説明

プラットホームにおける水抜き構造

【課題】簡単な構造により、凹部に溜まる水を排水することができ、且つ外観上の見栄えを向上させることができる。
【解決手段】ホーム1の舗装10が低くなっている凹部2の底面2aより下方に向けて舗装10を上下方向に貫通する水抜き孔3設け、この水抜き孔3より凹部2に溜まった水Wを所定の排水箇所へ向けて誘導するようにした。水抜き孔3の上端側の開口部には、その開口部を塞ぐようにして透水性を有する閉止部材4を設けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラットホームにおける水抜き構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラットホームの舗装に不陸があり、その低くなっている箇所に降雨によって水溜りが生じることがある。とくに、上屋が設けられていないプラットホームであったり、列車長に対して上屋の長さが短いプラットホームにあっては、水溜りによってプラットホームを利用する人が歩き難くなっているため、舗装の補修が行われている。
ところで、このような舗装に生じた凹み部分の修繕方法として、一般的には、舗装高さの低い箇所付近にカッターで切込みを入れ、舗装を剥がした後に新たな舗装材を打設して再舗装することにより、舗装の不陸を修復して水溜りを無くすような対応が施されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−2220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の舗装の修繕方法では、プラットホームに適用する場合に以下のような問題があった。
すなわち、特許文献1に開示されているように旧舗装を剥がして再舗装する場合には、施工誤差や施工の限界から、旧舗装部と修繕部との境界部の段差やわずかな不陸等が生じる場合があり、また修繕していないプラットホームと修繕部との同一化が困難であり、繰り返し行われる修繕部が目立ち見栄えが悪くなることから、その点で改良の余地があった。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、簡単な構造により、凹部に溜まる水を排水することができ、且つ外観上の見栄えを向上させることができるプラットホームにおける水抜き構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るプラットホームにおける水抜き構造では、プラットホームの舗装が低くなっている凹部に連通する導水部を設け、この導水部より凹部に溜まった水を所定の排水箇所へ向けて誘導する構成としたことを特徴としている。
本発明では、降雨時に凹部内に溜まる水を導水部へ流入させ、この導水部を通過させて例えばプラットホーム外の所定の排水箇所へ排出させることができる。そのため、凹部に水が溜まるのを防ぐことができ、通行人が歩き易くなる。
【0007】
また、本発明に係るプラットホームにおける水抜き構造では、導水部は、凹部より下方に向けて舗装を上下方向に貫通する水抜き孔であることが好ましい。
本発明では、凹部から下方に向けて延びる水抜き孔を削孔手段などによって簡単に設けることが可能であり、この水抜き孔より凹部から流入した水をプラットホームの舗装より下方の盛土部へ排水することができる。
【0008】
また、本発明に係るプラットホームにおける水抜き構造では、導水部は、凹部より下方に設けられる導水穴と、導水穴に連通する導水孔とからなり、導水孔は排水箇所へ向けて延びていることが好ましい。
本発明では、凹部内に溜まる水を導水穴へ流入させ、さらに導水穴内の水を導水孔を通水させて排水溝などの排水箇所へ排水することができる。
【0009】
また、本発明に係るプラットホームにおける水抜き構造では、導水部は、凹部に連通するとともに、プラットホームの舗装面に沿って延びる導水溝であることが好ましい。
本発明では、切削手段により導水溝を簡単に設けることが可能であり、この導水溝により凹部から流入した水を排水溝などの排水箇所へ排水することができる。
【0010】
また、本発明に係るプラットホームにおける水抜き構造では、プラットホームの舗装が低くなっている凹部を含む舗装の所定領域に透水性舗装部を設け、この透水性舗装部を介してプラットホーム上に溜まった水を所定の排水箇所へ誘導する構成としたことを特徴としている。
