説明

プラズマディスプレイパネル用隔壁(BARRIERRIB)の製造方法

本発明は、シリコン化合物樹脂を含むプラズマディスプレイパネル用隔壁の製造方法を提供する。
第1態様の本発明は、基板上にシリコン化合物樹脂層を形成する段階と、前記シリコン化合物樹脂層を隔壁形状のパターンが形成されたマスターに圧着して転写する段階と、前記シリコン化合物樹脂を硬化した後、マスターを離型させる段階を包含する。
第2態様の本発明は、シリコン化合物樹脂を隔壁形状のパターンが形成されたマスターの溝に充填する段階と、基板上に前記マスターを圧着して転写する段階と、前記転写されたシリコン化合物樹脂を硬化させた後、マスターを離型させる段階を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略記する)用隔壁の製造方法に関し、より詳細には、低温焼成が可能であり、流動性を有する材料から微細かつ複雑な形態の隔壁を簡単かつ精密に製造することができ、連続的な工程が可能なPDP用隔壁の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイ素子を構成する隔壁構造は、アドレス電極が平行にパターニングされている背面ガラス基板上に形成される通常電極を覆う誘電体層に形成される構造物である。隔壁は、パネル内において放電距離を維持し、隣接したセル間の電気的、光学的混信を防止するために具備され、幅が40〜100μm、高さが50〜200μm程度である。
【0003】
一般的に、PDP用隔壁を形成するためには、低融点ガラスを主成分とするフリット(frit)を使用するがスラリーまたはペースト状で使用される。このような物質を使用する隔壁の形成方法としては、スクリーン印刷法、サンドブラスティング法、フォトリソグラフィー法、モールディング法などが主に使用されている。
【0004】
ペーストまたはスラリータイプのフリット物質は、隔壁形状に作製した後、ガラスフリットを硬化させるために、500〜600℃の高い焼成温度を必要とする。また、代表的な軟化物質であるPbの添加なしに作製する場合にはもっと高い温度で焼成しなければならない。しかし、隔壁材料において、500℃又はそれ以上の温度で処理されるPbは環境汚染物質であり、背面基板の隔壁を製造する時のように、多量の廃棄物が発生する場合には、環境汚染とともに廃棄物処理費用の増加をもたらす。しかも、隔壁を製造するときの高温の熱履歴プロセスは、基板ガラスの寸法に変化を与えてパターンを不均等にするので、PDPの不良率を増加せしめるとともに、パネルを大画面化することに問題が生じるなどいろいろな問題を有している。このために、隔壁を支持するPDP基板もやはり高温によって軟化されない特殊ガラスを使用しなければならない問題もある。
【0005】
従来の42インチパネルの場合、通常的にスクリーンプリント法によって隔壁の全体高さほど誘電体層を作成し、サンドブラスティング法によって隔壁構造を形成している。しかし、60インチ、又はそれ以上のHDTV級PDPの製造においては、構造物間のより小さなピッチのみならず平滑性が要求されるので、多層印刷を通じたスクリン印刷法やサンドブラスティング法は、精密な寸法を有する複雑な構造物の製造には適合しない。このため、複雑な多層スクリーン印刷による工程の複雑化とパネル全体に均一な隔壁を形成する問題を解決するために、別記特許文献1及び特許文献2には、転写フィルム(ガラスペースト組成物と支持フィルムから得られる膜形成材料層と、この膜形成材料層の表面に容易に剥離されるように設けられたカバーフィルムを積層させてなる複合フィルム)を使用し単一の工程を通じて隔壁層を形成する製造方法を開示している。しかし、このような方法も工程の簡単化は可能であるが、焼成された低融点ガラスが有している基板の制限性、微細構造パターン形成の難しさ、低い表面平滑度、多量の環境汚染廃棄物の発生などの問題を抱えている。したがって、簡単な工程によって厚いフィルムを得ることができ、微細パターン形成に容易な材料の開発が大面積かつ高画質PDPの製造に必須の要求となっている。
【0006】
PDP隔壁を製造する方法において、従来使用されているサンドブラスティング法などの他に隔壁の品質特性が優れ、製造工程が単純で低コストの方法として、モールドまたはロール加圧法がある。この方法は、ガラス基板またはチタニウムのような金属基板上に隔壁材料を包含しているペーストを塗布して乾燥させるか、ドライフィルムを積層した後、これを隔壁の反転パターンが形成された平板型モールド、または、円筒型ロールモールドに圧縮成型して隔壁を形成する方法である。これに関しては、別記特許文献3、4、5、6、7、8、9などに技術内容が開示されている。一般的に、ペーストは、隔壁の材料である無機質材料(ガラスフリット、充填用セラミックス(AlO、TiO、ZrOなど))を包含し、印刷及び圧縮成型時に要求される流動特性を得るための有機質材料(溶媒、結合剤、チキソトロピック剤、可塑剤、希釈剤、その他の添加剤)を包含したものが使用される。これらによって得られたペーストを乾燥させた後、製造しようとする隔壁の反転パターンを有する平板型モールドで加圧して隔壁を成型し、モールドから離型して焼成した後、蛍光体を隔壁側面と下面に印刷してPDPの後面板を製造する。しかし、これらの方法においてもモールドと成型された隔壁の離型性の確保に問題がある。
