ブロードキャスト用クリップのスケジューラ
スケジューラは、放送網を介した送信のためにマルチメディアコンテンツファイルをスケジューリングする。マルチメディアコンテンツファイルは、スポーツビデオ、音楽ビデオ、ニュースクリップ、映画サウンドトラック等といったオーディオ/ビデオクリップのいずれの種類であってもよい。特に、スケジューラは、コンテンツファイルについての送信順序を決定して、静的部分及び動的部分を有する電子サービスガイドを生成する。動的部分において、スケジューリングされたコンテンツは電子サービスガイドの異なるバージョンにおいて異なる送信順序を有することができる。スケジュールタイミング情報及びメタデータ情報は、クリップとともに放送網を介して送信され、レシーバは好みのクリップを選択的に受信して、バッテリ電源及び記憶装置を節約することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、通信システムに関し、特に、地上波放送、セルラー方式、ワイヤレスフィデリティ(Wi−Fi)方式、衛星システムなどの無線システムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、MP3プレーヤから携帯情報端末、携帯電話、モバイルテレビ(TV)まで、モバイル機器があふれている。残念なことに、モバイル機器には、通常、コンピュータ資源及び/または電力に制約がある。この点で、DVB−H(Digital Video Broadcasting−Handheld)システムによるインターネットプロトコル(IP)データ放送は、エンドツーエンドのブロードキャストシステムであってかかるデバイス用に最適化されたIPベースのメカニズムを用いてあらゆる種類のファイル及びサービスを配信する。例えば、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、及び、非特許文献4を参照せよ。当該技術分野で周知のDVB−HシステムによるIPデータ放送の例が図1に示されている。図1において、ヘッドエンド10(本明細書において「サーバ」とも称される)は、レシーバ90で表示されているような、1つまたは複数の受信装置(本明細書において「クライアント」または「レシーバ」とも称される)に、アンテナ35を介して、DVB−H信号36をブロードキャストする。DVB−H信号36は、IPデータ放送をクライアントに伝達する。レシーバ90は、アンテナ(図示せず)を介して、DVB−H信号36を受信し、IPデータ放送のDVB−H信号36をリカバリする。図1のシステムは、片方向ネットワークを表す。
【0003】
上記のIPデータ放送は、例えば電子サービスガイド(ESG)及びコンテンツファイルなどのファイルを配布することによってコンテンツベースのサービスを提供するために用いられる。図1の内容において、コンテンツベースのサービスは、テレビ(TV)番組などのリアルタイムコンテンツ、または通常のTVプログラムより短いショートフォームコンテンツなどのファイルベースのコンテンツであってもよい。ESGによって、ユーザがコンテンツベースのサービスを選択し、レシーバが選択されたコンテンツをリカバリできるようにする能力が提供される。この点で、ESGは、通常、コンテンツ(「コンテンツ」は、本明細書においてイベントとも称される)に関する記述データまたはメタデータを含む。このメタデータは、本明細書において「コンテンツメタデータ」と称され、「コンテンツメタデータ」は、例えばテレビ番組の名前、粗筋、俳優、ディレクタ等、及び放送開始時間、放送日、放送時間、及び放送チャネルを含む。レシーバ90に付随するユーザは、ESGで識別される適当なチャネルにレシーバ90を同調させることにより、ESGで参照されるコンテンツを受信することができる。TV放送などのリアルタイムコンテンツの場合には、ESGがセッション記述プロトコル(SDP)ファイルを含むことに注意しなければならない(例えば、非特許文献5を参照する)。SDPファイルには、レシーバ90が選択されたブロードキャストコンテンツを受信できるようにする追加の情報が含まれる。
【0004】
ファイルベースのコンテンツについて、図1のヘッドエンド10は、FLUTE(FileDelivery over Unidirectional Transport)プロトコル(例えば、非特許文献6を参照する)を用いてファイルを配布する。FLUTEプロトコルは、片方向ネットワークを介してファイルまたはデータを送信するために用いられ、マルチキャストファイル配信を提供する。また、この例では、ヘッドエンド10は、FLUTEのための基本トランスポートとして、ALC(Asynchronous Layered Coding)プロトコルを用いると考えられる(例えば、非特許文献7を参照する)。ALCプロトコルは、任意のバイナリオブジェクトの配信のために設計されている。ALCプロトコルは、大規模で拡張性のある片方向マルチキャスト配信に特に適している。
【0005】
図2を、簡単に参照すると、FLUTEを用いたファイルベースのコンテンツの送信が、ESGをブロードキャストしているヘッドエンド10の内容において示されている。他のファイルベースのコンテンツの送信は、同様であって、本明細書において説明されていない。ヘッドエンド10は、ESGジェネレータ15、FLUTEセンダ20、IPカプセル化装置25、及びDVB−Hモジュレータ30を含む。ESGジェネレータ15は、FLUTEセンダ20にESGに出力する。FLUTEセンダ20は、ALCを介してFLUTEによりESGをフォーマットし、IPカプセル化装置25へFLUTEファイルを伝達する得られたALCパケットを出力して、当該技術分野で周知のようにIPパケット内でカプセル化する。得られたIPパケットは、図1に示したように、1つまたは複数の受信装置へ送信するためにDVB−Hモジュレータ30に出力される。レシーバは、特定のFLUTEチャネル(例えば、IPアドレス及びポート番号)に同調されて、レシーバで用いるためにESGをリカバリする。
【0006】
上で述べたように、レシーバは、バッテリの寿命などの電力の制約を有しているかもしれない。更に、放送網内のレシーバは、特定の時間に、特定のまたは選択されたファイルベースのコンテンツを受信しているだけかもしれない。その他の時間に、レシーバは、十分に電力を付与されているものの、放送網によって送信される他のあらゆるコンテンツを処理していない。このように、FLUTEセンダ(例えば、図2のヘッドエンド10のFLUTEセンダ20)とFLUTEレシーバ(例えば、図1のレシーバ90のFLUTEレシーバ部分(図示せず))とが時間同期されていて、選択された情報が受信されていない期間にレシーバが電力を抑えることができてレシーバのバッテリの寿命を延ばすことができたならば有益である。時間同期を実行する1つの方法が図3に示されている。特に、図3では、タイミング同期は、ネットワークタイムプロトコル(NTP)サーバ45を介してヘッドエンド10とレシーバ90との間で行なわれる。この場合、(ヘッドエンド10の)FLUTEセンダ20は、NTPサーバ45からのNTPタイムスタンプを含む日時表(TDT)(例えば、上記で参照したETSI EN 300 468 V1.7.1を参照せよ)を提供する。ヘッドエンド10は、DVB−H信号36内のTDTをブロードキャストする。次に、レシーバ90は、特定の時間に、ちょうど受信したNTP時間スタンプを用いて選択されたコンテンツを探す。あるいは、ヘッドエンド10は、ライブサービスブロードキャストに含まれるRTCP(Real−time Transport Control Protocol)センダレポート内にレシーバ90に対するNTPタイムスタンプを出力することができる(例えば、非特許文献8を参照する)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】ETSI EN 302 304 V1.1.1(2004−11)の「デジタルビデオブロードキャスティング規格(Digital Video Broadcasting);DVB−Hのための送信システム(Transmission System for Handheld Terminal)」
【非特許文献2】ETSI EN 300 468 V1.7.1(2006−05)「デジタルビデオブロードキャスティング規格(DVB);DVBシステムにおけるサービス情報(SI)のための仕様書」
【非特許文献3】ETSI TS 102 472 V1.1.1(2006−06)「デジタルビデオブロードキャスティング規格(DVB);DVB−HによるIPデータ放送:コンテンツ配信プロトコル」
【非特許文献4】ETSI TS 102 471 V1.1.1(2006−04)「デジタルビデオブロードキャスティング規格(DVB);DVB−HによるIPデータ放送:電子サービスガイド(ESG)」
【非特許文献5】M.ハンドリ、V.ヤコブソン、「RFC 2327−SDP:セッション記述プロトコル」1998年4月
【非特許文献6】T.パイラ、M.ラビィ、V.ロカ、R.ウォルシュ、「RFC 3926−FLUTE−FileDelivery over Unidirectional Transport」2004年10月
【非特許文献7】ラビィ、M.ゲメル、J.ビチザーノ(Vicisano)、L.リッツォ、及びL.J.クロウクロフト、「ALC(Asynchronous Layered Coding)プロトコルのインスタンス化」、RFC 3450、2002年12月
【非特許文献8】オーディオ/ビデオトランスポートワーキンググループ、H.シュルツリン(GMD Fokus)、S.キャスナ(プリセプトソフトウェア社)、R.フレデリック(ゼロックス・パロアルト・リサーチセンター)、V.ヤコブソン、「RFC 1889 RTP:リアルタイムアプリケーションのためのトランスポートプロトコル」1996年1月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
(例えば、図1に示すような)片方向放送網は、マルチメディアまたはデータコンテンツの拡張可能なブロードキャスティングにとって最上の選択である。放送網は、特にマルチメディアコンテンツの送信及びストリーミングのために広く用いられている。しかし、この種のネットワークは、レシーバのためのポイントツーポイントサービスを行う機能を欠いており、レシーバの好みについてセンダに知らせるためのレシーバ用の何らかの逆チャネルも有していない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
放送網を介して機能するプッシュ型ビデオオンデマンド(VOD)サービスを行うために、センダは、レシーバの好みのコンテンツを入手する際にできるだけ多くのレシーバを満足させなければならない。更に、コンテンツプロバイダ及びコンテンツオペレータも、自分たち自身の送信の優先順位を有している。「オペレータ」(サービスプロバイダとも称される)とは、ブロードキャストサービスを画定して、サービスのためのコンテンツを提供するエンティティである。「コンテンツプロバイダ」とは、特定のサービスまたは特定の一組のサービスのためのコンテンツを作るエンティティである。
【0010】
従ってかつ本発明の原理によれば、サーバは、静的部分及び動的部分を有するプログラムガイドを決定し、該静的部分で示されるコンテンツの送信順序が、前回に決定したプログラムガイドにおける対応するコンテンツの送信順序から決定され、一方、該動的部分で示されるコンテンツの送信順序が、該前回に決定したプログラムガイドにおける対応するコンテンツの送信順序と異なっていてもよい。
【0011】
本発明の例示的な実施形態において、ヘッドエンドはスケジューラを含み、該スケジューラは、コンテンツファイルについての送信順序を決定しかつ静的部分及び動的部分を有する電子サービスガイドを生成する。該動的部分においてスケジューリングされたコンテンツは、該電子サービスガイドの異なるバージョンにおいて異なる送信順序を有していてもよい。スケジュールタイミング情報及びメタデータ情報は、クリップとともに放送網を介して送信され、レシーバは、好みのクリップを選択的に受信して、バッテリ電源及び記憶装置を節約することができる。
【0012】
上記を考慮してかつ詳細な説明を読むと明らかになるように、他の実施形態及び特徴も実行可能であり、本発明の原理の範囲に入る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来技術によるDVB−H(Digital Video Broadcasting−Handheld)システムによるインターネットプロトコル(IP)データ放送を示す図である。
【図2】従来技術によるDVB−H(Digital Video Broadcasting−Handheld)システムによるインターネットプロトコル(IP)データ放送を示す図である。
【図3】従来技術によるDVB−H(Digital Video Broadcasting−Handheld)システムによるインターネットプロトコル(IP)データ放送を示す図である。
【図4】図1−3のシステムについてのファイルベースのコンテンツ送信及び付随するESGフラグメントを示す図である。
【図5】図1−3のシステムについてのファイルベースのコンテンツ送信及び付随するESGフラグメントを示す図である。
【図6】本発明の原理によるシステムの例示的な実施形態を示す図である。
【図7】本発明の原理による例示的なサーバを示す図である。
【図8】本発明の原理による例示的なスケジューリングメタデータを示す図である。
【図9】本発明の原理によるサーバ150で用いるための例示的なフローチャートを示す図である。
【図10】本発明の原理による例示的なスケジュールを示す図である。
【図11】本発明の原理によるサーバ150で用いるための他の例示的なフローチャートである。
【図12】本発明の原理によるサーバ150で用いるための他の例示的なフローチャートである。
【図13】本発明の原理による他の例示的なスケジュールを示す図である。
【図14】本発明の原理によるレシーバの例示的な実施形態を示す図である。
【図15】本発明の原理によるレシーバの例示的な実施形態を示す図である。
【図16】本発明の原理によるレシーバで用いる例示的なフローチャートである。
【図17】本発明の原理による別の例示的なサーバを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の概念による特徴を除いて、図に示された要素は、周知であって、詳述されない。例えば、本発明の概念による特徴を除いて、DMT(Discrete Multitone)送信(直交頻度分割多重方式(OFDM)または符号化直交頻度分割多重方式(COFDM)とも称される)について精通していることが前提とされており、本明細書では説明されない。また、テレビ放送、レシーバ、及びビデオ符号化について精通していることが前提とされており、本明細書では詳述されない。例えば、本発明の概念による特徴を除いて、例えばNTSC(全米テレビジョン放送方式標準化委員会)、PAL(位相反転線、Phase Alternation Lines)、SECAM(順次式カラーメモリ、Sequential Couleur Avec Memoire)及びATSC(Advanced Television Systems Committee)(ATSC)、中国デジタルテレビジョンシステム(GB)20600−2006などのTV標準、並びにDVB−Hのための現在のレコメンデーション及び提案されているレコメンデーションについて精通していることが前提とされている。同様に、本発明の概念による特徴を除いて、8−VSB(eight−level vestigial sideband)、直交振幅変調(QAM)などの他の送信概念、並びに、例えば無線周波数(RF)フロントエンド(例えば、低ノイズブロック、チューナ、ダウンコンバータ等)、復調器、相関器、リーク積分器、及び平方器(squarers)などのレシーバ構成要素が前提とされている。更に、本発明の概念による特徴を除いて、例えば、FLUTE(File Delivery over Unidirectional Transport)プロトコル、ALC(Asynchronous Layered Coding)プロトコル、インターネットプロトコル(IP)、及びIPE(Internet Protocol Encapsulator)などのプロトコルに精通していることが前提とされており、これらは本明細書において説明されていない。同様に、本発明の概念による特徴を除いて、トランスポートビットストリームを生成するためのフォーマット及び符号化方法(例えば、MPEG(Moving Picture Expert Group)−2システム標準(ISO/IEC 13818−1))は周知であって、本明細書において説明されていない。また、プル型VODサービス及びプッシュ型VODサービスにも精通していることが前提とされている。プル型VODサービスでは、ユーザは特定のビデオクリップを要求し、サーバは当該ビデオクリップをその特定のユーザに送信する。プッシュ型VODサービスでは、ユーザの好みのビデオが、ユーザがビデオを積極的に要求することなしに、レシーバにプッシュ配信される。本発明の概念は、本明細書において説明していない従来のプログラム技術を用いて実施されてもよいことに注意しなければならない。最後に、図の同じ番号は、同様の要素を表す。
【0015】
本発明の概念を説明する前に、図4は、従来技術によるDVB−Hのファイルベースのコンテンツ送信を示す。図4において、DVB−Hのファイルベースのコンテンツ送信は、クリップ50、51、52及び53で表されるような多数のイベント(本明細書においてクリップとも称される)を含む。各クリップは、多数のパケットを含むことができるが、これは本発明の概念に関係がない。ESGは、各クリップを開始時刻、終了時刻に付随させ、対応するFLUTEセッション内の付随するコンテンツファイルを識別する。このことは、クリップ51に付随するESGのフラグメント60(ESGフラグメント60)として図4に示されている。簡単にするために、他のESGデータは示されていない。図4に示すように、ESGフラグメント60は、ContentLocationパラメータ65、PublishedStartTimeパラメータ61、及びクリップ51に付随するPublishedEndTimeパラメータ62を含む。この例では、対応するFLUTEセッション内の付随するコンテンツファイルは、「Clip1.mp4」である。PublishedStartTime63の実際の値及びPublishedEndTime64の実際の値は、協定世界時(UTC)装置に存する。PublishedStartTimeの値は、FLUTEセンダが実際にファイルの送信を開始する時刻である。即ち、クリップがFLUTEセンダからシステムチェインにおける次のブロックに渡される時刻である。このことは、DVB−Hシステムについての図5に更に示されている。即ち、PublishedStartTimeの値は、FLUTEセンダ20がIPカプセル化装置25にクリップを渡す時刻である。
