説明

プラズマディスプレイ装置、およびプラズマディスプレイ装置用のフィルタ基板

【課題】デザイン性の良好なプラズマディスプレイ装置。
【解決手段】表示パネルと、前記表示パネルの光放射側に設置されたフィルタ基板とを有するプラズマディスプレイ装置であって、前記フィルタ基板は、ガラス基板で構成され、前面および裏面と、4つの側面とを有し、前記フィルタ基板は、前記前面が、前記裏面よりも前記表示パネルから遠い側になるように配置され、前記4つの側面のうち、少なくとも2つの対向する側面は、少なくとも一つの嵌合部を有し、前記フィルタ基板は、該フィルタ基板の前記側面の側に配置された支持部材により支持され、前記支持部材は、前記嵌合部のそれぞれと嵌合する凹部を有し、当該ディスプレイ装置を前記フィルタ基板の側面の側から見たとき、前記フィルタ基板の前面は、前記支持部材と実質的にフラットな平面を形成することを特徴とするプラズマディスプレイ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイ装置の前面に設置されるフィルタ基板、およびそのようなフィルタ基板を有するプラズマディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薄型テレビジョン等に適用される液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)および有機EL(Electroluminescent)ディスプレイ(OELD)等のFPD(Flat Panel Display)装置では、表示パネルの前面に、「フィルタ基板」または「前面板」と呼ばれるガラス製の基板が設置されている。
【0003】
このフィルタ基板は、主として、周囲光の反射防止、FPD装置の強度向上、およびFPD装置の衝撃破損防止等を目的として設置される。また、プラズマディスプレイパネルの場合、フィルタ基板は、電磁波シールドとしての役割をも有する。
【0004】
例えば、特許文献1には、装置内にシールド構造を構成するため、裏面にメッシュフィルムを設置したフィルタ基板を有するプラズマディスプレイ装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−58868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のプラズマディスプレイ装置の場合、フィルタ基板は、前方支持部材によって、少なくとも前側(プラズマディスプレイ装置の視聴側)の周囲を覆われた状態で支持される。従って、プラズマディスプレイ装置の前面において、前方支持部材は、フィルタ基板よりも突出した状態にある。
【0007】
一方、最近は、プラズマディスプレイ装置のデザイン性のさらなる向上の観点から、前方支持部材の「出っ張り」を目立たなくして、視聴者にすっきりした印象が得られるような構造が要望されるようになってきている。
【0008】
この要望に応えるため、プラズマディスプレイ装置において、例えば、前方支持部材を排除して、フィルタ基板を、後側(プラズマディスプレイ装置の視聴側の反対側)に設置された接着剤等を介して表示パネル側と固定することが考えられる。しかしながら、この場合、フィルタ基板は、接着剤のみで支持されることとなり、フィルタ基板の剥離や脱落の問題が生じ得る。
【0009】
このように、デザイン性を重視した構造と、フィルタ基板を安定に支持、固定する構造とを両立させることは、難しいという問題がある。
【0010】
本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、本発明では、支持部材を用いてフィルタ基板を支持する構造でありながら、デザイン性も向上することが可能なプラズマディスプレイ装置を提供することを目的とする。またそのようなプラズマディスプレイ装置に使用され得るフィルタ基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、
表示パネルと、前記表示パネルの光放射側に設置されたフィルタ基板とを有するプラズマディスプレイ装置であって、
前記フィルタ基板は、ガラス基板で構成され、前面および裏面と、4つの側面とを有し、
前記フィルタ基板は、前記前面が、前記裏面よりも前記表示パネルから遠い側になるように配置され、
前記4つの側面のうち、少なくとも2つの対向する側面は、少なくとも一つの嵌合部を有し、
前記フィルタ基板は、該フィルタ基板の前記側面の側に配置された支持部材により支持され、
