説明

プラズマ生成装置

【課題】排気通路においてプラズマを生成するプラズマ生成装置において、多くの排気ガスをプラズマに接触させ、排気ガスの処理効率を向上させる。
【解決手段】プラズマ生成装置20は、電磁波を放射するためのアンテナ27と、アンテナ27から放射された電磁波を閉じ込め、電磁波によりプラズマが生成される空間を内部に形成する網状部材40とを有する処理ユニット25を複数備えている。プラズマ生成装置20は、排気通路30に配置された各処理ユニット25の内部でプラズマを生成して、各処理ユニット25を通過する排気ガスをプラズマ処理する。プラズマ生成装置20の各処理ユニット25では、排気通路30における排気ガスの流通方向から見て、網状部材40が略円形に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気通路においてプラズマを生成するプラズマ生成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、排気通路においてプラズマを生成するプラズマ生成装置が知られている。特許文献1には、この種のプラズマ生成装置として、ガス処理装置が記載されている。
【0003】
具体的に、特許文献1のガス処理装置は、複数のガス処理ユニットを備えている。各ガス処理ユニットは、アンテナとスパークプラグとが設けられたキャビティ(網状部材)を備えている。キャビティは、マイクロ波を封じ込め、マイクロ波プラズマが生成される処理室を形成する。ガス流路には、複数のキャビティが配列されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−34674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のプラズマ生成装置では、電磁波を封じ込める網状部材が円筒状に形成されている。網状部材は、排気通路における排気ガスの流通方向から見て矩形である。そのため、網状部材の内部では、両端の縁部近傍など隅角部がデッドスペースとなってしまい、プラズマに接触せずに網状部材を通過する排気ガスが多くなる。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、排気通路においてプラズマを生成するプラズマ生成装置において、多くの排気ガスをプラズマに接触させ、排気ガスの処理効率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、電磁波を放射するためのアンテナと、該アンテナから放射された電磁波を閉じ込め、該電磁波によりプラズマが生成される空間を内部に形成する網状部材とを有する処理ユニットを複数備え、排気通路に配置された各処理ユニットの内部でプラズマを生成して、各処理ユニットを通過する排気ガスをプラズマ処理するプラズマ生成装置を対象とし、前記各処理ユニットでは、前記排気通路における排気ガスの流通方向から見て、前記網状部材が略円形に形成されている。
【0008】
第1の発明では、各処理ユニットにおいて、排気通路における排気ガスの流通方向から見て、網状部材が略円形に形成されている。通過する排気ガスがプラズマに接触する網状部材の内部空間は、排気ガスの流通方向から見て、隅角部がない略円形の空間になる。第1の発明では、排気ガスの流通方向から見て、網状部材を略円形に形成して、網状部材の内部空間からデッドスペースとなる隅角部がなくなるようにしている。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記排気通路の流路断面における縦方向と横方向にそれぞれ前記処理ユニットが複数設けられている。
【0010】
第2の発明では、排気通路の横断面における縦方向と横方向にそれぞれ、複数の処理ユニットが配置されている。処理ユニットの網状部材は、排気通路の横断面における縦方向と横方向に複数入る大きさに形成されている。
【0011】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記排気通路の横断方向に沿って配置された複数の処理ユニットからなるユニット群が、排気ガスの流通方向に複数並べられている。
【0012】
第3の発明では、複数の処理ユニットからなるユニット群が、排気ガスの流通方向に複数並べられている。各ユニット群では、排気通路の横断方向に沿って複数の処理ユニットが配置されている。処理ユニットの網状部材は、排気ガスの流通方向と排気通路の横断方向とにそれぞれ複数並べられている。
【0013】
第4の発明は、第1乃至第3の何れか1つの発明において、前記処理ユニットが、放電を発生させる放電器を備え、前記アンテナから電磁波を放射する際に前記放電器による放電を行うことにより、プラズマを生成する一方、前記アンテナから電磁波を放射している期間に、前記放電器による放電を繰り返し行う。
【0014】
