説明

ブロック状共重合体および粘性調節剤ならびに凝集助剤

【課題】
本発明の第一の目的は、工業上有用で、新規な構造を有するブロック状共重合体を提供することにある。本発明の第二の目的は、イオン性高分子水溶液の粘度を飛躍的に増大させる粘性調節剤、および高分子凝集剤の凝集機能を改善する凝集助剤を提供することにある。
【解決手段】特定の単量体を用い、RAFT重合連鎖移動剤及び重合開始剤の存在下水中で重合を実施することにより、新規な構造を有するブロック状共重合体を合成できる。またイオン性高分子水溶液系に対し、該イオン性高分子と反対の電荷を両端部分に有し、中央部分には実質的に反対の電荷を有しないブロック状共重合体が、沈殿物を生成することなく優れた粘度増大効果を有することを見出し、更に前記ブロック状共重合体がイオン性水溶性高分子の凝集機能等を飛躍的に改善することを見出した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な構造のブロック状共重合体に関するものである。また、本発明はこのブロック状共重合体からなる粘性調節剤、さらには前記粘性調節剤からなる各種水処理あるいは製紙産業などにおける高分子凝集剤の凝集助剤、すなわち高分子薬剤の機能を向上させる機能を有する薬剤である凝集助剤に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン性の水溶性共重合体は、粘性調節剤、凝集剤、製紙用添加剤等をはじめ各種工業分野において使用されている。このような分野においては工業製造の観点から、共重合体はランダム構造であるのが通常である。近年、リビングラジカル重合法の技術が発展し、ブロック状の水溶性共重合体を合成することが可能となってきた。ジブロックポリマー、トリブロックポリマー等について種々報告例がある。このうち、トリブロックポリマーについては、たとえば、非特許文献1に、N、N−ジメチルアクリルアミド−ブロック−N−イソプロピルアクリルアミド−ブロック−N、N−ジメチルアクリルアミドが報告されている。また、非特許文献2に、スチレン−ブロック−2−ジメチルアミノエチルメタクリレート−ブロック−スチレン、n−ブチルメタクリレート−ブロック−2−ジメチルアミノエチルメタクリレート−ブロック−n−ブチルメタクリレート等のトリブロックポリマーが報告されている。また、非特許文献3に、スチレン−ブロック−N−イソプロピルアクリルアミド−ブロック−スチレンが報告されている。しかしながら本発明のブロック状共重合体のような、両末端付近に同イオン性のイオン性ブロック部分を有し中央付近に非イオン性親水性ブロック部分を有するものについては知られておらず、またその粘性調節機能、凝集機能、その他の一般的機能については明らかになっていなかった。
【0003】
水系において増粘、流れ制御、およびその他の性質を達成するために、粘性調節剤が種々の工業において使用されている。この目的のためにカルボキシメチルセルロースナトリウム、グアールゴム、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース等の多数の粘性調節剤が市販されている。しかしながら通常これらの粘性調節剤を添加した後の水系の粘度は、その粘度調節剤自体の粘度から予想される程度の値であり、飛躍的な粘度増大は発現されない。また、イオン性高分子を含む水溶液系の粘度を増大させる場合には、通常反対の電荷を持つ高分子は不溶性の複合体を形成し沈殿を生ずるため十分な効果を発揮しない。特許文献1にはアニオン性高分子水溶液系の粘度を増大させる方法が開示されているが,アニオン性高分子の種類がほぼ天然物由来の特殊なものに限定されている。このように一般のイオン性高分子溶液の粘度を飛躍的に増大させる十分な方法は知られていない。
【0004】
【特許文献1】特表2002−514674号公報
【非特許文献1】Macromolecules、2006年、39巻、1724ページ
【非特許文献2】Macromolecules、2007年、40巻、5575ページ
【非特許文献3】Macromolecules、2007年、40巻、5827ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の第一の目的は、工業上有用で、新規な構造を有するブロック状共重合体を提供することにある。また、本発明の第二の目的は、イオン性高分子水溶液の粘度を飛躍的に増大させる粘性調節剤、および高分子凝集剤の凝集機能を改善する凝集助剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
