説明

プッシュ型時刻配信装置、時刻同期サーバおよび時刻同期クライアント

【課題】時刻同期クライアントの構成を簡略化でき、システム全体としてのハード量及びコストを低減できるプッシュ型時刻配信装置、時刻同期サーバ及び時刻同期クライアントを提供する。
【解決手段】時刻の基準を提供する時刻同期サーバと、時刻の基準に基づいて自己の時刻を修正する時刻同期クライアントとを有し、時刻同期サーバは、時刻同期クライアントにリクエストを送信する手段と、リクエストに対する時刻同期クライアントからのレスポンスに基づいて時刻同期クライアントの時刻誤差を計算する手段と、計算された時刻誤差を時刻同期クライアントに通知する手段とを有し、時刻同期クライアントは、時刻同期サーバからのリクエストに対するレスポンスとして、自己の時刻で示されるリクエストの受信時刻およびレスポンスの送信時刻を時刻同期サーバに返送する手段と、時刻同期サーバから通知される時刻誤差に基づいて自己の時刻を修正する手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク内で装置間の時刻を同期させるプッシュ型時刻配信装置、時刻同期サーバおよび時刻同期クライアントに関する。
【背景技術】
【0002】
通信手段で接続された2つ以上の装置間の時刻同期を行う従来技術として、非特許文献1に記載のNTP(Network time protocol)が知られている。NTPは、IPネットワークを通信手段とし、時刻の基準を提供するサーバとサーバに時刻を一致させるクライアントの間で機能するプロトコルである。NTPでは、サーバとクライアントの間でのパケットの往復遅延2dと、サーバの示す時刻とクライアントのローカルな時刻との差Δtとを用いて、時刻同期が実行される。以下では、このような時刻同期を行うサーバとクライアントを、それぞれ「時刻同期サーバ」、「時刻同期クライアント」という。
【0003】
NTPについて、さらに詳しく説明する。NTPでは、往復遅延2dや、時刻同期サーバとの相対的なローカル時計の差Δtを計算するために、まず時刻同期クライアントが、時刻同期サーバに対して、時刻同期クライアントのローカル時刻を通知する。時刻同期サーバは、時刻同期クライアントから通知されたローカル時刻に対し、開始タイムスタンプ、受信タイムスタンプ、送信タイムスタンプを含むレスポンスを返す。このとき、レスポンス内の開始タイムスタンプとして、時刻同期サーバは、時刻同期クライアントから送られた時刻(ローカル時刻)をコピーする。また、受信タイムスタンプおよび送信タイムスタンプとして、時刻同期サーバは、自分が時刻同期クライアントから通知を受けた時刻、およびレスポンスを送信する時刻を、自己の時計の日時で設定する。
【0004】
時刻同期クライアントは、時刻同期サーバからのレスポンスに含まれる開始タイムスタンプ、受信タイムスタンプ、送信タイムスタンプを記録する変数t1、t2、t3に加え、ローカルな時計で測った応答受信時刻である終了タイムスタンプを記録する変数t4を管理する。時刻同期サーバからのレスポンスを受信したとき、時刻同期クライアントは、時刻同期クライアントの時計で測った到着時刻を、終了タイムスタンプ変数t4に設定する。4つのタイムスタンプは、
開始タイムスタンプt1:時刻同期クライアントのリクエスト送信時刻
受信タイムスタンプt2:時刻同期サーバのリクエスト受信時刻
送信タイムスタンプt3:時刻同期サーバのレスポンス送信時刻
終了タイムスタンプt4:時刻同期クライアントのレスポンス受信時刻
となる。これらの変数を用いると、往復遅延2dは、
2d={(t4−t1)−(t3−t2)}
で表される。
【0005】
往復で遅延量が等しいと仮定すると、時刻同期クライアントにより応答が受信された時刻は、時刻同期サーバによりレスポンスが送信された時刻に片道の遅延量を加えた値t3+dとなるので、時刻同期クライアントの時計の時刻同期サーバの時計に対する誤差Δtは、
Δt=t4−(t3+d)={(t4+t1)−(t3+t2)}/2
として求められる。
【0006】
したがって、時刻同期クライアントは、時計をΔtだけ修正することで、自分の時計を時刻同期サーバの時計と時刻同期させることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Network Time Protocol (Version 3) Specification, Implementation and Analysis, David L. Mills, IETF RFC−1305.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、ネットワーク内で装置間の時刻を同期させるため、従来は、時刻同期クライアントから時刻同期サーバ側にリクエストを送信し、ラウンドトリップの時間から時刻同期クライアントが誤差を演算して、時刻同期クライアントが自己の時刻を時刻同期サーバに同期させていた。一方、近年、クライアント装置の時刻の高精度化に伴い、クライアント装置が時刻同期クライアントとして行う誤差の演算に非常に大きな回路規模が必要となってきている。このような処理負荷の増大は、クライアント装置の小型化、低消費電力化、経済化の障害となってしまう。
【0009】