第4の発明では、アンテナから電磁波を放射している期間、つまり、電磁波によりプラズマを維持しようとする期間に、放電器による放電が繰り返し行われる。ここで、アンテナから電磁波を放射する際に放電を行うことによりプラズマを生成する場合は、電磁波だけでプラズマを生成する場合に比べて、単位時間当たりに投入する電磁波のエネルギーを小さくすることが可能である。電磁波を放射する際に放電を行うと、放電に伴い放出される自由電子がプラズマのトリガーとなるので、プラズマが生成されやすくなる。他方、排気通路では、排気ガスの流れによりプラズマが吹き消されるおそれがある。そのため、電磁波を放射するだけでは、プラズマが吹き消されると、それ以降プラズマがなくなるおそれがある。それに対して、第4の発明では、電磁波が供給されている期間に、放電が繰り返し行われ、自由電子が継続的に放出される。従って、排気ガスの流れによりプラズマが吹き消されても、再びプラズマが生成される。
【0015】
第5の発明は、排気通路において放電を発生させる放電器と、前記排気通路に高周波のエネルギーを供給する高周波発生器とを備え、前記高周波発生器から前記排気通路へ高周波を供給する際に前記放電器による放電を行うことにより、プラズマを生成するプラズマ生成装置を対象とする。そして、このプラズマ生成装置は、前記高周波発生器から前記排気通路へ高周波を供給している期間に、前記放電器による放電を繰り返し行う。
【0016】
第5の発明では、高周波発生器から高周波を供給している期間、つまり、高周波によりプラズマを維持しようとする期間に、放電器による放電が繰り返し行われる。従って、排気ガスの流れによりプラズマが吹き消されても、再びプラズマが生成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、排気通路における排気ガスの流通方向から見て、網状部材を略円形に形成して、網状部材の内部空間からデッドスペースとなる隅角部がなくなるようにしている。排気ガスの流通方向から見て、網状部材の内部空間に対してプラズマが占める割合が大きくなる。従って、各処理ユニットにおいて多くの排気ガスをプラズマに接触させることができるので、排気ガスの処理効率を向上させることができる。
【0018】
また、第4乃至第5の各発明では、プラズマを維持しようとする期間に放電が繰り返し行われて自由電子が継続的に放出されるので、排気ガスの流れによりプラズマが吹き消されても、再びプラズマが生成される。従って、排気ガスの流れによりプラズマ処理が意図せず短縮されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態に係る排気通路における浄化触媒近傍の概略構成図である。
【図2】実施形態に係るプラズマ生成装置のブロック図である。
【図3】実施形態に係るユニット群を排気通路における排気ガスの流通方向から見た正面図である。
【図4】実施形態に係る処理ユニットの側面図である。
【図5】実施形態の変形例1に係る各処理ユニットにおけるマイクロ波放射期間と放電タイミングとの関係を表すタイムチャートである。
【図6】実施形態の変形例3に係る複数の処理ユニットを排気通路における排気ガスの流通方向から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0021】
本実施形態は、エンジンの排気通路30においてプラズマを生成するプラズマ生成装置20である。プラズマ生成装置20は、図1に示すように、排気通路30の一部を構成する収容部材32に、排気ガスを浄化する浄化触媒31(三元触媒)と共に設けられている。プラズマ生成装置20は、浄化触媒31の直上流に設けられている。
【0022】
プラズマ生成装置20は、図2に示すように、電磁波発生装置21と分配器22と複数の高電圧発生器23と複数の処理ユニット25と制御装置26とを備えている。高電圧発生器23は、処理ユニット25毎に設けられている。分配器22は、複数の処理ユニット25の間で、電磁波発生装置21から出力されたマイクロ波の供給先を切り替える。各処理ユニット25は、電磁波発生装置21からのマイクロ波と高電圧発生器23からの高電圧パルスとを同時期に受けると、マイクロ波プラズマを生成するように構成されている。
【0023】
具体的に、電磁波発生装置21は、制御装置26から電磁波駆動信号を受けると、所定のデューティー比でマイクロ波パルスを繰り返し出力する。電磁波駆動信号はパルス信号であり、電磁波発生装置21は、電磁波駆動信号のパルス幅の時間に亘って、マイクロ波パルスを繰り返し出力する。電磁波発生装置21では、半導体発振器がマイクロ波を生成する。なお、半導体発振器の代わりに、マグネトロン等の他の発振器を使用してもよい。
【0024】
分配器22は、1つの入力端子と、処理ユニット25毎に設けられた複数の出力端子とを備えている。入力端子は、電磁波発生装置21に接続されている。各出力端子は、処理ユニット25の後述するアンテナ27に接続されている。
【0025】
各高電圧発生器23は、例えば点火コイルである。各高電圧発生器23は、対応する処理ユニット25の後述する放電器28に接続されている。各高電圧発生器23は、制御装置26から放電信号を受けると、高電圧パルスを出力する。
