プラネタリウム装置
【課題】電子式投映機と光学式投映機とが協働するプラネタリウム装置であって,操作者の操作負担が軽く,電子式投映機による迫力ある投映像を損なわず,かつ,光学式投映機の星像の美しさを損なわないプラネタリウム装置を提供すること。
【解決手段】プラネタリウム装置100は,操作部5によって光学式投映機20の投映内容を変更することができる。そして,統合制御部2では,操作部5からの指示に従って,光学式投映機20からの光量を制御する。さらに,統合制御部2では,光学式投映機20からの光量の変更に伴って電子式駆動制御部3に対して電動絞り11の開閉を指示する。すなわち,光学式投映機20の投映内容の変更に連動して電子式投映機10からの光量を自動的に調節する。
【解決手段】プラネタリウム装置100は,操作部5によって光学式投映機20の投映内容を変更することができる。そして,統合制御部2では,操作部5からの指示に従って,光学式投映機20からの光量を制御する。さらに,統合制御部2では,光学式投映機20からの光量の変更に伴って電子式駆動制御部3に対して電動絞り11の開閉を指示する。すなわち,光学式投映機20の投映内容の変更に連動して電子式投映機10からの光量を自動的に調節する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,電子式投映機と光学式投映機とを備える統合型のプラネタリウム装置に関する。本明細書において,プラネタリウムとは,ドーム型スクリーンに映像を投映する設備をいい,その映像の内容は星野に限らずエンターテインメント的なものであってもよいものとする。
【背景技術】
【0002】
従来から,プラネタリウム装置には,複数台の電子式投映機をドームの周辺に配置し,それらの投映機の出力映像を継ぎ合わせてドームスクリーンへ投映するもの(多眼式)が知られている。また,魚眼レンズを有する一台の電子式投映機によりドームスクリーン全体に映像を投映可能なもの(単眼式。例えば,特許文献1)も実用化されている。
【0003】
前述した電子式投映機としては,低価格,入手し易さ,小型,高輝度などの優位性から,液晶,DLP,DILAといったビデオプロジェクタが利用されている。これらのビデオプロジェクタは,高輝度である反面,ドームスクリーン上での黒味を損なってしまう欠点がある。これは,バックライトを完全に遮断することは困難であり,黒の再現性に限界があるからである。一方,光源からの光を恒星原板や光学レンズ等を介して星像として投映する光学式投映機においては,星像以外の光が理想的に遮断される。そのため,黒味を損なうことなく,星像とそれ以外の部分との高コントラストを実現でき,没入感がある美しい星像を投映することができる。そのため,近年のプラネタリウム装置では,ビデオプロジェクタ等の電子式投映機にて,天体像や星座等に関する多彩なコンピュータグラフィック像を投映し,一方で光学式投映機にて,美しい星像を投映する,いわゆる統合型のプラネタリウム装置(例えば,特許文献2)が提案されている。
【特許文献1】米国特許第5762413号公報
【特許文献2】特開平10−123938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら,前記した統合型のプラネタリウム装置では,次の問題があった。すなわち,電子式投映機の映像を光学式投映機による星像に重ね合わせて投映すると,電子式投映機による黒の浮き(わずかな光量)で光学式投映機による星像をしらけさせてしまうことがある。つまり,美しい星像をドームスクリーン上に投映することができなくなり,見苦しい投映状態となってしまう。つまり,光学式投映機による星像を投映しているときに,電子式投映機の投映による黒レベルが表示されると星像がしらけてしまう。そのため,没入感が損なわれ,観客を感動させる美しい星野映像を提供することが困難であった。
【0005】
また,最初から電子式投映機の映像の輝度を下げてしまうと,光学式投映機にて星像を投映していないときも暗い映像が投映されることになり,迫力のある映像を提供することができなくなる。
【0006】
また,操作者の操作により,手動で電子式投映機の光量を調節することは従来のプラネタリウム装置でも可能である。しかしながら,電子式投映機の光量を調節しつつ光学式投映機の投映内容を制御することは,操作者の熟練が必要となり,不慣れな操作者にとっては困難な操作である。
【0007】
本発明は,前記した従来の統合型のプラネタリウム装置が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,電子式投映機と光学式投映機とが協働するプラネタリウム装置であって,操作者の操作負担が軽く,電子式投映機による迫力ある投映像を損なわず,かつ,光学式投映機の星像の美しさを損なわないプラネタリウム装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題の解決を目的としてなされたプラネタリウム装置は,恒星投映原板を透過する光により星像を投映する光学式投映機と,コンピュータにより生成される電子画像を投映する電子式投映機とを備えたプラネタリウム装置であって,光学式投映機から投射される光の光量(以下,「光学式投映機からの光量」とする)および電子式投映機から投射される光の光量(以下,「電子式投映機からの光量」とする)を制御する光量制御手段を有し,光量制御手段は,光学式投映機からの光量の増加に連動して電子式投映機からの光量を減少させ,光学式投映機からの光量の減少に連動して電子式投映機からの光量を増加させることを特徴としている。
【0009】
すなわち,本発明のプラネタリウム装置は,黒の浮きがない光学式投映機で星像を投映し,電子画像の投映が可能な電子式投映機で朝焼けや夕焼けの映像あるいは惑星や星座絵等の解説補助画像を投映する統合型のプラネタリウム装置である。そして,各投映機からの光量を投映機ごとに制御する光量制御手段を備えている。
【0010】
プラネタリウム装置では,例えば,夕方から夜にかけて徐々に星が現れるといった時刻変化に関わる演出や,昼間の星像が擬似的に現れるといった演出を可能とする。そこで,これらの演出を可能とするために光学式投映機による恒星の明るさを可変とし,その明るさ,すなわち光学式投映機からの光量を光量制御手段にて制御する。さらに,光学式投映機からの光量の増減に連動させて電子式投映機からの光量を増減させる。つまり,恒星の明るさに応じて自動的に電子式投映機から投映される映像の明るさを制御する。明るさを制御する手段としては,例えば各投映機内に絞り機構を設けたり,各投映機の光源への供給エネルギーを可変とする。
【0011】
光量の制御としては,例えば,前述した時刻変化の演出を行う際,光学式投映機からの光量の増加に伴って,電子式投映機からの光量を減少させる。さらに,光学式投映機からの光量の減少に伴って,電子式投映機からの光量を増加させる。また,例えば,前述した昼間の星像の演出を行う際も同様の制御を行う。本発明のプラネタリウム装置では,このような演出を光量制御手段にて自動的に行うことができる。そのため,操作者の操作負担が軽減される。従って,操作者は,スムーズな操作を行うことができ,観客に不快感を与えることはない。
【0012】
前述したように本発明のプラネタリウム装置では,光学式投映機の投映内容に従って電子式投映機からの光量を制御している。そのため,観客が星像を観察している場合には,電子式投映機からの光量を極力少なくし,黒の浮きを抑制する。つまり,光量制御手段は,光学式投映機からの光量が所定値以上であれば,電子式投映機からの光量を抑制する制御を行う。これによって,光学式投映機による美しい星像が投映される。そして,解説補助画像の投映等の必要に応じて電子式投映機からの光量を多くし,迫力ある投映像を提供する。なお,解説補助画像を投映しているときは,観客は解説補助画像を見ているため,黒の浮きが多少生じても臨場感や没入感は損なわれない。
【0013】
また,本発明の別のプラネタリウム装置は,恒星投映原板を透過する光により星像を投映する光学式投映機と,コンピュータにより生成される電子画像を投映する電子式投映機とを備えたプラネタリウム装置であって,観測時刻の進行ないし後退を指示する観測時刻変更手段と,光学式投映機からの光量および前記電子式投映機からの光量を制御する光量制御手段とを有し,光量制御手段は,観測時刻変更手段による観測時刻の進退に応じて各投映機からの光量を徐々に増減させることを特徴とする。すなわち,観測時刻の変化に連動して,光学式投映機の投映内容を変化させ,さらに,その変化に連動して光学式投映機からの光量ないし電子式投映機からの光量を制御することとしてもよい。
【0014】
例えば,光量制御手段は,各投映機が昼間の映像から夜間の映像に切り換える際に,観測時刻の進行に応じて光学式投映機からの光量を徐々に増加させるとともに電子式投映機からの光量を徐々に減少させることとするとよりよい。これにより,時刻を進めるにつれて,青空から夜空に至るまでの映像を電子式投映機の映像から光学式投映機の映像にクロスフェードさせるような演出の自動化を図ることができ,迫力のある映像と臨場感のある星像とを両立させることができる。
【0015】
なお,本明細書でいう「観測時刻」とは,プラネタリウムの演出における星野観測を行っている時刻であって,実際の時刻のことではない。
【0016】
また,本発明の別のプラネタリウム装置は,恒星投映原板を透過する光により星像を投映する光学式投映機と,コンピュータにより生成される電子画像を投映する電子式投映機とを備えたプラネタリウム装置であって,光学式投映機からの光量の増減を指示する光量調節手段と,光学式投映機からの光量および電子式投映機からの光量を制御する光量制御手段とを有し,光量制御手段は,光量調節手段による光量の増減に連動して電子式投映機からの光量を増減させることを特徴とする。すなわち,光学式投映機の恒星の明るさ調節に連動して,電子式投映機からの光量を制御する。これは昼間の星像を擬似的に投映する演出の際に特に有効であり,光学式投映機からの光量を増加させると同時に電子式投映機からの光量を減少させる。これにより,操作者は,電子式投映機からの光量の調節を行うことなく,光学式投映機からの光量の調節を行うだけで電子式投映機の映像から光学式投映機の映像にクロスフェードさせることができる。
【0017】
また,本発明の別のプラネタリウム装置は,恒星投映原板を透過する光により星像を投映する光学式投映機と,コンピュータにより生成される電子画像を投映する電子式投映機とを備えたプラネタリウム装置であって,電子式投映機にて星野の解説を補助する補助画像の投映を指示する補助画像指示手段と,電子式投映機から投射される光の光量を制御する光量制御手段とを有し,光量制御手段は,補助画像指示手段による補助画像の投映指示に応じて電子式投映機から投射される光の光量を増減させることを特徴とする。すなわち,補助画像指示手段による補助画像の投映指示に連動して,言い換えると電子式投映機による補助画像の投映に連動して電子式投映機からの光量を制御する。これにより,操作者は,電子式投映機からの光量の調節を行うことなく,補助画像の投映指示を行うだけで補助画像をフェードインないしフェードアウトさせることができる。