本発明は、このような課題を解決し、時刻同期クライアントの構成を簡略化でき、システム全体としてのハード量およびコストを低減することのできるプッシュ型時刻配信装置、時刻同期サーバおよび時刻同期クライアントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の観点によると、時刻の基準を提供する時刻同期サーバと、時刻の基準に基づいて自己の時刻を修正する時刻同期クライアントとを有し、時刻同期サーバは、時刻同期クライアントにリクエストを送信する手段と、リクエストに対する時刻同期クライアントからのレスポンスに基づいて時刻同期クライアントの時刻誤差を計算する手段と、計算された時刻誤差を時刻同期クライアントに通知する手段とを有し、時刻同期クライアントは、時刻同期サーバからのリクエストに対するレスポンスとして、自己の時刻で示されるリクエストの受信時刻およびレスポンスの送信時刻を時刻同期サーバに返送する手段と、時刻同期サーバから通知される時刻誤差に基づいて自己の時刻を修正する手段とを有することを特徴とするプッシュ型時刻配信装置が提供される。
【0011】
時刻同期クライアントを複数有し、リクエストを送信する手段は、ブロードキャストもしくはマルチキャストによりリクエストを送信し、計算する手段は、時刻同期クライアントからの個々のレスポンスに基づいて個々に時刻誤差を計算し、通知する手段は、時刻同期クライアントの個々の時刻誤差を当該時刻同期クライアントにユニキャスト送信する構成とすることができる。
【0012】
時刻誤差を計算する手段は、時刻誤差と共に、当該時刻同期クライアントの内部基準クロックの周波数制御情報を計算し、通知する手段は、周波数制御情報を時刻誤差と共に送信し、修正する手段は、自己の時刻の修正とともに、通知する手段により通知された周波数制御情報に基づいて、自己の内部基準クロックの周波数調整を行うこともできる。
【0013】
時刻誤差を計算する手段は、時刻同期クライアントの内部基準クロックに偏差を与えるための制御情報を出力する手段と、時刻同期クライアントからのレスポンスにより求められる時刻同期クライアントの内部基準クロックの周波数誤差を時系列的に観測して、偏差による応答特性を求める手段と、応答特性に基づいて周波数制御情報を計算する手段とを有することができる。
【0014】
時刻同期クライアントは、時刻誤差を計算する手段が周波数制御情報を計算するために必要な情報を蓄積する手段を有し、返送する手段は、時刻同期サーバに返送するレスポンスに必要な情報を付加し、時刻誤差を計算する手段は、レスポンスに付加された必要な情報に基づいて、周波数制御情報を計算することができる。
【0015】
本発明の第2の観点によると、時刻同期クライアントに対して時刻の基準を提供する時刻同期サーバにおいて、時刻同期クライアントにリクエストを送信する手段と、リクエストに対する時刻同期クライアントからのレスポンスに基づいて時刻同期クライアントの時刻誤差を計算する手段と、計算された時刻誤差を時刻同期クライアントに通知する手段とを有することを特徴とする時刻同期サーバが提供される。
【0016】
本発明の第3の観点によると、時刻同期サーバから提供される時刻の基準に基づいて自己の時刻を修正する時刻同期クライアントにおいて、時刻同期サーバからのリクエストに対するレスポンスとして、自己の時刻で示されるリクエストの受信時刻およびレスポンスの送信時刻を時刻同期サーバに返送する手段と、時刻同期サーバから通知される時刻誤差に基づいて自己の時刻を修正する手段とを有することを特徴とする時刻同期クライアントが提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、時刻同期サーバ側から時刻同期クライアントにリクエストを送信し、ラウンドトリップ時間から、時刻同期サーバ側で時刻同期クライアントの時刻誤差を演算し、誤差を補正する制御信号を時刻同期クライアントに送信して、時刻同期させる。これにより実装規模に大きく影響する時刻誤差の演算部が時刻同期サーバ側にあるので、時刻同期クライアントの装置規模を小さくすることが可能となる効果がある。また、複数の時刻同期クライアントをひとつの時刻同期サーバで時刻同期させることで、システム全体の規模を小さくすることが可能となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るプッシュ型時刻配信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係るプッシュ型時刻配信装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係るプッシュ型時刻配信装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図3に示すプッシュ型時刻配信装置中の時刻同期サーバで用いられる誤差計算回路の構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態に係るプッシュ型時刻配信装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るプッシュ型時刻配信装置の構成を示すブロック図である。
【0021】
このプッシュ型時刻配信装置は、時刻の基準を提供する時刻同期サーバ100と、提供される時刻の基準に基づいて自己の時刻を修正する時刻同期クライアント200とを備える。時刻同期サーバ100と時刻同期クライアント200とは、ネットワーク10を介して接続される。図1では時刻同期クライアント200を1台だけ示すが、現実的には、時刻同期クライアント200が複数、ネットワーク10に接続される。
【0022】
