説明

プラズマディスプレイパネル用光学フィルタ

【課題】導電性接合材よりも比較的安価な絶縁性接合材を有する導電性テープを使用し、製造原価を低減することができるプラズマディスプレイパネル用光学フィルタを提供する。
【解決手段】本発明によるプラズマディスプレイパネル(PDP)用光学フィルタ1は、透明基材7と、透明基材7のPDP2側に設けられた電磁波シールド層4と、透明基材7と、電磁波シールド層4とを外方から囲んで保持するとともに、前面側に設けられた接地部5aを有する金属フレーム5とを備えている。また、電磁波シールド層4と接地部5aとの間に導電性テープ10が設けられている。この導電性テープ10は、絶縁性接合材10aと導電材10bとからなり、導電性テープ10は、電磁波シールド層4のPDP2側に絶縁性接合材10aを向けて配置され、導電性テープ10は、導電材10bが電磁波シールド層4に溶着された状態で電磁波シールド層4に接合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネルの前面に配置されたプラズマディスプレイパネル用光学フィルタに係り、とりわけ絶縁性接合材を有する導電性テープを備え、製造原価を低減することができるプラズマディスプレイパネル用光学フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種映像表示装置から発生される電磁波によって、電子機器や身体等への電磁気的なノイズ妨害が問題となっている。このうちプラズマディスプレイパネル(PDP)は、作動すると電磁波が大量に発生する。このため、PDPの前面には、メッシュ状(格子状)に形成された導電層を含む電磁波シールド層が設けられている。この電磁波シールド層の導電層において、PDPから発生する電磁波が電荷に変換され、電磁波が遮蔽されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この電磁波シールド層は、電気的に接地されている金属フレームに、導電性テープを介して接続さている。一般に、この導電性テープは、内部に導電性粒子等を含み導電性を有する導電性接合材と導電材とからなっている。この場合、電磁波シールド層に溜まった電荷は、導電性テープの導電性接合材を通って導電材へ流れ、その後、導電性テープに接続されている金属フレームへ流れていく。このようにして、電磁波シールド層により、電磁波が遮蔽される。
【特許文献1】特開2002−251144号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、導電性テープの導電性接合材は、導電性をもたない絶縁性接合材よりも一般に高価である。このため、PDP用光学フィルタの製造原価を低減することが困難になっている。
【0005】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、導電性接合材よりも比較的安価な絶縁性接合材を有する導電性テープを使用し、製造原価を低減することができるPDP用光学フィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、プラズマディスプレイパネルの前面に配置されるプラズマディスプレイパネル用光学フィルタにおいて、基材と、基材のプラズマディスプレイパネル側に設けられた電磁波シールド層と、基材と、電磁波シールド層とを外方から囲んで保持するとともに、前面側に設けられた接地部を有する金属フレームと、電磁波シールド層と接地部との間に介在された導電性テープと、を備え、導電性テープは、絶縁性接合材と導電材とからなり、導電性テープは、電磁波シールド層のプラズマディスプレイパネル側に絶縁性接合材を向けて配置され、導電性テープは、導電材が電磁波シールド層に溶着された状態で電磁波シールド層に接合されることを特徴とするプラズマディスプレイパネル用光学フィルタである。
【0007】
本発明は、導電性テープは、超音波接合機によって電磁波シールド層に接合されていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル用光学フィルタである。
【0008】
本発明は、プラズマディスプレイパネルの前面に配置されるプラズマディスプレイパネル用光学フィルタにおいて、基材と、基材のプラズマディスプレイパネル側に設けられた電磁波シールド層と、基材と、電磁波シールド層とを外方から囲んで保持するとともに、前面側に設けられた接地部を有する金属フレームと、電磁波シールド層と接地部との間に介在された導電性テープと、を備え、導電性テープは、絶縁性接合材と導電材とからなり、導電性テープは、電磁波シールド層のプラズマディスプレイ側に絶縁性接合材を向けて配置され、導電性テープは、絶縁性接合材が電磁波シールド層に接着された状態で電磁波シールド層に接合されることを特徴とするプラズマディスプレイパネル用光学フィルタである。
【0009】
