説明

プテリジン顔料配合物

本発明は、成分(A)として式(1)の2,4,5,7−テトラアミノピリミド[5,4g]プテリジン、成分(B)としてリン酸塩化合物、及び場合により、成分(C)としてさらなる添加剤を含む顔料配合物、その製造方法、並びに高分子量有機材料を着色するための、そして印刷着色剤、印刷ペースト又は印刷インクの製造でのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2,4,5,7−テトラアミノピリミド[5,4g]プテリジンの新規配合物、その製造方法、並びに高分子量有機材料を着色するためのその使用、及び印刷着色剤、印刷ペースト又は印刷インクの製造におけるその使用に関する。
【0002】
たとえば2,4,5,7−テトラアミノピリミド[5,4g]プテリジンを含むプテリジン、及びその顔料としての使用は公知である。しかし、特定の用途、とりわけ特定のプラスチック、たとえばポリオレフィン若しくはPVCの着色、又はこのような顔料の、印刷法及びインクジェット印刷法の両方で用いることができる印刷着色剤、又はインク中での色成分としての使用に対して、現在入手可能な市販の配合物は全ての要件を、特に必要な分散性及びそれに関連する従来不満足な色の濃さの点で、完全に満たすわけではないことが分かっている。
【0003】
したがって、印刷着色剤、印刷ペースト及び印刷インク又はインクジェットインクでの使用に適切で、着色の強い色合いが得られ、そして良好な多方面にわたる堅牢性を示す、安定な分散液を形成するプテリジン顔料の新規な形態又は配合物が必要とされ、並びにそれらの形態又は配合物をもたらす製造方法が必要とされている。
【0004】
驚くべきことには、本発明による2,4,5,7−テトラアミノピリミド−[5,4g]プテリジン配合物は、実質的に前記基準を満たすことが、今や見出された。
【0005】
したがって本発明は、成分(A)として式:
【0006】
【化5】

【0007】
の2,4,5,7−テトラアミノピリミド[5,4g]プテリジン、
成分(B)としてリン酸塩化合物、
場合により、成分(C)としてさらなる添加剤を含む、顔料配合物に関する。
【0008】
本発明による顔料配合物に適切な成分(B)としてのリン酸塩化合物は、たとえば、無機リン酸塩、並びにポリリン酸塩、好ましくは有機環状メタリン酸塩、又は直鎖状メタリン酸塩、特にヘキサメタリン酸塩である。
【0009】
上述のリン酸塩は、遊離酸の形態、又は好ましくは塩の形態、たとえばNa+、NH4+、K+又はN(R,R123+塩(R〜R3は、互いに独立に、水素又はC1〜C12アルキル、特にC1〜C4アルキルである)とすることができる。
【0010】
好ましくは、本発明による顔料配合物は、成分(C)として、
a)ワックス、たとえばポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、グリコールエステル、ポリエチレングリコール(PEG)、特にPEG900〜1800、及び/又は
b)界面活性剤、たとえばソルビタン誘導体、特にソルビタンモノラウレート、グリセリンエステル若しくはラノリン系誘導体、及び/又は
c)分散剤、特に顔料に対する親和力を有する基を含有するポリマー分散剤、ここでポリマー分散剤は、ホモポリマーでもコポリマーの形態でもよく、特に、顔料に対する親和力を有する基を含有する高分子量コポリマーであり、及び/又は
d)バインダーとしてポリマー樹脂
を含む。
【0011】
本発明による顔料配合物の製造は、次のスキームにしたがって複数の工程で行う。
第1工程:
【0012】
【化6】

【0013】
第2工程:
【0014】
【化7】

【0015】
(式中、HXは、酸であり、X-は、酸アニオンである)。第1工程は、たとえばWO/2001 029040から公知であり;その文献から同様に公知である第2工程は、本発明により以下に示す方法で変更を加える。
【0016】
天然由来又は合成品の高分子量有機材料の着色に、特に純粋な又は置換ポリオレフィンの着色に適切な顔料配合物を製造するために、まず成分(B)、たとえばヘキサメタリン酸塩を、第1工程から得た式:
【0017】
【化8】

【0018】
(式中、X-は、酸アニオンである)の化合物の湿ったプレスケークに加え、NaOH、次に場合により成分(C)、たとえばソルビタンモノラウレートを混合物に室温で加え、加熱を行い、得られた顔料配合物をろ過及び乾燥後に単離する。
【0019】