【0016】
前に述べたように、放送網を介して機能するプッシュ型ビデオオンデマンド(VOD)サービスを行うために、センダは、レシーバの好みのコンテンツを入手する際にできるだけ多くのレシーバを満足させなければならない。更に、コンテンツプロバイダ及びコンテンツオペレータも、自分たち自身の送信の優先順位を有している。「オペレータ」(サービスプロバイダとも称される)とは、ブロードキャストサービスを画定して、サービスのためのコンテンツを提供するエンティティである。「コンテンツプロバイダ」とは、特定のサービスまたは特定の一組のサービスのためのコンテンツを作るエンティティである。
【0017】
上記を考えると、プッシュ型VODサービスにおいて送信用のコンテンツを配給しかつスケジューリングすることに関して、多くの問題が見出される。例えば、コンテンツデータベースは、ある期間にわたって変化するかもしれず、オペレータの好みも、新しいクリップの追加とともに変化するかもしれない。従って、新しいクリップの追加によるオペレータの好みの変化が、あまり好まれないクリップがブロードキャストのためにずっとスケジューリングされるのを無期限に防ぐことになるので、新しいクリップが追加されるときに、クリップの送信についての優先順位ベースのスケジューリングを実行することができない。
【0018】
更に、スケジュールの予測可能性は、別の重要な要因である。スケジュールは、クリップの追加及び除去によってあらゆる時点でまたは優先順位の変更があっても変化し得る。しかしながら、片方向ネットワーク環境において、レシーバ端末は、その好みのコンテンツをタイムリに受信するためにスケジュールに大きく依存している。スケジュールが予測できない場合、レシーバは常駐しなければならず、このことによって無駄に電力が浪費される。更に、片方向ネットワークにおいて、レシーバは、失われたファイルについてセンダに知らせる手段を備えていない。それゆえに、スケジュールの予測可能性は、レシーバの動作にとって非常に重要である。
【0019】
また、レシーバにおける好みの設定は、ユーザの個人的な興味、レシーバの場所、受信時間等により異なってくる。例えば、マルチメディアクリップブロードキャストにおいて、視聴者は非常に好ましいクリップを何度も繰り返して入手するよりはむしろ新しいクリップを入手するのを必然的に好むということが報告されている。しかしながら、ブロードキャストプッシュ型VODサービスにおいて、好みの設定に直ちに配慮することができる逆チャネルはない。この点で、マルチメディアクリップのための送信スケジュールを更新するときに、あらゆるスケジューリングは、かかる問題に対処しなければならない。
【0020】
上記を考慮し、本発明の原理に従って、プッシュ型VODサービスが上記の問題に対処できるようにするスケジューラが説明されている。従ってかつ本発明の原理により、ヘッドエンドは、動的優先順位の値の関数として、コンテンツファイルについての送信順序を決定する。動的優先順位の値の関数は、少なくともコンテンツファイル同士の間の相違の測定により決定される。ヘッドエンドは、決定された送信順序に従ってコンテンツファイルを送信する。
【0021】
本発明の例示的な実施形態において、コンテンツファイルは、スポーツビデオ、音楽ビデオ、ニュースクリップ、映画サウンドトラック等のようないずれの種類のオーディオ/ビデオクリップであってもよく、「クリップメタデータ」は各クリップに付随している。ヘッドエンドはスケジューラを含み、該スケジューラは、動的優先順位の値の関数として、コンテンツファイルについての送信順序を決定する。動的優先順位の値の関数は、少なくともコンテンツファイル同士の間の相違の測定により決定される。コンテンツファイルの相違の測定は、各クリップに付随するクリップメタデータの関数として更に決定される。スケジュールタイミング情報及びメタデータ情報は、クリップとともに放送網を介して送信され、レシーバは、好みのクリップの選択的な受信を行って、バッテリ電源及び記憶装置を節約することができる。
【0022】
ここで、図6を参照すると、本発明の原理による例示的なシステムが示されている。この例のために、図6に示したシステムは、本発明の概念による特徴を除いて、図1で説明したDVB−HシステムによるIPデータ放送と類似のDVB−HシステムによるIPデータ放送であると考えられる。本発明の原理により、ヘッドエンド150は、マルチメディアコンテンツファイルに付随する記述データを解析して該マルチメディアコンテンツファイルについての送信順序を決定する。更に、アンテナ185を介して、決定された送信順序に従ってマルチメディアコンテンツファイルを送信する。特に、ヘッドエンド150は、ラップトップコンピュータ100−1、携帯情報端末(PDA)100−2、及び携帯電話100−3のうちのいずれか1つで表されるような、1つまたは複数の受信装置(本明細書において「クライアント」または「レシーバ」とも称される)にIPデータ放送をブロードキャストするためのDVB−H信号186をブロードキャストする。その各々は、DVB−H信号を受信して、リアルタイムコンテンツ及びファイルベースのコンテンツのためのブロードキャストIPデータ放送のDVB−H信号のリカバリをすると考えられる。図6のシステムは、片方向ネットワークを表すものである。しかしながら、本発明の概念は、そのようには限定されていない。
【0023】
本発明の原理によるヘッドエンドまたはサーバ150の例示的な実施形態が図7に示されている。本発明の概念による特徴を除いて、図7に示された要素は周知であって、本明細書において説明されていない。ヘッドエンド150は、プロセッサベースのシステムであって、図7の破線のボックスの形で示されたプロセッサ190及びメモリ195で表されるような、1つまたは複数のプロセッサ及び付随するメモリを含む。この内容では、コンピュータプログラムまたはソフトウェアが、プロセッサ190による実行のためにメモリ195に格納されていて、例えばスケジューラ240を実行する。プロセッサ190は、1つまたは複数の蓄積プログラム制御プロセッサを表すものであり、これらは、スケジューリング機能専用に設けられなくてもよい。例えば、プロセッサ190がヘッドエンド150の他の機能も制御することができる。メモリ195は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)等のあらゆる記憶装置を表すものである。メモリ195は、ヘッドエンド150に内臓されていてもよいしかつ/または外付けであってもよい。更に、メモリ195は、必要に応じて揮発性及び/または不揮発性である。
【0024】
ヘッドエンド150は、ESGジェネレータ215、FLUTEセンダ220、IPカプセル化装置225、DVB−Hモジュレータ230、コンテンツデータベース235及びスケジューラ240を含む。ESGジェネレータ215、FLUTEセンダ220、IPカプセル化装置225、及びDVB−Hモジュレータ230は、図2に示された対応する構成要素と同様であり、本明細書において、これ以上説明されない。本発明の概念による特徴を除いて、以下に説明されるESGジェネレータ215は、FLUTEセンダ220にESGを出力する。FLUTEセンダ220は、ALCを介してFLUTEによりESGをフォーマットし、当該技術分野で周知であるように、IPパケットにおけるカプセル化のためにIPカプセル化装置225へFLUTEファイルを運ぶ得られるALCパケットを出力する。得られたIPパケットは、図6に示したように、1つまたは複数の受信装置に対する送信のためにDVB−Hモジュレータ230に出力される。レシーバ(例えば図6のレシーバ100−2)は、特定のFLUTEチャネル(例えばIPアドレス及びポート番号)に同調させて、レシーバにおける使用のためにESGをリカバリする。
【0025】
図7に示さすように、ヘッドエンド150はまた、コンテンツデータベース235及びスケジューラ240を含む。コンテンツデータベース235は、コンテンツ、即ちマルチメディアコンテンツファイルを格納する。これらのマルチメディアコンテンツファイルは、スポーツビデオ、音楽ビデオ、ニュースクリップ、映画サウンドトラック等のようなあらゆる種類のオーディオ/ビデオクリップである。本発明の概念による特徴を除いて、これらのクリップは、信号238を介して、FLUTEセンダ220に出力され、図4に関して先に述べたようにDVB−Hにおいてファイルベースのコンテンツ送信として送信される。コンテンツメタデータは、各クリップに付随する。各クリップについてのコンテンツメタデータは、ESGジェネレータ215に出力され、本発明の原理により、信号236を介してスケジューラ240に出力される。スケジューラ240は、信号239を介して、コンテンツデータベース235を制御しかつモニタする。その結果、スケジューラ240は、例えば、クリップのコンテンツメタデータを変更することによる追加/削除または変更などの、コンテンツデータベース235に対する変更を検出する。
【0026】
本発明の原理により、スケジューラ240は、コンテンツデータベース235に格納されたクリップに付随するコンテンツメタデータを解析して、マルチメディアコンテンツファイルについての送信順序を決定する。この点で、スケジューラ240は、制御信号242を介して、FLUTEセンダ220に対する送信順序を制御する。更に、スケジューラ240は、信号241を介して、レシーバに送信されるESGを生成する際に用いる追加のスケジューリング情報をESGジェネレータ215に出力する。この追加のスケジューリング情報は、本明細書において「スケジューリングメタデータ」と称される。特に、各クリップに付随するコンテンツメタデータに加えて、スケジューラ240は、図8に示すようなスケジューリングメタデータを追加する。スケジューリングメタデータ200は、多数のフィールドを含む。即ち、動的優先順位201、送信数202、待ち時間203、及び、任意でキーワード204(点線の形で示されている)である。よって、各クリップについて、コンテンツメタデータ210に加えてスケジューリングメタデータ200がある。これは、図8に示したようにクリップメタデータ全体220と本明細書において称される。コンテンツメタデータ210は、コンテンツデータベース235に格納される。コンテンツメタデータ210は、コンテンツID211、優先順位212、説明213、及び任意でキーワード214(点線形式で示された)を含む。例示として、XML(拡張マークアップ言語)が、メタデータを表すために用いられてもよい。
【0027】
メタデータ210に関して、コンテンツID211は、コンテンツデータベース235の各クリップを識別するために一意の数で示される識別子である。優先順位212は、識別されたクリップについて優先レベルを表す数値である。説明213は、例えば、テレビ番組の名前、概要、俳優、ディレクタ、及びブロードキャストについての予定時刻、予定日、放送時間及びチャネルである。最後に、キーワード214は、識別されたクリップのコンテンツを簡単に説明している1つまたは複数のキーワードを表す文字数字の単語のリストである。
【0028】
スケジューリングメタデータ200に関して、動的優先順位201は、識別されたクリップをブロードキャストするかまたは送信するための実際の優先レベルを表す数値である。送信数202は、識別されたクリップがブロードキャストまたは送信された回数を表す数値である。待ち時間203は、識別されたクリップが最後にブロードキャストされた時から経過した秒数を表す数値である。最後に、キーワード204は、識別されたクリップのコンテンツを簡単に説明している1つまたは複数のキーワードを表す文字数字の単語のリストである。上記のように、キーワードは、スケジューリングメタデータ200またはコンテンツメタデータ210のいずれかにあってもよい。スケジューリングメタデータ200において、キーワード204は、説明213を解析しているスケジューラ240によって決定される。コンテンツメタデータ210において、キーワード214は、コンテンツメタデータ210の一部として、オペレータにより設定される。
【0029】
ここで、図9のフローチャートに注意を向けなければならない。該フローチャートは、本発明の原理による例示的なスケジューリング方法を示す。ステップ305において、スケジューラ240は、スケジューリング頻度fs(316)及び、スケジュールの静的部分(後述される)を初期化しかつ決定する。スケジューリング頻度fs(316)は、スケジュールの静的部分であるように、演繹的に例示的に決定される。例えば、これらは、図7のメモリ195に格納される値である。これらの値は、また、(例えば、キーボード/コンソール(図示せず)を介して)信号243を介してオペレータにより設定されてもよい。スケジューリング頻度fs(316)は、スケジュールがどれくらいの頻度で生成されるかを決定する。ステップ310において、スケジューラ240は、コンテンツデータベース235に格納されたクリップについてのコンテンツメタデータを取り出す。
【0030】
ステップ315において、スケジューラ240は、スケジュールを生成する時刻か否かをチェックする。それはスケジューリング頻度fs(316)により決定される。スケジュールを生成する時刻でない場合、ステップ325において、スケジューラ240は、(例えば、図7の信号239を介して)コンテンツデータベース235が更新されたかどうかをチェックする。コンテンツデータベース235が更新されていない場合、スケジューラ240は、ステップ315において、スケジュールを生成する時刻か否かを再びチェックする。しかしながら、コンテンツデータベース235が更新された場合、ステップ310において、スケジューラ240は、更新されたコンテンツを取り出す。この更新されたコンテンツは、変更されたコンテンツ、新しいコンテンツ、または削除されたコンテンツを表す。この点で、スケジューラ240は、必要に応じて、取り出されたコンテンツメタデータを生成、更新、または削除するために、ステップ310において必要な処理を行う。
【0031】
ステップ315において、一旦スケジューラ240が、スケジュールを生成する時刻であると判断すると、ステップ320に実行を進める。そこで、スケジューラ240は、識別されたクリップ各々についてのスケジューリングメタデータ200の値を決定するかまたは更新し、スケジュールを生成する。最初に、必要に応じて、スケジューラ240は、説明213を解析して、スケジューリングメタデータ200のキーワード204フィールド用のキーワードを決定する。あるいは、スケジューラ240は、もしあればキーワード214を使用する。次に、スケジューラ240は、識別されたクリップ(コンテンツID211)についての実際の優先順位を表す値を決定して、この値を動的優先順位201(以下に詳述される)に格納する。スケジューラ240はまた、送信数202の値を更新して、識別されたクリップが送信された回数を表す。更に、識別されたクリップが最後にブロードキャストされたときから経過した秒数を表している待ち時間203の値を更新する。一旦識別されたクリップ各々についてのスケジューリングメタデータが決定されると、スケジューラ240は、(信号241を介して)ESGジェネレータ215及び(信号242を介して)FLUTEセンダ220が使用するためのスケジュールを生成する。ステップ325に実行は続く。簡単にするために、他の端末及び/またはエラー状態は、本明細書で説明されているフローチャートにおいて示されていないことにも注意しなければならない。
【0032】
レシーバ側及びセンダ側の両方の不必要な実施の複雑さを避けるために、スケジューラ240は、ノンプリエンプティブなスケジューラとして例示的に設計されている。これは、各ビデオクリップまたは他のあらゆるコンテンツファイルを小なる部分に分割せず、異なるタイムスロットに及んで送信されないということを意味する。言い換えると、一旦コンテンツ送信が開始されると、該送信は、別のクリップを送信するためにスケジューラ240に最後まで割り込まれない。このことは、端末における受信完了までの所要時間を最小限にするのに役立つ。しかしながら、本発明の概念は、それに限定されておらず、プリエンプティブスケジューラにも適用できる。
【0033】
上で述べたように、スケジューラ240はスケジュールを生成する。本発明の原理により、例示的なスケジュール400が、図10に示される。スケジュール400は、静的部分401及び動的部分410を含む。静的部分401は、J個のクリップを含む。即ち、A(401−1)、C(401−2)、・・・F(401−J)であり、ここでJ≧0である。動的部分410は、K個のクリップを含む。即ち、D(410−1)・・・E(410−K)であり、ここでK≧0である。スケジュールの継続時間は、終了時刻から開始時刻を引いたものである(即ち、tE−tS)。図10から分かるように、静的部分401は、開始時刻tSで始まり、時刻tDで終わる。時刻tDは、動的部分410の開始時刻である。動的部分410は、スケジュール終了時刻tEで終わる。図10から分かるように、各クリップは、付随する継続時間を有する。例えば、クリップC(401−2)は、Dcという付随する継続時間を有する。図10は、静的部分及び動的部分を示すが、いずれかの部分のクリップの数がゼロであってもよい、即ち、tSはtDに等しくてもよいことに注意しなければならない。
【0034】
