説明

プラズマディスプレイ装置

【課題】本発明は、シーリング部材に表面疎水性改質処理層を導入することによって、外部の湿気が装置内部に透過吸収されずに、銀電極のマイグレーション現象が最少化されるだけでなく、高温の状態でも安定性を有するので外部の環境的変化にも電極端子の収縮及び膨張の変化を最少化して、電極端子の断線及び短絡を防止できる。
【解決手段】互いに対向する両基板の間に電極を備えて、プラズマディスプレイパネルと、シャーシーベースと、印刷回路ボードアセンブリーと、フレキシブルプリント配線と、前記電極に接続する電極端子と前記フレキシブルプリント配線に形成される端子の間に介されて、量子を電気的に接続する異方性導電フィルム、及び前記電極端子の端部と前記フレキシブルプリント配線の端部をシーリングするシーリング部材とを含み、前記シーリング部材は表面疎水性改質処理層233aと絶縁層234bを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラズマディスプレイ装置に関し、より詳しくは、電極端子の断線や短絡を防止できるシーリング部材でプラズマディスプレイパネルの電極端子などをシーリングするプラズマディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プラズマディスプレイ装置は、気体放電を通して得られたプラズマから放射される真空紫外線(VUV:Vacuum Ultra-Violet)を用いて、蛍光体を励起させて発生される赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の可視光で映像を表示するプラズマディスプレイパネル、このプラズマディスプレイパネルを支持するシャーシーベース、及びこのシャーシーベースに装着される多数の印刷回路ボードアセンブリー(printed circuit board assembly)を含む。
【0003】
このプラズマディスプレイパネルは、2枚のガラス基板を互いに対向装着して、その内部に放電空間を形成しているため、衝撃に弱い機械的強さを有する。従って、シャーシーベースは、プラズマディスプレイパネルを支持するためにガラス基板より機械的強さが大きい金属材質で形成される。
【0004】
このシャーシーベースは、プラズマディスプレイパネルの機械的強さを支持する機能に加えて、印刷回路ボードアセンブリーの装着空間提供機能、プラズマディスプレイパネルのヒートシンク機能、及び電磁気的干渉(ElectroMagnetic Interference、EMI)接地機能をする。
【0005】
また、シャーシーベースがこのような機能を行うように、シャーシーベースの前面には両面テープを介してプラズマディスプレイパネルが装着し、このシャーシーベースの背面には印刷回路ボードアセンブリーが装着される。
【0006】
このシャーシーベースの背面には、多数のボス(boss)を備え、この印刷回路ボードアセンブリーは、ボス上に備えられるセットスクリューをこのボスに締結することによって固定装着される。
【0007】
この印刷回路ボードアセンブリーは、パネルを駆動する各機能を行うために、多数備えられる。つまり、この印刷回路ボードアセンブリーは、維持電極を制御する維持ボードアセンブリーと、走査電極を制御する走査ボードアセンブリーと、アドレス電極を制御するアドレスバッファーボードアセンブリーと、外部から映像信号を受信して、アドレス電極駆動に必要な制御信号と維持電極及び走査電極駆動に必要な制御信号を生成して、当該ボードアセンブリーに印加する映像処理/制御ボードアセンブリー、及びこのボードアセンブリーの駆動に必要な電源を供給する電源ボードアセンブリーとを含む。
【0008】
維持ボードアセンブリーは、プラズマディスプレイパネルの内部から外部に引出される維持電極と、走査ボードアセンブリーは、プラズマディスプレイパネルの内部から外部に引出される走査電極と、アドレスバッファーボードアセンブリーは、プラズマディスプレイパネルの内部から外部に引出されるアドレス電極に各々のフレキシブルプリント配線(FPC)とコネクタを通して接続される。
【0009】
アドレスバッファーボードアセンブリーとアドレス電極を接続するフレキシブルプリント配線は、ドライバー集積回路(IC)パッケージ(例えば、Tape Carrier Package、TCP)を形成する。このドライバー集積回路パッケージは、アドレス電極にアドレスパルスを発生させるドライバー集積回路をフレキシブルプリント配線に装着して形成される。
【0010】
このドライバー集積回路パッケージは、長辺と短辺を有するプラズマディスプレイパネルの長辺側に接続配置されて、略「U」字状に曲がってアドレスバッファーボードアセンブリーと接続される。
【0011】