印刷着色剤、印刷ペースト又は印刷インクでの使用に適切な顔料配合物を製造するために、まず成分(B)、たとえばヘキサメタリン酸塩、及び場合により成分(C)、たとえばソルビタンモノラウレートを任意の順序で、第1工程から得た式(2)の化合物の湿ったプレスケークに加え、NaOHを混合物に室温で加え、加熱を行い、得られた顔料配合物をろ過及び乾燥後に単離する。
【0020】
インクジェットインクでの使用に適切な顔料配合物の製造するために、まず第1工程から得た式(2)の化合物の湿ったプレスケークを、分散剤を使って水に分散させ、次に成分(B)、たとえばヘキサメタリン酸塩、及びNaOHを任意の順序で、やや高温で加える。
【0021】
本発明による顔料配合物を製造するために、式(2)の化合物は、固体状、たとえば粉末若しくは顆粒の形態、又は合成から直接に得られた粗顔料の形態とすることができる。
【0022】
使用するのが好ましい出発原料は、乾燥されていない粗顔料である。顔料を、たとえば湿ったプレスケークの形態、たとえば残留湿分5〜60重量%、好ましくは残留湿分20〜40重量%を有する形態で用いることができる。顔料を製造する反応で得られた混合物を、その後直接に使用することが同様に可能である。
【0023】
本発明により着色する高分子量有機材料は、天然由来でも合成品でもよい。このような材料は、たとえば、天然樹脂又は乾性油、ゴム又はカゼイン、変性した天然材料、たとえば塩素化ゴム、油変性アルキド樹脂、ビスコース、又はセルロースエーテル若しくはエステル、たとえば酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースアセトブチレート又はニトロセルロースとすることができるが、特に、重合、重縮合又は重付加により得られるような完全合成有機ポリマー(熱硬化性プラスチック及び熱可塑性プラスチックの両方)である。重合樹脂のクラスから、特に、純粋なポリオレフィン、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン又はポリイソブチレン、及び置換ポリオレフィン、たとえば塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸及び/又はメタクリル酸エステル、又はブタジエンの重合生成物、並びに前記モノマーの共重合物、特にABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)又はEVA(エチレン/酢酸ビニル)を挙げることができる。本発明による顔料配合物は、純粋な又は置換ポリオレフィンの着色用に特に適切である。
【0024】
重付加樹脂及び重縮合樹脂のシリーズから、ホルムアルデヒドとフェノール類の縮合物、いわゆるフェノプラスト、並びにホルムアルデヒドと、尿素、チオウレア及びメラミンとの縮合物、いわゆるアミノプラスト、表面塗装樹脂として用いるポリエステル、アルキド樹脂などの飽和樹脂、又はマレイン酸樹脂などの不飽和樹脂、並びに直鎖状ポリエステル及びポリアミド又はシリコーンが挙げられる。
【0025】
本発明による顔料配合物は、プラスチック、好ましくはポリ塩化ビニル及びポリオレフィン、特にポリプロピレンの着色に特に適切である。さらに特に、本発明による顔料配合物は、合成ファイバー、特にポリプロピレンファイバーの着色に適切である。
【0026】
たとえばポリ塩化ビニル又はポリオレフィンの着色物では、本発明による顔料配合物は、良好なオールラウンドの顔料特性、たとえばマイグレーション、熱、光及び天候に対する良好な堅牢度並びに良好な隠蔽力及び高い色の濃さが認められるが、ワイピング後の効果(after-wiping effect)が特に低く特に良好な分散性が認められる。
【0027】
したがって本発明は、高分子量有機材料と本発明による顔料配合物0.01〜30重量%とを混合することを含む、高分子量材料の練り込み着色の方法にも関する。高分子量有機材料の成形に先立って、顔料を混合するのが有利である。成形する時、高分子量有機材料が、たとえば100〜350℃の温度で、好ましくは150〜330℃の温度で、プラスチック塊又は溶融物の形態である方法(特に、プラスチック塊の場合は150〜300℃、溶融物の場合は250〜330℃で)が特に好ましい。
【0028】
前記高分子量化合物は、単独の化合物として又は混合物で、場合により紡いでファイバーを形成することができるプラスチック塊又は溶融物として存在することができる。これらはそのモノマーの形態で又は重合した状態で、表面塗装組成物用若しくは印刷インク用の被膜形成剤又はバインダー、たとえば煮アマニ油、ニトロセルロース、アルキド樹脂、メラミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂又はアクリル樹脂として溶解した形態でもよい。
