プラテンローラ支持構造、プリンタ及び工具
【課題】一対の支持フレームからプラテンローラを容易に取り外すことができるようにする。
【解決手段】位置決め部材60をプラテンローラ15の両端部に設けられた軸部51,52から取り外して、軸受部材53を一対の支持フレーム22の嵌合孔22aから取り外すことで、一対の支持フレーム22の開口部22bを軸部51,52が通過可能となるようにした。これにより、開口部22b経由で軸部51,52を一対の支持フレーム22から離脱させて、プラテンローラ15を一対の支持フレーム22から取り外すことができる。
【解決手段】位置決め部材60をプラテンローラ15の両端部に設けられた軸部51,52から取り外して、軸受部材53を一対の支持フレーム22の嵌合孔22aから取り外すことで、一対の支持フレーム22の開口部22bを軸部51,52が通過可能となるようにした。これにより、開口部22b経由で軸部51,52を一対の支持フレーム22から離脱させて、プラテンローラ15を一対の支持フレーム22から取り外すことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラテンローラ支持構造、プリンタ及び工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラテンローラとこのプラテンローラに向けて付勢された印字ヘッドとの間に用紙を搬送し、プラテンローラで支持した用紙に印字ヘッドで印字を行うプリンタがある。このようなプリンタとして、プラテンローラの両端部に一対の軸部を設け、これらの一対の軸部のそれぞれに軸受部材を設け、これらの軸受部材を、相互に離間して対向配置された一対の支持フレームで支持するものが知られている。
【0003】
このようなプリンタでは、プラテンローラと用紙との摩擦によってプラテンローラが磨耗すると印字品質の低下を招くため、プラテンローラを交換できるようにすることが望ましい。
【0004】
そこで、一対の支持フレームのうちの一方に設けた軸受孔でプラテンローラの一端側の軸受部材を支持し、他方の支持フレームに設けたU字状溝にプラテンローラの他端側の軸受部材を嵌め込み、さらに、このプラテンローラの他端側の軸受部材をプラテンローラ保持部材によって支持フレームに支持したものがある(例えば、特許文献1参照)。このプラテンローラ保持部材は、支持フレームにネジ止めされている。このプリンタでは、支持フレームに対するプラテンローラ保持部材の固定を解除することで、プラテンローラを一対の支持プレートから取り外して交換することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のプリンタでは、プラテンローラの一端側の軸受部材を支持している軸受孔からプラテンローラの一端側の軸部を取り外すためには、ネジを外してプラテンローラ保持部材を支持フレームから取り外した後に、プラテンローラとともに軸部を斜めにして側方に引き抜く作業を行い、さらにその後、一対の支持プレート間からプラテンローラを離脱させなければならず、プラテンローラの取り外し作業に手間がかかるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、一対の支持フレームからプラテンローラを比較的容易に取り外すことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のプラテンローラ支持構造は、記録媒体を支持するプラテンローラと、前記プラテンローラの両端部に設けられた一対の軸部と、前記軸部が挿通され、少なくとも一方が前記プラテンローラの軸方向に沿った前記軸部に対する移動が可能であり、前記軸部を介して前記プラテンローラを回転可能に支持する一対の軸受部材と、前記軸部が通過可能であり且つ前記軸受部材は通過不可である形状の開口部及び前記開口部に連通され前記軸部が前記開口部を通って出入り可能であり且つ前記軸受部材が嵌脱可能な嵌合孔が形成され、相互に離間して対向配置された一対の支持フレームと、前記プラテンローラの軸方向と直交する方向で前記軸部に着脱可能であって、前記軸部に取り付けられた状態で前記軸受部材に当接して、一対の前記支持フレームの対向方向での前記プラテンローラ及び前記軸受部材の位置決めを行う位置決め部材と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明のプリンタは、前記プラテンローラ支持構造と、前記プラテンローラに支持された記録媒体に印字する印字ヘッドと、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の工具は、前記軸部を弾性力によって挟み込む一対の弾性片を有する基体と、前記基体における前記弾性片の根元部に形成された狭幅部と、前記基体において前記狭幅部に連設され、一対の突起を有しこの突起によって前記狭幅部よりも前記一対の弾性片の対向方向での幅が広い広幅部とを有する前記位置決め部材を、前記軸部から取り外す工具であって、前記軸部に取り付けられた状態の前記位置決め部材に向けて前記プラテンローラの軸方向に沿って移動されることで前記狭幅部を通過して前記位置決め部材を挟持する一対の弾性挟持片と、一対の弾性挟持片の相互の対向部に形成され一対の前記弾性挟持片の前記プラテンローラの軸方向に沿った移動により前記突起と係合し、前記軸部からの前記位置決め部材の取り外し方向に移動することで前記位置決め部材を前記軸部から取り外す係合部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、一対の支持フレームからプラテンローラを比較的容易に取り外すことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態にかかるプリンタの基本的な構成を示す図である。
【図2】図2は、上部ユニットが開いた状態のプリンタを示す斜視図である。
【図3】図3は、カバーが取り外されるとともに上部ユニットが開いた状態のプリンタを示す斜視図である。
【図4】図4は、プラテンローラ支持構造及びその周囲を示す平面図である。
【図5】図5は、プラテンローラ支持構造を示す分解斜視図である。
【図6】図6は、支持フレームの一部を示す側面図である。
【図7】図7は、プラテンローラ支持構造を示す平面図である。
【図8】図8、プラテンローラユニットを示す平面図である。
【図9】図9は、プラテンローラユニットの一部を示す平面図である。
【図10】図10は、位置決め部材を示す斜視図である。
【図11】図11は、プラテンローラユニットの軸部を挟み込んだ状態の位置決め部材及び工具を示す側面図である。
【図12】図12は、位置決め部材を挟持した状態の工具を示す側面図である。