時刻同期サーバ100は、リクエスト送信回路(REQ_SND)101、タイマー回路(TIMER)102、送信バッファ回路103、受信バッファ回路104、レスポンス受信回路(RES_RCV)105、誤差計算回路(ERR_CALC)106およびリプライ送信回路(REP_SND)107を備え、送信ポート110および受信ポート111によりネットワーク10に接続される。リクエスト送信回路101が、時刻同期クライアントにリクエストを送信する手段を構成する。誤差計算回路106が、リクエストに対する時刻同期クライアント200からのレスポンスに基づいて時刻同期クライアント200の時刻誤差を計算する手段を構成する。リプライ送信回路107が、計算された時刻誤差を時刻同期クライアント200に通知する手段を構成する。
【0023】
時刻同期クライアント200は、受信バッファ回路201、リクエスト受信回路(REQ_RCV)202、タイマー回路(TIMER)203、レスポンス送信回路(RES_SND204およびリプライ受信回路(REP_RCV)205を備え、受信ポート210および送信ポート211を介してネットワーク10に接続される。レスポンス送信回路204が、時刻同期サーバ100からのリクエストに対するレスポンスとして、自己の時刻で示されるリクエストの受信時刻およびレスポンスの送信時刻を時刻同期サーバ100に返送する手段を構成する。リプライ受信回路205が、時刻同期サーバ100から通知される時刻誤差に基づいて自己の時刻を修正する手段を構成する。
【0024】
NTPでは、クライアントからリクエスト送信が行われる。これに対し、本実施の形態では、リクエスト送信は、時刻同期サーバ100から時刻同期クライアント200に対して行われる。すなわち、時刻同期サーバ100内のリクエスト送信回路101は、タイマー回路102により示されるサーバ時刻をリクエスト送信時刻t1としてパケット化し、リクエストパケットとして送信する。このリクエストパケットは、時刻同期サーバ100内の送信バッファ回路103から送信ポート110に送出され、ネットワーク10を経由して、時刻同期クライアント200に送られる。
【0025】
時刻同期クライアント200では、時刻同期サーバ100から送信されたリクエストパケットを、受信ポート210および受信バッファ回路201を経由して、リクエスト受信回路202により受信する。リクエスト受信回路202は、受信したリクエストからリクエスト送信時刻t1を抽出し、タイマー回路203が示す現在のクライアント時刻、すなわちリクエスト受信時刻t2と共に、レスポンス送信回路204に転送する。レスポンス送信回路204は、リクエスト送信時刻t1およびリクエスト受信時刻t2に、その時点でタイマー回路203が示す現在のクライアント時刻をレスポンス送信時刻t3として付加して、レスポンスパケットとして送信する。このレスポンスパケットは、送信ポート211からネットワーク10に送出され、時刻同期サーバ100に送られる。
【0026】
時刻同期サーバ100では、時刻同期クライアント200からのレスポンスパケットが、受信ポート111および受信バッファ回路104を経由して、レスポンス受信回路105により受信される。レスポンス受信回路105は、受信したレスポンスパケットから、リクエスト送信時刻t1、リクエスト受信時刻t2およびレスポンス送信時刻t3を抽出し、それらにタイマー回路102が示す現在のサーバ時刻をレスポンス受信時刻t4として付加して、誤差計算回路106に送る。誤差計算回路106は、時刻同期クライアント200の時刻誤差Δtを、
Δt={(t4+t1)−(t3+t2)}/2
により計算する。リプライ送信回路107は、計算された時刻誤差Δtをパケット化し、時刻制御情報パケットとして送信する。この時刻制御情報パケットは、送信バッファ回路103から送信ポート110に送出され、ネットワーク10を経由して、時刻同期クライアント200に送られる。
【0027】
時刻同期クライアント200では、時刻同期サーバ100からの時刻制御情報パケットが、受信ポート210および受信バッファ回路201を経由して、リプライ受信回路205により受信される。リプライ受信回路205は、時刻制御情報パケットから時刻誤差Δtを抽出し、タイマー回路203のクライアント時刻をΔtだけ修正する。これにより、時刻同期サーバ100との時刻同期が確立する。
【0028】
たとえば、従来のクライアント起点のNTPでは、クライアント時刻が1:26、サーバ時刻が1:23だとすると、Δt=0:03と計算され、クライアント時刻が、
t−Δt=1:26−0:03
で計算される。これに対して、本実施の形態では、サーバ時刻が1:26、クライアント時刻が1:23だとしたとき、同じくΔt=0:03であるが、クライアント時刻は、
t+Δt=1:23+0:03
で計算される。クライアント起点のNTPではΔtを引くことになるが、本実施の形態ではΔtを足すことになる。
【0029】
[効果の説明]
以上説明した第1の実施の形態によれば、時刻同期サーバ100側で時刻誤差の演算を行うので、時刻同期クライアント200の時刻誤差の演算を簡略化することができる。また、一般に時刻同期サーバ100の台数に対して時刻同期クライアント200は多数であるため、システム全体での効果は大きいものとなる。
【0030】
[第2の実施の形態]
図2は、本発明の第2の実施の形態に係るプッシュ型時刻配信装置の構成を示すブロック図である。ここでは、時刻同期サーバからのリクエストを、ネットワークを介して接続される複数の時刻同期クライアントにブロードキャストまたはマルチキャストして、それらの時刻クライアントの時刻を同期させる構成例を示す。また、ここでは、パケットの送信および受信時刻を外部から取得する機能を有するPHY(physical layer)を用いる場合を例に説明する。
【0031】
このプッシュ型時刻配信装置は、時刻の基準を提供する時刻同期サーバ300と、パケットの送信および受信時刻を外部から取得する機能を有するPHY回路310と、時刻同期サーバ300から提供される時刻の基準に基づいて自己の時刻を修正する複数の時刻同期クライアント400とを備える。時刻同期サーバ300は、PHY回路310を介して、ネットワーク10に接続される。ネットワーク10には、複数の時刻同期クライアント400が接続される。