可逆的付加脱離連鎖移動重合(Reversible Addition−Fragmentation Chain Transfer Polymerization、以下RAFT重合と略記する)により得た、イオン性基を実質的に両端領域にのみ持ち、中央部分は実質的に非イオン性である特定のブロック状共重合体がイオン性高分子水溶液系の性質改変に有用であることを見出した。より具体的には、イオン性高分子水溶液系に対し、該イオン性高分子と反対の電荷を両端領域に有し、中央部分には実質的に電荷を有しないブロック状共重合体が、沈殿物を生成することなく優れた粘度増大効果を有することを見出した。また、このような構造をもつブロック状共重合体がイオン性高分子の凝集機能等を飛躍的に改善することを見出し、本発明に至った。
【0007】
単量体Aのモル数をa、単量体Bのモル数をb、単量体Cのモル数をc、単量体Dのモル数をd、単量体Eのモル数をeとしたとき、
0≦b/a≦2、0≦e/d≦2、c≧(a+b+d+e)
0.01≦a/(a+b+c+d+e)、
0.01≦d/(a+b+c+d+e)
を満たす単量体A、B、C、D、Eの共重合体において、
(1)第一の重合を、同一のイオン性を持つ単量体あるいは単量体混合物Aと非イオン性親水性単量体あるいは単量体混合物BからなるAとBの混合物、RAFT重合連鎖移動剤及び重合開始剤の存在下水中で実施し、反応終了後、
(2)第二の重合を、(1)の反応物に非イオン性親水性単量体あるいは単量体混合物C及び重合開始剤を添加し実施し、反応終了後、
(3)第三の重合を、(2)の反応物に第一の重合と同じイオン性を持つ単量体あるいは単量体混合物Dと非イオン性親水性単量体あるいは単量体混合物EからなるDとEの混合物及び重合開始剤を添加することにより実施し得られたブロック状共重合体が、該ブロック状共重合体とは逆のイオン性を有するイオン性高分子水溶液系に対し、優れた粘度増大効果を有し、また凝集効果を著しく改善することを見出し、本発明に到達した。ここでRAFT重合連鎖移動剤とは、RAFT重合を行う際に使用する連鎖移動剤を意味する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のブロック状共重合体は、少量の添加でイオン性高分子水溶液中のイオン性高分子と複合体を形成し、イオン性高分子水溶液の性質を変えることが可能となる。具体的にはイオン性高分子水溶液の粘度を飛躍的に増大させることができる。これにより種々の工業において、水系における粘性調節剤として使用が可能であり、また高分子凝集剤の凝集性の改善、製紙分野におけるイオン性高分子添加剤の効果改善等が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のブロック状共重合体の合成は、RAFT重合により実施することができる。以下本発明のブロック状共重合体を得る方法について詳細に説明する。
【0010】
RAFT重合では、通常のラジカル重合の反応系中にRAFT重合連鎖移動剤を添加することにより実施する。通常、ジチオエステル基、トリチオカルボナート基等を含むRAFT重合連鎖移動剤が使用される。それらのうち水溶性のものが好ましく、例としては、4−シアノペンタン酸ジチオベンゾエート、S−Ethyl−S‘−(α,α‘−dimethyl−α“−acetic acid)−trithiocarbonate等が挙げられる。これらの他にビスジチオエステル類、ビストリチオカルボナート類を使用することも可能である。
【0011】
重合開始はラジカル重合開始剤を使用する。これら開始剤は水溶性であることが好ましく、アゾ系,レドックス系、過酸化物系いずれでも重合することが可能である。水溶性アゾ系開始剤の例としては、2、2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩化水素化物、2、2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物、4、4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)などが挙げられる。またレドックス系の例としては、過硫酸アンモニウムと亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、トリメチルアミン、テトラメチルエチレンジアミンなどとの組み合わせが挙げられる。さらに過酸化物の例としては、過硫酸アンモニウムあるいはカリウム、過酸化水素などを挙げることができる。これらのうち、水溶性アゾ系開始剤が好ましい。