本発明は、導電性テープは、熱ロールによって電磁波シールド層に接合されていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル用光学フィルタである。
【0010】
本発明は、プラズマディスプレイパネルの前面に配置されるプラズマディスプレイパネル用光学フィルタにおいて、基材と、基材のプラズマディスプレイパネル側に設けられた電磁波シールド層と、基材と、電磁波シールド層とを外方から囲んで保持するとともに、前面側に設けられた接地部を有する金属フレームと、電磁波シールド層と接地部との間に介在された導電性テープと、を備え、導電性テープは、絶縁性接合材と、絶縁性接合材から突出する突出端部を有する導電材とからなり、導電材の突出端部は、折り曲げられて絶縁性接合材を挟み込み、導電材の折り曲げられた突出端部は、電磁波シールド層と当接することを特徴とするプラズマディスプレイパネル用光学フィルタである。
【0011】
本発明は、導電性テープは、電磁波シールド層の全周にわたって介在されることを特徴とするプラズマディスプレイパネル用光学フィルタである。
【0012】
本発明は、導電性テープは、金属フレームの接地部に、導電性ガスケットを介して接続されていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル用光学フィルタである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、基材のプラズマディスプレイパネル側に電磁波シールド層が設けられ、基材と電磁波シールド層が、前面側に設けられた接地部を有する金属フレームにより外方から囲んで保持される。また、導電性テープが、導電性接合材料よりも比較的安価な絶縁性接合材と、導電材とからなるとともに、この導電性テープが、電磁波シールド層のプラズマディスプレイパネル側に絶縁性接合材を向けて配置され、導電性テープは、導電材が電磁波シールド層に溶着された状態で電磁波シールド層に接合される。このことにより、導電性テープが電磁波シールド層に確実に電気的に接続され、電磁波シールド層を接地することができる。このため、プラズマディスプレイパネルから発生する電磁波を確実に遮蔽することができるとともに、プラズマディスプレイパネル用光学フィルタの製造原価を低減することができる。
【0014】
また本発明によれば、基材のプラズマディスプレイパネル側に電磁波シールド層が設けられ、基材と電磁波シールド層が、前面側に設けられた接地部を有する金属フレームにより外方から囲んで保持される。また、導電性テープが、導電性接合材料よりも比較的安価な絶縁性接合材と、導電材とからなるとともに、この導電性テープが、電磁波シールド層のプラズマディスプレイパネル側に絶縁性接合材を向けて配置され、導電性テープは、導電材が電磁波シールド層に当接されるとともに絶縁性接合材が電磁波シールド層に接着された状態で電磁波シールド層に接合される。このことにより、導電性テープが電磁波シールド層に確実に電気的に接続され、電磁波シールド層を接地することができる。このため、プラズマディスプレイパネルから発生する電磁波を確実に遮蔽することができるとともに、プラズマディスプレイパネル用光学フィルタの製造原価を低減することができる。
【0015】
さらに本発明によれば、基材のプラズマディスプレイパネル側に電磁波シールド層が設けられ、基材と電磁波シールド層が、前面側に設けられた接地部を有する金属フレームにより外方から囲んで保持される。また、導電性テープが、導電性接合材料よりも比較的安価な絶縁性接合材と、絶縁性接合材から突出する突出端部を有する導電材とからなるとともに、この導電性テープが、導電材の突出端部が折り曲げられて絶縁性接合材を挟み込み、導電材の折り曲げられた突出端部が、電磁波シールド層のプラズマディスプレイパネル側に当接される。このことにより、導電性テープが電磁波シールド層に確実に電気的に接続され、電磁波シールド層を接地することができる。このため、プラズマディスプレイパネルから発生する電磁波を確実に遮蔽することができるとともに、プラズマディスプレイパネル用光学フィルタの製造原価を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
第1の実施の形態
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。ここで、図1乃至図4は、本発明の第1の実施の形態におけるプラズマディスプレイパネル(PDP)用光学フィルタを示す図である。このうち、図1は、本発明の第1の実施の形態におけるPDP用光学フィルタの構成を示す図であり、図2は、本発明の第1の実施の形態におけるPDP用光学フィルタにおいて、電磁波シールド層に導電性テープを接合した状態を示す平面図である。また図3は、本発明の第1の実施の形態におけるPDP用光学フィルタの構成を示す部分拡大図であって、便宜的に金属フレームを取り外した図であり、図4は、本発明の第1の実施の形態におけるPDP用光学フィルタにおいて、電磁波シールド層に導電性テープを接合する方法を示す図である。さらに、図5は、比較例としてのPDP用光学フィルタの構成を示す部分拡大図であって、便宜的に金属フレームを取り外した図である。
