説明

プライマーおよび該プライマーを用いたバチルス属細菌の検出方法

【課題】食品を低温で保存したときに増殖する恐れのある低温細菌、特にバチルス・メガテリウム、バチルス・ポリミキサおよびバチルス・プミラスをそれぞれ検出するための簡便かつ迅速な方法を提供する。
【解決手段】バチルス・メガテリウムの16SrRNAをコードするDNAを標的とし、特定の配列からなるフォワードプライマーと特定の配列からなるリバースプライマーとを含む、バチルス・メガテリウムを検出するためのプライマーセット。該プライマーセットを用いた、食品中における菌叢の評価方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を低温で保存したときに増殖する恐れのある低温細菌、具体的にはバチルス・メガテリウム、バチルス・ポリミキサおよびバチルス・プミラスをそれぞれ検出するためのプライマーに関する。本発明はまた、これらのプライマーを用いて食品中の菌叢を評価する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
低温である程度の期間保存される食品には加熱処理されたものが多いが、加熱処理された食品にはバチルス属細菌などが芽胞の状態で生残する可能性がある。従って、加熱処理食品から低温で増殖する可能性のあるバチルス属細菌を選択的に検出する手段が望まれている。
【0003】
従来、食品中に含まれる細菌の菌数および菌叢を調べる場合には、平板培養法によって菌数を計数し、平板上に得られたコロニーについて、形態観察、グラム染色、生化学的性状試験等を行うことによって菌叢を評価する方法が行われてきた(非特許文献1)。この方法では、菌数の計数に1日間以上、菌叢の評価に2日間以上を要し、また、菌叢の評価に熟練技術が必要とされる。従って、製造直後に出荷する食品に対してこの方法を適用する場合には、細菌汚染が発生した際に迅速な対応が取れないという欠点があった。
【0004】
近年、平板培養法に替わる細菌の迅速検出法として、遺伝子検出を原理とするPCR法が用いられようになった。例えば、真正細菌の16S rRNAをコードするDNA(16S rDNA)とハイブリダイズできるプライマー(ユニバーサルプライマー)を用い、被験試料に含まれる細菌からDNA抽出操作により得られるDNAを対象にしてPCR法を行い、細菌全般を検出する方法が知られている(例:Eubacteria Detection Kir for conventional PCR、Minerva Biolabs BmbH:非特許文献2)。しかし、この方法は、細菌の定性検出を目的としているために細菌の定量はできず、また、菌叢を評価することも不可能である。
【0005】
また、各種の食中毒細菌の16S rDNAとハイブリダイズできる特異的なプライマーを用いたPCR法を行うことによって各種の食中毒細菌を検出する方法も提案されている(例:O-157(ベロ毒素遺伝子)One Shot PCR Screening Kit、TaKaRa:非特許文献3)。また、加熱処理食品から低温で増殖する可能性のあるバチルス属細菌の検出法として、バチルス・セレウスをプライマーを用いて検出する方法が知られている(非特許文献4)。しかし、バチルス・メガテリウム、バチルス・ポリミキサおよびバチルス・プミラスをプライマーを用いて検出する方法については知られていない。
【0006】
【非特許文献1】「最新微生物同定法」堀込広明編、有限会社 研修社・工業技術会株式会社(1994)
【非特許文献2】Eubacteria Detection Kit for conventional PCR Instruction Manual
【非特許文献3】O-157(ベロ毒素遺伝子)One Shot PCR Screening Kit 説明書
【非特許文献4】Journal of Food Protection, Vol.63, No.11, p1496-1502, 2000.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、食品を低温で保存したときに増殖する恐れのある低温細菌、特にバチルス・メガテリウム、バチルス・ポリミキサおよびバチルス・プミラスをそれぞれ検出するための簡便かつ迅速な方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは前記課題を解決するため研究を重ねた結果、バチルス・メガテリウム、バチルス・ポリミキサおよびバチルス・プミラスの16S rRNAをコードするDNAにおいて特異的な領域をそれぞれ見出し、バチルス・メガテリウム、バチルス・ポリミキサおよびバチルス・プミラスをそれぞれ検出できるプライマーを開発することに成功し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
【0010】
(1)バチルス・メガテリウムの16S rRNAをコードするDNAを標的とし、以下の(a)または(b)のオリゴヌクレオチドからなるフォワードプライマーと以下の(c)または(d)および(e)または(f)のオリゴヌクレオチドからなるリバースプライマーとを含む、バチルス・メガテリウムを検出するためのプライマーセット:
(a)配列番号1で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(b)配列番号1で表される塩基配列において1もしくは2個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入された塩基配列からなり、バチルス・メガテリウムの16S rRNAをコードするDNAにおいて(a)のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド
(c)配列番号2で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(d)配列番号2で表される塩基配列において1もしくは2個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入された塩基配列からなり、バチルス・メガテリウムの16S rRNAをコードするDNAにおいて(c)のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド
(e)配列番号3で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(f)配列番号3で表される塩基配列において1もしくは2個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入された塩基配列からなり、バチルス・メガテリウムの16S rRNAをコードするDNAにおいて(e)のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド。
【0011】
(2)バチルス・ポリミキサの16S rRNAをコードするDNAを標的とし、以下の(a)または(b)のオリゴヌクレオチドからなるフォワードプライマーと以下の(c)または(d)のオリゴヌクレオチドからなるリバースプライマーとを含む、バチルス・ポリミキサを検出するためのプライマーセット:
(a)配列番号1で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(b)配列番号1で表される塩基配列において1もしくは2個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入された塩基配列からなり、バチルス・ポリミキサの16S rRNAをコードするDNAにおいて(a)のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド
(c)配列番号4で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(d)配列番号4で表される塩基配列において1もしくは2個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入された塩基配列からなり、バチルス・ポリミキサの16S rRNAをコードするDNAにおいて(c)のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド。
【0012】
(3)バチルス・プミラスの16S rRNAをコードするDNAを標的とし、以下の(a)または(b)のオリゴヌクレオチドからなるフォワードプライマーと以下の(c)または(d)のオリゴヌクレオチドからなるリバースプライマーとを含む、バチルス・プミラスを検出するためのプライマーセット:
(a)配列番号1で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(b)配列番号1で表される塩基配列において1もしくは2個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入された塩基配列からなり、バチルス・プミラスの16S rRNAをコードするDNAにおいて(a)のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド
(c)配列番号5で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(d)配列番号5で表される塩基配列において1もしくは2個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入された塩基配列からなり、バチルス・プミラスの16S rRNAをコードするDNAにおいて(c)のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド。
【0013】
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載のプライマーセットから選択される少なくとも1つのプライマーセットを用いて増幅反応を行って増幅産物を検出することを含む、バチルス属細菌の検出方法。
【0014】
(5)(4)に記載の方法を用いて各バチルス属細菌を検出することを含む、食品中のバチルス属細菌の菌種を同定する方法。
【0015】
(6)(1)〜(3)のいずれかに記載のプライマーセットから選択される少なくとも1つのプライマーセットを含む、食品中のバチルス属細菌を評価するためのキット。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、食品を低温で保存したときに増殖する恐れのある低温細菌、特にバチルス・メガテリウム、バチルス・ポリミキサおよびバチルス・プミラスをそれぞれ検出するための簡便かつ迅速な方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
プライマーセット