ここで図11を参照すると、図9のステップ320において用いられる例示的なフローチャートが示されている。新しいスケジュールを生成する時刻である場合、スケジュール時刻tが初期化される。例えば、図11のステップ350において、tS=0である。ステップ355において、スケジューラ240は、前回のスケジュールが存在するかどうか調べる。前回のスケジュールが存在する場合、ステップ360において、スケジューラ240は前回のスケジュールをロードし、前回のスケジュールの動的部分の開始時刻に等しいtをセットする。例えば、図10のスケジュール400についてt=tDである。いずれの場合も、ステップ365において、スケジューラ240は、このスケジューリングセッション(下記に詳述される)のために取り出された各クリップまたはコンテンツの動的優先順位(Dp(t))を決定する。ステップ370において、最も高い動的優先順位Dp(t)を有するクリップ(i)が、スケジュール時刻tで始まる新しいスケジュールに配される。このクリップ(i)は、Diという付随する継続時間を有する。ステップ375において、スケジュール時刻tは、t=t+Diへ進む。ステップ380において、スケジュール時刻tは、スケジュール終了時刻tEと照合される。スケジュールの終了時刻に至っている場合、ステップ385において、スケジューラ240は新しいスケジュールに戻るかまたは新しいスケジュールを生成する。しかしながら、スケジュールの終了時刻に至っていない場合、スケジューラ240は、ステップ365において残りのクリップについての動的優先順位(Dp(t))を再計算して、最も高い動的優先順位(Dp(t))を備えたクリップを再び選択する。この処理は、スケジューラ240が全部のスケジュールを埋めるまで、繰り返される。フローチャートに示すように、前回のスケジュールがシステム内に存在する場合、開始時刻「t」は、動的優先順位の計算を行う前に調整される。この場合、前回のスケジュールの静的部分のイベントは、そのまま新しいスケジュールにコピーされる。これは、レシーバ(後述される)において、スケジュールをより予測可能にするために行われる。
【0035】
特定の時間インスタントtにスケジューリングされたクリップがそのインスタントにおけるクリップの動的優先順位により決定されるということが、図11のフローチャートから分かる。図11のステップ365の例示的な実施形態が、図12に示される。ステップ450において、スケジューラ240は、現在のスケジュール時刻t及び現在の継続時間Diをロードする。前回のスケジュールが存在せず、クリップがこのスケジューリングセッションにおいて現在のスケジューリングされていなければ、現在の継続時間Diはゼロに等しい。前回のスケジュールが存在するが、クリップがこのスケジューリングセッションにおいて現在スケジューリングされていなければ、Diは、動的部分の開始時刻tDと静的部分の開始時刻との間の差に等しい。一方、Diは、スケジューリングされた最後のクリップの継続時間に等しい。ステップ455において、スケジューラ455は全てのクリップの送信数(例えば、図8の送信数202)を更新して、同様に全てのクリップの最後のブロードキャスト時間を更新する。ステップ460において、スケジューラ240は、現在の継続時間Diの値をチェックする。現在の継続時間Diの値がゼロに等しい場合、ステップ470において、各クリップについての待ち時間Wt(図8に示された待ち時間203としても示されている)が、
Wt=クリップ(i)の最終ブロードキャスト時刻−t (1)
で計算される。それは、単に、そのクリップについての現在の時刻と最終のブロードキャスト時間との間の差である。しかしながら、現在の継続時間Diの値がゼロに等しくない場合、ステップ465において、この継続時間は、各クリップについての待ち時間Wt(図8に示された待ち時間203としても示されている)に加えられて、
Wt=Wt+Di (2)
で算出される。ここで、Diは、前回にスケジューリングされたクリップの継続時間(またはスケジュールの静的部分の時間の継続時間)を表す。
【0036】
ステップ475において、スケジューラ240は送信のためにまだスケジューリングされていないクリップの相違点を決定する。この点で、ブロードキャストを介したプッシュ型VODのアプリケーションを実現する際に、フィードバックチャネルが不足していることに注意しなければならない。エンドユーザが自分たちの好みをセンダに知らせるための逆チャネルはない。プッシュ型VODのアプリケーションにおいて、通常、その優先順位が互いに異なる様々なユーザ(レシーバ)がいる。この特定の問題に配慮しないスケジューラは、プッシュ型VODのアプリケーションにとって理想的でない。例えば、熱狂的サッカーファンは、自分がサッカーのワールドカップハイライトを入手するためにニュース及び音楽ビデオの次の10クリップの送信が終わるまで待たなければならないならば、プッシュ型VODアプリケーションの類へ決して行かない。
【0037】
様々な視聴者の好みの可能性を考慮するために、かつ本発明の原理により、図12のステップ475において、スケジューラ240は、前回にスケジューリングされたクリップと比較してスケジュール用に利用可能なクリップの各々の相違について重み付けを与える。例えば、時刻tにおいて最も異なるクリップは、他のクリップより大きい異なる重み付け値を有する。次に、この異なる重み付け値は、クリップの動的優先順位を決定する際に引き続き用いられ、その結果(後述されるように、他の要因を考慮しない)、連続した送信のために類似のクリップの列を作る代わりに、異なるクリップが、互いに隣接して送信されるようにスケジューリングされる。スケジューリングされていないクリップはスケジューリングされたクリップと比較してどれだけ類似しているかを見出すために、スケジューラは、各クリップに付随するキーワードのデータ(図8のキーワード204)を例示的に使用する。上で述べたように、コンテンツプロバイダは、このキーワードデータを提供することができかつ/または、オペレータもコンテンツをよりよく分類するために追加のキーワードを指定することもできる。あるいは、上でも述べたように、スケジューラ240は、図8の説明213を解析して、説明213自体でキーワードを形成してキーワード204に格納することができる。特定のクリップについてのキーワード204またはキーワード214におけるキーワードの全リストは、類似性の測定を行うために他のクリップのそれぞれのキーワードと対照される。2組のキーワードの間で相関の割合を計算するいくつかの方法がある。例えば2つのベクトルのドット積をとることによって、2組のキーワードの間の相関が見つけられる。
【0038】
例示的に、ステップ475において、スケジューラは、例えば、クリップXで示されたスケジューリングされていないクリップ及びクリップYで示された最後にスケジューリングされたクリップである、2つのクリップの間で以下の類似性の測定を行なう。
【0039】
【数1】
【0040】
ここで、S(x,y)は、クリップXとクリップYとの間の類似性の測定である。Nsは、クリップX及びクリップYの両方における類似のキーワードの総数である。N(x)は、クリップXのキーワードの総数であり、N(y)は、クリップYにおけるキーワードの総数である。方程式(3)において、S(x,y)の値は、0と1との間で変化し得る。1の値は完全に類似するクリップを表し、0の値は完全に異なるクリップを表す。それゆえに、相違の測定は、
Ds(x,y)=1−S(x,y) (4)
になる。
【0041】
次に、スケジューリングされていないクリップ各々の相違の測定Ds(x,y)が、クリップについての動的優先順位を決定する際にスケジューラ240によって用いられる。このプロセスにおいて、キーワードを特定したオペレータ/コンテンツプロバイダは、キーワードは、概要フィールド/要約フィールドを解析することによってスケジューラにより生成されるキーワードより大きく重み付けされる。
【0042】
相違の測定は、前回のものと比較された場合に最も異なるクリップを識別するために行われるだけでなく、送信についての前回の履歴と比較された場合に最も異なるクリップを見出すために延長されてもよいことに注意しなければならない。これは、異なる測定を過去の相違の移動平均とすることによって実現される。このように、方程式(3)及び方程式(4)に加えて、スケジューラ240は、更に相違の測定を精緻化することもできる。特に、継続時間Δtを有するクリップXが時刻「t−Δt」においてスケジューリングされると仮定する。次に、時刻「t」における各クリップのDsを、同様に、
Ds(t)=(1−α)*Ds(x,i)+α*Ds(t−Δt) (5)
で計算することができる。ここで、Ds(x,i)は、(方程式(3)及び方程式(4)から)クリップXに対するクリップ(i)の相違であり、Ds(t−Δt)は、時刻t−Δtにおいて、即ち、前回のスケジュール間隔で、とられたクリップ(i)の相違値である。αは、その値が0と1との間の範囲にある定数である。αの値は、より大きい重み付けが、前回の履歴についてより最近スケジューリングされたクリップに対する相違に与えられるといった方法で選択される。
【0043】
スケジューリングされていないクリップ各々のための相違値を決定した後に、ステップ480において、スケジューラ240は、全てのスケジューリングされていないクリップについて動的優先順位を決定する。例示として、時刻「t」における各クリップの動的優先順位は、
Dp(t)=KpP+KdDs(t)+KwWt−KsSc (6)
で与えられる。ここでDp(t)は、時刻tにおけるクリップの動的優先順位である。Pはクリップの優先順位(例えば図8の優先順位212)を与えられるオペレータ/コンテンツプロバイダである。Ds(t)は、時刻tにおけるクリップについての上記の相違の測定である(あるいは、Ds(x,y)がDs(t)の代わりに用いられてもよい)。Wtは、時刻tにおけるクリップの待ち時間である。Scは、クリップの送信数である。Kp、Kd、Kw、及びKsは、それぞれ、オペレータの優先順位、相違、経時、及び送信数についての関連する重み付けを決定する定数である。これらの定数を演繹的に設定することができると共に、これらの定数はまた、最適のスケジュールを得るために手作業で調整することができるかまたは視聴者から任意に集計フィードバックを利用することによってスケジューラにおいて調整することができる。集計フィードバックは、異なるインスタンスにおいてとられた視聴者からの一群のオフラインのフィードバックである。集計フィードバックは、ウェブポータルベースのもしくはSMS(ショートメッセージサービス)ベースのゲートウェイまたは他の類似の通信チャネルのいずれかを介して実現することできる。
【0044】
動的優先順位が方程式(6)の内容において説明されたが、変数P、Ds(t)、Wt及びScのうちのいずれか1つ、2つ、または3つを、動的優先順位を決定するために用いることができるということに注意しなければならない。実際、追加のパラメータも、本発明の原理に従って動的優先順位を決定するためにこれらの4つに加えて定義することができる。
【0045】
上で述べたように、例示として、送信数Scは、スケジューリングプロセスにおいて、クリップが送信された回数を考慮するために用いられる。例えば、ビデオクリップブロードキャストシステムにおいて、視聴者は常に、新しいクリップを探す。通常、視聴者は、古いクリップよりもむしろ新しいクリップを選択する。古いクリップがオペレータまたはコンテンツプロバイダによって高く評価されていたとしても時々この場合がある。それゆえに、スケジューラは、クリップが送信された回数を考慮して、それによってクリップをスケジューリングしなければならない。スケジューラは、Scを用いてこの問題を解決して、特定のクリップが送信された回数を計数する。全ての新しいクリップは、ゼロである送信数Scの値を有する。クリップの動的優先順位を決定する際に、スケジューラは送信数に正比例して優先順位を低くする。言い換えると、送信数が少なくなるほど、動的優先順位における順序が高くなる。
【0046】
この点で、スケジューラは、古いクリップより高い優先順位のコンテンツを優先し、古いクリップより新しく追加されたクリップに配慮するので、新しいクリップを頻繁に追加することによって、低い優先順位のクリップを過去に送信されたことなしにデータベースにおいていつまでも保持する可能性がある。このことを補うために、方程式(6)のパラメータWtを介して、スケジューラはクリップの経時(aging)を説明する。このように、クリップの動的優先順位は、待ち時間が長くなるにつれて高くなる。
【0047】
クリップについてオペレータ/コンテンツプロバイダの優先順位Pを上げることは、動的優先順位を直接上げることにつながることが方程式(6)からも分かる。それゆえに、オペレータ/コンテンツプロバイダの好みのクリップは、早期にスケジューリングされる可能性が高い。
【0048】
ステップ485において、スケジューラ240は、送信のために時刻tにおいて最も高いかまたは最大の動的優先順位Dp(t)を有するクリップを選択し、スケジュール内にこのクリップを配する。多数のクリップが同等の動的優先順位を有する場合、スケジューラ240は、クリップのうちの1つを選択することができるかまたは同等の動的優先順位のクリップの間でラウンドロビンスケジュールを実行することができることに注意しなければならない。例えば、一組のクリップの全ての優先順位の測定が同じ値を生じる場合、スケジューラは単に該一組のクリップを繰り返してスケジュールをつくり、それらの全てが送信されたということを確かめる。
【0049】
ステップ490において、選択されたクリップは、その待ち時間をゼロに設定し(例えば、図8の待ち時間203)、Diは選択されたクリップの継続時間に等しく設定され、スケジューリングプロセスの次の繰り返しにおいて、(上述されたように)このDiの値がステップ450で用いられる。
【0050】
上で述べたように、スケジュールの予測性は重要である。片方向ブロードキャスト環境において、レシーバは、コンテンツの選択的な受信を行えるようになるスケジュール及びメタデータ情報に大いに依存する。それで、レシーバが前もってスケジュールを受信しなければならないことは非常に重要である。更に、いずれかのスケジュールの変更が新しいコンテンツの追加によりまたは他の理由のためにサーバに生じる場合、最新のスケジュールは、全てのレシーバに送信される必要がある。スケジューラは、例えばT=1/fsごとにといった、周期的なスケジュール更新を送信することによってこれを行う。fsは前に述べたスケジューリング頻度である。例えば、周期的なスケジュール更新は、新しくスケジューリングされたイベント及びスケジューリングされたコンテンツに付随する他のメタデータ等を含む。この情報を用いて、レシーバは、レシーバがコンテンツを受信する必要があるかどうか、かついつ同調させてコンテンツを得る必要があるかを決めることができる。よって、端末は電力及び記憶空間を節約することができる。
【0051】
しかしながら、実際のシステムにおいて、スケジュールの更新及び端末でのスケジュール更新の即時の受信についての頻度は限定される。言い換えると、一旦スケジュール変更がサーバに生じると、レシーバが該スケジュール変更について知るのにある程度時間がかかる。この遅延を端末での最短スケジュール更新間隔とみなす。この最短スケジュール更新間隔及びそのため予測が不可能であることを説明するためにかつ本発明の原理に従って、スケジューラは別の概念、即ち、図10において示したようにスケジュールを静的部分及び動的部分に分けることを取り入れる。
【0052】
これは、図13において更に示されている。この図は、連続する時間間隔を通してスケジューラ240による3つのESG701、702、及び703の構成を示している。簡単にするために、ESGは1分ごとに形成されており、以前のスケジュールはなかったと仮定する。スケジューラ240によって、0分に形成された、第1のESGは、ESG701である。ESG701を形成する際に、スケジューラ240は、クリップA、B、C、D及びEが送信に利用可能であることを決定して、図9、11及び12の上記のスケジューリングプロセスに従って図13に示したように送信のためのそれらをスケジューリングする。図13から分かるように、ESG701において、クリップA、B、D及びEの各々は1分の継続時間を有し、一方、クリップCは2分の継続時間を有する。更に、静的部分401が2分の継続時間を有すると演繹的に画定され、ESG401の残りの部分は、ESGの動的部分410として設計されていると考えられる。
【0053】
次のスケジューリング間隔で、スケジューラ240は、クリップB、C、D、E及びFは、送信に利用可能であると判断する(クリップAは送信された)。更に、スケジューラ240は、前回のスケジュール(ESG701)が存在したと判断して、静的部分401を決定する。先に述べたように、スケジューラ240は、ノンプリエンプティブなスケジューラとして例示的に設計されている。このことは、各ビデオクリップまたは他のいずれかのコンテンツファイルが小なる部分に分けられず、異なるタイムスロットに分散して送信されないことを意味する。よって、静的部分401は、2分の継続時間(クリップCの中間部にあたる)を有すると画定されるが、静的部分401は、クリップC全体を含むように一時的に延長される。言い換えると、静的部分は、2分の最短の継続時間を有する。結果として、クリップB及びCは、ESG701において前回に決定されたように送信のためにスケジューリングされる。しかしながら、図13から分かるように、動的部分410のクリップD、E及びFの送信の動的優先順位を再計算する際に、クリップFは、ここでクリップD及びEより前に送信のためにスケジューリングされる。よって、例えばクリップDは、ここで、ESG701においてクリップDが有した送信順序または優先順位以外の、異なる送信順序または優先順位をESG702において有する。
【0054】
最後に、次のスケジューリング間隔において、スケジューラ240は、クリップC、D、E、F及びGが送信に利用可能であると判断する(クリップBは送信された)。更に、スケジューラ240は、前回のスケジュール(ESG702)が存在したと判断して、静的部分401を決定する。しかしながら、静的部分401はクリップCを含むだけなので、ここで静的部分401は2分に戻される。よって、クリップCは、ESG702において前回に決定された様に、送信するようにスケジューリングされる。しかしながら、図13から分かるように、動的部分410において、クリップD、E、F及びGの送信の動的優先順位を再計算する際に、動的部分410において、クリップGは、ここで、クリップF、D及びEより先に送信するようにスケジューリングされる。よって、例えばクリップFはここで、ESG702においてクリップFが有した送信順序または優先順位以外の異なる送信順序または優先順位、ESG703を有する。
