説明

プラズマディスプレイパネルの製造方法および製造装置

【課題】結晶の粒度分布から、結晶粒子散布工程における異常の有無と、かかる異常の原因と、を特定し、当該異常の原因に対応する処理を実行する。
【解決手段】 MgO粒子の粒度分布から、スラリー散布工程における異常の有無と、その原因と、を特定し、検出された異常の内容に対応する処理を実行することが可能なPDP製造装置1を提供する。PDP製造装置1は、散布装置20における散布条件を制御するための散布制御部111と、検査装置30の撮像する画像から、MgO粒子の粒度分布を検出するための画像解析部112と、異常を検出するための異常検出部113と、ステージ205、310を駆動させるための駆動制御部114と、を有する異常検出装置10を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネルの製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放電空間を介して対向する一対のガラス基板からなるプラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel;以下、PDPと称する)には、表示面側のガラス基板の内面に、放電ギャップを介して対向する複数の放電電極と、放電電極の一端に積層するバス電極と、が形成されている。これらの電極は誘電体層によって被覆され、当該誘電体層は、さらに保護層によってさらに被覆される。保護層は、誘電体層を保護すると共に、2次電子を放出してプラズマを安定に発生・持続させる役割を担う。そこで、保護層の材料には、高い2次電子放出係数、耐スパッタ性、可視光に対する透明性が得られる酸化マグネシウム(以下、MgOと記載する)が用いられる。
【0003】
しかしながら、近年、PDPの高精細化やフレームレートの高速化に伴って、放電の形成時間の遅れ(形成遅延)や、複数の放電セル間での放電形成時間のばらつき(統計遅延)等による動画性能の劣化が問題となってきている。
【0004】
このようなPDPの動画性能を向上させるために、放電開始時に高エネルギー順位の発光が得られるMgOの単結晶粉体を溶剤に分散させ、スプレー法によって保護層の表面上に散布する、特許文献1に示されるような技術が知られている。
【0005】
【特許文献1】特開2007−103230号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スプレー法におけるMgOの散布では、溶剤に分散させたスラリー状の結晶MgO粉体を、基板上に均一な密度で散布する必要性があるため、特許文献1では、塗工前に事前に透明青板ガラスを用いて、塗工条件を調節している。
【0007】
しかしながら、溶剤にはスプレー後に揮発し易いアルコール系のものが用いられるため、スラリーの濃度がタンク内で徐々に変動し、散布工程中にむらが生じてしまう可能性がある。さらに、スプレーガンと基板との相対移動速度や、塗工環境の温度、湿度、風向き等が変動することによって、付着状態に影響を及ぼしてしまう問題があった。
【0008】
本発明では、スプレー直後に基板上の結晶MgO粒子の分散状態を検出して、スラリー散布工程における異常の発生の有無と、かかる異常の原因と、を特定して、基板上における結晶MgO粉体の均一な付着状態を維持することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決すべく、本発明では、スラリーの散布条件を制御して、結晶MgO粉体の均一な付着状態を維持することが可能な技術を提供する。
【0010】
例えば、本発明は、基板上に、表面にMgOの結晶粒子を付着させた保護層を有するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、前記結晶粒子を、保護層の表面に散布する過程と、前記結晶粒子が散布された保護層の表面を撮像する過程と、前記撮像された画像から、前記結晶粒子の分布状態を解析する過程と、前記結晶粒子を散布する過程における異常を検出する過程と、を有することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態の例について、図面を参照して説明する。
【0012】
まず、PDP製造装置1の製造するPDP50の基板の構成について説明する。図1は、本実施形態に係るPDP製造装置1の製造するPDP50の内部構造を示す分解斜視図である。図面に対して上側が表示面側となる。図2は、PDP50の前面基板51を背面基板52側から見た平面図と、平面図におけるA−A’断面に相当する前面基板51の側面図である。図3は、PDP50の前面基板51を示す斜視図であり、図面に対して下側が表示面側となる。
【0013】
PDP50は、一対の基板の前面基板51と、背面基板52とを、内部に放電空間を形成するように対向して張り合わせてなる面放電型の装置であり、プラズマ放電による発光を利用して、表示面に画像を表示する。
【0014】
背面基板52は、ガラス基板521と、誘電体層522と、隔壁523と、から構成されている。
【0015】
ガラス基板521は、例えば板状のガラス材からなり、その表示面側には、直線状に延びる複数のアドレス電極525が、一定の間隔で並列に形成されている。アドレス電極525は、例えば、CuやAl等を主成分とする低抵抗金属膜をフォトリソグラフ工程によって、ガラス基板521上に約300μmの間隔で形成された配線パターンであり、ここへ電圧パルスが印加される。
