説明

プラッシュを製造するためのシンカーセット

【課題】編み機上でプラッシュループの高さを調節する可能性を提供する。
【解決手段】シンカーセットは、クーリエシンカー(11)およびプラッシュシンカー(12)を備える。シンカー(11、12)は、編み針(2)を横切る方向に一緒に動くことができる。前記シンカーは、ステッチを収容するために、間隔をおいて離れた縁を有する。これらの縁の間の距離を調節するために、シンカー(11、12)は、針の送り出し方向に互いに向けて動くことができる。そのために様々なサポート表面またはガイド表面(20、22;26、32、33)に接触している、間隔をおいて離れたガイド縁(17、18;27、29、30)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラッシュ製品を製造するための編みシステム用の、特に、円形編み機に使用されるための、シンカーセットに関する。本特許出願に関して、編みシステムは、一対のステッチを形成するために必要なすべての部品を備え、上記対は、基部ステッチおよびプラッシュステッチから構成される。
【背景技術】
【0002】
たとえば、独国特許第3035582C2号、独国特許第3145307C2号、または、独国特許第4129845A1号から公知である編みシステムが、プラッシュを製造するために使用される。そのような編みシステムは、少なくとも1つの針、および、針の横方向に延出する1つのスリット状窪みを備えたシンカーを備える。スリットより上に、シンカーは、針の横方向に整列配置された(ダウンホルダ)ラグを有し、上記針の上縁は、プラッシュループを受け取るように配置されている。スリットに位置する縁は、クーリエ縁として作用する。
【0003】
独国特許第3035582C2号には、スリットを備えたシンカーに加えて第2のシンカーを提供する特定の解決法が開示されており、上記第2のシンカーの平坦面は、第1のシンカーに対して当接する。第2のシンカーは、第1のシンカーのスリットを部分的に覆うことができる突起物を有する。そうすることにより、たとえば、連結された針が送り出された後にプラッシュループを再延伸するために、2つのシンカー間の相対移動による有効スリット長さを変えることが可能である。
【0004】
そのような公知のステッチ形成システムの操作モードは、共通の原則に従う。基部糸およびプラッシュ糸は、適切な糸ガイドに別個に供給される。従来の方法で、基部糸は、プラッシュシンカーの引きおろす(クーリエ)縁上にあり、一方、プラッシュ糸は、クーリエに対して上昇する上記上部シンカーラグ上にある。新しく形成されたステッチ、基部糸およびプラッシュ糸が、一緒に引きおろされる。1つの編みシステムにつき1つのシンカーしかない公知の実施形態、および、1つの編みシステムにつき2つのシンカーを備えたシステムは、この原則に従う。
【0005】
プラッシュループの高さは、(ラッチタイプ)針のフックの内縁からプラッシュシンカーのクーリエまでの距離から生じ、したがって、使用されているプラッシュシンカーの寸法から決まる。プラッシュループの高さを変える場合には、プラッシュシンカーは交換されなければならない。これは、たとえば、1つの円形編み機につき4000のシンカーを考慮すると、かなりの努力を伴う。
【0006】
加えて、先行技術から特別なシンカーが公知であり、上記シンカーは、プラッシュループの高さ調節を可能にする。これに関して、日本国特許出願公開第2005−299056A号が参照される。第2005−299056A号には、引きおろす縁を有する基部シンカーと、基部シンカーに枢軸可能に支持され、引きおろす縁を越えて可変距離で突出するラグを有するプラッシュシンカーと、が開示されている。プラッシュシンカーは、プラッシュシンカーの旋回位置の明確な調節を可能にするように配置された調節装置に連結されている。
【0007】
プラッシュシンカーの旋回位置の調節は重要である。旋回位置がすべての編みシステムおよびプラッシュシンカーで同一ではない場合には、均一のプラッシュ製品を得ることはできない。むしろ、筋が形成されるのを予期しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許第3035582C2号
【特許文献2】独国特許第3145307C2号
【特許文献3】独国特許第4129845A1号
【特許文献4】特開第2005−299056A号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これを考慮して、本発明の目的は、所望により編み機上でプラッシュループの高さを調節する可能性を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にしたがって、本発明の目的は、請求項1にしたがったシンカーセットで達成される。