一実施形態において本発明は、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)の16S rRNAをコードするDNAを標的とし、(a)配列番号1で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドからなるフォワードプライマーと(c)配列番号2で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドおよび(e)配列番号3で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドからなるリバースプライマーとを含む、バチルス・メガテリウムを検出するためのプライマーセットに関する。本発明におけるバチルス・メガテリウムの検出では、(c)および(e)の2種のリバースプライマーを用い、16S rRNAをコードするDNAにおける二箇所を標的とする。上記プライマーセットにおけるフォワードプライマーとして、(a)のオリゴヌクレオチドとプライマーとして同等に機能しうるオリゴヌクレオチドを用いることもできる。そのようなオリゴヌクレオチドとして、配列番号1で表される塩基配列において1もしくは2個、好ましくは1個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入された塩基配列からなり、バチルス・メガテリウムの16S rRNAをコードするDNAにおいて(a)のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドが挙げられる。同様に上記プライマーセットにおけるリバースプライマーとして、(c)のオリゴヌクレオチドとプライマーとして同等に機能しうるオリゴヌクレオチドを用いることもできる。そのようなオリゴヌクレオチドとして、(d)配列番号2で表される塩基配列において1もしくは2個、好ましくは1個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入された塩基配列からなり、バチルス・メガテリウムの16S rRNAをコードするDNAにおいて(c)のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドが挙げられる。同様にリバースプライマーとして、(e)のオリゴヌクレオチドとプライマーとして同等に機能しうるオリゴヌクレオチドを用いることもできる。そのようなオリゴヌクレオチドとして、(f)配列番号3で表される塩基配列において1もしくは2個、好ましくは1個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入された塩基配列からなり、バチルス・メガテリウムの16S rRNAをコードするDNAにおいて(e)のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドが挙げられる。本明細書において上記プライマーセットをBmプライマーセットと称する。
【0018】
Bmプライマーセットを用いて増幅反応を行うことにより、バチルス・メガテリウムを検出することができる。Bmプライマーセットによって、バチルス・メガテリウムを検出できるが、バチルス・メガテリウム以外の細菌はほとんど検出されない。すなわち、Bmプライマーセットによってバチルス・メガテリウムを特異的に検出できる。
【0019】
一実施形態において本発明は、バチルス・ポリミキサ(Bacillus polymyxa)の16S rRNAをコードするDNAを標的とし、(a)配列番号1で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドからなるフォワードプライマーと(c)配列番号4で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドからなるリバースプライマーとを含む、バチルス・ポリミキサを検出するためのプライマーセットに関する。上記プライマーセットにおけるフォワードプライマーとして、(a)のオリゴヌクレオチドとプライマーとして同等に機能しうるオリゴヌクレオチドを用いることもできる。そのようなオリゴヌクレオチドとして、配列番号1で表される塩基配列において1もしくは2個、好ましくは1個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入された塩基配列からなり、バチルス・ポリミキサの16S rRNAをコードするDNAにおいて(a)のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドが挙げられる。同様に上記プライマーセットにおけるリバースプライマーとして、(c)のオリゴヌクレオチドとプライマーとして同等に機能しうるオリゴヌクレオチドを用いることもできる。そのようなオリゴヌクレオチドとして、(d)配列番号4で表される塩基配列において1もしくは2個、好ましくは1個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入された塩基配列からなり、バチルス・ポリミキサの16S rRNAをコードするDNAにおいて(c)のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドが挙げられる。本明細書において上記プライマーセットをBpoプライマーセットと称する。
【0020】
Bpoプライマーセットを用いて増幅反応を行うことにより、バチルス・ポリミキサを検出することができる。Bpoプライマーセットによって、バチルス・ポリミキサを検出できるが、バチルス・ポリミキサ以外の細菌はほとんど検出されない。すなわち、Bpoプライマーセットによってバチルス・ポリミキサを特異的に検出できる。
【0021】