【0012】
重合条件は通常、使用する単量体や重合開始剤等により適宜決めていく。温度としては0〜100℃の範囲で行う。重合は通常3段階に分けて行う。1段目の重合時に、イオン性単量体(混合物)の重合を実施する。イオン性単量体(混合物)は、単一の種類であっても良いし,同イオン性の複数種類のイオン性単量体の混合物であっても良いし、同イオン性の複数種類のイオン性単量体と複数種類の非イオン性親水性単量体の混合物であっても良い。イオン性単量体(混合物)水溶液に連鎖移動剤、重合開始剤を添加し、系内を十分窒素置換後第1の重合を開始する。重合の時間は1〜30時間程度である。必要に応じ、塩酸等を添加し、pHを調節することが好ましい。連鎖移動剤の量は全重合を通して使用する重合性単量体に対し、20〜20000ppm程度である。これより少ないと重合の進行が遅く、この範囲より多いと得られる重合体の分子量が小さくなりすぎる。重合開始剤の量は、連鎖移動剤に対し5〜100%程度である。第1の重合が十分完結した後に、第2の非イオン性親水性単量体を添加し、更に重合開始剤を添加し、系内を十分窒素置換後第2の重合を開始する。重合の時間は1〜30時間程度である。重合開始剤の量は、第1の重合の際添加した連鎖移動剤の量に対し5〜100%程度である。第2の重合が十分完結した後に、第3の単量体(混合物)を添加し、更に重合開始剤を添加し、系内を十分窒素置換後第3の重合を開始する。重合の時間は1〜30時間程度である。重合開始剤の量は、第1の重合の際に添加した連鎖移動剤の量に対し5〜100%程度である。重合性単量体の全体の量は特に制限は無いが、最終的に生成した水溶液の粘度、経済性を考慮すれば全体の5〜30%程度が好ましい。第1、第2の重合後、透析法、沈殿法、抽出法等により未反応の単量体を取り除くことも可能である。
【0013】
本発明にけるブロック状共重合体は、同イオン性を持つ単量体あるいは単量体混合物Aと非イオン性親水性単量体あるいは単量体混合物BからなるAとBの混合物を、RAFT重合連鎖移動剤と重合開始剤の存在下水中で第一の重合を実施し、続いて非イオン性親水性単量体あるいは単量体混合物Cと重合開始剤を添加し第二の重合を実施し、更に第一の重合と同じイオン性を持つ単量体あるいは単量体混合物Dと非イオン性親水性単量体あるいは単量体混合物EからなるDとEの混合物と重合開始剤を添加し第三の重合を行うことにより得られる。ここで、A、Dはともにカチオン性単量体(混合物)、またはともにアニオン性単量体(混合物)からなり、同イオン性であれば異なる種類の単量体の混合物であっても良い。また、AとDは同種類の重合性単量体であっても良いし、同イオン性であれば異なる種類の重合性単量体から構成されても良い。B、Eは共に非イオン性親水性単量体(混合物)よりなり、異なる種類の非イオン性単量体の混合物であっても良い。Cは非イオン性親水性単量体(混合物)よりなり、異なる種類の非イオン性親水性単量体の混合物であっても良い。複合体の形成が抑制されない程度に少量のイオン性単量体を含んでも良い。
【0014】
本発明の共重合体において、A、Dを構成する単量体の量は、それぞれ単量体総量に対し1モル%以上であることが必要である。これよりも少ないと高分子電解質複合体の形成能が低下する。また、第一の重合及び第三の重合の際の単量体において、0≦(Bを構成する単量体モル数/Aを構成する単量体モル数)≦2、0≦(Eを構成する単量体モル数/Dを構成する単量体モル数)≦2、を満たす必要がある。これらの数値が2よりも大きいと高分子電解質複合体の形成能が低下する。また、本発明のブロック状共重合体の中央の非イオン性部分は、Cを構成する単量体モル数≧(A、B、D、Eを構成する単量体モル数の和)を満たす必要がある。これを満たさない場合には、ランダム共重合体に近い挙動となり、不溶性の沈殿物を生成し易くなり、効果的な高分子電解質複合体が形成されない。
【0015】
アニオン性単量体の例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸、及びそれらの塩などがあげられる。これらのうちアクリル酸およびその塩がより好ましい.