【0011】
本発明にしたがったシンカーセットは、プラッシュループの高さを簡単に調節することを可能にする。その使用は、複雑なプラッシュシンカー旋回機構を必要とせず、また、プラッシュループの高さを調節するときに必要とされる円形編み機のシンカー交換も必要ない。これは、クーリエシンカーおよびプラッシュシンカーから構成されるシンカー対が設けられるため達成され、クーリエシンカーおよびプラッシュシンカーは、シンカーベッドの異なるガイド表面に連結される。好ましくは、両方のシンカーは、シンカーリングの単一チャネルに一緒に配列される。シンカーは、シンカーフットとして作用するシンカーカムによって従来の方法で制御されてもよい。基本的に、両方のシンカーによって共有されるカム路は駆動用に十分である。シンカーは、シンカーの長手方向でこのカム路によって同調して動く。あるいは、シンカーを別個に制御するのを可能にするために、すなわち、互いに無関係に前後に動かすことができるように、2つ以上のカム路を提供することが可能である。
【0012】
本発明の概念は、クーリエシンカーおよびプラッシュシンカーを互いに対して高さ方向に調節することを可能にする。高さ方向は、シンカーリングのチャネルの底部に垂直であると理解され、すなわち、チャネル壁に平行であり、且つシンカー長手方向を横切る。好ましくは、プラッシュシンカーの高さのみが調節され、一方、クーリエシンカーは調節されない。したがって、プラッシュシンカーは、シンカーベッドの高さ調節可能ガイド表面に連結され、一方、クーリエシンカーは、シンカーベッドの高さ調節不可能ガイド表面に連結される。調節可能ガイド表面は、対応して調節可能なサポート要素に設けられている。そうすることにより、クーリエシンカーの高さは、大半の場合に可変ではない針ストロークに適合されてもよい。プラッシュシンカーの高さ調節によって、プラッシュループの長さ、および、生成されるプラッシュのパイル高さは、調節することができる。
【0013】
好ましくは、シンカーベッドのガイド表面は、調節可能なサポート要素であり、シンカーリングのチャネルに配列されるか、または、別個の要素、たとえば、編みシリンダ上に配列された要素でありうる。調節可能な要素およびそのガイド表面は、シンカーが座すチャネルを横切って延出する。クーリエシンカーおよびプラッシュシンカーの相対的な調節もまた、シンカーリングおよび編みシリンダの相対的な調節によって達成されてもよく、たとえば、クーリエシンカーが編みシリンダ上に支持され、プラッシュシンカーがシンカーリング上に支持される。
【0014】
クーリエシンカーおよびプラッシュシンカーは、好ましくはその真っ直ぐな縁で、ガイド表面に座し、ガイド表面上で摺動する。そうすることにより、ガイド縁は、好ましくは、シンカーの長手方向に配列される。クーリエシンカーのガイド縁およびプラッシュシンカーのガイド縁は、好ましくは、シンカーベッドの異なるガイド表面に係合するために、長手方向に互いから一定距離にある。さらに、または、代替的に、プラッシュシンカーのガイド縁は、クーリエシンカーのガイド縁から高さ方向に一定距離にあってもよく、すなわち、高さ方向はガイド縁の長手方向を横切る方向である。そうすることにより、ガイド要素のコンパクトな構造を達成することができる。
【0015】
好ましくは、2つのシンカーの少なくとも一方には、隣接するシンカーがガイド縁を有する場所に窪みが設けられる。このようにして、各シンカーが関連ガイド表面にのみ係合するのを確実にすることができる。これにより、本発明にしたがってシンカーセットに連結されたクーリエシンカーには窪みが設けられて、基本的に、プラッシュシンカーに連結された高さ調節装置がクーリエシンカーに作用するのを防止するが、これは先行技術にしたがったものとは異なる。
【0016】
本発明にしたがったシンカーセットの2つのシンカーは、シンカーリングのチャネルに一緒に配列される。したがって、プラッシュシンカーは、ガイドチャネルの底部には位置せず、少なくともサポート要素上に位置し、サポート要素は高さ調節可能である。高さ調節可能保持要素が、たとえば、プラッシュシンカーの前部窪みに係合するため、高さ調節可能保持要素に第2のサポートが設けられてもよい。
【0017】
プラッシュシンカーは、ダウンホルダラグを備えて構成されても、または、備えずに構成されてもよい。高さ調節装置の個別要素は、円形編み機の様々な点に、たとえば、シンカーキャリアリング上に、および/または、編みシリンダ上に、配列されてもよい。
【0018】