【0055】
上記を考慮して、時間のあらゆる時点でスケジューラによって生成されるスケジュールは2つの部分を有する。現在のスケジュールの静的部分は、対応する時点において前回のスケジュールにあったイベントを有する。スケジュールの静的部分はまた、スケジュールが移動するにつれて、時間ライン上で前に進む。言い換えると、30秒の静的継続時間がある場合、時間インスタンスtにおいて作られたスケジュールは時間tから時間t+30までの静的部分を有し、t+1秒につくられたスケジュールは、t+1からt+31の静的部分を有する。
【0056】
再スケジュールが生じるときはいつも、新しい再スケジュール変更は、t+静的持続時間から始まるスケジュールの動的部分に進む。ここで、tは再スケジュールの時間インスタンスである。新しいスケジュールの静的部分は、前回のスケジュールから、tからt+静的な継続時間の期間に対応するイベントを取り入れることによって作られる。固定された継続時間を静的部分(例えば30秒)について構成することができたとしても、正確な静的部分は、図13のESG701、702及び703に関して、上記に示したように、静的部分におけるクリップの継続時間により変化し得る。
【0057】
スケジュールの静的継続時間を、ある期間にわたって調整することができる。静的継続時間は、端末が必要とする最短スケジュール更新間隔に等しいことが理想的である。再スケジューリング間隔は、また、必要な場合、調整されて、新しいスケジュールを処理及び送信する際にあらゆるオーバヘッドを収容することができる。よって、あらゆるスケジュール変更は端末に送信され、一方、端末は、不変である静的部分に依存することができる。
【0058】
ここで、図14を参照すると、本発明の原理によるレシーバ100の例示的な実施形態が示されている。レシーバ100の本発明の概念に関係する部分だけが示されている。レシーバ100は、例えばPC、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、モバイルデジタルテレビ(DTV)等のあらゆるプロセッサベースのプラットフォームを表すものである。この点で、レシーバ100は、図14の破線のボックスの形で示されているプロセッサ890及びメモリ895で表されるような、1つまたは複数のプロセッサ及び付随するメモリを含む。この内容において、コンピュータプログラム、またはソフトウェアは、プロセッサ890による実行のためにメモリ895に格納される。後者は1つまたは複数の蓄積プログラム制御プロセッサを表すものであり、これらは、レシーバ機能専用に設けられる必要はない。例えば、プロセッサ890が、レシーバ100の他の機能を制御することもできる。メモリ895は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)等のあらゆる記憶装置を表現するものであり、レシーバ100に内臓であってもよいしかつ/または外付けであってもよい。更に、必要に応じて揮発性及び/または不揮発性である。レシーバ100は、DVB−Hレシーバ810、IP非カプセル化装置815及びFLUTEレシーバ820を含む。これらの構成要素のいずれかまたは全ては、プロセッサ890及びメモリ895で表示されるように、ソフトウェアで実行されてもよい。DVB−Hレシーバ810は、アンテナ805を介して(図6の)DVB−H信号186を受信し、IP非カプセル化装置815に復調信号を出力する。後者は、FLUTEレシーバ820にALCパケットを出力し、FLUTEレシーバ820は、信号821で表示されるようにコンテンツをリカバリする。このコンテンツは、(楕円830で表示されるように)当該技術分野で周知のようにレシーバ100で更に処理されてもよい。上記のようにかつ本発明の原理に従って、プロセッサ890は、選択されたクリップ(コンテンツ)を識別する際に用いるために静的部分及び動的部分を有するESGをリカバリする。この例では、FLUTEレシーバ820及びDVB−Hレシーバ810は、制御信号809及び819で表示されるようにプロセッサ890によって電源をオン/オフされ、少なくとも選択されていないコンテンツレシーバ100の一部は減少した電力で動作する。このように、プロセッサ890は、少なくともESGの動的部分に対応して、受信したプログラムガイドで表される選択されたコンテンツの受信をスケジューリングする。
【0059】
本発明の原理によるレシーバ900の別の例示的な実施形態が、図15に示されている。レシーバ900の本発明の概念に関する部分だけが示されている。レシーバ900は、DVB−Hレシーバ910、変調器/復号器915、トランスポートプロセッサ920、コントローラ950及びメモリ960を含む。例えば、アナログ・デジタル変換器、フロントエンドフィルタ等のレシーバの他の構成要素は、簡単にするために示されていないことに注意しなければならない。トランスポートプロセッサ920及びコントローラ950の両方は、1つまたは複数のマイクロプロセッサ及び/またはデジタル信号プロセッサ(DPS)を表すものであり、プログラムを実行しかつデータを格納するためのメモリを含むことができる。この点で、メモリ960は、レシーバ900のメモリを表示するものであり、例えば、トランスポートプロセッサ920及び/またはコントローラ950のあらゆるメモリも含む。例示的な双方向性のデータ及び制御バス901は、示されるようにレシーバ900の要素のうちの様々な要素を結合する。バス901は、例えば、(並列及び/または直列の形式で)個々の信号が、例えば、レシーバ900の要素同士の間でデータ及び制御信号を運ぶために用いられてもよいといったことを単に表すものである。DVB−Hレシーバ910は、DVB−H信号909を受信して、復調器/復号器915にダウンコンバートしたDVB−H信号911を出力する。復調器/復号器915は信号911の復調及び復号を行って、トランスポートプロセッサ920に復号化信号916を出力する。トランスポートプロセッサ920は、パケットプロセッサであって、リアルタイムプロトコルスタック及びFLUTE/ALCプロトコルスタックの両方を実施して、DVB−Hによるリアルタイムコンテンツまたはファイルベースのコンテンツのいずれかをリカバリする。トランスポートプロセッサ920は、コンテンツ信号921で表されるように、コンテンツを(楕円991で表示されるような)適当な次の回路に出力する。コントローラ950は、上記のフローチャートにより、バス901を介して、トランスポートプロセッサ920を制御し、メモリ960の記憶装置のために図13のESGで示されるようにESG情報をリカバリする。コントローラ960は、選択されたクリップ(コンテンツ)のために受信したESGの静的部分及び動的部分に応じて、制御信号951、952、及び953を用いて(バス901を介して)本発明の原理による、トランスポートプロセッサ920、DVB−Hレシーバ910及び復調器/復号器915のパワーマネジメントを行なう。このように、コントローラ960は、ESGの少なくとも動的部分に対応して、受信したプログラムガイドにおいて示された選択されたコンテンツの受信をスケジューリングする。
【0060】
レシーバ100またはレシーバ900のいずれかに用いられる例示的なフローチャートが、図16に示されている。ステップ505において、レシーバは、静的部分及び動的部分を有するESGを受信する。静的部分において示されるコンテンツの送信順序は、前回に受信したプログラムガイドの対応するコンテンツの送信順序から決定され、一方、動的部分において示されるコンテンツの送信順序は、前回に受信したプログラムガイドの対応するコンテンツの送信順序と異なっていてもよい。例えば、レシーバは、図13のESG702を受信する。ESG702において、静的部分401において示されるコンテンツの送信順序は、ESG701から決定され、一方、動的部分410において示されるコンテンツの送信順序は、ESG701で示されたように、前回に受信したプログラムガイドの対応するコンテンツの送信順序と異なっている。例えば、ESG701(前回に受信したプログラムガイド)において、クリップD及びEは、それぞれ、4分及び5分に送信するようにスケジューリングされていた。しかしながら、ESG702において、送信順序は、クリップD及びEがここでそれぞれ5分及び6分で送信されるようにスケジューリングされるように変更されたことが分かる。図16に戻ると、ステップ510において、レシーバは、例えば、ESGの動的部分が前回に受信したESGから変更されたかどうかを、前回に受信したESGとの比較によって、またはESGのバージョン番号(図示せず)を用いて判断する。ESGの動的部分が変更された場合、レシーバは必要に応じてステップ515においてあらゆるパワーマネジメントスケジュールを更新する。例えば、クリップDがレシーバにおいて選択されたコンテンツである場合、ESG701を受信すると、レシーバは、t=4分において受信をスケジューリングする。しかしながら、ESG702を受信した後に、レシーバは、プログラムガイドの動的部分における変更を検出し、t=5分においてクリップDで示されるように選択されたコンテンツの受信をここでスケジューリングする。よって、レシーバは、受信したプログラムガイドの少なくとも動的部分における変更に対応して、受信したプログラムガイドにおいて示された選択されたコンテンツの受信をスケジューリングする。
【0061】
便宜主義的な帯域幅環境(例えば可変ビットレート(VBR))では、出力チャネルの帯域幅は一定でないことにも注意しなければならない。これは、スケジューラによって行われる全てのタイミング計算に影響を及ぼす。このことを説明するために、スケジューラは、帯域幅フィードバックインタフェースを備えていてもよい。このように、スケジューラ240は、各クリップの送信継続時間(継続時間=クリップ/バンド幅の大きさ)を計算するために出力帯域幅をモニタする。該送信継続時間によって、スケジューラが次のクリップをスケジューリングすることができる時刻が決定される。このことは、図17のサーバ150’で示される。サーバ150’は、FLUTEセンダ220からスケジューラ240までのフィードバック通信パス244を除いて、図7のサーバ150と類似している。結果として、FLUTEセンダ220がスケジューラ240にフィードバック通信パス244を介して送信の完了を通知した時から、スケジューラ240は、帯域幅の変化を常にモニタすることができて、該変化を統計的に予測することができる。それゆえに、長期的には、スケジューラがつくるタイミングの予測は、より高い精度を有する。更に、スケジューラは各コンテンツの送信の状態を更新することができる。このことは、VBR環境において送信数の計算におけるエラーを最小にするのを助ける。
【0062】
上記のように、発明の概念は、放送網を介して送信のためのマルチメディアコンテンツファイルをスケジューリングする際の多くの問題に対処している。例えば、本発明の概念は、コンテンツデータベースが、新しいクリップの追加及び/または削除などで、ある期間にわたって変化できるようにする。更に、個々のクリップに付随するオペレータの好みは、時間とともに変化してもよい。更に、スケジューラは、CBR(固定ビットレート)またはVBR(可変ビットレート)出力チャネルに適用可能である。
【0063】
本発明の概念は、DVB−Hシステムの内容において説明されたが、本発明の概念はそれに限定されないことに注意しなければならない。更に、本発明の概念は、スケジューリングメタデータの特定の数の要素の内容において説明されたが、本発明の概念は、それに限定されず、追加のフィールド、または、より少ないフィールドがスケジューリングメタデータを含んでいてもよい。また、スケジューラがサーバまたはヘッドエンドの一部として示されたが、本発明はそれに限定されておらず、スケジューラは、サーバと別個であってESG及び/またはFLUTEセンダにスケジューリング情報を出力してもよい。
【0064】
上記を考慮して、前述のことは、単に本発明の原理を示すだけであり、よって、当業者は、本明細書において明確に記載されていないが本発明の原理を具体化しかつその趣旨及び範囲内にある多数の代替装置を考案することができるということが認められるだろう。例えば、別個の機能要素についての内容において示されているが、これらの機能要素は1つまたは複数の集積回路(IC)で具体化されてもよい。同様に、別個の要素として示されているが、(例えば、図7の)いずれかのまたは全ての要素は、デジタル信号プロセッサなどの蓄積プログラム制御プロセッサにおいて実施されてもよい。蓄積プログラム制御プロセッサは、図9、11及び12などの1つまたは複数のステップに対応しているといった付随するソフトウェアを実行する。更に、本発明の原理は、衛星システム、WiFi(Wireless Fidelity)方式、携帯電話等の他の種類の通信システムに適用できる。実際、本発明の概念は、固定型のレシーバまたはモバイルレシーバにも適用できる。従って、多数の変化形を例示的な実施形態について実施することができ、他の装置を本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく考案することができるということが理解されなければならない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、通信システムに関し、特に、地上波放送、セルラー方式、ワイヤレスフィデリティ(Wi−Fi)方式、衛星システムなどの無線システムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、MP3プレーヤから携帯情報端末、携帯電話、モバイルテレビ(TV)まで、モバイル機器があふれている。残念なことに、モバイル機器には、通常、コンピュータ資源及び/または電力に制約がある。この点で、DVB−H(Digital Video Broadcasting−Handheld)システムによるインターネットプロトコル(IP)データ放送は、エンドツーエンドのブロードキャストシステムであってかかるデバイス用に最適化されたIPベースのメカニズムを用いてあらゆる種類のファイル及びサービスを配信する。例えば、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、及び、非特許文献4を参照せよ。当該技術分野で周知のDVB−HシステムによるIPデータ放送の例が図1に示されている。図1において、ヘッドエンド10(本明細書において「サーバ」とも称される)は、レシーバ90で表示されているような、1つまたは複数の受信装置(本明細書において「クライアント」または「レシーバ」とも称される)に、アンテナ35を介して、DVB−H信号36をブロードキャストする。DVB−H信号36は、IPデータ放送をクライアントに伝達する。レシーバ90は、アンテナ(図示せず)を介して、DVB−H信号36を受信し、IPデータ放送のDVB−H信号36をリカバリする。図1のシステムは、片方向ネットワークを表す。
【0003】
上記のIPデータ放送は、例えば電子サービスガイド(ESG)及びコンテンツファイルなどのファイルを配布することによってコンテンツベースのサービスを提供するために用いられる。図1の内容において、コンテンツベースのサービスは、テレビ(TV)番組などのリアルタイムコンテンツ、または通常のTVプログラムより短いショートフォームコンテンツなどのファイルベースのコンテンツであってもよい。ESGによって、ユーザがコンテンツベースのサービスを選択し、レシーバが選択されたコンテンツをリカバリできるようにする能力が提供される。この点で、ESGは、通常、コンテンツ(「コンテンツ」は、本明細書においてイベントとも称される)に関する記述データまたはメタデータを含む。このメタデータは、本明細書において「コンテンツメタデータ」と称され、「コンテンツメタデータ」は、例えばテレビ番組の名前、粗筋、俳優、ディレクタ等、及び放送開始時間、放送日、放送時間、及び放送チャネルを含む。レシーバ90に付随するユーザは、ESGで識別される適当なチャネルにレシーバ90を同調させることにより、ESGで参照されるコンテンツを受信することができる。TV放送などのリアルタイムコンテンツの場合には、ESGがセッション記述プロトコル(SDP)ファイルを含むことに注意しなければならない(例えば、非特許文献5を参照する)。SDPファイルには、レシーバ90が選択されたブロードキャストコンテンツを受信できるようにする追加の情報が含まれる。
【0004】
ファイルベースのコンテンツについて、図1のヘッドエンド10は、FLUTE(FileDelivery over Unidirectional Transport)プロトコル(例えば、非特許文献6を参照する)を用いてファイルを配布する。FLUTEプロトコルは、片方向ネットワークを介してファイルまたはデータを送信するために用いられ、マルチキャストファイル配信を提供する。また、この例では、ヘッドエンド10は、FLUTEのための基本トランスポートとして、ALC(Asynchronous Layered Coding)プロトコルを用いると考えられる(例えば、非特許文献7を参照する)。ALCプロトコルは、任意のバイナリオブジェクトの配信のために設計されている。ALCプロトコルは、大規模で拡張性のある片方向マルチキャスト配信に特に適している。
【0005】
図2を、簡単に参照すると、FLUTEを用いたファイルベースのコンテンツの送信が、ESGをブロードキャストしているヘッドエンド10の内容において示されている。他のファイルベースのコンテンツの送信は、同様であって、本明細書において説明されていない。ヘッドエンド10は、ESGジェネレータ15、FLUTEセンダ20、IPカプセル化装置25、及びDVB−Hモジュレータ30を含む。ESGジェネレータ15は、FLUTEセンダ20にESGに出力する。FLUTEセンダ20は、ALCを介してFLUTEによりESGをフォーマットし、IPカプセル化装置25へFLUTEファイルを伝達する得られたALCパケットを出力して、当該技術分野で周知のようにIPパケット内でカプセル化する。得られたIPパケットは、図1に示したように、1つまたは複数の受信装置へ送信するためにDVB−Hモジュレータ30に出力される。レシーバは、特定のFLUTEチャネル(例えば、IPアドレス及びポート番号)に同調されて、レシーバで用いるためにESGをリカバリする。