【0017】
まず、図1により、本実施の形態によるPDP用光学フィルタ1について説明する。ここで、PDP用光学フィルタ1は、PDP2の前面に設置され、PDP2の視認性を向上させるものである。
【0018】
このようなPDP用光学フィルタ1は、図1に示すように、透明基材7と、透明基材7のPDP2側に設けられた電磁波シールド層4と、透明基材7の前面側に近赤外線/ネオンカット粘着材層8を介して設けられたUVカットフィルム9と、UVカットフィルム9の前面側に設けられた外光反射防止膜11とを備えている。また、透明基材7と、近赤外線/ネオンカット粘着材層8と、UVカットフィルム9と、外光反射防止膜11と、電磁波シールド層4とは、前面側に設けられた接地部5aを有する金属フレーム5により、外方から囲んで保持される。
【0019】
このうち、透明基材7と、近赤外線/ネオンカット粘着材層8と、UVカットフィルム9と、外光反射防止膜11と、電磁波シールド層4とにより、後述のように光学フィルタ積層体3が構成される。また、電磁波シールド層4は、PDP2から放出される人体に有害な電磁波を効果的に遮蔽するものであり、例えば開口4aを有する銅メッシュからなっている。
【0020】
一般的に、電磁波シールド層4としては、接地された金属メッシュが用いられるが、合成樹脂や金属繊維のメッシュに金属被覆したものを用いることもできる。電磁波シールド層4を構成する金属の材質としては、例えば銅、クロム、ニッケル、銀、モリブデン、タングステン、アルミニウムなど電気伝導性に優れ、加工性が高い金属であれば、いずれも使用可能である。
【0021】
また、図1乃至図3に示すように、電磁波シールド層4と金属フレーム5の接地部5aとの間に、導電性テープ10が、電磁波シールド層4の全周にわたって介在されている。この導電性テープ10は、図1および図3に示すように絶縁性接合材10aと、導電材10bとからなっている。このうち導電材10bは、例えばアルミ箔または銅箔からなっており、絶縁性接合材10aは、例えば、アクリル系の粘着材若しくは粘着シート、または熱可塑系接着材からなっている。
【0022】
また、図1および図3に示すように、導電性テープ10は、電磁波シールド層4のPDP2側に絶縁性接合材10aを向けて配置されている。また導電性テープ10は、外光反射防止膜11の前面側に絶縁性接合材10aを向けて配置されるとともに、金属フレーム5の接地部5aに導電材10bを向けて配置されている。さらに、金属フレーム5の接地部5aと導電性テープ10との間に、導電性ガスケット6が設けられている。この導電性ガスケット6は、例えば、スポンジ状やゴム状に形成されたポリウレタンからなる芯材と、この芯材の外側を覆う銅−ニッケルメッキポリエステル織布または金属メッシュなどの導電性の材料とからなっている。このことにより、導電性テープ10の導電材10bは、金属フレーム5の接地部5aに導電性ガスケット6を介して接続されている。
【0023】
また、図4に示すように、導電性テープ10は、超音波接合機20によって導電性テープ10の例えばアルミ等からなる導電材10bが例えば銅等からなる電磁波シールド層4に溶着された状態で電磁波シールド層4に接合されている。この場合、導電性テープ10は、超音波接合機20によって横方向に超音波振動し、導電性テープ10の導電材10bと電磁波シールド層4との間に介在している導電性テープ10の絶縁性接合材10aが、導電材10bと電磁波シールド層4との間から排除され、かつ導電材10bが横方向に超音波振動して電磁波シールド層4に溶着される。このことにより、導電性テープ10が、電磁波シールド層4に溶着された状態で電磁波シールド層4に接合されている。
【0024】
次に、各構成部材の材料について述べる。まず、透明基材7としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルム、アクリル製フィルム等のプラスチックフィルム、あるいは強化ガラスまたは半強化ガラス等を用いることができる。
【0025】
透明基材7を構成するプラスチックフィルムは高透明性と耐熱性を有することが望ましく、高分子成形物および高分子成形物の積層体を用いることができる。透明性に関しては、可視光線透過率が80%以上であることが有利であって、耐熱性に関してはガラス転移温度が50℃以上であることが望ましい。とりわけ、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリサルフォン(PS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリアリルレート、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリイミド、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等を挙げることができる。これらのうち、PET製のフィルムを用いることが望ましい。