【0018】
具体的に光量制御手段は,光学式投映機にて星像を投映している際に,補助画像指示手段による補助画像の投映指示に連動して電子投映機から投射される光の光量を増加させ,補助画像の投映解除指示に連動して電子投映機から投射される光の光量を減少させる。すなわち,光学式投映機から投映されるオブジェクト,または光学式投映機から投映されるオブジェクトと電子式投映機から投映されるオブジェクトとの組み合わせによって,電子式投映機から投射される光の光量を制御する。光学式投映機から投映されるオブジェクトとしては,光学式投映機で投映される恒星を,電子式投映機から投映されるオブジェクトとは,星座絵,星座線,惑星像などの天体,写真,動画などが該当する。
【0019】
さらに,光量制御手段は,補助画像の投映指示の内容に応じて光量の値を規定することとするとよりよい。すなわち,星座絵や星座線を投映する際には恒星に重ね合わせて投映するため,光量を少なくして黒の浮きが目立たないようにすることが好ましい。一方,惑星の拡大像を投映する際には,それ自体が明るいため,黒の浮きを抑える必要がなく,光量が多いことで映像が鮮明になる。よって,投映する補助画像の内容に応じて電子投映機から光量を自動的に制御することにより,操作負担を大きくすることなくより効果的な演出が可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば,光学式投映機の投映内容に応じて自動的に電子式投映機の光量を調節している。そして,星像を投映している際には,電子式投映機の光量を抑制している。よって,電子式投映機と光学式投映機とが協働するプラネタリウム装置であって,操作者の操作負担が軽く,電子式投映機による迫力ある投映像を損なわず,かつ,光学式投映機の星像の美しさを損なわないプラネタリウム装置が提供されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。なお,本実施の形態は,電子式投映機と光学式投映機とを備える統合型のプラネタリウム装置に本発明を適用したものである。
【0022】
[第1の形態]
第1の形態のプラネタリウム装置100は,図1に示すようにドームスクリーン1と,その中央下に設置された光学式投映装置20と,光学式投映装置20に隣接する位置に配置された電子式投映機10と,投映内容を操作する操作部5とを有している。また,本形態のプラネタリウム装置100では,図2に示すように統合制御部2によって電子式投映装置10,光学式投映機20,および操作部5が制御されている。また,電子式駆動制御部3によって,電子式投映機10に設けられた電動絞りの開閉制御が行われている。また,映像生成部4によって,電子式投映機10にて投映されるデジタル映像を生成している。そして,統合制御部2は,電子式駆動制御部3や映像生成部4に対しても制御コマンドを出力している。
【0023】
操作部5は,図3に示すように,グラフィカルユーザインタフェースを提供するするモニタ部51と,各種のスイッチないしボリュームが設けられた操作卓52と,ジョイスティックやマウス等の入力機器(不図示)とを備えている。モニタ部51としては,例えばタッチパネルが該当する。操作部2は,解説補助画像の選択やオート番組の実行操作を可能とする。
【0024】
また,操作部5では,時刻をコントロールする機能を備えており,青空から薄明,夕焼け,日の入り,星空,日の出,朝焼け,青空と仮想的に時刻を進行あるいは後退させることができる。この時刻変更機能では,日没によってに空を暗くする,すなわち電子式投映機10からの映像をフェードアウトさせるとともに,光学式投映機20からの星像をフェードインさせる。これにより,昼間と夜間との切換えがスムーズに行われる。
【0025】
また,操作部5では,恒星の調光機能を備えており,光学式投映機20にて投映される星像の明るさを自由に変更することができる。この調光機能では,星像をある程度明るくする,すなわち光学式投映機10からの星像をフェードインさせると,電子式投映機10からの映像をフェードアウトさせる。これにより,昼間の星像を擬似的に投映することが可能となる。
【0026】
なお,時刻の変動や星の明るさの調節は,図4に示すように操作卓52に設けられた時刻ボリュームや調光ボリュームによって手動で変更することができる。また,操作部5のモニタ部51にて選択可能なものには,星座絵,星座線,極座標線等のいわゆる解説補助画像の他,観測時刻や観測地がある。なお,観測時刻の設定を行うためには,年月日および時分を入力する。観測地の設定を行うためには,緯度および経度を入力する。また,観測時刻の変更および観測地の変更は,操作部5にて実演中に行うことが可能である。
【0027】
統合制御部2は,操作部5から発信される命令に従って,光学式投映機20に対して恒星調光,複数軸駆動,本機上下稼動,電子シャッタ等の制御信号を出力する。また,予め幾つかの天文データを記憶させておき,操作部5にて設定された観測時刻および観測地を基に,その観測地上で見えるべき恒星,惑星,衛星等の天体像を抽出する。さらには,星座情報等の解説補助画像を抽出する。そして,抽出された天体あるいは解説補助画像の情報を映像生成部4に出力する。映像生成部4では,送られてきた天体情報を基にドームスクリーン1上に投映する映像を作成し,映像信号として電子式投映機10へ出力する。また,統合制御部2は,電子式駆動制御部3に対して,電子式投映機10からの光量を制御するための制御コマンドを出力する。光量制御の詳細については後述する。
【0028】
電子式投映機11〜16は,各映像生成部から発信される映像信号により,RGB映像素子や,画角が160度以上の魚眼レンズを介し,夕焼け/朝焼け画像や解説補助画像等のデジタル画像をドームスクリーン1上に投映するものである。具体的には,液晶,DLP,DILAといったビデオプロジェクタが該当する。
【0029】
電子式投映機の具体例として,3板式のビデオプロジェクタの構造を例示する。図5に示す電子式投映機10は,白色光を放射する光源101と,全反射ミラー102,108と,3原色RGBの各々を分離するダイクロイックミラー103,104と,赤色光の光学映像を形成するR映像素子105と,緑色光の光学映像を形成するG映像素子106と,青色光の光学映像を形成するB映像素子と107,RGB各色の光学映像を合成するダイクロイックプリズム109とを備えている。光源101には,例えばリフレクタ付きのメタルハライドランプが用いられる。ダイクロイックミラー103は,赤色光Rの光束を透過させ,緑色光G,青色光Bの光束を反射する。また,ダイクロイックミラー104は,ダイクロイックミラー103にて反射された緑色光Gおよび青色光Bの光束の内,緑色光Gの光束を反射し,青色光Bの光束を透過させる。
【0030】
また,電子式投映機10は,ダイクロイックプリズム109により合成された光学映像をドームスクリーン1上に投映するための第1投射光学系12および第2投射光学系13を備え,さらに,第1投射光学系12と第2投射光学系13との間に電気的に開閉可能な電動絞り11を配設している。
【0031】
電動絞り11は,図6に示すように回動自在に支持される回転ギア114と,回転ギア114により回転駆動される遮蔽羽根111〜113と,回転ギア114を駆動するモータ115とを備えている。そして,電動絞り11では,同一形状をなす3枚の遮蔽羽根111〜113が順次に重ねて配設され,遮蔽羽根111〜113を同時に回動させることにより開口部110を所望の口径に絞ることができる。なお,図7中,(A)は全開した状態を,(B)は閉口した状態をそれぞれ示している。この電動絞り11が開閉することにより,電子式投映機10から投射される光の光量を調節することができる。
【0032】
なお,図5に示した電子式投映機10や図6に示した電動絞り11はあくまでも例示でありこの機器構成に限定するものではない。
【0033】
光学式投映機20は,主として光源,恒星原板,投映レンズ,光ファイバー,複数の軸駆動系から構成されている。光学式投映機20の詳細については,例えば,特開2001−109063号公報や特開2001−109371号公報に開示されている。そして,統合制御部2から発信される恒星調光,複数軸駆動,本機上下可動,電子シャッター等の制御命令に従って,日周あるいは年周といった運動シミュレーションを行い,恒星像あるいは惑星像をドームスクリーン1上に投映する。また,統合制御部2から発信される制御命令に従って,光学式投映機20から投射される光の光量を調節することができる。
【0034】
次に,本形態のプラネタリウム装置100にて電子式投映機10の電動絞り11の開閉制御,すなわち電子式投映機10の光量制御について説明する。なお,本形態のプラネタリウム装置100では,電動絞り11を自動的に開閉させるか否かを選択することができる。電動絞り11が開閉される状況としては,例えば,夕方から夜にかけて星が徐々に現れる演出を行う場合(つまり,時刻ボリュームを回転させる場合)や,恒星の明るさを調節する場合(つまり,調光ボリュームを回転させる場合)が考えられる。その他,星像の投映中に解説補助を投映する場合も考えられる。そこで以下の説明では,時刻ボリュームに連動させる場合と,調光ボリュームに連動させる場合と,解説補助の投映に連動させる場合とに分けて説明する。
【0035】
まず,電動絞り11の開閉を時刻ボリュームに連動させる場合の制御について説明する。本制御では,観測時刻の進行あるいは後退に伴って電子式投映機10の電動絞り11を調節する。具体的には,図8に示すように昼間から日没の直後(図8中のβ),すなわち満天の星空に至るまでは電子式投映機10にて昼間の映像を投映する。そして,さらに時刻を進めると徐々に電動絞り11の開口部を絞り,電子式投映機10からの映像をフェードアウトさせる。そして,光学式投映機20からの恒星像あるいは惑星像をフェードインさせることによりクロスフェードさせる。すなわち,夜間では電動絞り11を閉口し,電子式投映機10による黒の浮きを抑制する。
【0036】
以下,図9のフローチャートを基に,時刻ボリュームの回転時における電動絞り11の開閉制御について述べる。なお,本フローチャートは,時刻ボリュームを回転させる前の時刻が昼間の時刻であった場合の手順を示している。そのため,時刻ボリュームを回転させる前は,電子式投映機10にて昼間の映像が投映されており,電動絞り11は全開の状態である。
【0037】