本発明では、降雨時に凹部内に溜まる水を透水性舗装部へ流入させ、この透水性舗装部を通過させて例えばプラットホーム外の所定の排水箇所へ排出させることができる。そのため、凹部に水が溜まるのを防ぐことができ、通行人が歩き易くなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のプラットホームにおける水抜き構造によれば、凹部に連通する導水部、或いは透水性舗装部を設けるといった簡単な構造により、凹部に溜まる水を導水部、或いは透水性舗装部を介して排水することができ、且つ従来のように再舗装を行うことによる見栄えの悪さがなくなり、外観の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態による水抜き構造をなす水抜き孔の平面図である。
【図2】図1に示す水抜き孔の構成を示す側断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態による水抜き構造を示す側断面図であって、図2に対応する図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態による水抜き構造の平面図である。
【図5】図4に示す水抜き構造の構成を示す側断面図である。
【図6】溝状開口に蓋材を設けた側面図であって、図5に対応する図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態による水抜き構造の平面図である。
【図8】図7に示す水抜き構造の構成を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明によるプラットホームにおける水抜き構造の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
(第1の実施の形態)
図1に示すように、本第1の実施の形態によるプラットホームにおける水抜き構造1は、プラットホーム(以下、単に「ホーム1」という)の舗装が低くなっている凹部2に溜まる水を取り除くためのものであり、その凹部2に連通する水抜き用の導水部を設け、この導水部より凹部2に溜まった水を所定の排水箇所へ向けて誘導する構成となっている。
ここで、ホーム1は、凹部2の上方に上屋が無いホームを対象としており、表面側の舗装10と、舗装10より下方に位置する盛土部11とから構成されている。
【0014】
具体的に導水部は、凹部2より下方に向けて舗装10を上下方向に貫通する水抜き孔3である。この水抜き孔3は、舗装10のみを貫通しており、上端3aが凹部2の底面2aに位置し、下端3bが舗装10の下面に位置している。また、水抜き孔3は、舗装10を削孔しただけの削孔穴の状態でもよく、その削孔穴に例えば鋼管や塩ビ管などの管材を挿入させて配置したものであってもよい。
【0015】
水抜き孔3の上端側の開口部には、その開口部を塞ぐようにして透水性を有する閉止部材4が設けられている。閉止部材4として、例えば透水舗装材料、不織布等の透水性を有する部材や、微細な穴の開いた水蓋を採用することができる。前記透水性を有する部材の場合には、図2の二点鎖線に示すように水抜き孔3の上端内に充填され、水蓋の場合には、上端3aの開口部に係合される。
【0016】
このように構成される導水部では、凹部の底面から下方に向けて延びる水抜き孔3を例えばコアボーリング等の削孔手段などによって簡単に設けることが可能であり、この水抜き孔3より降雨時に凹部2内に溜まる水Wを閉止部材4を通過させて水抜き孔3へ流入させ、さらに水抜き孔3から舗装10より下方の盛土部11へ自然流下させることで排水することができる。そのため、ホーム1の凹部2に水が溜まるのを防ぐことができ、通行人が歩き易くなるという利点がある。
【0017】
また、水抜き孔3の開口部が閉止部材4で塞がれているので、通行人が水抜き孔3の開口部によってつまずくという不具合を防止できるうえ、開口部が開いた状態という見栄えの悪さを解消することができる。
【0018】
上述した第1の実施の形態によるプラットホームにおける水抜き構造では、凹部2に連通する水抜き孔3を設けるといった簡単な構造により、凹部2に溜まる水を水抜き孔3を介して排水することができ、且つ従来のように再舗装を行うことによる見栄えの悪さがなくなり、外観の向上を図ることができる。
【0019】
