説明

プラットフォーム型ICカードの空き容量を調査する方法、コンピュータ及びコンピュータプログラム

【課題】EEPROMの空き容量を調査する機能をプラットフォーム型ICカードが備えていない場合であっても、EEPROMの空き容量を調査できる方法を提供する。
【解決手段】プラットフォーム型ICカードのEEPROMの空き容量を調査するためだけに利用され、任意の容量に設定可能な調査用アプリケーションを用いて、図7の手順に従いプラットフォーム型ICカードにインストールできた調査用アプリケーションの最大容量を探索することで、プラットフォーム型ICカードのEEPROMの空き容量を調査する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アプリケーションの追加削除が可能なプラットフォーム型ICカードの電気的に書換え可能な不揮発性メモリの空き容量を調査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ICカード用ICチップの高機能化が進み、Java(登録商標)などのプラットフォーム型オペレーティングシステム(OS: Operating System)を実装したプラットフォーム型ICカードが普及するようになった。
【0003】
プラットフォーム型ICカードにおいては、プラットフォーム型ICカードを発行した後であっても、プラットフォーム型OSに対応した高級言語で開発されたアプリケーションを電気的に書換え可能な不揮発性メモリ(例えば、EEPROM)に追加できるが、当然のことながら、この不揮発性メモリの容量には限界があるため、アプリケーションをプラットフォーム型ICカードにインストールする際は、アプリケーションをインストールできるだけの空き容量がこの不揮発性メモリにあるか確認することが必要になる。
【0004】
プラットフォーム型ICカードの電気的に書換え可能な不揮発性メモリの空き容量を調査するためには、特許文献1で記述されているGETSPACEコマンドのような、電気的に書換え可能な不揮発性メモリの空き容量をターミナルへ通知する機能をプラットフォーム型OSが備えていなければならないが、このような機能を予め備えていないプラットフォーム型OSを搭載したプラットフォーム型ICカードの場合は、アプリケーションをインストールする前に、電気的に書換え可能な不揮発性メモリの空き容量を調査することはできなかった。
【特許文献1】特開平11−213107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、電気的に書換え可能な不揮発性メモリの空き容量を調査する機能をプラットフォーム型ICカードが備えていない場合であっても、プラットフォーム型ICカードの電気的に書換え可能な不揮発性メモリの空き容量を調査できる方法を提供することを目的とし、更に、プラットフォーム型ICカードが備えていない場合であっても、プラットフォーム型ICカードの電気的に書換え可能な不揮発性メモリの空き容量を調査できるコンピュータ及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決する第1の発明は、プラットフォーム型ICカードに実装されたICチップの電気的に書換え可能な不揮発性メモリの空き容量を調査する方法であって、前記不揮発性メモリの空き容量を調査するためだけに利用され、任意の容量に設定可能な調査用アプリケーションを用い、前記プラットフォーム型ICカードにインストールできた前記調査用アプリケーションの最大容量を探索することで、前記プラットフォーム型ICカードの前記不揮発性メモリの空き容量を調査することを特徴とする方法である。
【0007】
第1の発明によれば、前記プラットフォーム型ICカードの前記不揮発性メモリの空き容量を調査するときに前記調査用アプリケーションが利用されるため、プラットフォーム型OSが前記不揮発性メモリの空き容量を調査する機能を備えていない場合でも、前記プラットフォーム型ICカードの前記不揮発性メモリの空き容量を調査することができるようになる。
【0008】
更に、第2の発明は、第1の発明に記載の方法において、前記方法は、
ステップa)前記プラットフォーム型ICカードにインストールできた前記調査用アプリケーションの最大容量が代入される変数である確定空き容量を0バイトに、前記確定空き容量に上乗せする容量が代入される変数である未確定空き容量を前記不揮発性メモリのメモリ容量とするステップ、
ステップb)前記未確定空き容量の半分の値を演算するステップ、
