°、20°、30°、45°、又はそれ以上で回転することができる。
【0026】
ブリストル52は、様々な材料から構成することができる。例えば、特定の実施形態において、ブリストル52は、幾つかの金属及び合金の中で特に、スチール、アルミニウム、銅、チタン、又はタングステンなどの金属から構成することができる。代替の実施形態では、ブリストル52は、とりわけ、アルミニウム、シリコン、及び/又はホウ素の酸化物を含有するセラミックファイバーから構成することができる。別の実施形態は、ガラス及び/又は炭素ファイバーから構成されるブリストル52を含むことができる。更に別の実施形態は、タングステンカーバイドなどのサーメットから構成することができる。他の実施形態は、例えば、パラアラミド(例えば、DuPontから入手可能なKevlar(登録商標))、メタアラミド(例えば、DuPontから入手可能なNomex(登録商標))、アクリル、又はポリエチレンなど、プラスチック/合成ファイバーから構成されるブリストル52を含むことができる。
【0027】
ブリストル52の組成は、構成ファイバーの材料特性に基づいて選択することができる。具体的には、ブリストル52は、その溶融温度が圧縮機作動中にブリストル52の受ける可能性がある最大空気温度よりも高いように選択することができる。例えば、空気が圧縮機22内で加圧されると空気温度が上昇する。従って、圧縮機22の後方の段内の温度は、それよりも前方の段の温度よりも高くなることができる。特定の実施形態において、圧縮機温度は、例えば、約100から1200度、100から900度、又は200から800度にわたることができる。結果として、ブリストル52は、最大予測曝露温度に基づいて選択することができる。特定の実施形態において、ブリストル材料は、圧縮機段に基づいて変えることができる。例えば、より前方の圧縮機段は、より低温の溶融点を有するファイバーを利用することができ、より後方の圧縮機段はより高温の溶融点を有するファイバーを利用する。従って、ブリストル52は、構成ファイバーの溶融温度及び圧縮機22内のブリストル52の位置に基づいて選択することができる。しかしながら、低い溶融点のファイバーを有するボアスコーププラグ52を、ファイバー溶融点よりも高い温度の後方圧縮機段に偶発的に挿入することによるブリストル損傷を防ぐために、全てのブリストル52は、ファイバーの溶融点が最大圧縮機温度よりも高いように選択してもよい。
【0028】
ブリストル52の密度及び厚みはまた、特定の実施形態において変えることができる。例えば、各ブリストル52は、約1から15、2から10、又は4から6ミル厚みにすることができる。特定の実施形態において、各ブリストル52は、例えば、約1、2、3、4、5、6、8、10、12、又は15ミル厚み未満とすることができる。加えて、ブリストルの密度は、約10から2500、100から1500、200から1000、又は300から500ブリストル/平方インチとすることができる。特定の実施形態において、ブリストル密度は、約10、25、50、100、150、300、500、800、1000、1200、1500、2000、又は2500ブリストル/平方インチ未満とすることができる。このような実施形態では、ブリストル52の分布は均一ではない場合がある。例えば、ブリストル52は、シール50にわたって複数の束毎にグループ化することができる。ブリストル厚み及び密度は、ブリストルの組成に直接関係することができる。例えば、より薄くより低密度の構成は、より硬質の材料(例えば、金属又はセラミックファイバー)を利用することができ、より厚く高密度の構成は、より軟質の材料(例えば、プラスチック又は合成ファイバー)を利用することができる。このような構成は、ブリストル52との偶発的な接触に起因する損傷から圧縮機ブレード44を保護する役割を果たすことができる。加えて、以下で検討するように、ブリストル厚み及び密度は、圧縮機22内の圧力振動を実質的に低減又は排除するよう選択することができる。
【0029】
ブリストル52は、圧縮機22内の圧力振動の形成を制限する役割を果たすことができる。具体的には、空気が圧縮機22を通って流れると、空気は第2のアパーチャ56に流入することができる。第2のアパーチャ56は、望ましくない圧縮機ブレード振動を引き起こす可能性がある圧力振動を含む、音響共振器として働く場合がある。ブリストル52は、第2のアパーチャ56に入る空気流を阻止し、これにより共振を軽減し、圧力振動の大きさを低減することができる。加えて、圧力振動は、第2のアパーチャ56と圧縮機22内部との間の相互作用による渦流励振により誘起される可能性がある。ブリストル52は、渦流励振及び結果として生じる圧力振動が低減されるようにこれらの渦流を生成する空気流パターンと相互作用することができる。最後に、ブリストル52は、ブリストル52間の第2のアパーチャ56に流入する空気から音響エネルギーを吸収し、これにより圧縮機22内の圧力振動を更に低減する役割を果たすことができる。圧力振動の低減は、圧縮機ブレード振動の低減による圧縮機効率を向上させることができる。