原則として、プラッシュシンカーおよびクーリエシンカーは、互いに接続されてもよく、それによって、接続は、少なくとも高さに対する2つのシンカーの相対運動を可能にする。しかし、好ましくは、プラッシュシンカーおよびクーリエシンカーは、互いに対して緩い関係にある。すなわち、互いに接続されておらず、それぞれのシンカーベッド、たとえば、シンカーリングのガイドチャネルに、平坦面と平坦面を対向させて一緒に座しており、シンカーチャネルの壁によって一緒に保持される。
【0019】
本発明の有利な実施形態のさらなる詳細は、説明、図面、または、特許請求の範囲から明らかである。説明は、本発明および雑多な状況の本質的な態様に限定される。図面は、補足的な方法で参照されるべきである。それは、さらなる詳細を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】シンカーリングおよび編みシリンダに包埋された編みシステムの概略垂直断面図である。
【図2】修正された実施形態における、編みシステムの対応する例示である。
【図3】編みシステムの別の例示的な実施形態の垂直断面図である。
【図4】図3にしたがった編みシステムの平面図である。
【図5】図3にしたがった編みシステムの前面図である。
【図6】編みシステムの別の修正された実施形態の概略垂直断面図である。
【図7】編みシステムの別の修正された実施形態の垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、プラッシュを備えた編物を製造するための編みシステムを示す。編みシステムは、たとえば、ラッチタイプ針の形状の針2を備える。針2は、端部にフック3を有するシャフトを有する。このフックは、枢軸可能に支持されたラッチ4に連結される。針2は長手方向に、すなわち、例示された実施形態では垂直方向に移動可能なように、編みシリンダ6の針チャネル5に保持される。シリンダばね7が、針2をそれぞれの針チャネルに保持する。
【0022】
編みシリンダ6は、シンカー対10を受け取るために半径方向に配向されたチャネル9を有するシンカーリング8に連結される。半径方向および垂直に配向され、チャネル9の周囲を定めるチャネル壁は存在するが、示されていない。各シンカー対10は、クーリエシンカー11およびプラッシュシンカー12を備える。クーリエシンカー11およびプラッシュシンカー12は、平坦なシートメタル部品であり、互いに面する平坦面で相互に当接する。上記シンカーの各々は、シンカーカム16のカムチャネル15内に延出する駆動フット13、14を有する。編みシリンダ6の回転する軸に同心である垂直方向の回転軸を中心にしたシンカーリング8に対するシンカーカム16の相対回転が、結果として、クーリエシンカー11およびプラッシュシンカー12の同期運動になり、クーリエシンカー11およびプラッシュシンカー12の駆動フット13、14は、非円形カムチャネル15に追従する。
【0023】
図1を参照すると、クーリエシンカー11は、その下部の側部の狭い部分に、ガイド縁17、18を有し、それは、窪み19によって中断されており、シンカーチャネル9の底部20に面する。底部20は、ガイド縁17、18用にガイド表面を形成する。クーリエシンカー11は、シンカーの長手方向21で底部20上を前後に摺動し、前記方向は、シンカーリング8の半径方向に一致し、ガイド縁17、18の長手方向に一致する。
【0024】
ガイド縁17は、必要に応じて、たとえば、編みシリンダ6の上部リング形状端面に設けられている別のガイド表面22上を摺動するために、針2を過ぎて動くように、長さを有してもよい。
【0025】
ガイド縁17はまた、高さを考慮して互いから一定の距離にある2つの平行な平面として構成されてもよい。
【0026】
クーリエシンカー11の高さは調節可能ではない。他のいずれの選択された設定とは無関係に、クーリエシンカーは、所与の高さで前後に摺動することによって、底部20上で動作する。前端に設けられたクーリエシンカーの上縁23は、ニットファブリックをクーリエする(coulier)ために作動するように配置される。
【0027】
シンカー対10に属するプラッシュシンカー12は、高さ調節可能であるように配列される。そのようにするために、シンカーリング8の底部20に沿って延出するチャネル24が設けられ、チャネル24は、シンカーチャネル9を横切って延出する。チャネル24は、高さ調節可能なサポート25を含み、その上側は、プラッシュシンカー12用にガイド表面26を形成する。プラッシュシンカー12は、下側で、真っ直ぐなガイド縁27を有し、これは、縁の長手方向に(矢印21)ガイド表面26上で前後に摺動することができる。そうすることにより、サポート25は、好ましくは静止したままであり、プラッシュシンカー12が摺動している高さ位置を規定する。実際のガイド縁27は、サポート表面26に接触することができるプラッシュシンカー12の下部の側部の狭い部分である。サポート表面20、22を考慮すると、同じことがガイド縁27に対して適用される。シンカー11のガイド縁17と同様に、プラッシュシンカー12のガイド縁27もまた、互いから一定の距離にある2つの平行な平面としてもよい。
