説明

ブリーフ

【課題】 快適・衛生的なブリーフを提供する。
【解決手段】 臀部・腹部の腰領域にフィットする腰部プロテクターを含み、筒状構造を具えた編物片を有し、筒部は外腰筒部と内腰筒部からなり、両筒部は編物の上部でウエストバンドにより、また、下部ではユニオンでそれぞれ結合され、両筒部間には空房が存在し、編物は両筒部が股下でユニオンから延在して着用者の脚を通す2個のレッグホールを有したブリーフを形成し、外腰筒部は腰部プロテクターの外層を構成してかつ着用者の身体に3次元方向に合う弾性を有し、内腰筒部は腰部プロテクター内層を構成し熱的保護と断熱を行うことを要旨とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は1対のブリーフに関して着用者の腹部や臀部に適用されて腰部保護を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
腰部プロテクターは背中、特に腰椎骨を保護するために採用されるものである。着用者としてはスポーツマンや腰痛、特に疝気の処置を必要とする者がいる。他の疾病と同様に、疝気は顕著な痛みを生じるものであり、当該領域に熱を加えるシステムにより緩和される。該システムとしてはマッサージ、電流、レーザー、赤外線などが挙げられる。
【0003】
前記熱を連続的に発生すべく、保護コルセットがあり、当該領域を抱包して温めまた押圧し、これにより苦痛を低減する温度を達成する一方、着用者に支持を提供する。これらのコルセットは着用者の肌と接触して熱を運び低温の周囲に起因する冷却を防止する。この効果は「熱バリアー」として知られている。
【0004】
しかしこの目的に採用されるこれらのコルセットには顕著な欠点がある。処置すべき領域から移動したり、着用者に不快な巻上げ状態となる。また天然・合成繊維の混合から構成されているので汗をかくことが多い。この汗を布が吸収せず、快適さが欠け、肌がアレルギーを起こす。
【0005】
天然繊維の場合には、この汗が一般に着用物により吸収されるが、皮膚中や布中の細菌や微生物の故に悪臭を発する。この故に衛生を正しく保つのが困難であり、洗濯しなければならない。さらに、着用者がコルセットや布を着用しているときに、皮膚を完全にカバーしてしまい外気が入る隙間などがなくて、部分的に冷却が起きて好ましくない。
【0006】
実用新案U9600307号には腰部プロテクターが開示されており、アンダーパンツが組み込まれている。弾性材料からなる閉じたバンドが従来の1対のアンダーパンツの上部に縫合されており、腰部をカバーするようになっている。一体をなしているので着用も洗濯も容易である。しかしアンダーパンツの上部および縦の縫目が弾性バンドの効果により肌に貼りついて不快となる。これらの縫目はあまり弾性に富んだ糸で構成されているので、縫目を縫うときに布が重なる部分で厚くなる。
【特許文献1】実用新案U9600307号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明の目的はより快適で、衛生的なブリーフを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のブリーフは男子用のアンダーパンツとしても女子用のパンティーとしても設計できるものであり、必要に応じてズボンを付けて着用者の脚を全体または一部カバーするようにすることもできる。
【0009】
この発明のブリーフは筒状構造を有した編物片を有しており、編物の縫合により種々の領域や部分が画定される。編物片の各領域や部分間の縫目もなしに効果的な構造を形成できるのである。
【0010】
前記編物片は腰部保護部分を含んでおり、該保護部分は外側筒状部分と内側筒状部分とから形成されている。両筒状部分は上部において補強部分を介して、下部において糸の転移により結合されている。
【0011】
内外の筒状部分の間には隙間のある空房があり熱バリアーとして機能する。腰部プロテクターの編物は内外部分において着用者の腰にフィットすべく延在しており、ブリーフ形状の筒状部分において着用者の脚のための2個の開口が形成されている。これらのブリーフは種々の長さのズボンに延在してもよく、股下の縫目により結合されている。上端の外側筒状部分は高度な2方向弾性を有しており、着用者の身体に3次元的にフィットできる。
【0012】
内側筒状部分は腰部プロテクターの内層にフィットするもので、着用時には着用者の身体に接触する。この部分では空房が腰部プロテクターの内外の筒状部分間にあって熱バリアーとして機能して、保護と断熱とを提供する。腰部プロテクターの内側部分は抗菌性、抗静電気性、抗臭性を具えた編物を含んでいる。この目的から銀イオンを具えた繊維が使用されている。