【0016】
誘電体層522は、ガラス基板521と、ガラス基板521上に形成されたアドレス電極525と、を被覆して、アドレス電極525の損耗を防止するとともに、電荷を蓄積する。誘電体層522は、例えば、低融点のガラス粉末を主成分とするフリットペーストをスクリーン印刷法等によって塗布し、焼成して形成される。
【0017】
隔壁523は、誘電体層522の表示面側における表面を被覆し、アドレス電極525と平行の、約150μmの高さを持つストライプ状のパターンである。隔壁523に形成される溝内部には、蛍光体層524が形成されている。蛍光体層524は、例えば、蛍光体粉末とバインダー樹脂を含む、赤、緑、青の3原色の蛍光体ペーストを、スクリーン印刷法で周期的に各溝内部に充填し、焼成して形成することが可能である。
【0018】
前面基板51は、ガラス基板511と、誘電体層512と、保護層513と、を有する。ガラス基板511は、例えば、板状ガラス材からなり、放電電極515と、バス電極514とが、図2に示すように背面側の表面にフォトリソグラフ行程によってパターニングされている。
【0019】
放電電極515には、例えば、透明導電膜であるITO(Indium Tin Oxide;インジウムスズ酸化物)が用いられ、対向する背面基板52のアドレス電極525と直交し、一定間隔で直交する両方向への凸部を有する、直線状の配線パターンである。バス電極514は、例えば、Cr/Cu/Crの積層構造の低抵抗金属材料からなり、放電電極515上に約500μmの間隔で直線状に形成されている。
【0020】
誘電体層512は、ガラス基板511と、ガラス基板511上に形成された放電電極515と、バス電極514と、を被覆する、厚さ約10〜20μmの焼成ガラスペーストである。
【0021】
保護層513は、例えば、電子ビーム蒸着法やスパッタ法によってMgOより形成される薄膜であり、誘電体層512全体を被覆する。保護層513は、PDP50の内部空間内での放電によって生じるイオンの衝突から、誘電体層512を保護して2次電子を放出する。
【0022】
図3に示すように、保護層513の背面側表面には、MgO粒子551がスプレー法により散布されている。保護層513表面に付着したMgO粒子551は、低電圧で放電を発生させる2次電子放出層として機能する。また、MgO粒子551は、中心粒径が1μm(積算50%値)、粒度分布は0.3〜3μmの範囲で、概ね六面体の結晶粒である。これらは、保護層513の表面上において、巨視的には均一な状態でランダムに散布されており、微視的には1平方mmあたり60000個程度(スラリー中のMgO粒子の重量比率から算出した理論値)が付着している。
【0023】
PDP50は、以上に説明したような前面基板51と、背面基板52とを張り合わせ、不活性ガスを充填することによって構成される。その際、前面基板51と、背面基板52との間には、放電空間が生じ、その最小単位は、放電セル400である。
【0024】
放電セル400は、単色の画素であり、その色は背面基板52の蛍光体層524に依存する。放電セル400の放電は、バス電極514と、アドレス電極525によって制御され、PDP50は、隣接する放電電極515の間で放電を行うことにより、各画素単位でプラズマ発光を得ることが可能である。放電セル400の範囲の保護層513表面には、理論値で約9000個程度のMgO粒子551が付着していると考えられる。
【0025】
上記のようなPDP50の前面基板51に、MgO粒子551を散布するためのPDP製造装置1について説明する。図4は、本実施形態に係るPDP製造装置1の構成を示す概略図である。
【0026】
PDP製造装置1は、PDP50の保護層513上に、結晶MgO粉体を含有するスラリーを散布するための散布装置20と、形成された結晶膜の分散状態を検出するための検査装置30と、検出された結晶膜の分散状態から、散布装置20で異常が発生しているか否かを判断するための、異常検出装置10と、を備えている。
【0027】
散布装置20は、タンク201と、加圧ポンプ202と、レギュレータ203と、スプレーガン204と、ステージ205と、を有する。
【0028】
タンク201には、結晶MgO粉体を含有するスラリーが充填されている。また、タンク201は、内部にスラリーを撹拌するための撹拌子(図示しない)を有する。
【0029】
スラリーは、結晶MgO粉体として中心粒径が1μm(積算50%値)程度、粒度分布が0.3〜3μm程度の範囲に制御された微小なMgO粒子551を、特定の重量比率でイソプロピルアルコール中に分散させたものである。タンク201の内部では、撹拌子が常時回転して、スラリー中に分散しているMgO粒子551の凝集と沈降を抑制し、スラリーの濃度を一定に保っている。さらに、タンク201は、後段の加圧ポンプ202、スプレーガン204に接続される。
【0030】
加圧ポンプ202は、例えば、スクリュー、ダイヤフラム等の加圧手段を有し、輸送管を介して接続されるタンク201と、スプレーガン204との間で、スラリーを常に一定の圧力で循環させる。
【0031】
レギュレータ203は、スプレーガン204と、異常検出装置10と、に接続されている。レギュレータ203は、異常検出装置10の散布制御部111からの命令を受け付けて、スプレーガン204に所定の流量の不活性ガス(例えば、窒素ガス)を供給する。