まず,時刻ボリュームの回転が開始されていることを確認する(S1)。次に,絞り連動フラグの値を確認する(S2)。この絞り連動フラグは,その値が0であれば電動絞り11の開閉が手動であり,その値が1であれば自動であることを意味する。そのため,絞り連動フラグの値が0の場合(S2:フラグ=0)は,S3からS11までの処理をバイパスし,S12の処理に移行する。
【0038】
一方,絞り連動フラグの値が1の場合(S2:フラグ=1)は,時刻ボリュームが正回転であるか否かを判断する(S3)。なお,時刻ボリュームが正回転であるとは,時間を進めることを意味する。一方,時刻ボリュームが逆回転であるとは,時間を戻すことを意味する。時刻ボリュームが正回転であった場合(S3:YES)は,観測時刻(シミュレーション時刻)が日没後の所定の時刻(図8中のβ,以下,この時刻を「時刻β」とする)を経過するまで待機する(S4)。
【0039】
時刻βを経過した(S4:YES)後,電動絞り11を徐々に閉口させる(S5)。電動絞り11は,時刻β後の所定の時刻(図8中のγの時刻(以下,「時刻γ」とする))までに完全に閉口する。電動絞り11が完全に閉口することにより,電子式投映機10による黒の浮きがなくなり,漆黒の夜空が再現される。
【0040】
なお,電子式投映機10は,日没前の所定の時刻(図8中のT0の時刻(以下,「時刻T0」とする))まで昼間の映像を投映し,時刻T0を過ぎると夕焼けの映像に切り換える。
【0041】
また,光学式投映機20は,時刻T0の後であって日没前の所定の時刻(図8中のαの時刻(以下,「時刻α」とする))から投映を開始し,徐々にその光量を上昇させる制御を行う。これにより,電子式投映機10の投映による夕焼け映像から光学式投映機10の投映による星像にクロスフェードされる。すなわち,漆黒の夜空が再現されたドームスクリーン1上に満天の星像が投映される。
【0042】
電動絞り11の開閉制御の説明に戻り,観測時刻が日出前の所定の時刻(図8中のγ’,以下,この時刻を「時刻γ’」とする)を経過するまで待機する(S6)。時刻γ’を経過した(S6:YES)後,電動絞り11を徐々に開口させる(S7)。電動絞り11は,日出前であって時刻γ’後の所定の時刻(図8中のβ’の時刻(以下,「時刻β’」とする))までに完全に開口する。電動絞り11が徐々に閉口するに連れ,光学式投映機20による星像は見えなくなり,青空が再現される。
【0043】
なお,電子式投映機10は,時刻γから時刻γ’までは電動絞り11が閉口しており,基本的に非投映状態である。そして,惑星や星座絵等の解説補助画像の投映指示があれば電動絞り11を開口し,その画像を投映する。また,観測時刻が時刻γ’を過ぎれば朝焼けの映像を投映する。解説補助画像の投映による電動絞り11の制御については後述する。
【0044】
また,光学式投映機20は,時刻γ’から徐々にその光量を減少させる制御を行う。これにより,光学式投映機20の投映による星像から電子式投映機10の投映による朝焼け映像にクロスフェードされる。その後,S12の処理に移行する。
【0045】
一方,時刻ボリュームが逆回転であった場合(S3:NO)は,観測時刻が日出前の所定の時刻β’に遡るまで待機する(S8)。時刻β’にまで後退した(S4:YES)後,電動絞り11を徐々に閉口させる(S9)。電動絞り11は,時刻γ’までに完全に閉口する。その後,観測時刻が時刻γに遡るまで待機する(S10)。時刻γにまで後退した(S10:YES)後,電動絞り11を徐々に開口させる(S11)。電動絞り11は,時刻βまでに完全に開口する。すなわち,時刻ボリュームが正回転であったときの処理と反対の流れの制御を行う。その後,S12の処理に移行する。
【0046】
なお,光学式投映機20についても,時刻ボリュームが正回転であったときの処理と反対の流れの制御を行う。すなわち,時刻α’から徐々にその光量を増加させる制御を行う。これにより,電子式投映機10の投映による朝焼け映像から光学式投映機20の投映による星像にクロスフェードされる。
【0047】
次に,時刻ボリュームの回転が停止されているか否かを確認する(S12)。停止していない場合(S12:NO)には,S2の処理に戻り本処理を繰り返す。停止している場合(S12:YES)には,本処理を終了する。なお,S4,S6,S8,およびS10の処理における待機処理中に時刻ボリュームの回転が停止された場合にも本処理を終了する。これにより,時刻ボリュームに連動して自動的に電子式投映機10の電動絞り11を開閉させる制御が実現される。
【0048】
続いて,調光ボリュームの回転時における電動絞り11の開閉制御について述べる。本制御では,光学式投映機20からの光量の増減に伴って電子式投映機10の電動絞り11の開口量を調節する。以下,図10のフローチャートを基に,電子式投映機10の電動絞り11の開閉制御について述べる。
【0049】
まず,調光ボリュームの回転が開始されていることを確認する(S21)。次に,絞り連動フラグの値を確認する(S22)。絞り連動フラグの値が0の場合(S22:フラグ=0)は,S23からS26までの処理をバイパスし,S27の処理に移行する。
【0050】
一方,絞り連動フラグの値が1の場合(S22:フラグ=1)は,調光ボリュームが正回転であるか否かを判断する(S23)。なお,調光ボリュームが正回転であるとは,光学式投映機10からの光量を増加させることを意味する。一方,調光ボリュームが逆回転であるとは,その光量を減少させることを意味する。
【0051】
調光ボリュームが正回転であった場合(S23:YES)は,調光ボリュームが所定の位置Tまで回転するまで待機する(S24)。調光ボリュームが正回転中には,光学式投映機20からの光量が徐々に増加する。調光ボリュームが位置Tまで回転した場合(S24:YES)は,電子式投映機10の電動絞り11を徐々に閉口させる(S25)。これにより,電子式投映機10の投映による映像から光学式投映機20の投映による星像にクロスフェードされる。その後,S28の処理に移行する。
【0052】
調光ボリュームが逆回転であった場合(S23:NO)は,調光ボリュームが所定の位置T’まで回転するまで待機する(S26)。調光ボリュームが逆回転中には,光学式投映機20からの光量が徐々に減少する。調光ボリュームが位置T’まで回転した場合(S26:YES)は,電子式投映機10の電動絞り11を徐々に開口させる(S27)。これにより,光学式投映機20の投映による星像から電子式投映機10の投映による映像にクロスフェードされる。その後,S28の処理に移行する。
【0053】
次に,調光ボリュームの回転が停止されているか否かを確認する(S28)。停止していない場合(S28:NO)には,S22の処理に戻り本処理を繰り返す。停止している場合(S28:YES)には,本処理を終了する。なお,S24およびS26の処理における待機処理中に調光ボリュームの回転が停止された場合にも本処理を終了する。これにより,調光ボリュームに連動して自動的に電子式投映機10の電動絞り11を開閉させる制御が実現される。
【0054】
続いて,解説補助の投映による電動絞り11の制御について説明する。本制御では,解説補助の画像(静止画)あるいは映像(動画)の投映あるいは投映解除に連動して電子式投映機10の電動絞り11を調節する。具体的には,図11に示すように光学式投映機20によって星像を投映している際に,電子式投映機10にて解説補助を投映する場合には,電動絞り11の開口部を広げて解説補助の映像をフェードインさせる。一方,解説補助の投映を解除する場合には,電動絞り11の開口部を絞り,解説補助の映像をフェードアウトさせる。すなわち,夜間であっても補助画像を投映する際には電動絞り11を開口する。なお,図11中,黒レベルを示す破線は,上位であるほど黒が浮いていることを意味する。
【0055】
以下,図12のフローチャートを基に,解説補助の投映時における電動絞り11の開閉制御について述べる。
【0056】
まず,光学投映機20での恒星の投映が指示されるまで待機する(S31)。恒星の投映が指示される(S31:YES)と,電子式投映機10の電動絞り11の閉口を開始する(S32)。すなわち,電子式投映機10による映像と光学式投映機20による星像とをクロスフェードさせる。
【0057】
その後,星座絵の投映が指示された場合(S33:YES)には,電動絞り11を徐々に開口する(S34)。これにより,電子式投映機10から解説補助としての星座絵がドームスクリーン1上に投映される。なお,このとき電子式投映機10からの光によって僅かながら黒の浮きが生じる。しかし,観客は解説補助を見ているため,没入感は失われない。その後,星座絵の投映解除が指示された場合(S35:YES)には,電動絞り11を徐々に閉口する(S36)。S33からS36までの処理を,恒星の投映解除が指示されるまで繰り返す(S37)。
【0058】
その後,恒星の投映解除が指示された場合(S37:YES)には,電動絞り11を徐々に開口する(S38)。これにより,電子式投映機10からの映像がドームスクリーン1上に投映され,光学式投映機20からの星像とクロスフェードされる。S38の処理後,本処理を終了する。これにより,星座絵の投映指示に連動して自動的に電子式投映機10の電動絞り11を開閉させる制御が実現される。
【0059】
また,電子式投映機10から投映される解説補助画像あるいは解説補助映像には,星座絵の他,例えば星座線,惑星像などの天体,写真,動画などがある。そして,それらの投映を行うに際しても,図12と同様の制御を行う。例えば,図13に示すように惑星映像のズームアップを行う場合には,図14に示すように惑星映像の投映指示に連動して電子式投映機10の電子絞りを徐々に開口する。さらに,惑星映像の投映解除指示に連動して電子式投映機10の電子絞りを徐々に閉口する。なお,電動絞り11の開口量は投映されるオブジェクト(解説補助)によって異なる。すなわち,それぞれのオブジェクトの投映に必要な分の光量が提供される。
【0060】
また,解説補助ごとに電動絞り11の開口量が規定されている場合には,その開口量に従って開口する。例えば,図11に示したように,星座絵や星座線を投映する際には,光学式投映機からの星像に重ね合わせて投映する。そのため,黒の浮きを少なくするために開口量を少なくして少ない光量で投映する。一方,宇宙船の映像や昼間の風景の映像を投映する際には,黒の浮きを抑える必要がない。よって,光量が多い方が鮮明な映像を投映することができる。そのため,電動絞り11を全開として最大光量で投映する。このような制御を行うことで,操作負担を大きくすることなく,より効果的な演出が可能となる。
【0061】
なお,調光ボリュームの回転時における電動絞り11の開閉制御(図10参照)や,解説補助の投映による電動絞り11の制御(図12あるいは図14)については,観測時刻と連動していない。そのため,実演中,観測時刻の進行を中断している際にもこれらの制御を行うことができる。