一実施形態において本発明は、バチルス・プミラス(Bacillus pumilus)の16S rRNAをコードするDNAを標的とし、(a)配列番号1で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドからなるフォワードプライマーと(c)配列番号5で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドからなるリバースプライマーとを含む、バチルス・プミラスを検出するためのプライマーセットに関する。上記プライマーセットにおけるフォワードプライマーとして、(a)のオリゴヌクレオチドとプライマーとして同等に機能しうるオリゴヌクレオチドを用いることもできる。そのようなオリゴヌクレオチドとして、配列番号1で表される塩基配列において1もしくは2個、好ましくは1個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入された塩基配列からなり、バチルス・プミラスの16S rRNAをコードするDNAにおいて(a)のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドが挙げられる。同様に上記プライマーセットにおけるリバースプライマーとして、(c)のオリゴヌクレオチドとプライマーとして同等に機能しうるオリゴヌクレオチドを用いることもできる。そのようなオリゴヌクレオチドとして、(d)配列番号5で表される塩基配列において1もしくは2個、好ましくは1個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入された塩基配列からなり、バチルス・プミラスの16S rRNAをコードするDNAにおいて(c)のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドが挙げられる。本明細書において上記プライマーセットをBpuプライマーセットと称する。
【0022】
Bpuプライマーセットを用いて増幅反応を行うことにより、バチルス・プミラスを検出することができる。Bpuプライマーセットによって、バチルス・プミラスを検出できるが、バチルス・プミラス以外の細菌はほとんど検出されない。すなわち、Bpuプライマーセットによってバチルス・プミラスを特異的に検出できる。
【0023】
本明細書において、16S rRNAをコードするDNA(16S rDNA)を標的とするプライマーセットとは、検出対象である細菌(標的細菌と称する場合もある)の16S rRNAをコードするDNAにプライマーがハイブリダイズし、該DNAにおける特定の領域(標的配列)を増幅しうるプライマーセットをさす。細菌の16S rRNAをコードするDNAは、通常、細菌のゲノムDNAをさす。本発明のプライマーセットは、16S rRNAをコードするDNAにおいて、各細菌に特異的な部分を標的配列とすることから、各細菌を特異的に検出および定量することが可能である。なお、各細菌の16S rDNAの塩基配列は、NCBI(National Center for Biotechnology Information)の遺伝子データベースGenBankから取得できる。
【0024】
特定のオリゴヌクレオチドとプライマーとして同等に機能しうるオリゴヌクレオチドは、当該特定のオリゴヌクレオチドが標的とする16S rRNAをコードするDNAに同様にハイブリダイズし、かつ、該16S rRNAをコードするDNAにおいて当該特定のオリゴヌクレオチドが増幅する領域を増幅できるプライマーを意味する。ここで、ハイブリダイズは、特定のオリゴヌクレオチドが、その標的である16S rRNAをコードするDNAにハイブリダイズする条件において生じればよい。
【0025】
本発明のプライマーは、好ましくはストリンジェントな条件下で、その標的である16S rRNAをコードするDNAにハイブリダイズするものである。ストリンジェントな条件とは、特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。ストリンジェントな条件は、例えば、ハイブリダイゼーション後の洗浄において、65℃、0.1×SSCおよび0.1% SDSで洗浄する条件である。
【0026】
本明細書において、プライマーとしてのオリゴヌクレオチドは、好ましくは一本鎖DNAをさす。また、プライマーには、オリゴヌクレオチドを構成するデオキシリボースや塩基について、その一部に他の分子が付加する、その一部が他の分子で置換されるなどにより修飾されているものも含まれる。例えば、プライマーとするオリゴヌクレオチドの5’末端に蛍光色素などの標識を付したものなどが含まれる。
【0027】
本発明のプライマーセットが標的とするバチルス・メガテリウム、バチルス・ポリミキサおよびバチルス・プミラスは、食品を汚染する可能性のある細菌として頻出するものであるとともに、食品を低温で保存したときに増殖する恐れのある低温細菌である。従って、これらの細菌の食品中での存在、およびその割合を明らかにすることによって、汚染原因の推定、汚染原因の排除方法の最適化を図ることが可能となる。
【0028】
細菌の検出
本発明はまた、本発明の上記プライマーセットを用いて増幅反応を行って増幅産物を検出することにより該プライマーセットが対象とする細菌、すなわち標的細菌を検出する方法に関する。
【0029】
本発明の検出方法は、被検試料に含まれる標的細菌のゲノムDNAを鋳型として、本発明のプライマーセットを用いて増幅反応を行い、増幅産物を検出することにより、被検試料に含まれる標的細菌を検出するものである。細菌の検出には、細菌の有無の判定および細菌の定量が包含される。
【0030】