前記支持部材は、前記嵌合部のそれぞれと嵌合する凹部を有し、
当該ディスプレイ装置を前記フィルタ基板の側面の側から見たとき、前記フィルタ基板の前面は、前記支持部材と実質的にフラットな平面を形成することを特徴とするプラズマディスプレイ装置が提供される。
【0012】
ここで、本発明のプラズマディスプレイ装置において、前記4つの側面のうち、3つまたは全ての側面が、少なくとも一つの嵌合部を有しても良い。
【0013】
また、本発明のプラズマディスプレイ装置において、前記少なくとも一つの嵌合部は、前記ガラス基板の先端を、実質上L字型に変形させることにより形成されても良い。
【0014】
また、本発明のプラズマディスプレイ装置において、前記少なくとも一つの嵌合部は、少なくとも1面がテーパ形状を有する凸部であっても良い。
【0015】
また、本発明のプラズマディスプレイ装置では、前記表示パネルと前記フィルタ基板との間に、接着層が設けられても良い。
【0016】
また、本発明のプラズマディスプレイ装置において、前記フィルタ基板は、前記前面および裏面の少なくとも一方に、機能膜が設置されており、該機能膜は、電磁波遮蔽膜、反射防止膜、および近赤外線吸収膜のうちの少なくとも一つであっても良い。
【0017】
また、本発明では、
第1および第2の主表面と、4つの側面とを有するガラス基板で構成されたプラズマディスプレイ装置用のフィルタ基板であって、
前記4つの側面のうち、少なくとも2つの対向する側面は、少なくとも一つの嵌合部を有することを特徴とするプラズマディスプレイ装置用のフィルタ基板が提供される。
【0018】
ここで、本発明のフィルタ基板において、前記少なくとも一つの嵌合部は、前記ガラス基板の先端を、実質上L字型に変形させることにより形成されても良い。
【0019】
また、本発明のフィルタ基板において、前記少なくとも一つの嵌合部は、少なくとも1面がテーパ形状を有する凸部であっても良い。
【0020】
また、本発明のフィルタ基板において、前記第1および第2の主表面の少なくとも一方には、機能膜が設置されており、該機能膜は、電磁波遮蔽膜、反射防止膜、および近赤外線吸収膜のうちの少なくとも一つであっても良い。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、支持部材を用いてフィルタ基板を支持する構造でありながら、デザイン性も向上することが可能なプラズマディスプレイ装置を提供することができる。またそのようなプラズマディスプレイ装置に使用され得るフィルタ基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来のプラズマディスプレイ装置の一構成例を概略的に示した断面図である。
【図2】本発明によるプラズマディスプレイ装置の一構成例を概略的に示した断面図である。
【図3】本発明によるプラズマディスプレイ装置において、フィルタ基板と支持部材の部分の概略的な断面の一例を示した図である。
【図4】フィルタ基板および支持部材の別の構成を概略的に示した断面図である。
【図5】フィルタ基板および支持部材のさらに別の構成を概略的に示した断面図である。
【図6】フィルタ基板および支持部材のさらに別の構成を概略的に示した断面図である。
【図7】フィルタ基板および支持部材のさらに別の構成を概略的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明について説明する。
【0024】
本発明の特徴をより良く理解するため、最初に、従来のプラズマディスプレイ装置の構成について簡単に説明する。
【0025】
図1には、従来のプラズマディスプレイ装置の典型的な断面構成図を示す。
【0026】
図1の例では、矢印50の側が、プラズマディスプレイ装置10の前側、すなわち光放射側となり、矢印60の側が、プラズマディスプレイ装置10の後側となる。
【0027】
図1に示すように、従来のプラズマディスプレイ装置10は、フィルタ基板15、前方支持部材20、後部筐体25、表示パネル30、基板31、および内部金具35等を有する。
【0028】
前方支持部材20は、表示パネル30の前方に、フィルタ基板15を支持、固定する役割を有する。
【0029】
後部筐体25は、後部樹脂部材25aおよび後部金属部材25bとで構成され、両者は、ビス13により固定される。フィルタ基板15、前方支持部材20、および後部筐体25により、内部に表示パネル30等を収容する筐体が構成される。
【0030】
また、内部金具35と後部金属部材25bの間には、導電性のガスケット40が配置されている。