【0026】
各処理ユニット25は、図3及び図4に示すように、放電を発生させる放電器28と、マイクロ波を放射するためのアンテナ27と、内部にプラズマが生成されるプラズマ生成室41を形成する網状部材40とを備えている。
【0027】
網状部材40は、略釣り鐘状に形成されている。網状部材40は、図4において上方向から見た形状が円形である。なお、網状部材40の形状は、球形など他の形状を採用してもよい。
【0028】
放電器28は、例えば点火プラグである。放電器28は、中心電極と接地電極との間の放電ギャップがプラズマ生成室41に臨むように、網状部材40の頂部に取り付けられている。アンテナ27は、棒状に形成されている。アンテナ27は、マイクロ波の放射位置(輻射位置)がプラズマ生成室41に臨むように、網状部材40の底面に取り付けられている。網状部材40は、アンテナ27から放射されたマイクロ波をプラズマ生成室41に閉じ込めることができるように、つまり、マイクロ波が網状部材40を通過しないように、メッシュの大きさが設定されている。
【0029】
排気通路30では、浄化触媒31の直上流に、複数の処理ユニット25が規則的に配置されている。排気通路30では、排気通路30の横断方向に沿って配置された複数の処理ユニット25からなるユニット群50が、排気ガスの流通方向に複数並べられている。各ユニット群50では、排気通路30の壁面に固定された網板状の固定部材35に、複数の網状部材40が取り付けられている。各網状部材40は、その頂部が上流側を向きその底面が下流側を向く姿勢で、固定部材35に取り付けられている。固定部材35は、排気通路30の横断方向に沿って設けられている。各網状部材40の外形は、排気通路30における排気ガスの流通方向から見て円形である。
【0030】
各ユニット群50では、固定部材35に複数の網状部材40が格子状に取り付けられている。各ユニット群50では、排気通路30の横断面における縦方向と横方向にそれぞれ網状部材40が複数設けられている。隣り合うユニット群50では、網状部材40の位置が互いにずれている。各ユニット群50において網状部材40の中心が存在する位置を格子点とした場合に、隣り合うユニット群50では、縦方向及び横方向において格子の長さの半分だけ、格子点の位置が互いにずれている。
−プラズマ生成装置の動作−
【0031】
各処理ユニット25の内部でプラズマを生成して、各処理ユニット25の網状部材40を通過する排気ガスをプラズマ処理するプラズマ生成装置20の動作について説明する。プラズマ生成装置20は、エンジンを制御する電子制御装置(いわゆるECU)から制御装置26が開始指令を受けると、排気通路30においてマイクロ波プラズマを生成するプラズマ生成動作を行う。プラズマ生成動作では、複数の処理ユニット25の間で、マイクロ波プラズマが生成される処理ユニット25が順番に切り替えられる。なお、電子制御装置は、例えばエンジンの始動時に開始指令を出力する。
【0032】
なお、エンジンは、エンジンだけを駆動源とする自動車に搭載されるものであってもよいし、エンジンとモータを駆動源とするハイブリッド自動車に搭載されるものであってもよい。ハイブリッド自動車は、例えば低負荷から高負荷へ変化する際に、モータからエンジンへの駆動源の切り替えによりエンジンが始動される。
【0033】
具体的に、制御装置26は、開始指令を受けると、電磁波駆動信号及び放電信号を出力する。電磁波駆動信号は、電磁波発生装置21に出力される。放電信号は、最初にマイクロ波プラズマを生成する予定の処理ユニット25(以下、「開始用処理ユニット」という。)の放電器28に対応する高電圧発生器23に出力される。
【0034】
電磁波発生装置21は、電磁波駆動信号を受けると、所定のデューティー比でマイクロ波パルスを繰り返し出力し始める。分配器22は、電磁波発生装置21から入力されたマイクロ波パルスの供給先が、開始用処理ユニット25に設定されている。一方、高電圧発生器23は、開始用処理ユニット25の放電器28に高電圧パルスを出力する。
【0035】
開始用処理ユニット25では、アンテナ27にマイクロ波パルスが供給され、放電器28に高電圧パルスが供給される。開始用処理ユニット25の網状部材40内のプラズマ生成室41では、アンテナ27からマイクロ波の放射が開始されるのと同時に、放電器28の放電ギャップにおいてスパーク放電が生じる。そうすると、スパーク放電に伴って、排気ガス成分の分子から自由電子が放出され、その自由電子がマイクロ波のエネルギーを受けて加速される。自由電子は、周囲のガス分子に衝突し、そのガス分子を電離させる。電離により放出された自由電子も、マイクロ波のエネルギーを受けて加速され、周囲のガス分子を電離させる。このように、プラズマ生成室41では、ガス分子が雪崩式に電離し、比較的大きなマイクロ波プラズマが生成される。マイクロ波プラズマは、アンテナ27からマイクロ波パルスが繰り返し放射されている期間に亘って維持される。
【0036】