【0016】
カチオン性単量体のうち三級アミノ基含有カチオン性単量体の例としてはジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ−ト、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレ−ト、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、及びそれらの塩などが挙げられる。また四級アンモニウム塩基含有カチオン性単量体の例としては(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシ2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。また、一級アミンとしてはアリルアミン、二級アミンとしては、ジアリルメチルアミンなどが挙げられる。
【0017】
非イオン性親水性単量体の例としては(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ビニルピロリドン、ビニルホルムアミド、ビニルアセトアミド、グリセロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。重合のしやすさなどからアクリルアミドがより好ましい。
【0018】
第1の重合時及び第3の重合時に使用するイオン性単量体の量は、それぞれ単量体総量に対し1モル%以上必要である。これよりも少ないとイオン性高分子との複合体の形成が不十分となる。第2の重合の際に使用する単量体(混合物)の量は、第1の重合の際に使用する単量体(混合物)のモル数と第3の重合の際に使用する単量体(混合物)のモル数の和以上となるようにする。これより少ないと複合体の形成が不十分となる。第1と第3の重合におけるイオン性単量体の種類は同イオン性であれば異なっていても良い。最終的に得られる共重合体の分子量は5000〜300万、更に好ましくは1万から300万程度である。これより小さいと複合体の形成が不十分となり粘度増大効果が小さくなる。これよりも大きい分子量のものを得るためには、RAFT重合連鎖移動剤、重合開始剤の添加量を少なくする必要があるが、その場合重合に長時間を要する等の問題が起こる。また共重合体自体の粘度が大きくなり取り扱いが困難となる。分子量はRAFT重合連鎖移動剤の量により制御することができる。
【0019】
イオン性高分子水溶液の粘度を向上させる場合、本発明のブロック状共重合体の添加量は、イオン性高分子水溶液中のイオン性高分子に対し1〜70質量%であることが好ましく、3〜50質量%であることが更に好ましい。この範囲よりも小さいか大きい場合には橋架け効果が低くなり粘度増大効果が不十分となる。
【0020】
カチオン性高分子水溶液に、両端部分にアニオン性部分を持つブロック状共重合体を添加する場合を例にとると粘度増大の機構は以下のように考えることができる。即ち、両端部分に存在するアニオン性部分がカチオン性高分子とイオン的な相互作用をし、高分子電解質複合体を形成する。中央部分はカチオン性高分子と複合体を形成しないので、水溶液中に自由に存在するためもう一端のアニオン性部分は他のカチオン性高分子と相互作用し、分子間で架橋された高分子電解質複合体が形成されやすい。このように見かけ上分子量の大きな複合体が形成されるために系全体の粘度が飛躍的に増大するものと考えられる。
【0021】
イオン性高分子水溶液を、水処理産業における凝集剤、製紙産業における薬剤等に使用する場合には、本発明のブロック状共重合体を予め添加し、粘度を増大させた後に適用することにより、その効果を大幅に向上させることが可能となる。
【0022】
(実施例)
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制約されるものではない。
【実施例1】
【0023】