【0013】
腰部プロテクターの外側部分は編物を含んでおり、該編物はポリアミドカバーの弾性糸と綿糸と補助的な弾性糸を有している。これらの弾性糸により編物は縦横2方向の弾性を帯び、腰部プロテクターはコルセットよりも低圧力で着用者の身体にフィットする。さらに糸の配置において綿糸が内側の空房とは反対の外側に位置し、弾性糸は内側に位置して着用者の身体には接触しないのでアレルギーの危険がない。
【0014】
腰部プロテクターが着用者の身体にフィットして押圧するので体温を保持でき身体もより多く引き締まる。
【0015】
筒状部分は腹部と臀部の形状にぴったりとフィットして身体の輪郭に沿うものとなり、隙間や空間がないので外気が身体に達するのを防止できる。
【0016】
腰部プロテクターの内外部分の結合部分は縫目なしなので着用者の運動による巻上りがない。結合領域は腰部プロテクターの延在部分なので縫目が必要ない。
【0017】
腰部プロテクターの内腰筒部は綿糸と銀イオンと弾性糸からなる編物である。着用者の身体にフィットするために補助的な弾性糸を加えることもできる。
【0018】
編物または内腰筒部における糸の配置によりイオンを帯びた綿糸が空房とは反対側に位置して腰部プロテクターの内層を構成して着用者の身体に接触する。一方弾性糸は内層中において内外筒状部分により画定される空房に隣接して位置して、着用者の身体には接触しないのでアレルギーの危険もない。
【0019】
銀は細菌およびその他の微生物の成長を抑制素子として知られている。故にこれを用いると着用者の身体と接触する腰部プロテクターの部分における汗の滞留が悪臭の源となったり皮膚の炎症を発生することもない。さらに銀は抗静電気効果があり着用者に快適な着用感を与える。
【0020】
ブリーフの下部は弾性糸や綿糸やその他の糸などからなる編物を含んでいる。
【0021】
この発明の編物片は、均一性の故に皮膚を傷つけることもないので、糖尿病や血友病患者に推奨できるものである。
【発明の効果】
【0022】
摩擦や皮膚の炎症を引き起こすことのある衣類の腰部における全ての縫目、厚さまたは出っ張りを除いた故に、いくつかの布片からなる場合には改善となる。これには「シームレス」として知られた技術が使われており、治療的な目的でも有利である。
【実施例】
【0023】
この発明のブリーフは筒状の構造を具えた単一の編物片を有しており、シームレスとして知られている丸編機により製造されるものである。
【0024】
この編物片は外腰筒部13と連続丸編状の内腰筒部15とを有している。外腰筒部13と内腰筒部15とは上端において伸張可能な強化編物製のウエストバンド14により結合されている。外腰筒部13と内腰筒部15との間には腰部バリアとして機能する空房が形成されている。
【0025】
これらの外腰筒部13と内腰筒部15とは丸編機で形成されるユニオン16より結合されている。腰部プロテクターは下部においてブリーフまたはパンティー状の股下11に連なっており、該股下は着用者の脚を挿入する2個のレッグホール12を有している。該レッグホールには種々の長さのズボンなどを縫合連結して着用者の腿などをカバーしてもよい。
【0026】
前記股下(11)は好ましくは図4に示すような編物からなり、該編物は2本の糸から構成されている。一方はポリアミドでカバーされた弾性糸2(Lycra(登録商標))であり、他方は綿糸3または他の天然繊維からなる糸である。
【0027】
図5に示す外腰筒部13は腰部プロテクターの外側を構成するものであり、弾性糸2と綿糸3とからなり、さらに補助的な弾性糸4を含んでいる。この内綿糸3は腰部プロテクターの外層を構成し、弾性糸(2、4)は内層を構成していて、空房17に対面して着用者の身体には接触しない。
【0028】
図6に示すのは腰部プロテクターの上部またはウエストバンド14であって、編物密度が高く、弾性糸2、綿糸3および弾性糸4を含んでいる。該弾性糸4は横方向の補強をするとともに、巻き上がりを避けるべく追加の圧力を提供するものである。
【0029】
外腰筒部13と同様にウエストバンド14においては綿糸3が外層に、弾性糸2、4は空房17近くで内層にある。これにより着用者の身体との接触が防止される。
【0030】