このために、アドレス電極は、ガラス基板中に、背面基板に露出される電極端子を備え、ドライバー集積回路パッケージは端子を備える。二端子側に異方性導電フィルム(Anisotropic Conductive Film、ACF)を介して、ドライバー集積回路パッケージ端子は、アドレス電極の電極端子に接続される。つまり、アドレス電極の電極端子とドライバー集積回路パッケージの端子は、異方性導電フィルムを介して、電気的に互いに接続される。
【0012】
そして、電極端子の端部とこれに対向するドライバー集積回路パッケージの部分は、シリコン樹脂にシーリングされて、またドライバー集積回路パッケージの端子とこれに対向する電極端子の部分はシリコン樹脂にシーリングされる。このようなシリコン樹脂は高い含湿率と高い透湿度を有する。
【0013】
一方、維持電極及び走査電極のバス電極とアドレス電極は感光性銀(Ag)を用いて、印刷、乾燥、露光、現像、焼成工程を経て、製造される。銀は高い電気伝導性を有するが、金属特有の拡散及び移動(diffusion、migration)現象によって、制限的に使用される。
【0014】
また、銀(Ag)は大気または物質内に存在する水分と反応して、簡単にイオン化されて、自ら広がる自己拡散(self-diffusion)現象によって、電極端子の断線(open)及び短絡(short)現象を発生させる。
【0015】
アドレス電極の電極端子が外部に露出される場合、この電極端子などを形成する銀の拡散、移動または自己拡散現象による断線または短絡現象によって、プラズマディスプレイパネルは垂直方向にラインが現れる垂直ひも状欠陥(vertical line defect)を起こす。
【0016】
また、電極端子は、高い含湿率と高い透湿度を有するシリコン樹脂にシーリングされた場合にも、銀のマイグレーションまたは自己拡散現象によって、垂直ひも状欠陥を起こす。
【0017】
このような欠陥が生じる現象を防止するために多様な試みが行われている。例えば、端子部分に多様な耐気/耐湿材料を適用し、洗浄するなどの方式を通して、電極端子周囲の有機/無機性異物の存在を最少化することが試行されているが、その効果は大きくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、回路ボードアセンブリーに接続するフレキシブルプリント配線の端子とプラズマディスプレイパネルの電極端子などを互いに接続する部分を接着性とシーリング性が向上したシーリング部材でシーリングするプラズマディスプレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の特徴によるプラズマディスプレイ装置は、互いに対向する両基板の間に電極を備えて、画像を表示するプラズマディスプレイパネルを含む。前記プラズマディスプレイパネルを装着して支持するシャーシーベースと、このシャーシーベースに印刷回路ボードアセンブリーが装着される。前記印刷回路ボードアセンブリーは、プラズマディスプレイパネルの電極とフレキシブルプリント配線を通して、電気的に接続される。このような電気的な接続は、電極端子と前記フレキシブルプリント配線に形成される端子の間に異方性導電フィルムを介して行われる。
【0020】
前記電極端子の端部と前記フレキシブルプリント配線の端部は、シーリング部材でシーリングされる。前記シーリング部材は、前記フレキシブルプリント配線端部とこれに対向する前記基板端部の間にシーリングされる第1シーリング部材と、前記電極端子端部とこれに対向する前記フレキシブルプリント配線の間にシーリングされる第2シーリング部材を含む。
【0021】
前記第1シーリング部材は、前記電極を覆う誘電層端部と前記電極端子の上及び前記異方性導電フィルムの前記誘電層側の端部をシーリングする。前記第2シーリング部材は、前記電極端子の端部と前記異方性導電フィルムの前記誘電層反対側の端部をシーリングする。
【0022】
前記シーリング部材は、表面疎水性改質処理層と絶縁層を含み、前記表面疎水性改質処理層とその上部に絶縁層を配置したり、絶縁層を形成した後にその上部に表面疎水性改質処理層を配置したり、絶縁層と表面疎水性改質処理層を同時に形成する。
【0023】
前記表面疎水性改質処理層は、ポリシロキサン系樹脂を含み、これはシロキサン樹脂、アルキルシリケート、及びこれらの組み合わせで構成された群より選択された1種を硬化して得られる。この時、前記アルキルシリケートは、C1乃至C8の炭素数のアルキル基を含み、望ましくはメチルシリケート、エチルシリケート、プロピルシリケート、イソプロピルシリケート、ブチルシリケート、イソブチルシリケート、及びこれらの組み合わせで構成された群より選択された1種でありうる。
【0024】
