説明

プラズマディスプレイパネル

【課題】 高精細化が可能な三電極面放電方式交流型PDPを提供する。
【解決手段】 行電極対(X1,Y1)を構成する行電極X1が前面ガラス基板10の内面側に形成され、行電極Y1が背面ガラス基板12の内面側に形成されて、この行電極X1の突出電極X1bと行電極Y1の突出電極Y1bが放電セルC1を介してそれぞれ対向されており、各放電セルC1が、前面ガラス基板10と背面ガラス基板12の間に形成された略格子状の隔壁15によって互いに区画されて、この放電セルC1を囲む隔壁15の側壁面に赤,緑,青に色分けされた蛍光体層16が、それぞれ形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プラズマディスプレイパネルのパネル構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図1ないし3は、従来の三電極面放電方式交流型プラズマディスプレイパネル(以下、PDPという)の構成を示しており、図1はこの従来のPDPの正面図であり、図2は図1のV−V線における断面図,図3は図1のW−W線における断面図である。
【0003】
この図1ないし3において、PDPの表示面を形成する前面ガラス基板1の背面に、複数の行電極対(X,Y)が、前面ガラス基板1の行方向(図1の左右方向)に延びるように平行に配列されている。
【0004】
行電極X(Y)は、T字形状に形成されたITO等の透明導電膜からなる透明電極Xa(Ya)と、前面ガラス基板1の行方向に延びて透明電極Xa(Ya)の狭小の基端部に接続された金属膜からなるバス電極Xb(Yb)とによって構成されている。
【0005】
この行電極XとYは、前面ガラス基板1の列方向(図1の上下方向)に交互に配列されており、バス電極XbとYbに沿って並列されたそれぞれの透明電極XaとYaが、互いに対となる相手の行電極側に延びて、透明電極XaとYaの幅広部の頂辺が、それぞれ所要の幅の放電ギャップgを介して互いに対向されている。
【0006】
前面ガラス基板1の背面には、行電極X,Yを被覆するように誘電体層2が形成されており、この誘電体層2の背面には、互いに隣接する行電極対(X,Y)の背中合わせに隣り合うバス電極XbおよびYbに対向する位置、および、この隣り合うバス電極XbとYbの間の領域部分に対向する位置に、誘電体層2の背面側に突出する嵩上げ誘電体層3が、バス電極Xb,Ybと平行に延びるように形成されている。
【0007】
そして、この誘電体層2と嵩上げ誘電体層3の背面側には、MgOからなる保護層4が形成されている。
【0008】
一方、前面ガラス基板1と放電空間Sを介して平行に配置された背面ガラス基板5の表示側の面上には、列電極Dが、各行電極対(X,Y)の互いに対になっている透明電極XaおよびYaに対向する位置において行電極対(X,Y)と直交する方向(列方向)に延びるように、互いに所定の間隔を開けて平行に並設されている。
【0009】
背面ガラス基板5の表示側の面上には、さらに、列電極Dを被覆する白色の列電極保護層(誘電体層)6が形成され、この列電極保護層6上に、列方向に延びる縦壁部7Aと行方向に延びる横壁部7Bとによって略格子形状に成形された隔壁7が形成されている。
【0010】
そして、この略格子形状の隔壁7によって、前面ガラス基板1と背面ガラス基板6の間の放電空間Sが、各行電極対(X,Y)において互いに対になっている透明電極XaとYaに対向する部分に形成される放電セルC毎に、それぞれ方形に区画されている。
【0011】
各放電セルC内において、隔壁7の縦壁部7Aおよび横壁部7Bの側面と列電極保護層6の表面には、これらの五つの面を全て覆うように蛍光体層8が形成されており、この蛍光体層8の色は、各放電セルC毎に赤,緑,青の三原色に色分けされて、これらが行方向に順に並ぶように配列されている。
【0012】
前面ガラス基板1と背面ガラス基板5との間の放電空間S内には、キセノン・ガスを含む放電ガスが封入されている。
【0013】
上記PDPは、行電極XとY間または行電極Yと列電極D間においてリセット放電が行われた後、行電極Yの透明電極Yaと列電極D間において選択的にアドレス放電が行われて、このアドレス放電が行われた放電セルCに対向する誘電体層2に壁電荷が形成される。