【0032】
スプレーガン204は、タンク201と、加圧ポンプ202と、に接続されている。スプレーガン204は、タンク201から送液されるスラリーを、レギュレータ203より供給される不活性ガスの圧力を用いて、ノズル2041よりPDP50の保護層513へと噴霧する。
【0033】
ステージ205は、スプレーガン204の有するノズル2041の下部に配置され、スラリーの塗工に際して、所定の位置にPDP50が搭載される。ステージ205は、例えば、図示しないモータ等により、異常検出装置10の駆動制御部114からの指示を受け付けて、ノズル2041と、PDP50と、の距離を変更するためのZ(上下)方向と、スプレーガン204のノズル位置に対応するPDP50の基板上の座標位置を変更するためのX(右左)方向、Y(前後)方向と、へ変位する。
【0034】
検査装置30は、撮像カメラ301と、検出系3010と、照明系3020と、ステージ310と、を有する。
【0035】
撮像カメラ301は、対物レンズ305と、結像レンズ303と、の組合せによって拡大された前面基板51の背面側表面である保護層513を、サンプリング位置で2次元撮像する。サンプリング位置は、ランダムに選択される点であるが、任意で設定することが可能であり、1つの前面基板51に対し、複数箇所設けられるのが望ましい。
【0036】
検出系3010は、結像レンズ303と、偏光板304と、対物レンズ305と、からなる。対物レンズ305の開口数は0.28、焦点距離は20mmであり、結像レンズ303の焦点距離は200mmである。従って、保護層513の表面は、10倍の光学倍率で拡大観察され、撮像カメラ301で撮像される。なお、撮像カメラ301の撮像領域600は、640μm×480μm(XY平面)であり、画素寸法は、XY方向共に1μmに相当する。偏光板307は、P偏光方向の散乱光成分のみを検出する。
【0037】
照明系3020は、ミラー306と、偏光板307と、コリメートレンズ308と、照明光源309と、からなる。ミラー306は、照明光束の偏光状態を保存し、観察光軸に対する照明光束の入射角を一定の角度θ(本実施形態では80度に設定される)に調節して、検出系3010へと入射させる。偏光板307は、照明光をS偏光として前面基板51の背面側表面に照射する。コリメートレンズ308は、照明光源309から出射される光束を概ね平行光束として、前面基板51に効率よく照射するために設けられている。照明光源309には、ハロゲンランプや、メタルハライドランプ、発光ダイオード等の光源を使用することができる。
【0038】
本願の検査装置30では、直交ニコル方式の照明・検出原理を採用しているため、検出系3010の偏光板304の偏光軸はX軸と平行、照明系3020の偏光板307はY軸と平行となるように調節されており、互いの偏光軸は直交する状態となっている。
【0039】
本実施形態における観察対象である前面基板51の背面側表面には、MgOより形成された薄膜である、保護層513が製膜されているため、その表面に照射された照明光の大半は正反射する。一方で、MgO粒子551に照射された照明光は散乱し、検出系3010の偏光板304によって散乱後のP偏光成分のみが撮像カメラ301に入射する。従って、撮像領域600内では、保護層513表面に付着したMgO粒子551のみを輝点として顕在化することが可能である。
【0040】
なお、保護層513表面におけるS偏光成分の光の反射率Rsは、保護層513の屈折率nと照射光の入射角θとを用いて、以下の式(1)によって求めることができる。
【0041】
Rs=((cosθ−n cosα)/(cosθ+n cosα)) ・・・(1)
α:sin−1(sinθ/n)
【0042】
ここで、本実施形態の検査装置30では、入射角θは80度に設定されているから、照明光の波長λを可視域の中心波長(550nm)とし、その時の保護層513の屈折率nを1.7とすると、反射率Rsは、約60%である。
【0043】
照明光の入射角θを85度まで大きくした場合、反射率Rsは約78%と、急激に増加するため、入射角θが大きい程、MgO粒子551の弁別性は高くなると考えられる。よって、光学系の実装構造等を考慮すると、照明光の入射角θは、保護層513表面における照明光の反射率が50%以上となる75度以上に設定するのが適当であると考えられる。
【0044】
また、幾何光学的には、対物レンズ305の焦点深度DOFは、次のような式(2)によって求めることができる。
【0045】
DOF=±λ/(2×NA) ・・・(2)
λ:可視域の中心波長(550nm)
NA:対物レンズの開口数
【0046】
ここで、本実施形態における対物レンズ305の開口数は0.28であるから、焦点深度DOFは、±3.5μmであることがわかる。
【0047】
従って、スラリー中に含まれるMgO粒子551の最大粒径は、対物レンズ305の焦点深度DOF(前述の場合、±3.5μmの最大振幅である7μm)以下となっていることが望ましい。これにより、MgO粒子551の粒径の差異に左右されずに、ほぼ同一の観察条件で、MgO粒子551を観察することが可能である。
【0048】