【0006】
上で述べたように、レシーバは、バッテリの寿命などの電力の制約を有しているかもしれない。更に、放送網内のレシーバは、特定の時間に、特定のまたは選択されたファイルベースのコンテンツを受信しているだけかもしれない。その他の時間に、レシーバは、十分に電力を付与されているものの、放送網によって送信される他のあらゆるコンテンツを処理していない。このように、FLUTEセンダ(例えば、図2のヘッドエンド10のFLUTEセンダ20)とFLUTEレシーバ(例えば、図1のレシーバ90のFLUTEレシーバ部分(図示せず))とが時間同期されていて、選択された情報が受信されていない期間にレシーバが電力を抑えることができてレシーバのバッテリの寿命を延ばすことができたならば有益である。時間同期を実行する1つの方法が図3に示されている。特に、図3では、タイミング同期は、ネットワークタイムプロトコル(NTP)サーバ45を介してヘッドエンド10とレシーバ90との間で行なわれる。この場合、(ヘッドエンド10の)FLUTEセンダ20は、NTPサーバ45からのNTPタイムスタンプを含む日時表(TDT)(例えば、上記で参照したETSI EN 300 468 V1.7.1を参照せよ)を提供する。ヘッドエンド10は、DVB−H信号36内のTDTをブロードキャストする。次に、レシーバ90は、特定の時間に、ちょうど受信したNTP時間スタンプを用いて選択されたコンテンツを探す。あるいは、ヘッドエンド10は、ライブサービスブロードキャストに含まれるRTCP(Real−time Transport Control Protocol)センダレポート内にレシーバ90に対するNTPタイムスタンプを出力することができる(例えば、非特許文献8を参照する)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】ETSI EN 302 304 V1.1.1(2004−11)の「デジタルビデオブロードキャスティング規格(Digital Video Broadcasting);DVB−Hのための送信システム(Transmission System for Handheld Terminal)」
【非特許文献2】ETSI EN 300 468 V1.7.1(2006−05)「デジタルビデオブロードキャスティング規格(DVB);DVBシステムにおけるサービス情報(SI)のための仕様書」
【非特許文献3】ETSI TS 102 472 V1.1.1(2006−06)「デジタルビデオブロードキャスティング規格(DVB);DVB−HによるIPデータ放送:コンテンツ配信プロトコル」
【非特許文献4】ETSI TS 102 471 V1.1.1(2006−04)「デジタルビデオブロードキャスティング規格(DVB);DVB−HによるIPデータ放送:電子サービスガイド(ESG)」
【非特許文献5】M.ハンドリ、V.ヤコブソン、「RFC 2327−SDP:セッション記述プロトコル」1998年4月
【非特許文献6】T.パイラ、M.ラビィ、V.ロカ、R.ウォルシュ、「RFC 3926−FLUTE−FileDelivery over Unidirectional Transport」2004年10月
【非特許文献7】ラビィ、M.ゲメル、J.ビチザーノ(Vicisano)、L.リッツォ、及びL.J.クロウクロフト、「ALC(Asynchronous Layered Coding)プロトコルのインスタンス化」、RFC 3450、2002年12月
【非特許文献8】オーディオ/ビデオトランスポートワーキンググループ、H.シュルツリン(GMD Fokus)、S.キャスナ(プリセプトソフトウェア社)、R.フレデリック(ゼロックス・パロアルト・リサーチセンター)、V.ヤコブソン、「RFC 1889 RTP:リアルタイムアプリケーションのためのトランスポートプロトコル」1996年1月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
(例えば、図1に示すような)片方向放送網は、マルチメディアまたはデータコンテンツの拡張可能なブロードキャスティングにとって最上の選択である。放送網は、特にマルチメディアコンテンツの送信及びストリーミングのために広く用いられている。しかし、この種のネットワークは、レシーバのためのポイントツーポイントサービスを行う機能を欠いており、レシーバの好みについてセンダに知らせるためのレシーバ用の何らかの逆チャネルも有していない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
放送網を介して機能するプッシュ型ビデオオンデマンド(VOD)サービスを行うために、センダは、レシーバの好みのコンテンツを入手する際にできるだけ多くのレシーバを満足させなければならない。更に、コンテンツプロバイダ及びコンテンツオペレータも、自分たち自身の送信の優先順位を有している。「オペレータ」(サービスプロバイダとも称される)とは、ブロードキャストサービスを画定して、サービスのためのコンテンツを提供するエンティティである。「コンテンツプロバイダ」とは、特定のサービスまたは特定の一組のサービスのためのコンテンツを作るエンティティである。
【0010】
従ってかつ本発明の原理によれば、サーバは、静的部分及び動的部分を有するプログラムガイドを決定し、該静的部分で示されるコンテンツの送信順序が、前回に決定したプログラムガイドにおける対応するコンテンツの送信順序から決定され、一方、該動的部分で示されるコンテンツの送信順序が、該前回に決定したプログラムガイドにおける対応するコンテンツの送信順序と異なっていてもよい。
【0011】
本発明の例示的な実施形態において、ヘッドエンドはスケジューラを含み、該スケジューラは、コンテンツファイルについての送信順序を決定しかつ静的部分及び動的部分を有する電子サービスガイドを生成する。該動的部分においてスケジューリングされたコンテンツは、該電子サービスガイドの異なるバージョンにおいて異なる送信順序を有していてもよい。スケジュールタイミング情報及びメタデータ情報は、クリップとともに放送網を介して送信され、レシーバは、好みのクリップを選択的に受信して、バッテリ電源及び記憶装置を節約することができる。
【0012】
上記を考慮してかつ詳細な説明を読むと明らかになるように、他の実施形態及び特徴も実行可能であり、本発明の原理の範囲に入る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来技術によるDVB−H(Digital Video Broadcasting−Handheld)システムによるインターネットプロトコル(IP)データ放送を示す図である。
【図2】従来技術によるDVB−H(Digital Video Broadcasting−Handheld)システムによるインターネットプロトコル(IP)データ放送を示す図である。
【図3】従来技術によるDVB−H(Digital Video Broadcasting−Handheld)システムによるインターネットプロトコル(IP)データ放送を示す図である。
【図4】図1−3のシステムについてのファイルベースのコンテンツ送信及び付随するESGフラグメントを示す図である。
【図5】図1−3のシステムについてのファイルベースのコンテンツ送信及び付随するESGフラグメントを示す図である。
【図6】本発明の原理によるシステムの例示的な実施形態を示す図である。
【図7】本発明の原理による例示的なサーバを示す図である。
【図8】本発明の原理による例示的なスケジューリングメタデータを示す図である。
【図9】本発明の原理によるサーバ150で用いるための例示的なフローチャートを示す図である。
【図10】本発明の原理による例示的なスケジュールを示す図である。
【図11】本発明の原理によるサーバ150で用いるための他の例示的なフローチャートである。
【図12】本発明の原理によるサーバ150で用いるための他の例示的なフローチャートである。
【図13】本発明の原理による他の例示的なスケジュールを示す図である。
【図14】本発明の原理によるレシーバの例示的な実施形態を示す図である。
【図15】本発明の原理によるレシーバの例示的な実施形態を示す図である。
【図16】本発明の原理によるレシーバで用いる例示的なフローチャートである。
【図17】本発明の原理による別の例示的なサーバを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の概念による特徴を除いて、図に示された要素は、周知であって、詳述されない。例えば、本発明の概念による特徴を除いて、DMT(Discrete Multitone)送信(直交頻度分割多重方式(OFDM)または符号化直交頻度分割多重方式(COFDM)とも称される)について精通していることが前提とされており、本明細書では説明されない。また、テレビ放送、レシーバ、及びビデオ符号化について精通していることが前提とされており、本明細書では詳述されない。例えば、本発明の概念による特徴を除いて、例えばNTSC(全米テレビジョン放送方式標準化委員会)、PAL(位相反転線、Phase Alternation Lines)、SECAM(順次式カラーメモリ、Sequential Couleur Avec Memoire)及びATSC(Advanced Television Systems Committee)(ATSC)、中国デジタルテレビジョンシステム(GB)20600−2006などのTV標準、並びにDVB−Hのための現在のレコメンデーション及び提案されているレコメンデーションについて精通していることが前提とされている。同様に、本発明の概念による特徴を除いて、8−VSB(eight−level vestigial sideband)、直交振幅変調(QAM)などの他の送信概念、並びに、例えば無線周波数(RF)フロントエンド(例えば、低ノイズブロック、チューナ、ダウンコンバータ等)、復調器、相関器、リーク積分器、及び平方器(squarers)などのレシーバ構成要素が前提とされている。更に、本発明の概念による特徴を除いて、例えば、FLUTE(File Delivery over Unidirectional Transport)プロトコル、ALC(Asynchronous Layered Coding)プロトコル、インターネットプロトコル(IP)、及びIPE(Internet Protocol Encapsulator)などのプロトコルに精通していることが前提とされており、これらは本明細書において説明されていない。同様に、本発明の概念による特徴を除いて、トランスポートビットストリームを生成するためのフォーマット及び符号化方法(例えば、MPEG(Moving Picture Expert Group)−2システム標準(ISO/IEC 13818−1))は周知であって、本明細書において説明されていない。また、プル型VODサービス及びプッシュ型VODサービスにも精通していることが前提とされている。プル型VODサービスでは、ユーザは特定のビデオクリップを要求し、サーバは当該ビデオクリップをその特定のユーザに送信する。プッシュ型VODサービスでは、ユーザの好みのビデオが、ユーザがビデオを積極的に要求することなしに、レシーバにプッシュ配信される。本発明の概念は、本明細書において説明していない従来のプログラム技術を用いて実施されてもよいことに注意しなければならない。最後に、図の同じ番号は、同様の要素を表す。
【0015】
本発明の概念を説明する前に、図4は、従来技術によるDVB−Hのファイルベースのコンテンツ送信を示す。図4において、DVB−Hのファイルベースのコンテンツ送信は、クリップ50、51、52及び53で表されるような多数のイベント(本明細書においてクリップとも称される)を含む。各クリップは、多数のパケットを含むことができるが、これは本発明の概念に関係がない。ESGは、各クリップを開始時刻、終了時刻に付随させ、対応するFLUTEセッション内の付随するコンテンツファイルを識別する。このことは、クリップ51に付随するESGのフラグメント60(ESGフラグメント60)として図4に示されている。簡単にするために、他のESGデータは示されていない。図4に示すように、ESGフラグメント60は、ContentLocationパラメータ65、PublishedStartTimeパラメータ61、及びクリップ51に付随するPublishedEndTimeパラメータ62を含む。この例では、対応するFLUTEセッション内の付随するコンテンツファイルは、「Clip1.mp4」である。PublishedStartTime63の実際の値及びPublishedEndTime64の実際の値は、協定世界時(UTC)装置に存する。PublishedStartTimeの値は、FLUTEセンダが実際にファイルの送信を開始する時刻である。即ち、クリップがFLUTEセンダからシステムチェインにおける次のブロックに渡される時刻である。このことは、DVB−Hシステムについての図5に更に示されている。即ち、PublishedStartTimeの値は、FLUTEセンダ20がIPカプセル化装置25にクリップを渡す時刻である。
【0016】
前に述べたように、放送網を介して機能するプッシュ型ビデオオンデマンド(VOD)サービスを行うために、センダは、レシーバの好みのコンテンツを入手する際にできるだけ多くのレシーバを満足させなければならない。更に、コンテンツプロバイダ及びコンテンツオペレータも、自分たち自身の送信の優先順位を有している。「オペレータ」(サービスプロバイダとも称される)とは、ブロードキャストサービスを画定して、サービスのためのコンテンツを提供するエンティティである。「コンテンツプロバイダ」とは、特定のサービスまたは特定の一組のサービスのためのコンテンツを作るエンティティである。
【0017】
上記を考えると、プッシュ型VODサービスにおいて送信用のコンテンツを配給しかつスケジューリングすることに関して、多くの問題が見出される。例えば、コンテンツデータベースは、ある期間にわたって変化するかもしれず、オペレータの好みも、新しいクリップの追加とともに変化するかもしれない。従って、新しいクリップの追加によるオペレータの好みの変化が、あまり好まれないクリップがブロードキャストのためにずっとスケジューリングされるのを無期限に防ぐことになるので、新しいクリップが追加されるときに、クリップの送信についての優先順位ベースのスケジューリングを実行することができない。
【0018】
更に、スケジュールの予測可能性は、別の重要な要因である。スケジュールは、クリップの追加及び除去によってあらゆる時点でまたは優先順位の変更があっても変化し得る。しかしながら、片方向ネットワーク環境において、レシーバ端末は、その好みのコンテンツをタイムリに受信するためにスケジュールに大きく依存している。スケジュールが予測できない場合、レシーバは常駐しなければならず、このことによって無駄に電力が浪費される。更に、片方向ネットワークにおいて、レシーバは、失われたファイルについてセンダに知らせる手段を備えていない。それゆえに、スケジュールの予測可能性は、レシーバの動作にとって非常に重要である。
【0019】
また、レシーバにおける好みの設定は、ユーザの個人的な興味、レシーバの場所、受信時間等により異なってくる。例えば、マルチメディアクリップブロードキャストにおいて、視聴者は非常に好ましいクリップを何度も繰り返して入手するよりはむしろ新しいクリップを入手するのを必然的に好むということが報告されている。しかしながら、ブロードキャストプッシュ型VODサービスにおいて、好みの設定に直ちに配慮することができる逆チャネルはない。この点で、マルチメディアクリップのための送信スケジュールを更新するときに、あらゆるスケジューリングは、かかる問題に対処しなければならない。
【0020】
上記を考慮し、本発明の原理に従って、プッシュ型VODサービスが上記の問題に対処できるようにするスケジューラが説明されている。従ってかつ本発明の原理により、ヘッドエンドは、動的優先順位の値の関数として、コンテンツファイルについての送信順序を決定する。動的優先順位の値の関数は、少なくともコンテンツファイル同士の間の相違の測定により決定される。ヘッドエンドは、決定された送信順序に従ってコンテンツファイルを送信する。
【0021】
本発明の例示的な実施形態において、コンテンツファイルは、スポーツビデオ、音楽ビデオ、ニュースクリップ、映画サウンドトラック等のようないずれの種類のオーディオ/ビデオクリップであってもよく、「クリップメタデータ」は各クリップに付随している。ヘッドエンドはスケジューラを含み、該スケジューラは、動的優先順位の値の関数として、コンテンツファイルについての送信順序を決定する。動的優先順位の値の関数は、少なくともコンテンツファイル同士の間の相違の測定により決定される。コンテンツファイルの相違の測定は、各クリップに付随するクリップメタデータの関数として更に決定される。スケジュールタイミング情報及びメタデータ情報は、クリップとともに放送網を介して送信され、レシーバは、好みのクリップの選択的な受信を行って、バッテリ電源及び記憶装置を節約することができる。
【0022】
ここで、図6を参照すると、本発明の原理による例示的なシステムが示されている。この例のために、図6に示したシステムは、本発明の概念による特徴を除いて、図1で説明したDVB−HシステムによるIPデータ放送と類似のDVB−HシステムによるIPデータ放送であると考えられる。本発明の原理により、ヘッドエンド150は、マルチメディアコンテンツファイルに付随する記述データを解析して該マルチメディアコンテンツファイルについての送信順序を決定する。更に、アンテナ185を介して、決定された送信順序に従ってマルチメディアコンテンツファイルを送信する。特に、ヘッドエンド150は、ラップトップコンピュータ100−1、携帯情報端末(PDA)100−2、及び携帯電話100−3のうちのいずれか1つで表されるような、1つまたは複数の受信装置(本明細書において「クライアント」または「レシーバ」とも称される)にIPデータ放送をブロードキャストするためのDVB−H信号186をブロードキャストする。その各々は、DVB−H信号を受信して、リアルタイムコンテンツ及びファイルベースのコンテンツのためのブロードキャストIPデータ放送のDVB−H信号のリカバリをすると考えられる。図6のシステムは、片方向ネットワークを表すものである。しかしながら、本発明の概念は、そのようには限定されていない。