【0062】
以上詳細に説明したように第1の形態のプラネタリウム装置100は,操作部5に設けられた時刻ボリュームや調光ボリュームによって光学式投映機20の投映内容を変更することができる。そして,それらのボリュームの回転によって,統合制御部2では光学式投映機20の投映内容を制御することとしている。さらに,統合制御部2では,光学式投映機20の投映内容の変更に伴って電子式駆動制御部3に対して電動絞り11の開閉を指示することとしている。すなわち,光学式投映機20の投映内容の変更に連動して電子式投映機10からの光量を調節することとしている。
【0063】
具体的に時刻変動制御では,図8に示したように朝焼けや夕焼け時に電子式投映機10の投映による映像と,光学式投映機20の投映による星像とを観測時刻の変動に連動して自動的にクロスフェードさせている。これにより,操作者の操作負担が軽減される。従って,操作者は,スムーズな操作を行うことができ,観客に不快感を与えることはない。また,夜間時には,電子式投映機10からの光量を電動絞り11の開口部を絞ることにより抑制する制御を行っている。これにより,電子式投映機10による黒の浮きが抑制され,光学式投映機20による美しい星像が投映される。
【0064】
さらに,プラネタリウム装置100は,解説補助画像の投映に応じて電子式投映機10からの光量を多くし,迫力ある解説補助映像を提供する。この動作も解説補助画像の投映指示に連動して行うことにより,操作者の負担が軽減される。従って,電子式投映機と光学式投映機とが協働するプラネタリウム装置であって,操作者の操作負担が軽く,電子式投映機による迫力ある投映像を損なわず,かつ,光学式投映機の星像の美しさを損なわないプラネタリウム装置が実現されている。
【0065】
[第2の形態]
第2の形態のプラネタリウム装置200は,図15に示すようにドームスクリーン1と,その周縁に設置された電子式投映部11〜16と,その中央下に設置された光学式投映機20と,操作部5とを有している。操作部5は,ドームスクリーン1全体に投映される映像内容の設定を行うためのものである。各電子式投映部は,ドームスクリーン1上にデジタル映像を投映するものであり,それぞれ全天の星野のうち割り当てられた領域を担当している。そして,電子式投映部11〜16の協働により,ドームスクリーン1全体に星野の映像を投映している。詳細には,図16に示すように電子式投映部11〜15が周縁沿いの5領域をそれぞれ担当し,電子式投映部16が天頂部分の1領域を担当している。すなわち,第1の形態のプラネタリウム装置100は,1台の電子式投映機によりデジタル映像を投映する単眼式投映装置であるのに対し,本形態のプラネタリウム装置200は,複数台の電子式投映機によりデジタル映像を投映する多眼式投映装置である。
【0066】
また,本形態のプラネタリウム装置は,図17のブロック図に示すように統合制御部2と,複数の映像生成部からなる映像生成部群40と,映像調整部6と,電子式駆動制御部3とを備えている。統合制御部50は,操作部5からの命令等に従って,映像制御,音声制御,照明制御等を行うものである。さらには,ドームスクリーン1上に投映する1つの画像を6つの領域に分割するものである。映像生成部群40は,各映像生成部がそれぞれ電子式投映部11〜16に対応しており,それぞれの電子式投映部に対応した映像を生成するものである。映像調整部6は,6分割された領域のうち,重なり部分についての繋ぎ合わせ処理を行うものである。調整された映像は,各電子式投映部に送られてドームスクリーン1上に投映される。
【0067】
このように構成されたプラネタリウム装置であっても,第1の形態と同様に,時刻の変動あるいは恒星の調光が可能である。そして,それらの処理中に,光学式投映機20からの光量の変動に連動して各電子式投映部の電動絞りの開閉制御を行うことが可能である。そのため,光学式投映機20からの光量が所定値以上(例えば,観測時刻が時刻β以降である,あるいは調光ボリュームの位置が位置T以上である)であれば,各電子式投映部からの光量を抑制する制御を行う。これにより,光学式投映機20からの星像と電子式投映部11〜16による映像とのクロスフェードが自動的に行われるとともに,各電子式投映部による黒の浮きが抑制され,光学式投映機20による美しい星像が投映される。
【0068】
また,プラネタリウム装置200でも,電子式投映部11〜16によって解説補助の投映が可能である。そして,光学式投映機10による星像の投映中に,解説補助の投映に連動して各電子式投映部の電動絞りの開閉制御を行うことが可能である。従って,操作者の操作負担が軽く,電子式投映機による迫力ある投映像を損なわず,かつ,光学式投映機の星像の美しさを損なわないプラネタリウム装置が実現されている。
【0069】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,本実施の形態ではプラネタリウム装置に本発明を適用しているが,これに限るものではない。すなわち,平面スクリーンに投映するビデオ映像投映装置であってもよい。
【0070】
また,本実施の形態では電動絞り11の開閉制御によって光量を調節しているが,光量の調節手段はこれに限るものではない。例えば,光源のエネルギー制御によって光量を調節してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】第1の形態に係るプラネタリウム装置の機器構成を示す概略図である。
【図2】第1の形態に係るプラネタリウム装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図3】操作部の外観の一例を示す図である。
【図4】操作部の操作卓の一例を示す図である。
【図5】電子式投映機の光学系の構成を模式的に示すブロック図である。
【図6】電動絞りの機構を示す概略図である。
【図7】電動絞りの開口状態および閉口状態をそれぞれ示す図である。
【図8】第1の形態に係る時刻変動制御を示すタイムチャートである。
【図9】第1の形態に係る時刻変動制御を示すフローチャートである。
【図10】第1の形態に係る調光制御を示すフローチャートである。
【図11】解説補助(星座絵)投映時における電動絞りの開閉制御を示すタイムチャートである。
【図12】解説補助(星座絵)投映時における電動絞りの開閉制御を示すフローチャートである。
【図13】解説補助(惑星映像)投映時における電動絞りの開閉制御を示すタイムチャートである。
【図14】解説補助(惑星映像)投映時における電動絞りの開閉制御を示すフローチャートである。
【図15】第2の形態に係るプラネタリウム装置の機器構成を示す概略図である。
【図16】図15に示したプラネタリウム装置をドーム天頂から見たイメージ図である。
【図17】第2の形態に係るプラネタリウム装置のシステム構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0072】
1 ドームスクリーン
2 統合制御部(光量制御手段)
3 電子式駆動制御部(光量制御手段)
5 操作部(観測時刻変更手段,光量調節手段,補助画像指示手段)
10 電子式投映機(電子式投映機)
11 電動絞り(光量制御手段)
20 光学式投映機(光学式投映機)
100 プラネタリウム装置(プラネタリウム装置)
【技術分野】
【0001】
本発明は,電子式投映機と光学式投映機とを備える統合型のプラネタリウム装置に関する。本明細書において,プラネタリウムとは,ドーム型スクリーンに映像を投映する設備をいい,その映像の内容は星野に限らずエンターテインメント的なものであってもよいものとする。
【背景技術】
【0002】
従来から,プラネタリウム装置には,複数台の電子式投映機をドームの周辺に配置し,それらの投映機の出力映像を継ぎ合わせてドームスクリーンへ投映するもの(多眼式)が知られている。また,魚眼レンズを有する一台の電子式投映機によりドームスクリーン全体に映像を投映可能なもの(単眼式。例えば,特許文献1)も実用化されている。
【0003】
前述した電子式投映機としては,低価格,入手し易さ,小型,高輝度などの優位性から,液晶,DLP,DILAといったビデオプロジェクタが利用されている。これらのビデオプロジェクタは,高輝度である反面,ドームスクリーン上での黒味を損なってしまう欠点がある。これは,バックライトを完全に遮断することは困難であり,黒の再現性に限界があるからである。一方,光源からの光を恒星原板や光学レンズ等を介して星像として投映する光学式投映機においては,星像以外の光が理想的に遮断される。そのため,黒味を損なうことなく,星像とそれ以外の部分との高コントラストを実現でき,没入感がある美しい星像を投映することができる。そのため,近年のプラネタリウム装置では,ビデオプロジェクタ等の電子式投映機にて,天体像や星座等に関する多彩なコンピュータグラフィック像を投映し,一方で光学式投映機にて,美しい星像を投映する,いわゆる統合型のプラネタリウム装置(例えば,特許文献2)が提案されている。
【特許文献1】米国特許第5762413号公報
【特許文献2】特開平10−123938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら,前記した統合型のプラネタリウム装置では,次の問題があった。すなわち,電子式投映機の映像を光学式投映機による星像に重ね合わせて投映すると,電子式投映機による黒の浮き(わずかな光量)で光学式投映機による星像をしらけさせてしまうことがある。つまり,美しい星像をドームスクリーン上に投映することができなくなり,見苦しい投映状態となってしまう。つまり,光学式投映機による星像を投映しているときに,電子式投映機の投映による黒レベルが表示されると星像がしらけてしまう。そのため,没入感が損なわれ,観客を感動させる美しい星野映像を提供することが困難であった。
【0005】
また,最初から電子式投映機の映像の輝度を下げてしまうと,光学式投映機にて星像を投映していないときも暗い映像が投映されることになり,迫力のある映像を提供することができなくなる。
【0006】
また,操作者の操作により,手動で電子式投映機の光量を調節することは従来のプラネタリウム装置でも可能である。しかしながら,電子式投映機の光量を調節しつつ光学式投映機の投映内容を制御することは,操作者の熟練が必要となり,不慣れな操作者にとっては困難な操作である。
【0007】