【0026】
また、近赤外線/ネオンカット粘着材層8は、近赤外線カット機能およびネオンカット機能の双方の機能を有しているが、近赤外線カット機能またはネオンカット機能のいずれか一方のみの機能をもっていてもよい。
【0027】
また、近赤外線/ネオンカット粘着材層8は、粘着性を有するアクリル樹脂と、アクリル樹脂中に含まれたNIR吸収色素およびNe吸収色素とを有している。近赤外線/ネオンカット粘着材層8を構成する樹脂としては、アクリル樹脂の他、アクリル系、エステル系、ウレタン系、フッ素系、ポリイミド系、エポキシ系、またはポリウレタンエステル系等の接着剤、あるいは、主成分としてメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、または2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等を含有したアクリル系粘着剤によって形成された樹脂が挙げられる。なお、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタアクリレートの双方を意味する。接合剤層を形成するにあたっては、必要に応じて、その原料にイソシアネート系、ポリチオール系、イミド系等の硬化剤を含有させることができる。NIR吸収色素は、800〜1100nmの波長の光をカットするようになっており、Ne吸収色素は、570〜600nmの波長の光をカットするようになっている。また近赤外線/ネオンカット粘着材層8は、UVカットフィルム9を透明基材7の前面側に接着させるものである。
【0028】
また、UVカットフィルム9は、例えば、紫外線を遮蔽、散乱、または拡散する酸化亜鉛または酸化チタンの微粒子を含む塗料をコーティングすることにより得られる。
【0029】
また、外光反射防止膜11は、空気とPDP用光学フィルタ1との間の屈折率差による反射を防止するとともに、PDP2表面の反射を防止するものである。この外光反射防止膜は、光学薄膜を積層することにより構成される。
【0030】
また、図1および図3に示すように、電磁波シールド層4のPDP2側に、着色粘着材層12が設けられている。この着色粘着材層12は、PDP用光学フィルタ1をPDP2の前面に接着させるものであり、粘着性をもつアクリル樹脂等を用いることができる。
【0031】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用、すなわちPDP用光学フィルタ1の製造方法について説明する。
【0032】
まず、透明基材7の一方(PDP2側)の面に電磁波シールド層4を形成し、次に、透明基材7の他方(前面側)の面に近赤外線/ネオンカット粘着材層8を介してUVカットフィルム9および外光反射防止膜11を順次形成する。このようにして透明基材7と、近赤外線/ネオンカット粘着材層8と、UVカットフィルム9と、外光反射防止膜11と、電磁波シールド層4とからなる光学フィルタ積層体3が得られる。
【0033】
次に、図2に示すように、電磁波シールド層4の全周にわたって、導電性テープ10が貼り付けられる。この場合、電磁波シールド層4のPDP2側に導電性テープ10の絶縁性接合材10aが向けられるとともに、外光反射防止膜11の前面側に絶縁性接合材10aが向けられて、導電性テープ10が貼り付けられる。
【0034】
次に、導電性テープ10が、超音波接合機20によって導電材10bが電磁波シールド層4に溶着された状態で電磁波シールド層4に接合される。この場合まず、超音波接合機20の受台20a上に、電磁波シールド層4を上側にして光学フィルタ積層体3が載置される。次に、導電性テープ10上に、超音波接合機20のロータリーヘッド20bが当接される。次に、超音波接合機20内で発せられた超音波により、ロータリーヘッド20bがロータリーヘッド20bの移動方向に対して直交する方向に微細に振動されるとともに、導電性テープ10上をロータリーヘッド20bが移動していく。この間、導電性テープ10のうちロータリーヘッド20bが当接された範囲において、導電性テープ10の導電材10bと電磁波シールド層4との間に介在されている導電性テープ10の絶縁性接合材10aが、導電材10bと電磁波シールド層4との間から排除される。同時に、導電材10bと電磁波シールド層4との当接面に摩擦が生じ、導電材10bが電磁波シールド層4に溶着される。このようにして導電性テープ10が、電磁波シールド層4の全周にわたって電磁波シールド層4に溶着された状態で電磁波シールド層4に接合される。
【0035】