【0023】
本発明の原理によるヘッドエンドまたはサーバ150の例示的な実施形態が図7に示されている。本発明の概念による特徴を除いて、図7に示された要素は周知であって、本明細書において説明されていない。ヘッドエンド150は、プロセッサベースのシステムであって、図7の破線のボックスの形で示されたプロセッサ190及びメモリ195で表されるような、1つまたは複数のプロセッサ及び付随するメモリを含む。この内容では、コンピュータプログラムまたはソフトウェアが、プロセッサ190による実行のためにメモリ195に格納されていて、例えばスケジューラ240を実行する。プロセッサ190は、1つまたは複数の蓄積プログラム制御プロセッサを表すものであり、これらは、スケジューリング機能専用に設けられなくてもよい。例えば、プロセッサ190がヘッドエンド150の他の機能も制御することができる。メモリ195は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)等のあらゆる記憶装置を表すものである。メモリ195は、ヘッドエンド150に内臓されていてもよいしかつ/または外付けであってもよい。更に、メモリ195は、必要に応じて揮発性及び/または不揮発性である。
【0024】
ヘッドエンド150は、ESGジェネレータ215、FLUTEセンダ220、IPカプセル化装置225、DVB−Hモジュレータ230、コンテンツデータベース235及びスケジューラ240を含む。ESGジェネレータ215、FLUTEセンダ220、IPカプセル化装置225、及びDVB−Hモジュレータ230は、図2に示された対応する構成要素と同様であり、本明細書において、これ以上説明されない。本発明の概念による特徴を除いて、以下に説明されるESGジェネレータ215は、FLUTEセンダ220にESGを出力する。FLUTEセンダ220は、ALCを介してFLUTEによりESGをフォーマットし、当該技術分野で周知であるように、IPパケットにおけるカプセル化のためにIPカプセル化装置225へFLUTEファイルを運ぶ得られるALCパケットを出力する。得られたIPパケットは、図6に示したように、1つまたは複数の受信装置に対する送信のためにDVB−Hモジュレータ230に出力される。レシーバ(例えば図6のレシーバ100−2)は、特定のFLUTEチャネル(例えばIPアドレス及びポート番号)に同調させて、レシーバにおける使用のためにESGをリカバリする。
【0025】
図7に示さすように、ヘッドエンド150はまた、コンテンツデータベース235及びスケジューラ240を含む。コンテンツデータベース235は、コンテンツ、即ちマルチメディアコンテンツファイルを格納する。これらのマルチメディアコンテンツファイルは、スポーツビデオ、音楽ビデオ、ニュースクリップ、映画サウンドトラック等のようなあらゆる種類のオーディオ/ビデオクリップである。本発明の概念による特徴を除いて、これらのクリップは、信号238を介して、FLUTEセンダ220に出力され、図4に関して先に述べたようにDVB−Hにおいてファイルベースのコンテンツ送信として送信される。コンテンツメタデータは、各クリップに付随する。各クリップについてのコンテンツメタデータは、ESGジェネレータ215に出力され、本発明の原理により、信号236を介してスケジューラ240に出力される。スケジューラ240は、信号239を介して、コンテンツデータベース235を制御しかつモニタする。その結果、スケジューラ240は、例えば、クリップのコンテンツメタデータを変更することによる追加/削除または変更などの、コンテンツデータベース235に対する変更を検出する。
【0026】
本発明の原理により、スケジューラ240は、コンテンツデータベース235に格納されたクリップに付随するコンテンツメタデータを解析して、マルチメディアコンテンツファイルについての送信順序を決定する。この点で、スケジューラ240は、制御信号242を介して、FLUTEセンダ220に対する送信順序を制御する。更に、スケジューラ240は、信号241を介して、レシーバに送信されるESGを生成する際に用いる追加のスケジューリング情報をESGジェネレータ215に出力する。この追加のスケジューリング情報は、本明細書において「スケジューリングメタデータ」と称される。特に、各クリップに付随するコンテンツメタデータに加えて、スケジューラ240は、図8に示すようなスケジューリングメタデータを追加する。スケジューリングメタデータ200は、多数のフィールドを含む。即ち、動的優先順位201、送信数202、待ち時間203、及び、任意でキーワード204(点線の形で示されている)である。よって、各クリップについて、コンテンツメタデータ210に加えてスケジューリングメタデータ200がある。これは、図8に示したようにクリップメタデータ全体220と本明細書において称される。コンテンツメタデータ210は、コンテンツデータベース235に格納される。コンテンツメタデータ210は、コンテンツID211、優先順位212、説明213、及び任意でキーワード214(点線形式で示された)を含む。例示として、XML(拡張マークアップ言語)が、メタデータを表すために用いられてもよい。
【0027】
メタデータ210に関して、コンテンツID211は、コンテンツデータベース235の各クリップを識別するために一意の数で示される識別子である。優先順位212は、識別されたクリップについて優先レベルを表す数値である。説明213は、例えば、テレビ番組の名前、概要、俳優、ディレクタ、及びブロードキャストについての予定時刻、予定日、放送時間及びチャネルである。最後に、キーワード214は、識別されたクリップのコンテンツを簡単に説明している1つまたは複数のキーワードを表す文字数字の単語のリストである。
【0028】
スケジューリングメタデータ200に関して、動的優先順位201は、識別されたクリップをブロードキャストするかまたは送信するための実際の優先レベルを表す数値である。送信数202は、識別されたクリップがブロードキャストまたは送信された回数を表す数値である。待ち時間203は、識別されたクリップが最後にブロードキャストされた時から経過した秒数を表す数値である。最後に、キーワード204は、識別されたクリップのコンテンツを簡単に説明している1つまたは複数のキーワードを表す文字数字の単語のリストである。上記のように、キーワードは、スケジューリングメタデータ200またはコンテンツメタデータ210のいずれかにあってもよい。スケジューリングメタデータ200において、キーワード204は、説明213を解析しているスケジューラ240によって決定される。コンテンツメタデータ210において、キーワード214は、コンテンツメタデータ210の一部として、オペレータにより設定される。
【0029】
ここで、図9のフローチャートに注意を向けなければならない。該フローチャートは、本発明の原理による例示的なスケジューリング方法を示す。ステップ305において、スケジューラ240は、スケジューリング頻度fs(316)及び、スケジュールの静的部分(後述される)を初期化しかつ決定する。スケジューリング頻度fs(316)は、スケジュールの静的部分であるように、演繹的に例示的に決定される。例えば、これらは、図7のメモリ195に格納される値である。これらの値は、また、(例えば、キーボード/コンソール(図示せず)を介して)信号243を介してオペレータにより設定されてもよい。スケジューリング頻度fs(316)は、スケジュールがどれくらいの頻度で生成されるかを決定する。ステップ310において、スケジューラ240は、コンテンツデータベース235に格納されたクリップについてのコンテンツメタデータを取り出す。
【0030】
ステップ315において、スケジューラ240は、スケジュールを生成する時刻か否かをチェックする。それはスケジューリング頻度fs(316)により決定される。スケジュールを生成する時刻でない場合、ステップ325において、スケジューラ240は、(例えば、図7の信号239を介して)コンテンツデータベース235が更新されたかどうかをチェックする。コンテンツデータベース235が更新されていない場合、スケジューラ240は、ステップ315において、スケジュールを生成する時刻か否かを再びチェックする。しかしながら、コンテンツデータベース235が更新された場合、ステップ310において、スケジューラ240は、更新されたコンテンツを取り出す。この更新されたコンテンツは、変更されたコンテンツ、新しいコンテンツ、または削除されたコンテンツを表す。この点で、スケジューラ240は、必要に応じて、取り出されたコンテンツメタデータを生成、更新、または削除するために、ステップ310において必要な処理を行う。
【0031】
ステップ315において、一旦スケジューラ240が、スケジュールを生成する時刻であると判断すると、ステップ320に実行を進める。そこで、スケジューラ240は、識別されたクリップ各々についてのスケジューリングメタデータ200の値を決定するかまたは更新し、スケジュールを生成する。最初に、必要に応じて、スケジューラ240は、説明213を解析して、スケジューリングメタデータ200のキーワード204フィールド用のキーワードを決定する。あるいは、スケジューラ240は、もしあればキーワード214を使用する。次に、スケジューラ240は、識別されたクリップ(コンテンツID211)についての実際の優先順位を表す値を決定して、この値を動的優先順位201(以下に詳述される)に格納する。スケジューラ240はまた、送信数202の値を更新して、識別されたクリップが送信された回数を表す。更に、識別されたクリップが最後にブロードキャストされたときから経過した秒数を表している待ち時間203の値を更新する。一旦識別されたクリップ各々についてのスケジューリングメタデータが決定されると、スケジューラ240は、(信号241を介して)ESGジェネレータ215及び(信号242を介して)FLUTEセンダ220が使用するためのスケジュールを生成する。ステップ325に実行は続く。簡単にするために、他の端末及び/またはエラー状態は、本明細書で説明されているフローチャートにおいて示されていないことにも注意しなければならない。
【0032】
レシーバ側及びセンダ側の両方の不必要な実施の複雑さを避けるために、スケジューラ240は、ノンプリエンプティブなスケジューラとして例示的に設計されている。これは、各ビデオクリップまたは他のあらゆるコンテンツファイルを小なる部分に分割せず、異なるタイムスロットに及んで送信されないということを意味する。言い換えると、一旦コンテンツ送信が開始されると、該送信は、別のクリップを送信するためにスケジューラ240に最後まで割り込まれない。このことは、端末における受信完了までの所要時間を最小限にするのに役立つ。しかしながら、本発明の概念は、それに限定されておらず、プリエンプティブスケジューラにも適用できる。
【0033】
上で述べたように、スケジューラ240はスケジュールを生成する。本発明の原理により、例示的なスケジュール400が、図10に示される。スケジュール400は、静的部分401及び動的部分410を含む。静的部分401は、J個のクリップを含む。即ち、A(401−1)、C(401−2)、・・・F(401−J)であり、ここでJ≧0である。動的部分410は、K個のクリップを含む。即ち、D(410−1)・・・E(410−K)であり、ここでK≧0である。スケジュールの継続時間は、終了時刻から開始時刻を引いたものである(即ち、tE−tS)。図10から分かるように、静的部分401は、開始時刻tSで始まり、時刻tDで終わる。時刻tDは、動的部分410の開始時刻である。動的部分410は、スケジュール終了時刻tEで終わる。図10から分かるように、各クリップは、付随する継続時間を有する。例えば、クリップC(401−2)は、Dcという付随する継続時間を有する。図10は、静的部分及び動的部分を示すが、いずれかの部分のクリップの数がゼロであってもよい、即ち、tSはtDに等しくてもよいことに注意しなければならない。
【0034】
ここで図11を参照すると、図9のステップ320において用いられる例示的なフローチャートが示されている。新しいスケジュールを生成する時刻である場合、スケジュール時刻tが初期化される。例えば、図11のステップ350において、tS=0である。ステップ355において、スケジューラ240は、前回のスケジュールが存在するかどうか調べる。前回のスケジュールが存在する場合、ステップ360において、スケジューラ240は前回のスケジュールをロードし、前回のスケジュールの動的部分の開始時刻に等しいtをセットする。例えば、図10のスケジュール400についてt=tDである。いずれの場合も、ステップ365において、スケジューラ240は、このスケジューリングセッション(下記に詳述される)のために取り出された各クリップまたはコンテンツの動的優先順位(Dp(t))を決定する。ステップ370において、最も高い動的優先順位Dp(t)を有するクリップ(i)が、スケジュール時刻tで始まる新しいスケジュールに配される。このクリップ(i)は、Diという付随する継続時間を有する。ステップ375において、スケジュール時刻tは、t=t+Diへ進む。ステップ380において、スケジュール時刻tは、スケジュール終了時刻tEと照合される。スケジュールの終了時刻に至っている場合、ステップ385において、スケジューラ240は新しいスケジュールに戻るかまたは新しいスケジュールを生成する。しかしながら、スケジュールの終了時刻に至っていない場合、スケジューラ240は、ステップ365において残りのクリップについての動的優先順位(Dp(t))を再計算して、最も高い動的優先順位(Dp(t))を備えたクリップを再び選択する。この処理は、スケジューラ240が全部のスケジュールを埋めるまで、繰り返される。フローチャートに示すように、前回のスケジュールがシステム内に存在する場合、開始時刻「t」は、動的優先順位の計算を行う前に調整される。この場合、前回のスケジュールの静的部分のイベントは、そのまま新しいスケジュールにコピーされる。これは、レシーバ(後述される)において、スケジュールをより予測可能にするために行われる。
【0035】
特定の時間インスタントtにスケジューリングされたクリップがそのインスタントにおけるクリップの動的優先順位により決定されるということが、図11のフローチャートから分かる。図11のステップ365の例示的な実施形態が、図12に示される。ステップ450において、スケジューラ240は、現在のスケジュール時刻t及び現在の継続時間Diをロードする。前回のスケジュールが存在せず、クリップがこのスケジューリングセッションにおいて現在のスケジューリングされていなければ、現在の継続時間Diはゼロに等しい。前回のスケジュールが存在するが、クリップがこのスケジューリングセッションにおいて現在スケジューリングされていなければ、Diは、動的部分の開始時刻tDと静的部分の開始時刻との間の差に等しい。一方、Diは、スケジューリングされた最後のクリップの継続時間に等しい。ステップ455において、スケジューラ455は全てのクリップの送信数(例えば、図8の送信数202)を更新して、同様に全てのクリップの最後のブロードキャスト時間を更新する。ステップ460において、スケジューラ240は、現在の継続時間Diの値をチェックする。現在の継続時間Diの値がゼロに等しい場合、ステップ470において、各クリップについての待ち時間Wt(図8に示された待ち時間203としても示されている)が、
Wt=クリップ(i)の最終ブロードキャスト時刻−t (1)
で計算される。それは、単に、そのクリップについての現在の時刻と最終のブロードキャスト時間との間の差である。しかしながら、現在の継続時間Diの値がゼロに等しくない場合、ステップ465において、この継続時間は、各クリップについての待ち時間Wt(図8に示された待ち時間203としても示されている)に加えられて、
Wt=Wt+Di (2)
で算出される。ここで、Diは、前回にスケジューリングされたクリップの継続時間(またはスケジュールの静的部分の時間の継続時間)を表す。
【0036】
ステップ475において、スケジューラ240は送信のためにまだスケジューリングされていないクリップの相違点を決定する。この点で、ブロードキャストを介したプッシュ型VODのアプリケーションを実現する際に、フィードバックチャネルが不足していることに注意しなければならない。エンドユーザが自分たちの好みをセンダに知らせるための逆チャネルはない。プッシュ型VODのアプリケーションにおいて、通常、その優先順位が互いに異なる様々なユーザ(レシーバ)がいる。この特定の問題に配慮しないスケジューラは、プッシュ型VODのアプリケーションにとって理想的でない。例えば、熱狂的サッカーファンは、自分がサッカーのワールドカップハイライトを入手するためにニュース及び音楽ビデオの次の10クリップの送信が終わるまで待たなければならないならば、プッシュ型VODアプリケーションの類へ決して行かない。
【0037】
様々な視聴者の好みの可能性を考慮するために、かつ本発明の原理により、図12のステップ475において、スケジューラ240は、前回にスケジューリングされたクリップと比較してスケジュール用に利用可能なクリップの各々の相違について重み付けを与える。例えば、時刻tにおいて最も異なるクリップは、他のクリップより大きい異なる重み付け値を有する。次に、この異なる重み付け値は、クリップの動的優先順位を決定する際に引き続き用いられ、その結果(後述されるように、他の要因を考慮しない)、連続した送信のために類似のクリップの列を作る代わりに、異なるクリップが、互いに隣接して送信されるようにスケジューリングされる。スケジューリングされていないクリップはスケジューリングされたクリップと比較してどれだけ類似しているかを見出すために、スケジューラは、各クリップに付随するキーワードのデータ(図8のキーワード204)を例示的に使用する。上で述べたように、コンテンツプロバイダは、このキーワードデータを提供することができかつ/または、オペレータもコンテンツをよりよく分類するために追加のキーワードを指定することもできる。あるいは、上でも述べたように、スケジューラ240は、図8の説明213を解析して、説明213自体でキーワードを形成してキーワード204に格納することができる。特定のクリップについてのキーワード204またはキーワード214におけるキーワードの全リストは、類似性の測定を行うために他のクリップのそれぞれのキーワードと対照される。2組のキーワードの間で相関の割合を計算するいくつかの方法がある。例えば2つのベクトルのドット積をとることによって、2組のキーワードの間の相関が見つけられる。
