説明

プラスチック製結束具

【課題】 本発明は、以下の課題を解決する再利用可能な結束具を提供することにある。
(1)簡単な構造であって、紐類の一端を固定しやすく、かつ、締め付けた後の紐類の緩みをなくする。
(2)紐類を結束具から容易に解くことができる。
【解決手段】 本発明の結束具は、以下の構成としたことを特長とするものである。
(1)紐類12を巻き付けたり、旋回させたりするための固定リブ4、支持リブ3、旋回リブ2、締結リブ1
(2)締結リブ1と旋回リブ2と側面リブ6とで構成される、一方の側面が開口した開口空間部8
(3)紐類のすべりを防止するために、少なくとも各リブの一つに一体的に形成される凸部からなる係止用凸部

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包用の結束バンドや部品を束ねる紐類を簡単に結束するためのプラスチック製の結束具に関するもので、簡単な操作で紐類を締結しながら、かつ、緩み無く結束でき、さらに、結束後の固定も簡単にできる結束具を提供するものである。
【0002】
従来は、ベルトや帯紐などの帯状の紐類に使用するバックルなどがあったが、以下の欠点があった。
(1)実用新案文献1のバックルは、本発明のような固定リブ、旋回リブ、締結リブや側面リブなどを有しているが、紐類の一端を締結し固着するための締結リブがその中央部分で開口しているので、弾力性が不足で紐類を固定する効果が少なかった。
また、旋回リブなどに係止用凸部が無いために、紐類の締結に際して紐類の戻りを防止する作用も弱かった。
(2)実用新案文献2のバックルは、本発明のような固定リブ、旋回リブ、締結リブや側面リブなどを有しているが、紐類の一端を締結し固着するための締結リブが開口していない。したがって、紐類の一端の固定は単純に固結びをするか、ビスや縫製など他の締結具を使用する必要があった。
(3)その他の一般的な結束具としては、鋸歯状の凸部を持った紐類を、鋸歯状の凸部と噛み合う受部を持った固定部で締結し固定するものがあった。この結束具は、結束力は非常に強いものの、それを解除する場合、つまり紐類を解く場合は鋸歯状の凸部を持った紐類そのものを切断する必要があった。したがって、この結束具は再利用できない欠点があった。
【実用新案文献1】
実公昭62−36814
【実用新案文献2】
実用新案登録第3073107号
【本発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明によって解決されるべき課題には、以下のようなものがある。
(1)簡単な構造であって、プラスチック成形ができる構造である。
(2)紐類の一端を固定しやすく、かつ、締め付けた後の紐類の緩みをなくする。
(3)紐類を結束具から容易に解くことができる。
(4)上記のことによって、再利用が可能である。
そこで本発明は、以下に述べる手段により、従来の結束具の欠点を解決しようとするものである。
【問題を解決するための手段】
【0004】
本発明の薄肉成形品は、以下のことを特徴とするものである。
請求項1においては、
物品を紐類で結束するための結束具において、以下の構成からなることを特徴とするプラスチック製結束具。
(a)紐類の一端を固定する固定リブ
(b)紐類の他端を支持する支持リブ
(c)支持リブに仮止めされた前記他端の紐類をさらに旋回させるための旋回リブ
(d)旋回リブに旋回された前記他端の紐類を締結するための締結リブ
(e)上記(a)から(d)のリブを結合するための側面リブ
(f)前記固定リブと前記支持リブと前記旋回リブと前記側面リブとで構成される空間部
(g)前記締結リブと前記旋回リブと前記側面リブとで構成される、一方の側面が開口した開口空間部
(h)紐類のすべりを防止するために、少なくとも上記(a)から(d)のリブの一つに一体的に形成される凸部からなる係止用凸部
【0005】
請求項2においては、
物品を紐類で結束するための結束具において、以下の構成からなることを特徴とするプラスチック製結束具。
(a)紐類の一端を固定する固定リブ
(b)紐類の他端を支持する支持リブ
(c)支持リブに仮止めされた前記他端の紐類をさらに旋回させるための旋回リブ
(d)旋回リブに旋回された前記他端の紐類を締結するための締結リブ
(e)上記(a)から(d)のリブを結合するための側面リブ
(f)前記固定リブと前記支持リブと前記旋回リブと前記側面リブとで構成される空間部
(g)前記締結リブと前記旋回リブと前記側面リブとで構成される、一方の側面が開口した開口空間部