本発明は,前記した従来の統合型のプラネタリウム装置が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,電子式投映機と光学式投映機とが協働するプラネタリウム装置であって,操作者の操作負担が軽く,電子式投映機による迫力ある投映像を損なわず,かつ,光学式投映機の星像の美しさを損なわないプラネタリウム装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題の解決を目的としてなされたプラネタリウム装置は,恒星投映原板を透過する光により星像を投映する光学式投映機と,コンピュータにより生成される電子画像を投映する電子式投映機とを備えたプラネタリウム装置であって,光学式投映機から投射される光の光量(以下,「光学式投映機からの光量」とする)および電子式投映機から投射される光の光量(以下,「電子式投映機からの光量」とする)を制御する光量制御手段を有し,光量制御手段は,光学式投映機からの光量の増加に連動して電子式投映機からの光量を減少させ,光学式投映機からの光量の減少に連動して電子式投映機からの光量を増加させることを特徴としている。
【0009】
すなわち,本発明のプラネタリウム装置は,黒の浮きがない光学式投映機で星像を投映し,電子画像の投映が可能な電子式投映機で朝焼けや夕焼けの映像あるいは惑星や星座絵等の解説補助画像を投映する統合型のプラネタリウム装置である。そして,各投映機からの光量を投映機ごとに制御する光量制御手段を備えている。
【0010】
プラネタリウム装置では,例えば,夕方から夜にかけて徐々に星が現れるといった時刻変化に関わる演出や,昼間の星像が擬似的に現れるといった演出を可能とする。そこで,これらの演出を可能とするために光学式投映機による恒星の明るさを可変とし,その明るさ,すなわち光学式投映機からの光量を光量制御手段にて制御する。さらに,光学式投映機からの光量の増減に連動させて電子式投映機からの光量を増減させる。つまり,恒星の明るさに応じて自動的に電子式投映機から投映される映像の明るさを制御する。明るさを制御する手段としては,例えば各投映機内に絞り機構を設けたり,各投映機の光源への供給エネルギーを可変とする。
【0011】
光量の制御としては,例えば,前述した時刻変化の演出を行う際,光学式投映機からの光量の増加に伴って,電子式投映機からの光量を減少させる。さらに,光学式投映機からの光量の減少に伴って,電子式投映機からの光量を増加させる。また,例えば,前述した昼間の星像の演出を行う際も同様の制御を行う。本発明のプラネタリウム装置では,このような演出を光量制御手段にて自動的に行うことができる。そのため,操作者の操作負担が軽減される。従って,操作者は,スムーズな操作を行うことができ,観客に不快感を与えることはない。
【0012】
前述したように本発明のプラネタリウム装置では,光学式投映機の投映内容に従って電子式投映機からの光量を制御している。そのため,観客が星像を観察している場合には,電子式投映機からの光量を極力少なくし,黒の浮きを抑制する。つまり,光量制御手段は,光学式投映機からの光量が所定値以上であれば,電子式投映機からの光量を抑制する制御を行う。これによって,光学式投映機による美しい星像が投映される。そして,解説補助画像の投映等の必要に応じて電子式投映機からの光量を多くし,迫力ある投映像を提供する。なお,解説補助画像を投映しているときは,観客は解説補助画像を見ているため,黒の浮きが多少生じても臨場感や没入感は損なわれない。
【0013】
また,本発明の別のプラネタリウム装置は,恒星投映原板を透過する光により星像を投映する光学式投映機と,コンピュータにより生成される電子画像を投映する電子式投映機とを備えたプラネタリウム装置であって,観測時刻の進行ないし後退を指示する観測時刻変更手段と,光学式投映機からの光量および前記電子式投映機からの光量を制御する光量制御手段とを有し,光量制御手段は,観測時刻変更手段による観測時刻の進退に応じて各投映機からの光量を徐々に増減させることを特徴とする。すなわち,観測時刻の変化に連動して,光学式投映機の投映内容を変化させ,さらに,その変化に連動して光学式投映機からの光量ないし電子式投映機からの光量を制御することとしてもよい。
【0014】
例えば,光量制御手段は,各投映機が昼間の映像から夜間の映像に切り換える際に,観測時刻の進行に応じて光学式投映機からの光量を徐々に増加させるとともに電子式投映機からの光量を徐々に減少させることとするとよりよい。これにより,時刻を進めるにつれて,青空から夜空に至るまでの映像を電子式投映機の映像から光学式投映機の映像にクロスフェードさせるような演出の自動化を図ることができ,迫力のある映像と臨場感のある星像とを両立させることができる。
【0015】
なお,本明細書でいう「観測時刻」とは,プラネタリウムの演出における星野観測を行っている時刻であって,実際の時刻のことではない。
【0016】
また,本発明の別のプラネタリウム装置は,恒星投映原板を透過する光により星像を投映する光学式投映機と,コンピュータにより生成される電子画像を投映する電子式投映機とを備えたプラネタリウム装置であって,光学式投映機からの光量の増減を指示する光量調節手段と,光学式投映機からの光量および電子式投映機からの光量を制御する光量制御手段とを有し,光量制御手段は,光量調節手段による光量の増減に連動して電子式投映機からの光量を増減させることを特徴とする。すなわち,光学式投映機の恒星の明るさ調節に連動して,電子式投映機からの光量を制御する。これは昼間の星像を擬似的に投映する演出の際に特に有効であり,光学式投映機からの光量を増加させると同時に電子式投映機からの光量を減少させる。これにより,操作者は,電子式投映機からの光量の調節を行うことなく,光学式投映機からの光量の調節を行うだけで電子式投映機の映像から光学式投映機の映像にクロスフェードさせることができる。
【0017】
また,本発明の別のプラネタリウム装置は,恒星投映原板を透過する光により星像を投映する光学式投映機と,コンピュータにより生成される電子画像を投映する電子式投映機とを備えたプラネタリウム装置であって,電子式投映機にて星野の解説を補助する補助画像の投映を指示する補助画像指示手段と,電子式投映機から投射される光の光量を制御する光量制御手段とを有し,光量制御手段は,補助画像指示手段による補助画像の投映指示に応じて電子式投映機から投射される光の光量を増減させることを特徴とする。すなわち,補助画像指示手段による補助画像の投映指示に連動して,言い換えると電子式投映機による補助画像の投映に連動して電子式投映機からの光量を制御する。これにより,操作者は,電子式投映機からの光量の調節を行うことなく,補助画像の投映指示を行うだけで補助画像をフェードインないしフェードアウトさせることができる。
【0018】
具体的に光量制御手段は,光学式投映機にて星像を投映している際に,補助画像指示手段による補助画像の投映指示に連動して電子投映機から投射される光の光量を増加させ,補助画像の投映解除指示に連動して電子投映機から投射される光の光量を減少させる。すなわち,光学式投映機から投映されるオブジェクト,または光学式投映機から投映されるオブジェクトと電子式投映機から投映されるオブジェクトとの組み合わせによって,電子式投映機から投射される光の光量を制御する。光学式投映機から投映されるオブジェクトとしては,光学式投映機で投映される恒星を,電子式投映機から投映されるオブジェクトとは,星座絵,星座線,惑星像などの天体,写真,動画などが該当する。
【0019】
さらに,光量制御手段は,補助画像の投映指示の内容に応じて光量の値を規定することとするとよりよい。すなわち,星座絵や星座線を投映する際には恒星に重ね合わせて投映するため,光量を少なくして黒の浮きが目立たないようにすることが好ましい。一方,惑星の拡大像を投映する際には,それ自体が明るいため,黒の浮きを抑える必要がなく,光量が多いことで映像が鮮明になる。よって,投映する補助画像の内容に応じて電子投映機から光量を自動的に制御することにより,操作負担を大きくすることなくより効果的な演出が可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば,光学式投映機の投映内容に応じて自動的に電子式投映機の光量を調節している。そして,星像を投映している際には,電子式投映機の光量を抑制している。よって,電子式投映機と光学式投映機とが協働するプラネタリウム装置であって,操作者の操作負担が軽く,電子式投映機による迫力ある投映像を損なわず,かつ,光学式投映機の星像の美しさを損なわないプラネタリウム装置が提供されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。なお,本実施の形態は,電子式投映機と光学式投映機とを備える統合型のプラネタリウム装置に本発明を適用したものである。
【0022】
[第1の形態]
第1の形態のプラネタリウム装置100は,図1に示すようにドームスクリーン1と,その中央下に設置された光学式投映装置20と,光学式投映装置20に隣接する位置に配置された電子式投映機10と,投映内容を操作する操作部5とを有している。また,本形態のプラネタリウム装置100では,図2に示すように統合制御部2によって電子式投映装置10,光学式投映機20,および操作部5が制御されている。また,電子式駆動制御部3によって,電子式投映機10に設けられた電動絞りの開閉制御が行われている。また,映像生成部4によって,電子式投映機10にて投映されるデジタル映像を生成している。そして,統合制御部2は,電子式駆動制御部3や映像生成部4に対しても制御コマンドを出力している。
【0023】
操作部5は,図3に示すように,グラフィカルユーザインタフェースを提供するするモニタ部51と,各種のスイッチないしボリュームが設けられた操作卓52と,ジョイスティックやマウス等の入力機器(不図示)とを備えている。モニタ部51としては,例えばタッチパネルが該当する。操作部2は,解説補助画像の選択やオート番組の実行操作を可能とする。
【0024】
また,操作部5では,時刻をコントロールする機能を備えており,青空から薄明,夕焼け,日の入り,星空,日の出,朝焼け,青空と仮想的に時刻を進行あるいは後退させることができる。この時刻変更機能では,日没によってに空を暗くする,すなわち電子式投映機10からの映像をフェードアウトさせるとともに,光学式投映機20からの星像をフェードインさせる。これにより,昼間と夜間との切換えがスムーズに行われる。
【0025】
また,操作部5では,恒星の調光機能を備えており,光学式投映機20にて投映される星像の明るさを自由に変更することができる。この調光機能では,星像をある程度明るくする,すなわち光学式投映機10からの星像をフェードインさせると,電子式投映機10からの映像をフェードアウトさせる。これにより,昼間の星像を擬似的に投映することが可能となる。
【0026】