攪拌機、還流冷却管、および窒素導入管を備えた4つ口300mlセパラブルフラスコに60%アクリル酸水溶液1.67g、1N−NaOH12.0g、4−シアノペンタン酸ジチオベンゾエート0.005gを添加し均一な混合溶液とした。温度を20℃に保ち、攪拌しながら窒素導入管より窒素を導入し、系内を窒素置換した。次に1%の2、2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物水溶液0.1gを添加し、温度を50℃になるようにフラスコを加熱し、第1の重合を開始させた。8時間後に第1の重合反応を終了した。その後室温まで冷却し、50%アクリルアミド水溶液を16g、脱イオン水18.4g、1%2、2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物水溶液0.1gを添加し、温度を50℃になるように加熱し第2の重合を開始させた。16時間後に第2の重合反応を終了した。室温まで冷却後、60%アクリル酸水溶液1.67g、脱イオン水50g、1%2、2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物水溶液0.1gを添加し、温度を50℃になるように加熱し第3の重合を開始させた。22時間後に第3の重合を終了した。GPC−MALSにて得られた高分子の分子量を測定したところ、重量平均分子量 140万を示した。これをブロック状共重合体1とする。
【実施例2】
【0024】
メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドホモポリマー(p−MMCQ、MALSによる重量平均分子量90万)を1%になるように脱イオン水に溶解した。ブルックフィールド粘度計を用い回転数60rpm、No2ローターで測定した結果、粘度は12mPa・sであった(25℃、以下同じ)。実施例1のブロック状共重合体1を1%になるように脱イオン水に溶解した。粘度は90mPa・sであった。また、0.2%ブロック状共重合体1水溶液の粘度は5.0mPa・sであった。1%p−MMCQ水溶液と1%ブロック状共重合体1水溶液を混合し粘度を測定した結果を表1に示す。粘度はブルックフィールド粘度計を用い回転数60rpm、No2ローターで測定した。ブロック状共重合体1の添加により粘度が大幅に増大することが確認された。

【0025】
(表1)

【実施例3】
【0026】
アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、(p−ABCQ、MALSによる重量平均分子量 140万)を1%になるように脱イオン水に溶解した。ブルックフィールド粘度計を用い回転数60rpm、No2ローターで測定した結果、粘度は30mPa・sであった。実施例1のブロック状共重合体1を1%になるように脱イオン水に溶解した。粘度は90mPa・sであった。また、0.2%ブロック状共重合体1水溶液の粘度は5.0mPa・sであった。1%p−ABCQ水溶液と1%ブロック状共重合体1水溶液を混合し粘度を測定した結果を表2に示す。粘度はブルックフィールド粘度計を用い回転数60rpm、No2ローターで測定した。ブロック状共重合体1の添加により粘度が大幅に増大することが確認された。
【0027】
(表2)

【実施例4】
【0028】
ポリアミジン(MALSによる重量平均分子量 50万)を5%になるように脱イオン水に溶解した。ブルックフィールド粘度計を用い回転数60rpm、No2ローターで測定した結果、粘度は 15.5mPa・sであった。実施例1のブロック状共重合体1を1%になるように脱イオン水に溶解した。粘度は90mPa・sであった。また、0.2%ブロック状共重合体1水溶液の粘度は5.0mPa・sであった。5%ポリアミジン水溶液と1%ブロック状共重合体1水溶液を混合し粘度を測定した結果を表3に示す。粘度はブルックフィールド粘度計を用い回転数60rpm、No2ローターで測定した。ブロック状共重合体1の添加により粘度が大幅に増大することが確認された。
【0029】
(表3)

【実施例5】
【0030】
濃度4%のシリカ水溶液を作製し、250mlを試験液とし、フロッキーテスター(コーエイ工業(株)製ODA−10−W95)を用いた凝集試験を実施した。フロッキーテスターでは、凝集強度が電圧出力値として得られる。カチオン性高分子pMMCQ(1%)水溶液、pMMCQ(0.9%)+ブロック状共重合体1(0.1%)水溶液をそれぞれ5ml添加し、フロック強度を測定した結果を図1に示した。4%シリカ水溶液の電圧出力値は1000であった。カチオン性高分子とブロック状共重合体1を混合し、粘性を調節したものを添加した場合には、カチオン性高分子のみを添加した場合に比較し、約2倍の強度増加を示した。