次に、電磁波シールド層4のPDP2側に、着色粘着材層12が設けられ、光学フィルタ積層体3が、着色粘着材層12を介してPDP2の前面に接着される。次に、外光反射防止膜11前面側の導電性テープ10上に、導電性ガスケット6が当接される。その後、光学フィルタ積層体3を外方から囲んで保持するようにして金属フレーム5が装着される。この場合、金属フレーム5の前面側に設けられた接地部5aは、導電性ガスケット6に当接され、電磁波シールド層4は、導電性テープ10の導電材10bおよび導電性ガスケット6を介して金属フレーム5の接地部5aに接続される。このようにして、本実施の形態によるPDP用光学フィルタ1が得られる。
【0036】
このように、本実施の形態によれば、透明基材7のPDP2側に電磁波シールド層4が設けられ、透明基材7、近赤外線/ネオンカット粘着材層8と、UVカットフィルム9と、外光反射防止膜11と、電磁波シールド層4とが、前面側に設けられた接地部5aを有する金属フレーム5により外方から囲んで保持される。また、導電性テープ10が、絶縁性接合材10aと導電材10bとからなるとともに、この導電性テープ10が、電磁波シールド層4のPDP2側に絶縁性接合材10aを向けて配置され、導電性テープ10は、超音波接合機20によって導電材10bが電磁波シールド層4に溶着された状態で電磁波シールド層4に接合される。このことにより、導電性テープ10を電磁波シールド層4に確実に電気的に接続することができる。さらにこの導電性テープ10は、電磁波シールド層4の全周にわたって電磁波シールド層4と金属フレーム5の接地部5aとの間に介在され、金属フレーム5の接地部5aに導電性ガスケット6を介して接続される。このため、電磁波シールド層4が確実に接地され、PDP2から発生する電磁波を確実に遮蔽することができるとともに、PDP用光学フィルタ1の製造原価を低減することができる。
【0037】
すなわち、比較例としての図5に示すPDP用光学フィルタ30において、導電性テープ31は、導電性接合材31aと導電材31bとからなり、導電性テープ31は、電磁波シールド層4のPDP2側に導電性接合材31aを向けて配置され、導電性テープ31が電磁波シールド層4に接着されている。このことにより、電磁波シールド層4は、導電性テープ31の導電性接合材31aを介して導電性テープ31の導電材31bと電気的に接続することができる。しかしながら、導電性接合材31aは絶縁性接合材10aよりも比較的高価であるため、PDP用光学フィルタ30の製造原価を低減することが困難になっている。
【0038】
これに対して図1および図3に示すように本発明によれば、導電性テープ10は、導電性接合材30aよりも比較的安価な絶縁性接合材10aと、導電材10bとからなり、導電性テープ10は、電磁波シールド層4のPDP2側に絶縁性接合材10aを向けて配置され、超音波接合機20によって導電性テープ10が電磁波シールド層4に接合されている。このことにより、電磁波シールド層4は、導電性テープ10の絶縁性接合材10aを介することなく、導電性テープ10の導電材10bと電気的に接続されている。このように、比較的安価な絶縁性接合材10aを含む導電性テープ10を用いているため、PDP用光学フィルタ1の製造原価を低減することができる。
【0039】
第2の実施の形態
次に、図6により、本発明の第2の実施の形態におけるPDP用光学フィルタについて説明する。ここで、図6は、本発明の第2の実施の形態におけるPDP用光学フィルタにおいて、電磁波シールド層に導電性テープを接合する方法を示す図である。
【0040】
図6に示す第2の実施の形態は、PDP用光学フィルタ1において、導電性テープ10が、熱ロール21によって電磁波シールド層4に接合されている点が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図4に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図6において、図1乃至図4に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0041】
本実施の形態によれば、図6に示すように、導電性テープ10は、熱ロール21によって導電性テープ10の絶縁性接合材10aが電磁波シールド層4に接着された状態で電磁波シールド層4に接合される。この場合、導電性テープ10の導電材10bと電磁波シールド層4との間に介在している導電性テープ10の絶縁性接合材10aが、導電材10bと電磁波シールド層4との間から排除され、かつ導電材10bが電磁波シールド層4に当接される。このことにより、導電性テープ10が、電磁波シールド層4に接着された状態で電磁波シールド層4に接合されている。
【0042】