【0014】
この状態で各行電極対(X,Y)の行電極XとYに交互にサステイン・パルスが印加されて、誘電体層2に壁電荷が形成されている放電セルC(発光セル)内においてサステイン放電が発生される。
【0015】
そして、このサステイン放電によって、発光セル内の放電ガス中のキセノン・ガスから真空紫外線が放射され、この真空紫外線によって、それぞれ赤,緑,青に色分けされている蛍光体層8が励起されて発光することにより、マトリクス表示による画像の形成が行われる(例えば特許文献1参照)。
【0016】
上記のような構成の三電極面放電方式交流型PDPにおいて、パネルの高精細化を図ることにより、XGAの解像度(1024×768ピクセル)から解像度を向上させようとする場合には、パネル面の画素数および表示ライン数が増加するのに伴って、放電セルCのそれぞれのサイズが小さくなってゆく。
【0017】
このため、パネルの高精細化に伴って行電極X,Yおよび列電極Dの電極面積を減少させる必要が生じ、これによって、安定した放電を発生させることが出来なくなる虞があり、さらに、行電極XとY間に、所要の発光効率を維持するのに必要な大きさの放電ギャップを確保することが困難になるという問題が発生する。
【0018】
【特許文献1】特開平5−205642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
この発明は、上記のような従来の三電極面放電方式交流型PDPにおいて発生する問題点を解決することをその技術的課題の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この発明(請求項1に記載の発明)によるPDPは、上記目的を達成するために、放電空間を介して互いに対向する一対の基板と、この一対の基板の間に配置されて行方向に延びるとともに列方向に並設された複数の行電極対および列方向に延びるとともに行方向に並設された複数の列電極とを備え、行電極対と列電極によってそれぞれ放電が行われる複数の単位発光領域が放電空間内にマトリクス状に形成されたプラズマディスプレイパネルにおいて、前記行電極対を構成する第1行電極と第2行電極のうち、第1行電極が一対の基板のうちの一方の基板側に配置されるとともに、第2行電極が他方の基板側の単位発光領域を介して第1行電極に対向する位置に配置され、前記一対の基板の間に、放電空間を単位発光領域毎に区画する隔壁が設けられ、この隔壁の単位発光領域を囲む側面に蛍光体層が形成されていることを特徴としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
この発明は、行電極対を構成する一対の行電極のうちの第1行電極が前面ガラス基板の内面側に形成され、第2行電極が背面ガラス基板の内面側に形成されて、この第1行電極の突出電極と第2行電極の突出電極が、放電空間内にマトリクス状に形成された各放電セルを介してそれぞれ対向されており、各放電セルが、前面ガラス基板と背面ガラス基板の間に形成された略格子状の隔壁によって互いに区画されており、赤,緑,青に色分けされた蛍光体層が、それぞれ、放電セルの周囲を囲む隔壁の側壁面に形成されているPDPを、その最良の実施形態としている。
【0022】
この実施形態のPDPは、パネルの高精細化に伴って各放電セルのサイズが小さくなる場合でも、第1行電極と第2行電極の放電に必要な電極面積を確保したり、この第1行電極と第2行電極間に必要な大きさの放電ギャップを確保することが可能になるので、行電極対の形成条件による制約を受けることなく、パネルの高精細化を図ることが出来るようになる。
【0023】
さらに、従来のPDPと比べて行電極を配置するために必要とされるパネル面の非表示領域の面積が小さくて済むので、各放電セルの開口率を維持したまま高精細化を図ったり、同じ解像度のPDPを構成する場合に各放電セルの開口率を増加させて、輝度の向上を図ったりすることが可能になる。
【0024】
さらに、第1行電極と第2行電極間において発生されるサステイン放電が対向放電になるので、サステイン放電電圧を上昇させることなく電極間距離を広げることが可能になり、これによって発光効率および輝度の向上が図られるようになる。