【0031】
プラズマディスプレイ装置10の場合、電磁波妨害対策等のため、内部に、表示パネル30および基板31等を取り囲むシールド構造を形成する必要があり、内部金具35は、このために使用される。すなわち、フィルタ基板15の裏面(表示パネル30側)には、メッシュフィルムが設置されており、フィルタ基板15(メッシュフィルム)〜内部金具35〜ガスケット40〜後部金属部材25b〜内部金具35により、シールド構造が形成される。
【0032】
ここで、図1から明らかなように、従来のプラズマディスプレイ装置10では、フィルタ基板15は、前方支持部材20によって、前面の周囲を覆われた状態で支持される。従って、プラズマディスプレイ装置10の前側50において、前方支持部材20は、フィルタ基板15よりも突出した状態にある。
【0033】
ところが、最近は、視聴者にすっきりとした印象が得られるプラズマディスプレイ装置が人気を博するようになってきており、このような前方支持部材20が前方に突出した構造は、デザイン的、美感的に問題がある。
【0034】
また、このような最近の傾向に対応するため、プラズマディスプレイ装置において、例えば、前方支持部材20を排除して、フィルタ基板15を、裏面に設置された接着剤等を介して、表示パネル30の側のみで固定する構造が考えられる。しかしながら、この場合、フィルタ基板15は、接着剤のみで支持されることとなり、フィルタ基板15が装置から剥離したり、脱落したりする危険性が生じる。
【0035】
このように、前方支持部材20を用いてフィルタ基板15を安定に支持、固定する構造では、デザイン性が劣る一方、デザイン性を重視した構造では、プラズマディスプレイ装置の健全性、安全性に問題が生じるため、両者を両立させることは難しいという問題がある。
【0036】
これに対して、本発明によるプラズマディスプレイ装置は、
表示パネルと、前記表示パネルの光放射側に設置されたフィルタ基板とを有し、
前記フィルタ基板は、ガラス基板で構成され、前面および裏面と、4つの側面とを有し、
前記フィルタ基板は、前記前面が、前記裏面よりも前記表示パネルから遠い側になるように配置され、
前記4つの側面のうち、少なくとも2つの対向する側面は、少なくとも一つの嵌合部を有し、
前記フィルタ基板は、該フィルタ基板の前記側面の側に配置された支持部材により支持され、
前記支持部材は、前記嵌合部のそれぞれと嵌合する凹部を有し、
当該ディスプレイ装置を前記フィルタ基板の側面の側から見たとき、前記フィルタ基板の前面は、前記支持部材と実質的にフラットな平面を形成するという特徴を有する。
【0037】
このような構成では、支持部材を用いてフィルタ基板を支持する構造でありながら、デザイン性も向上することが可能なプラズマディスプレイ装置を提供することができる。従って、本発明の構成を採用することにより、フィルタ基板を安定に支持、固定することができ、さらにデザイン性に優れたプラズマディスプレイ装置を提供することが可能となる。
【0038】
(本発明のプラズマディスプレイ装置)
以下、図2、図3を参照して、本発明によるプラズマディスプレイ装置の構成について説明する。
【0039】
図2には、本発明によるプラズマディスプレイ装置の概略的な断面の一例を示す。また、図3には、本発明によるプラズマディスプレイ装置に使用されるフィルタ基板および支持部材の概略的な部分拡大断面図を示す。
【0040】
なお、図2において、プラズマディスプレイ装置100は、大部分が図1に示したプラズマディスプレイ装置10と同様に構成されているため、以下、特に、図1とは異なる構成部分を中心に、プラズマディスプレイ装置100について説明する。
【0041】
図2に示すように、本発明によるプラズマディスプレイ装置100は、フィルタ基板115と、支持部材120と、後部筐体125とを有する。これらの部材の組み合わせにより、内部に空間を有する筐体が形成され、この空間に、表示パネル130、基板、および回路(図示されていない)などが収容される。
【0042】
図2において、上側がプラズマディスプレイ装置100の前側150(光放射側)となり、下側がプラズマディスプレイ装置100の後側160となる。従って、表示パネル130は、図2の上方向に、所定の画像(光)を放射する。
【0043】
フィルタ基板115は、表示パネル130の「前方」に設置され、電磁波遮蔽、近赤外線遮断、反射防止等の役割を有する。フィルタ基板115は、前面118Aおよび裏面118B、および4つの側面118Sを有するガラス基板118で構成される。
【0044】