(h)紐類のすべりを防止するために、少なくとも上記(a)から(d)のリブの一つに一体的に形成される凸部からなる係止用凸部
(i)上記(a)から(h)の構成を、前記固定リブを中心にして対称的に形成した結束具
【0006】
請求項3においては、
前記側面リブとの結合部分から開口空間部にむけて、開口空間部を狭めるように、前記締結リブにテーパー部を形成したことを特長とする前記請求項1ないし2のいずれか一に記載のプラスチック製結束具。
【0007】
請求項4においては、
前記結合リブのバネ性を強化するために、前記締結リブに結合される前記側面リブに湾曲部を形成したことを特長とする前記請求項1ないし3のいずれか一に記載のプラスチック製結束具。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1ないし2においては、紐類の一端を締結し固着するための締結リブがその側面部分で開口しているので、締結リブ全体の弾性で紐類を固定することができ、かつ、旋回リブなどに係止用凸部を設けて紐類と旋回リブなどとの摩擦係数を増加させ、紐類の締結に際して紐類の戻りを防止する効果がある。
【0009】
請求項3においては、締結リブにテーパーをつけて締結リブの弾性の強化を図り、締結力をさらに強くできる効果がある。
【0010】
請求項4においては、締結リブに結合される部分の側面リブを湾曲させることで、締結リブの弾性の強化を図り、締結力をさらに強くできる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例】
【0011】
図1は、本発明のプラスチック成形による結束具の一例を示すもので、材料のプラスチックは、弾性のあるポリプロピレンが望ましい。アクリルやABS樹脂などの硬質プラスチックは、強度が強い利点はあるものの、割れることや折れることがあるため、製品の安全性上での問題がある。
1は締結リブで、紐類12の終端を固定するためのものである。2は旋回リブで、紐類12の緩みを防止するために紐類12を旋回させるためのリブである。
3は支持リブで、紐類12を巻き付けるためのものである。4は固定リブで、紐類12の他端を固定するものである。5は左側面リブ、6は右側面リブで締結リブ1、旋回リブ2、支持リブ3、固定リブ4のそれぞれ一端に結合されるものである。
7は係止用凸部で、紐類12の戻りを防止するための棒状の凸部で、紐類12と各リブとの間の摩擦係数を高める働きをする。本図の場合は、係止用凸部7を各リブが対向する側にのみ設けた構成を示す。
8は開口空間部で、旋回リブ2と締結リブ1とで形成される形成される空間である。左側面リブ5が締結リブ1の左端に結合されないことで開口空間部8が形成される。9は空間部で、支持リブ3と左側面リブ5と右側面リブ6と固定リブ4とが結合されて形成される空間である。
図2は、図1のA−A‘断面図で、紐類12が締結される状態を示す。紐類12の一端は、固定リブ4に巻き付けられて固定される。そして紐類12の他端の終端は支持リブ3に巻き付けられ、さらに旋回リブ2を旋回して、開口空間部8の開口部から締結リブ1と旋回リブ2の間に挟みこまれる。そして、その終端を強く引き、結束具の外に引き出す。これで結束作業は完了する。結束を解除する場合は、紐類12の終端を開口空間部8から横方向に引っ張って締結リブ1からはずした後に支持リブ3に巻き付いた紐類12を締結時とは逆方向に引っ張ると、紐類12は旋回リブ2を締結時とは逆に旋回しながら解かれてゆく。
紐類12は、固定リブ4や旋回リブ2や締結リブ1に設けられた係止用凸部7に当接して摩擦係数が増大することで、締結される際の紐類12の戻りを防止することができる。
ただ、摩擦係数が大きすぎると紐類12の解除時に支障をきたすので、必要以上に旋回リブ2と支持リブ3の間隔を狭くする必要はない。
【0012】
図3は、本発明のプラスチック成形による結束具の他の一例を示すもので、係止用凸部7を各リブが対向する側に設けるだけでなく、それを各リブの対向しない側、つまり、各リブの外側にも設けたものである。
図4は、図3のB−B’断面図を示すものである。本図では、旋回リブ2と支持リブ3の各リブに4本の係止用凸部7が形成されている。これによって、各リブと紐類12の摩擦係数はさらに増大する。図において、係止用凸部7は棒状の細長い凸部になっているが、通常のビニール紐などの細いタイプの紐類に有効である。紐類12の形状によっては、複数の単なる突起を列状に配置する構成でも良い。帯紐やベルト状の紐類12においては、各リブへの当接面積が大きくなるので、図示はしないが、複数の突起の列で構成される係止用凸部7でも摩擦係数を増大する効果はある。