なお,時刻の変動や星の明るさの調節は,図4に示すように操作卓52に設けられた時刻ボリュームや調光ボリュームによって手動で変更することができる。また,操作部5のモニタ部51にて選択可能なものには,星座絵,星座線,極座標線等のいわゆる解説補助画像の他,観測時刻や観測地がある。なお,観測時刻の設定を行うためには,年月日および時分を入力する。観測地の設定を行うためには,緯度および経度を入力する。また,観測時刻の変更および観測地の変更は,操作部5にて実演中に行うことが可能である。
【0027】
統合制御部2は,操作部5から発信される命令に従って,光学式投映機20に対して恒星調光,複数軸駆動,本機上下稼動,電子シャッタ等の制御信号を出力する。また,予め幾つかの天文データを記憶させておき,操作部5にて設定された観測時刻および観測地を基に,その観測地上で見えるべき恒星,惑星,衛星等の天体像を抽出する。さらには,星座情報等の解説補助画像を抽出する。そして,抽出された天体あるいは解説補助画像の情報を映像生成部4に出力する。映像生成部4では,送られてきた天体情報を基にドームスクリーン1上に投映する映像を作成し,映像信号として電子式投映機10へ出力する。また,統合制御部2は,電子式駆動制御部3に対して,電子式投映機10からの光量を制御するための制御コマンドを出力する。光量制御の詳細については後述する。
【0028】
電子式投映機11〜16は,各映像生成部から発信される映像信号により,RGB映像素子や,画角が160度以上の魚眼レンズを介し,夕焼け/朝焼け画像や解説補助画像等のデジタル画像をドームスクリーン1上に投映するものである。具体的には,液晶,DLP,DILAといったビデオプロジェクタが該当する。
【0029】
電子式投映機の具体例として,3板式のビデオプロジェクタの構造を例示する。図5に示す電子式投映機10は,白色光を放射する光源101と,全反射ミラー102,108と,3原色RGBの各々を分離するダイクロイックミラー103,104と,赤色光の光学映像を形成するR映像素子105と,緑色光の光学映像を形成するG映像素子106と,青色光の光学映像を形成するB映像素子と107,RGB各色の光学映像を合成するダイクロイックプリズム109とを備えている。光源101には,例えばリフレクタ付きのメタルハライドランプが用いられる。ダイクロイックミラー103は,赤色光Rの光束を透過させ,緑色光G,青色光Bの光束を反射する。また,ダイクロイックミラー104は,ダイクロイックミラー103にて反射された緑色光Gおよび青色光Bの光束の内,緑色光Gの光束を反射し,青色光Bの光束を透過させる。
【0030】
また,電子式投映機10は,ダイクロイックプリズム109により合成された光学映像をドームスクリーン1上に投映するための第1投射光学系12および第2投射光学系13を備え,さらに,第1投射光学系12と第2投射光学系13との間に電気的に開閉可能な電動絞り11を配設している。
【0031】
電動絞り11は,図6に示すように回動自在に支持される回転ギア114と,回転ギア114により回転駆動される遮蔽羽根111〜113と,回転ギア114を駆動するモータ115とを備えている。そして,電動絞り11では,同一形状をなす3枚の遮蔽羽根111〜113が順次に重ねて配設され,遮蔽羽根111〜113を同時に回動させることにより開口部110を所望の口径に絞ることができる。なお,図7中,(A)は全開した状態を,(B)は閉口した状態をそれぞれ示している。この電動絞り11が開閉することにより,電子式投映機10から投射される光の光量を調節することができる。
【0032】
なお,図5に示した電子式投映機10や図6に示した電動絞り11はあくまでも例示でありこの機器構成に限定するものではない。
【0033】
光学式投映機20は,主として光源,恒星原板,投映レンズ,光ファイバー,複数の軸駆動系から構成されている。光学式投映機20の詳細については,例えば,特開2001−109063号公報や特開2001−109371号公報に開示されている。そして,統合制御部2から発信される恒星調光,複数軸駆動,本機上下可動,電子シャッター等の制御命令に従って,日周あるいは年周といった運動シミュレーションを行い,恒星像あるいは惑星像をドームスクリーン1上に投映する。また,統合制御部2から発信される制御命令に従って,光学式投映機20から投射される光の光量を調節することができる。
【0034】
次に,本形態のプラネタリウム装置100にて電子式投映機10の電動絞り11の開閉制御,すなわち電子式投映機10の光量制御について説明する。なお,本形態のプラネタリウム装置100では,電動絞り11を自動的に開閉させるか否かを選択することができる。電動絞り11が開閉される状況としては,例えば,夕方から夜にかけて星が徐々に現れる演出を行う場合(つまり,時刻ボリュームを回転させる場合)や,恒星の明るさを調節する場合(つまり,調光ボリュームを回転させる場合)が考えられる。その他,星像の投映中に解説補助を投映する場合も考えられる。そこで以下の説明では,時刻ボリュームに連動させる場合と,調光ボリュームに連動させる場合と,解説補助の投映に連動させる場合とに分けて説明する。
【0035】
まず,電動絞り11の開閉を時刻ボリュームに連動させる場合の制御について説明する。本制御では,観測時刻の進行あるいは後退に伴って電子式投映機10の電動絞り11を調節する。具体的には,図8に示すように昼間から日没の直後(図8中のβ),すなわち満天の星空に至るまでは電子式投映機10にて昼間の映像を投映する。そして,さらに時刻を進めると徐々に電動絞り11の開口部を絞り,電子式投映機10からの映像をフェードアウトさせる。そして,光学式投映機20からの恒星像あるいは惑星像をフェードインさせることによりクロスフェードさせる。すなわち,夜間では電動絞り11を閉口し,電子式投映機10による黒の浮きを抑制する。
【0036】
以下,図9のフローチャートを基に,時刻ボリュームの回転時における電動絞り11の開閉制御について述べる。なお,本フローチャートは,時刻ボリュームを回転させる前の時刻が昼間の時刻であった場合の手順を示している。そのため,時刻ボリュームを回転させる前は,電子式投映機10にて昼間の映像が投映されており,電動絞り11は全開の状態である。
【0037】
まず,時刻ボリュームの回転が開始されていることを確認する(S1)。次に,絞り連動フラグの値を確認する(S2)。この絞り連動フラグは,その値が0であれば電動絞り11の開閉が手動であり,その値が1であれば自動であることを意味する。そのため,絞り連動フラグの値が0の場合(S2:フラグ=0)は,S3からS11までの処理をバイパスし,S12の処理に移行する。
【0038】
一方,絞り連動フラグの値が1の場合(S2:フラグ=1)は,時刻ボリュームが正回転であるか否かを判断する(S3)。なお,時刻ボリュームが正回転であるとは,時間を進めることを意味する。一方,時刻ボリュームが逆回転であるとは,時間を戻すことを意味する。時刻ボリュームが正回転であった場合(S3:YES)は,観測時刻(シミュレーション時刻)が日没後の所定の時刻(図8中のβ,以下,この時刻を「時刻β」とする)を経過するまで待機する(S4)。
【0039】
時刻βを経過した(S4:YES)後,電動絞り11を徐々に閉口させる(S5)。電動絞り11は,時刻β後の所定の時刻(図8中のγの時刻(以下,「時刻γ」とする))までに完全に閉口する。電動絞り11が完全に閉口することにより,電子式投映機10による黒の浮きがなくなり,漆黒の夜空が再現される。
【0040】
なお,電子式投映機10は,日没前の所定の時刻(図8中のT0の時刻(以下,「時刻T0」とする))まで昼間の映像を投映し,時刻T0を過ぎると夕焼けの映像に切り換える。
【0041】
また,光学式投映機20は,時刻T0の後であって日没前の所定の時刻(図8中のαの時刻(以下,「時刻α」とする))から投映を開始し,徐々にその光量を上昇させる制御を行う。これにより,電子式投映機10の投映による夕焼け映像から光学式投映機10の投映による星像にクロスフェードされる。すなわち,漆黒の夜空が再現されたドームスクリーン1上に満天の星像が投映される。
【0042】
電動絞り11の開閉制御の説明に戻り,観測時刻が日出前の所定の時刻(図8中のγ’,以下,この時刻を「時刻γ’」とする)を経過するまで待機する(S6)。時刻γ’を経過した(S6:YES)後,電動絞り11を徐々に開口させる(S7)。電動絞り11は,日出前であって時刻γ’後の所定の時刻(図8中のβ’の時刻(以下,「時刻β’」とする))までに完全に開口する。電動絞り11が徐々に閉口するに連れ,光学式投映機20による星像は見えなくなり,青空が再現される。
【0043】
なお,電子式投映機10は,時刻γから時刻γ’までは電動絞り11が閉口しており,基本的に非投映状態である。そして,惑星や星座絵等の解説補助画像の投映指示があれば電動絞り11を開口し,その画像を投映する。また,観測時刻が時刻γ’を過ぎれば朝焼けの映像を投映する。解説補助画像の投映による電動絞り11の制御については後述する。
【0044】
また,光学式投映機20は,時刻γ’から徐々にその光量を減少させる制御を行う。これにより,光学式投映機20の投映による星像から電子式投映機10の投映による朝焼け映像にクロスフェードされる。その後,S12の処理に移行する。
【0045】
一方,時刻ボリュームが逆回転であった場合(S3:NO)は,観測時刻が日出前の所定の時刻β’に遡るまで待機する(S8)。時刻β’にまで後退した(S4:YES)後,電動絞り11を徐々に閉口させる(S9)。電動絞り11は,時刻γ’までに完全に閉口する。その後,観測時刻が時刻γに遡るまで待機する(S10)。時刻γにまで後退した(S10:YES)後,電動絞り11を徐々に開口させる(S11)。電動絞り11は,時刻βまでに完全に開口する。すなわち,時刻ボリュームが正回転であったときの処理と反対の流れの制御を行う。その後,S12の処理に移行する。
【0046】
なお,光学式投映機20についても,時刻ボリュームが正回転であったときの処理と反対の流れの制御を行う。すなわち,時刻α’から徐々にその光量を増加させる制御を行う。これにより,電子式投映機10の投映による朝焼け映像から光学式投映機20の投映による星像にクロスフェードされる。
【0047】
次に,時刻ボリュームの回転が停止されているか否かを確認する(S12)。停止していない場合(S12:NO)には,S2の処理に戻り本処理を繰り返す。停止している場合(S12:YES)には,本処理を終了する。なお,S4,S6,S8,およびS10の処理における待機処理中に時刻ボリュームの回転が停止された場合にも本処理を終了する。これにより,時刻ボリュームに連動して自動的に電子式投映機10の電動絞り11を開閉させる制御が実現される。
【0048】
続いて,調光ボリュームの回転時における電動絞り11の開閉制御について述べる。本制御では,光学式投映機20からの光量の増減に伴って電子式投映機10の電動絞り11の開口量を調節する。以下,図10のフローチャートを基に,電子式投映機10の電動絞り11の開閉制御について述べる。