【実施例1】
【0025】
図4ないし6は、この発明によるPDPの実施形態における第1の実施例を示しており、図4はこの第1実施例におけるPDPを模式的に示す正面図、図5は図4のV1−V1線における断面図,図6は図4のW1−W1線における断面図である。
【0026】
この図4ないし6において、表示面を構成する前面ガラス基板10の背面(内面)上に、複数の行電極X1が、行方向に延びるとともに列方向に所要の間隔を開けて等間隔に並設されている。
【0027】
この行電極X1は、それぞれ、行方向に帯状に延びるバス電極X1aと、このバス電極X1aの等間隔位置に接続されて、バス電極X1aから列方向において同じ向きに突出する複数の突出電極X1bとによって構成されている。
【0028】
各突出電極X1bは、ITO等の透明導電膜によって形成され、方形に成形された放電部X1b1と、この放電部X1b1とバス電極X1aとを接続する幅狭の接続部X1b2とによって構成されている。
【0029】
そして、前面ガラス基板10の背面側には、第1誘電体層11が形成されて、この第1誘電体層11によって、行電極X1が被覆されている。
【0030】
この第1誘電体層11の表面は、MgO等の高γ誘電体によって形成された図示しない保護層によって被覆されている。
【0031】
一方、前面ガラス基板10と放電空間を介して対向する背面ガラス基板12の前面ガラス基板10と対向する側の面上には、複数の行電極Y1が、それぞれ行電極X1と対向する位置において、行方向に延びるとともに列方向に所要の間隔を開けて等間隔に並設されている。
【0032】
この行電極Y1は、それぞれ、バス電極X1aと対向する位置において行方向に帯状に延びるバス電極Y1aと、突出電極X1bに対向する位置において、バス電極Y1aの等間隔位置に接続されてこのバス電極Y1aから列方向において同じ向きに突出する複数の突出電極Y1bとによって構成されている。
【0033】
各突出電極Y1bは、行電極X1の放電部X1b1と同じ大きさの方形に成形された放電部Y1b1と、この放電部Y1b1とバス電極Y1aとを接続する幅狭の接続部Y1b2とによって構成されている。
【0034】
そして、この行電極Y1の突出電極Y1bは、前面ガラス基板10に対向する側の面が反射面となる電極材料によって形成され、例えば、アルミニウム層とクロム層とによってアルミニウム層が前面ガラス基板10側に配置された二層構造に形成されている。
【0035】
この行電極Y1と、前面ガラス基板10側に形成された行電極X1のそれぞれ対向する位置に位置されている行電極同士が互いに対になって、行電極対(X1,Y1)が構成されている。
【0036】
背面ガラス基板12上に、さらに第2誘電体層13が形成されて、この第2誘電体層13によって、行電極Y1が被覆されている。
【0037】
この第2誘電体層13上には、行電極X1の隣接する突出電極X1b間の位置、および、行電極Y1の隣接する突出電極Y1b間の位置にそれぞれ対向する位置において、列方向に帯状に延びるとともに行方向に等間隔に並設された複数の列電極D1が形成されている。
【0038】
各列電極D1は、行電極Y1の突出電極Y1bに対して一方の側(図示の例では左側)に位置する列電極D1が反対側(図示の例では右側)に位置する列電極D1よりも突出電極Y1bに近接するように、それぞれオフセットした位置に配置されている。
【0039】
そして、第2誘電体層13上に、さらに第3誘電体層14が形成されて、この第3誘電体層14によって、列電極D1が被覆されている。
【0040】
この第3誘電体層14の表面は、MgO等の高γ誘電体によって形成された図示しない保護層によって被覆されている。
【0041】
第3誘電体層14の表示側の面上には、行電極X1の隣接する突出電極X1b間の位置、および、行電極Y1の隣接する突出電極Y1b間の位置にそれぞれ対向する位置(列電極D1に対向する位置)において、それぞれ列方向に延びる縦壁15Aと、行電極X1,Y1のそれぞれバス電極X1a,Y1aに対向する位置において行方向に延びる横壁15Bとによって略格子状に成形された隔壁15が形成されている。