支持部材120は、フィルタ基板115の側面に配置され、フィルタ基板115を支持、固定する役割を有する。
【0045】
前述のように、プラズマディスプレイ装置の場合、電磁波妨害対策等のため、表示パネル130および回路等を取り囲むシールド構造を内部に形成する必要がある。このため、このプラズマディスプレイ装置100では、フィルタ基板115の裏面に、電磁波遮蔽膜195B(詳細は、図3参照)が設置される。すなわち、フィルタ基板115の裏面の電磁波遮蔽膜195B〜2つの内部金属部材135A、135B〜後部筐体125〜2つの内部金属部材135B、135Aにより、シールド構造が構成される。
【0046】
内部金属部材135Aは、支持部材120とビス113Aにより固定され、これにより、フィルタ基板115も、内部金属部材135Aに対して位置が固定される。一方、内部金属部材135Bは、ビス113Bにより後部筐体125と固定される。また、後部筐体125と支持部材120は、内部金属部材135A、135Bを介して、ビス113Cにより固定される。
【0047】
図3には、フィルタ基板115と支持部材120の部分の概略的な拡大断面図を示す。
【0048】
図3に示すように、フィルタ基板115を構成するガラス基板118は、裏面118Bの周縁部近傍に、セラミック層196を有する。
【0049】
このセラミック層196は、プラズマディスプレイ装置100のデザイン性や装飾性を高めるために設置される。ただし、セラミック層196の設置は、任意である。また、セラミック層の代わりに、樹脂製塗料などを用いた有機印刷層を設置しても良い。
【0050】
また、ガラス基板118は、裏面118Bに電磁波遮蔽膜195Bを有する。電磁波遮蔽膜195Bの一部分の上には、導電性のガスケット198が設置される。この導電性のガスケット198は、内部金属部材135A(図3には示されていない)と、支持部材120とを、ビス113Aにより固定する際のクッション材としての役割を有する。
【0051】
さらに、ガラス基板118は、表面118Aの側に反射防止膜195Aを有し、裏面118Bに保護膜(図示されていない)を有しても良い。ただし、これらの設置は、任意である。
【0052】
ここで、本発明によるフィルタ基板115は、ガラス基板の側面118Sが嵌合部(凸部)170を有するという特徴を有する。また、支持部材120は、この嵌合部170と丁度嵌合する形状の凹部180を有する。例えば、図2、図3の例では、ガラス基板の側面118Sは、一つの面がテーパ形状となっている凸部170を有し、支持部材120は、このテーパ形状の凸部170と丁度嵌合する形状の凹部180を有する。本発明における嵌合部は、図2、図3、ならびに後述する図4、図5および図6のような凸形状の凸部であることが好ましい。

なお、支持部材120は、通常、金属または樹脂で構成されるため、このような凹部180は、比較的容易に形成することができる。
【0053】
このようなガラス基板118の側面118Sおよび支持部材120の構造では、支持部材120は、ガラス基板118を側面118Sで支持することができる。従って、従来の前方支持部材20とは異なり、支持部材120によって、ガラス基板118の前面118Aの周囲が取り囲まれることはない。
【0054】
このため、このような構成では、支持部材120がフィルタ基板115の前面に対して突出せず、視聴者に対して、すっきりとした印象を与えることができる。
【0055】
また、この構成では、フィルタ基板115は、支持部材120によって支持されているため、支持部材を有さない装置のように、フィルタ基板115が装置100から剥離したり、脱落したりする危険性が抑制される。
【0056】
さらに、本発明の構成では、フィルタ基板115において、ガラス基板118の側面118Sは、支持部材120によって全体が被覆されており、周囲に露出していない。このため、本発明の構成では、支持部材120を排除した構成における問題、すなわちガラス基板の側面が露出して、小さな衝撃でも、ガラス基板の側面にワレや破損が生じるという問題を回避することができる。
【0057】
以上、図3に示したフィルタ基板115および支持部材120の構成を例に、本発明によるプラズマディスプレイ装置の特徴を説明した。しかしながら、図3に示した構成とは異なる構成においても、本発明による効果が得られることは明らかである。
【0058】
以下、図4〜図7を参照して、そのような構成の具体的な例についていくつか説明する。
【0059】