【0007】
前記の平板型モールドの代わりに隔壁の反転パターンに溝がパターニングされたロールを使用して隔壁を形成する方法も使用される。この方法は、ロールを乾燥されたペーストまたはドライフィルムに圧着して隔壁形状に成型した後、これを焼成して隔壁を製造する方法である。
【0008】
このような機械的圧縮法の他に金属またはポリマーのような基材を隔壁形状の反転パターンに平板モールドまたはロールを利用して加工するか、フォトエッチング法によって成型した後、隔壁材料を包含しているペーストまたはスラリを充填して、これを乾燥した後、モールドを取り除く方法が別記特許文献10、11、12などに開示されている。このような方法は、微細な隔壁を形成することができる方法として提案されている。フォトリソグラフィー法またはモールド圧縮法により隔壁形状のパターン溝を成型した後、このパターンの溝に隔壁用材料を充填する。充填の過程では、スクイーザー(squeezer)を利用したプリンティング法、または、テープキャスティング法が適用される。隔壁材料を包含した媒質の充填が完了されたら、これを乾燥させて、アドレス電極が印刷された基板上にラミネートしながらモールドを離型させて焼成した後、蛍光体を隔壁側面と下面に印刷して望むPDPの後面板を製造する。
【0009】
前記モールド法において、モールドに塗布される隔壁材料の流動性と、隔壁を形成した後材料からモールドを除去する段階において隔壁材料とモールド間の反応性または離型の問題は隔壁の製造に悪影響を及ぼすことになる。即ち、隔壁材料をモールドに充填する段階でパターニングされた溝の全体を材料が充填されていなければ均一な隔壁を形成することができなく、モールドの除去段階でモールドのパターン間で焼成された隔壁材料がモールドとの反応なしに容易に離型することによってのみ損傷されない均一な隔壁を得ることができる。しかし、前記従来の方法だけではこのような目的を達成することが難しい。
【特許文献1】日本国特許公開第9‐102273号
【特許文献2】日本国特許公開第10‐291834号
【特許文献3】日本国特許公開第11‐185605号
【特許文献4】日本国特許公開第10‐3265712号
【特許文献5】日本国特許公開第9‐170148号
【特許文献6】韓国特許出願第1998‐54538号
【特許文献7】韓国特許出願第1998‐21101号
【特許文献8】韓国特許出願第1998‐22675号
【特許文献9】韓国特許出願第1998‐18584号
【特許文献10】日本国特許出願第9‐165907号
【特許文献11】日本国特許出願第9‐243523号
【特許文献12】韓国特許出願第1998‐34029号
【発明の開示】
【0010】
本発明は、前記従来技術が有する問題を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、300℃以下の低温焼成を可能にし、流動性を有する材料から微細かつ複雑な形態の隔壁を簡単かつ精密に製造することができ、連続的な工程を可能にするPDP用隔壁の製造方法を提供する。
【0011】
前記目的を達成するために、第1態様の本発明は、基板上にシリコン化合物樹脂層を形成する段階と、前記シリコン化合物樹脂層を隔壁形状のパターンが形成されたマスターで圧着して転写する段階と、及び前記シリコン化合物樹脂が硬化した後、マスターを離型させる段階を包含するPDP用隔壁の製造方法を提供する。
【0012】
また、第2態様の本発明は、シリコン化合物樹脂を隔壁形状のパターンが形成されたマスターの溝に充填する段階と、基板上に前記マスターを圧着して転写する段階と、及び前記転写されたシリコン化合物樹脂を硬化させた後、マスターを離型させる段階を包含するPDP用隔壁の製造方法を提供する。
【0013】
前記第1態様及び第2態様の本発明において、シリコン化合物樹脂は、顔料をさらに包含することが好ましい。
【0014】
前記第1態様及び第2態様の本発明において、シリコン化合物樹脂は、紫外線硬化剤または熱硬化剤をさらに包含することが好ましい。
【0015】
前記第1態様及び第2態様の本発明において、シリコン化合物は、下記式(1)またはR6SiO1.5を反復単位とする化合物を包含するか、これらの化合物を単量体とする重合体から選択されるのが好ましい。
【化1】

【0016】
式(1)中、Xは、0を包含する整数であり、R、R、R、R、R、Rは、それぞれ、アルキル基、ケトン基、アクリル基、メタクリル基、アリル基、アルコキシ基、芳香族基、ハロゲン基、アミノ基、メルカプト基、エーテル基、エステル基、スルホン基、ニトロ基、ヒドロキシ基、シクロブテン基、カルボニル基、カルボキシル基、アルキド基、ウレタン基、ビニル基、ニトリル基、水素、またはエポキシ基の中で選択される官能基を有する1種または2種以上の直鎖状、分枝状、または環状C1〜12の炭化水素基である。AはOまたはNHである。前記C1〜12の炭化水素基は、一部水素がフッ素に置換されていることを包含する。