【図13】図13は、位置決め部材への工具の係合手順を説明するための説明図である。
【図14】図14は、プラテンローラの取り外し工程を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるプラテンローラ支持構造、プリンタ及び工具の一実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態にかかるプリンタPの基本的な構成を示す図、図2は、上部ユニットが開いた状態のプリンタを示す斜視図、図3は、カバーが取り外されるとともに上部ユニットが開いた状態のプリンタを示す斜視図である。まず、図1ないし図3を用いてプリンタPの基本的な構成及び基本的な動作について説明する。
【0014】
プリンタPは、各部が取り付けられたプリンタ本体1を備え、このプリンタ本体1に対して上部ユニット2が開閉自在に取り付けられて構成されている。同図に示されるように、プリンタPには、記録媒体であるロール紙3を引き出してプリンタPの正面に設けられている排紙口4まで導くための案内経路5が形成されている。そして、この案内経路5に沿って、ロール紙3を収納保持するロール紙収納保持部6がプリンタ本体1に設けられ、このロール紙収納保持部6からロール紙3を引き出して搬送し印字をする印字搬送部7とロール紙3を切断する用紙切断部8とが配設されている。
【0015】
ロール紙収納保持部6には、ロール紙3を収納するためのホッパ9と、収納されたロール紙3を回動自在に支持する支持ローラ10,11とが設けられている。支持ローラ10,11は、ホッパ9の底面9aに所定の間隔をあけて形成されている半円弧状の断面形状を有する溝12,13の凹部に、ホッパ9に収納されているロール紙3の軸方向と同一方向に向けられた軸を中心に回転自在に設けられてロール紙3を回動自在に支持する。印字搬送部7は、ホッパ9から引き出されるロール紙3に印字を行うための印字ヘッドであるサーマルヘッド14とプラテンローラ15とによって構成されている。サーマルヘッド14は、図1に示されるように案内経路5を介してプラテンローラ15に所定の圧力で当接させることができるように配設されている。サーマルヘッド14は複数の発熱素子(図示せず)を備えており、これら複数の発熱素子が選択的に通電されて発熱し感熱紙であるロール紙3と接触することにより印字が行われる。プラテンローラ15は、ロール紙3を支持するとともに、ロール紙3を引き出して搬送するための機能をも有している。このプラテンローラ15は、図示しないモータに回転駆動されて回転する。
【0016】
用紙切断部8には、ロール紙3を切断するための固定刃16と可動刃17とが設けられている。固定刃16と可動刃17とは、図1に示されるようにそれらの間にロール紙3を挟み込んで切断可能な位置に設けられ、可動刃17の回動によってロール紙3を切断するロータリカッタを構成する。
【0017】
プリンタ本体1は、筐体20と、この筐体20を覆うカバー21と、を備えており、筐体20にプラテンローラ15等が取り付けられている。
【0018】
次に、プリンタPの基本動作について説明する。図1に示されるように、プラテンローラ15が回転駆動され、これと接しているロール紙3がプラテンローラ15の回転と共に搬送方向に送られると、ホッパ9からロール紙3が引き出されてプラテンローラ15側へ搬送される。このとき、ホッパ9内のロール紙3は、図1中の矢印L方向に回転し、支持ローラ10,11は、図1中の矢印R方向に回転する。ロール紙3がプラテンローラ15まで搬送されると、プラテンローラ15に支持されたロール紙3にサーマルヘッド14により印字がなされる。プラテンローラ15は、ロール紙3に印字が一行なされる毎にロール紙3を搬送方向にフィードするよう断続的に駆動される。
【0019】
サーマルヘッド14により印字がなされたロール紙3はその後もプラテンローラ15の回転駆動により排紙方向に向かって搬送されていき、用紙切断部8の位置を通過するとプラテンローラ15の回転が停止されて、用紙切断部8に設けられている可動刃17が駆動されて回動し、固定刃16との間に挟みこまれたロール紙3が切断される。切断された印字部分を含むロール紙3は、案内経路5の下流端に設けられた排紙口4から例えばレシート等として排紙される。
【0020】
次に、プラテンローラ支持構造について説明する。図4は、プラテンローラ支持構造及びその周囲を示す平面図、図5は、プラテンローラ支持構造を示す分解斜視図、図6は、支持フレームの一部を示す側面図である。
【0021】
プラテンローラ15は、当該プラテンローラ15の両端部に設けられた一対の軸部51,52と、これらの一対の軸部51,52に設けられた一対の軸受部材53と、一方の軸部51に固定された歯車54と、一対の軸部51,52の先端部に設けられた一対のEリング55等とともに、プラテンローラユニット50を構成している。このプラテンローラユニット50は、筐体20に対して着脱可能に取り付けられており、一対の位置決め部材60によって筐体20に位置決めされる。
【0022】
筐体20は、相互に離間して対向配置された一対の支持フレーム22を有している。これらの支持フレーム22のそれぞれには、軸受部材53が嵌合する嵌合孔22aと、この嵌合孔22aに連通した開口部22bとが設けられている。開口部22bは、プラテンローラユニット50の軸部51,52が通過可能であり且つ軸受部材53は通過不可である形状に形成されている。具体的には、開口部22bの幅が、軸部51,52の直径よりも広く、且つ軸受部材53の後述する小径部53bの直径よりも狭く形成されている。嵌合孔22aは、開口部22bに連通されプラテンローラユニット50の軸部51,52が開口部22bを通って出入り可能であり、且つ軸受部材53が嵌脱可能な形状に形成されている。詳細には、開口部22bは、一対の支持フレーム22の対向方向と直交する方向での嵌合孔22aへのプラテンローラユニット50の軸部51,52の出入りを許容し、嵌合孔22aは、一対の支持フレーム22の対向方向での軸受部材53の嵌脱を許容している。そして、嵌合孔22aは、一対の支持フレーム22の対向方向と直交する方向での軸受部材53の位置決めを行う。
【0023】
図7は、プラテンローラ支持構造を示す平面図、図8は、プラテンローラユニットを示す平面図、図9は、プラテンローラユニットの一部を示す平面図である。
【0024】
プラテンローラ15は、円柱状に形成されている。このプラテンローラ15の周面は、ゴム等の弾性部材によって構成されており、用紙を支持する。一対の軸部51,52は、プラテンローラ15と同軸上でプラテンローラ15の両端部に設けられている。
【0025】