具体的には、熱ロール21によって電磁波シールド層4に導電性テープ10を接合する場合、まず、熱ロール21の受台21a上に、電磁波シールド層4を上側にして透明基材7が載置される。次に、導電性テープ10上に、凸部が形成された熱ロール21のローレットヘッド21bが加熱されて当接される。この場合、凸部は熱ロール21のローレットヘッド21b表面に軸方向に帯状に延びて形成されている。次に、熱ロール21のローレットヘッド21bが、導電性テープ10上を移動していく。この間、ローレットヘッド21が当接された導電性テープ10の絶縁性接合材10aは加熱され、絶縁性接合材10aの粘度が低下する。このため、導電性テープ10のうちローレットヘッド21b外周面の凸部が当接された範囲において、導電性テープ10の導電材10bと電磁波シールド層4との間に介在されている導電性テープ10の絶縁性接合材10aが、導電材10bと電磁波シールド層4との間から排除され、導電材10bが電磁波シールド層4に当接される。その後、導電材10bと電磁波シールド層4との間から排除された絶縁性接合材10aは、冷却されて固化される。このようにして導電性テープ10が、電磁波シールド層4の全周にわたって電磁波シールド層4に接着された状態で電磁波シールド層4に接合される。
【0043】
このように本実施の形態によれば、導電性テープ10が、絶縁性接合材10aと導電材10bとからなるとともに、この導電性テープ10が、電磁波シールド層4のPDP2側に絶縁性接合材10aを向けて配置され、導電性テープ10は、熱ロール21によって導電材10bが電磁波シールド層4に当接されるとともに、絶縁性接合材10aが電磁波シールド層4に接着された状態で電磁波シールド層4に接合される。このことにより、導電性テープ10を電磁波シールド層4に確実に電気的に接続することができる。
【0044】
第3の実施の形態
次に、図7により、本発明の第3の実施の形態におけるPDP用光学フィルタについて説明する。ここで、図7(a)は、本発明の第3の実施の形態におけるPDP用光学フィルタにおいて、電磁波シールド層に導電性テープを当接する方法のうち、導電材の突出端部を示す図であり、図7(b)は、図7(a)に示す導電材の突出端部が、折り曲げられて絶縁性接合材を挟み込む状態を示す図であり、図7(c)は、図7(b)に示す導電材を含む導電性テープを組み込んだPDP用光学フィルタの構成を示す部分拡大図であって、便宜的に金属フレームを取り外した図である
【0045】
図7(a)、(b)、(c)に示す第3の実施の形態は、PDP用光学フィルタ1において、導電性テープ10が、導電材10bの端部が折り曲げられて導電材10bが電磁波シールド層4に当接されている点が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図4に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図7において、図1乃至図4に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0046】
図7(a)、(b)、(c)に示す第3の実施の形態におけるPDP用光学フィルタ1において、導電性テープ10は、絶縁性接合材10aと、絶縁性接合材10aから突出する突出端部10cを有する導電材10bとからなり、導電材10bの突出端部10cは、折り曲げられて絶縁性接合材10aを挟み込み、導電材10bの折り曲げられた突出端部10cは、電磁波シールド層4と当接している。
【0047】
電磁波シールド層4に導電性テープ10を当接する場合、まず、図7(a)に示すように、絶縁性接合材10aから突出する突出端部10cが形成された導電材10bを有する導電性テープ10を準備する。次に、図7(b)に示すように、突出端部10cが、絶縁性接合材10aを挟み込むように折り曲げられる。その後、図7(c)に示すように、突出端部10cが電磁波シールド層4のPDP2側に当接されるように、導電性テープ10が、電磁波シールド層4の全周にわたって、電磁波シールド層4と金属フレーム5の接地部5aとの間に取り付けられる。
【0048】
このように本実施の形態によれば、導電性テープ10が、絶縁性接合材10aと、絶縁性接合材10aから突出する突出端部10cを有する導電材10bとからなるとともに、この導電性テープ10は、導電材10bの突出端部10cが折り曲げられて絶縁性接合材10aを挟み込み、導電材10bの折り曲げられた突出端部10cが、電磁波シールド層4のPDP2側に当接される。このことにより、導電性テープ10を電磁波シールド層4に確実に電気的に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態におけるPDP用光学フィルタの構成を示す図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態におけるPDP用光学フィルタにおいて、電磁波シールド層に導電性テープを接合した状態を示す平面図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態におけるPDP用光学フィルタの構成を示す部分拡大図であって、便宜的に金属フレームを取り外した図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施の形態におけるPDP用光学フィルタにおいて、電磁波シールド層に導電性テープを接合する方法を示す図である。
【図5】図5は、比較例としてのPDP用光学フィルタの構成を示す部分拡大図であって、便宜的に金属フレームを取り外した図である。