ステージ310は、図5に示すように、対物レンズ305の下部に配置され、撮像カメラ301による撮像に際して、所定の位置にPDP50が搭載される。ステージ310は、図示しないモータ等により、異常検出装置10の駆動制御部114からの駆動指示を受け付けて、対物レンズ305の焦点をPDP50の表面に合わせるためのZ(上下)方向と、対物レンズ305に対応するPDP50の基板上の座標位置を変更するためのX(右左)方向、Y(前後)方向と、へ変位する。また、ステージ205と、ステージ310と、を別々に設けずに、1つのステージを両装置で用いるような構成としても良い。
【0049】
ここで、撮像カメラ301が実際に保護層513を撮像した場合の画像である撮像領域600について説明する。図6は、前面基板51の保護層513表面を任意のサンプリング位置で撮像した画像である撮像領域600を、簡略化して示した模式図である。
【0050】
本実施形態の撮像カメラ301は、例えば、観察対象を8ビットグレースケール(256階調の濃淡表示)で撮像する。図6に示すように、撮像カメラ301の撮像領域600には、保護層513の表面上に付着したMgO粒子551a〜551jが、輝点として観察される。
【0051】
輝点となるMgO粒子551の輝度は、例えば、最大径が1μm程度のMgO粒子551e、551fでは20〜30階調、最大径が5μm程度のMgO粒子551a、551g、551hでは、150〜200階調程度の画素濃度で検出される。一方、保護層513の表面は0〜5階調と暗く、このような輝度差を利用して、MgO粒子551を弁別することが可能である。画像を弁別するための処理に関しては、後述する。
【0052】
図4に戻って、異常検出装置10は、制御部11と、記憶部12と、表示部13と、を有する。
【0053】
制御部11は、散布制御部111と、画像解析部112と、異常検出部113と、駆動制御部114と、を備えている。
【0054】
散布制御部111は、レギュレータ203に、スプレーガン204への不活性ガスの供給命令示を出力して、これを制御する。
【0055】
画像解析部112は、検査装置30の撮像カメラ301で撮像された画像を取得して、予め定められた閾値(例えば、10階調)で2値化し、各輝点(孤立点)を抽出する。そして、異常検出部113は、孤立点の数と、各孤立点の面積の合計値と、を算出し、さらに、孤立点の面積の合計値と、撮像領域600全体の面積(640μm×480μm)と、の比率を、MgO粒子551の表面被覆率として算出する。
【0056】
異常検出部113は、例えば、図7に示すような、記憶部12の相関テーブル記憶領域121に予め格納される相関テーブル1210を参照して、孤立点数と、表面被覆率と、の値から、異常の有無と、異常がある場合にはかかる異常の原因と、を特定し、例えば、利用者への警告や、ノズルのクリーニング等、異常の原因に対応する制御を実行する。
【0057】
駆動制御部114は、ステージ205に搭載される前面基板51のスラリー散布位置と、ステージ310に搭載される前面基板51を撮像する際のサンプリング位置と、を調節するために、各ステージを駆動させる図示しないモータを制御する。さらに、駆動制御部114は、ステージ205の駆動方向と、速度とを、記憶部12の駆動情報記憶領域122に格納する。
【0058】
ステージ205の駆動速度は、例えば、別途センサを設けて、サンプリング位置を通過する際の速度のみをモニタリングし、サンプリング位置に対応付けて格納すれば良い。また、ステージ205とステージ310との駆動方向や速度は、予め設定されたものを用いても良いし、任意で設定することが可能な構成としても良い。
【0059】
記憶部12は、相関テーブル記憶領域121と、駆動情報記憶領域122と、を有する。
【0060】
図7は、相関テーブル1210を示す概略図、図8は、孤立点数と表面被覆率との相関を示す相関図である。
【0061】
相関テーブル記憶領域121は、相関テーブル1210を予め記憶する。相関テーブル1210は、例えば、図8に示すような相関図として表すことが可能である。
【0062】
相関図1211は、画像解析部112が撮像領域600から検出する孤立点数を縦軸、表面被覆率を横軸にとり、両者の相関から、2次元の座標の領域区分によって、スラリー散布工程における異常の有無と、かかる異常の原因と、を推測するためのグラフである。
【0063】
本実施形態に係る異常検出装置10の相関図1211において、異常検出のために定義される座標領域は、座標領域800〜805の6つに区分されている。また、各座標領域は、それぞれスラリー散布工程における異常の原因と対応付けられている。よって、異常検出部113は、保護層513表面のサンプリング位置における撮像領域600の孤立点数と、表面被覆率と、の値が、どの座標領域にプロットされるかによって、スラリー散布工程における異常の有無と、かかる異常の原因と、を特定することができる。
【0064】
座標領域800は、例えば、スラリー散布工程に異常が無く、良品と判断される孤立点数と表面皮膚率の範囲である。この領域にプロットされる撮像領域600は、正常にスラリーの散布が実行され、異常検出部113によって、スラリー散布工程における異常は無かったと判断される。
【0065】