ステップc)前記確定空き容量に前記未確定空き容量の半分を加えた容量を有する前記調査用アプリケーションを生成するステップ、
ステップd)前記ステップc)で生成した前記調査用アプリケーションを前記プラットフォーム型ICカードにインストールし、インストールに成功したときは、インストールした前記調査用アプリケーションを削除すると共に、前記確定空き容量も前記未確定空き容量を加えることで前記確定空き容量を更新するステップ、
を備え、前記ステップb)から前記ステップd)までを前記未確定空き容量が1バイト未満になるまで繰返し実行することで、前記プラットフォーム型ICカードにインストールできた前記調査用アプリケーションの最大容量を探索することを特徴とする方法である。
【0009】
第2の発明によれば、第2の発明に記載の手順を実行することで、前記プラットフォーム型ICカードの前記不揮発性メモリに合わせて、前記不揮発性メモリの容量までの空き容量を調査することが可能になる。
【0010】
更に、第3の発明は、第1の発明または第2の発明に記載の方法において、前記調査用アプリケーションは、バイト型の配列変数で宣言される変数を含み、前記配列変数の要素数を変更することで、前記調査用アプリケーションの容量を変更することを特徴とする方法である。
【0011】
第3の発明によれば、前記配列変数の要素数を定義する変数を用意し、この変数の値を変更ことのみで、前記調査用アプリケーションの容量を容易に変更することが可能になる。
【0012】
更に、第4の発明は、プラットフォーム型ICカードに実装されたICチップの電気的に書換え可能な不揮発性メモリの空き容量を調査するコンピュータであって、前記プラットフォーム型ICカードと通信するインターフェースデバイスと、前記不揮発性メモリの空き容量を調査するためだけに利用され、任意の容量に設定可能な調査用アプリケーションを用い、前記プラットフォーム型ICカードにインストールできた前記調査用アプリケーションの最大容量を探索することで、前記プラットフォーム型ICカードの前記不揮発性メモリの空き容量を調査する調査手段を備えていることを特徴とする。
【0013】
更に、第5の発明は、第4の発明に記載のコンピュータにおいて、前記コンピュータに備えられた前記調査手段は、
ステップa)前記プラットフォーム型ICカードにインストールできた前記調査用アプリケーションの最大容量が代入される変数である確定空き容量を0バイトに、前記確定空き容量に上乗せする容量が代入される変数である未確定空き容量を前記不揮発性メモリのメモリ容量とするステップ、
ステップb)前記未確定空き容量の半分の値を演算するステップ、
ステップc)前記確定空き容量に前記未確定空き容量の半分を加えた容量を有する前記調査用アプリケーションを生成するステップ、
ステップd)前記ステップc)で生成した前記調査用アプリケーションを前記プラットフォーム型ICカードにインストールし、インストールに成功したときは、インストールした前記調査用アプリケーションを削除すると共に、前記確定空き容量も前記未確定空き容量を加えることで前記確定空き容量を更新するステップ、
を備え、前記ステップb)から前記ステップd)までを前記未確定空き容量が1バイト未満になるまで繰返し実行することで、
前記プラットフォーム型ICカードにインストールできた前記調査用アプリケーションの最大容量を探索する手段であることを特徴とする。
【0014】
更に、第6の発明は、第4の発明または第5の発明に記載のコンピュータであって、前記調査手段が有する前記調査用アプリケーションは、バイト型の配列で宣言される変数を含み、前記調査手段は、前記バイト型の配列の要素数を変更することで、前記調査用アプリケーションの容量を変更することを特徴とする。
【0015】
上記第4の発明から第6の発明によれば、上述した第1の発明から第3の発明と同様の効果が得られる。
【0016】
更に、第7の発明は、プラットフォーム型ICカードに実装されたICチップの電気的に書換え可能な不揮発性メモリの空き容量を調査するコンピュータを、前記不揮発性メモリの空き容量を調査するためだけに利用され、任意の容量に設定可能な調査用アプリケーションを用い、前記プラットフォーム型ICカードにインストールできる前記調査用アプリケーションの最大容量を探索することで、前記プラットフォーム型ICカードの前記不揮発性メモリの空き容量を調査する調査手段として機能させるためのコンピュータプログラムである。
【0017】
更に、第8の発明は、第7の発明に記載のコンピュータプログラムにおいて、