【0042】
そして、この隔壁15の前面ガラス基板10に対向する側の頂面(図5および6において上側の面)が第1誘電体層11を被覆している保護層に当接されており、この隔壁15によって、前面ガラス基板10と背面ガラス基板12の間の放電空間が行電極X1,Y1の突出電極X1b,Y1bに対向する部分毎に区画されることにより、それぞれ放電セルC1が形成されている。
【0043】
この放電セルC1を囲む隔壁15の縦壁15Aと横壁15Bの側壁面に、これらの四つの面を覆うように蛍光体層16が形成されており、この蛍光体層16の色は、各放電セルC1毎に赤,緑,青の三原色が行方向に順に並ぶように配列されている。
【0044】
そして、前面ガラス基板10と背面ガラス基板13の間の放電空間内には、キセノン・ガスを含む放電ガスが封入されている。
【0045】
上記PDPにおける画像形成は、以下のようにして行われる。
すなわち、一斉リセット期間の後のアドレス期間において、行電極Y1に走査パルスが印加されるとともに、列電極D1に映像信号の表示データに対応したデータ・パルスが印加されて、選択的に列電極D1と行電極Y1の突出電極Y1bとの間でアドレス放電adが発生され(図6参照)、これによって、第1誘電体層11および第3誘電体層14の表面に壁電荷が形成された放電セル(発光セル)C1と、壁電荷が形成されていない放電セル(非発光セル)C1とが、パネル面に分布される。
【0046】
この後、次のサステイン期間において、行電極X1とY1にサステイン・パルスが交互に印加されて、第1誘電体層11および第3誘電体層14の表面に壁電荷が形成されている発光セルC1内において、行電極X1の突出電極X1bと行電極Y1の突出電極Y1b間において、サステイン放電sdが発生される(図6参照)。
【0047】
そして、この発光セルC1内において発生されるサステイン放電sdによって放電ガス中のキセノン・ガスから真空紫外線が放射され、赤,緑,青に色分けされている蛍光体層16が励起されて発光することにより、マトリクス表示による画像形成が行われる。
【0048】
このとき、サステイン放電sdは、行電極X1の突出電極X1bと行電極Y1の突出電極Y1bが互いに放電セルC1を介して対向していることによって、従来のPDPにおける面放電に対して、対向放電となる。
【0049】
そして、このサステイン放電sdによる蛍光体層16からの発光のうち、背面ガラス基板12側に向かう可視光は、行電極Y1の突出電極Y1bに形成された反射面によって前面ガラス基板10側に反射される。
【0050】
上記PDPによれば、行電極対(X1,Y1)を構成する行電極X1とY1がそれぞれ前面ガラス基板10と背面ガラス基板12側に分離して配置されて、突出電極X1bと突出電極Y1bが放電セルC1を介して対向する構成になっていることによって、パネルの高精細化に伴って各放電セルC1のサイズが小さくなる場合でも、行電極X1,Y1の放電に必要な電極面積を確保したり、この行電極X1とY1間に必要な大きさの放電ギャップを確保することが可能になるので、行電極対(X1,Y1)の形成条件による制約を受けることなく、パネルの高精細化を図ることが出来るようになる。
【0051】
さらに、行電極X1,Y1のバス電極X1aとY1aが、前面ガラス基板10の厚さ方向において重なる位置に配置されていることによって、パネル面における非表示領域の面積がさらに縮小される。
【0052】
そして、この従来のPDPと比べて行電極を配置するために必要なパネル面の非表示領域の面積が縮小されることによって、各放電セルC1の開口率を維持したまま高精細化を図ったり、同じ解像度のPDPを構成する場合に各放電セルC1の開口率を増加させて、輝度の向上を図ったりすることが可能になる。
【0053】
さらに、上記PDPによれば、行電極X1の突出電極X1bと行電極Y1の突出電極Y1bが放電セルC1を介して対向する位置に配置されていることによって、サステイン放電sdが対向放電になるので、サステイン放電電圧を上昇させることなく電極間距離を広げることが可能になり、これによって発光効率および輝度の向上が図られるようになる。
【0054】