なお、本実施形態では、座標領域800におけるMgO粒子551の孤立点数は、800〜1200を正常値として定義しているが、良品と判断される前面基板51の撮像領域600(640μm×480μm)における孤立点数の理論値は、18000程度である。このように、実測値と理論値とに齟齬が生じる原因は、散布後のMgO粒子に若干の凝集が生じることが考えられる。また、粒径1μm未満のMgO粒子が、対物レンズ305の空間解像力の限界以下の距離内(本例では約1μm)に複数個存在した場合、光学像として解像できずに1個の粒子として検出してしまう可能性もある。
【0066】
以下に説明する座標領域801〜805は、正常値を有する座標領域800以外の領域であるため、異常検出部113は、以下の座標領域にプロットされる撮像領域600について、スラリー散布工程に異常ありと判断する。
【0067】
例えば、座標領域801は、正常値と比較して、孤立点数と表面被覆率とが高い。よって、異常の原因としては、例えば、ステージ205の駆動速度低下や、タンク201中溶剤が蒸発による、スラリー中のMgO粒子551の高濃度化である。
【0068】
座標領域802は、正常値と比較して、孤立点数が低く、表面被覆率が高い。従って、異常の原因としては、例えば、タンク201中スラリーの、MgO粒子の凝集である。
【0069】
座標領域803は、正常値と比較すると、孤立点数、表面被覆率共に低い。このような場合の異常の原因は、例えば、タンク201中のスラリーに、MgO粒子の沈降が生じていることである。
【0070】
座標領域804は、正常値と比較して、孤立点数が高く、表面被覆率が低い。異常の原因としては、タンク201中スラリーの、MgO粒子の粒度分布変化であり、具体的には、MgO粒子の微小化である。
【0071】
座標領域805は、座標領域800〜804を除いた領域である。この領域にプロットされる値の算出された撮像領域600について、異常検出部113は、スラリー散布工程においてスプレーガン204のノズル2041に目詰まりが生じていた可能性があると判断し、後述するノズル2041のクリーニング処理を実行する。
【0072】
相関テーブル記憶領域121は、以上のような相関図1211の座標領域800〜804についての情報を、相関テーブル1210として記憶している。相関テーブル1210は、各レコードに、孤立点数格納フィールド1210aと、表面被覆率格納フィールド1210bと、異常情報格納フィールド1210cと、異常原因情報格納フィールド1210dと、制御内容格納フィールド1210eと、を有する。
【0073】
孤立点数格納フィールド1210aには、孤立点の数が、検出単位(ここでは1個)ごとに格納されている。もちろん、格納する孤立点数の単位は上記に限定されず、特定の範囲(例えば、10ごと)であってもよい。
【0074】
表面被覆率格納フィールド1210bには、撮像領域600上の孤立点の面積の合計値と、撮像領域600全体の面積(640μm×480μm)と、の比率である、MgO粒子551の表面被覆率(%)が格納されている。
【0075】
異常情報格納フィールド1210cには、撮像領域600のスラリー散布工程が、正常なものであったか否かを判断するための、異常の有無に関する情報が格納されている。
【0076】
異常原因情報格納フィールド1210dには、撮像領域600のスラリー散布工程に異常があったと判断された場合に、かかる異常の原因を特定するための異常原因情報が格納されている。
【0077】
制御内容格納フィールド1210eには、撮像領域600のスラリー散布工程に異常があったと判断された場合に、かかる異常を解消するために、PDP製造装置1が実行する制御内容が格納される。
【0078】
異常を解消するためにPDP製造装置1が実行する制御内容としては、例えば、利用者が行う回復作業については、警告の実行である。これにより、利用者に異常を解消するための作業を行うように促すことが可能である。また、PDP製造装置1が行う回復作業については、製造装置1は、実際の回復動作を実行する。
【0079】
具体的には、スラリー中にMgO粒子551の沈降が異常原因として推測される場合、例えば、撹拌子の機能不全等が考えられるため、散布装置20を利用者が点検する必要がある。また、異常原因としてスラリー中のMgO粒子551の凝集や微小化、濃度の上昇が考えられる場合には、利用者によるスラリーの交換が必要である。これらの回復作業は、利用者が実行するため、異常検出装置10は、スラリーの散布工程に異常があることと、異常原因情報格納フィールド1210dに格納されるかかる異常の原因と、を利用者に知らせるための警告を実行する。
【0080】
これに対して、異常の原因がノズルの目詰まりや、ステージの速度低下と推測された場合には、PDP製造装置1は、実際の回復動作として、ノズル2041のクリーニングや、ステージ205の高速化をそれぞれ実行する。
【0081】
もちろん、回復作業は、上述のものに限られず、利用者とPDP製造装置1と、のどちらが実行することとしても良い。例えば、異常原因としてMgO粒子551の凝集や微小化、濃度の上昇が予測される場合には、PDP製造装置1は、警告を実行せず、スラリーの交換を自動的に行うような構成としても良い。また、PDP製造装置1は、回復動作と、警告と、を同時に実行しても良い。
【0082】
駆動情報記憶領域122には、駆動制御部114の制御するステージ205の移動方向と、速度と、を示す駆動情報が、サンプリング位置ごとに格納される。
【0083】