ステップa)前記プラットフォーム型ICカードにインストールできた前記調査用アプリケーションの最大容量が代入される変数である確定空き容量を0バイトに、前記確定空き容量に上乗せする容量が代入される変数である未確定空き容量を前記不揮発性メモリのメモリ容量とするステップ、
ステップb)前記未確定空き容量の半分の値を演算するステップ、
ステップc)前記確定空き容量に前記未確定空き容量の半分を加えた容量を有する前記調査用アプリケーションを生成するステップ、
ステップd)前記ステップc)で生成した前記調査用アプリケーションを前記プラットフォーム型ICカードにインストールし、インストールに成功したときは、インストールした前記調査用アプリケーションを削除すると共に、前記確定空き容量も前記未確定空き容量を加えることで前記確定空き容量を更新するステップ、
を備え、前記ステップb)から前記ステップd)までを前記未確定空き容量が1バイト未満になるまで繰返し実行することで、前記プラットフォーム型ICカードにインストールできた前記調査用アプリケーションの最大容量を探索する前記調査手段として、前記コンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムである。
【0018】
上記第7の発明から第8の発明によれば、上述した第1の発明から第2の発明と同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0019】
そこで本発明は、電気的に書換え可能な不揮発性メモリの空き容量を調査する機能をプラットフォーム型ICカードが備えていない場合であっても、プラットフォーム型ICカードの電気的に書換え可能な不揮発性メモリの空き容量を調査できる方法を提供することを目的とし、更に、プラットフォーム型ICカードが備えていない場合であっても、プラットフォーム型ICカードの電気的に書換え可能な不揮発性メモリの空き容量を調査できるコンピュータ及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
ここから、プラットフォーム型ICカードの電気的に書換え可能な不揮発性メモリの空き容量を調査する方法、コンピュータ及びコンピュータプログラムについて、図を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は、プラットフォーム型ICカード2(以下、ICカード)の電気的に書換え可能な不揮発性メモリ(ここでは、EEPROM)の空き容量を調査するコンピュータ1を説明する図で、コンピュータ1には、ICカード2とデータ通信するインターフェースデバイスであるリーダライタ1aが接続され、コンピュータ1は、プラットフォーム型オペレーティングシステム(OS: Operating System)が搭載されたICカード2のEEPROMの空き容量を調査する機能を備える。
【0022】
コンピュータ1は、ICカード2のEEPROMの空き容量を調査するために、EEPROMの空き容量の調査するためだけに利用され、任意の容量に設定可能なアプリケーション(以下、調査用アプリケーション)を有し、ICカード2にインストールすることのできる調査用アプリケーションの最大容量を探索することで、EEPROMの空き容量を調査する。
【0023】
本発明によれば、ICカード2のEEPROMの空き容量を調査するときに調査用アプリケーションが利用されるため、ICカード2のEEPROMの空き容量を調査する機能をプラットフォーム型OSが備えていない場合でも、ICカード2のEEPROMの空き容量を調査することができるようになる。
【0024】
図2は、ICカード2の外観図である。図1で示したように、ICカード2は、キャッシュカードやクレジットカードと同じ大きさのプラスチック製カードで、ICカード2には、ICチップ3がモールドされたICモジュール2aが実装されている。
【0025】
図1においては、ICカード2を接触ICカードとして図示しているが、ICカード2は、無線でデータ通信する非接触ICカード、または、接触データ通信と非接触データ通信の2つの通信機能を備えたデュアルインターフェースICカードであってもよい。
【0026】
加えて、ICカード2の形状は問わず、ICカード2はキャッシュカードと同じ形状でなく、ICモジュールの近辺を短冊状に切り取った形状をしているSIM(Subscriber Identity Module)であってもよい。
【0027】