【0017】
前記第1態様及び第2態様の本発明において、顔料は、酸化ルテニウム、酸化ニッケル、チタニア、チタニア‐アルミナ、酸化鉄、酸化チタン、窒化バリウム、酸化アルミニウムの群から選択される少なくとも1種または2種以上の物質を包含することが好ましい。
【0018】
前記第1態様及び第2態様の本発明において、マスターは、平板型またはロール型であることが好ましい。
【0019】
また、本発明はシリコン化合物樹脂を包含し、前記第1態様及び第2態様の製造方法によって製造されるPDPを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の内容をより詳細に説明する。
本発明による隔壁の製造方法は、シリコン化合物樹脂を主成分とし、マスター転写法を利用して製造する工程を包含する。マスターとしては、平板型またはロール型ともに使用可能であり、これらのマスターを利用してシリコン化合物樹脂層を背面基板上に形成した後、マスターを加圧して転写するマイクロエンボシング法またはマスターに形成された溝にシリコン化合物樹脂を充填させた後、背面基板上に加圧して転写するスタンピング法を利用する。
【0021】
本発明において、シリコン化合物とは、有機‐無機ハイブリッド物質であって、好ましくは、シロキサン結合(-Si-O-)またはシラザン結合(-Si-NH-)を基にしながら、シリコン原子の4つの結合部位の中、いずれか1つに直鎖状、分枝状、または環状のC1〜12の炭化水素基を有する物質を称する。より好ましくは、前記シリコン化合物は、下記式(1)またはR6SiO1.5を反復単位とする化合物を包含するか、これらの化合物を単量体とする重合体から選択されることが好ましい。
【化1】

【0022】
式(1)中、Xは、0を包含する整数であり、R、R、R、R、R、Rは、それぞれ、アルキル基、ケトン基、アクリル基、メタクリル基、アリル基、アルコキシ基、芳香族基、ハロゲン基、アミノ基、メルカプト基、エーテル基、エステル基、スルホン基、ニトロ基、ヒドロキシ基、シクロブテン基、カルボニル基、カルボキシル基、アルキド基、ウレタン基、ビニル基、ニトリル基、水素、またはエポキシ基の中で選択される官能基を有する1種または2種以上の直鎖状、分枝状、または環状C1〜12の炭化水素基である。AはOまたはNHである。前記C1〜12の炭化水素基は、一部水素がフッ素に置換されていることを包含する。
【0023】
この他、本発明に使用可能なシリコン化合物の例としては韓国特許公開公報第2004-0013816号に開示された有機-無機ハイブリッド物質などがある。
【0024】
さらに、前記物質から構成されるシリコン化合物樹脂には少なくとも1つ以上の金属原子を結合に包含することができる。前記式(1)においてシリコン原子が占めている位置にアルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、スズなどの金属原子でなる前駆体を使用して金属物質が包含されたシリコン化合物樹脂を作ることができる。好ましくは、シロキサン結合(-Si-O-)と酸化金属原子の結合(-M-O-)の均等な結合を基にしてシリコン原子または金属原子の3つまたはそれ以上の結合部位の中、いずれか1つに直鎖状、分枝状、または環状C1〜12の炭化水素基を有するようにする。前記金属原子をシリコン化合物樹脂に添加することによって得られるメリットは、機械的または熱的性質の改善が期待できるとともに、光学的性質の多様な変化を与えることができるという点である。
【0025】
また、前記シリコン化合物樹脂に隔壁の耐久性及び光学的性質を与えるために、好ましくは顔料が使用される。隔壁に耐久性及び光学的性質を与える限り顔料の種類は特別に限定されなく、無機顔料と通常的に使用される顔料の全てを包含することができる。このような顔料の例としては、黒色の顔料としては酸化ルテニウム、酸化ニッケル、チタニア、チタニア‐アルミナ、酸化鉄などがあり、白色顔料としては酸化チタン、窒化バリウム、酸化アルミニウムなどがある。隔壁の材料において無機顔料の量は、シリコン化合物の重量を基準にして10〜60%と多様に混合され、無機顔料の混合量によって隔壁の性質に多様な変化を与えることができる。
【0026】
また、前記シリコン化合物樹脂に適宜な硬化剤を添加して、紫外線または熱によって材料を硬化させることにより隔壁を製造することができる。硬化剤(または開始剤)の種類は特に限定されなく、シリコン化合物樹脂のタイプによって又は、熱または紫外線の種類によって適宜選択することができる。露出時間は、隔壁の形状を維持するとともに、マスターを離型させるとき、隔壁から分離されない範囲内で決定することができる。
【0027】
前記の工程によって、最終的に生成されたシリコン化合物樹脂を包含する隔壁組成物は、予め準備されたマスターと背面基板との間に、塗布又は充填されて電極と誘電体層が形成された背面基板に転写される。転写された隔壁材料は、紫外線や熱によって硬化された後、マスターを背面基板から分離することによって隔壁を形成することができる。以下、本発明による隔壁の製造方法を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0028】