【0029】
本発明による顔料配合物を用いる高分子量有機材料の顔料着色は、たとえば、このような顔料配合物(場合によりマスターバッチの形態で)とこのような基材とを、たとえば、ロールミル又は混合又は粉砕装置を用いて混合することにより行う。次に、顔料着色材料を、通常、それ自体公知の方法、たとえばカレンダリング、圧縮成形、押出、塗装、流し込み又は射出成形により、望ましい最終形に至らせる。剛性のない成形品を製造するため又はその脆さを減らすために、いわゆる可塑剤を、成形に先立って高分子量化合物に添加するのが多くの場合望ましい。可塑剤として、たとえば、リン酸、フタル酸又はセバシン酸のエステルを用いることができる。本発明による方法では、顔料配合物の添加前又は後に、可塑剤をポリマーに添加することができる。本発明による顔料配合物を高分子量有機材料に添加することに加えて、異なる色合いを得るために、充填剤及び他の色付与成分、たとえば白色、有色又は黒色顔料及びエフェクト顔料を、それぞれの望ましい量で添加することも可能である。
【0030】
したがって、別の態様は、それ自体公知の方法で、たとえば本発明による顔料配合物と高分子量有機材料とを一緒に混合することによる、高分子量有機材料を練り込み着色するための、本発明による顔料配合物の使用にも関する。
【0031】
たとえばプラスチック、ファイバー、表面塗装又は印刷において得られる色合いは、緑がかった黄色の色合い、極めて高い色濃度、高い彩度、極めて良好な分散性、オーバースプレイ、マイグレーション及び熱、並びに光及び天候に対する良好な堅牢度に特徴がある。
【0032】
プラスチック、特に純粋な又は置換ポリオレフィンを主成分とするプラスチックの着色用に、式(1)の2,4,5,7−テトラアミノピリミド[5,4g]プテリジン、ヘキサメタリン酸ナトリウム及びソルビタンモノラウレートを含む顔料配合物を使用するのが好ましい。
【0033】
表面塗装組成物及び印刷インクの顔料着色において、本発明による顔料配合物を、場合により通常の添加剤、たとえば充填剤、他の顔料、乾燥剤又は可塑剤とともに、有機及び/又は水性溶剤又は溶剤混合物に通常通り微細に分散又は溶解する。個々の成分を別個に分散又は溶解させるか、あるいは複数の成分を一緒に分散又は溶解させ、その後初めて全成分を合わせる方法を用いることもできる。
【0034】
したがって、別の態様は、印刷着色剤、印刷ペースト又は印刷インクの製造での本発明による顔料配合物の使用にも関する。
【0035】
本発明はまた、印刷着色剤、印刷ペースト又は印刷インクの製造における、本発明による顔料配合物の、場合により他の着色剤も合わせての使用、並びに得られた印刷着色剤、印刷ペースト及び印刷インクに関する。
【0036】
印刷ペーストに添加する本発明による顔料配合物の量は、望ましい色の濃さに依存し、一般に、印刷する材料に基づいて、0.01〜15重量%、特に0.02〜10重量%の量が適切であることが分かっている。
【0037】
印刷するために、通常の増粘剤、たとえば変性又は非変性の天然産物、たとえばアルギン酸塩、ブリティッシュゴム(British gum)、アラビアゴム、結晶ゴム(crystal gum)、ローカストビーン粉末(locust bean flour)、トラガカント、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、スターチあるいは合成製品、たとえばポリアクリルアミド、ポリアクリル酸若しくはそのコポリマー、又はポリビニルアルコールを使用する。
【0038】
印刷ペーストはまた、必要ならば、酸供与体、たとえばブチロラクトン又はリン酸水素ナトリウム、防腐剤、金属イオン封鎮剤、乳化剤、有機溶剤、たとえばアルコール、エステル、トルエン及びキシレン、バインダー、たとえばニトロセルロース及びビニルコポリマー、可塑剤、たとえばクエン酸、酸化剤、脱泡剤、光安定剤及びUV安定剤を含む。
【0039】
印刷するために、印刷する材料の表面全体又はその一部に、印刷ペーストを、有利なことには通常のタイプの印刷機、たとえばフレキソ印刷/凹版印刷、オフセット印刷、ロータリー又はフラットフィルム印刷機を用いて直接塗布する。本発明による印刷ペーストは、転写印刷にも適切である。
【0040】
本発明による顔料配合物は、言及した材料、特にポリエステル材料に、使用中の堅牢性が極めて良好なむらのない色合いを付与する。
【0041】
本発明は、たとえばインクジェット法で用いるインク用のインク製造における本発明による配合物の使用にも関する。
【0042】