図3は、ICカード2に埋め込まれるICチップのハードウェア構成図である。ICチップには、演算機能およびICチップが具備するデバイスを制御する機能を備えた中央演算装置30(CPU:Central Processing Unit)、揮発性メモリとしてランダムアクセスメモリ31(RAM:Random Access Memory)、読み出し専用の不揮発性メモリ(ROM:Read Only Memory、)32、電気的に書換え可能な不揮発性メモリとしてEEPROM33(EEPROM:Electrically Erasable Programmable Read-Only Memoryの略)、および、リーダライタ1aとデータ通信するためのI/O回路34を備えている。
【0028】
図4は、ICカード2が有するEEPROM33の図である。ICカード2が有するEEPROM33には、プラットフォーム型OSが利用するデータ33aに加え、複数のアプリケーション33bがインストールされ、これらを除いた空き領域33cの容量が空き容量で、コンピュータ1はこの空き容量を調査する。
【0029】
図5は、コンピュータ1のブロック図である。コンピュータ1には、リーダライタ1aが接続され、ICカード2のEEPROM33の空き容量を調査する空き容量調査手段10を備え、この空き容量調査手段10は、ICカード2の空き容量を調査するためだけに利用され、任意の容量に設定可能な調査用アプリケーション100を有している。
【0030】
空き容量調査手段10は、コンピュータ1を空き容量調査手段10として機能させるためのコンピュータプログラムで実現され、調査用アプリケーション100は、当然のことながら、ICカード2のプラットフォーム型OSに対応した言語で開発される。
【0031】
図6は、調査用アプリケーション100を説明するための図である。調査用アプリケーション100は、ICカード2にインストールするために最低限必要なデータである固定データ部101と、データ長を任意に設定できる可変長データ部102を有する。
【0032】
調査用アプリケーション100のソースコードにおいて、可変長データ部102はバイト型の配列変数で定義され、更に、調査用アプリケーション100のソースコードには、この配列変数の要素数を定義する整数変数が含まれる。この整数変数の値を任意の値に設定することで、調査用アプリケーション100の容量を任意に設定できる。
【0033】
本実施の形態において、コンピュータ1に備えられた空き容量調査手段10は、調査用アプリケーション100の配列変数の要素数を定義する整数変数の値を算出するために、確定空き容量と未確定空き容量の変数を利用する。
【0034】
確定空き容量は、ICカード2にインストールできた調査用アプリケーション100の配列変数の要素数の最大値が代入される変数で、未確定空き容量は、確定空き容量に上乗せする容量が代入される変数で、コンピュータ1に備えられた空き容量調査手段10は、これから述べる手順に従い、これらの変数を変更し、調査用アプリケーション100の容量を変更するごとに、ICカード2に調査用アプリケーション100をインストールすることでEEPROM33の空き容量を調査する。
【0035】
ここから、コンピュータ1の空き容量調査手段10がICカード2の空き容量を調査する手順について説明する。図7は、コンピュータ1の空き容量調査手段10がICカード2の空き容量を調査する手順を示したフロー図で、このフローの説明は、本発明に係る方法の説明も兼ねる。
【0036】
この手順の最初のステップS1は、上述した確定空き容量と未確定空き容量を初期値化するステップである。このステップが実行されるとき、如何なる容量の調査用アプリケーション100をもインストールに成功していないので、確定空き容量は「0バイト」となり、未確定空き容量は、EEPROM33の容量の半分の値にセットされる。例えば、ICカード2のEEPROM33の容量が32Kバイトならば、未確定空き容量は16384バイトにセットされる。
【0037】
このステップで、未確定空き容量を、ICカード2が有するEEPROM33の容量の半分の値にセットするのは、ICカード2が有するEEPROM33の容量までの空き容量を調査できるようにするためである。実際に計算すればわかることではあるが、EEPROM33の空き容量がEEPROM33の容量すべてであったとき、調査用アプリケーション100の容量はEEPROM33の容量すべてになる。
【0038】
次のステップS2は、調査用アプリケーション100の配列変数の要素数を定義する整数変数を演算するステップである。このステップでは、確定空き容量の値に未確定空き容量の値を加算することで、調査用アプリケーション100の配列変数の要素数を定義する整数変数の値は算出される。