【0032】
時刻同期サーバ300は、リクエスト送信回路(REQ_SND)301、送信バッファ回路302、フォローアップ送信回路(FUP_SND)303、受信バッファ回路304、レスポンス受信回路(RES_RCV)305、誤差計算回路(ERR_CALC)306およびリプライ送信回路(REP_SND)307を備え、PHY回路310を介してネットワーク10に接続される。リクエスト送信回路(REQ_SND)301は、時刻同期クライアントにリクエストを送信する手段を構成し、ブロードキャストもしくはマルチキャストによりリクエストを送信する。誤差計算回路306は、リクエストに対する時刻同期クライアント400からのレスポンスに基づいて時刻同期クライアント400の時刻誤差を計算する手段を構成し、時刻同期クライアント400からの個々のレスポンスに基づいて個々に時刻誤差を計算する。リプライ送信回路307は、計算された時刻誤差を時刻同期クライアント400に通知する手段を構成し、時刻同期クライアント400の個々の時刻誤差を当該時刻同期クライアント400にユニキャスト送信する。
【0033】
PHY回路310は、PHY送信回路(PHY_TX)311、タイマー回路(TIMER)312およびPHY受信回路(PHY_RX)313を備え、送信ポート320および受信ポート321を介してネットワーク10に接続される。
【0034】
時刻同期クライアント400は、受信バッファ回路401、リクエスト受信回路(REQ_RCV)402、タイマー回路(TIMER)403、フォローアップ受信回路(FUP_RCV)404、レスポンス送信回路(RES_SND)405およびリプライ受信回路(REP_RCV)406を備える。レスポンス送信回路405が、時刻同期サーバ300からのリクエストに対するレスポンスとして、そのリクエストの受信時刻と自己の時刻とを時刻同期サーバ300に返送する手段を構成する。リプライ受信回路406が、時刻同期サーバ300から通知される時刻誤差に基づいて自己の時刻を修正する手段を構成する。
【0035】
NTPでは、クライアントからリクエスト送信が行われるのに対し、本実施の形態では、リクエスト送信は、時刻同期サーバ300から時刻同期クライアント400に対して行われる。すなわち、時刻同期サーバ300内のリクエスト送信回路301は、送信毎に異なるパケット識別IDを含むリクエストパケットを生成し、ブロードキャストアドレスもしくはマルチキャストアドレス宛で送信する。このリクエストパケットは、送信バッファ回路302からPHY回路310内のPHY送信回路311および送信ポート320を経由してネットワーク10に送信され、複数の時刻同期クライアント400にブロードキャストもしくはマルチキャストされる。
【0036】
PHY送信回路311はまた、リクエストパケットを送信した時刻をタイマー回路312から取得し、リクエスト送信時刻t1として、時刻同期サーバ300に通知する。時刻同期サーバ300のフォローアップ送信回路303は、リクエスト送信時刻t1をパケット識別IDと共にパケット化してフォローアップパケットを生成し、ブロードキャストアドレスもしくはマルチキャストアドレス宛で送信する。このフォローアップパケットは、送信バッファ回路302からPHY回路310のPHY送信回路311および送信ポート320を経由してネットワーク10に送信され、複数の時刻同期クライアント400にブロードキャストもしくはマルチキャストされる。
【0037】
時刻同期クライアント400では、時刻同期サーバ300からPHY回路310を経由して送信されたリクエストパケットが、受信ポート410および受信バッファ回路401を経由して、リクエスト受信回路402により受信される。また、時刻同期サーバ300からPHY回路310を経由して送信されたフォローアップパケットを、受信ポート410および受信バッファ回路401を経由して、フォローアップ受信回路404により受信する。
【0038】
リクエスト受信回路402は、受信したリクエストパケットからパケット識別IDを抽出し、タイマー回路403が示す現在のクライアント時刻、すなわちリクエスト受信時刻t2と共に、フォローアップ受信回路404に転送する。フォローアップ受信回路404は、パケット識別IDが一致するフォローアップパケットを受信すると、それに含まれるリクエスト送信時刻t1と、リクエスト受信回路402からのリクエスト受信時刻t2とを、レスポンス送信回路405に送る。レスポンス送信回路405は、リクエスト送信時刻t1およびリクエスト受信時刻t2に、その時点でタイマー回路403が示す現在のクライアント時刻をレスポンス送信時刻t3として付加して、レスポンスパケットを生成する。このレスポンスパケットは、送信ポート411からネットワーク10を経由して、時刻同期サーバ300に向けてユニキャスト送信される。
【0039】
ネットワーク10に送出されたレスポンスパケットは、受信ポート321を経由して、PHY回路310のPHY受信回路313で受信される。PHY受信回路313は、受信したレスポンスパケットを時刻同期サーバ300に転送するとともに、タイマー回路312が示す現在の時刻を、レスポンス受信時刻t4として時刻同期サーバ300に送る。
【0040】