この時、絶縁層はシリコン樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂及びこれらの組み合わせで構成された群より選択された1種を含む。その結果、本発明によるプラズマディスプレイ装置のシーリング部材の透湿度は、30乃至50(g/cm、1日当り)であり、接着強度は5.0乃至5.7MPaを有する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によるプラズマディスプレイ装置は、シーリング部材にポリシロキサン系樹脂を含む表面疎水性改質処理層を形成することによって、電極端子の断線及び短絡を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態1によるプラズマディスプレイ装置を分解して、概略的に示した斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿って切断して示した断面図である。
【図3】プラズマディスプレイパネルと異方性導電フィルム及びフレキシブルプリント配線の分解斜視図である。
【図4】本発明の実施形態1によるシーリング部材を示した断面図である。
【図5】本発明の実施形態2によるシーリング部材を示した断面図である。
【図6】本発明の実施形態3によるシーリング部材を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明をより詳しく説明する。プラズマディスプレイパネルの電極は、駆動のためにフレキシブルプリント配線の端子と電気的に接続され、外部の湿気や不純物から保護するために、前記電極端子とフレキシブルプリント配線の接続の部分を有機絶縁物質のシーリング部材でシーリングする。しかし、シーリング部材でシーリングしても、多様な経路を通して、外部から湿気及び不純物が浸透するため、電極が腐食されたり酸化されて、断線または短絡現象が生じる。その結果、放電不良現象が発生し、そのために輝度低下とディスプレイ駆動不良が生じて、プラズマディスプレイパネルの寿命が短縮するなどの問題が生じる。
【0028】
そのために、本発明では前記シーリング部材に表面疎水性改質処理層を形成することによって、外部の湿気を全面的に遮断して銀電極のマイグレーション現象が最少化され、高温の状態でも安定性を有するため、外部の環境的変化にも電極端子の収縮及び膨張の変化を最少化して、電極端子の断線及び短絡を防止できる。
【0029】
図1は本発明の実施形態1によるプラズマディスプレイ装置を分解して、概略的に示した斜視図である。図1を参照すると、このプラズマディスプレイ装置は気体放電を利用して、画像を表示するプラズマディスプレイパネル11、放熱シート13、シャーシーベース15、及び印刷回路ボードアセンブリー17を含む。
【0030】
放熱シート13は、プラズマディスプレイパネル11の背面に備えられ、気体放電によってプラズマディスプレイパネル11から発生する熱を平面方向に伝導して拡散させるように構成される。
【0031】
シャーシーベース15は、放熱シート13を間において、両面テープ14にプラズマディスプレイパネル11の背面に装着してプラズマディスプレイパネル11を支持する。
【0032】
印刷回路ボードアセンブリー17は、シャーシーベース15の背面に装着されて、プラズマディスプレイパネル11を駆動させるように構成されて、プラズマディスプレイパネル11に電気的に接続(図示せず)される。
【0033】
このプラズマディスプレイ装置は、プラズマディスプレイパネル11が画像を持続的に表示するように、シャーシーベース15の両面に各々備えられるプラズマディスプレイパネル11と印刷回路ボードアセンブリー17を機械的に支持して、プラズマディスプレイパネル11と印刷回路ボードアセンブリー17の電気的接続ができるように形成する。
【0034】
プラズマディスプレイパネル11は、気体放電を利用して画像を表示し、本発明の実施形態は、このようなプラズマディスプレイパネル11と他の構成要素との結合関係に関するため、ここではプラズマディスプレイパネル11に対する具体的な説明を省略する。
【0035】
このプラズマディスプレイパネル11は、気体放電のために電極を備える。図2を参照すると、アドレス電極12は示されており、バス電極及び透明電極を含む表示電極は省略されている。また、プラズマディスプレイパネル11は、気体放電時に熱を発生させ、輝度を高めるために、短時間に維持放電回数を増加させるとより多くの熱を発生させる。
【0036】
放熱シート13は、プラズマディスプレイパネル11から発生される熱を吸収して、プラズマディスプレイパネル11の平面方向に電導及び拡散させる。この放熱シート13は、アクリル系放熱材、グラファイト(graphite)系放熱材、金属系放熱材、または炭素ナノチューブ系放熱材のように多様な材質で構成できる。
【0037】
シャーシーベース15は、放熱シート13を間において、両面テープ14を接着剤としてプラズマディスプレイパネル11の背面に装着して、プラズマディスプレイパネル11を支持する。またシャーシーベース15は、プラズマディスプレイパネル11が装着された面の反対側に印刷回路ボードアセンブリー17を装着して印刷回路ボードアセンブリー17を支持する。
【0038】
このように、シャーシーベース15は、プラズマディスプレイパネル11及び印刷回路ボードアセンブリー17を支持できる機械的強さを有する。