【0030】
図5は、図3の線4−4で囲まれたボアスコーププラグ46の切り欠き側面図であり、ここではブリストル52は、圧縮機ブレード44の回転経路内に延在する。例えば、長さ70のブリストル52を有するボアスコーププラグ46が、長さ66の第2のアパーチャ56を有する検査ポート54内に挿入される場合、ブリストル52は、第2のアパーチャ56の内側半径方向範囲を過ぎて延在する可能性がある。このような配置は、長さ70の第2のアパーチャ56内に収まるように構成されたボアスコーププラグ46を長さ66の第2のアパーチャ56に偶発的に挿入することから生じる場合がある。このような状況では、ブリストル52が変形及び/又は破断し、圧縮機ブレード44に対する損傷の可能性が実質的に軽減又は排除されるように構成することができる。例えば、上述のように、ブリストル52の組成、厚み、及び/又は密度により、圧縮機ブレード44の経路内に延在するブリストル52の一部が圧縮機ブレード44に接触することで破断可能にすることができる。或いは、圧縮機ブレード44とブリストル52との接触により、ブリストル52が一時的に又は恒久的に変形し、ブレード44への損傷の可能性が実質的に軽減又は排除されるようにすることができる。
【0031】
図6は、図3の線4−4に囲まれたボアスコーププラグ46の切り欠き側面図であり、ここではブリストル52は、第2のアパーチャ56の半径方向全体の範囲に沿って延在してはいない。例えば、長さ72のブリストル52を有するボアスコーププラグ46が、長さ66の第2のアパーチャ56を有する検査ポート54内に挿入される場合、ブリストル52は、第2のアパーチャ56の半径方向全体の範囲に沿って延在することができない可能性がある。このような配置は、長さ72の第2のアパーチャ56内に収まるように構成されたボアスコーププラグ46を長さ66の第2のアパーチャ56内に偶発的に挿入することにより生じる可能性がある。このような状況では、第2のアパーチャ56の一部は、圧縮機22を通って流れる空気の経路に沿ってキャビティを形成することができる。しかしながら、このようなキャビティは、圧縮機22内の圧力振動にはあまり寄与しない可能性がある。具体的には、実験により、直径の何分の1かよりも小さいキャビティ深さは、圧縮機22内の圧力振動を確立することができないことが明らかになった。例えば、キャビティ深さが第2のアパーチャ56の直径64の約10%、25%、50%、75%、又は100%未満である場合、圧力振動は形成することができない。加えて、上述のように、ブリストル52は、音響エネルギーを吸収することができ、その結果、圧力振動が実質的に軽減又は排除されるようになる。例えば、空気がブリストル52間のスペースに入ると、ブリストル52は、音響エネルギーを減衰させ、圧力振動を軽減することができる。
【0032】
理解されるように、ボアスコーププラグ46は、代替の実施形態において他の機械構成用に利用することができる。例えば、上述の圧縮機22に加えて、本構成のボアスコーププラグ46は、タービン18などの他のタイプの回転機械で利用することができる。加えて、ブリストル52を備えたボアスコーププラグ46は、回転部分がプラグ46と接触する可能性があるあらゆる回転機械に利用することができ、これにより回転部分に対する損傷の可能性が実質的に軽減又は排除されるようになる。加えて、このプラグ設計は、検査ポート54に加えて、回転機械内の他のタイプの開口をシールするのに利用することができる。
【0033】
更に、ブリストル52を備えたボアスコーププラグ46は、線形的可動部品を有する機械に利用してもよい。例えば、線形的機械の表面内の検査ポート又は他のポートが、ブリストル52を有するプラグ46内でシールされる場合、プラグ46と接触した場合の機械内の可動部品に対する損傷の可能性を実質的に軽減又は排除することができる。例えば、線形機械のシリンダ内でピストンが移動し、ボアスコーププラグ46がピストンの経路内に延在する場合、ピストンがブリストル52と接触し、これによりブリストルを破断及び/又は変形させることができる。この構成は、ピストンへの損傷の可能性を実質的に軽減又は排除することができる。同様に、ブリストル52を備えたボアスコーププラグ46は、他の構成(線形、回転、その他)で利用し、可動部品がボアスコーププラグ46と接触する場合に可動部品への損傷の可能性を低減することができる。
【0034】