被検試料としては、使用するプライマーの標的細菌を含みうる試料であれば特に制限されない。本発明の検出方法は、食品試料に含まれる細菌の検出に、特に好適に用いられる。食品には飲料も含まれ、本発明の検出方法は、例えば、野菜類、肉類、果実類、穀類、卵類、魚介類、香辛料類(ハーブ類、スパイス類)、イモ類、豆/種実類、キノコ類、藻類、乳類およびこれらの加工製品等を広く対象とすることができる。
【0031】
上記被検試料からDNAを抽出しそれを鋳型として増幅反応を行う。DNAの抽出は、従来のゲノムDNAの調製の場合と同様の手法により行うことができ、例えばフェノール/クロロホルム、エタノール、水酸化ナトリウム、CTABなどを用いたDNA抽出法を用いることができる。
【0032】
増幅手法としては、特に限定されないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法の原理を利用した公知の方法を挙げることができる。例えば、PCR法、LAMP(Loop-mediated isothermal AMPlification)法、ICAN(Isothermal and Chimeric primer-initiated Amplification of Nucleic acids)法、RCA(Rolling Circle Amplification)法、LCR(Ligase Chain Reaction)法、SDA(Strand Displacement Amplification)法等を挙げることができる。増幅は、増幅産物が検出可能なレベルになるまで行う。
【0033】
PCR法は、被検試料に含まれるDNAを鋳型として、DNAポリメラーゼにより、プライマーセットに含まれる一対のプライマー間の塩基配列を合成するものである。PCR法によれば、変性、アニーリング及び合成からなるサイクルを繰り返すことによって、増幅産物を指数関数的に増幅させることができる。PCRの最適条件は、当業者であれば容易に決定することができる。
【0034】
上記増幅反応後の増幅産物の検出には、このような産物を特異的に認識することができる公知の手段を用いることができる。例えば、増幅反応の過程で取り込まれるdNTPに、放射性同位体、蛍光物質、発光物質などの標識体を作用させ、この標識体を検出することができる。標識したdNTPを取り込んだ増幅産物を観察する方法としては、上述した標識体を検出するための当技術分野で公知の方法であればいずれの方法でもよい。例えば、標識体として放射性同位体を用いた場合には、放射活性を、例えば液体シンチレーションカウンター、γ−カウンターなどにより計測することができる。また標識体として蛍光を用いた場合には、その蛍光を蛍光顕微鏡、蛍光プレートリーダーなどを用いて検出することができる。
【0035】
本発明の検出方法では、増幅反応として好ましくは定量的PCRを実施することにより、細菌の定量を行う。定量的PCRとしては、リアルタイムPCRが好ましい。リアルタイムPCRは、PCRの増幅量をリアルタイムでモニターし解析する方法であり、電気泳動が不要で迅速性と定量性に優れている。この方法には、通常、サーマルサイクラーと分光蛍光光度計を一体化したリアルタイムPCR専用の装置を用いる。まず、段階希釈した既知量のDNAを標準としてPCRを行い、これをもとに、増幅が指数関数的に起こる領域で一定の増幅産物量になるサイクル数(threshold cycle;Ct値)を横軸に、初発のDNA量を縦軸にプロットし、検量線を作成する。未知濃度の試料についても、同じ条件下で反応を行い、Ct値を求め、この値と検量線から、試料中の目的のDNA量を測定することができる。
【0036】
リアルタイムPCRは、当技術分野で通常用いられる方法により実施することができる。例えば、インターカレーター法、TaqManプローブ法およびサイクリングプローブ法などが挙げられる。
【0037】
インターカレーター法は、二本鎖DNAに結合することで蛍光を発する試薬(例えば、インターカレーター:SYBR(登録商標)Green I)をPCR反応系に加える方法である。インターカレーターによるリアルタイムPCRは、SYBR Green Iの存在下でPCRを行い、標的配列の増幅に伴って増加する蛍光強度を測定することにより、試料中の標的配列を検出・定量する技術である。当該技術は、増幅反応と蛍光強度の測定を同時に実施するものであり、増幅産物にSYBR Green Iがインターカレートすることによって生じる蛍光を定量的に検出する。蛍光強度は、あるサイクル数を過ぎると検出限界を超え、急激に増加する。そして、試料中の標的配列を有するDNAの量が多いほど、少ないサイクル数で蛍光強度が急に増加する。従って、蛍光強度の対数的増加が始まるサイクル数を調べることにより、試料中の標的配列を有するDNAを定量することができる。
【0038】
TaqManプローブ法は、5'末端を蛍光物質(FAMなど)で、3'末端をクエンチャー物質(TAMRAなど)で修飾したオリゴヌクレオチド(TaqManプローブ)をPCR反応系に加える方法である。TaqManプローブは、アニーリングステップで鋳型DNAに特異的にハイブリダイズするが、プローブ上にクエンチャーが存在するため、励起光を照射しても蛍光の発生は抑制される。伸長反応ステップのときに、Taq DNA ポリメラーゼのもつ5'→3'エキソヌクレアーゼ活性により、鋳型にハイブリダイズしたTaqManプローブが分解されると、蛍光色素がプローブから遊離し、クエンチャーによる抑制が解除されて蛍光を発する。
【0039】