【図6】図6は、本発明の第2の実施の形態におけるPDP用光学フィルタにおいて、電磁波シールド層に導電性テープを接合する方法を示す図である。
【図7】図7(a)は、本発明の第3の実施の形態におけるPDP用光学フィルタにおいて、電磁波シールド層に導電性テープを当接する方法のうち、導電材の突出端部を示す図であり、図7(b)は、図7(a)に示す導電材の突出端部が、折り曲げられて絶縁性接合材を挟み込む状態を示す図であり、図7(c)は、図7(b)に示す導電材を含む導電性テープを組み込んだPDP用光学フィルタの構成を示す部分拡大図であって、便宜的に金属フレームを取り外した図である。
【符号の説明】
【0050】
1 PDP用光学フィルタ
2 PDP
3 光学フィルタ積層体
4 電磁波シールド層
4a 開口
5 金属フレーム
5a 接地部
6 導電性ガスケット
7 透明基材
8 近赤外線/ネオンカット粘着材層
9 UVカットフィルム
10 導電性テープ
10a 絶縁性接合材
10b 導電材
10c 突出端部
11 外光反射防止膜
12 着色粘着材層
20 超音波接合機
20a 受台
20b ロータリーヘッド
21 熱ロール
21a 受台
21b ローレットヘッド
30 PDP用光学フィルタ
31 導電性テープ
31a 導電性接合材
31b 導電材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマディスプレイパネルの前面に配置されるプラズマディスプレイパネル用光学フィルタにおいて、
基材と、
基材のプラズマディスプレイパネル側に設けられた電磁波シールド層と、
基材と、電磁波シールド層とを外方から囲んで保持するとともに、前面側に設けられた接地部を有する金属フレームと、
電磁波シールド層と接地部との間に介在された導電性テープと、を備え、
導電性テープは、絶縁性接合材と導電材とからなり、導電性テープは、電磁波シールド層のプラズマディスプレイパネル側に絶縁性接合材を向けて配置され、
導電性テープは、導電材が電磁波シールド層に溶着された状態で電磁波シールド層に接合されることを特徴とするプラズマディスプレイパネル用光学フィルタ。
【請求項2】
導電性テープは、超音波接合機によって電磁波シールド層に接合されていることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル用光学フィルタ。
【請求項3】
プラズマディスプレイパネルの前面に配置されるプラズマディスプレイパネル用光学フィルタにおいて、
基材と、
基材のプラズマディスプレイパネル側に設けられた電磁波シールド層と、
基材と、電磁波シールド層とを外方から囲んで保持するとともに、前面側に設けられた接地部を有する金属フレームと、
電磁波シールド層と接地部との間に介在された導電性テープと、を備え、
導電性テープは、絶縁性接合材と導電材とからなり、導電性テープは、電磁波シールド層のプラズマディスプレイ側に絶縁性接合材を向けて配置され、
導電性テープは、絶縁性接合材が電磁波シールド層に接着された状態で電磁波シールド層に接合されることを特徴とするプラズマディスプレイパネル用光学フィルタ。
【請求項4】
導電性テープは、熱ロールによって電磁波シールド層に接合されていることを特徴とする請求項3に記載のプラズマディスプレイパネル用光学フィルタ。
【請求項5】
プラズマディスプレイパネルの前面に配置されるプラズマディスプレイパネル用光学フィルタにおいて、
基材と、
基材のプラズマディスプレイパネル側に設けられた電磁波シールド層と、
基材と、電磁波シールド層とを外方から囲んで保持するとともに、前面側に設けられた接地部を有する金属フレームと、
電磁波シールド層と接地部との間に介在された導電性テープと、を備え、
導電性テープは、絶縁性接合材と、絶縁性接合材から突出する突出端部を有する導電材とからなり、導電材の突出端部は、折り曲げられて絶縁性接合材を挟み込み、導電材の折り曲げられた突出端部は、電磁波シールド層と当接することを特徴とするプラズマディスプレイパネル用光学フィルタ。
【請求項6】
導電性テープは、電磁波シールド層の全周にわたって介在されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネル用光学フィルタ。
【請求項7】
導電性テープは、金属フレームの接地部に、導電性ガスケットを介して接続されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネル用光学フィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−92768(P2009−92768A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−261161(P2007−261161)
【出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】