インク中に存在する本発明による顔料配合物の合計量は、インクの合計重量に基づいて、好ましくは0.5〜35重量%、特に1〜30重量%、さらに特に1〜20重量%である。特に好ましい下限は、1.2重量%、特に1.5重量%である。特に好ましい上限は、15重量%、特に10重量%である。
【0043】
インクは通常、可溶化剤又は保湿剤、たとえば水混和性の有機溶剤、たとえばC1〜C4アルコール、たとえばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール又はイソブタノール;アミド、たとえばジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミド;ケトン又はケトンアルコール、たとえばアセトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール;エーテル、たとえばテトラヒドロフラン又はジオキサン;窒素を含有する複素環化合物、たとえばN−メチル−2−ピロリドン又は1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン;ポリアルキレングリコール、好ましくは分子量100〜800の低分子量ポリエチレングリコール、たとえばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400又はポリエチレングリコール600、特に分子量150〜400のポリエチレングリコール、又は低分子量ポリプロピレングリコール、たとえばジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールP400又はポリプロピレングリコールP425;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル、たとえばジエチレングリコールモノブチルエーテル、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エタノール又は2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]エタノール;C2〜C6アルキレングリコール又はチオグリコール、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール;又は別のポリオール、たとえばグリセリン若しくは1,2,6−ヘキサントリオール;又は多価アルコールのC1〜C4アルキルエーテル、たとえば2−メトキシエタノール又は1−メトキシプロパン−2−オールも含む。インクは、可溶化剤としてε−カプロラクタムをさらに含んでもよい。
【0044】
本発明によるインク中の保湿剤として、好ましくは0.1〜30重量%、特に2〜30重量%の量の、たとえば、尿素、あるいは乳酸ナトリウム(50〜60%の水溶液の形態が有利)とグリセリン及び/又はプロピレングリコールとの混合物が考えられる。
【0045】
好ましくは、インクは、分子量150〜400のポリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン及びグリセリンからなる群からの少なくとも1種の可溶化剤又は1種の保湿剤を、特にテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール400、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及びグリセリンを通常、インクの合計重量に基づいて、2〜30重量%、特に5〜25重量%、さらに特に20〜25重量%の量で含む。
【0046】
インクは、特に粘度の調整を目的として、天然由来又は合成品の増粘剤を含んでもよい。
【0047】
挙げることのできる増粘剤の例は、市販されているアルギン酸塩増粘剤、スターチエーテル及びローカストビーン粉末エーテル、特にアルギン酸ナトリウムを、単独で又は変性セルロース、たとえばメチル、エチル、カルボキシメチル、ヒドロキシエチル、メチルヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル若しくはヒドロキシプロピルメチルセルロースとの、特に、好ましくは20〜25重量%のカルボキシメチルセルロースとの混合物で含む。さらに合成増粘剤として、たとえば、ポリ(メタ)アクリル酸又はポリ(メタ)アクリルアミドを主成分とするものを挙げることができる。
【0048】
インクは、このような増粘剤を、たとえば、インクの合計重量に基づいて、0.01〜2重量%、特に0.01〜1重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%の量で含有する。