時刻同期サーバ300では、PHY回路310から転送されたレスポンスパケットが、受信バッファ回路304を経由して、レスポンス受信回路305により受信される。レスポンス受信回路305は、受信したレスポンスパケットから、リクエスト送信時刻t1、リクエスト受信時刻t2およびレスポンス送信時刻t3を抽出するとともに、これらの時刻にPHY受信回路313からのレスポンス受信時刻t4を付加して、誤差計算回路306に送る。誤差計算回路306は、時刻同期クライアント400の時刻誤差Δtを、
Δt={(t4+t1)−(t3+t2)}/2
により計算する。リプライ送信回路307は、計算された時刻誤差Δtをパケット化し、時刻制御情報パケットとして、レスポンスパケットの送信元である時刻同期クライアント400宛てにユニキャスト送信する。このレスポンスパケットは、送信バッファ回路302からPHY回路310のPHY送信回路311および送信ポート320を経由してネットワーク10に送信され、宛先の時刻同期クライアント400に送られる。
【0041】
時刻同期クライアント400では、時刻同期サーバ300からの時刻制御情報パケットが、受信ポート410および受信バッファ回路401を経由して、リプライ受信回路406により受信される。リプライ受信回路406は、時刻制御情報パケットから時刻誤差Δtを抽出し、タイマー回路403のクライアント時刻をΔt修正する。ここで、クライアント起点のNTPではΔtを引いているが、本実施の形態ではΔtを足す。これにより、時刻同期サーバ100との時刻同期が確立する。
【0042】
[効果の説明]
以上説明した第2の実施の形態によれば、時刻同期サーバ300からのリクエスト送信にブロードキャストまたはマルチキャストを用いることで、すべての時刻同期クライアント400へのリクエスト送信を1回にすることができるため、時刻同期サーバ300の処理負担を低減し、ネットワーク負荷を低減することができる。
【0043】
[第3の実施の形態]
図3は、本発明の第3の実施の形態に係るプッシュ型時刻配信装置の構成を示すブロック図である。
【0044】
このプッシュ型時刻配信装置は、時刻の基準を提供する時刻同期サーバ500と、提供される時刻の基準に基づいて自己の時刻を修正する時刻同期クライアント600とを備える。時刻同期サーバ500と時刻同期クライアント600とは、ネットワーク10を介して接続される。図3では時刻同期クライアント600を1台だけ示すが、現実的には、時刻同期クライアント600が複数、ネットワーク10に接続される。
【0045】
時刻同期サーバ500は、リクエスト送信回路(REQ_SND)501、タイマー回路(TIMER)502、送信バッファ回路503、受信バッファ回路504、レスポンス受信回路(RES_RCV)505、誤差計算回路(ERR_CALC)506およびリプライ送信回路(REP_SND)507を備え、送信ポート510および受信ポート511によりネットワーク10に接続される。リクエスト送信回路501が、時刻同期クライアントにリクエストを送信する手段を構成する。誤差計算回路506は、リクエストに対する時刻同期クライアント600からのレスポンスに基づいて時刻同期クライアント600の時刻誤差を計算する手段を構成し、時刻誤差と共に、当該時刻同期クライアント600の内部基準クロックの周波数制御情報を計算する。リプライ送信回路507は、計算された時刻誤差を時刻同期クライアント600に通知する手段を構成し、誤差計算回路506により得られた周波数制御情報を、時刻誤差と共に送信する。
【0046】
時刻同期クライアント600は、受信バッファ回路601、リクエスト受信回路(REQ_RCV)602、タイマー回路(TIMER)603、レスポンス送信回路(RES_SND604、リプライ受信回路(REP_RCV)605および発振器(OSC)606を備え、受信ポート610および送信ポート611を介してネットワーク10に接続される。レスポンス送信回路604が、時刻同期サーバ500からのリクエストに対するレスポンスとして、自己の時刻で示されるリクエストの受信時刻およびレスポンスの送信時刻を時刻同期サーバ500に返送する手段を構成する。リプライ受信回路605は、時刻同期サーバ500から通知される時刻誤差に基づいて自己の時刻を修正する手段を構成し、時刻の修正とともに、時刻同期サーバ500から通知される周波数制御情報に基づいて、自己の内部基準クロックの周波数調整、すなわち発振器606の発振周波数の調整を行う。
【0047】
時刻同期サーバ500内のリクエスト送信回路501は、タイマー回路502により示されるサーバ時刻をリクエスト送信時刻t1としてパケット化し、リクエストパケットとして送信する。このリクエストパケットは、時刻同期サーバ500内の送信バッファ回路503から送信ポート510に送出され、ネットワーク10を経由して、時刻同期クライアント600に送られる。
【0048】
時刻同期クライアント600では、時刻同期サーバ500から送信されたリクエストパケットが、受信ポート610および受信バッファ回路601を経由して、リクエスト受信回路602により受信される。リクエスト受信回路602は、受信したリクエストからリクエスト送信時刻t1を抽出し、タイマー回路603が示す現在のクライアント時刻、すなわちリクエスト受信時刻t2と共に、レスポンス送信回路604に転送する。レスポンス送信回路604は、リクエスト送信時刻t1およびリクエスト受信時刻t2に、その時点でタイマー回路603が示す現在のクライアント時刻をレスポンス送信時刻t3として付加して、レスポンスパケットとして送信する。このレスポンスパケットは、送信ポート611からネットワーク10に送出され、時刻同期サーバ500に送られる。
【0049】