サイクリングプローブ法は、RNAとDNAからなるキメラプローブとRNase Hの組み合わせによる高感度な検出方法で、増幅中や増幅後の遺伝子断片の特定配列を効率良く検出することができる。プローブは5'端が蛍光物質(リポーター)で、3'端が蛍光を消光する物質(クエンチャー)で標識される。このプローブは、インタクトな状態ではクエンチングにより強い蛍光を発することはないが、配列が相補的な増幅産物とハイブリッドを形成した後にRNaseHによりRNA部分が切断されると、強い蛍光を発する。この蛍光強度を測定することで、増幅産物の量をモニターすることができる。
【0040】
リアルタイムPCR用の装置は市販されており、本発明においては、そのような市販の装置(例えば、Applied Biosystems社製ABI PRISM 7700 Sequence Detector等)を用いることができる。
【0041】
本発明の検出方法は、本発明のプライマーセットから選択される少なくとも1つのプライマーセットを用いて増幅反応を行って増幅産物を検出することを含むが、好ましくは少なくとも2つ、特に好ましくはすべてのプライマーセットについて増幅反応を行って増幅産物を検出することを含む。
【0042】
本発明の検出方法において、各細菌を検出し、定量する、すなわち菌数を定量するためには、標的細菌の菌株を標準として用いてもよいし、本発明のプライマーセットによって増幅される16S rDNA領域を含むプラスミド等の標準DNAを標準として用いてもよい。
【0043】
標的細菌の菌株を標準として用いる場合(標準菌株を用いる場合)は、検査すべき被検試料に加えて、各標準菌株の2種以上の希釈系列についても定量的PCRを行って検量線を求め、得られた検量線から試料中の各細菌属の菌数を定量する。また、この標準菌株はPCRにおけるポジティブコントロールとしても利用することができる。
【0044】
標準プラスミドなどの標準DNAを用いる場合は、標準菌株の代わりに、本発明の各プライマーセットにより増幅される標的細菌の16S rDNA領域を含むプラスミド等の標準DNAの2種以上の希釈系列を用いて検量線を求め、得られた検量線から、試料中の標的細菌の16S rDNAのコピー数を定量することにより、試料中の標的細菌の菌数を定量することができる。この場合、予め各標準菌株の菌数と標準DNAの量とを相関させておく必要があるが、プラスミド等の標準DNAは標準菌株と比較して取り扱いや保存等が容易である。このため、標準DNAを用いる定量方法は、食品または食品原料の保存、製造または流通の現場で実施する場合に特に好ましい。
【0045】
食品中の菌叢の評価
本発明はまた、本発明のプライマーセットを用いて細菌を検出することにより、食品中の菌叢を評価する方法に関する。本明細書において食品中の菌叢の評価には、食品中に存在する標的細菌の状態に関する評価全般をさし、被検食品中に存在する細菌の同定、各細菌の定量、総生菌数の定量および細菌の存在比の同定が包含される。食品の汚染評価においては、一般的に、細菌の菌数が1gあたり105を越える場合に、食品が汚染されていると判定される。本発明の細菌の検出方法により、各標的細菌の細菌数をオーダーレベルで測定でき、各細菌の数または総細菌数が1gあたり105を越えるかどうかを迅速かつ簡便に判定できるため、食品の汚染評価に好適である。
【0046】
本発明のプライマーセットが標的とするバチルス・メガテリウム、バチルス・ポリミキサおよびバチルス・プミラスは、食品を汚染する可能性のある細菌として頻出するものであるとともに、食品を低温で保存したときに増殖する恐れのある低温細菌である。従って、これらの細菌の食品中での存在、ならびにその数および割合を明らかにすることによって、食品中の菌叢を適切に評価することができる。そして、上記標的細菌のうち、どの細菌が最も多く存在するか、あるいはどの細菌が有害な量で存在するかを評価することにより、汚染原因の推定、汚染原因の排除方法の最適化を図ることが可能となる。食品については、被検試料についてすでに記載したとおりである。本発明の評価方法においては、1つのプライマーセットを用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。好ましくは少なくとも2つ、最も好ましくはすべてのプライマーセットについて細菌の検出を行って、食品中の菌叢を評価する。
【0047】
キット
本発明はまた、本発明のプライマーセットから選択される少なくとも1つのプライマーセットを含む、食品中の菌叢を評価するためのキットに関する。本発明のキットは、上記プライマーセットのうちの1つを含むものでもよいし、複数種のプライマーセットを含むものでもよい。本発明のキットは、前記プライマーセットのほか、必要に応じて遺伝子増幅及び増幅産物の確認に利用可能な分子量マーカー、酵素、dNTP、NTP、緩衝液、減菌水、標品(標準菌株、標準DNAなど)等を含んだものとして構成される。
【実施例】
【0048】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0049】
実施例1(標準菌株を用いた場合の検出)
<DNAの調製>
Bacillus megaterium NBRC 13498株、Bacillus polymyxa NBRC 13003株、Bacillus pumilus NBRC 3813株をそれぞれTryptic Soy Broth (Difco)で30℃、一晩培養して、12,000rpm、5分間の遠心分離によって集菌したものをミリQ水に再懸濁し、菌濃度を103、104、105、106cfu/mLとした。各菌液からDNeasy Tissue Kit(QIAGEN)を用いて、DNA溶液を調製した。
【0050】
<PCR反応>