プラズマ生成動作では、制御装置26が、所定の切替時間毎に、マイクロ波パルスの供給先の切り替えを指令する切替信号を分配器22へ出力すると同時に、その切替信号によってマイクロ波パルスの供給先となる処理ユニット25の放電器28に対応する高電圧発生器23に、放電信号を出力する。マイクロ波パルスの供給先となる処理ユニット25では、高電圧発生器23から放電器28に高電圧パルスが供給される。そうすると、その処理ユニット25では、アンテナ27からマイクロ波の放射が開始されるのと同時に、放電器28の放電ギャップにおいてスパーク放電が生じて、マイクロ波プラズマが生成される。マイクロ波プラズマは、分配器22においてマイクロ波パルスの供給先が切り替えられるまで維持される。プラズマ生成動作では、短い切替時間(例えば数ミリ秒)の間隔で、マイクロ波プラズマを生成する処理ユニット25が順番に切り替えられる。
【0037】
各処理ユニット25では、マイクロ波プラズマが維持されている期間に、マイクロ波パルスの放射と停止が所定のデューティー比で繰り返される。このデューティー比は、マイクロ波プラズマが熱プラズマにならず、且つ、マイクロ波プラズマが消滅しないように、放射時間と停止時間が設定されている。各処理ユニット25では、非平衡のマイクロ波プラズマが維持される。
【0038】
プラズマ生成動作は、電磁波発生装置21がマイクロ波パルスの出力を停止するまで継続される。プラズマ生成動作は、電磁波駆動信号のパルス幅の時間(例えば数秒)に亘って継続される。マイクロ波プラズマを生成する処理ユニット25の切り替えは、プラズマ生成動作が終了するまで行われる。
【0039】
プラズマ生成動作中は、マイクロ波プラズマが形成されている処理ユニット25の網状部材40を通過する排気ガスが、酸化しやすい成分に分解される。また、マイクロ波プラズマの生成に伴ってOHラジカルなどの活性種が生成される。浄化触媒31には、分解された成分が活性種と共に流入する。その結果、浄化触媒31に流入する排気ガスをマイクロ波プラズマに接触させない場合に比べて、浄化触媒31の活性温度は低下する。本実施形態では、エンジンの電子制御装置がエンジンの始動時に開始指令を出力するので、エンジン始動時の浄化触媒31の活性化に要する時間が短縮される。
−実施形態の効果−
【0040】
本実施形態では、排気通路30における排気ガスの流通方向から見て、網状部材40を円形に形成して、網状部材40の内部空間からデッドスペースとなる隅角部がなくなるようにしている。排気ガスの流通方向から見て、網状部材40の内部空間に対してマイクロ波プラズマが占める割合が大きくなる。従って、各処理ユニット25において多くの排気ガスをマイクロ波プラズマに接触させることができるので、排気ガスの処理効率を向上させることができる。
−実施形態の変形例1−
【0041】
変形例1では、各処理ユニット25において、図5に示すように、アンテナ27からマイクロ波パルスが繰り返し放射されるマイクロ波放射期間に、放電器28による放電が繰り返し行われる。つまり、マイクロ波によりマイクロ波プラズマを維持しようとする期間に、放電器28による放電が繰り返し行われる。
【0042】
変形例1では、マイクロ波放射期間に放電により自由電子を継続的に放出される。そのため、排気ガスの流れによりプラズマが吹き消されても、再びプラズマが生成される。従って、排気ガスの流れによりプラズマ処理が意図せず短縮されることを抑制することができる。
【0043】
なお、変形例1は、マイクロ波よりも周波数が低いキロヘルツ帯やメガヘルツ帯の高周波であってもよい。プラズマ生成装置20は、排気通路30において放電を発生させる放電器28と、排気通路30に高周波のエネルギーを供給する高周波発生器とを備えている。プラズマ生成装置20は、高周波発生器から排気通路30へ高周波を供給する際に放電器28による放電を行うことによりプラズマを生成する。プラズマ生成装置20は、高周波発生器から排気通路30に高周波を供給している期間に、放電器28による放電を繰り返し行う。例えば、排気通路30に点火プラグ28を設け、スパーク放電と同時に、高電圧の交流を中心電極と接地電極とに印加すると、比較的大きなプラズマが生成される。このようなプラズマ生成装置20においても、高電圧の交流を点火プラグ28へ供給している期間に、放電を繰り返し行うことで、排気ガスの流れによりプラズマが吹き消されても、再びプラズマを生成することができる。
−実施形態の変形例2−
【0044】
変形例2では、電磁波発生装置21と分配器22とが複数組設けられている。例えば、電磁波発生装置21及び分配器22の組合せは、ユニット群50毎に設けられている。プラズマ生成動作では、各処理ユニット群50において、複数の処理ユニット25の間で、マイクロ波プラズマが生成される処理ユニット25が順番に切り替えられる。変形例2では、異なるユニット群50では同時にマイクロ波プラズマが生成される処理ユニット25が存在する。従って、プラズマ生成動作中に、複数の処理ユニット25で同時に排気ガスをプラズマ処理することができる。