時刻同期サーバ500では、時刻同期クライアント600からのレスポンスパケットが、受信ポート511および受信バッファ回路504を経由して、レスポンス受信回路505により受信される。レスポンス受信回路505は、受信したレスポンスパケットから、リクエスト送信時刻t1、リクエスト受信時刻t2およびレスポンス送信時刻t3を抽出し、それらにタイマー回路502が示す現在のサーバ時刻をレスポンス受信時刻t4として付加して、誤差計算回路506に送る。誤差計算回路506は、時刻同期クライアント600の時刻誤差Δtを、
Δt={(t4+t1)−(t3+t2)}/2
により計算する。誤差計算回路506はまた、リクエストパケットの送信間隔Tから、時刻同期クライアント600の周波数誤差Δfを、
Δf=Δt/T
により計算する。リプライ送信回路507は、計算された時刻誤差Δtおよび周波数誤差Δfをパケット化し、時刻・周波数制御情報パケットとして送信する。この時刻・周波数制御情報パケットは、送信バッファ回路503から送信ポート510に送出され、ネットワーク10を経由して、時刻同期クライアント600に送られる。
【0050】
時刻同期クライアント600では、時刻同期サーバ500からの時刻・周波数制御情報パケットが、受信ポート610および受信バッファ回路601を経由して、リプライ受信回路605により受信される。リプライ受信回路605は、時刻・周波数制御情報パケットから時刻誤差Δtおよび周波数誤差Δfを抽出し、タイマー回路603のクライアント時刻をΔt、発振器606の発振周波数をΔfそれぞれ修正する。これにより、時刻同期サーバ500との時刻同期および周波数同期が確立する。
【0051】
[効果の説明]
以上説明した第3の実施の形態によれば、時刻同期クライアント600がクロック周波数調整機能をもつ場合、すなわち発振器606の発振周波数が調整可能である場合に、時刻同期サーバ500側で時刻誤差の計算と同時に周波数誤差も求めて時刻同期クライアント600に送信することで、サーバ−クライアント間の時刻だけでなくクロック周波数も同期させることができる。
【0052】
図4は、図3に示すプッシュ型時刻配信装置中の時刻同期サーバ500で用いられる誤差計算回路506の構成例を示すブロック図である。
【0053】
この誤差計算回路506は、偏差発生回路701、セレクタ702、偏差応答計算回路703および時刻・周波数誤差計算回路704を備える。偏差発生回路701は、時刻同期クライアント600の内部基準クロック(発振器606の発振周波数)に偏差を与えるための制御情報を出力する手段を構成する。偏差応答計算回路703は、時刻同期クライアント600からのレスポンスにより求められる時刻同期クライアント600の内部基準クロックの周波数誤差を時系列的に観測して、偏差による応答特性を求める手段を構成する。時刻・周波数誤差計算回路704は、偏差応答計算回路703の求めた応答特性に基づいて周波数端数制御情報を計算する手段を構成する。
【0054】
時刻同期クライアント600が新規のクライアントであるとき、偏差発生回路701は、周波数のステップ応答特性から制御パラメータを抽出するための周波数制御情報を出力する。すなわち、偏差発生回路701は、時刻「0」において、時刻同期クライアント600の周波数制御電圧にvをステップ偏差として加算するための周波数制御情報を出力する。この周波数制御情報は、セレクタ702を経由してリプライ送信回路507に送られ、リプライパケットとして時刻同期クライアント600に送信される。
【0055】
偏差応答計算回路703は、レスポンス受信回路505で抽出されたタイムスタンプt1〜t4を経時的に観測し、周波数誤差Δfのステップ応答を取得する。ここで、収束状態における周波数誤差fと周波数制御電圧偏差vから、時刻同期クライアント600内の発振器606の電圧−周波数感度係数が、K=v/fとして求められる。ステップ応答の変曲点における接線を引き、Δf=0との交点をL、Δf=fとの交点をRとするとき、ステップ応答法によるZiegler−Nicholsの制御パラメータ決定法によれば、比例ゲインK=K×0.9×(R−L)/L、積分時定数T=0.3/Lと計算される。
【0056】
時刻・周波数誤差計算回路704は、
Δt={(t4+t1)−(t3+t2)}/2
により、時刻同期クライアント600の今回iの時刻誤差Δtを求めるとともに、偏差応答計算回路703により計算された比例ゲインKおよび積分時定数Tを用いて、
=K{Δf+1/T・ΣΔf
により、時刻同期クライアント600に対する今回の周波数制御電圧偏差vを求める。なお、ΣΔfは、時系列的に観測された周波数誤差Δf(k=0〜i−1)の総和である。
【0057】
時刻・周波数誤差計算回路704で求めた時刻誤差Δtおよび周波数制御電圧偏差vは、リプライ送信回路507によりパケット化され、時刻・周波数制御情報パケットとして時刻同期クライアント600に送られる。
【0058】
このように、時刻同期サーバ500から送信する周波数制御情報に特定の偏差を加え、この偏差に対する時刻誤差Δtの推移を観測することにより、時刻同期クライアント600の応答特性の計算が可能となり、そして、この計算結果を基にPI制御もしくはPID制御などの制御パラメータを決定することで、制御パラメータが最適化され、より精密な周波数同期を行うことが可能となる。
【0059】
[第4の実施の形態]
図5は、本発明の第4の実施の形態に係るプッシュ型時刻配信装置の構成を示すブロック図である。
【0060】
このプッシュ型時刻配信装置は、時刻の基準を提供する時刻同期サーバ800と、提供される時刻の基準に基づいて自己の時刻を修正する時刻同期クライアント900とを備える。時刻同期サーバ800と時刻同期クライアント900とは、ネットワーク10を介して接続される。図5では時刻同期クライアント900を1台だけ示すが、現実的には、時刻同期クライアント900が複数、ネットワーク10に接続される。