表示部13は、少なくとも警告画面等の各画像を表示するためのディスプレイ装置を備え、ディスプレイ装置は、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)等から選択される。
【0084】
ここで、異常検出装置10のハードウェア構成について説明する。図10は、異常検出装置10の電気的な構成を示すブロック図である。
【0085】
図10に示すように、異常検出装置10は、各装置を集中的に制御するCPU(Central Processing Unit)1と、各種データを書換え可能に記憶するメモリ2と、各種のプログラム、プログラムの生成するデータ等を格納する外部記憶装置、ここでは、HDD(Hard Disk Drive)3と、表示装置4と、これらを接続するバス5と、を備える。異常検出装置10は、例えば、HDD3に記憶されている所定のプログラムを、メモリ2に読み込み、CPU1で実行することにより実現可能である。
【0086】
以上のように構成される本実施形態におけるPDP製造装置1での処理について、図9に示すフローチャートを用いて説明する。図9は、本実施形態におけるPDP製造装置1の実行する処理を示すフローチャートである。
【0087】
制御部11は、まず、スラリーを保護層513の表面へ噴霧する(S101)。例えば、
散布制御部111は、散布装置20のレギュレータ203に、所定の流量の不活性ガスの供給命令を出力して、図5に示すように、ステージ205に搭載される前面基板51の保護層513へ、スラリーを散布させる。また、駆動制御部114は、ステージ205をXY平面方向へ等速で移動させ、予め定められるサンプリング位置を通過する際に、駆動方向と、速度とを、記憶部12の駆動情報記憶領域122に格納する。
【0088】
次に、制御部11は、保護層513表面の撮像画像を取得する(S102)。例えば、まず、駆動制御部114は、スラリー散布後の前面基板51が搭載されるステージ310を、サンプリング位置が撮像カメラ301の撮像点に合致するように、XYZ方向に移動させる。次に、駆動制御部114は、画像解析部112に画像取得指示を出力する。画像解析部112は、画像取得指示を受け付けると、撮像カメラ301より保護層513表面の撮像画像を取得する。図5に示すように、サンプリング位置が複数設けられている場合には、サンプリング座標55a〜55eで、ステップ102の処理をそれぞれ繰り返す。
【0089】
さらに、制御部11は、撮像画像から、孤立点数と表面被覆率を算出する(S103)。例えば、画像解析部112は、ステップ102で取得した画像を、予め定められた閾値(本実施形態では、10階調とする)で2値化し、2値化画像を生成する。次に、画像解析部112は、2値化画像から輝点(孤立点)を抽出して、孤立点の数と、孤立点の面積の合計と、を算出する。続いて、画像解析部112は、孤立点の面積の合計と、撮像領域600全体の面積(640μm×480μm)と、の比率から、表面被覆率を算出し、異常検出部113へと出力する。
【0090】
ここで、図5に示すように、1つの前面基板51に対して、サンプリング位置が複数設定されている場合には、以下のステップにおいて、複数のサンプリング位置における各々の孤立点数、表面被覆率について、各平均値を用いることが可能である。もちろん、その他どのような方法によって、前面基板51の基準となる孤立点数、表面被覆率を算出しても良い。また、全てのサンプリング位置における孤立点数、表面被覆率の各々に対して、以下のステップを実行し、最も多くプロットされた座標領域の結果を、制御に反映することも可能である。
【0091】
次に、異常検出部113は、ステップ103において算出された孤立点数と、表面被覆率と、の値を満足するレコードが、相関テーブル1210にあるか否かを検出する(S104)。例えば、異常検出部113は、画像解析部112から孤立点数と、表面被覆率と、の値を受け付けると、相関テーブル1210を参照して、孤立点数格納フィールド1210aに格納される孤立点数が、ステップ103で画像解析部112が算出した孤立点数と一致するレコードを抽出する。次に、異常検出部113は、抽出したレコードの中から、表面被覆率格納フィールド1210bにステップ103で算出した表面被覆率が格納されるレコードを、さらに抽出する。抽出されたレコードが1つ以上ある場合には、ステップ105(YES)へ、条件に合致するレコードが存在せず、抽出されなかった場合には、ステップ106(NO)へと進む。
【0092】
異常検出部113は、抽出されたレコードが1つ以上存在した場合(ステップ104でYES)、当該レコードの異常情報格納フィールド1210cを参照して、スラリー散布工程において異常が生じているか否かを判断する(S105)。異常情報が異常ありを示すものあった場合には、ステップ107へ進み、異常情報が異常なしを示すものでなかった場合には、処理を終了する。
【0093】
ここで、異常検出部113は、ステップ104で複数のレコードが抽出された場合には、ステップ105において異常情報が異常なしを示すものであったと判断して、処理を終了する。この際、利用者に複数のレコードが抽出されたことを、警告するような構成としても良い。このような構成によって、利用者は、スラリーの散布状態に異常が生じ始めている可能性があることを、より早い段階で知ることが可能である。
【0094】