【0038】
例示的に、ステップ475において、スケジューラは、例えば、クリップXで示されたスケジューリングされていないクリップ及びクリップYで示された最後にスケジューリングされたクリップである、2つのクリップの間で以下の類似性の測定を行なう。
【0039】
【数1】
【0040】
ここで、S(x,y)は、クリップXとクリップYとの間の類似性の測定である。Nsは、クリップX及びクリップYの両方における類似のキーワードの総数である。N(x)は、クリップXのキーワードの総数であり、N(y)は、クリップYにおけるキーワードの総数である。方程式(3)において、S(x,y)の値は、0と1との間で変化し得る。1の値は完全に類似するクリップを表し、0の値は完全に異なるクリップを表す。それゆえに、相違の測定は、
Ds(x,y)=1−S(x,y) (4)
になる。
【0041】
次に、スケジューリングされていないクリップ各々の相違の測定Ds(x,y)が、クリップについての動的優先順位を決定する際にスケジューラ240によって用いられる。このプロセスにおいて、キーワードを特定したオペレータ/コンテンツプロバイダは、キーワードは、概要フィールド/要約フィールドを解析することによってスケジューラにより生成されるキーワードより大きく重み付けされる。
【0042】
相違の測定は、前回のものと比較された場合に最も異なるクリップを識別するために行われるだけでなく、送信についての前回の履歴と比較された場合に最も異なるクリップを見出すために延長されてもよいことに注意しなければならない。これは、異なる測定を過去の相違の移動平均とすることによって実現される。このように、方程式(3)及び方程式(4)に加えて、スケジューラ240は、更に相違の測定を精緻化することもできる。特に、継続時間Δtを有するクリップXが時刻「t−Δt」においてスケジューリングされると仮定する。次に、時刻「t」における各クリップのDsを、同様に、
Ds(t)=(1−α)*Ds(x,i)+α*Ds(t−Δt) (5)
で計算することができる。ここで、Ds(x,i)は、(方程式(3)及び方程式(4)から)クリップXに対するクリップ(i)の相違であり、Ds(t−Δt)は、時刻t−Δtにおいて、即ち、前回のスケジュール間隔で、とられたクリップ(i)の相違値である。αは、その値が0と1との間の範囲にある定数である。αの値は、より大きい重み付けが、前回の履歴についてより最近スケジューリングされたクリップに対する相違に与えられるといった方法で選択される。
【0043】
スケジューリングされていないクリップ各々のための相違値を決定した後に、ステップ480において、スケジューラ240は、全てのスケジューリングされていないクリップについて動的優先順位を決定する。例示として、時刻「t」における各クリップの動的優先順位は、
Dp(t)=KpP+KdDs(t)+KwWt−KsSc (6)
で与えられる。ここでDp(t)は、時刻tにおけるクリップの動的優先順位である。Pはクリップの優先順位(例えば図8の優先順位212)を与えられるオペレータ/コンテンツプロバイダである。Ds(t)は、時刻tにおけるクリップについての上記の相違の測定である(あるいは、Ds(x,y)がDs(t)の代わりに用いられてもよい)。Wtは、時刻tにおけるクリップの待ち時間である。Scは、クリップの送信数である。Kp、Kd、Kw、及びKsは、それぞれ、オペレータの優先順位、相違、経時、及び送信数についての関連する重み付けを決定する定数である。これらの定数を演繹的に設定することができると共に、これらの定数はまた、最適のスケジュールを得るために手作業で調整することができるかまたは視聴者から任意に集計フィードバックを利用することによってスケジューラにおいて調整することができる。集計フィードバックは、異なるインスタンスにおいてとられた視聴者からの一群のオフラインのフィードバックである。集計フィードバックは、ウェブポータルベースのもしくはSMS(ショートメッセージサービス)ベースのゲートウェイまたは他の類似の通信チャネルのいずれかを介して実現することできる。
【0044】
動的優先順位が方程式(6)の内容において説明されたが、変数P、Ds(t)、Wt及びScのうちのいずれか1つ、2つ、または3つを、動的優先順位を決定するために用いることができるということに注意しなければならない。実際、追加のパラメータも、本発明の原理に従って動的優先順位を決定するためにこれらの4つに加えて定義することができる。
【0045】
上で述べたように、例示として、送信数Scは、スケジューリングプロセスにおいて、クリップが送信された回数を考慮するために用いられる。例えば、ビデオクリップブロードキャストシステムにおいて、視聴者は常に、新しいクリップを探す。通常、視聴者は、古いクリップよりもむしろ新しいクリップを選択する。古いクリップがオペレータまたはコンテンツプロバイダによって高く評価されていたとしても時々この場合がある。それゆえに、スケジューラは、クリップが送信された回数を考慮して、それによってクリップをスケジューリングしなければならない。スケジューラは、Scを用いてこの問題を解決して、特定のクリップが送信された回数を計数する。全ての新しいクリップは、ゼロである送信数Scの値を有する。クリップの動的優先順位を決定する際に、スケジューラは送信数に正比例して優先順位を低くする。言い換えると、送信数が少なくなるほど、動的優先順位における順序が高くなる。
【0046】
この点で、スケジューラは、古いクリップより高い優先順位のコンテンツを優先し、古いクリップより新しく追加されたクリップに配慮するので、新しいクリップを頻繁に追加することによって、低い優先順位のクリップを過去に送信されたことなしにデータベースにおいていつまでも保持する可能性がある。このことを補うために、方程式(6)のパラメータWtを介して、スケジューラはクリップの経時(aging)を説明する。このように、クリップの動的優先順位は、待ち時間が長くなるにつれて高くなる。
【0047】
クリップについてオペレータ/コンテンツプロバイダの優先順位Pを上げることは、動的優先順位を直接上げることにつながることが方程式(6)からも分かる。それゆえに、オペレータ/コンテンツプロバイダの好みのクリップは、早期にスケジューリングされる可能性が高い。
【0048】
ステップ485において、スケジューラ240は、送信のために時刻tにおいて最も高いかまたは最大の動的優先順位Dp(t)を有するクリップを選択し、スケジュール内にこのクリップを配する。多数のクリップが同等の動的優先順位を有する場合、スケジューラ240は、クリップのうちの1つを選択することができるかまたは同等の動的優先順位のクリップの間でラウンドロビンスケジュールを実行することができることに注意しなければならない。例えば、一組のクリップの全ての優先順位の測定が同じ値を生じる場合、スケジューラは単に該一組のクリップを繰り返してスケジュールをつくり、それらの全てが送信されたということを確かめる。
【0049】
ステップ490において、選択されたクリップは、その待ち時間をゼロに設定し(例えば、図8の待ち時間203)、Diは選択されたクリップの継続時間に等しく設定され、スケジューリングプロセスの次の繰り返しにおいて、(上述されたように)このDiの値がステップ450で用いられる。
【0050】
上で述べたように、スケジュールの予測性は重要である。片方向ブロードキャスト環境において、レシーバは、コンテンツの選択的な受信を行えるようになるスケジュール及びメタデータ情報に大いに依存する。それで、レシーバが前もってスケジュールを受信しなければならないことは非常に重要である。更に、いずれかのスケジュールの変更が新しいコンテンツの追加によりまたは他の理由のためにサーバに生じる場合、最新のスケジュールは、全てのレシーバに送信される必要がある。スケジューラは、例えばT=1/fsごとにといった、周期的なスケジュール更新を送信することによってこれを行う。fsは前に述べたスケジューリング頻度である。例えば、周期的なスケジュール更新は、新しくスケジューリングされたイベント及びスケジューリングされたコンテンツに付随する他のメタデータ等を含む。この情報を用いて、レシーバは、レシーバがコンテンツを受信する必要があるかどうか、かついつ同調させてコンテンツを得る必要があるかを決めることができる。よって、端末は電力及び記憶空間を節約することができる。
【0051】
しかしながら、実際のシステムにおいて、スケジュールの更新及び端末でのスケジュール更新の即時の受信についての頻度は限定される。言い換えると、一旦スケジュール変更がサーバに生じると、レシーバが該スケジュール変更について知るのにある程度時間がかかる。この遅延を端末での最短スケジュール更新間隔とみなす。この最短スケジュール更新間隔及びそのため予測が不可能であることを説明するためにかつ本発明の原理に従って、スケジューラは別の概念、即ち、図10において示したようにスケジュールを静的部分及び動的部分に分けることを取り入れる。
【0052】
これは、図13において更に示されている。この図は、連続する時間間隔を通してスケジューラ240による3つのESG701、702、及び703の構成を示している。簡単にするために、ESGは1分ごとに形成されており、以前のスケジュールはなかったと仮定する。スケジューラ240によって、0分に形成された、第1のESGは、ESG701である。ESG701を形成する際に、スケジューラ240は、クリップA、B、C、D及びEが送信に利用可能であることを決定して、図9、11及び12の上記のスケジューリングプロセスに従って図13に示したように送信のためのそれらをスケジューリングする。図13から分かるように、ESG701において、クリップA、B、D及びEの各々は1分の継続時間を有し、一方、クリップCは2分の継続時間を有する。更に、静的部分401が2分の継続時間を有すると演繹的に画定され、ESG401の残りの部分は、ESGの動的部分410として設計されていると考えられる。
【0053】
次のスケジューリング間隔で、スケジューラ240は、クリップB、C、D、E及びFは、送信に利用可能であると判断する(クリップAは送信された)。更に、スケジューラ240は、前回のスケジュール(ESG701)が存在したと判断して、静的部分401を決定する。先に述べたように、スケジューラ240は、ノンプリエンプティブなスケジューラとして例示的に設計されている。このことは、各ビデオクリップまたは他のいずれかのコンテンツファイルが小なる部分に分けられず、異なるタイムスロットに分散して送信されないことを意味する。よって、静的部分401は、2分の継続時間(クリップCの中間部にあたる)を有すると画定されるが、静的部分401は、クリップC全体を含むように一時的に延長される。言い換えると、静的部分は、2分の最短の継続時間を有する。結果として、クリップB及びCは、ESG701において前回に決定されたように送信のためにスケジューリングされる。しかしながら、図13から分かるように、動的部分410のクリップD、E及びFの送信の動的優先順位を再計算する際に、クリップFは、ここでクリップD及びEより前に送信のためにスケジューリングされる。よって、例えばクリップDは、ここで、ESG701においてクリップDが有した送信順序または優先順位以外の、異なる送信順序または優先順位をESG702において有する。
【0054】
最後に、次のスケジューリング間隔において、スケジューラ240は、クリップC、D、E、F及びGが送信に利用可能であると判断する(クリップBは送信された)。更に、スケジューラ240は、前回のスケジュール(ESG702)が存在したと判断して、静的部分401を決定する。しかしながら、静的部分401はクリップCを含むだけなので、ここで静的部分401は2分に戻される。よって、クリップCは、ESG702において前回に決定された様に、送信するようにスケジューリングされる。しかしながら、図13から分かるように、動的部分410において、クリップD、E、F及びGの送信の動的優先順位を再計算する際に、動的部分410において、クリップGは、ここで、クリップF、D及びEより先に送信するようにスケジューリングされる。よって、例えばクリップFはここで、ESG702においてクリップFが有した送信順序または優先順位以外の異なる送信順序または優先順位、ESG703を有する。
【0055】
上記を考慮して、時間のあらゆる時点でスケジューラによって生成されるスケジュールは2つの部分を有する。現在のスケジュールの静的部分は、対応する時点において前回のスケジュールにあったイベントを有する。スケジュールの静的部分はまた、スケジュールが移動するにつれて、時間ライン上で前に進む。言い換えると、30秒の静的継続時間がある場合、時間インスタンスtにおいて作られたスケジュールは時間tから時間t+30までの静的部分を有し、t+1秒につくられたスケジュールは、t+1からt+31の静的部分を有する。
【0056】
再スケジュールが生じるときはいつも、新しい再スケジュール変更は、t+静的持続時間から始まるスケジュールの動的部分に進む。ここで、tは再スケジュールの時間インスタンスである。新しいスケジュールの静的部分は、前回のスケジュールから、tからt+静的な継続時間の期間に対応するイベントを取り入れることによって作られる。固定された継続時間を静的部分(例えば30秒)について構成することができたとしても、正確な静的部分は、図13のESG701、702及び703に関して、上記に示したように、静的部分におけるクリップの継続時間により変化し得る。
【0057】
スケジュールの静的継続時間を、ある期間にわたって調整することができる。静的継続時間は、端末が必要とする最短スケジュール更新間隔に等しいことが理想的である。再スケジューリング間隔は、また、必要な場合、調整されて、新しいスケジュールを処理及び送信する際にあらゆるオーバヘッドを収容することができる。よって、あらゆるスケジュール変更は端末に送信され、一方、端末は、不変である静的部分に依存することができる。
【0058】
ここで、図14を参照すると、本発明の原理によるレシーバ100の例示的な実施形態が示されている。レシーバ100の本発明の概念に関係する部分だけが示されている。レシーバ100は、例えばPC、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、モバイルデジタルテレビ(DTV)等のあらゆるプロセッサベースのプラットフォームを表すものである。この点で、レシーバ100は、図14の破線のボックスの形で示されているプロセッサ890及びメモリ895で表されるような、1つまたは複数のプロセッサ及び付随するメモリを含む。この内容において、コンピュータプログラム、またはソフトウェアは、プロセッサ890による実行のためにメモリ895に格納される。後者は1つまたは複数の蓄積プログラム制御プロセッサを表すものであり、これらは、レシーバ機能専用に設けられる必要はない。例えば、プロセッサ890が、レシーバ100の他の機能を制御することもできる。メモリ895は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)等のあらゆる記憶装置を表現するものであり、レシーバ100に内臓であってもよいしかつ/または外付けであってもよい。更に、必要に応じて揮発性及び/または不揮発性である。レシーバ100は、DVB−Hレシーバ810、IP非カプセル化装置815及びFLUTEレシーバ820を含む。これらの構成要素のいずれかまたは全ては、プロセッサ890及びメモリ895で表示されるように、ソフトウェアで実行されてもよい。DVB−Hレシーバ810は、アンテナ805を介して(図6の)DVB−H信号186を受信し、IP非カプセル化装置815に復調信号を出力する。後者は、FLUTEレシーバ820にALCパケットを出力し、FLUTEレシーバ820は、信号821で表示されるようにコンテンツをリカバリする。このコンテンツは、(楕円830で表示されるように)当該技術分野で周知のようにレシーバ100で更に処理されてもよい。上記のようにかつ本発明の原理に従って、プロセッサ890は、選択されたクリップ(コンテンツ)を識別する際に用いるために静的部分及び動的部分を有するESGをリカバリする。この例では、FLUTEレシーバ820及びDVB−Hレシーバ810は、制御信号809及び819で表示されるようにプロセッサ890によって電源をオン/オフされ、少なくとも選択されていないコンテンツレシーバ100の一部は減少した電力で動作する。このように、プロセッサ890は、少なくともESGの動的部分に対応して、受信したプログラムガイドで表される選択されたコンテンツの受信をスケジューリングする。
【0059】