【0061】
時刻同期サーバ800は、リクエスト送信回路(REQ_SND)801、タイマー回路(TIMER)802、送信バッファ回路803、受信バッファ回路804、レスポンス受信回路(RES_RCV)805、誤差計算回路(ERR_CALC)806およびリプライ送信回路(REP_SND)807を備え、送信ポート810および受信ポート811によりネットワーク10に接続される。リクエスト送信回路801が、時刻同期クライアントにリクエストを送信する手段を構成する。誤差計算回路806は、リクエストに対する時刻同期クライアント900からのレスポンスに基づいて時刻同期クライアント600の時刻誤差を計算する手段を構成し、時刻誤差と共に、当該時刻同期クライアント900の内部基準クロックの周波数制御情報を、レスポンスに付加された情報に基づいて周波数制御情報を計算する。リプライ送信回路807は、計算された時刻誤差を時刻同期クライアント900に通知する手段を構成し、誤差計算回路806により得られた周波数制御情報を、時刻誤差と共に送信する。
【0062】
時刻同期クライアント900は、受信バッファ回路901、リクエスト受信回路(REQ_RCV)902、タイマー回路(TIMER)903、レスポンス送信回路(RES_SND)904、リプライ受信回路(REP_RCV)905、発振器(OSC)906およびメモリ907を備え、受信ポート910および送信ポート911を介してネットワーク10に接続される。レスポンス送信回路904が、時刻同期サーバ800からのリクエストに対するレスポンスとして、自己の時刻で示されるリクエストの受信時刻およびレスポンスの送信時刻を時刻同期サーバ800に返送する手段を構成する。リプライ受信回路905は、時刻同期サーバ800から通知される時刻誤差に基づいて自己の時刻を修正する手段を構成し、時刻の修正とともに、時刻同期サーバ800から通知される周波数制御情報に基づいて、自己の内部基準クロックの周波数調整、すなわち発振器906の発振周波数の調整を行う。メモリ907は、時刻同期サーバ800の誤差計算回路806が周波数制御情報を計算するために必要な情報を蓄積する手段を構成する。レスポンス送信回路904は、時刻同期サーバ800に返送するレスポンスに、メモリ907に蓄積された情報を付加して送信することができる。
【0063】
時刻同期サーバ800内のリクエスト送信回路801は、タイマー回路802により示されるサーバ時刻をリクエスト送信時刻t1としてパケット化し、リクエストパケットとして送信する。このリクエストパケットは、時刻同期サーバ800内の送信バッファ回路803から送信ポート810に送出され、ネットワーク10を経由して、時刻同期クライアント900に送られる。
【0064】
時刻同期クライアント900では、時刻同期サーバ800から送信されたリクエストパケットが、受信ポート910および受信バッファ回路901を経由して、リクエスト受信回路902により受信される。リクエスト受信回路902は、受信したリクエストからリクエスト送信時刻t1を抽出し、タイマー回路903が示す現在のクライアント時刻、すなわちリクエスト受信時刻t2と共に、レスポンス送信回路604に転送する。レスポンス送信回路604は、リクエスト送信時刻t1およびリクエスト受信時刻t2に、その時点でタイマー回路603が示す現在のクライアント時刻をレスポンス送信時刻t3として付加し、さらに、メモリ907から読み出した制御情報/履歴(Param)を付加して、レスポンスパケットとして送信する。このレスポンスパケットは、送信ポート911からネットワーク10に送出され、時刻同期サーバ800に送られる。
【0065】
時刻同期サーバ800では、時刻同期クライアント900からのレスポンスパケットが、受信ポート811および受信バッファ回路804を経由して、レスポンス受信回路805により受信される。レスポンス受信回路805は、受信したレスポンスパケットから、リクエスト送信時刻t1、リクエスト受信時刻t2、レスポンス送信時刻t3および制御情報/履歴を抽出し、それらにタイマー回路802が示す現在のサーバ時刻をレスポンス受信時刻t4として付加して、誤差計算回路806に送る。誤差計算回路806は、時刻同期クライアント600の時刻誤差Δtを、
Δt={(t4+t1)−(t3+t2)}/2
により計算する。誤差計算回路806はまた、リクエストパケットにより受信した制御情報/履歴を用いて、周波数制御電圧vを計算する。リプライ送信回路807は、計算された時刻誤差Δt、周波数制御電圧vおよび更新された制御情報/履歴をパケット化し、時刻・周波数制御情報パケットとして送信する。この時刻・周波数制御情報パケットは、送信バッファ回路803から送信ポート810に送出され、ネットワーク10を経由して、時刻同期クライアント900に送られる。
【0066】
時刻同期クライアント900では、時刻同期サーバ800からの時刻・周波数制御情報パケットが、受信ポート910および受信バッファ回路901を経由して、リプライ受信回路905により受信される。リプライ受信回路905は、時刻・周波数制御情報パケットから時刻誤差Δtおよび周波数制御電圧vを抽出し、タイマー回路903のクライアント時刻をΔtだけ修正し、発振器906の制御電圧を周波数制御電圧vに変更(更新)する。これにより、時刻同期サーバ800との時刻同期および周波数同期が確立する。また、リプライ受信回路905は、時刻・周波数制御情報パケットから制御情報/履歴を抽出し、メモリ907の内容を更新する。
【0067】
[発明の効果]