−実施形態の変形例3−
【0045】
変形例3では、図6に示すように、浄化触媒31の外周部分に対応する領域だけに、複数の処理ユニット25が設けられている。複数の処理ユニット25は、排気通路30の壁面に沿って連なっている。なお、処理ユニット25同士は、平面の網状部材で接合されているが、各処理ユニット25の網状部材40は、排気通路30における排気ガスの流通方向から見て、略円形である。
【0046】
この場合に、浄化触媒31の中心部に、電磁波を吸収する電磁波吸収体55(例えば、カーボンマイクロコイル)が設けられている。エンジンの始動時に、プラズマ生成装置20とは別途に設けた電磁波発生装置から、浄化触媒31を収容する空間へ電磁波が供給される。浄化触媒31の中心部は、電磁波吸収体55が加熱されることで、活性温度に短時間で到達する。一方、浄化触媒31の外周部は、複数の処理ユニット25によってプラズマ処理が行われることで、上述したように、排気ガスの成分の分解と活性種の生成がなされて、活性温度に短時間で到達する。
【0047】
なお、浄化触媒31へ電磁波吸収体55を設ける代わりに、処理ユニット25と浄化触媒31との間に、電磁波吸収体55を設けてもよい。電磁波吸収体55は、浄化触媒31の上流において浄化触媒31の中央部に対面する位置に配置される。また、浄化触媒31の上流と下流の両方に、電磁波吸収体55を設けてもよい。
《その他の実施形態》
【0048】
前記実施形態は、以下のように構成してもよい。
【0049】
前記実施形態において、浄化触媒31は、三元触媒以外の他の触媒(例えば、尿素SCRシステムのSCR触媒)であってもよい。
【0050】
また、前記実施形態において、複数の処理ユニット25を浄化触媒31の下流に設けてもよい。プラズマ生成装置20は、浄化触媒31を通過した排気ガスをプラズマ処理する。
【0051】
また、前記実施形態において、プラズマ生成装置20を、例えば燃焼炉の排気通路などエンジンの排気通路30以外に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上説明したように、本発明は、排気通路においてプラズマを生成するプラズマ生成装置について有用である。
【符号の説明】
【0053】
20 プラズマ生成装置
25 処理ユニット
27 アンテナ
28 放電器
30 排気通路
31 浄化触媒
40 網状部材
50 ユニット群


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を放射するためのアンテナと、該アンテナから放射された電磁波を閉じ込め、該電磁波によりプラズマが生成される空間を内部に形成する網状部材とを有する処理ユニットを複数備え、
排気通路に配置された各処理ユニットの内部でプラズマを生成して、各処理ユニットを通過する排気ガスをプラズマ処理するプラズマ生成装置であって、
前記各処理ユニットでは、前記排気通路における排気ガスの流通方向から見て、前記網状部材が略円形に形成されている
ことを特徴とするプラズマ生成装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記排気通路の横断面における縦方向と横方向にそれぞれ前記処理ユニットが複数設けられている。
ことを特徴とするプラズマ生成装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記排気通路の横断方向に沿って配置された複数の処理ユニットからなるユニット群が、排気ガスの流通方向に複数並べられている
ことを特徴とするプラズマ生成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1つにおいて、
前記処理ユニットは、放電を発生させる放電器を備え、前記アンテナから電磁波を放射する際に前記放電器による放電を行うことにより、プラズマを生成する一方、
前記アンテナから電磁波を放射している期間に、前記放電器による放電を繰り返し行う
ことを特徴とするプラズマ生成装置。
【請求項5】
排気通路において放電を発生させる放電器と、
前記排気通路に高周波のエネルギーを供給する高周波発生器とを備え、
前記高周波発生器から前記排気通路へ高周波を供給する際に前記放電器による放電を行うことにより、プラズマを生成するプラズマ生成装置であって、
前記高周波発生器から前記排気通路へ高周波を供給している期間に、前記放電器による放電を繰り返し行う
ことを特徴とするプラズマ生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−2320(P2013−2320A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132152(P2011−132152)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(504293528)イマジニアリング株式会社 (51)
【Fターム(参考)】