【0028】
針2の頭部に隣接するプラッシュシンカー12の前端に、2つの好ましくは真っ直ぐな縁29、30によって範囲を定められる長手方向スリット28を有してもよい。この長手方向スリット28は、針の長手方向に延出する。上記長手方向スリットは、たとえば、編みシリンダ6の端面に設けられる高さ調節可能サポート31上で、プラッシュシンカー12をサポートするためのサポートスリットとして作動するように配置される。縁29、30は、高さ調節可能サポート31の平坦なガイド表面32、33に連結されることが好ましいガイド縁を形成する。ストリップ47(図1では点線で示されている)が、サポート31上でシンカー10の各対の間に設けられてもよく、それによって、クーリエシンカー11およびプラッシュシンカー12は、上記ストリップの間に装着される。
【0029】
図1から明らかであるように、クーリエシンカー11のガイド縁17、18は、シンカーの長手方向21に対して、プラッシュシンカーのガイド縁27から一定の距離にある。これとは対照的に、プラッシュシンカー12のガイド縁27、30は、クーリエシンカー11のガイド縁17から、高さの方向に対して一定の距離にある。プラッシュシンカー12のガイド縁27の近隣に、クーリエシンカー11は窪み19を有する。駆動フット14から離れたその端領域で、および、クーリエシンカー11のガイド縁17の近隣で、プラッシュシンカー12は、スリット28の形状の窪みを有する。駆動フット13から離れたその端領域で、クーリエシンカー11は、スリット48を有する。このスリット48の寸法は、プラッシュシンカー12のスリット28の寸法よりも大きく、高さが高いことが好ましい。この結果として、スリット48内に延出するサポート31は、高さに関して調節可能でるが、それによってクーリエシンカー11の位置に影響を与えることはない。加えて、サポート31は、プラッシュシンカー12のスリット28内に延出し、上記シンカーの高さを調節するために使用されてもよい。クーリエシンカー11のスリット48の高さは、プラッシュシンカー12の垂直方向におけるスリット28の運動の範囲を規定する。
【0030】
プラッシュシンカー12は、プラッシュループを形成するためにハーフステッチを一時的に収容するためのプラッシュラグ34を有する。プラッシュシンカー12の高さをクーリエシンカー11に対して調節することによって、縁23からのプラッシュラグ34の上縁の垂直距離を調節することが可能であり、このようにして、プラッシュループのサイズまたは長さを調節することが可能である。プラッシュラグ34はさらに、上記プラッシュラグより下に位置するニットファブリック用のダウンホルダとして作用する。
【0031】
今まで述べてきた編みシステムは、下記のように働く。
【0032】
操作中に、針2は、垂直方向に上下に動き、それによって、送り出された状態で、針2は、それぞれ、基部糸およびプラッシュ糸を拾う。基部糸については、針は、戻りストローク中に、針シャフトに座すハーフステッチを通って糸を引いて、ニットファブリックを形成する。上記ハーフステッチは、縁23に座している。これにより、針は、プラッシュ糸をプラッシュラグ34に設定する。
【0033】
より大きなプラッシュループを編む場合には、プラッシュシンカー12は、上向きに調節されなければならない。これは、サポート25、31が垂直方向に上向きに調節され、すなわち、互いに同調して、編みシリンダおよびシンカーリング8に対して調節されることにより達成される。これとは対照的に、プラッシュループをより小さくするために、サポート31、25は垂直方向に下向きに調節される。調節運動は、針2の送り出し運動にほぼ並行であり、シンカー11、12の長手方向21を横切る。
【0034】
図2は、わずかに修正された例示的な実施形態を例示する。同一の参照符号を使用して、上記説明を参照する。加えて、クーリエシンカー11には点線で示されたダウンホルダ35が設けられ、ダウンホルダ35はプラッシュラグ34の隣に位置する。ダウンホルダ35は、針2が送り出されるときにニットファブリックが上昇するのを防止するように配置される。通常はプラッシュシンカー12のプラッシュラグ34によって実行されるこの機能が、クーリエシンカー11のダウンホルダ35に移される。この結果として、その機能に悪影響を与えることなく、クーリエシンカー11とプラッシュシンカー12との間により大きな調節ストロークが可能である。