さらに、上記PDPによれば、背面ガラス基板12側に配置された行電極Y1の突出電極Y1bの前面ガラス基板10側(パネルの表示面側)が反射面になっていることによって、蛍光体層16から背面ガラス基板12側に向かう発光が前面ガラス基板10側に反射されて背面ガラス基板12側から漏れるのが防止されるので、パネル面における輝度の向上がさらに図られるようになる。
【0055】
さらに、上記PDPによれば、蛍光体層16が放電セルC1を囲む隔壁15の側壁面にのみ形成されていて、行電極X1,Y1の突出電極X1b,Y1bに対向する面には形成されていないので、サステイン放電sdによる蛍光体層16の劣化が低減されるとともに、パネル正面から見える蛍光体層16の面積が小さくなるので、黒レベルの低い高コントラストの画像を形成することが出来るようになる。
【0056】
なお、上記においては、行電極Y1が背面ガラス基板12上に形成され、列電極D1が行電極Y1を被覆する第2誘電体層13上に形成されている例が示されているが、列電極と行電極の配置を逆にして、列電極を背面ガラス基板上に形成し、この列電極を被覆する第2誘電体層上に行電極を形成するようにしても良い。
【実施例2】
【0057】
図7は、この発明の実施形態の第2の実施例におけるPDPを、上記第1実施例の図6と同じ位置において断面して示す断面図である。
【0058】
この第2実施例のPDPは、第1実施例のPDPの列電極が背面ガラス基板側に配置された行電極を被覆する第2誘電体層上に配置されていたのに対し、列電極D2が、放電空間を放電セルC1毎に区画する隔壁25の縦壁25A内に配置されている。
【0059】
すなわち、図7において、列方向に延びる縦壁25Aと行方向に延びる図示しない横壁によって略格子状に成形された隔壁25が、背面ガラス基板12上の行電極Y1を被覆する第2誘電体層13上に形成されている。
【0060】
そして、各列電極D2は、それぞれ隔壁25の縦壁25A内に、列方向に延びるように形成されている。
【0061】
さらに、この各列電極D2は、縦壁25A内において、行電極Y1の突出電極Y1bに対して一方の側(図示の例では左側)に位置する列電極D2が反対側(図示の例では右側)に位置する列電極D2よりも突出電極Y1bに近接するように、それぞれオフセットした位置に配置されている。
【0062】
このPDPの他の部分の構成は、前述した第1実施例のPDPと同様であり、第1実施例のPDPと同一の構成部分については、図7において図4ないし6と同一の符号が付されている。
【0063】
上記PDPは、行電極対(X1,Y1)を構成する行電極X1とY1がそれぞれ前面ガラス基板10と背面ガラス基板12側に分離して配置されて、突出電極X1bと突出電極Y1bが放電セルC1を介して対向する構成になっていることによって、行電極対(X1,Y1)の形成条件による制約を受けることなくパネルの高精細化を図ることが出来るようになる等、第1実施例のPDPと同様の技術的効果を発揮することが出来るとともに、列電極D2を被覆する誘電体層の形成が不要になるので、行電極Y1上の誘電体層の膜厚を薄くすることが出来、これによって、突出電極X1bと突出電極Y1bとの間で発生されるサステイン放電の放電電圧を、第1実施例の場合に比べて低減させることが出来る。
【0064】
なお、隔壁25内に配置される列電極D2は、その短手方向が背面ガラス基板12と平行になるように配置しても良いが、図示のように、短手方向が背面ガラス基板12に対して直角向きになるように形成されることによって、この列電極D2と背面ガラス基板12上に配置された行電極Y1の突出電極Y1bとの間で発生されるアドレス放電が対向放電に近い放電になり、これによって、このアドレス放電の放電電圧を低減することが出来るようになる。
【実施例3】
【0065】
図8および9は、この発明によるPDPの実施形態における第3の実施例を示しており、図8はこの第3実施例におけるPDPを模式的に示す正面図、図9は図8のW2−W2線における断面図である。
【0066】
この図8および9において、背面ガラス基板12上に配置された行電極Y2が、それぞれ、列方向に延びる帯状に成形されていて、前面ガラス基板10側に形成されている行電極X1の各突出電極X1bの中央部に対向する位置に配置されている。