軸受部材53には、軸部51,52が挿通されている。軸受部材53は、プラテンローラ15の軸方向(つまり、軸部51,52の軸方向)に沿った軸部51,52に対する移動が可能であり、軸部51,52を介してプラテンローラ15を回転可能に支持する。軸受部材53には、大径部53aと小径部53bとこれらの大径部53a及び小径部53bを貫通した貫通孔53cとが設けられている。大径部53aは、支持フレーム22の外面に当接し、小径部53bは、嵌合孔22aに嵌合する。また貫通孔53cに軸部51,52が挿通されている。
【0026】
歯車54は、軸受部材53及び位置決め部材60と離間して一方の軸部51に固定され、駆動源(モータ)の動力が伝達歯車を介して伝達されてプラテンローラ15を回転させる。この歯車54には突起部54aが形成されており、この突起部54aがEリング55に当接しており、Eリング55によって軸部51からの歯車54の抜け止めがなされている。
【0027】
軸部51,52のそれぞれには、溝51b、52bが形成されており、この溝51b,52bに位置決め部材60が着脱可能に取り付けられる。歯車54が固定された軸部51の溝51bは、その軸部51が挿通された軸受部材53と歯車54とを離間させる(図7)。この溝51bは、軸部51に取り付けられた状態の一方の位置決め部材60における一対の支持フレーム22の対向方向での移動を阻止する阻止部として機能する。ここで、歯車54が設けられていない方の軸部52では、Eリング55が、軸部52に取り付けられた状態の他方の位置決め部材60における一対の支持フレーム22の対向方向での移動を阻止する阻止部として機能する。
【0028】
図10は、位置決め部材を示す斜視図、図11は、プラテンローラユニットの軸部を挟み込んだ状態の位置決め部材及び工具を示す側面図、図12は、位置決め部材を挟持した状態の工具を示す側面図、図13は、位置決め部材への工具の係合手順を説明するための説明図である。
【0029】
位置決め部材60は、プラテンローラ15の軸方向と直交する方向で軸部51,52に着脱可能である。この位置決め部材60は、軸部51,52に取り付けられた状態で軸受部材53に当接して、一対の支持フレーム22の対向方向でのプラテンローラ15及び軸受部材53の位置決めを行うものである。
【0030】
位置決め部材60は、図10及び図11に示すように、軸部51,52を弾性力によって挟み込む一対の弾性片60aを有する基体60bを有している。また、位置決め部材60は、基体60bにおける弾性片60aの根元部に形成された狭幅部60dと、基体60bにおいて狭幅部60dに連設され、一対の突起60cを有しこの突起60cによって狭幅部60dよりも一対の弾性片60aの対向方向での幅が広い広幅部60eと、を有している。この位置決め部材60は、例えば樹脂製である。この位置決め部材60は、一対の弾性片60aの弾性変形を伴って軸部51,52の溝51b,52bに着脱する。位置決め部材60は、専用の工具70によって容易に取り外し可能となっている。
【0031】
工具70は、図11及び図12に示すように、基部70aと、この基部70aから突出形成された一対の弾性挟持片70bと、を有している。一対の弾性挟持片70bには、これらの一対の弾性挟持片70bの相互の対向部70cに、係合部70dが形成されている。一対の弾性挟持片70bは、軸部51,52に取り付けられた状態の位置決め部材60に向けてプラテンローラ15の軸方向に沿って移動されることで位置決め部材60の狭幅部60dを通過して位置決め部材60を挟持する。そして、係合部70dは、一対の弾性挟持片70bのプラテンローラ15の軸方向に沿った移動により位置決め部材60の突起60cと係合する。そして、係合部70dは、軸部51,52からの位置決め部材60の取り外し方向に移動することで位置決め部材60を軸部51,52から取り外す。また、工具70における一対の弾性挟持片70bの根元部には、丸孔部70eが形成されており、この丸孔部70eにより一対の弾性挟持片70bの相互に離反する方向への開きを良好にしている。
【0032】
この工具70によって位置決め部材60をプラテンローラユニット50から取り外す際には、まず、軸部51,52に取り付けられている位置決め部材60(図11)の上方から、工具70を位置決め部材60の狭幅部60dに向けて移動させて狭幅部60dを通過させ、一対の弾性挟持片70bによって位置決め部材60の一対の弾性片60aを挟持させる(図13中の(a))。なお、図13では、軸部51,52は図示が省略されている。この状態から、工具70を、プラテンローラ15の軸方向に沿って移動させて位置決め部材60の広幅部60eへ移動させて、位置決め部材60の一対の突起60cに工具70の一対の係合部70dを係合させる(図13中の(b))。そして、この状態から工具70を上方へ移動させる。これにより係合部70dによって突起60cが上方へ引き上げられて、位置決め部材60が軸部51,52から離脱する(図12)。
【0033】
このような構成のプリンタPにおけるプラテンローラ15の取り外し手順を説明する。図14は、プラテンローラの取り外し工程を説明するための説明図である。まず、上述した手順で位置決め部材60を工具70を用いて上方へ引き上げてプラテンローラユニット50の軸部51,52から取り外す(図14中の(a))。これにより、一対の軸受部材53がプラテンローラ15の軸方向に沿って移動可能となる。次に、一対の軸受部材53をプラテンローラ15の軸方向に沿って移動させて支持フレーム22の嵌合孔22aから離脱させる(図14中の(b))。これにより、プラテンローラユニット50の軸部51,52が、支持フレーム22の開口部22bを通過可能となる。次に、軸部51,52が支持フレーム22の開口部22bを通過するようにプラテンローラ15(プラテンローラユニット50)を上方に引き上げて、開口部22b経由で軸部51,52を一対の支持フレーム22から離脱させて、プラテンローラ15(プラテンローラユニット50)を一対の支持フレーム22から離脱させる(図14中の(c))。なお、この手順と逆の手順によってプラテンローラ15(プラテンローラユニット50)を一対の支持フレーム22に取り付けることができる。
【0034】
以上説明したように、本実施の形態では、位置決め部材60をプラテンローラ15の両端部に設けられた軸部51,52から取り外して軸受部材53を一対の支持フレーム22の嵌合孔22aから取り外すことで、軸部51,52が開口部22bを通過可能となる。これにより、開口部22b経由で軸部51,52を一対の支持フレーム22から離脱させて、プラテンローラ15を一対の支持フレーム22から取り外すことができる。したがって、一対の支持フレーム22からプラテンローラ15を比較的容易に取り外すことができる。
【0035】