本発明の原理によるレシーバ900の別の例示的な実施形態が、図15に示されている。レシーバ900の本発明の概念に関する部分だけが示されている。レシーバ900は、DVB−Hレシーバ910、変調器/復号器915、トランスポートプロセッサ920、コントローラ950及びメモリ960を含む。例えば、アナログ・デジタル変換器、フロントエンドフィルタ等のレシーバの他の構成要素は、簡単にするために示されていないことに注意しなければならない。トランスポートプロセッサ920及びコントローラ950の両方は、1つまたは複数のマイクロプロセッサ及び/またはデジタル信号プロセッサ(DPS)を表すものであり、プログラムを実行しかつデータを格納するためのメモリを含むことができる。この点で、メモリ960は、レシーバ900のメモリを表示するものであり、例えば、トランスポートプロセッサ920及び/またはコントローラ950のあらゆるメモリも含む。例示的な双方向性のデータ及び制御バス901は、示されるようにレシーバ900の要素のうちの様々な要素を結合する。バス901は、例えば、(並列及び/または直列の形式で)個々の信号が、例えば、レシーバ900の要素同士の間でデータ及び制御信号を運ぶために用いられてもよいといったことを単に表すものである。DVB−Hレシーバ910は、DVB−H信号909を受信して、復調器/復号器915にダウンコンバートしたDVB−H信号911を出力する。復調器/復号器915は信号911の復調及び復号を行って、トランスポートプロセッサ920に復号化信号916を出力する。トランスポートプロセッサ920は、パケットプロセッサであって、リアルタイムプロトコルスタック及びFLUTE/ALCプロトコルスタックの両方を実施して、DVB−Hによるリアルタイムコンテンツまたはファイルベースのコンテンツのいずれかをリカバリする。トランスポートプロセッサ920は、コンテンツ信号921で表されるように、コンテンツを(楕円991で表示されるような)適当な次の回路に出力する。コントローラ950は、上記のフローチャートにより、バス901を介して、トランスポートプロセッサ920を制御し、メモリ960の記憶装置のために図13のESGで示されるようにESG情報をリカバリする。コントローラ960は、選択されたクリップ(コンテンツ)のために受信したESGの静的部分及び動的部分に応じて、制御信号951、952、及び953を用いて(バス901を介して)本発明の原理による、トランスポートプロセッサ920、DVB−Hレシーバ910及び復調器/復号器915のパワーマネジメントを行なう。このように、コントローラ960は、ESGの少なくとも動的部分に対応して、受信したプログラムガイドにおいて示された選択されたコンテンツの受信をスケジューリングする。
【0060】
レシーバ100またはレシーバ900のいずれかに用いられる例示的なフローチャートが、図16に示されている。ステップ505において、レシーバは、静的部分及び動的部分を有するESGを受信する。静的部分において示されるコンテンツの送信順序は、前回に受信したプログラムガイドの対応するコンテンツの送信順序から決定され、一方、動的部分において示されるコンテンツの送信順序は、前回に受信したプログラムガイドの対応するコンテンツの送信順序と異なっていてもよい。例えば、レシーバは、図13のESG702を受信する。ESG702において、静的部分401において示されるコンテンツの送信順序は、ESG701から決定され、一方、動的部分410において示されるコンテンツの送信順序は、ESG701で示されたように、前回に受信したプログラムガイドの対応するコンテンツの送信順序と異なっている。例えば、ESG701(前回に受信したプログラムガイド)において、クリップD及びEは、それぞれ、4分及び5分に送信するようにスケジューリングされていた。しかしながら、ESG702において、送信順序は、クリップD及びEがここでそれぞれ5分及び6分で送信されるようにスケジューリングされるように変更されたことが分かる。図16に戻ると、ステップ510において、レシーバは、例えば、ESGの動的部分が前回に受信したESGから変更されたかどうかを、前回に受信したESGとの比較によって、またはESGのバージョン番号(図示せず)を用いて判断する。ESGの動的部分が変更された場合、レシーバは必要に応じてステップ515においてあらゆるパワーマネジメントスケジュールを更新する。例えば、クリップDがレシーバにおいて選択されたコンテンツである場合、ESG701を受信すると、レシーバは、t=4分において受信をスケジューリングする。しかしながら、ESG702を受信した後に、レシーバは、プログラムガイドの動的部分における変更を検出し、t=5分においてクリップDで示されるように選択されたコンテンツの受信をここでスケジューリングする。よって、レシーバは、受信したプログラムガイドの少なくとも動的部分における変更に対応して、受信したプログラムガイドにおいて示された選択されたコンテンツの受信をスケジューリングする。
【0061】
便宜主義的な帯域幅環境(例えば可変ビットレート(VBR))では、出力チャネルの帯域幅は一定でないことにも注意しなければならない。これは、スケジューラによって行われる全てのタイミング計算に影響を及ぼす。このことを説明するために、スケジューラは、帯域幅フィードバックインタフェースを備えていてもよい。このように、スケジューラ240は、各クリップの送信継続時間(継続時間=クリップ/バンド幅の大きさ)を計算するために出力帯域幅をモニタする。該送信継続時間によって、スケジューラが次のクリップをスケジューリングすることができる時刻が決定される。このことは、図17のサーバ150’で示される。サーバ150’は、FLUTEセンダ220からスケジューラ240までのフィードバック通信パス244を除いて、図7のサーバ150と類似している。結果として、FLUTEセンダ220がスケジューラ240にフィードバック通信パス244を介して送信の完了を通知した時から、スケジューラ240は、帯域幅の変化を常にモニタすることができて、該変化を統計的に予測することができる。それゆえに、長期的には、スケジューラがつくるタイミングの予測は、より高い精度を有する。更に、スケジューラは各コンテンツの送信の状態を更新することができる。このことは、VBR環境において送信数の計算におけるエラーを最小にするのを助ける。
【0062】
上記のように、発明の概念は、放送網を介して送信のためのマルチメディアコンテンツファイルをスケジューリングする際の多くの問題に対処している。例えば、本発明の概念は、コンテンツデータベースが、新しいクリップの追加及び/または削除などで、ある期間にわたって変化できるようにする。更に、個々のクリップに付随するオペレータの好みは、時間とともに変化してもよい。更に、スケジューラは、CBR(固定ビットレート)またはVBR(可変ビットレート)出力チャネルに適用可能である。
【0063】
本発明の概念は、DVB−Hシステムの内容において説明されたが、本発明の概念はそれに限定されないことに注意しなければならない。更に、本発明の概念は、スケジューリングメタデータの特定の数の要素の内容において説明されたが、本発明の概念は、それに限定されず、追加のフィールド、または、より少ないフィールドがスケジューリングメタデータを含んでいてもよい。また、スケジューラがサーバまたはヘッドエンドの一部として示されたが、本発明はそれに限定されておらず、スケジューラは、サーバと別個であってESG及び/またはFLUTEセンダにスケジューリング情報を出力してもよい。
【0064】
上記を考慮して、前述のことは、単に本発明の原理を示すだけであり、よって、当業者は、本明細書において明確に記載されていないが本発明の原理を具体化しかつその趣旨及び範囲内にある多数の代替装置を考案することができるということが認められるだろう。例えば、別個の機能要素についての内容において示されているが、これらの機能要素は1つまたは複数の集積回路(IC)で具体化されてもよい。同様に、別個の要素として示されているが、(例えば、図7の)いずれかのまたは全ての要素は、デジタル信号プロセッサなどの蓄積プログラム制御プロセッサにおいて実施されてもよい。蓄積プログラム制御プロセッサは、図9、11及び12などの1つまたは複数のステップに対応しているといった付随するソフトウェアを実行する。更に、本発明の原理は、衛星システム、WiFi(Wireless Fidelity)方式、携帯電話等の他の種類の通信システムに適用できる。実際、本発明の概念は、固定型のレシーバまたはモバイルレシーバにも適用できる。従って、多数の変化形を例示的な実施形態について実施することができ、他の装置を本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく考案することができるということが理解されなければならない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静的部分及び動的部分を有するプログラムを決定するステップと、
前記プログラムガイドを送信するステップと、
を含む方法であって、
前記静的部分に示されるコンテンツの送信順序は、前回に決定されたプログラムガイドにおける対応するコンテンツの送信順序から決定され、一方、前記動的部分に示されるコンテンツの送信順序は、前記前回に決定されたプログラムガイドにおける対応するコンテンツの前記送信順序と異なっていてもよいことを特徴とする方法。
【請求項2】
コンテンツがオーディオクリップまたはビデオクリップであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プログラムガイドが電子サービスガイドであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記静的部分は、少なくとも最短の継続時間を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
静的部分及び動的部分を有するプログラムガイドを決定するプロセッサを含む装置であって、
前記静的部分に示されるコンテンツの送信順序は、前回に決定されたプログラムガイドにおける対応するコンテンツの送信順序から決定され、一方、前記動的部分に示されるコンテンツの送信順序は、前記前回に決定されたプログラムガイドにおける対応するコンテンツの前記送信順序と異なっていてもよく、
前記装置は更に、
前記プログラムガイドを送信するモジュレータを含むことを特徴とする装置。
【請求項6】
コンテンツがオーディオクリップまたはビデオクリップであることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記プログラムガイドが電子サービスガイドであることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記静的部分は少なくとも最短の継続時間を有することを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項9】
受信されたプログラムガイドを表す信号をリカバリする際に用いる復調器を含む装置であって、
前記受信されたプログラムガイドは、静的部分及び動的部分を有し、前記静的部分に示されるコンテンツの送信順序は、前回に受信されたプログラムガイドにおける対応するコンテンツの送信順序から決定し、一方、前記動的部分に示されるコンテンツの送信順序は、前記前回に受信されたプログラムガイドの対応するコンテンツの前記送信順序と異なっていてもよく、
前記装置は更に、
前記受信されたプログラムガイドの少なくとも前記動的部分における変更に対応して、前記受信されたプログラムガイドに示された選択されたコンテンツの受信をスケジューリングするプロセッサを含むことを特徴とする装置。
【請求項10】
コンテンツがオーディオクリップまたはビデオクリップであることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記プログラムガイドが電子サービスガイドであることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記静的部分は少なくとも最短の継続時間を有することを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項13】
プログラムガイドを受信するステップを含む方法であって、
前記受信されたプログラムガイドは、静的部分及び動的部分を有し、
前記静的部分に示されるコンテンツの送信順序は、前回に受信されたプログラムガイドにおける対応するコンテンツの送信順序から決定され、一方、前記動的部分に示されるコンテンツの送信順序は、前記前回に受信されたプログラムガイドにおける対応するコンテンツの前記送信順序と異なっていてもよく、
前記方法は更に、
前記受信されたプログラムガイドの少なくとも前記動的部分における変更に適合して、前記受信されたプログラムガイドに示された選択されたコンテンツの受信をスケジューリングするステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
コンテンツがオーディオクリップ、またはビデオクリップであることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記プログラムガイドが電子サービスガイドであることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記静的部分は少なくとも最短の継続時間を有することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項1】
静的部分及び動的部分を有するプログラムを決定するステップと、
前記プログラムガイドを送信するステップと、
を含む方法であって、
前記静的部分に示されるコンテンツの送信順序は、前回に決定されたプログラムガイドにおける対応するコンテンツの送信順序から決定され、一方、前記動的部分に示されるコンテンツの送信順序は、前記前回に決定されたプログラムガイドにおける対応するコンテンツの前記送信順序と異なっていてもよいことを特徴とする方法。
【請求項2】
コンテンツがオーディオクリップまたはビデオクリップであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プログラムガイドが電子サービスガイドであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記静的部分は、少なくとも最短の継続時間を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
静的部分及び動的部分を有するプログラムガイドを決定するプロセッサを含む装置であって、
前記静的部分に示されるコンテンツの送信順序は、前回に決定されたプログラムガイドにおける対応するコンテンツの送信順序から決定され、一方、前記動的部分に示されるコンテンツの送信順序は、前記前回に決定されたプログラムガイドにおける対応するコンテンツの前記送信順序と異なっていてもよく、
前記装置は更に、
前記プログラムガイドを送信するモジュレータを含むことを特徴とする装置。
【請求項6】
コンテンツがオーディオクリップまたはビデオクリップであることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記プログラムガイドが電子サービスガイドであることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記静的部分は少なくとも最短の継続時間を有することを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項9】
受信されたプログラムガイドを表す信号をリカバリする際に用いる復調器を含む装置であって、
前記受信されたプログラムガイドは、静的部分及び動的部分を有し、前記静的部分に示されるコンテンツの送信順序は、前回に受信されたプログラムガイドにおける対応するコンテンツの送信順序から決定し、一方、前記動的部分に示されるコンテンツの送信順序は、前記前回に受信されたプログラムガイドの対応するコンテンツの前記送信順序と異なっていてもよく、
前記装置は更に、
前記受信されたプログラムガイドの少なくとも前記動的部分における変更に対応して、前記受信されたプログラムガイドに示された選択されたコンテンツの受信をスケジューリングするプロセッサを含むことを特徴とする装置。
【請求項10】
コンテンツがオーディオクリップまたはビデオクリップであることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記プログラムガイドが電子サービスガイドであることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記静的部分は少なくとも最短の継続時間を有することを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項13】
プログラムガイドを受信するステップを含む方法であって、
前記受信されたプログラムガイドは、静的部分及び動的部分を有し、
前記静的部分に示されるコンテンツの送信順序は、前回に受信されたプログラムガイドにおける対応するコンテンツの送信順序から決定され、一方、前記動的部分に示されるコンテンツの送信順序は、前記前回に受信されたプログラムガイドにおける対応するコンテンツの前記送信順序と異なっていてもよく、
前記方法は更に、
前記受信されたプログラムガイドの少なくとも前記動的部分における変更に適合して、前記受信されたプログラムガイドに示された選択されたコンテンツの受信をスケジューリングするステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
コンテンツがオーディオクリップ、またはビデオクリップであることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記プログラムガイドが電子サービスガイドであることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記静的部分は少なくとも最短の継続時間を有することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2011−503917(P2011−503917A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519904(P2010−519904)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/007538
【国際公開番号】WO2009/020492
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
【住所又は居所原語表記】1−5, rue Jeanne d’Arc, 92130 ISSY LES MOULINEAUX, France
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/007538
【国際公開番号】WO2009/020492
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
【住所又は居所原語表記】1−5, rue Jeanne d’Arc, 92130 ISSY LES MOULINEAUX, France
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]