【0067】
そして、この行電極Y2は、前面ガラス基板10に対向する側の面が反射面となる電極材料によって形成され、例えば、アルミニウム層とクロム層とによってアルミニウム層が前面ガラス基板10側に配置された二層構造に形成されている。
【0068】
このPDPの他の部分の構成は、前述した第1実施例のPDPと同様であり、第1実施例のPDPと同一の構成部分については、図8および9において図4ないし6と同一の符号が付されている。
【0069】
上記PDPは、行電極対(X1,Y2)を構成する行電極X1とY2がそれぞれ前面ガラス基板10と背面ガラス基板12側に分離して配置されて、突出電極X1bと行電極Y2が放電セルC1を介して対向する構成になっていることによって、行電極対(X1,Y2)の形成条件による制約を受けることなくパネルの高精細化を図ることが出来るようになる等、第1実施例のPDPと同様の技術的効果を発揮することが出来る。
【実施例4】
【0070】
図10は、この発明によるPDPの実施形態における第4の実施例を示す正面図である。
【0071】
前述した第3実施例のPDPの背面ガラス基板側に配置された帯状の行電極の幅が、図8に図示されているように、前面ガラス基板側に形成された行電極の突出電極の列方向の幅よりも小さくなっているのに対し、この第4実施例のPDPは、背面ガラス基板上に行方向に延びるように形成された行電極Y3が、前面ガラス基板側に形成されて行電極Y3に対向される行電極X1の突出電極X1bの列方向の幅w1とほぼ同じ大きさの幅w2を有している。
【0072】
そして、この行電極Y3は、前面ガラス基板10に対向する側の面が反射面となる電極材料によって形成され、例えば、アルミニウム層とクロム層とによってアルミニウム層が前面ガラス基板10側に配置された二層構造に形成されている。
【0073】
このPDPの他の部分の構成は、前述した第1実施例のPDPと同様であり、第1実施例のPDPと同一の構成部分については、図10において図4ないし6と同一の符号が付されている。
【0074】
上記PDPは、行電極対(X1,Y3)を構成する行電極X1とY3がそれぞれ前面ガラス基板と背面ガラス基板側に分離して配置されて、突出電極X1bと行電極Y3が放電セルC1を介して対向する構成になっていることによって、行電極対(X1,Y3)の形成条件による制約を受けることなくパネルの高精細化を図ることが出来るようになる等、第1実施例のPDPと同様の技術的効果を発揮することが出来るとともに、行電極Y3の幅が第3実施例の場合に比べて大きくなっているので、サステイン放電による発光効率がさらに向上される。
【実施例5】
【0075】
図11および12は、この発明によるPDPの実施形態における第5の実施例を示しており、図11はこの第5実施例におけるPDPを模式的に示す正面図、図12は図11のV2−V2線における断面図である。
【0076】
第1実施例のPDPの前面ガラス基板側に配置された行電極のバス電極と背面ガラス基板側に配置された行電極のバス電極が、前面ガラス基板および背面ガラス基板の厚さ方向において互いに対向する位置に配置されているのに対し、この第5実施例におけるPDPは、背面ガラス基板12上に形成された行電極Y4の行方向に帯状に延びる透明電極Y4aが、前面ガラス基板10側に配置されて行電極Y4と行電極対を構成する行電極X1のバス電極X1aに対して、列方向において放電セルC1を挟んで反対側に位置されている。
【0077】
すなわち、行電極X1,Y4のバス電極X1a,Y4aは、それぞれ、隣接する他の行電極対(X1,Y4)を構成する行電極X1,Y4のバス電極X1a,Y4aとそれぞれ互いに対向されている。
【0078】
行電極Y4の突出電極Y4bは、透明電極Y4aから列方向において行電極X1の突出電極X1bと反対向きに突出して、対になっている行電極X1の突出電極X1bと放電セルC1を介して対向されている。
【0079】
そして、この行電極Y4の突出電極Y4bは、前面ガラス基板10に対向する側の面が反射面となる電極材料によって形成され、例えば、アルミニウム層とクロム層とによってアルミニウム層が前面ガラス基板10側に配置された二層構造に形成されている。