定量的PCR反応は、得られたDNA溶液およびSYBR Premix Ex Taq (Perfect Real Time) (TaKaRa)を用いて行った。プライマーセットとして、配列番号1の塩基配列からなるプライマーと配列番号2の塩基配列からなるプライマーおよび配列番号3の塩基配列からなるプライマーとのBmプライマーセット、配列番号1の塩基配列からなるプライマーと配列番号4の塩基配列からなるプライマーとのBpoプライマーセット、配列番号1の塩基配列からなるプライマーと配列番号5の塩基配列からなるプライマーとのBpuプライマーセットをそれぞれ用いた。
【0051】
PCR反応液容量は20μLとし、SYBR Premix Ex Taq (Perfect Real Time) (TaKaRa) 10μL、10μMフォワードプライマーおよび10μMリバースプライマー各0.4μL、ROX Reference Dye (TaKaRa) 0.4μL、DNA抽出液2μL、滅菌蒸留水6.8μLの組成でPCR反応を行った。PCR反応条件は、95℃ 10秒間の後、95℃ 5秒間の熱変性と60℃ 30秒間のアニーリング処理と伸長反応を1サイクルとして、40サイクル行った。PCR反応により生成した増幅産物量は、二本鎖DNAにSYBR Green Iが結合して発生する蛍光強度を検出することによって測定した。測定データは ABI PRISM7700 Sequence Detection System (PE Applied Biosystems)で解析した。PCR反応後に増幅産物の融解曲線分析(95℃ 15秒間、60℃ 20秒間の後、20分間かけて95℃まで温度を上昇させ、95℃ 15秒間保持)を行い、増幅産物のTm値を確認することによって増幅産物が目的物であることを確認した。
【0052】
その結果、菌株液中に103 cfu/mL以上程度の細菌が存在していればそのDNAを検出できることを確認した。また、103〜106cfu/mLの範囲で菌濃度とCt値に直線性があることを確認した(図1)。すなわち、本発明のプライマーセットを用いて、上記範囲で菌数を定量できることが示された。
【0053】
実施例2(本発明のプライマーの菌種特異性の確認)
実施例1と同様にして、図2に示す各菌株(標準菌株以外は食品から分離し、市販の同定キットによって属種を同定した)を培養して菌濃度を106 cfu/mL相当とした菌液からDNAを抽出し、定量的PCR反応を行った。結果を図2に示す。
【0054】
図2に示すように、Bmプライマーセット(配列番号1、2および3)を用いた場合には、バチルス・メガテリウムについては増幅産物が検出され、それ以外の細菌については増幅産物は検出されなかった。Bpoプライマーセット(配列番号1および4)を用いた場合には、バチルス・ポリミキサについては増幅産物が検出され、それ以外の細菌については増幅産物は検出されなかった。Bpuプライマーセット(配列番号1および5)を用いた場合には、バチルス・プミラスについては増幅産物が検出され、それ以外の細菌については増幅産物は検出されなかった。従って、本発明の各プライマーセットは、標的細菌を特異的に検出可能であることが確認された。
【0055】
実施例3(食品に接種した細菌の定量)
食品として、市販のキャベツを用いた。キャベツから細菌汚染が少ない部分を採取して、1gあたり103個、104個、105個、106個程度となるようにBacillus megaterium NBRC 13498株、Bacillus polymyxa NBRC 13003株、Bacillus pumilus NBRC 3813株をそれぞれ接種した。菌株添加前のキャベツの生菌数は<100 cfu/gであった。菌を接種したキャベツに9倍量のリン酸緩衝液(pH7.2)を加えてストマッカー処理した。これらの処理液からDNAを抽出し、実施例1と同様にして定量的PCR反応を行った。また、食品毎に各プライマーセットを用いた場合の定量的PCR反応における各菌株の検量線を作成した。その結果、接種した菌量が104log cfu/g以上の食品検体において、食品中の各標的細菌を定量的に検出できることを確認した。作成した検量線を図3に示す。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明により、食品中の細菌の定量および菌叢の評価を簡単かつ迅速に実施できるPCR用プライマー、および、当該プライマーを用いて食品中の特定細菌群を簡単かつ迅速に検出できる方法などが提供される。本発明の方法は、食品工業における簡単かつ迅速な細菌検出・定量に有用である。本発明により、食品の一般生菌数を迅速に推定することが可能となり、さらに、細菌汚染の可能性のある食品について、その菌叢を迅速に推定することによって、食品製造現場における汚染原因への迅速な対応が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明のプライマーセットを用いて標準菌株の希釈系列を検出することにより作成した検量線を示す。
【図2】本発明のプライマーセットの菌種特異性を評価した結果を示す。
【図3】本発明のプライマーセットを用いて食品(キャベツ)に接種した細菌を検出することにより作成した検量線を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バチルス・メガテリウムの16S rRNAをコードするDNAを標的とし、以下の(a)または(b)のオリゴヌクレオチドからなるフォワードプライマーと以下の(c)または(d)および(e)または(f)のオリゴヌクレオチドからなるリバースプライマーとを含む、バチルス・メガテリウムを検出するためのプライマーセット:
(a)配列番号1で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(b)配列番号1で表される塩基配列において1もしくは2個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入された塩基配列からなり、バチルス・メガテリウムの16S rRNAをコードするDNAにおいて(a)のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド
(c)配列番号2で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(d)配列番号2で表される塩基配列において1もしくは2個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入された塩基配列からなり、バチルス・メガテリウムの16S rRNAをコードするDNAにおいて(c)のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド
(e)配列番号3で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(f)配列番号3で表される塩基配列において1もしくは2個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入された塩基配列からなり、バチルス・メガテリウムの16S rRNAをコードするDNAにおいて(e)のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド。
【請求項2】
バチルス・ポリミキサの16S rRNAをコードするDNAを標的とし、以下の(a)または(b)のオリゴヌクレオチドからなるフォワードプライマーと以下の(c)または(d)のオリゴヌクレオチドからなるリバースプライマーとを含む、バチルス・ポリミキサを検出するためのプライマーセット:
(a)配列番号1で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(b)配列番号1で表される塩基配列において1もしくは2個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入された塩基配列からなり、バチルス・ポリミキサの16S rRNAをコードするDNAにおいて(a)のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド
(c)配列番号4で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(d)配列番号4で表される塩基配列において1もしくは2個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入された塩基配列からなり、バチルス・ポリミキサの16S rRNAをコードするDNAにおいて(c)のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド。
【請求項3】
バチルス・プミラスの16S rRNAをコードするDNAを標的とし、以下の(a)または(b)のオリゴヌクレオチドからなるフォワードプライマーと以下の(c)または(d)のオリゴヌクレオチドからなるリバースプライマーとを含む、バチルス・プミラスを検出するためのプライマーセット:
(a)配列番号1で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(b)配列番号1で表される塩基配列において1もしくは2個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入された塩基配列からなり、バチルス・プミラスの16S rRNAをコードするDNAにおいて(a)のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド
(c)配列番号5で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
(d)配列番号5で表される塩基配列において1もしくは2個の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入された塩基配列からなり、バチルス・プミラスの16S rRNAをコードするDNAにおいて(c)のオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド。
【請求項4】
請求項1〜3に記載のプライマーセットから選択される少なくとも1つのプライマーセットを用いて増幅反応を行って増幅産物を検出することを含む、バチルス属細菌の検出方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法を用いて各バチルス属細菌を検出することを含む、食品中のバチルス属細菌の菌種を同定する方法。
【請求項6】
請求項1〜3に記載のプライマーセットから選択される少なくとも1つのプライマーセットを含む、食品中のバチルス属細菌を評価するためのキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−268413(P2009−268413A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−122373(P2008−122373)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(000226998)株式会社日清製粉グループ本社 (125)
【Fターム(参考)】