【0049】
まず,調光ボリュームの回転が開始されていることを確認する(S21)。次に,絞り連動フラグの値を確認する(S22)。絞り連動フラグの値が0の場合(S22:フラグ=0)は,S23からS26までの処理をバイパスし,S27の処理に移行する。
【0050】
一方,絞り連動フラグの値が1の場合(S22:フラグ=1)は,調光ボリュームが正回転であるか否かを判断する(S23)。なお,調光ボリュームが正回転であるとは,光学式投映機10からの光量を増加させることを意味する。一方,調光ボリュームが逆回転であるとは,その光量を減少させることを意味する。
【0051】
調光ボリュームが正回転であった場合(S23:YES)は,調光ボリュームが所定の位置Tまで回転するまで待機する(S24)。調光ボリュームが正回転中には,光学式投映機20からの光量が徐々に増加する。調光ボリュームが位置Tまで回転した場合(S24:YES)は,電子式投映機10の電動絞り11を徐々に閉口させる(S25)。これにより,電子式投映機10の投映による映像から光学式投映機20の投映による星像にクロスフェードされる。その後,S28の処理に移行する。
【0052】
調光ボリュームが逆回転であった場合(S23:NO)は,調光ボリュームが所定の位置T’まで回転するまで待機する(S26)。調光ボリュームが逆回転中には,光学式投映機20からの光量が徐々に減少する。調光ボリュームが位置T’まで回転した場合(S26:YES)は,電子式投映機10の電動絞り11を徐々に開口させる(S27)。これにより,光学式投映機20の投映による星像から電子式投映機10の投映による映像にクロスフェードされる。その後,S28の処理に移行する。
【0053】
次に,調光ボリュームの回転が停止されているか否かを確認する(S28)。停止していない場合(S28:NO)には,S22の処理に戻り本処理を繰り返す。停止している場合(S28:YES)には,本処理を終了する。なお,S24およびS26の処理における待機処理中に調光ボリュームの回転が停止された場合にも本処理を終了する。これにより,調光ボリュームに連動して自動的に電子式投映機10の電動絞り11を開閉させる制御が実現される。
【0054】
続いて,解説補助の投映による電動絞り11の制御について説明する。本制御では,解説補助の画像(静止画)あるいは映像(動画)の投映あるいは投映解除に連動して電子式投映機10の電動絞り11を調節する。具体的には,図11に示すように光学式投映機20によって星像を投映している際に,電子式投映機10にて解説補助を投映する場合には,電動絞り11の開口部を広げて解説補助の映像をフェードインさせる。一方,解説補助の投映を解除する場合には,電動絞り11の開口部を絞り,解説補助の映像をフェードアウトさせる。すなわち,夜間であっても補助画像を投映する際には電動絞り11を開口する。なお,図11中,黒レベルを示す破線は,上位であるほど黒が浮いていることを意味する。
【0055】
以下,図12のフローチャートを基に,解説補助の投映時における電動絞り11の開閉制御について述べる。
【0056】
まず,光学投映機20での恒星の投映が指示されるまで待機する(S31)。恒星の投映が指示される(S31:YES)と,電子式投映機10の電動絞り11の閉口を開始する(S32)。すなわち,電子式投映機10による映像と光学式投映機20による星像とをクロスフェードさせる。
【0057】
その後,星座絵の投映が指示された場合(S33:YES)には,電動絞り11を徐々に開口する(S34)。これにより,電子式投映機10から解説補助としての星座絵がドームスクリーン1上に投映される。なお,このとき電子式投映機10からの光によって僅かながら黒の浮きが生じる。しかし,観客は解説補助を見ているため,没入感は失われない。その後,星座絵の投映解除が指示された場合(S35:YES)には,電動絞り11を徐々に閉口する(S36)。S33からS36までの処理を,恒星の投映解除が指示されるまで繰り返す(S37)。
【0058】
その後,恒星の投映解除が指示された場合(S37:YES)には,電動絞り11を徐々に開口する(S38)。これにより,電子式投映機10からの映像がドームスクリーン1上に投映され,光学式投映機20からの星像とクロスフェードされる。S38の処理後,本処理を終了する。これにより,星座絵の投映指示に連動して自動的に電子式投映機10の電動絞り11を開閉させる制御が実現される。
【0059】
また,電子式投映機10から投映される解説補助画像あるいは解説補助映像には,星座絵の他,例えば星座線,惑星像などの天体,写真,動画などがある。そして,それらの投映を行うに際しても,図12と同様の制御を行う。例えば,図13に示すように惑星映像のズームアップを行う場合には,図14に示すように惑星映像の投映指示に連動して電子式投映機10の電子絞りを徐々に開口する。さらに,惑星映像の投映解除指示に連動して電子式投映機10の電子絞りを徐々に閉口する。なお,電動絞り11の開口量は投映されるオブジェクト(解説補助)によって異なる。すなわち,それぞれのオブジェクトの投映に必要な分の光量が提供される。
【0060】
また,解説補助ごとに電動絞り11の開口量が規定されている場合には,その開口量に従って開口する。例えば,図11に示したように,星座絵や星座線を投映する際には,光学式投映機からの星像に重ね合わせて投映する。そのため,黒の浮きを少なくするために開口量を少なくして少ない光量で投映する。一方,宇宙船の映像や昼間の風景の映像を投映する際には,黒の浮きを抑える必要がない。よって,光量が多い方が鮮明な映像を投映することができる。そのため,電動絞り11を全開として最大光量で投映する。このような制御を行うことで,操作負担を大きくすることなく,より効果的な演出が可能となる。
【0061】
なお,調光ボリュームの回転時における電動絞り11の開閉制御(図10参照)や,解説補助の投映による電動絞り11の制御(図12あるいは図14)については,観測時刻と連動していない。そのため,実演中,観測時刻の進行を中断している際にもこれらの制御を行うことができる。
【0062】
以上詳細に説明したように第1の形態のプラネタリウム装置100は,操作部5に設けられた時刻ボリュームや調光ボリュームによって光学式投映機20の投映内容を変更することができる。そして,それらのボリュームの回転によって,統合制御部2では光学式投映機20の投映内容を制御することとしている。さらに,統合制御部2では,光学式投映機20の投映内容の変更に伴って電子式駆動制御部3に対して電動絞り11の開閉を指示することとしている。すなわち,光学式投映機20の投映内容の変更に連動して電子式投映機10からの光量を調節することとしている。
【0063】
具体的に時刻変動制御では,図8に示したように朝焼けや夕焼け時に電子式投映機10の投映による映像と,光学式投映機20の投映による星像とを観測時刻の変動に連動して自動的にクロスフェードさせている。これにより,操作者の操作負担が軽減される。従って,操作者は,スムーズな操作を行うことができ,観客に不快感を与えることはない。また,夜間時には,電子式投映機10からの光量を電動絞り11の開口部を絞ることにより抑制する制御を行っている。これにより,電子式投映機10による黒の浮きが抑制され,光学式投映機20による美しい星像が投映される。
【0064】
さらに,プラネタリウム装置100は,解説補助画像の投映に応じて電子式投映機10からの光量を多くし,迫力ある解説補助映像を提供する。この動作も解説補助画像の投映指示に連動して行うことにより,操作者の負担が軽減される。従って,電子式投映機と光学式投映機とが協働するプラネタリウム装置であって,操作者の操作負担が軽く,電子式投映機による迫力ある投映像を損なわず,かつ,光学式投映機の星像の美しさを損なわないプラネタリウム装置が実現されている。
【0065】
[第2の形態]
第2の形態のプラネタリウム装置200は,図15に示すようにドームスクリーン1と,その周縁に設置された電子式投映部11〜16と,その中央下に設置された光学式投映機20と,操作部5とを有している。操作部5は,ドームスクリーン1全体に投映される映像内容の設定を行うためのものである。各電子式投映部は,ドームスクリーン1上にデジタル映像を投映するものであり,それぞれ全天の星野のうち割り当てられた領域を担当している。そして,電子式投映部11〜16の協働により,ドームスクリーン1全体に星野の映像を投映している。詳細には,図16に示すように電子式投映部11〜15が周縁沿いの5領域をそれぞれ担当し,電子式投映部16が天頂部分の1領域を担当している。すなわち,第1の形態のプラネタリウム装置100は,1台の電子式投映機によりデジタル映像を投映する単眼式投映装置であるのに対し,本形態のプラネタリウム装置200は,複数台の電子式投映機によりデジタル映像を投映する多眼式投映装置である。
【0066】
また,本形態のプラネタリウム装置は,図17のブロック図に示すように統合制御部2と,複数の映像生成部からなる映像生成部群40と,映像調整部6と,電子式駆動制御部3とを備えている。統合制御部50は,操作部5からの命令等に従って,映像制御,音声制御,照明制御等を行うものである。さらには,ドームスクリーン1上に投映する1つの画像を6つの領域に分割するものである。映像生成部群40は,各映像生成部がそれぞれ電子式投映部11〜16に対応しており,それぞれの電子式投映部に対応した映像を生成するものである。映像調整部6は,6分割された領域のうち,重なり部分についての繋ぎ合わせ処理を行うものである。調整された映像は,各電子式投映部に送られてドームスクリーン1上に投映される。
【0067】
このように構成されたプラネタリウム装置であっても,第1の形態と同様に,時刻の変動あるいは恒星の調光が可能である。そして,それらの処理中に,光学式投映機20からの光量の変動に連動して各電子式投映部の電動絞りの開閉制御を行うことが可能である。そのため,光学式投映機20からの光量が所定値以上(例えば,観測時刻が時刻β以降である,あるいは調光ボリュームの位置が位置T以上である)であれば,各電子式投映部からの光量を抑制する制御を行う。これにより,光学式投映機20からの星像と電子式投映部11〜16による映像とのクロスフェードが自動的に行われるとともに,各電子式投映部による黒の浮きが抑制され,光学式投映機20による美しい星像が投映される。
【0068】
また,プラネタリウム装置200でも,電子式投映部11〜16によって解説補助の投映が可能である。そして,光学式投映機10による星像の投映中に,解説補助の投映に連動して各電子式投映部の電動絞りの開閉制御を行うことが可能である。従って,操作者の操作負担が軽く,電子式投映機による迫力ある投映像を損なわず,かつ,光学式投映機の星像の美しさを損なわないプラネタリウム装置が実現されている。