【0049】
インクは、緩衝物質、たとえばホウ砂、ホウ酸塩、リン酸塩、ポリリン酸塩又はクエン酸塩も含むことができる。挙げることができる例は、ホウ砂、ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ペンタポリリン酸ナトリウム及びクエン酸ナトリウムを含む。pH値を、たとえば4〜9、特に5〜8.5に設定するために、これらを、特に、インクの合計重量に基づいて0.1〜3重量%、好ましくは0.1〜1重量%の量で使用する。
【0050】
インクは、さらなる添加剤として界面活性剤又は湿潤剤を含んでもよい。
【0051】
適切な界面活性剤又は湿潤剤は、市販されているアニオン又は非イオン性の界面活性剤を含む。
【0052】
さらに、インクは通常の添加剤、たとえば消泡剤、あるいは特に菌類及び/又はバクテリアの成長を妨げる物質をさらに含んでもよい。このような添加剤は通常、インクの合計重量に基づいて0.01〜1重量%の量で使用する。
【0053】
考えられる防腐剤は、ホルムアルデヒド産出剤、たとえばパラホルムアルデヒド及びトリオキサン、特に、約30〜40重量%のホルムアルデヒド水溶液、イミダゾール化合物、たとえば2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、チアゾール化合物、たとえば1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン又は2−n−オクチル−イソチアゾリン−3−オン、ヨウ素化合物、ニトリル、フェノール類、ハロアルキルチオ化合物又はピリジン誘導体、特に1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン又は2−n−オクチル−イソチアゾリン−3−オンを含む。
【0054】
インクは、従来の方法で、たとえば望ましい量の水に個々の成分を一緒に混合することにより製造することができる。インク中に存在する懸濁した物質及び不溶性成分を、たとえば、孔径0.2〜0.5μmのフィルターを通してろ過することにより除去する。
【0055】
粘度1〜40mPa・s、特に1〜20mPa・s、好ましくは1〜10mPa・sを有するインクが好ましい。
【0056】
インクの製造において使用するのが好ましい顔料配合物は、式(1)の2,4,5,7−テトラアミノピリミド[5,4g]プテリジン、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、及び顔料に対する親和力を有する基を含有する分散剤を含むものである。
【0057】
本発明によるインクは、インクを小さな開口から液滴の形態で絞り出し、イメージを形成する平坦な基材上に向ける記録システムでの使用に適切である。適切な基材は、たとえば、紙、プラスチックフィルム又は紡織繊維材料、特に紙又はプラスチックフィルム、さらに特に紙を含む。適切な記録システムは、たとえば、紙印刷又は生地印刷に用いる市販されているインクジェットプリンターを含む。
【0058】
本発明によるインクで印刷できる紙の例として、市販されているインクジェット紙、フォトペーパー、光沢紙、プラスチックコート紙、たとえばEpson Ink-jet Paper、Epson Photo Paper、Epson Glossy Paper、Epson Glossy Film、HP Special Ink-jet Paper、Encad Photo Gloss Paper及びIlford Photo Paperが挙げられる。本発明によるインクで印刷できるプラスチックフィルムは、たとえば透明又は曇った/不透明である。適切なプラスチックフィルムは、たとえば3M Transparency Filmである。好ましい光沢紙は、たとえばEpson Glossy Paperである。
【0059】
紡織繊維材料として、特に窒素含有又はヒドロキシ基含有繊維材料、たとえばセルロース、絹、羊毛又は合成ポリアミド、特に絹製の織物布が考えられる。
【0060】
インクジェット印刷法の場合、制御された方法でノズルからインクの個々の液滴を基材上にスプレーする。そのために、主に、連続インクジェット法及びドロップ・オン・デマンド(drop-on-demand)法を用いる。連続インクジェット法の場合、液滴は連続して形成され、印刷作業に必要のない液滴は容器に排出されて再利用される。一方、ドロップ・オン・デマンド法の場合、液滴は必要なときに生成され印刷に用いられる、すなわち、印刷作業に必要な時だけ液滴は生成される。液滴の製造は、たとえばピエゾインクジェットヘッド(piezo ink-jet head)によって、又は熱エネルギー(バブルジェット)によって行うことができる。本発明による方法には、ピエゾインクジェットヘッドによる印刷が好ましいが、連続インクジェット法による印刷も好ましい。