図4〜図7には、フィルタ基板と支持部材の別の構成例を示す。なお、これらの図において、反射防止膜などの機能膜やガスケット等の他の部材は、説明の明確化のため省略されている。
【0060】
図4の例では、フィルタ基板215は、側面に凸部270を有するガラス基板218を有する。また、支持部材220は、ガラス基板218の凸部270と丁度嵌合するように構成された凹部280を有する。この例では、ガラス基板218の側面の凸部270は、前面および裏面の両方がテーパ形状となっている。
【0061】
図5には、フィルタ基板と支持部材のさらに別の構成例を示す。
【0062】
図5の例では、フィルタ基板315は、側面に凸部370を有するガラス基板318を有する。また、支持部材320は、ガラス基板318の凸部370と丁度嵌合するように構成された凹部380を有する。この例では、ガラス基板318の側面の凸部370は、裏面側のみが突出した形状となっている。
【0063】
図6には、フィルタ基板と支持部材のさらに別の構成例を示す。
【0064】
図6の例では、フィルタ基板415は、側面に凸部470を有するガラス基板418を有する。また、支持部材420は、ガラス基板418の凸部470と丁度嵌合するように構成された凹部480を有する。この例では、ガラス基板418の側面の凸部470は、側面の中央部分が突出した形状となっている。
【0065】
図7には、フィルタ基板と支持部材のさらに別の構成例を示す。
【0066】
図7の例では、フィルタ基板515は、側面に嵌合部570を有するガラス基板518を有する。また、支持部材520は、ガラス基板518の嵌合部570と丁度嵌合するように構成された凹部580を有する。この例では、ガラス基板518の側面の嵌合部570は、前記ガラス基板の側端部を、実質上L字型に変形させることにより形成されている。
【0067】
プラズマディスプレイ装置が図4〜図7に示すようなフィルタ基板と支持部材の組み合わせを有する場合も、前述のような本発明の効果が得られることは明らかであろう。また、これらの組み合わせが、前述のような本発明の効果が得られる構成の一例に過ぎないことは、当業者には明らかである。
【0068】
ところで、以上の説明では、フィルタ基板(またはガラス基板)の1つの側面の構成についてのみ着目しており、その他の3つの側面については、特に記載されていない。しかしながら、その他の3つの側面の全てが、記載された1つの側面と同様の構成、すなわち嵌合部や凸部(170、270、370、470、または570)を有しても良いことは明らかである。
【0069】
ただし、本発明は、4つの側面の全てがそのような構成を有する形態に限られるものではない。例えば、フィルタ基板(またはガラス基板)の対向する2つの側面のみが、前述のような嵌合部(170、270、370、470、または570)を有し、残りの2つの側面は、平坦な側面で構成されても良い。
【0070】
あるいは、フィルタ基板(またはガラス基板)は、3つの側面が前述のような嵌合部(170、270、370、470、または570)を有し、残りの1つの側面は、平坦な側面となるように、構成されても良い。このような構成の場合、通常は、フィルタ基板の平坦な側面を有する側が、プラズマディスプレイ装置の上側に相当するようにして、フィルタ基板が装置に対して配置されることになろう。
【0071】
(フィルタ基板115について)
次に、図3に示したフィルタ基板115を例に、フィルタ基板115を構成する各部材について、より詳しく説明する。なお、以下の説明が、図4〜図7に示したフィルタ基板215、315、415、515等にも同様に適用され得ることは、当業者には明らかである。
【0072】
図3を用いて説明したように、フィルタ基板115は、ガラス基板118、電磁波遮蔽膜195Bなどの各種機能膜、および任意で設置されるセラミック層196等により構成される。
【0073】
(ガラス基板118)
ガラス基板118の材質等は、特に限られないが、透過率が高く、着色が少ないものが望ましい。ガラス基板118として、通常は、可視光透過率Tvが90.2%、可視光反射率Rvが8.2%、ヘイズ(濁度)が0.06%、xy色度座標における色度値がx=0.307、y=0.314のものが使用される。
【0074】
例えば、ガラス基板118は、ソーダライムガラス基板であっても良い。また、ガラス基板118は、化学強化処理されていても良い。
【0075】