【0039】
印刷回路ボードアセンブリー17は、シャーシーベース15に多数備えられるボス18に位置し、このボス18に締結されるセットスクリュー19によって固定される。また、印刷回路ボードアセンブリー17は、プラズマディスプレイパネル11を駆動する各機能を分担して行うように多数に区分形成される。
【0040】
例えば、印刷回路ボードアセンブリー17は、維持電極(図示せず)を制御する維持ボードアセンブリー117と、走査電極(図示せず)を制御する走査ボードアセンブリー217と、アドレス電極12を制御するアドレスバッファーボードアセンブリー317と、外部から映像信号を受信して、アドレス電極12の駆動に必要な制御信号と維持電極及び走査電極駆動に必要な制御信号を生成して、当該ボードアセンブリーに印加する映像処理/制御ボードアセンブリー417、及びこのボードアセンブリーの駆動に必要な電源を供給する電源ボードアセンブリー517と、を含む。
【0041】
維持ボードアセンブリー117は、フレキシブルプリント配線(図示せず)を通して透明電極と接続され、走査ボードアセンブリー217は、フレキシブルプリント配線(図示せず)を通してバス電極と接続され、アドレスバッファーボードアセンブリー317は、フレキシブルプリント配線27を通してアドレス電極12と接続される。
【0042】
透明電極、バス電極及びアドレス電極12の各電極端子112は、フレキシブルプリント配線27の端子127の間に異方性導電フィルム29を介して、電気的に接続される。
【0043】
本発明において、透明電極及びバス電極各々とフレキシブルプリント配線の接続構造は、アドレス電極12とフレキシブルプリント配線27の接続構造と同一である。従って、電極端子112とフレキシブルプリント配線27の端子127の接続構造は図2に示したように、アドレス電極12とフレキシブルプリント配線27の接続構造を参照する。
【0044】
例えば、フレキシブルプリント配線27は、アドレス電極12に印加される制御信号を発生するドライバー集積回路(IC)を装着したドライバー集積回路(IC)パッケージ25と接続される。このようなドライバー集積回路パッケージには、COF(Chip on Film)、COB(Chip on Board)、TCP(テープキャリアパッケージ、Tape Carrier Package)タイプで形成される。
【0045】
図2及び図3を参照すると、異方性導電フィルム29は、アドレス電極12の電極端子112とフレキシブルプリント配線27の端子127に対向する部分に導電性を有して形成される。この異方性導電フィルム29は、フレキシブルプリント配線27を電極端子112にプレスすることによって、アドレス電極12の電極端子112とフレキシブルプリント配線27の端子127を電気的に接続する。
【0046】
また、プラズマディスプレイ装置は、フレキシブルプリント配線27の端子127とプラズマディスプレイパネル11の電極端子112などを互いに接続する部分をシーリングするシーリング部材23を含む。
【0047】
前記シーリング部材23は、電極端子112の端部とフレキシブルプリント配線27の端部を各々シーリングして、電極端子112を大気及び外部の湿気から遮断する。これによって、電極端子112を形成する銀のマイグレーション及び自己拡散を最少化または防止する。
【0048】
このようなシーリング部材23は、フレキシブルプリント配線27を中心に置いて、その両面に互いにずれる位置に備えられる第1シーリング部材23aと第2シーリング部材23bを含む。例えば、第1シーリング部材23aは、フレキシブルプリント配線27の端部とこれに対向する前面基板111の端部に形成されてフレキシブルプリント配線27と前面基板111の間をシーリングする。第2シーリング部材23bは、電極端子112の端部とこれに対向するフレキシブルプリント配線27の間に形成されて、電極端子112及び背面基板211とフレキシブルプリント配線27の間をシーリングする。
【0049】
より具体的に説明すると、第1シーリング部材23aは、アドレス電極12を覆う誘電層21の端部と電極端子112の上、及び異方性導電フィルム29の誘電層21側の端部をシーリングする。従って、誘電層21と異方性導電フィルム29に覆われずに露出された電極端子112部分がシーリングされる。
【0050】
また、第2シーリング部材23bは、電極端子112の端部と異方性導電フィルム29の誘電層21の反対側端部をシーリングする。従って、背面基板211とフレキシブルプリント配線27の間で露出されていた電極端子112の端部がシーリングされる。
【0051】
結果的に、電極端子112は、第1シーリング部材23aと第2シーリング部材23b及び背面基板211及びフレキシブルプリント配線27によって完全にシーリングされる。このシーリング部材23は、銀のマイグレーションまたはセルフ−ディフュージョンによって、銀で構成される電極端子112が断線または短絡される現象を防止できる。
【0052】