本明細書は、最良の形態を含む実施例を用いて本発明を開示し、更に、あらゆる当業者があらゆるデバイス又はシステムを実施及び利用すること並びにあらゆる包含の方法を実施することを含む本発明を実施することを可能にする。本発明の特許保護される範囲は、請求項によって定義され、当業者であれば想起される他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、請求項の文言と差違のない構造要素を有する場合、或いは、請求項の文言と僅かな差違を有する均等な構造要素を含む場合には、本発明の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0035】
10 ガスタービンシステム
12 燃料ノズル
14 供給燃料
16 燃焼器
18 タービン
19 シャフト
20 排気出口
22 圧縮機
24 吸気口
26 負荷
30 空気
32 加圧空気
34 燃料空気混合気
36 ボアスコープ
38 監視システム
40 圧縮機ケーシング
41 軸方向
42 ベーン
43 円周方向
44 ブレード
45 半径方向
46 ボアスコーププラグ
48 ボアスコーププラグヘッド
50 ボアスコーププラグシール
52 ボアスコーププラグブリストル
54 検査ポート
55 第1のアパーチャ
56 第2のアパーチャ
58 シールの直径
60 第1のアパーチャの直径
62 第1のアパーチャの長さ
63 シールの長さ
64 第2のアパーチャの直径
66 第2のアパーチャの長さ
68 ブリストルの長さ
69 ネジ軸線
70 ブリストルの長さ
72 ブリストルの長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング(40)と、
前記ケーシング(40)を通って延在するシャフト(19)と、
前記ケーシング(40)内部で前記シャフト(19)に結合された複数のブレード(44)と、
前記ケーシング(40)内の開口(54)に配置されたプラグ(46)と
を含む回転機械を備えるシステムであって、
前記プラグ(46)がベース(50)に結合されたフィラーを含み、該フィラーが、前記複数のブレード(44)の少なくとも1つと衝突して破断するように構成されている、システム。
【請求項2】
前記フィラーが複数のブリストル(52)を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記複数のブリストル(52)が、約15ミル未満の直径と、約2500ブリストル/平方インチ未満のパッキング密度とを有する、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記複数のブリストル(52)が、前記シャフト(19)の回転軸線に対して略半径方向(45)で前記開口(54)に沿って配列される、請求項2又は請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記複数のブリストル(52)が、金属、セラミック、サーメット、プラスチック、又はこれらの組み合わせを含む、請求項2乃至請求項4のいずれか1項記載のシステム。
【請求項6】
前記開口(54)が、前記シャフト(19)の回転軸線に向かって配向されるが前記シャフト(19)の回転軸線からオフセットされている、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のシステム。
【請求項7】
前記フィラーが、前記シャフト(19)の回転軸線に対して半径方向(45)、軸方向(41)、円周方向(43)、又はこれらの組み合わせの方向で複数のファイバー(52)を含む、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載のシステム。
【請求項8】
前記回転機械が、前記複数のブレード(44)を有する、圧縮機(22)、タービン(18)、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載のシステム。
【請求項9】
検査デバイス(36)を前記回転機械に挿入することにより前記複数のブレード(44)を検査できるようにするために、前記プラグ(46)が取り外し可能である、請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載のシステム。
【請求項10】
回転機械の検査開口(54)内に装着するよう構成されたプラグ(46)を備え、前記プラグ(46)が、装着ベース(50)に結合された複数のブリストル(52)を含み、前記ブリストル(52)が、前記回転機械において少なくとも1つの回転ブレード(44)との衝突で破断するよう構成された、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−261443(P2010−261443A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100459(P2010−100459)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】