また、本実施の形態では、一対の軸受部材53は、両方ともプラテンローラ15の軸方向に沿って軸部51,52に対する移動が可能であり、位置決め部材60は、各軸受部材53毎に設けられている。したがって、一方の軸受部材がプラテンローラ15の軸方向に沿って移動可能でない場合に比べて、一対の支持フレーム22からより容易にプラテンローラ15を取り外すことができる。
【0036】
また、本実施の形態では、駆動源(モータ)の動力が伝達されてプラテンローラ15を回転させる歯車54が一方の軸部51に固定されており、歯車54が固定された軸部51が挿通された軸受部材53は、プラテンローラ15の軸方向に沿った軸部51に対する移動が可能である。そして阻止部である溝51bは、歯車54が固定された軸部51が挿通された軸受部材53と歯車54とを離間させる。よって、軸受部材53の位置決めに歯車54の取り付け精度が影響することを避けて軸受部材53の位置決め精度を高めることができる。
【0037】
また、本実施の形態では、位置決め部材60は、軸部51,52を弾性力によって挟み込む一対の弾性片60aを有する基体60bと、基体60bにおける弾性片60aの根元部に形成された狭幅部60dと、基体60bにおいて狭幅部60dに連設され、一対の突起60cを有しこの突起60cによって狭幅部60dよりも一対の弾性片60aの対向方向での幅が広い広幅部60eと、を有していて、工具70によって取り外し可能である。そして、工具70は、軸部51,52に取り付けられた状態の位置決め部材60に向けてプラテンローラ15の軸方向に沿って移動されることで狭幅部60dを通過して位置決め部材60を挟持する一対の弾性挟持片70bと、一対の弾性挟持片70bの相互の対向部70cに形成され一対の弾性挟持片70bのプラテンローラ15の軸方向に沿った移動により突起60cと係合し、軸部51,52からの位置決め部材60の取り外し方向に移動することで位置決め部材60を軸部51,52から取り外す係合部70dと、を備える。したがって、工具70を用いて位置決め部材60を容易に取り外すことができる。
【0038】
なお、本発明は、本実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。例えば、一対の軸受部材53は、少なくとも一方がプラテンローラ15の軸方向に沿った軸部51,52に対する移動が可能であればよい。他方の軸受部材53が、プラテンローラ15の軸方向に沿った軸部51,52に対する移動が不可である場合には、プラテンローラ15を軸方向に移動させることで、その他方の軸受部材53を嵌合孔22aに着脱させることができる。
【符号の説明】
【0039】
3…ロール紙(記録媒体)
14…サーマルヘッド(印字ヘッド)
15…プラテンローラ
22…支持フレーム
22a…嵌合孔
22b…開口部
51,52…軸部
53…軸受部材
54…歯車
60…位置決め部材
60b…基体
60c…突起
60d…狭幅部
60e…広幅部
70…工具
70b…弾性挟持片
70d…係合部
P…プリンタ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0040】
【特許文献1】特開2002−144656公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラテンローラ支持構造、プリンタ及び工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラテンローラとこのプラテンローラに向けて付勢された印字ヘッドとの間に用紙を搬送し、プラテンローラで支持した用紙に印字ヘッドで印字を行うプリンタがある。このようなプリンタとして、プラテンローラの両端部に一対の軸部を設け、これらの一対の軸部のそれぞれに軸受部材を設け、これらの軸受部材を、相互に離間して対向配置された一対の支持フレームで支持するものが知られている。
【0003】
このようなプリンタでは、プラテンローラと用紙との摩擦によってプラテンローラが磨耗すると印字品質の低下を招くため、プラテンローラを交換できるようにすることが望ましい。
【0004】
そこで、一対の支持フレームのうちの一方に設けた軸受孔でプラテンローラの一端側の軸受部材を支持し、他方の支持フレームに設けたU字状溝にプラテンローラの他端側の軸受部材を嵌め込み、さらに、このプラテンローラの他端側の軸受部材をプラテンローラ保持部材によって支持フレームに支持したものがある(例えば、特許文献1参照)。このプラテンローラ保持部材は、支持フレームにネジ止めされている。このプリンタでは、支持フレームに対するプラテンローラ保持部材の固定を解除することで、プラテンローラを一対の支持プレートから取り外して交換することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のプリンタでは、プラテンローラの一端側の軸受部材を支持している軸受孔からプラテンローラの一端側の軸部を取り外すためには、ネジを外してプラテンローラ保持部材を支持フレームから取り外した後に、プラテンローラとともに軸部を斜めにして側方に引き抜く作業を行い、さらにその後、一対の支持プレート間からプラテンローラを離脱させなければならず、プラテンローラの取り外し作業に手間がかかるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、一対の支持フレームからプラテンローラを比較的容易に取り外すことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のプラテンローラ支持構造は、記録媒体を支持するプラテンローラと、前記プラテンローラの両端部に設けられた一対の軸部と、前記軸部が挿通され、少なくとも一方が前記プラテンローラの軸方向に沿った前記軸部に対する移動が可能であり、前記軸部を介して前記プラテンローラを回転可能に支持する一対の軸受部材と、前記軸部が通過可能であり且つ前記軸受部材は通過不可である形状の開口部及び前記開口部に連通され前記軸部が前記開口部を通って出入り可能であり且つ前記軸受部材が嵌脱可能な嵌合孔が形成され、相互に離間して対向配置された一対の支持フレームと、前記プラテンローラの軸方向と直交する方向で前記軸部に着脱可能であって、前記軸部に取り付けられた状態で前記軸受部材に当接して、一対の前記支持フレームの対向方向での前記プラテンローラ及び前記軸受部材の位置決めを行う位置決め部材と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明のプリンタは、前記プラテンローラ支持構造と、前記プラテンローラに支持された記録媒体に印字する印字ヘッドと、