特に、本発明では前記シーリング部材23として表面疎水性改質処理層と絶縁層を含む。前記シーリング部材23は、これと接する電極端子112や基板11の場合、その材質が金属またはガラス材質であるため、これらとシーリング部材23の間の接着力が高くなければならない。従来、前記シーリング部材23として有機絶縁物質を単独で用いたが、この場合、シーリング部材23との接着力が低く、透湿性が高い短所があって、本発明ではシリコン系絶縁物質を用いることによって、それを補うことができる。
【0053】
前記表面疎水性改質処理層は、ポリシロキサン系樹脂を含み、これはシロキサン樹脂、アルキルシリケート、及びこれらの組み合わせで構成された群より選択された1種を硬化して得ることができる。
【0054】
また、前記アルキルシリケートは、C1乃至C8の炭素数のアルキル基を含み、望ましくはメチルシリケート、エチルシリケート、プロピルシリケート、イソプロピルシリケート、ブチルシリケート、イソブチルシリケート及びこれらの組み合わせで構成された群より選択された1種でよい。
【0055】
この時、絶縁層は、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂及びこれらの組み合わせで構成された群より選択された1種を含む。
【0056】
このような本発明によるシーリング部材23は、表面疎水性改質処理層を形成し、その上部に絶縁層を配置したり、前記絶縁層を形成した後、その上部に表面疎水性改質処理層を配置したり、前記絶縁層と表面疎水性改質処理層を同時に形成する。
【0057】
図4は本発明の実施形態1によるシーリング部材23を示した断面図である。図4を参照すると、シーリング部材23は、電極端子112上に表面疎水性改質処理層233aが形成され、その上部に絶縁層234bが形成される。
【0058】
このようなシーリング部材23の形成は、本発明に限定されず、通常の湿式コーティング法でコーティングした後、硬化段階を経て製造されると共に、前記方法は使用される材質により適切に選択する。
【0059】
代表的に、シロキサン樹脂やアルキルシリケートが溶媒に分散した表面疎水性改質処理層の形成用組成物を電極端子112の部分に印刷する方法、及びスプレーコーティング法のような湿式コーティングして、表面疎水性改質処理層233aを形成し、前記表面疎水性改質処理層233a上に絶縁層形成用組成物を湿式コーティングして、乾燥した後に硬化して、絶縁層234aを形成する。前記硬化は、熱硬化またはUV硬化が可能で、望ましくは熱硬化を行う。この時、熱硬化は25乃至400℃、望ましくは50乃至200℃、さらに望ましくは80乃至120℃の温度で加熱して行う。UV、25乃至400℃、望ましくは50乃至200℃で硬化して、表面疎水性改質処理層233a及び絶縁層234aを形成する。
【0060】
このような段階を経て、表面疎水性改質処理層233aはポリシロキサン系樹脂に硬化する。この時、溶媒としては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールを含むアルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテルのエーテル類、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸-3−メトキシブチルを含むエステル類などが使用可能である。
【0061】
図5は本発明の実施形態2によるシーリング部材23’を示した断面図である。図5を参照すると、シーリング部材23は電極端子112上に絶縁層234aが形成され、その上部に表面疎水性改質処理層233aが形成される。
【0062】
このようなシーリング部材23’の形成は、絶縁層234aと表面疎水性改質処理層233aの塗布順だけ異ならせて、具体的な組成及び製造方法は前記の実施形態1と同様である。
【0063】
図6は本発明の実施形態3によるシーリング部材23”を示した断面図である。図6を参照すると、シーリング部材23”は電極端子112上に絶縁層234cと表面疎水性改質処理層233cが同時に存在する。
【0064】
このようなシーリング部材23”の形成は、絶縁層形成用組成物と表面疎水性改質処理層形成用組成物を混合して、シーリング部材形成用組成物を製造した後、電極端子112に塗布した後、硬化段階を経て行われる。
【0065】
前述したような第1乃至第3実施形態のシーリング部材23、23’、23”は、30乃至50(g/cm、1日当り)の透湿度と5.0乃至5.7MPaの接着強度を有する。その結果、前記シーリング部材23によってプラズマディスプレイ装置内に外部の湿気が透過吸収されず、負電極のマイグレーション現象が最少化されて、高温の状態でも安定性を有するので、外部の環境的変化にも電極端子112の収縮及び膨張の変化を最少化して、電極端子の断線及び短絡を防止できる。
【0066】
以下、本発明の望ましい実施形態を記載する。ただし、下記の実施形態は本発明の望ましい一つの実施形態であり、本発明が下記の実施形態に限定されるのではない。