図7に示すのは内腰筒部15の内面であり、銀イオンを帯びた綿糸5と弾性糸2と補助的な弾性糸4からなる編物である。弾性糸4は追加的な圧力と弾性とを提供して、着用者の身体に合わせて縦横に調節する。銀イオンを帯びた綿糸5は外層にあり、腰部プロテクターの内層を構成するとともに、着用者の身体に接触する。弾性糸2、4は内層にあって、空房17に隣接している。
【0031】
この発明のブリーフは上記に限定されるものではなく、材料やサイズやデザインなどの点で種々の変更を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
この発明は衣料産業の分野において広く応用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明のブリーフの一実施例の前面図である。
【図2】同じく第2の実施例の前面図である。
【図3】同じく第3の実施例の前面図である。
【図4】股下の編物組織を示す図である。
【図5】外腰筒部の編物組織を示す図である。
【図6】ウエストバンドの編物組織を示す図である。
【図7】内腰筒部の編物組織を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
2、4: 弾性糸
3、5: 綿糸
11 : 股下
12 : レッグホール
13 : 外腰筒部
14 : ウエストバンド
15 : 内腰筒部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
臀部および腹部の腰領域に適用される腰部プロテクターを含み、筒状構造を具えた編物片を有しており、該筒部は外腰筒部(13)と内腰筒部(15)からなり、両筒部は編物上部ではウエストバンド(14)により、また、下部ではユニオン(16)によりそれぞれ結合され、両筒部(13、15)間には空房(17)が存在し、腰部プロテクターの編物は両筒部(13、15)が股下(11)においてユニオン(16)から延在してブリーフを形成し、該ブリーフは着用者の脚を通す2個のレッグホール(12)を有しており、外腰筒部(13)は腰部プロテクターの外層を構成してかつ着用者の身体に3次元方向に合わせる弾性を有しており、内腰筒部(15)は腰部プロテクターの内層を構成して熱的保護と断熱を行うことを特徴とする腰部プロテクターを具えたブリーフ。
【請求項2】
腰部プロテクターの内層を構成する内腰筒部(15)の組織が抗菌、熱力学的および抗臭性を具えた繊維を含んでいることを特徴とする請求項1に記載のブリーフ。
【請求項3】
前記股下(11)が編物から構成されており、該編物が弾性糸(2)と綿糸(3)または他の繊維からなる糸を含んでいることを特徴とする請求項1に記載のブリーフ。
【請求項4】
外腰筒部(13)が編物から構成されており、該編物が弾性糸(2)と綿糸(3)と補助的な弾性糸(4)を含んでいることを特徴とする請求項1に記載のブリーフ。
【請求項5】
外腰筒部(13)中において綿糸(3)が編物の外側に位置し、弾性糸(2、4)が編物の内側で空房(17)に隣接して位置していることを特徴とする請求項4に記載のブリーフ。
【請求項6】
ウエストバンド(14)が編物から構成されていて、該編物が弾性糸(2)と綿糸(3)と補助的な弾性糸を含んでいることを特徴とする請求項1に記載のブリーフ。
【請求項7】
ウエストバンド(14)中の綿糸(3)が編物の外側に位置し、弾性糸(2、4)が編物の内側で空房(17)に隣接して位置していることを特徴とする請求項6に記載のブリーフ。
【請求項8】
ウエストバンド(14)が巻上りを防止すべく高密度に編まれていることを特徴とする請求項6または7に記載のブリーフ。
【請求項9】
内腰筒部(15)が編物から構成されていて、該編物が銀イオンを具えた綿糸(5)と弾性糸(2)と補助的な弾性糸を含んでいることを特徴とする請求項1または2に記載のブリーフ。
【請求項10】
内腰筒部(15)中において、前記銀イオンを具えた綿糸(5)が編物の外側に位置して腰部プロテクターの内層を構成して着用者の肌に接触し、弾性糸(2、4)が編物の内側において空房(17)に隣接して位置していることを特徴とする請求項9に記載のブリーフ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−131996(P2007−131996A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−303506(P2006−303506)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(506375587)
【出願人】(506375646)
【Fターム(参考)】