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の工具は、前記軸部を弾性力によって挟み込む一対の弾性片を有する基体と、前記基体における前記弾性片の根元部に形成された狭幅部と、前記基体において前記狭幅部に連設され、一対の突起を有しこの突起によって前記狭幅部よりも前記一対の弾性片の対向方向での幅が広い広幅部とを有する前記位置決め部材を、前記軸部から取り外す工具であって、前記軸部に取り付けられた状態の前記位置決め部材に向けて前記プラテンローラの軸方向に沿って移動されることで前記狭幅部を通過して前記位置決め部材を挟持する一対の弾性挟持片と、一対の弾性挟持片の相互の対向部に形成され一対の前記弾性挟持片の前記プラテンローラの軸方向に沿った移動により前記突起と係合し、前記軸部からの前記位置決め部材の取り外し方向に移動することで前記位置決め部材を前記軸部から取り外す係合部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、一対の支持フレームからプラテンローラを比較的容易に取り外すことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態にかかるプリンタの基本的な構成を示す図である。
【図2】図2は、上部ユニットが開いた状態のプリンタを示す斜視図である。
【図3】図3は、カバーが取り外されるとともに上部ユニットが開いた状態のプリンタを示す斜視図である。
【図4】図4は、プラテンローラ支持構造及びその周囲を示す平面図である。
【図5】図5は、プラテンローラ支持構造を示す分解斜視図である。
【図6】図6は、支持フレームの一部を示す側面図である。
【図7】図7は、プラテンローラ支持構造を示す平面図である。
【図8】図8、プラテンローラユニットを示す平面図である。
【図9】図9は、プラテンローラユニットの一部を示す平面図である。
【図10】図10は、位置決め部材を示す斜視図である。
【図11】図11は、プラテンローラユニットの軸部を挟み込んだ状態の位置決め部材及び工具を示す側面図である。
【図12】図12は、位置決め部材を挟持した状態の工具を示す側面図である。
【図13】図13は、位置決め部材への工具の係合手順を説明するための説明図である。
【図14】図14は、プラテンローラの取り外し工程を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるプラテンローラ支持構造、プリンタ及び工具の一実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態にかかるプリンタPの基本的な構成を示す図、図2は、上部ユニットが開いた状態のプリンタを示す斜視図、図3は、カバーが取り外されるとともに上部ユニットが開いた状態のプリンタを示す斜視図である。まず、図1ないし図3を用いてプリンタPの基本的な構成及び基本的な動作について説明する。
【0014】
プリンタPは、各部が取り付けられたプリンタ本体1を備え、このプリンタ本体1に対して上部ユニット2が開閉自在に取り付けられて構成されている。同図に示されるように、プリンタPには、記録媒体であるロール紙3を引き出してプリンタPの正面に設けられている排紙口4まで導くための案内経路5が形成されている。そして、この案内経路5に沿って、ロール紙3を収納保持するロール紙収納保持部6がプリンタ本体1に設けられ、このロール紙収納保持部6からロール紙3を引き出して搬送し印字をする印字搬送部7とロール紙3を切断する用紙切断部8とが配設されている。
【0015】
ロール紙収納保持部6には、ロール紙3を収納するためのホッパ9と、収納されたロール紙3を回動自在に支持する支持ローラ10,11とが設けられている。支持ローラ10,11は、ホッパ9の底面9aに所定の間隔をあけて形成されている半円弧状の断面形状を有する溝12,13の凹部に、ホッパ9に収納されているロール紙3の軸方向と同一方向に向けられた軸を中心に回転自在に設けられてロール紙3を回動自在に支持する。印字搬送部7は、ホッパ9から引き出されるロール紙3に印字を行うための印字ヘッドであるサーマルヘッド14とプラテンローラ15とによって構成されている。サーマルヘッド14は、図1に示されるように案内経路5を介してプラテンローラ15に所定の圧力で当接させることができるように配設されている。サーマルヘッド14は複数の発熱素子(図示せず)を備えており、これら複数の発熱素子が選択的に通電されて発熱し感熱紙であるロール紙3と接触することにより印字が行われる。プラテンローラ15は、ロール紙3を支持するとともに、ロール紙3を引き出して搬送するための機能をも有している。このプラテンローラ15は、図示しないモータに回転駆動されて回転する。
【0016】
用紙切断部8には、ロール紙3を切断するための固定刃16と可動刃17とが設けられている。固定刃16と可動刃17とは、図1に示されるようにそれらの間にロール紙3を挟み込んで切断可能な位置に設けられ、可動刃17の回動によってロール紙3を切断するロータリカッタを構成する。
【0017】
プリンタ本体1は、筐体20と、この筐体20を覆うカバー21と、を備えており、筐体20にプラテンローラ15等が取り付けられている。
【0018】
次に、プリンタPの基本動作について説明する。図1に示されるように、プラテンローラ15が回転駆動され、これと接しているロール紙3がプラテンローラ15の回転と共に搬送方向に送られると、ホッパ9からロール紙3が引き出されてプラテンローラ15側へ搬送される。このとき、ホッパ9内のロール紙3は、図1中の矢印L方向に回転し、支持ローラ10,11は、図1中の矢印R方向に回転する。ロール紙3がプラテンローラ15まで搬送されると、プラテンローラ15に支持されたロール紙3にサーマルヘッド14により印字がなされる。プラテンローラ15は、ロール紙3に印字が一行なされる毎にロール紙3を搬送方向にフィードするよう断続的に駆動される。
【0019】
サーマルヘッド14により印字がなされたロール紙3はその後もプラテンローラ15の回転駆動により排紙方向に向かって搬送されていき、用紙切断部8の位置を通過するとプラテンローラ15の回転が停止されて、用紙切断部8に設けられている可動刃17が駆動されて回動し、固定刃16との間に挟みこまれたロール紙3が切断される。切断された印字部分を含むロール紙3は、案内経路5の下流端に設けられた排紙口4から例えばレシート等として排紙される。
【0020】
次に、プラテンローラ支持構造について説明する。図4は、プラテンローラ支持構造及びその周囲を示す平面図、図5は、プラテンローラ支持構造を示す分解斜視図、図6は、支持フレームの一部を示す側面図である。
【0021】