【0080】
このPDPの他の部分の構成は、前述した第1実施例のPDPと同様であり、第1実施例のPDPと同一の構成部分については、図11および12において図4ないし6と同一の符号が付されている。
【0081】
なお、図11には、行電極対を構成する一対の行電極X1と行電極Y4のみが示されており、この行電極対(X1,Y4)に隣接する他の行電極対については、その表示が省略されている。
【0082】
上記PDPは、行電極対(X1,Y4)を構成する行電極X1とY4がそれぞれ前面ガラス基板と背面ガラス基板側に分離して配置されて、突出電極X1bと行電極Y4が放電セルC1を介して対向する構成になっていることによって、行電極対(X1,Y4)の形成条件による制約を受けることなくパネルの高精細化を図ることが出来るようになる等、第1実施例のPDPと同様の技術的効果を発揮することが出来る
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】PDPの従来例を示す正面図である。
【図2】図1のV−V線における断面図である。
【図3】図1のW−W線における断面図である。
【図4】この発明によるPDPの実施形態における第1実施例を示す正面図である。
【図5】図4のV1−V1線における断面図である。
【図6】図4のW1−W1線における断面図である。
【図7】この発明によるPDPの実施形態における第2実施例を示す断面図である。
【図8】この発明によるPDPの実施形態における第3実施例を示す正面図である。
【図9】図8のW2−W2線における断面図である。
【図10】この発明によるPDPの実施形態における第4実施例を示す断面図である。
【図11】この発明によるPDPの実施形態における第5実施例を示す正面図である。
【図12】図11のV2−V2線における断面図である。
【符号の説明】
【0084】
10 …前面ガラス基板(一方の基板,前面基板)
11 …第1誘電体層
12 …背面ガラス基板(他方の基板,背面基板)
13 …第2誘電体層
14 …第3誘電体層
15,25 …隔壁
15A,25A …縦壁(縦壁部)
15B …横壁(横壁部)
16 …蛍光体層
C1 …放電セル(単位発光領域)
D1,D2 …列電極
X1 …行電極(第1行電極)
Y1,Y2,Y3,Y4 …行電極(第2行電極)
X1a,Y1a,Y4a …バス電極(行電極本体部)
X1b,Y1b,Y4b …突出電極(行電極放電部)
X1b1,Y1b1 …放電部
X1b2,Y1b2 …接続部
ad …アドレス放電
sd …サステイン放電

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電空間を介して互いに対向する一対の基板と、この一対の基板の間に配置されて行方向に延びるとともに列方向に並設された複数の行電極対および列方向に延びるとともに行方向に並設された複数の列電極とを備え、行電極対と列電極によってそれぞれ放電が行われる複数の単位発光領域が放電空間内にマトリクス状に形成されたプラズマディスプレイパネルにおいて、
前記行電極対を構成する第1行電極と第2行電極のうち、第1行電極が一対の基板のうちの一方の基板側に配置されるとともに、第2行電極が他方の基板側の単位発光領域を介して第1行電極に対向する位置に配置され、
前記一対の基板の間に、放電空間を単位発光領域毎に区画する隔壁が設けられ、
この隔壁の単位発光領域を囲む側面に蛍光体層が形成されている、
ことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
【請求項2】
前記第1行電極と第2行電極が、それぞれ、行方向に延びる行電極本体部とこの行電極本体部から単位発光領域毎に列方向に突出する複数の行電極放電部を有し、第1行電極の行電極放電部と第2行電極の行電極放電部がそれぞれ単位発光領域を介して互いに対向されている請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項3】