【0039】
次のステップS3は、ICカード2にインストールする調査用アプリケーション100を生成するステップである。このステップでは、調査用アプリケーション100の配列変数の要素数を定義する整数変数の値をステップSで算出した値にセットし、調査用アプリケーション100のソースコードをコンパイルすることで、ICカード2にインストールする調査用アプリケーション100を生成する。
【0040】
次のステップS4は、ステップSで生成した調査用アプリケーション100をICカード2にインストールするステップである。
【0041】
次のステップS5は、調査用アプリケーション100のインストールの結果に従い処理を分岐するステップで、ステップS4で調査用アプリケーション100のインストールに成功したときはステップS6に進み、ステップS4で調査用アプリケーション100のインストールに失敗したときはステップS8に進む。
【0042】
ステップS4で調査用アプリケーション100のインストールに成功したときに実行されるステップS6は確定空き容量の値を更新するステップで、ステップS4で、調査用アプリケーション100の配列変数の要素数を定義する整数変数の値を、確定空き容量に未確定空き容量を加えた値に設定しても調査用アプリケーション100のインストールに成功するため、確定空き容量の値を、確定空き容量の値に未確定空き容量を加えた値に更新する。
【0043】
次のステップS7は、ステップS4でインストールした調査用アプリケーション100をICカード2から削除するステップである。
【0044】
次のステップS8は、未確定空き容量の値を更新するステップである。ステップS5において、調査用アプリケーション100のインストールの結果に係らず、未確定空き容量の値を半分にする。このステップで、未確定空き容量の値を半分にするのは、確定空き容量のより近傍にある空き容量を検索するためである。
【0045】
次のステップS9は、未確定空き容量の値によって処理を分岐させるステップで、未確定空き容量が1バイト以下、すなわち、1バイトも更新できない場合は、未確定空き容量を更新できないのでステップS10に進み、1バイトよりも大きい場合は、未確定空き容量を更新できるのでステップS2に戻る。
【0046】
未確定空き容量が更新できなくなるまで、ステップS2からステップS9までのステップが繰り返し実行されることで、確定空き容量に固定データ部101の容量を加えた値は、EEPROM33の空き容量へと変化していく。
【0047】
未確定空き容量が更新できな場合に実行されるステップS10は、EEPROM33の空き容量を算出するステップである。このステップでは、確定空き容量の値に、調査用アプリケーション100の固定データ部101の長さを加えることで、EEPROM33の空き容量は算出される。
【0048】
ここから、図7のフローが実行される様子について説明する。図8は、図7のフローが実行される様子について説明するための図である。
【0049】
図8(a)は、EEPROM33の空き容量を調査するときのEEPROM33の状態を説明する図で、EEPROM33の一部の領域は既に使用され、使用領域の残りのEEPROM33の領域が空き領域になる。
【0050】
図8(b)は、最初に生成される調査用アプリケーション100をインストールした後の図で、調査用アプリケーション100の固定部は黒塗りの四角で、可変長データ部102は白塗りの四角で図示している。ステップS1において、確定空き容量は0バイトで、未確定空き容量はEEPROM33の容量の半分であるため、調査用アプリケーション100の可変長データ部102の長さはEEPROM33の容量の半分になる。
【0051】
最初に生成される調査用アプリケーション100は空き容量よりも小さいため、ICカード2へのインストールは成功し、図7のフローに従えば、2回目に調査用アプリケーション100を生成するときの確定空き容量はEEPROM33の容量の半分で、未確定空き容量はEEPROM33の容量の1/4になる。
【0052】
図8(c)は、2回目に生成される調査用アプリケーション100をインストールしたと仮定した図で、図8(c)で図示したように、2回目に生成される調査用アプリケーション100の容量は空き容量を超えているためICカード2へのインストールは失敗し、図7のフローに従えば、3回目に調査用アプリケーション100を生成するときの確定空き容量はEEPROM33の容量の半分で、未確定空き容量はEEPROM33の容量の1/8になる。