プラテンローラ15は、当該プラテンローラ15の両端部に設けられた一対の軸部51,52と、これらの一対の軸部51,52に設けられた一対の軸受部材53と、一方の軸部51に固定された歯車54と、一対の軸部51,52の先端部に設けられた一対のEリング55等とともに、プラテンローラユニット50を構成している。このプラテンローラユニット50は、筐体20に対して着脱可能に取り付けられており、一対の位置決め部材60によって筐体20に位置決めされる。
【0022】
筐体20は、相互に離間して対向配置された一対の支持フレーム22を有している。これらの支持フレーム22のそれぞれには、軸受部材53が嵌合する嵌合孔22aと、この嵌合孔22aに連通した開口部22bとが設けられている。開口部22bは、プラテンローラユニット50の軸部51,52が通過可能であり且つ軸受部材53は通過不可である形状に形成されている。具体的には、開口部22bの幅が、軸部51,52の直径よりも広く、且つ軸受部材53の後述する小径部53bの直径よりも狭く形成されている。嵌合孔22aは、開口部22bに連通されプラテンローラユニット50の軸部51,52が開口部22bを通って出入り可能であり、且つ軸受部材53が嵌脱可能な形状に形成されている。詳細には、開口部22bは、一対の支持フレーム22の対向方向と直交する方向での嵌合孔22aへのプラテンローラユニット50の軸部51,52の出入りを許容し、嵌合孔22aは、一対の支持フレーム22の対向方向での軸受部材53の嵌脱を許容している。そして、嵌合孔22aは、一対の支持フレーム22の対向方向と直交する方向での軸受部材53の位置決めを行う。
【0023】
図7は、プラテンローラ支持構造を示す平面図、図8は、プラテンローラユニットを示す平面図、図9は、プラテンローラユニットの一部を示す平面図である。
【0024】
プラテンローラ15は、円柱状に形成されている。このプラテンローラ15の周面は、ゴム等の弾性部材によって構成されており、用紙を支持する。一対の軸部51,52は、プラテンローラ15と同軸上でプラテンローラ15の両端部に設けられている。
【0025】
軸受部材53には、軸部51,52が挿通されている。軸受部材53は、プラテンローラ15の軸方向(つまり、軸部51,52の軸方向)に沿った軸部51,52に対する移動が可能であり、軸部51,52を介してプラテンローラ15を回転可能に支持する。軸受部材53には、大径部53aと小径部53bとこれらの大径部53a及び小径部53bを貫通した貫通孔53cとが設けられている。大径部53aは、支持フレーム22の外面に当接し、小径部53bは、嵌合孔22aに嵌合する。また貫通孔53cに軸部51,52が挿通されている。
【0026】
歯車54は、軸受部材53及び位置決め部材60と離間して一方の軸部51に固定され、駆動源(モータ)の動力が伝達歯車を介して伝達されてプラテンローラ15を回転させる。この歯車54には突起部54aが形成されており、この突起部54aがEリング55に当接しており、Eリング55によって軸部51からの歯車54の抜け止めがなされている。
【0027】
軸部51,52のそれぞれには、溝51b、52bが形成されており、この溝51b,52bに位置決め部材60が着脱可能に取り付けられる。歯車54が固定された軸部51の溝51bは、その軸部51が挿通された軸受部材53と歯車54とを離間させる(図7)。この溝51bは、軸部51に取り付けられた状態の一方の位置決め部材60における一対の支持フレーム22の対向方向での移動を阻止する阻止部として機能する。ここで、歯車54が設けられていない方の軸部52では、Eリング55が、軸部52に取り付けられた状態の他方の位置決め部材60における一対の支持フレーム22の対向方向での移動を阻止する阻止部として機能する。
【0028】
図10は、位置決め部材を示す斜視図、図11は、プラテンローラユニットの軸部を挟み込んだ状態の位置決め部材及び工具を示す側面図、図12は、位置決め部材を挟持した状態の工具を示す側面図、図13は、位置決め部材への工具の係合手順を説明するための説明図である。
【0029】
位置決め部材60は、プラテンローラ15の軸方向と直交する方向で軸部51,52に着脱可能である。この位置決め部材60は、軸部51,52に取り付けられた状態で軸受部材53に当接して、一対の支持フレーム22の対向方向でのプラテンローラ15及び軸受部材53の位置決めを行うものである。
【0030】
位置決め部材60は、図10及び図11に示すように、軸部51,52を弾性力によって挟み込む一対の弾性片60aを有する基体60bを有している。また、位置決め部材60は、基体60bにおける弾性片60aの根元部に形成された狭幅部60dと、基体60bにおいて狭幅部60dに連設され、一対の突起60cを有しこの突起60cによって狭幅部60dよりも一対の弾性片60aの対向方向での幅が広い広幅部60eと、を有している。この位置決め部材60は、例えば樹脂製である。この位置決め部材60は、一対の弾性片60aの弾性変形を伴って軸部51,52の溝51b,52bに着脱する。位置決め部材60は、専用の工具70によって容易に取り外し可能となっている。
【0031】
工具70は、図11及び図12に示すように、基部70aと、この基部70aから突出形成された一対の弾性挟持片70bと、を有している。一対の弾性挟持片70bには、これらの一対の弾性挟持片70bの相互の対向部70cに、係合部70dが形成されている。一対の弾性挟持片70bは、軸部51,52に取り付けられた状態の位置決め部材60に向けてプラテンローラ15の軸方向に沿って移動されることで位置決め部材60の狭幅部60dを通過して位置決め部材60を挟持する。そして、係合部70dは、一対の弾性挟持片70bのプラテンローラ15の軸方向に沿った移動により位置決め部材60の突起60cと係合する。そして、係合部70dは、軸部51,52からの位置決め部材60の取り外し方向に移動することで位置決め部材60を軸部51,52から取り外す。また、工具70における一対の弾性挟持片70bの根元部には、丸孔部70eが形成されており、この丸孔部70eにより一対の弾性挟持片70bの相互に離反する方向への開きを良好にしている。
【0032】
この工具70によって位置決め部材60をプラテンローラユニット50から取り外す際には、まず、軸部51,52に取り付けられている位置決め部材60(図11)の上方から、工具70を位置決め部材60の狭幅部60dに向けて移動させて狭幅部60dを通過させ、一対の弾性挟持片70bによって位置決め部材60の一対の弾性片60aを挟持させる(図13中の(a))。なお、図13では、軸部51,52は図示が省略されている。この状態から、工具70を、プラテンローラ15の軸方向に沿って移動させて位置決め部材60の広幅部60eへ移動させて、位置決め部材60の一対の突起60cに工具70の一対の係合部70dを係合させる(図13中の(b))。そして、この状態から工具70を上方へ移動させる。これにより係合部70dによって突起60cが上方へ引き上げられて、位置決め部材60が軸部51,52から離脱する(図12)。