【0013】
図5は、図1の結束具を対称にして結合したもので、紐類12の両端が自由端である場合の結束具である。通常は、紐類12の一端は結束具の固定リブ4に固結びで固定され、他端は自由端として締結調整をした後に固定される。本図のように、紐類12の両端が自由端である場合は紐類12の締結調整や締結解除をどちらの自由端でも行なえるので取り扱いが便利になる。固定リブ4は、結束具の中心に位置し、他の各リブは固定リブ4から2本ずつ対称に配置される。本図においては、開口空間部8の位置がそれぞれ反対方向になっているが、同一方向に配置しても良い。それぞれの締結リブ1で紐類12を引っ張り合う形になるので、力学的には開口空間部8の位置がそれぞれ反対方向にあったほうが均等に引っ張りあえる。本図の場合は、係止用凸部7を各リブが対向する側にのみ設けた構成を示す。
【0014】
図6は、図5の結束具に、旋回リブ2と支持リブ3の各リブに4本の係止用凸部7を形成したものである。作用効果は、図3と同様である。
【0015】
図7は、締結リブ1にテーパーをつけたもので、紐類12の締結力を増強するものである。右側面リブ6と締結リブ1の結合部分で急激にテーパーをつけるテーパー部10を締結リブ1につける。開口空間部8側にいくにつれて締結リブ1は旋回リブ2と平行になる。テーパー部10の作用により、締結リブ1の締結力は強化され、紐類の引っ張り力による締結リブ1の開きも防止できる。支持リブ3の係止用凸部7は、本図の場合3本にして、支持リブ3と固定リブ4が対向する側、つまり、支持リブ3の底面には係止用凸部7を設けていない。この理由は以下の通りである。
1)支持リブ3においては紐類12が支持リブ3に巻き付くような形で紐類12の両端が引っ張られるので、支持リブ3の底面に引っ張り力の負荷が最も多くかかる。
2)このために、底面での摩擦係数が大きくなると紐類12の擦れによる切断が生じる可能性がある。
3)さらに、締結時の締結調整の際に紐類12の摺動を阻害して調整がやりにくくなる可能性もある。
4)上記1)から3)の事態を防止するために、支持リブ3の底面での摩擦係数を最小限にするためのものである。
【0016】
図8は、締結リブ1にテーパーをつけたもので、紐類12の締結力を増強するものである。図7との相違点は、右側面リブ6と締結リブ1の結合部分で急激にテーパーをつけるのでは無く、締結リブ1全体にテーパーをつけることである。テーパー部10から徐々に締結リブ1にもテーパーがつけられ、開口空間部8側にいくにつれて締結リブ1全体が旋回リブ2側に傾斜してゆく構造になっている。この構造で、締結リブ1の締結力はさらに強化され、紐類の引っ張り力による締結リブ1の開きも防止できる。
【0017】
図9は、右側面リブ6に湾曲部11を設けたもので、湾曲構造で締結リブ1に結合されるので、締結リブ1の弾性とともに湾曲部11での弾性があいまって作用する。したがって、非常にバネ性の高い締結リブ1となり、締結時の紐類12の締結や解除時の作業が容易になる。図10は、支持リブ3と固定リブ4と左側面リブ5と右側面リブ6とで形成される空間部9を台形状にしたものである。固定リブ4には、紐類12を固結びなどで固定する場合が多く、紐類12が固定される部分の空間は狭い方が紐類12の横方向にずれるのを防止できる。紐類12がベルト状の幅広の場合は、台形の空間部9の一辺はベルと幅より若干広めの幅にする。ビニール紐などのように細い紐類12の場合は、その一辺はかなり狭くても良く、三角形に近い台形にしても良い。また、本図では、固定リブ4の側面にも係止用凸部7を設けている。この理由は、固定した紐類12が緩みにくくする緩衝材として配置したものである。紐類12を締め上げる場合にも効いてくる。
【0018】
図11は、図9の結束具を対称にして結合したもので、紐類12の両端が自由端である場合の結束具である。通常は、紐類12の一端は結束具の固定リブ4に固結びで固定され、他端は自由端として締結調整をした後に固定される。本図のように、紐類12の両端が自由端である場合は紐類12の締結調整や締結解除をどちらの自由端でも行なえるので取り扱いが便利になる。固定リブ4は、結束具の中心に位置し、他の各リブは固定リブ4から2本ずつ対称に配置される。本図においては、開口空間部8と湾曲部11の位置がそれぞれ反対方向になっているが、同一方向に配置しても良い。それぞれの締結リブ1で紐類12を引っ張り合う形になるので、力学的には開口空間部8と湾曲部11の位置がそれぞれ反対方向にあったほうが均等に引っ張りあえる。