以上説明した第4の実施の形態によれば、時刻同期クライアント900側から制御情報/履歴を送ることで、時刻同期サーバ800のメモリ容量によるクライアント数の上限を無くすことが可能になり、小規模なメモリ量で多数の時刻同期クライアント900を同期させることが可能となる。
【符号の説明】
【0068】
101、301、501、801 リクエスト送信回路
102、203、312、403、502、603、802、903 タイマー回路
103、302、503、803 送信バッファ回路
104、201、304、401、504、601、804、901 受信バッファ回路
105、305、505、805 レスポンス受信回路
106、306、506、806 誤差計算回路
107、307、507、807 リプライ送信回路
110、211、320、411、510、611、810 送信ポート
111、210、321、410、511、610、811 受信ポート
202、402、602、902 リクエスト受信回路
204、405、604、904 レスポンス送信回路
205、406、605、905 リプライ受信回路
303 フォローアップ送信回路
310 PHY回路
311 PHY送信回路
313 PHY受信回路
404 フォローアップ受信回路
606 発振器
701 偏差発生回路
702 セレクタ
703 偏差応答計算回路
704 時刻・周波数誤差計算回路
907 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻の基準を提供する時刻同期サーバと、上記時刻の基準に基づいて自己の時刻を修正する時刻同期クライアントとを有し、
上記時刻同期サーバは、
上記時刻同期クライアントにリクエストを送信する手段と、
上記リクエストに対する上記時刻同期クライアントからのレスポンスに基づいて上記時刻同期クライアントの時刻誤差を計算する手段と、
計算された上記時刻誤差を上記時刻同期クライアントに通知する手段と
を有し、
上記時刻同期クライアントは、
上記時刻同期サーバからのリクエストに対するレスポンスとして、自己の時刻で示される上記リクエストの受信時刻および上記レスポンスの送信時刻を上記時刻同期サーバに返送する手段と、
上記時刻同期サーバから通知される時刻誤差に基づいて自己の時刻を修正する手段と
を有することを特徴とするプッシュ型時刻配信装置。
【請求項2】
請求項1記載のプッシュ型時刻配信装置において、
前記時刻同期クライアントを複数有し、
前記リクエストを送信する手段は、ブロードキャストもしくはマルチキャストによりリクエストを送信し、
前記計算する手段は、前記時刻同期クライアントからの個々のレスポンスに基づいて個々に時刻誤差を計算し、
前記通知する手段は、前記時刻同期クライアントの個々の時刻誤差を当該時刻同期クライアントにユニキャスト送信する
ことを特徴とするプッシュ型時刻配信装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のプッシュ型時刻配信装置において、
前記時刻誤差を計算する手段は、時刻誤差と共に、当該時刻同期クライアントの内部基準クロックの周波数制御情報を計算し、
前記通知する手段は、上記周波数制御情報を上記時刻誤差と共に送信し、
前記修正する手段は、自己の時刻の修正とともに、前記通知する手段により通知された周波数制御情報に基づいて、自己の内部基準クロックの周波数調整を行う
ことを特徴とするプッシュ型時刻配信装置。
【請求項4】
請求項3記載のプッシュ型時刻配信装置において、
前記時刻誤差を計算する手段は、
前記時刻同期クライアントの内部基準クロックに偏差を与えるための制御情報を出力する手段と、
前記時刻同期クライアントからのレスポンスにより求められる前記時刻同期クライアントの内部基準クロックの周波数誤差を時系列的に観測して、上記偏差による応答特性を求める手段と、
上記応答特性に基づいて周波数制御情報を計算する手段と
を有する
ことを特徴とするプッシュ型時刻配信装置。
【請求項5】
請求項4項記載のプッシュ型時刻配信装置において、
前記時刻同期クライアントは、前記時刻誤差を計算する手段が周波数制御情報を計算するために必要な情報を蓄積する手段を有し、
前記返送する手段は、前記時刻同期サーバに返送するレスポンスに上記必要な情報を付加し、
前記時刻誤差を計算する手段は、上記レスポンスに付加された上記必要な情報に基づいて、周波数制御情報を計算する
ことを特徴とするプッシュ型時刻配信装置。
【請求項6】
時刻同期クライアントに対して時刻の基準を提供する時刻同期サーバにおいて、
上記時刻同期クライアントにリクエストを送信する手段と、
上記リクエストに対する上記時刻同期クライアントからのレスポンスに基づいて上記時刻同期クライアントの時刻誤差を計算する手段と、
計算された上記時刻誤差を上記時刻同期クライアントに通知する手段と
を有することを特徴とする時刻同期サーバ。
【請求項7】
時刻同期サーバから提供される時刻の基準に基づいて自己の時刻を修正する時刻同期クライアントにおいて、
上記時刻同期サーバからのリクエストに対するレスポンスとして、自己の時刻で示される上記リクエストの受信時刻および上記レスポンスの送信時刻を上記時刻同期サーバに返送する手段と、
上記時刻同期サーバから通知される時刻誤差に基づいて自己の時刻を修正する手段と
を有することを特徴とする時刻同期クライアント。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−176768(P2011−176768A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40997(P2010−40997)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】