【0067】
[実施形態]
(実施形態1)
基板にエチルシリケート溶液(40w/v(%)のエタノール分散液)を塗布してこれを乾燥した後、その上部にシリコン樹脂を塗布して45℃で熱硬化して、表面疎水性改質処理層と絶縁層を含むシーリング部材を製造した。
【0068】
(実施形態2)
基板にシリコン樹脂を塗布して乾燥した後、その上部にエチルシリケート溶液(40w/v(%)のエタノール分散液)を塗布して40℃で硬化し、表面疎水性改質処理層と絶縁層を含むシーリング部材を製造した。
【0069】
(実施形態3)
エタノールにエチルシリケート及びシリコン樹脂を1:1の質量比に混合した溶液を基板に塗布及び乾燥した後、40℃で熱硬化して、シーリング部材を製造した。
【0070】
(比較例1)
基板にシリコン樹脂を塗布して乾燥した後、UVで硬化して、シリコン樹脂を単独で含むシーリング部材を製造した。
【0071】
(比較例2)
基板にシリコン樹脂を塗布してこれを乾燥して、シリコン樹脂を単独で含むシーリング部材を製造した。
【0072】
(実験例1)
前記実施形態1乃至3乃至及び比較例1及び2で製造されたシーリング部材の接着強度をInstron 6022(荷重:500g及び90℃剥離)引張試験器を利用して測定した。PI(ポリイミド)T型ジョイントを利用して、基板でシーリング部材を5mm/分速度で剥離して剥離する作業中に正常状態荷重を記録した。得られた結果を下記表1に示した。
【表1】

【0073】
前記表1を参照すると、本発明による実施形態1乃至3の表面疎水性改質処理層と絶縁層を含むシーリング部材と比較例1のシーリング部材は高い接着強度を示し、一方、硬化しない比較例2のシーリング部材の場合、相対的に低い接着強度を示した。
【0074】
(実験例2)
前記実施形態1乃至3乃至比較例1及び2で製造されたシーリング部材の透湿度を調べるために、前記シーリング部材が形成された基板を40℃に維持される温水に24時間浸漬させた後、浸漬前と浸漬後の質量を計算して、透湿度を測定して得られた結果を下記表2に示した。
【表2】

【0075】
前記表2を参照すると、本発明による実施形態1乃至3のシーリング部材の場合、低い透湿度を示し、外部からの湿気を効果的に遮断できることが分かる。
【0076】
(実験例3)
前記実施形態1乃至3乃至比較例1及び2で製造されたシーリング部材の高温、高湿下での接着強度を調べるために、前記シーリング部材を50℃、湿度90%の条件の高温/高湿チャンバーに装入した後、5日間接着強度の変化を測定した。接着強度は前記で言及したInstron 6022(荷重:500g及び90℃剥離)引張試験器を利用して測定した。得られた結果を下記表3に示した。
【表3】

【0077】
前記表2を参照すると、本発明による実施形態1乃至3のシーリング部材の場合、高温高湿雰囲気下でも接着強度の変化が殆どなかったり微弱だったため、信頼性の高いデータを得ることができた。これに対して、比較例1及び2の場合、各々、18.75%及び25%の高い変化を表して、このような結果は実際プラズマディスプレイ装置駆動時に外部温度/湿度条件によりシーリング部材のシーリング効果が大きく低下することを示している。
【0078】
以上、本発明の単純な変形または変更は、全てこの分野の通常の知識を有する者によって、容易に実施され、このような変形や変更は全て本発明の領域に含まれると見られる。
【符号の説明】
【0079】
11 プラズマディスプレイパネル
13 放熱シート
15 シャーシーベース
17印刷回路ボードアセンブリー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する両基板の間に電極を備えて、画像を表示するプラズマディスプレイパネルと、
前記プラズマディスプレイパネルを装着して支持するシャーシーベースと、
前記シャーシーベースに装着される印刷回路ボードアセンブリーと、
前記印刷回路ボードアセンブリーと前記電極を接続するフレキシブルプリント配線と、
前記電極に接続される電極端子と前記フレキシブルプリント配線に形成される端子の間に介在されて、両者を電気的に接続する異方性導電フィルムと、
前記電極端子の端部と前記フレキシブルプリント配線の端部とをシーリングするシーリング部材とを含み、
前記シーリング部材は、表面疎水性改質処理層と絶縁層を含むことを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
【請求項2】
前記シーリング部材は、表面疎水性改質処理層と、その上部に絶縁層を備えることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項3】
前記シーリング部材は、絶縁層とその上部に表面疎水性改質処理層を備えることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項4】