【0053】
図8(d)は、3回目に生成される調査用アプリケーション100をインストールしたと仮定した図で、図8(d)で図示したように、3回目に生成される調査用アプリケーション100の容量は空き容量を超えているため、ICカード2へのインストールは失敗し、図7のフローに従えば、4回目に調査用アプリケーション100を生成するときの確定空き容量はEEPROM33の容量の半分で、未確定空き容量はEEPROM33の容量の1/16になる。
【0054】
図8(e)は、4回目に生成される調査用アプリケーション100をインストールしたときの図で、図8(e)で図示したように、5回目に生成される調査用アプリケーション100の容量は空き容量よりも小さいため、ICカード2へのインストールは成功し、図7のフローに従えば、5回目に調査用アプリケーション100を生成するときの確定空き容量はEEPROM33の容量の半分にEEPROM33の容量の1/16を加えた値になり、未確定空き容量はEEPROM33の容量の1/32になる。
【0055】
図8(f)は、5回目に生成される調査用アプリケーション100をインストールしたと仮定した図で、図8(f)で図示したように、5回目に生成される調査用アプリケーション100の容量は空き容量より小さく、ICカード2へのインストールに成功し、図7のフローに従い、確定空き容量と未確定空き容量は変更される。
【0056】
図8を参照しながら説明したように、図7のステップS2からステップS9が繰返し実行されることで、調査用アプリケーション100の容量は空き容量へと変更され、未確定空き容量が変更できなくなったときの調査用アプリケーション100の容量が空き容量となる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】プラットフォーム型ICカードのEEPROMの空き容量を調査するコンピュータ1を説明する図。
【図2】ICカードの外観図。
【図3】ICカードに埋め込まれるICチップのハードウェア構成図。
【図4】ICカードが有するEEPROMの図。
【図5】コンピュータのブロック図。
【図6】調査用アプリケーションを説明するための図。
【図7】コンピュータがICカードの空き容量を調査する手順を示したフロー図。
【図8】図7のフローが実行される様子について説明するための図。
【符号の説明】
【0058】
1 コンピュータ
10 空き容量調査手段
100 調査用アプリケーション
2 ICカード
3 ICチップ
33 EEPROM


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットフォーム型ICカードに実装されたICチップの電気的に書換え可能な不揮発性メモリの空き容量を調査する方法であって、前記不揮発性メモリの空き容量を調査するためだけに利用され、任意の容量に設定可能な調査用アプリケーションを用い、前記プラットフォーム型ICカードにインストールできた前記調査用アプリケーションの最大容量を探索することで、前記プラットフォーム型ICカードの前記不揮発性メモリの空き容量を調査することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記方法は、
ステップa)前記プラットフォーム型ICカードにインストールできた前記調査用アプリケーションの最大容量が代入される変数である確定空き容量を0バイトに、前記確定空き容量に上乗せする容量が代入される変数である未確定空き容量を前記不揮発性メモリのメモリ容量とするステップ、
ステップb)前記未確定空き容量の半分の値を演算するステップ、
ステップc)前記確定空き容量に前記未確定空き容量の半分を加えた容量を有する前記調査用アプリケーションを生成するステップ、
ステップd)前記ステップc)で生成した前記調査用アプリケーションを前記プラットフォーム型ICカードにインストールし、インストールに成功したときは、インストールした前記調査用アプリケーションを削除すると共に、前記確定空き容量も前記未確定空き容量を加えることで前記確定空き容量を更新するステップ、
を備え、前記ステップb)から前記ステップd)までを前記未確定空き容量が1バイト未満になるまで繰返し実行することで、前記プラットフォーム型ICカードにインストールできた前記調査用アプリケーションの最大容量を探索することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の方法において、前記調査用アプリケーションは、バイト型の配列変数で宣言される変数を含み、前記配列変数の要素数を変更することで、前記調査用アプリケーションの容量を変更することを特徴とする方法。