【0033】
このような構成のプリンタPにおけるプラテンローラ15の取り外し手順を説明する。図14は、プラテンローラの取り外し工程を説明するための説明図である。まず、上述した手順で位置決め部材60を工具70を用いて上方へ引き上げてプラテンローラユニット50の軸部51,52から取り外す(図14中の(a))。これにより、一対の軸受部材53がプラテンローラ15の軸方向に沿って移動可能となる。次に、一対の軸受部材53をプラテンローラ15の軸方向に沿って移動させて支持フレーム22の嵌合孔22aから離脱させる(図14中の(b))。これにより、プラテンローラユニット50の軸部51,52が、支持フレーム22の開口部22bを通過可能となる。次に、軸部51,52が支持フレーム22の開口部22bを通過するようにプラテンローラ15(プラテンローラユニット50)を上方に引き上げて、開口部22b経由で軸部51,52を一対の支持フレーム22から離脱させて、プラテンローラ15(プラテンローラユニット50)を一対の支持フレーム22から離脱させる(図14中の(c))。なお、この手順と逆の手順によってプラテンローラ15(プラテンローラユニット50)を一対の支持フレーム22に取り付けることができる。
【0034】
以上説明したように、本実施の形態では、位置決め部材60をプラテンローラ15の両端部に設けられた軸部51,52から取り外して軸受部材53を一対の支持フレーム22の嵌合孔22aから取り外すことで、軸部51,52が開口部22bを通過可能となる。これにより、開口部22b経由で軸部51,52を一対の支持フレーム22から離脱させて、プラテンローラ15を一対の支持フレーム22から取り外すことができる。したがって、一対の支持フレーム22からプラテンローラ15を比較的容易に取り外すことができる。
【0035】
また、本実施の形態では、一対の軸受部材53は、両方ともプラテンローラ15の軸方向に沿って軸部51,52に対する移動が可能であり、位置決め部材60は、各軸受部材53毎に設けられている。したがって、一方の軸受部材がプラテンローラ15の軸方向に沿って移動可能でない場合に比べて、一対の支持フレーム22からより容易にプラテンローラ15を取り外すことができる。
【0036】
また、本実施の形態では、駆動源(モータ)の動力が伝達されてプラテンローラ15を回転させる歯車54が一方の軸部51に固定されており、歯車54が固定された軸部51が挿通された軸受部材53は、プラテンローラ15の軸方向に沿った軸部51に対する移動が可能である。そして阻止部である溝51bは、歯車54が固定された軸部51が挿通された軸受部材53と歯車54とを離間させる。よって、軸受部材53の位置決めに歯車54の取り付け精度が影響することを避けて軸受部材53の位置決め精度を高めることができる。
【0037】
また、本実施の形態では、位置決め部材60は、軸部51,52を弾性力によって挟み込む一対の弾性片60aを有する基体60bと、基体60bにおける弾性片60aの根元部に形成された狭幅部60dと、基体60bにおいて狭幅部60dに連設され、一対の突起60cを有しこの突起60cによって狭幅部60dよりも一対の弾性片60aの対向方向での幅が広い広幅部60eと、を有していて、工具70によって取り外し可能である。そして、工具70は、軸部51,52に取り付けられた状態の位置決め部材60に向けてプラテンローラ15の軸方向に沿って移動されることで狭幅部60dを通過して位置決め部材60を挟持する一対の弾性挟持片70bと、一対の弾性挟持片70bの相互の対向部70cに形成され一対の弾性挟持片70bのプラテンローラ15の軸方向に沿った移動により突起60cと係合し、軸部51,52からの位置決め部材60の取り外し方向に移動することで位置決め部材60を軸部51,52から取り外す係合部70dと、を備える。したがって、工具70を用いて位置決め部材60を容易に取り外すことができる。
【0038】
なお、本発明は、本実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。例えば、一対の軸受部材53は、少なくとも一方がプラテンローラ15の軸方向に沿った軸部51,52に対する移動が可能であればよい。他方の軸受部材53が、プラテンローラ15の軸方向に沿った軸部51,52に対する移動が不可である場合には、プラテンローラ15を軸方向に移動させることで、その他方の軸受部材53を嵌合孔22aに着脱させることができる。
【符号の説明】
【0039】
3…ロール紙(記録媒体)
14…サーマルヘッド(印字ヘッド)
15…プラテンローラ
22…支持フレーム
22a…嵌合孔
22b…開口部
51,52…軸部
53…軸受部材
54…歯車
60…位置決め部材
60b…基体
60c…突起
60d…狭幅部
60e…広幅部
70…工具
70b…弾性挟持片
70d…係合部
P…プリンタ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0040】
【特許文献1】特開2002−144656公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を支持するプラテンローラと、
前記プラテンローラの両端部に設けられた一対の軸部と、
前記軸部が挿通され、少なくとも一方が前記プラテンローラの軸方向に沿った前記軸部に対する移動が可能であり、前記軸部を介して前記プラテンローラを回転可能に支持する一対の軸受部材と、
前記軸部が通過可能であり且つ前記軸受部材は通過不可である形状の開口部及び前記開口部に連通され前記軸部が前記開口部を通って出入り可能であり且つ前記軸受部材が嵌脱可能な嵌合孔が形成され、相互に離間して対向配置された一対の支持フレームと、
前記プラテンローラの軸方向と直交する方向で前記軸部に着脱可能であって、前記軸部に取り付けられた状態で前記軸受部材に当接して、一対の前記支持フレームの対向方向での前記プラテンローラ及び前記軸受部材の位置決めを行う位置決め部材と、
を備えることを特徴とするプラテンローラ支持構造。
【請求項2】
一対の前記軸受部材は、両方とも前記プラテンローラの軸方向に沿って前記軸部に対する移動が可能であり、
前記位置決め部材は、各前記軸受部材毎に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のプラテンローラ支持構造。
【請求項3】