前記シーリング部材は、絶縁層と表面疎水性改質処理層とを同時に形成することを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項5】
前記表面疎水性改質処理層は、ポリシロキサン系樹脂を含むことを特徴とする請求項2に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項6】
前記ポリシロキサン系樹脂は、シロキサン樹脂、アルキルシリケート、及びこれらの組み合わせで構成された群より選択された1種を硬化して得られたことを特徴とする請求項5に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項7】
前記アルキルシリケートは、C1乃至C8の炭素数のアルキル基を含むことを特徴とする請求項6に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項8】
前記アルキルシリケートは、メチルシリケート、エチルシリケート、プロピルシリケート、イソプロピルシリケート、ブチルシリケート、イソブチルシリケート、及びこれらの組み合わせで構成された群より選択された1種であることを特徴とする請求項7に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項9】
前記表面疎水性改質処理層は、ポリシロキサン系樹脂を含むことを特徴とする請求項3に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項10】
前記ポリシロキサン系樹脂は、シロキサン樹脂、アルキルシリケート、及びこれらの組み合わせで構成された群より選択された1種を硬化して得られたことを特徴とする請求項9に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項11】
前記アルキルシリケートは、C1乃至C8の炭素数のアルキル基を含むことを特徴とする請求項10に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項12】
前記アルキルシリケートは、メチルシリケート、エチルシリケート、プロピルシリケート、イソプロピルシリケート、ブチルシリケート、イソブチルシリケート及びこれらの組み合わせで構成された群より選択された1種であることを特徴とする請求項11に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項13】
前記表面疎水性改質処理層は、ポリシロキサン系樹脂を含むことを特徴とする請求項4に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項14】
前記ポリシロキサン系樹脂は、シロキサン樹脂、アルキルシリケート、及びこれらの組み合わせで構成された群より選択された1種を硬化して得られたことを特徴とする請求項13に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項15】
前記アルキルシリケートは、C1乃至C8の炭素数のアルキル基を含むことを特徴とする請求項14に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項16】
前記アルキルシリケートは、メチルシリケート、エチルシリケート、プロピルシリケート、イソプロピルシリケート、ブチルシリケート、イソブチルシリケート及びこれらの組み合わせで構成された群より選択された1種であることを特徴とする請求項15に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項17】
前記絶縁層は、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、及びこれらの組み合わせで構成された群より選択された1種を含むことを特徴とする請求項2に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項18】
前記絶縁層は、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂及びこれらの組み合わせで構成された群より選択された1種を含むことを特徴とする請求項3に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項19】
前記絶縁層は、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂及びこれらの組み合わせで構成された群より選択された1種を含むことを特徴とする請求項4に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項20】
前記シーリング部材の透湿度は、30乃至50(g/cm、1日当り)であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項21】