ここで、「化学強化処理」とは、ガラス基板をアルカリ金属を含む溶融塩中に浸漬させ、ガラス基板の最表面に存在する原子径の小さなアルカリ金属(イオン)を、溶融塩中に存在する原子径の大きなアルカリ金属(イオン)と置換する技術の総称を言う。「化学強化処理」により処理されたガラス基板の表面には、元の原子よりも原子径の大きなアルカリ金属(イオン)が配置される。このため、ガラス基板の表面に圧縮応力層を形成することができ、これによりガラス基板の強度を高めることができる。
【0076】
ガラス基板118の厚さは、1.5mm〜3.5mmの範囲であっても良い。ガラス基板118が化学強化処理されている場合、ガラス基板118の厚さは、0.2mm〜1.0mmの範囲であることが好ましい。
【0077】
(電磁波遮蔽膜195B)
通常の場合、電磁波遮蔽膜195Bは、蒸着法、スパッタ法、またはCVD法等の薄膜形成法を適用して形成される。例えば、透明基体や透明樹脂フィルム上にスパッタ法で導電膜を形成することにより、電磁波遮蔽膜195Bを形成することができる。そのような膜は、電磁波遮蔽機能に加えて、近赤外線遮蔽機能を有する場合もある。
【0078】
導電膜は、通常、金属酸化物層(InとSnとの酸化物、TiとZnとの酸化物、AlとZnとの酸化物、酸化ニオブ等)と、金属層(Ag、Ag合金等)とを交互に積層することにより構成される。金属層の層数は、n(ただし、nは1以上の整数である)であり、金属酸化物層の層数は、n+1であることが好ましい。
【0079】
電磁波遮蔽膜195Bの別の例としては、透明基体上に銅からなる導電性メッシュ層を形成したもの(導電性フィルム)が挙げられる。通常、この導電性フィルムは、透明基体上に銅箔を貼りあわせた後、メッシュ状に加工することにより製造される。
【0080】
前述のように、電磁波遮蔽膜195B上の一部には、導電性のガスケット198が設置される。ガスケット198は、例えば内部に樹脂製のスポンジなどのクッション性の素材を含む、筒状の金属フィルムまたは金属メッシュ等で構成される。また、必要に応じて、界面の抵抗を低減するため、電磁波遮蔽膜195Bと導電性のガスケット198の間に、銅製のテープが設置されても良い。また、ガスケット198の代わりに金属製の板バネ状部材を用いることもできる。
【0081】
(反射防止膜195A)
反射防止膜195Aは、蛍光灯や視聴者等の、プラズマディスプレイ装置の周囲に配置される物や人の像の写りこみ低減のために、必要な場合、設置される。反射防止膜195Aは、この目的が達成される限り、いかなる構成であっても良い。
【0082】
反射防止膜195Aは、例えば、透明基体と反射防止層とで構成されても良い。
【0083】
透明基体には、例えば透明樹脂フィルムなどが使用される。透明樹脂フィルムの材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブリレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、アクリル系樹脂、およびポリカーボネート系樹脂などが挙げられる。これらの中では、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロースは、透明性や加工のしやすさなどの観点で特に好ましい。
【0084】
透明基体の厚さは、例えば10μm〜500μmの範囲であっても良く、特に30μm〜300μmの範囲であることが好ましく、50μm〜200μmの範囲であることがより好ましい。透明基体の厚さを10μm以上とすることで、反射防止膜195Aが破損しにくくなる。一方、厚さを500μm以下とすることで、加工がしやすくなる上、透明基体の可視光線透過率を大きくすることができる。
【0085】
一方、反射防止層は、屈折率の低い無機化合物と屈折率の高い無機化合物とを交互に積層した積層体、または屈折率の低い無機化合物からなる層、または屈折率の低い樹脂からなる層などで構成される。
【0086】
屈折率の低い樹脂としては、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、およびフルオロシリコーン樹脂などが挙げられる。屈折率の低い無機化合物としては、二酸化珪素などが挙げられる。特に、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、含フッ素重合体からなる低屈折率材料が形成された反射防止層を用いることが好ましい。このような例としては、旭硝子社製の商品名:アークトップ(URP2199)や、日本油脂社製の商品名:リアルック(RLX1000、RLX4000、RL7800、RL9100)などが挙げられる。
【0087】