図1は、平板型マスターを使用する本発明における第1態様(図の左側)及び第2態様(図の右側)の製造工程を示している。
平板型マスターを使用する本発明における第1態様の製造方法を前記図1の左側を参照して説明する。先ず、パターニングされた平板型マスター11の表面に隔壁14形状の反転パターンを形成して、平板型マスター11を背面基板12と整列させることにより隔壁の形成を連続的な工程で進行されるようにする。次に、隔壁製造用のシリコン化合物樹脂13を背面基板12上に塗布した後マスター11を背面基板12に圧着する。このとき、前記マスター11と背面基板12との間に介在するシリコン化合物樹脂13は、背面基板12の表面上に付着された強度の状態を維持しながらマスター11にパターニングされた反転パターン(逆の相)14に形成される。その後、熱または紫外線によって硬化処理される。その後このマスター11は、前記背面基板12上に形成された隔壁14を残して、背面基板12と分離すること(離型)になる。その後、300℃未満の温度による焼成工程を経て完全な隔壁14を形成することになる。
【0029】
また、平板型マスターを使用する本発明における第2態様の製造方法を前記図1の右側を参照して説明する。先ず、パターニングされたマスター11の表面に隔壁14形状の反転パターンを形成して、平板型マスター11を背面基板12と整列させて隔壁の形成工程が連続的に進行されるようにする。次に、シリコン化合物樹脂13をマスター11の表面にパターニングされた溝を有する基板に塗布してその溝に充填する。その後、背面基板12上にある平板型マスター11を背面基板12に圧着する。次いで、マスター11の溝に充填されたシリコン化合物樹脂13を背面基板12上に付着されている状態を維持しながら熱または紫外線により硬化処理する。その後背面基板12とマスター11を分離(離型)するとともに、300℃未満の温度による焼成工程を経て完全な隔壁14を形成することになる。
【0030】
本発明の前記第1態様または第2態様の製造方法は、平板型マスターを例に挙げて説明したが、ロール型マスターを利用する場合にも同様の隔壁を製造することができる。これを図2を参照して説明する。
ロール型マスターを使用する第1態様の製造方法を図2(図の左側)を参照して説明する。先ず、ロール型マスター15の周面にパターニングされた隔壁14形状の反転パターンを形成して、ロール型マスター15を背面基板12と整列させることにより隔壁の形成を連続的な工程で進行されるようにする。次に、シリコン化合物樹脂13を背面基板12上に塗布した後ロール型マスター15を背面基板12にローリングしながら圧着する。このとき、前記マスター15と背面基板12との間に介在するシリコン化合物樹脂13は、背面基板12の表面に付着された強度の状態を維持しながらロール型マスター15にパターニングされた隔壁14形状の反転パターンの形状になると同時に、熱または紫外線によって硬化処理される手順になる。このときロール型マスター15は連続的に回転することによって、前記背面基板12上に形成された隔壁14を残しながら背面基板12と分離される。その後、300℃未満の温度による焼成工程を経て完全な隔壁14を形成することになる。
【0031】
また、ロール型マスターを使用する第2態様の製造方法を前記図2(図の右側)を参照して説明する。先ず、パターニングされたロール型マスター15の周面に隔壁14の反転パターンを形成し、ロール型マスター15を背面基板12と整列させて隔壁の形成を連続的な工程によって進行されるようにする。次に、シリコン化合物樹脂13をロール型マスター15の周面にパターニングされて形成した溝に塗布してこれを充填する。ロール型マスター15の溝に充填されたシリコン化合物樹脂13はロールの回転によって背面基板12上に付着され、ロールと背面基板12の圧着とともに熱または紫外線によって隔壁14形状に硬化されながら、その後背面基板12とロール型マスター15は分離される。その後、前記と同様な焼成工程を経て完全な隔壁14を形成することになる。
【0032】
前記平板型マスターとロール型マスターによる隔壁の形成は、単一または結合工程を利用することができる。例えば、シリコン化合物樹脂が塗布、または充填されるマスターの部分、または背面基板と当接するマスターの部分は、平板型マスターを適用し、このマスターの運用をロール型マスターによって行う平板型マスターとロール型マスターを同時に混成して適用することができる。
【0033】
また、マスターの隔壁パターンの形態は多様である。例えば、ストライプタイプの場合は、マスターの転写方向と隔壁の配置は、マスターの進行方向から0〜90°全てが可能である。また、ハニカムタイプまたは曲折タイプの隔壁も容易かつ連続的に作製することができる。
【0034】
マスターの材質は、ロール型タイプ、平板型タイプ、又は両タイプを包含する全ての形態に適切であれば特別に限定されない。