前記シーリング部材の接着強度は、5.0乃至5.7MPaであることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項22】
前記シーリング部材は、前記フレキシブルプリント配線端部とこれに対向する前記基板端部の間にシーリングされる第1シーリング部材と、
前記電極端子の端部とこれに対向する前記フレキシブルプリント配線の間にシーリングされる第2シーリング部と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項23】
前記第1シーリング部材は、前記電極を覆う誘電層の端部と、前記電極端子の上、及び前記異方性導電フィルムの前記誘電層の端部と、をシーリングすることを特徴とする請求項22に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項24】
前記第2シーリング部材は、前記電極端子の端部と、前記異方性導電フィルムの前記誘電層の反対側の端部と、をシーリングすることを特徴とする請求項22に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項25】
互いに対向する両基板の間に電極を備えて、画像を表示するプラズマディスプレイパネルを印刷回路ボードアセンブリーが装着されたシャーシーベースに装着し、
前記印刷回路ボードアセンブリーと、前記プラズマディスプレイパネルの電極の電極端子と、フレキシブルプリント配線の端子と異方性導電フィルムを通して電気的に接続し、
前記電極端子の端部と、前記フレキシブルプリント配線の端部に表面疎水性改質処理層とを形成した後、その上部に絶縁層を形成して、シーリング部材を製造する段階を含むことを特徴とするプラズマディスプレイ装置の製造方法。
【請求項26】
前記表面疎水性改質処理層は、シロキサン樹脂、アルキルシリケート、及びこれらの組み合わせで構成された群より選択された1種を含む組成物を塗布後に硬化して製造することを特徴とする請求項25に記載のプラズマディスプレイ装置の製造方法。
【請求項27】
前記硬化は、熱硬化またはUV硬化であることを特徴とする請求項26に記載のプラズマディスプレイ装置の製造方法。
【請求項28】
互いに対向する両基板の間に電極を備えて、画像を表示するプラズマディスプレイパネルを印刷回路ボードアセンブリーが装着されたシャーシーベースに装着し、
前記印刷回路ボードアセンブリーと、前記プラズマディスプレイパネルの電極の電極端子と、フレキシブルプリント配線の端子と異方性導電フィルムを通して電気的に接続し、
前記電極端子の端部と前記フレキシブルプリント配線の端部に絶縁層を形成した後、その上部に表面疎水性改質処理層を形成して、シーリング部材を製造する段階を含むことを特徴とするプラズマディスプレイ装置の製造方法。
【請求項29】
前記表面疎水性改質処理層は、シロキサン樹脂、アルキルシリケート、及びこれらの組み合わせで構成された群より選択された1種を含む組成物を塗布後に硬化して製造することを特徴とする請求項28に記載のプラズマディスプレイ装置の製造方法。
【請求項30】
前記硬化は、熱硬化またはUV硬化であることを特徴とする請求項29に記載のプラズマディスプレイ装置の製造方法。
【請求項31】
互いに対向する両基板の間に電極を備えて、画像を表示するプラズマディスプレイパネルを印刷回路ボードアセンブリーが装着されたシャーシーベースに装着し、
前記印刷回路ボードアセンブリーと、前記プラズマディスプレイパネルの電極の電極端子と、フレキシブルプリント配線の端子と異方性導電フィルムを通して電気的に接続し、
前記電極端子の端部と前記フレキシブルプリント配線の端部に表面疎水性改質処理層と絶縁層を同時に形成して、シーリング部材を製造する段階を含むことを特徴とするプラズマディスプレイ装置の製造方法。
【請求項32】
前記表面疎水性改質処理層は、シロキサン樹脂、アルキルシリケート、及びこれらの組み合わせで構成された群より選択された1種を含む組成物を塗布後に硬化して製造することを特徴とする請求項31に記載のプラズマディスプレイ装置の製造方法。
【請求項33】
前記硬化は、熱硬化またはUV硬化であることを特徴とする請求項32に記載のプラズマディスプレイ装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−277108(P2010−277108A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−168032(P2010−168032)
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【分割の表示】特願2007−283863(P2007−283863)の分割
【原出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】