【請求項4】
プラットフォーム型ICカードに実装されたICチップの電気的に書換え可能な不揮発性メモリの空き容量を調査するコンピュータであって、前記プラットフォーム型ICカードと通信するインターフェースデバイスと、前記不揮発性メモリの空き容量を調査するためだけに利用され、任意の容量に設定可能な調査用アプリケーションを用い、前記プラットフォーム型ICカードにインストールできた前記調査用アプリケーションの最大容量を探索することで、前記プラットフォーム型ICカードの前記不揮発性メモリの空き容量を調査する調査手段を備えていることを特徴とするコンピュータ。
【請求項5】
請求項4に記載のコンピュータにおいて、前記コンピュータに備えられた前記調査手段は、
ステップa)前記プラットフォーム型ICカードにインストールできた前記調査用アプリケーションの最大容量が代入される変数である確定空き容量を0バイトに、前記確定空き容量に上乗せする容量が代入される変数である未確定空き容量を前記不揮発性メモリのメモリ容量とするステップ、
ステップb)前記未確定空き容量の半分の値を演算するステップ、
ステップc)前記確定空き容量に前記未確定空き容量の半分を加えた容量を有する前記調査用アプリケーションを生成するステップ、
ステップd)前記ステップc)で生成した前記調査用アプリケーションを前記プラットフォーム型ICカードにインストールし、インストールに成功したときは、インストールした前記調査用アプリケーションを削除すると共に、前記確定空き容量も前記未確定空き容量を加えることで前記確定空き容量を更新するステップ、
を備え、前記ステップb)から前記ステップd)までを前記未確定空き容量が1バイト未満になるまで繰返し実行することで、
前記プラットフォーム型ICカードにインストールできた前記調査用アプリケーションの最大容量を探索する手段であることを特徴とするコンピュータ。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載のコンピュータであって、前記調査手段が有する前記調査用アプリケーションは、バイト型の配列で宣言される変数を含み、前記調査手段は、前記バイト型の配列の要素数を変更することで、前記調査用アプリケーションの容量を変更することを特徴とするコンピュータ。
【請求項7】
プラットフォーム型ICカードに実装されたICチップの電気的に書換え可能な不揮発性メモリの空き容量を調査するコンピュータを、前記不揮発性メモリの空き容量を調査するためだけに利用され、任意の容量に設定可能な調査用アプリケーションを用い、前記プラットフォーム型ICカードにインストールできる前記調査用アプリケーションの最大容量を探索することで、前記プラットフォーム型ICカードの前記不揮発性メモリの空き容量を調査する調査手段として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のコンピュータプログラムにおいて、
ステップa)前記プラットフォーム型ICカードにインストールできた前記調査用アプリケーションの最大容量が代入される変数である確定空き容量を0バイトに、前記確定空き容量に上乗せする容量が代入される変数である未確定空き容量を前記不揮発性メモリのメモリ容量とするステップ、
ステップb)前記未確定空き容量の半分の値を演算するステップ、
ステップc)前記確定空き容量に前記未確定空き容量の半分を加えた容量を有する前記調査用アプリケーションを生成するステップ、
ステップd)前記ステップc)で生成した前記調査用アプリケーションを前記プラットフォーム型ICカードにインストールし、インストールに成功したときは、インストールした前記調査用アプリケーションを削除すると共に、前記確定空き容量も前記未確定空き容量を加えることで前記確定空き容量を更新するステップ、
を備え、前記ステップb)から前記ステップd)までを前記未確定空き容量が1バイト未満になるまで繰返し実行することで、前記プラットフォーム型ICカードにインストールできた前記調査用アプリケーションの最大容量を探索する前記調査手段として、前記コンピュータを機能させるためのコンピュータプログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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