以下、本発明の内容を実施例を通じて、より詳細に説明する。ただ、これらの実施例は、本発明の内容を理解するために提示されるだけであり、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【実施例1】
【0035】
3‐グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン(Aldrich社製)13.11gと、ジイソブチルシランジオール10.05gを混合した後、水酸化ナトリウム0.1gを触媒として添加、80℃で3時間反応させて溶液を製造した。製造された溶液を真空下60℃で加熱、メタノールを全部抽出した後、エポキシ開始剤UVI6992(Dow社製)0.1gを添加して硬化剤を含むシリコン化合物樹脂を得た。
得られたシリコン化合物樹脂に無機顔料であるチタニアをそれぞれ重量比20、30、40、50、60wt%ずつ異なるようにして添加混合した。チタニアの混合量に従って下記表1に示すような隔壁の特性変化を確認することができた。
【表1】

【0036】
前記顔料及び硬化剤が添加されたシリコン化合物樹脂をPDMS材質のマスターを使用して、背面基板上に図1の右側に図示したようなスタンピング工程によって隔壁を形成した。このときの硬化過程は、光源として500W水銀ランプを使用して365nmの紫外線を利用し、1分間露光しながら連続圧着した。
以後、マスターを仮成型された隔壁と背面基板から分離させ、マスターを背面基板から完全に除去した。前記のような工程段階を経て転写工程を完了し、その後、200℃で3時間の間焼成することによって高さ140μm、厚さ140μm、セルピッチ380μmを有する隔壁を最終的に形成することができた(図3、図4参照)。
【実施例2】
【0037】
ビニル基を有しているPDMS(分子量:28,000、Bayer社製)に硬化剤として2,5‐ジメチル‐2,5‐t‐ブチルプルオキシヘキサン(Aldrich社製)を5wt%添加してシリコン化合物樹脂を得た。
実施例1と同様の方法で、シリコン化合物樹脂に無機顔料であるチタニアをそれぞれ重量比20、30、40、50、60wt%ずつ異なるようにして添加混合した。隔壁の特性は、前記チタニアの混合量に従って表1に示したように変化された。
【0038】
前記無機顔料及び硬化剤が添加されたシリコン化合物樹脂をステンレス鋼材質のロール型マスター15を利用して背面基板上に図2の左側に図示したような工程に従って隔壁14を形成した。このときのロール型マスター15の圧着工程においてはロール型マスターとシリコン化合物樹脂層が接する部分を局部的に熱露出させながら硬化処理した。熱供給のために、本実施例においては、150℃の熱線が内装されたロールを使用し、背面基板の下にはロールと平行する150℃の熱線を設けることによって隔壁材料の熱硬化雰囲気を組成し、ロール15の回転は1rpmにした。
以後、ロール型マスターは、回転によって仮成型された隔壁と背面基板から自動的に分離することができる。前記のような工程段階を経て転写工程を完了した後、180℃で4時間の焼成によって、隔壁14を最終的に形成することができた。
【実施例3】
【0039】
本実施例は、シリコン化合物樹脂を異にすることの他は、実施例1と同様な方法で隔壁を製造した。本実施例に使用されたシリコン化合物樹脂は下記のように作成された。
3‐メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(Aldrich社製)13.11gと、ジイソブチルシランジオール10.05gを混合した後、水酸化ナトリウム0.1gを触媒として添加、80℃で3時間反応させて溶液を作成した。反応溶液に紫外線硬化のために開始剤2,2‐ジメトキシ‐2‐フェニル‐アセトフェノン(Aldrich社製)を0.25g添加してシリコン化合物樹脂を得た。前記シリコン化合物樹脂に無機顔料であるチタニアを20、30、40、50、60wt%ずつそれぞれ異にして添加混合した。
【実施例4】
【0040】
本実施例は、シリコン化合物樹脂を異にすることの他は、実施例2と同様な方法で隔壁を製造した。本実施例に使用されたシリコン化合物樹脂は下記のように作成された。
エポキシサイクロへキシルイソブチル‐ポリシルセスキオキサン(分子量:1026、Aldrich社製)9.417gと、ビス(3,4‐エポキシサイクロへキシルメチル)アジピン(Aldrich社製)3.664gをテトラヒドロフラン10gに溶かし常温で3時間攪拌した。開始剤としてはアルミニウム2‐ブトキシドを全体エポキシ基の5wt%になるように添加してシリコン化合物樹脂を得た。前記シリコン化合物樹脂に無機顔料であるチタニアを前記各実施例と同様にして添加混合した。
【実施例5】
【0041】