【0061】
本発明によるインクは、特に黄色成分として多色印刷又はフォトプリンティングに適切であり、中性のフォトイエロー(photo yellow)を与える。
【0062】
本発明にしたがって得られた印刷物は、良好な耐光堅牢性及び良好な耐水堅牢性を示す。それらは、特に、高い色鮮明性及び高い色濃度に特徴がある。本発明によるインクは貯蔵安定性であり、長期間保管した場合沈殿又は沈降を全く示さない。
【0063】
以下、実施例により、本発明を具体的に説明する。特記しない限り、温度は℃で示し、部は重量部であり、%は重量%である。重量部は容量部にkg対Lの比で関係する。
【0064】
実施例1:
氷酢酸(100%)110ml中の市販の2,4,6−トリアミノ−5−ニトロソピリミジン(Chemie Uetikon、Germany)6.20g、市販の2,4−ジアミノ−6−ヒドロキシピリミジン(Fluka、Switzerland)5.15g及び市販のトルエン−4−スルホン酸一水和物11.52gの懸濁液を、113℃で20時間攪拌した。反応混合物を、それがまだ熱い間に硬質ペーパーフィルターを通してろ過した。式VI:
【0065】
【化9】

【0066】
のピリミド[5,4−g]プテリジン塩約31.5重量%を含有する湿ったろ過ケークを、次の実施例に示すようにさらに処理した。
【0067】
実施例2:
実施例1からの31.5%のろ過ケーク200.0gを水で洗浄し、次に水465gに分散させ、それにヘキサメタリン酸ナトリウム(Fluka、Switzerland)2.92g及びソルビタンモノラウレート(Span 20、Fluka、Switzerland)36.5gを加えた。顔料形態への転化を、2MのNaOH水溶液67mlの添加(pH約12)により引き起こし、混合物をまず室温で30分、次に90℃で18時間攪拌した。冷却後、懸濁液をろ過し、中性になるまで水で洗浄し、真空中、60℃で乾燥した。
【0068】
得られた顔料は、ニトロセルロース印刷インク中で、濃い鮮明な黄色い色合いを与えた。
【0069】
実施例3:(比較例)
実施例1からの31.5%のろ過ケーク24.2gを水で洗浄し、次に水50gに分散させ、それにヘキサメタリン酸ナトリウム(Fluka、Switzerland)2.92gを加えた。顔料形態への転化を、2MのNaOH水溶液10mlの添加(pH約12)により引き起こし、混合物をまず室温で30分、次に90℃で18時間攪拌した。冷却後、懸濁液をろ過し、中性になるまで水で洗浄し、真空中、60℃で乾燥した。
【0070】
得られた顔料は、ニトロセルロース印刷インク中で、沈降する傾向が強いせいで淡い色合いしか与えなかった。
【0071】
実施例4:(比較例)
実施例1からの31.5%のろ過ケーク17.7gを水で洗浄し、次に水50gに分散させ、それにソルビタンモノラウレート(Span 20、Fluka、Switzerland)36.5gを加えた。顔料形態への転化を、2MのNaOH水溶液10mlの添加(pH約12)により引き起こし、混合物をまず室温で30分、次に90℃で18時間攪拌した。冷却後、懸濁液をろ過し、中性になるまで水で洗浄し、及び真空中、60℃で乾燥した。
【0072】
得られた顔料は、ニトロセルロース印刷インク中で、沈降する傾向が強いせいで淡い色合いしか与えなかった。
【0073】
実施例5:
実施例1からの31.5%のろ過ケーク141.0gを水で洗浄し、次に水300gに分散させ、それにソルビタンモノラウレート(Span 20、Fluka、Switzerland)37.4gを加えた。顔料形態への転化を、2MのNaOH水溶液51.3mlの添加(pH約12)により開始させた。60分後、ヘキサメタリン酸ナトリウム(Fluka、Switzerland)2.1gを加え、混合物を90℃に加熱し、2時間攪拌した。冷却後、懸濁液をろ過し、中性になるまで水で洗浄し、真空中、60℃で乾燥した。
【0074】
得られた顔料は、ポリオレフィン中及びPVC中で、優れた分散性で濃い鮮明な色合いを与えた。
【0075】
実施例6:
顔料に対する親和力を有する基を含有する高分子量ブロックコポリマー200g及び水290gを、実施例1からの31.5%のろ過ケーク466.3gに加え、Dynomillを使って24時間分散させた。得られた分散液221gを攪拌しながら40℃に加熱し、16重量%のNaOH及び4重量%のヘキサメタリン酸ナトリウム(Fluka、Switzerland)を含有するアルカリ性の溶液22mlを加えた。懸濁液をろ過し、水220mlに投入し、さらに40℃で80分攪拌した。続いて、上述のアルカリ性溶液をさらに5ml加え、攪拌をさらに20分続けた。Amberlite MB 150(スチレン/ジビニルベンゼンコポリマーをベースとするイオン交換樹脂、Rohm and Haas)100gを続いて加え、混合物をさらに2時間攪拌した。次に、Amberlite MB 150をろ別した。
【0076】
460nmに吸収極大を有する顔料濃縮物430gを得た。その顔料濃縮物150gに、水68.5g、1,2−プロパンジオール36g、グリセリン18g、ポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテル0.5g、カプロラクタム6g及びN−メチルピロリドン21gを加えた。混合物を8000rpmで30分遠心分離にかけ、次に0.7μmのガラス繊維フィルターを用いてろ過し、粘度4.6mPasを有するインクを得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A)として式:
【化1】


の2,4,5,7−テトラアミノピリミド[5,4g]プテリジン、
成分(B)としてリン酸塩化合物、及び
場合により、成分(C)としてさらなる添加剤
を含む顔料配合物。
【請求項2】
成分(B)が、好ましくはナトリウム若しくはアンモニウム塩の形態の無機リン酸塩、同様に好ましくはナトリウム若しくはアンモニウム塩の形態のポリリン酸塩、好ましくは有機、環状メタリン酸塩又は鎖状メタリン酸塩、特にヘキサメタリン酸塩である、請求項1記載の顔料配合物。
【請求項3】
成分(C)としてワックス、グリコールエステル又はポリエチレングリコールを含む、請求項1又は請求項2記載の顔料配合物。
【請求項4】
成分(C)として界面活性剤、グリセリンエステル又はラノリン系誘導体を含む、請求項1又は請求項2記載の顔料配合物。
【請求項5】
成分(C)として分散剤、特に顔料に対する親和力を有する基を含有するポリマー分散剤、さらに特に顔料に対する親和力を有する基を含有する高分子量コポリマーを含む、請求項1又は請求項2記載の顔料配合物。
【請求項6】
成分(B)、たとえばヘキサメタリン酸塩を、式:
【化2】


(式中、X-は、酸アニオンである)の化合物に加え、NaOH、次に場合により成分(C)、たとえばソルビタンモノラウレートを混合物に室温で加え、加熱し、次いでろ過及び乾燥後に得られた顔料配合物を単離することを含む、請求項1記載の顔料配合物の製造方法。
【請求項7】
成分(B)、たとえばヘキサメタリン酸塩、及び場合により成分(C)、たとえばソルビタンモノラウレートを、任意の順序で、式:
【化3】


(式中、X-は酸アニオンである)の化合物に加え、混合物にNaOHを室温で加え、加熱し、次いでろ過及び乾燥後に得られた顔料配合物を単離することを含む、請求項1記載の顔料配合物の製造方法。
【請求項8】
分散剤を使って、式:
【化4】


(式中、X-は、酸アニオンである)の化合物を水に分散させ、次に成分(B)、たとえばヘキサメタリン酸塩、及びNaOHを、任意の順序でやや高温で加えることを含む、請求項1記載の顔料配合物の製造方法。
【請求項9】
高分子量有機材料を練り込み着色するための、請求項1〜5のいずれか1項記載の顔料配合物の使用。
【請求項10】
高分子量有機材料の練り込み着色の方法であって、請求項1〜5のいずれか1項記載の顔料配合物を高分子量有機材料に混和することを含む方法。
【請求項11】
印刷着色剤、印刷ペースト又は印刷インクの製造における、請求項1〜5のいずれか1項記載の顔料配合物の使用。
【請求項12】
請求項1〜5のいずれか1項記載の顔料配合物を含む、印刷着色剤又は印刷ペースト。
【請求項13】
請求項1〜5のいずれか1項記載の顔料配合物を含む印刷インク。

【公表番号】特表2008−505241(P2008−505241A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519765(P2007−519765)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【国際出願番号】PCT/EP2005/052844
【国際公開番号】WO2006/003093
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.バブルジェット
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】