次に、本発明の他の実施の形態について図面に基づいて説明するが、上述の第1の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、異なる構成について説明する。
【0020】
(第2の実施の形態)
図3に示すように、第2の実施の形態によるプラットホームにおける水抜き構造は、凹部2の底面2aより下方に向けて設けられる導水穴5と、この導水穴5に連通する導水孔6とからなり、この導水孔6は所定の排水箇所(図示省略)に向けて延びる構成をなす導水部を備えている。
【0021】
導水穴5は、所定の深さ寸法の有底穴でホーム1の舗装10内に設けられており、舗装10を削孔しただけの削孔穴の状態でもよく、その削孔穴に例えば鋼管や塩ビ管などの管材を挿入させて配置したものであってもよい。導水穴5の凹部2に面する開口部5aには、その開口を塞ぐようにして透水性を有する閉止部材4が設けられている。なお、閉止部材4の部材等は、上述した第1の実施の形態と同様であるので詳しい説明は省略する。
【0022】
導水孔6は、配管材が用いられ、上流側端部6aが導水穴5の周壁に接続するとともに、図示しない下流側端部が例えばホーム1の排水溝へ向けて延びている。なお、導水孔6は、その配置箇所に所定深さの溝を掘り、その溝内に導水孔6の配管を配置して、適宜な埋め戻し材によりその溝を埋めることで施工することができる。
【0023】
本第2の実施の形態によれば、凹部2内に溜まる水Wを閉止部材4を通過させて導水穴5へ流入させ、さらに導水穴5内の水Wを導水孔6を通水させて排水溝などの所定の排水箇所へ排水することができる。
また、導水穴5の開口部が閉止部材4によって塞がれているので、上述した第1の実施の形態と同様に、通行人が導水穴5の開口部5aにつまずくという不具合を防止できるうえ、開口部5aが開いた状態という見栄えの悪さを解消することができる。
【0024】
(第3の実施の形態)
図4乃至図6に示すように、第3の実施の形態によるプラットホームにおける水抜き構造は、凹部2に連通するとともに、ホーム1の舗装面に沿って延びる導水溝7を設けた構成である。
導水溝7は、所定深さを有する溝であり、上流側端部7aが凹部2に接続するとともに、下流側端部7bが例えばホーム1の排水溝へ向けて延び、溝開口7c(図5)が蓋材8で塞がれている。なお、図4および図5では、蓋材8を二点鎖線で示している。
【0025】
本第3の実施の形態によれば、切削手段により導水溝7を簡単に設けることが可能であり、この導水溝7により凹部2から流入した水Wを排水溝などの排水箇所へ排水することができる。
また、導水溝7の溝開口7cが塞がれるので、通行人が導水溝7の溝開口7cによってつまずくという不具合を防止することができ、また溝開口7cが開いた状態という見栄えの悪さを解消することができる。
【0026】
(第4の実施の形態)
図7および図8に示すように、第4の実施の形態によるプラットホームにおける水抜き構造は、ホーム1の舗装10が低くなっている凹部2の底面2aに接する舗装10の所定領域に設けた透水性舗装部9と、舗装10内で透水性舗装部9に連通する排水管12と、凹部2の外側から低面2aの透水性舗装部9に向けて延びる集水溝13とからなり、ホーム1上に溜まった水Wを所定の排水箇所へ誘導する構成になっている。
【0027】
排水管12は、配管材が用いられ、上流側端部12aが透水性舗装部9に接続するとともに、上流側端部12aより低い位置となる下流側端部12bがホーム1の側面1aに開口するように延びている。なお、排水管12は、その配置箇所に所定深さの溝を掘り、その溝内に排水管12用の配管を配置して、適宜な埋め戻し材によりその溝を埋めることで施工することができる。これにより、排水管12は、透水性舗装部9内の水Wを下流側端部12bへ自然に通水させることができる。
【0028】
集水溝13は、平面視で透水性舗装部9を中心にして複数が略放射状に配置され、それぞれが凹部2に沿ってその外側から底面2aに配置される透水性舗装部9に向けて延び、凹部2の外側の周囲に溜まる水W´を強制的に透水性舗装部9へ誘導する機能を有している。
【0029】
本第4の実施の形態によれば、降雨時に凹部2内に溜まる水Wを底面2aに連通する状態で配置される透水性舗装部9内に流入させ、さらに透水性舗装部9を通過させ、排水管12を通水させてホーム1の側面1aから排水することができる。