異常検出部113は、条件に合致するレコードが存在しなかった場合(ステップ104でNO)、ノズル2041のクリーニング処理を実行する(S106)。例えば、異常検出部113は、散布制御部111に、レギュレータ203への不活性ガスの供給命令を出力する。レギュレータ203は、散布制御部111からの不活性ガスの供給命令を受け付けると、スプレーガン204へ通常の散布の際よりも高い圧力で不活性ガスを供給して、ノズル2041をフラッシング洗浄し、処理を終了する。
【0095】
異常検出部113は、異常情報が異常ありを示すものあった場合(ステップ105でYES)、抽出したレコードの制御内容格納フィールド1210eを参照して、制御内容がステージ205の高速化であるか否かを判断する(S107)。制御内容がステージ205の高速化である場合には、ステップ108へ進み、ステージ205の高速化でない場合には、ステップ109へと進む。
【0096】
異常検出部113は、制御内容がステージ205の高速化であった場合には(ステップ107でYES)、サンプリング位置を通過した際のステージ205の速度が、予め定められた基準値よりも低いか否かを判断する(S108)。具体的には、異常検出部113は、記憶部12の駆動情報記憶領域122を参照して、スラリー散布工程において、前面基板51のサンプリング位置が、ノズル2041の下部を通過した場合に、ステージ205の駆動速度が予め設定される基準値よりも低いか否かを判断する。そして、駆動速度が基準値よりも低かった場合には(ステップ108でYES)、異常検出部113は、駆動制御部114に、ステージ205の高速化指示(例えば、10%程度)を出力して、ステップ110へと進む。ステージ205の駆動速度が、予め定められた基準値以上であった場合には(ステップ108でNO)、異常検出部113は、スラリーに含まれるMgO粒子の濃度が上昇していると判断して、ステップ109へと進む。
【0097】
駆動制御部114は、高速化指示を受け付けると(ステップ108でYES)、ステージ205の移動速度を上昇させて(S110)、処理を終了する。また、処理を終了する前にステップ109へと進み、さらに警告を実行しても良い。
【0098】
異常検出部113は、制御内容がステージ205の高速化でなかった場合(ステップ107でNO)、および、サンプリング位置におけるステージ205の速度が基準値以上であった場合には(ステップ108でNO)、スラリー散布工程における異常の有無と、かかる異常の原因と、を利用者に知らせる警告を実行する(S109)。例えば、異常検出部113は、異常の発生と、異常原因情報格納フィールド1210dに格納される異常原因情報が示す、かかる異常の原因と、を表示部13に表示して利用者に知らせ、処理を終了する。表示部13には、さらに異常を解消するための回復作業の内容や、手順等を表示しても良い。また、警告は、別途設けるアラーム等によって警報を鳴らし、利用者に知らせるような構成としても良い。
【0099】
なお、PDP製造装置1は、ステップ109における警告を行うと共に、異常を解消するための回復動作をさらに実行するような構成としても良い。例えば、散布装置20は、異常原因情報格納フィールド1210dに格納される異常原因が、MgOの微小化を示すものであった場合に、自動的にタンク201内のスラリーの交換をさらに行うことが可能な構成としても良い。
【0100】
また、サンプリング位置が複数設定され、同一基板上での結果が複数の座標領域にわたっている場合には、異常検出部113は、利用者に塗布ムラがある旨をさらに警告するようにしても良い。
【0101】
さらに、制御部11は、孤立点数や表面被覆率の経時変化を、記憶部12に記憶させて、時系列順に表示部13に表示可能な構成としても良い。これにより、利用者は、タンク201内のスラリーや、散布状態の経時変化を知ることが可能である。
【0102】
以上のような構成により、本実施形態に係るPDP製造装置1は、PDP50の製造工程において、インラインでMgO551の粒度分布を監視して、スラリー散布工程における異常の有無と、かかる異常の原因と、を検出して、利用者への警告および回復動作を実行することが可能である。また、利用者は、早期に異常を認識することが可能であるため、歩留まりを高い水準で維持し、高品位なPDP50を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】PDP製造装置1の製造するPDP50の内部構造を示す分解斜視図である。
【図2】PDP50の前面基板51を背面基板52側から見た平面図と、平面図におけるA−A’断面に相当する前面基板51の側面図である。
【図3】PDP50の前面基板51を示す斜視図である。
【図4】本実施形態に係るPDP製造装置1の構成を示す概略図である。
【図5】PDP製造装置1の実行する、スラリー散布工程と、粒子分布検出工程と、を示す概略図である。
【図6】保護層513上の任意のサンプリング位置で撮像した画像である撮像領域600を、簡略化して示した模式図である。
【図7】相関テーブル1210を示す概略図である。
【図8】孤立点数と表面被覆率との相関を示す相関図である。
【図9】PDP製造装置1の実行する処理を示すフローチャートである。
【図10】異常検出装置10の、電気的な構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0104】