前記軸受部材及び位置決め部材と離間して一方の前記軸部に固定され、駆動源の動力が伝達されて前記プラテンローラを回転させる歯車を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のプラテンローラ支持構造。
【請求項4】
前記位置決め部材は、前記軸部を弾性力によって挟み込む一対の弾性片を有する基体と、前記基体における前記弾性片の根元部に形成された狭幅部と、前記基体において前記狭幅部に連設され、一対の突起を有しこの突起によって前記狭幅部よりも前記一対の弾性片の対向方向での幅が広い広幅部と、を有していて、工具によって取り外し可能であり、
前記工具は、前記軸部に取り付けられた状態の前記位置決め部材に向けて前記プラテンローラの軸方向に沿って移動されることで前記狭幅部を通過して前記位置決め部材を挟持する一対の弾性挟持片と、一対の弾性挟持片の相互の対向部に形成され一対の前記弾性挟持片の前記プラテンローラの軸方向に沿った移動により前記突起と係合し、前記軸部からの前記位置決め部材の取り外し方向に移動することで前記位置決め部材を前記軸部から取り外す係合部と、を備える、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のプラテンローラ支持構造。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載のプラテンローラ支持構造と、
前記プラテンローラに支持された記録媒体に印字する印字ヘッドと、
を備えることを特徴とするプリンタ。
【請求項6】
前記軸部を弾性力によって挟み込む一対の弾性片を有する基体と、前記基体における前記弾性片の根元部に形成された狭幅部と、前記基体において前記狭幅部に連設され、一対の突起を有しこの突起によって前記狭幅部よりも前記一対の弾性片の対向方向での幅が広い広幅部とを有する請求項1に記載の位置決め部材を、前記軸部から取り外す工具であって、
前記軸部に取り付けられた状態の前記位置決め部材に向けて前記プラテンローラの軸方向に沿って移動されることで前記狭幅部を通過して前記位置決め部材を挟持する一対の弾性挟持片と、
一対の弾性挟持片の相互の対向部に形成され一対の前記弾性挟持片の前記プラテンローラの軸方向に沿った移動により前記突起と係合し、前記軸部からの前記位置決め部材の取り外し方向に移動することで前記位置決め部材を前記軸部から取り外す係合部と、
を備えることを特徴とする工具。
【請求項1】
記録媒体を支持するプラテンローラと、
前記プラテンローラの両端部に設けられた一対の軸部と、
前記軸部が挿通され、少なくとも一方が前記プラテンローラの軸方向に沿った前記軸部に対する移動が可能であり、前記軸部を介して前記プラテンローラを回転可能に支持する一対の軸受部材と、
前記軸部が通過可能であり且つ前記軸受部材は通過不可である形状の開口部及び前記開口部に連通され前記軸部が前記開口部を通って出入り可能であり且つ前記軸受部材が嵌脱可能な嵌合孔が形成され、相互に離間して対向配置された一対の支持フレームと、
前記プラテンローラの軸方向と直交する方向で前記軸部に着脱可能であって、前記軸部に取り付けられた状態で前記軸受部材に当接して、一対の前記支持フレームの対向方向での前記プラテンローラ及び前記軸受部材の位置決めを行う位置決め部材と、
を備えることを特徴とするプラテンローラ支持構造。
【請求項2】
一対の前記軸受部材は、両方とも前記プラテンローラの軸方向に沿って前記軸部に対する移動が可能であり、
前記位置決め部材は、各前記軸受部材毎に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のプラテンローラ支持構造。
【請求項3】
前記軸受部材及び位置決め部材と離間して一方の前記軸部に固定され、駆動源の動力が伝達されて前記プラテンローラを回転させる歯車を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のプラテンローラ支持構造。
【請求項4】
前記位置決め部材は、前記軸部を弾性力によって挟み込む一対の弾性片を有する基体と、前記基体における前記弾性片の根元部に形成された狭幅部と、前記基体において前記狭幅部に連設され、一対の突起を有しこの突起によって前記狭幅部よりも前記一対の弾性片の対向方向での幅が広い広幅部と、を有していて、工具によって取り外し可能であり、
前記工具は、前記軸部に取り付けられた状態の前記位置決め部材に向けて前記プラテンローラの軸方向に沿って移動されることで前記狭幅部を通過して前記位置決め部材を挟持する一対の弾性挟持片と、一対の弾性挟持片の相互の対向部に形成され一対の前記弾性挟持片の前記プラテンローラの軸方向に沿った移動により前記突起と係合し、前記軸部からの前記位置決め部材の取り外し方向に移動することで前記位置決め部材を前記軸部から取り外す係合部と、を備える、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のプラテンローラ支持構造。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載のプラテンローラ支持構造と、
前記プラテンローラに支持された記録媒体に印字する印字ヘッドと、
を備えることを特徴とするプリンタ。
【請求項6】
前記軸部を弾性力によって挟み込む一対の弾性片を有する基体と、前記基体における前記弾性片の根元部に形成された狭幅部と、前記基体において前記狭幅部に連設され、一対の突起を有しこの突起によって前記狭幅部よりも前記一対の弾性片の対向方向での幅が広い広幅部とを有する請求項1に記載の位置決め部材を、前記軸部から取り外す工具であって、
前記軸部に取り付けられた状態の前記位置決め部材に向けて前記プラテンローラの軸方向に沿って移動されることで前記狭幅部を通過して前記位置決め部材を挟持する一対の弾性挟持片と、
一対の弾性挟持片の相互の対向部に形成され一対の前記弾性挟持片の前記プラテンローラの軸方向に沿った移動により前記突起と係合し、前記軸部からの前記位置決め部材の取り外し方向に移動することで前記位置決め部材を前記軸部から取り外す係合部と、
を備えることを特徴とする工具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−51308(P2011−51308A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204678(P2009−204678)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
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