【0035】
図3〜図5は、上述の編みシステムの修正された実施形態を例示する。下記の説明において、上述の部品に対応する部品に、特にその機能に関して、同一の名称および参照符号が使用され、下記の説明に加えて、上述の説明が参照される。
【0036】
図3にしたがった実施形態を参照すると、プラッシュシンカー12は、シンカーリング8のシンカーチャネルに配列され、一方、引き下ろすシンカーまたはクーリエシンカー11は、編みシリンダ6に設けられた対応するチャネルに座す。この例示的な実施形態において、シンカーリング8はサポート25の機能を引き受け、ガイド表面26は底部20の機能を引き受ける。好ましくは、クーリエシンカー11は、編みシリンダ6に、確実に係止する方法で保持される。この結果として、クーリエシンカー11は、静止した方法で適所に保持され、駆動フットを有さない。そのようなチャネルは、たとえば、編みシリンダ6の端面から開始して、その壁表面の1つ上に延出してもよい。ステッチ形成のために使用される引きおろすシンカー(クーリエシンカー)11は、針2またはフック3の近隣で、プラッシュシンカー12の作業部分と重なる。好ましくは、プラッシュシンカー12は、シートメタルの平らな片として構成され、プラッシュラグ34およびその隣接する部分の上で、横方向に曲がってもよい。図5に示されるように、この特徴を利用してプラッシュシンカー12の上縁36を、隣接する針2、2’の間に、または、そのフック3、3’の間の中心に調節してもよい。特に図4に示されるように、引きおろすシンカー(クーリエシンカー)11は、隣接するプラッシュシンカー12の間をつなぐ広いサポートセクション37を有してもよい。
【0037】
この実施形態を参照すると、シンカーリング8全体は、高さ調節可能であるように構成されてもよい。同様に、シンカーカム16は、シンカーカム16とシンカーリング8との間に一定の距離を維持するために、同調して高さ調節可能であってもよい。シンカーリング8は、線型ガイド38、39によって垂直に調節可能であるように支持されてもよい。線型ガイド38、39は、シンカーキャリアリング40上に配列されてもよい。高さ調節のために、高さ調節装置41が、たとえば、シンカーキャリアリング40とシンカーリング8との間に設けられる。シンカーキャリアリング40は、クランプ装置42によって編みシリンダ6に取り付けられてもよい。
【0038】
図6は、別の修正された実施形態を示す。基本的に、図1または図2に示す実施形態に基づいており、それによって、同一の参照符号を使用し、対応する説明が引用される。しかし、図1または図2に示す実施形態とは異なり、サポート31は、編みシリンダ6上には配列されず、シンカーリング8上に配列される。サポート31の対応する突起物は、プラッシュシンカー12の後端に位置するスリット28’に係合する。これとは対照的に、サポート25はサポート31から半径方向に一定の距離で配列され、たとえば、編みシリンダ6に面するシンカーリング8の端上である。プラッシュシンカー12のガイド縁27、29、30は調節可能なサポート25、31上に支持されるが、クーリエシンカー11のガイド縁17、18は、針2の送り出し方向に対して静止している要素および表面20、22上に支持される。
【0039】
プラッシュサイズの調節は、上述のように、プラッシュラグ34の高さをクーリエシンカー11の縁23に対して調節することによって達成される。
【0040】
上述の実施形態に基づいて、本発明の別の実施形態が可能であり、クーリエシンカー11は、プラッシュシンカー12によって駆動される。プラッシュシンカー12のみがフット14を有し、一方、クーリエシンカー11は、シンカーの長手方向21に見て、プラッシュシンカー12に接続される。針の送り出し方向に対応するシンカーの調整方向に見ると、クーリエシンカー11は、プラッシュシンカー12に向けて移動できる。これは、線型ガイドによって可能になる。たとえば、シンカーの1つ、たとえば、プラッシュシンカー12に設けられている長い穴43、44として構成されたカムガイドと、これらの長い穴43、44内に延出するラグ、ピンまたは他の突起物45、46がクーリエシンカー11に設けられる。クーリエシンカー11に対するプラッシュシンカー12の調節は、サポート31によるクーリエシンカー11の高さ調節によって達成される。サポート31は、クーリエシンカー11に設けられているスリット28’に係合する。この特徴はまた、プラッシュループの高さ調節も可能にする。
【0041】