1:PDP製造装置、10:異常検出装置、11:制御部、12:記憶部、13:表示部、20:散布装置、30:検査装置、111:散布制御部、112:画像解析部、113:異常検出部、114:駆動制御部、121:相関テーブル記憶領域、122:駆動情報記憶領域、205・310:ステージ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、表面にMgOの結晶粒子を付着させた保護層を有するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記結晶粒子を、保護層の表面に散布する過程と、
前記結晶粒子が散布された保護層の表面を撮像する過程と、
前記撮像された画像から、前記結晶粒子の分布状態を解析する過程と、
前記結晶粒子を散布する過程における異常を検出する過程と、を有する
ことを特徴とするプラズマディスプレイパネル製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記異常を検出する過程は、異常が検出された場合に、当該異常の原因をさらに特定し、
前記製造方法は、前記異常の原因に基づいて、対応付けられた処理を実行する過程をさらに有する
ことを特徴とするプラズマディスプレイパネル製造方法
【請求項3】
請求項2に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記対応付けられた処理を実行する過程は、
異常の検出と、当該異常の原因と、を利用者に警告する処理を実行する
ことを特徴とするプラズマディスプレイパネル製造方法。
【請求項4】
請求項2または3に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記対応付けられた処理を実行する過程は、
異常を解消するための回復動作を実行する
ことを特徴とするプラズマディスプレイパネル製造方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記分布状態を解析する過程は、前記画像における前記結晶粒子の孤立点の数と、前記孤立点の表面被覆率と、を算出し、
前記異常を検出する過程は、前記孤立点の数と、表面被覆率と、の値から、異常の有無と、当該異常の原因と、を特定する
ことを特徴とするプラズマディスプレイパネル製造方法。
【請求項6】
請求項4または5に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記回復動作は、
前記結晶粒子を散布する過程において使用されるノズルのクリーニング処理である
ことを特徴とするプラズマディスプレイパネル製造方法。
【請求項7】
請求項4から6のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記回復動作は、
前記結晶粒子を散布する過程における結晶粒子散布速度の変更処理である
ことを特徴とするプラズマディスプレイパネル製造方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記保護層の表面を撮像する過程は、前記保護層の表面に75度以上の入射角で入射する、S偏光照明光が用いられる
ことを特徴とするプラズマディスプレイパネル製造方法。
【請求項9】
請求項1または8のいずれか一項に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記保護層の表面を撮像する過程は、前記結晶粒子の最大粒径以上の焦点深度を持つ対物レンズが用いられる
ことを特徴とするプラズマディスプレイパネル製造方法。
【請求項10】
基板上に、表面にMgOの結晶粒子を付着させた保護層を有するプラズマディスプレイパネルを製造する製造装置であって、
前記結晶粒子を、保護層の表面に散布する散布手段と、
前記結晶粒子が散布された保護層の表面を撮像する撮像手段と、
前記撮像された画像から、前記結晶粒子の分布状態を解析する解析手段と、
前記結晶粒子を散布する過程における異常の有無と、当該異常の原因と、を特定する検出手段と、
前記検出手段が異常を検出した場合に、当該異常の原因に基づいて、対応付けられた処理を行う制御手段と、を備える
ことを特徴とする製造装置。
【請求項11】
請求項10に記載の製造装置であって、
前記制御手段の実行する処理は、
異常の検出と、当該異常の原因と、を利用者に警告する処理である
ことを特徴とする製造装置。
【請求項12】
請求項11に記載の製造装置であって、
表示手段をさらに備え、
前記警告する処理は、前記表示手段に、異常が検出されたことと、当該異常の原因と、を表示させる処理である
ことを特徴とする製造装置。
【請求項13】
請求項10から12のいずれか一項に記載の製造装置であって、
前記制御手段の実行する処理は、
異常を解消するための回復動作を実行する処理である
ことを特徴とする製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−187795(P2009−187795A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26657(P2008−26657)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(599132708)日立プラズマディスプレイ株式会社 (328)
【Fターム(参考)】