【0019】
図12は、締結リブ1にテーパー部10を設けず、かつ、右側面リブ6に湾曲部11を設けない結束具を示すもので、締結リブ1全体が旋回リブ2の方へ傾斜して開口空間部8が狭くなる構成にしている。テーパー部10と湾曲部11を廃止することで、締結リブ1の強度が上がるようにしたものである。弾性をより効かすために、締結リブ1と右側面リブ6との結合部の内面をえぐった構造にしている。安価に、かつ、成形ショット数を上げるには、この簡単な構造が最適である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の結束具の平面図である。
【図2】本発明の結束具の断面図である。
【図3】本発明の結束具の他の変形実施例の平面図である。
【図4】本発明の結束具の他の変形実施例の断面図である。
【図5】本発明の結束具の他の変形実施例の平面図である。
【図6】本発明の結束具の他の変形実施例の平面図である。
【図7】本発明の結束具の他の変形実施例の平面図である。
【図8】本発明の結束具の他の変形実施例の平面図である。
【図9】本発明の結束具の他の変形実施例の平面図である。
【図10】本発明の結束具の他の変形実施例の平面図である。
【図11】本発明の結束具の他の変形実施例の平面図である。
【図12】本発明の結束具の他の変形実施例の平面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 締結リブ
2 旋回リブ
3 支持リブ
4 固定リブ
5 左側面リブ
6 右側面リブ
7 係止用凸部
8 開口空間部
9 空間部
10 テーパー部
11 湾曲部
12 紐類

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を紐類で結束するための結束具において、以下の構成からなることを特徴とするプラスチック製結束具。
(a)紐類の一端を固定する固定リブ
(b)紐類の他端を支持する支持リブ
(c)支持リブに仮止めされた前記他端の紐類をさらに旋回させるための旋回リブ
(d)旋回リブに旋回された前記他端の紐類を締結するための締結リブ
(e)上記(a)から(d)のリブを結合するための側面リブ
(f)前記固定リブと前記支持リブと前記旋回リブと前記側面リブとで構成される空間部
(g)前記締結リブと前記旋回リブと前記側面リブとで構成される、一方の側面が開口した開口空間部
(h)紐類のすべりを防止するために、少なくとも上記(a)から(d)のリブの一つに一体的に形成される凸部からなる係止用凸部
【請求項2】
物品を紐類で結束するための結束具において、以下の構成からなることを特徴とするプラスチック製結束具。
(a)紐類の一端を固定する固定リブ
(b)紐類の他端を支持する支持リブ
(c)支持リブに仮止めされた前記他端の紐類をさらに旋回させるための旋回リブ
(d)旋回リブに旋回された前記他端の紐類を締結するための締結リブ
(e)上記(a)から(d)のリブを結合するための側面リブ
(f)前記固定リブと前記支持リブと前記旋回リブと前記側面リブとで構成される空間部
(g)前記締結リブと前記旋回リブと前記側面リブとで構成される、一方の側面が開口した開口空間部
(h)紐類のすべりを防止するために、少なくとも上記(a)から(d)のリブの一つに一体的に形成される凸部からなる係止用凸部
(i)上記(a)から(h)の構成を、前記固定リブを中心にして対称的に形成した結束具
【請求項3】
前記側面リブとの結合部分から開口空間部にむけて、開口空間部を狭めるように、前記締結リブにテーパー部を形成したことを特長とする前記請求項1ないし2のいずれか一に記載のプラスチック製結束具。
【請求項4】
前記結合リブのバネ性を強化するために、前記締結リブに結合される前記側面リブに湾曲部を形成したことを特長とする前記請求項1ないし3のいずれか一に記載のプラスチック製結束具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−126582(P2009−126582A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−331033(P2007−331033)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(591206500)株式会社 ダイサン (14)
【Fターム(参考)】