3‐メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(Aldrich社製)13.78gと、ジフェニルシランジオール(Fluka社製)12.00gを混合した後、シロキサン反応を促進させるための触媒として水酸化ナトリウム0.1gを添加した後、80℃で6時間攪拌してシリコン化合物樹脂を得た。前記反応によって得られたシリコン化合物樹脂に無機顔料であるチタニア6.7gを添加し、アクリル硬化のための光開始剤として2,2‐ジメトキシ‐2‐フェニル‐アセトフェノン(Aldrich社製)を0.25g添加した。
前記のようにして得られたシリコン化合物樹脂を使用して図1及び図2に図示した4つの方法に従ってそれぞれの隔壁を製造した。各方法による隔壁の製造時に365nm紫外線ランプを利用して3J/cm2の量の紫外線を照射し、焼成工程は200℃で3時間行うことによって望む隔壁を製造した。
【実施例6】
【0042】
3‐グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン(Aldrich社製)13.78gと、ジフェニルシランジオール(Fluka社製)12.00gを混合した後、シロキサン反応を促進させるために触媒として水酸化ナトリウムを0.1g添加した後、80℃6時間攪拌してシリコン化合物樹脂を得た。前記反応によって得られたシリコン化合物樹脂に無機顔料であるチタニア6.7gを添加し、エポキシ硬化のために熱開始剤として1‐メチルイミダゾル(Aldrich社製)を0.25g添加した。
前記得られたシリコン化合物樹脂を使用して図1及び図2に示した4つの方法に従ってそれぞれの隔壁を製造した。各方法による隔壁の製造時に130℃の熱によって硬化させ、焼成工程は220℃3時間行うことによって望む隔壁を製造した。
【実施例7】
【0043】
3‐グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン(Aldrich社製)5.78gと、3‐メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(Aldrich社製)7.87gと、ジフェニルシランジオール(Fluka社製)12.00gを混合した後、シロキサン反応を促進させるために触媒として水酸化ナトリウム0.1g添加した後、80℃で6時間攪拌してシリコン化合物樹脂を得た。前記反応によって得られたシリコン化合物樹脂にチタニア無機顔料6.7gを添加し、トルエン20gに溶けているビスフェノール‐A(Aldrich社製)を1.36g添加した後、エポキシ硬化のために熱開始剤として1‐メチルイミダゾル(Aldrich社製)を0.25g添加した。
前記のようにして得られたシリコン化合物樹脂を使用して図1及び図2に示した4つの方法に従ってそれぞれの隔壁を製造した。各方法による隔壁の製造時に130℃の熱によって硬化させ、焼成工程は200℃で3時間行うことによって望む隔壁を製造した。
【実施例8】
【0044】
3‐メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(Aldrich社製)13.78gの代わりに、3‐メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(Aldrich社製)10.33gと、ジルコニウムテトライソプロポキシド3.45gを使用したことの他は、実施例5と同様の方法でシリコン化合物樹脂を作製し、同じ工程を経て望む隔壁を製造した。
【実施例9】
【0045】
3‐グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン(Aldrich社製)13.78gの代わりに、3‐グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン(Aldrich社製)10.33gと、ジルコニウムテトライソプロポキシド3.45gを使用したことの他は、実施例6と同様の方法でシリコン化合物樹脂を作製し、同じ工程を経て望む隔壁を製造した。
【実施例10】
【0046】
3‐メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(Aldrich社製)13.11gの代わりに、3‐メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(Aldrich社製)9.83gと、チタニウムテトラエトキシド3.28gを使用したことの他は、実施例5と同様の方法でシリコン化合物樹脂を作製し、同じ工程を経て望む隔壁を製造した。
【実施例11】
【0047】
3‐グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン(Aldrich社製)13.11gの代わりに、3‐グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン(Aldrich社製)9.83gと、チタニウムテトラエトキシド3.28gを使用したことの他は、実施例6と同様の方法でシリコン化合物樹脂を作製し、同じ工程を経て望む隔壁を製造した。
【実施例12】
【0048】