ここで、低い屈折率とは、屈折率が1.1〜1.6である場合を言うが、特に屈折率は、1.2〜1.5であることが好ましく、1.3〜1.48であることがより好ましい。
【0088】
なお、反射防止膜のかわりに、可視光線の反射による映りこみを低減するための防眩膜(アンチグレア膜)を設けてもよい。防眩膜としては、例えば、日本油脂社製の商品名:リアルック(RL5500)などが挙げられる。
【0089】
(セラミック層196)
セラミック層196は、前述のように、フィルタ基板115のデザイン性や装飾性をさらに高めるために設置される。
【0090】
セラミック層196は、ガラス基板118の裏面118Bに、例えば周縁部に沿って設置される。
【0091】
セラミック層196の厚さは、特に限られない。セラミック層196の厚さは、例えば、5μm〜25μmの範囲であっても良い。
【0092】
通常の場合、セラミック層196は、セラミック粒子で構成される。このセラミック粒子は、ガラス組成物と耐熱顔料とで構成される。また、セラミック粒子は、必要な場合、さらに耐火物フィラーを含んでも良い。
【0093】
セラミック層196は、ガラス基板118の裏面118Bの周縁部に、例えばインクをスクリーン印刷することにより設置される。インクは、例えば、ガラス組成物、耐熱顔料および耐火物フィラーを含むセラミック粒子の固形成分を有機ビヒクルに混合、分散させることにより調製される。その後、このインクが熱処理され、ガラス基板118にセラミック層196が焼き付けられる。
【0094】
(近赤外線吸収膜)
この他、ガラス基板118の前面118Aまたは裏面118Bに、近赤外線吸収膜が設置されても良い。
【0095】
近赤外線吸収膜は、透明基体と近赤外線吸収層とを有する。透明基体の材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブリレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、アクリル系樹脂、およびポリカーボネート系樹脂などが挙げられる。これらの中では、特に、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロースが、透明性や加工のしやすさなどの観点で好ましい。
【0096】
透明基体の厚さは、10μm〜500μmであることが好ましく、30μm〜300μmであることがより好ましく、50μm〜200μmであることがさらに好ましい。透明基体の厚さを10μm以上にすることで、近赤外線吸収膜に破損が生じにくくなる。厚さを500μm以下にすることで、加工がしやすくなり、また透明基体の可視光線透過率を大きくすることができる。
【0097】
近赤外線吸収層は、アクリル系樹脂などをバインダ樹脂とし、このバインダ樹脂中に近赤外線吸収色素を含有させることにより構成される。近赤外線吸収色素としては、ジイモニウム系色素、フタロシアニン系色素、ジチオール錯体系色素、スクアリリウム系色素、および酸化タングステン系色素などが挙げられる。
【0098】
(接着層)
この他、フィルタ基板115と表示パネル130の間に、さらに接着層が設けられても良い。これにより、フィルタ基板115をより強固に、装置100に保持することができる。
【0099】
この接着層は、ガラス基板118と同等の光学的特性(透過率、屈折率等)を有する。
【0100】
通常の場合、接着層は、光(可視光、紫外線など)硬化型の樹脂組成物で構成される。光硬化型の樹脂の一例は、ポリウレタンアクリレート、ポリイソプレン系アクリレート、またはそのエステル化物、テルペン系水素添加樹脂、およびブタジエン重合体から選定された1種以上のポリマーと、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、および2−ヒドロキシブチルメタクリレートから選定された1種以上のアクリレート系モノマーと、光重合開始剤と、を有する樹脂組成物である。
【0101】
以上、本発明によるプラズマディスプレイ装置の一例について説明した。ただし、上記記載は、一例であって、この他にも、本発明の効果を有する様々な構成のプラズマディスプレイ装置を提供することができることは当業者には明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、プラズマディスプレイ装置等のFPD装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0103】
10 従来のプラズマディスプレイ装置
13 ビス
15 フィルタ基板
20 前方支持部材
25 後部筐体