前記第1行電極と第2行電極は、同じ行電極対を構成する第1行電極の行電極本体部と第2行電極の行電極本体部とが互いに対向する位置に位置されて、それぞれの行電極放電部が行電極本体部から列方向の同じ向きに突出している請求項2に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項4】
前記第1行電極と第2行電極は、第1行電極の行電極本体部に対して隣接する行電極対の第2行電極の行電極本体部が対向されて、第1行電極と第2行電極のそれぞれの行電極放電部が行電極本体部から互いに列方向の反対向きに突出している請求項2に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項5】
前記第1行電極が、行方向に延びる行電極本体部とこの行電極本体部から単位発光領域毎に列方向に突出する行電極放電部を有し、第2行電極が、第1行電極の各行電極放電部とそれぞれ単位発光領域を介して対向する位置において行方向に延びる帯状に形成されている請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項6】
前記第2行電極の列方向の幅が、第1行電極の行電極放電部の列方向の幅とほぼ同じ大きさになっている請求項5に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項7】
前記一方の基板が表示面を構成する前面基板であり、他方の基板が背面基板であり、第2行電極の少なくとも単位発光領域に対向する面が、可視光を反射する反射面になっている請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項8】
前記第2行電極が、アルミニウム層とクロム層の二層構造を有し、アルミニウム層が単位発光領域に対向する側に位置されている請求項7に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項9】
前記第2行電極が他方の基板上に形成された誘電体層によって被覆され、列電極が、他方の基板側の第2行電極と誘電体層を挟んで絶縁された位置に配置されている請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項10】
前記列電極が、行方向において隣接する単位発光領域の間の部分に対向する位置において、第2行電極との間で放電を発生させる単位発光領域の側に反対側に位置する単位発光領域側よりも近接した位置に配置されている請求項9に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項11】
前記隔壁が、行方向において隣接する単位発光領域の間の部分において列方向に延びる縦壁部を有し、列電極が、隔壁の縦壁部内に配置されている請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項12】
前記列電極が、帯状に形成されているとともに、幅方向が一対の基板の厚さ方向に対して平行になる向きに配置されている請求項11に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項13】
前記列電極が、隔壁の縦壁部内において、第2行電極との間で放電を発生させる単位発光領域の側に反対側に位置する単位発光領域側よりも近接した位置に配置されている請求項11に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項14】
前記隔壁が、行方向において隣接する単位発光領域の間の部分において列方向に延びる縦壁部と列方向において隣接する単位発光領域の間の部分において行方向に延びる横壁部とによって略格子状に成形され、蛍光体層が、単位発光領域を囲む隔壁の縦壁部と横壁部の四つの側壁面に形成されている請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−318688(P2006−318688A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−138158(P2005−138158)
【出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】