【0031】
(図1)フロッキーテスターによる凝集強度の分析

【0032】
(比較例1)
攪拌機、還流冷却管、および窒素導入管を備えた4つ口300mlセパラブルフラスコに60%アクリル酸水溶液3.4g、1N−NaOH12.0g、50%アクリルアミド水溶液16.0g、脱イオン水67.7gを添加し均一な混合溶液とした。温度を20℃に保ち、攪拌しながら窒素導入管より窒素を導入し、系内を窒素置換した。次に1%2、2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物水溶液1.0gを添加し、温度を50℃になるようにフラスコを加熱し、重合を開始させた。10時間後に重合を終了した。
GPC−MALSにて得られた高分子の分子量を測定したところ、重量平均分子量80万を示した。これをランダム共重合体1とする
【0033】
(比較例2)
メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドホモポリマー(p−MMCQ、MALSによる重量平均分子量90万)を1%になるように脱イオン水に溶解した。ブルックフィールド粘度計を用い回転数60rpm、No2ローターで測定した結果、粘度は12mPa・sであった。比較例1のランダム共重合体1を1%になるように脱イオン水に溶解した。粘度は51mPa・sであった。1%p−MMCQ水溶液と1%ランダム共重合体1水溶液を混合し粘度を測定した結果を表4に示す。粘度はブルックフィールド粘度計を用い回転数60rpm、No2ローターで測定した。ランダム共重合体1の場合には沈殿物が発生し粘度増大効果が不十分であった。
【0034】
(表4)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
単量体Aのモル数をa、単量体Bのモル数をb、単量体Cのモル数をc、単量体Dのモル数をd、単量体Eのモル数をeとしたとき、
0≦b/a≦2、0≦e/d≦2、c≧(a+b+d+e)
0.01≦a/(a+b+c+d+e)、
0.01≦d/(a+b+c+d+e)
を満たす単量体A、B、C、D、Eの共重合体において、
(1)第一の重合を、同一のイオン性を持つ単量体あるいは単量体混合物Aと非イオン性親水性単量体あるいは単量体混合物BからなるAとBの混合物、RAFT重合連鎖移動剤及び重合開始剤の存在下水中で実施し、反応終了後、
(2)第二の重合を、(1)の反応物に非イオン性親水性単量体あるいは単量体混合物C及び重合開始剤を添加し実施し、反応終了後、
(3)第三の重合を、(2)の反応物に第一の重合と同じイオン性を持つ単量体あるいは単量体混合物Dと非イオン性親水性単量体あるいは単量体混合物EからなるDとEの混合物及び重合開始剤を添加することにより実施し得られたブロック状共重合体。
【請求項2】
重量平均分子量が5000〜300万である請求項1記載のブロック状共重合体。
【請求項3】
単量体がビニル単量体である請求項1記載のブロック状共重合体。
【請求項4】
b=0、e=0である請求項1〜3のいずれかに記載のブロック状共重合体。
【請求項5】
A、Dがアクリル酸(塩)であり、Cがアクリルアミドである請求項1〜4のいずれかに記載のブロック状共重合体。
【請求項6】
請求項1〜5に記載のブロック状共重合体からなる粘性調節剤。
【請求項7】
請求項1〜5に記載のブロック状共重合体からなる凝集助剤。


【公開番号】特開2010−13497(P2010−13497A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−172063(P2008−172063)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【出願人】(000142148)ハイモ株式会社 (151)
【Fターム(参考)】