3‐グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン(Aldrich社製)5.78gと、3‐メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(Aldrich社製)7.87gの代わりに、3‐グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン(Aldrich社製)4.28gと、ジルコニウムテトライソプロポキシド1.5g、3‐メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(Aldrich社製)5.9g、チタニウムテトラエトキシド1.97gを使用したことの他は、実施例7と同様の方法でシリコン化合物樹脂を作製し、同じ工程を経て望む隔壁を製造した。
【実施例13】
【0049】
3‐グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン(Aldrich社製)5.78gと、3‐メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(Aldrich社製)7.87gの代わりに、メタクリル酸(Aldrich社製)1.95g、3‐メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(Aldrich社製)2.3g、3‐グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン(Aldrich社製)7.87gを使用したことの他は、実施例7と同様の方法でシリコン化合物樹脂を作製し、同じ工程を経て望む隔壁を製造した。
【実施例14】
【0050】
3‐グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン(Aldrich社製)5.78gと、3‐メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(Aldrich社製)7.87gの代わりに、3‐グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン(Aldrich社製)4.28gと、ジルコニウムテトライソプロポキシド1.5g、メタクリル酸(Aldrich社製)0.95g、3‐メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(Aldrich社製)3.3g、チタニウムテトラエトキシド1.97gを使用したことの他は、実施例7と同様の方法でシリコン化合物樹脂を作製し、同じ工程を経て望む隔壁を製造した。
【実施例15】
【0051】
ジフェニルシランジオールの代わりに、ジフェニルジメトキシシラン(Fluka社製)13.56gと、加水分解及び縮合反応のために水2gを使用したことの他は、実施例5乃至実施例15と同様の方法でシリコン化合物樹脂を作製し、同じ工程を経て望む隔壁を製造した。
【産業上の利用可能性】
【0052】
上述のように、本発明はPDP用隔壁の製造方法を提供するにおいて、隔壁の組成がPbOの含有なしに、300℃以下の低い温度においても焼成することができ、液相の材料からマスター転写法によって隔壁を容易に形成することができる。また、焼成工程の温度を低下させることができるので、低温に適合するソーダライムガラス基板またはプラスチック基板を使用することができる。
【0053】
さらに、シリコン化合物樹脂を材料として使用することによって、微細で複雑な形態の隔壁を精密に製造することができ、連続的工程によって隔壁を製造することができる。特に、隔壁を形成するとき、隔壁の原材料の使用が節減されるので環境汚染物質の発生を低減させる。また、製造工程の単純化によってコストダウンのメリットも有る。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】平板型マスターを使用する第1態様(図の左側)及び第2態様(図の右側)(以下同じ)による本発明のPDP用隔壁の製造工程図。
【図2】ロール型マスターを使用する第1態様(左側)及び第2態様(右側)による本発明のPDP用隔壁の製造工程図。
【図3】本発明によって製造されたPDP用隔壁の写真及び隔壁の拡大写真。
【図4】本発明によって製造されたPDP用隔壁の写真及び隔壁の拡大写真。
【符号の説明】
【0055】
11:平板型マスター 12:背面基板
13:シリコン化合物樹脂(層) 14:隔壁
15:ロール型マスター



【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にシリコン化合物樹脂層を形成する段階と、前記シリコン化合物樹脂層を隔壁形状のパターンが形成されたマスターで圧着して転写する段階と、前記シリコン化合物樹脂を硬化させた後、マスターを離型させる段階を包含するプラズマディスプレイパネル用隔壁の製造方法。
【請求項2】