25a 後部樹脂部材
25b 後部金属部材
30 表示パネル
31 基板
35 内部金具
40 導電性のガスケット
50 装置の前側
60 装置の後側
100 本発明によるプラズマディスプレイ装置
113A〜113C ビス
115 フィルタ基板
118 ガラス基板
118A ガラス基板の前面
118B ガラス基板の裏面
118S ガラス基板の側面
120 支持部材
125 後部筐体
130 表示パネル
135A 内部金属部材
135B 内部金属部材
150 前側
160 後側
170 ガラス基板の嵌合部
180 支持部材の凹部
195A 反射防止膜
195B 電磁波遮蔽膜
196 セラミック層
198 導電性のガスケット
215、315、415、515 フィルタ基板
218、318、418、518 ガラス基板
220、320、420、520 支持部材
270、370、470 ガラス基板の凸部
280、380、480、580 支持部材の凹部
570 ガラス基板の嵌合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、前記表示パネルの光放射側に設置されたフィルタ基板とを有するプラズマディスプレイ装置であって、
前記フィルタ基板は、ガラス基板で構成され、前面および裏面と、4つの側面とを有し、
前記フィルタ基板は、前記前面が、前記裏面よりも前記表示パネルから遠い側になるように配置され、
前記4つの側面のうち、少なくとも2つの対向する側面は、少なくとも一つの嵌合部を有し、
前記フィルタ基板は、該フィルタ基板の前記側面の側に配置された支持部材により支持され、
前記支持部材は、前記嵌合部のそれぞれと嵌合する凹部を有し、
当該ディスプレイ装置を前記フィルタ基板の側面の側から見たとき、前記フィルタ基板の前面は、前記支持部材と実質的にフラットな平面を形成することを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
【請求項2】
前記4つの側面のうち、3つまたは全ての側面が、少なくとも一つの嵌合部を有することを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項3】
前記少なくとも一つの嵌合部は、前記ガラス基板の先端を、実質上L字型に変形させることにより形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項4】
前記少なくとも一つの嵌合部は、少なくとも1面がテーパ形状を有する凸部であることを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項5】
前記表示パネルと前記フィルタ基板との間に、接着層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項6】
前記フィルタ基板は、前記前面および裏面の少なくとも一方に、機能膜が設置されており、該機能膜は、電磁波遮蔽膜、反射防止膜、および近赤外線吸収膜のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項7】
第1および第2の主表面と、4つの側面とを有するガラス基板で構成されたプラズマディスプレイ装置用のフィルタ基板であって、
前記4つの側面のうち、少なくとも2つの対向する側面は、少なくとも一つの嵌合部を有することを特徴とするプラズマディスプレイ装置用のフィルタ基板。
【請求項8】
前記少なくとも一つの嵌合部は、前記ガラス基板の先端を、実質上L字型に変形させることにより形成されていることを特徴とする請求項7に記載のフィルタ基板。
【請求項9】
前記少なくとも一つの嵌合部は、少なくとも1面がテーパ形状を有する凸部であることを特徴とする請求項7に記載のフィルタ基板。
【請求項10】
前記第1および第2の主表面の少なくとも一方には、機能膜が設置されており、該機能膜は、電磁波遮蔽膜、反射防止膜、および近赤外線吸収膜のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一つに記載のフィルタ基板。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−83557(P2012−83557A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229711(P2010−229711)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】