シンカーセットが提案されており、上記シンカーセットは、クーリエシンカー11およびプラッシュシンカー12を備える。シンカー11、12は、編み針2を横切る方向に、一緒に動くことができる。各シンカーは、ステッチを収容するために間隔をおいて離れた縁を有する。これらの縁の間の距離を調節するために、シンカー11、12は、針の送り出し方向に互いに向けて動くことができる。そうするために、間隔をおいて離れたガイド縁17、18と27、29、30を有し、これらは、様々なサポート表面またはガイド表面20、22;26、32、33に接触する。
【符号の説明】
【0042】
1 編みシステム
2、2’ 針
3、3’ フック
4 ラッチ
5 針チャネル
6 編みシリンダ(針シリンダ)
7 シリンダばね
8 シンカーリング
9 シンカーチャネル
10 シンカー対
11 クーリエシンカー
12 プラッシュシンカー
13 駆動フット
14 駆動フット
15 カムチャネル
16 シンカーカム
17 ガイド縁
18 ガイド縁
19 窪み
20 底部
21 シンカー長手方向
22 ガイド表面
23 縁
24 チャネル
25 サポート
26 ガイド表面
27 ガイド縁
28、28’ 長手方向スリット
29 縁、ガイド縁
30 縁、ガイド縁
31 サポート
32 ガイド表面
33 ガイド表面
34 プラッシュラグ
35 ダウンホルダ
36 縁
37 サポートセクション
38 線型ガイド
39 線型ガイド
40 シンカーキャリアリング
41 高さ調節装置
42 クランプ装置
43 長い穴
44 長い穴
45 ラグ
46 ラグ
47 ストリップ
48 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラッシュ製品を製造するための編みシステム(1)用のシンカーセットであって、
クーリエシンカー(11)およびプラッシュシンカー(12)であって、各々が平坦面を有し、使用されるときには、互いに面する2つの平坦面で相互に当接するクーリエシンカー(11)およびプラッシュシンカー(12)を備え、
前記クーリエシンカー(11)および前記プラッシュシンカー(12)は、互いに一定の距離でガイド縁(17、18;27、29、30)を有し、前記ガイド縁は、シンカー受取装置のガイド表面(20、22;26、32、33)に近接している、シンカーセット。
【請求項2】
前記ガイド縁(17、18;27、29、30)は、真っ直ぐな縁であることを特徴とする、請求項1に記載のシンカーセット。
【請求項3】
前記ガイド縁(17、18;27、29、30)は、シンカー長手方向(21)に整列配置されることを特徴とする、請求項1に記載のシンカーセット。
【請求項4】
前記シンカー(11、12)の前記ガイド縁(17、18;27、29、30)は、前記シンカー長手方向(21)に互いから一定の距離にあることを特徴とする、請求項1に記載のシンカーセット。
【請求項5】
前記シンカー(11、12)の前記ガイド縁(17、18;27、29、30)は、前記シンカー長手方向(21)に互いから一定の距離にあることを特徴とする、請求項1に記載のシンカーセット。
【請求項6】
前記シンカー(11、12)の一方のガイド縁(17、18;27、29、30)に隣接して、前記他方のシンカー(11、12)の窪み(19、28)が配列されることを特徴とする、請求項1に記載のシンカーセット。
【請求項7】
前記クーリエシンカー(11)および前記プラッシュシンカー(12)は、共通の駆動装置(16)によって駆動されることを特徴とする、請求項1に記載のシンカーセット。
【請求項8】
前記クーリエシンカー(11)および前記プラッシュシンカー(12)は、各々が、駆動フット(13、14)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のシンカーセット。
【請求項9】
前記クーリエシンカー(11)および前記プラッシュシンカー(12)の前記駆動フット(13、14)は、同一のカム(16)に連通することを特徴とする、請求項8に記載のシンカーセット。
【請求項10】
前記プラッシュシンカー(12)および前記クーリエシンカー(11)は、互いに緩い関係(接続されない関係)にあることを特徴とする、請求項1に記載のシンカーセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−249805(P2009−249805A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−81927(P2009−81927)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(304012943)グローツ−ベッカート コマンディトゲゼルシャフト (46)
【Fターム(参考)】