前記シリコン化合物樹脂は、顔料をさらに包含することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記シリコン化合物樹脂は、紫外線硬化剤または熱硬化剤をさらに包含することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記シリコン化合物は、下記式(1)またはR6SiO1.5を反復単位とする化合物を包含するか、これらの化合物を単量体とする重合体であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法
【化1】


(式(1)中、Xは、0を包含する整数であり、R、R、R、R、R、Rは、それぞれ、アルキル基、ケトン基、アクリル基、メタクリル基、アリル基、アルコキシ基、芳香族基、ハロゲン基、アミノ基、メルカプト基、エーテル基、エステル基、スルホン基、ニトロ基、ヒドロキシ基、シクロブテン基、カルボニル基、カルボキシル基、アルキド基、ウレタン基、ビニル基、ニトリル基、水素、またはエポキシ基の中で選択される官能基を有する1種または2種以上の直鎖状、分枝状、または環状C1〜12の炭化水素基である。AはOまたはNHである。前記C1〜12の炭化水素基は、一部水素がフッ素に置換されていることを包含する。)
【請求項5】
前記顔料は、酸化ルテニウム、酸化ニッケル、チタニア、チタニア‐アルミナ、酸化鉄、酸化チタン、窒化バリウム、酸化アルミニウムの群から選択される少なくとも1種または2種以上の物質を包含することを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項6】
シリコン化合物樹脂を隔壁形状のパターンが形成されたマスターの溝に充填する段階と、基板上に前記マスターを圧着して転写する段階と、前記転写されたシリコン化合物樹脂を硬化させた後、マスターを離型させる段階を包含するプラズマディスプレイパネル用隔壁の製造方法。
【請求項7】
前記シリコン化合物樹脂は、顔料をさらに包含することを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記シリコン化合物樹脂は、紫外線硬化剤または熱硬化剤をさらに包含することを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項9】
前記シリコン化合物は、下記式(1)またはR6SiO1.5を反復単位とする化合物を包含するか、これらの化合物を単量体とする重合体であることを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【化2】


(式(1)中、Xは、0を包含する整数であり、R、R、R、R、R、Rは、それぞれ、アルキル基、ケトン基、アクリル基、メタクリル基、アリル基、アルコキシ基、芳香族基、ハロゲン基、アミノ基、メルカプト基、エーテル基、エステル基、スルホン基、ニトロ基、ヒドロキシ基、シクロブテン基、カルボニル基、カルボキシル基、アルキド基、ウレタン基、ビニル基、ニトリル基、水素、またはエポキシ基の中で選択される官能基を有する1種または2種以上の直鎖状、分枝状、または環状C1〜12の炭化水素基である。AはOまたはNHである。前記C1〜12の炭化水素基は、一部水素がフッ素に置換されていることを包含する。)
【請求項10】
前記顔料は、酸化ルテニウム、酸化ニッケル、チタニア、チタニア‐アルミナ、酸化鉄、酸化チタン、窒化バリウム、酸化アルミニウムの群から選択される少なくとも1種または2種以上の物質を包含することを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項11】
前記マスターは、平板型またはロール型であることを特徴とする請求項1または6に記載の製造方法。
【請求項12】
前記シリコン化合物樹脂には、少なくとも1種以上の金属原子がシリコン原子に代替して結合されることを特徴とする請求項1または6に記載の製造方法。
【請求項13】
前記シリコン化合物樹脂を包含し、請求項1乃至請求項10の中いずれか1項に記載されている方法によって製造されたプラズマディスプレイパネル。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−535198(P2008−535198A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505224(P2008−505224)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【国際出願番号】PCT/KR2006/000404
【国際公開番号】WO2006/112591
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(592127149)韓国科学技術院 (129)
【氏名又は名称原語表記】KOREA ADVANCED INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】373−1,Gusung−dong,Yuseong−ku,Daejeon 305−701 KR
【Fターム(参考)】