また、凹部2に流入しない凹部2周りに溜まる水W´は集水溝13から凹部2に沿って透水性舗装部9に向けて誘導することができるので、その水W´を透水性舗装部9に流入させて排水することができる。したがって、凹部内のみならず凹部周囲の所定領域といった広範囲の水を排水することができる。
【0030】
以上、本発明によるプラットホームにおける水抜き構造の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本第1の実施の形態では水抜き孔3に閉止部材4を設け、第2の実施の形態では導水穴5に閉止部材4を設け、第3の実施の形態では導水溝7の溝開口7cに蓋材8を設けているが、これら閉止部材4や蓋材8を設けることに限定されることはなく、開口そのものが極めて小さい大きさであれば、閉止部材4や蓋材8を設けずに、開口のままであってもかまわない。
【0031】
また、第3の実施の形態では導水溝7の溝開口7cに蓋材8を設けているが、蓋材8の代わりに導水溝7内を透水性を有する透水性部材で充填させる構造であっても良い。この場合、凹部2内の水Wを透水性を有する透水性部材が充填されている導水溝7に流入させて排水することができる。そして、導水溝7の溝開口が塞がれるので、通行人が溝開口につまずくという不具合を防止することができ、また溝開口が開いた状態という見栄えの悪さを解消することができる。
【0032】
そして、水抜き孔3、導水穴5、導水孔6、導水溝7、排水管12、集水溝13の断面寸法、位置、長さ寸法などの構成は凹部2の大きさ、深さ、位置、ホーム1の形状、舗装10の部材などの条件に応じて適宜設定することが可能である。
【0033】
さらに、第4の実施の形態では透水性舗装部9に排水管12を接続する構造としているが、このような管材であることに制限されることはなく、通水可能で且つ舗装材等に埋設可能な部材であればよい。例えば、上述した排水管12に代えて不織布からなるシート状、或いは板状のドレーン材を採用することも可能である。この場合、ドレーン材を透水性舗装部9に接触させるとともに排水させたい所定位置へ向けて下り勾配となるようにして敷設することで、透水性舗装部9内の水Wをドレーン材を介してドレーン材端部側へ自然に通水させることができる。
【0034】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施の形態を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 ホーム(プラットホーム)
2 凹部
2a 底面
3 水抜き孔(導水部)
4 閉止部材
5 導水穴(導水部)
6 導水孔(導水部)
7 導水溝(導水部)
8 蓋材
9 透水性舗装部
10 舗装
12 排水管
13 集水溝
W、W´ 水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットホームの舗装が低くなっている凹部に連通する導水部を設け、この導水部より前記凹部に溜まった水を所定の排水箇所へ向けて誘導する構成としたことを特徴とするプラットホームにおける水抜き構造。
【請求項2】
前記導水部は、前記凹部より下方に向けて前記舗装を上下方向に貫通する水抜き孔であることを特徴とする請求項1に記載のプラットホームにおける水抜き構造。
【請求項3】
前記導水部は、前記凹部より下方に設けられる導水穴と、該導水穴に連通する導水孔とからなり、該導水孔は前記排水箇所へ向けて延びていることを特徴とする請求項1に記載のプラットホームにおける水抜き構造。
【請求項4】
前記導水部は、前記凹部に連通するとともに、前記プラットホームの舗装面に沿って延びる導水溝であることを特徴とする請求項1に記載のプラットホームにおける水抜き構造。
【請求項5】
プラットホームの舗装が低くなっている凹部を含む前記舗装の所定領域に透水性舗装部を設け、この透水性舗装部を介して前記プラットホーム上に溜まった水を所定の排水箇所へ誘導する構成としたことを特徴とするプラットホームにおける水抜き構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−117223(P2012−117223A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265482(P2010−265482)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【Fターム(参考)】