【0069】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,本実施の形態ではプラネタリウム装置に本発明を適用しているが,これに限るものではない。すなわち,平面スクリーンに投映するビデオ映像投映装置であってもよい。
【0070】
また,本実施の形態では電動絞り11の開閉制御によって光量を調節しているが,光量の調節手段はこれに限るものではない。例えば,光源のエネルギー制御によって光量を調節してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】第1の形態に係るプラネタリウム装置の機器構成を示す概略図である。
【図2】第1の形態に係るプラネタリウム装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図3】操作部の外観の一例を示す図である。
【図4】操作部の操作卓の一例を示す図である。
【図5】電子式投映機の光学系の構成を模式的に示すブロック図である。
【図6】電動絞りの機構を示す概略図である。
【図7】電動絞りの開口状態および閉口状態をそれぞれ示す図である。
【図8】第1の形態に係る時刻変動制御を示すタイムチャートである。
【図9】第1の形態に係る時刻変動制御を示すフローチャートである。
【図10】第1の形態に係る調光制御を示すフローチャートである。
【図11】解説補助(星座絵)投映時における電動絞りの開閉制御を示すタイムチャートである。
【図12】解説補助(星座絵)投映時における電動絞りの開閉制御を示すフローチャートである。
【図13】解説補助(惑星映像)投映時における電動絞りの開閉制御を示すタイムチャートである。
【図14】解説補助(惑星映像)投映時における電動絞りの開閉制御を示すフローチャートである。
【図15】第2の形態に係るプラネタリウム装置の機器構成を示す概略図である。
【図16】図15に示したプラネタリウム装置をドーム天頂から見たイメージ図である。
【図17】第2の形態に係るプラネタリウム装置のシステム構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0072】
1 ドームスクリーン
2 統合制御部(光量制御手段)
3 電子式駆動制御部(光量制御手段)
5 操作部(観測時刻変更手段,光量調節手段,補助画像指示手段)
10 電子式投映機(電子式投映機)
11 電動絞り(光量制御手段)
20 光学式投映機(光学式投映機)
100 プラネタリウム装置(プラネタリウム装置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
恒星投映原板を透過する光により星像を投映する光学式投映機と,コンピュータにより生成される電子画像を投映する電子式投映機とを備えたプラネタリウム装置において,
前記光学式投映機から投射される光の光量および前記電子式投映機から投射される光の光量を制御する光量制御手段を有し,
前記光量制御手段は,前記光学式投映機から投射される光の光量の増加に連動して前記電子式投映機から投射される光の光量を減少させ,前記光学式投映機から投射される光の光量の減少に連動して前記電子式投映機から投射される光の光量を増加させることを特徴とするプラネタリウム装置。
【請求項2】
恒星投映原板を透過する光により星像を投映する光学式投映機と,コンピュータにより生成される電子画像を投映する電子式投映機とを備えたプラネタリウム装置において,
観測時刻の進行ないし後退を指示する観測時刻変更手段と,
前記光学式投映機から投射される光の光量および前記電子式投映機から投射される光の光量を制御する光量制御手段とを有し,
前記光量制御手段は,前記観測時刻変更手段による観測時刻の進退に応じて各投映機から投射される光の光量を徐々に増減させることを特徴とするプラネタリウム装置。
【請求項3】
請求項2に記載するプラネタリウム装置において,
前記光量制御手段は,各投映機が昼間の映像から夜間の映像に切り換える際に,観測時刻の進行に応じて前記光学式投映機から投射される光の光量を徐々に増加させるとともに前記電子式投映機から投射される光の光量を徐々に減少させることを特徴とするプラネタリウム装置。
【請求項4】
恒星投映原板を透過する光により星像を投映する光学式投映機と,コンピュータにより生成される電子画像を投映する電子式投映機とを備えたプラネタリウム装置において,
前記光学式投映機から投射される光の光量の増減を指示する光量調節手段と,
前記光学式投映機から投射される光の光量および前記電子式投映機から投射される光の光量を制御する光量制御手段とを有し,
前記光量制御手段は,前記光量調節手段による光量の増減に連動して前記電子式投映機から投射される光の光量を増減させることを特徴とするプラネタリウム装置。
【請求項5】
請求項4に記載するプラネタリウム装置において,
前記光量制御手段は,前記光量調節手段からの指示値が所定値以上であれば,前記電子式投映機から投射される光の光量を抑制する制御を行うことを特徴とするプラネタリウム装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載するプラネタリウム装置において,
前記電子式投映機にて星野の解説を補助する補助画像の投映を指示する補助画像指示手段を有し,
前記光量制御手段は,前記補助画像指示手段による補助画像の投映指示に応じて前記電子式投映機から投射される光の光量を増減させることを特徴とするプラネタリウム装置。
【請求項7】
恒星投映原板を透過する光により星像を投映する光学式投映機と,コンピュータにより生成される電子画像を投映する電子式投映機とを備えたプラネタリウム装置において,
前記電子式投映機にて星野の解説を補助する補助画像の投映を指示する補助画像指示手段と,
前記電子式投映機から投射される光の光量を制御する光量制御手段とを有し,
前記光量制御手段は,前記補助画像指示手段による補助画像の投映指示に応じて前記電子式投映機から投射される光の光量を増減させることを特徴とするプラネタリウム装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載するプラネタリウム装置において,
前記光量制御手段は,前記光学式投映機にて星像を投映している際に,前記補助画像指示手段による補助画像の投映指示に連動して前記電子投映機から投射される光の光量を増加させ,補助画像の投映解除指示に連動して前記電子投映機から投射される光の光量を減少させることを特徴とするプラネタリウム装置。
【請求項9】
請求項6から請求項8のいずれか1つに記載するプラネタリウム装置において,
前記光量制御手段は,補助画像の投映指示の内容に応じて光量の値を規定することを特徴とするプラネタリウム装置。
【請求項1】
恒星投映原板を透過する光により星像を投映する光学式投映機と,コンピュータにより生成される電子画像を投映する電子式投映機とを備えたプラネタリウム装置において,
前記光学式投映機から投射される光の光量および前記電子式投映機から投射される光の光量を制御する光量制御手段を有し,
前記光量制御手段は,前記光学式投映機から投射される光の光量の増加に連動して前記電子式投映機から投射される光の光量を減少させ,前記光学式投映機から投射される光の光量の減少に連動して前記電子式投映機から投射される光の光量を増加させることを特徴とするプラネタリウム装置。
【請求項2】
恒星投映原板を透過する光により星像を投映する光学式投映機と,コンピュータにより生成される電子画像を投映する電子式投映機とを備えたプラネタリウム装置において,
観測時刻の進行ないし後退を指示する観測時刻変更手段と,
前記光学式投映機から投射される光の光量および前記電子式投映機から投射される光の光量を制御する光量制御手段とを有し,
前記光量制御手段は,前記観測時刻変更手段による観測時刻の進退に応じて各投映機から投射される光の光量を徐々に増減させることを特徴とするプラネタリウム装置。
【請求項3】
請求項2に記載するプラネタリウム装置において,
前記光量制御手段は,各投映機が昼間の映像から夜間の映像に切り換える際に,観測時刻の進行に応じて前記光学式投映機から投射される光の光量を徐々に増加させるとともに前記電子式投映機から投射される光の光量を徐々に減少させることを特徴とするプラネタリウム装置。
【請求項4】
恒星投映原板を透過する光により星像を投映する光学式投映機と,コンピュータにより生成される電子画像を投映する電子式投映機とを備えたプラネタリウム装置において,
前記光学式投映機から投射される光の光量の増減を指示する光量調節手段と,
前記光学式投映機から投射される光の光量および前記電子式投映機から投射される光の光量を制御する光量制御手段とを有し,
前記光量制御手段は,前記光量調節手段による光量の増減に連動して前記電子式投映機から投射される光の光量を増減させることを特徴とするプラネタリウム装置。
【請求項5】
請求項4に記載するプラネタリウム装置において,
前記光量制御手段は,前記光量調節手段からの指示値が所定値以上であれば,前記電子式投映機から投射される光の光量を抑制する制御を行うことを特徴とするプラネタリウム装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載するプラネタリウム装置において,
前記電子式投映機にて星野の解説を補助する補助画像の投映を指示する補助画像指示手段を有し,
前記光量制御手段は,前記補助画像指示手段による補助画像の投映指示に応じて前記電子式投映機から投射される光の光量を増減させることを特徴とするプラネタリウム装置。
【請求項7】
恒星投映原板を透過する光により星像を投映する光学式投映機と,コンピュータにより生成される電子画像を投映する電子式投映機とを備えたプラネタリウム装置において,
前記電子式投映機にて星野の解説を補助する補助画像の投映を指示する補助画像指示手段と,
前記電子式投映機から投射される光の光量を制御する光量制御手段とを有し,
前記光量制御手段は,前記補助画像指示手段による補助画像の投映指示に応じて前記電子式投映機から投射される光の光量を増減させることを特徴とするプラネタリウム装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載するプラネタリウム装置において,
前記光量制御手段は,前記光学式投映機にて星像を投映している際に,前記補助画像指示手段による補助画像の投映指示に連動して前記電子投映機から投射される光の光量を増加させ,補助画像の投映解除指示に連動して前記電子投映機から投射される光の光量を減少させることを特徴とするプラネタリウム装置。
【請求項9】
請求項6から請求項8のいずれか1つに記載するプラネタリウム装置において,
前記光量制御手段は,補助画像の投映指示の内容に応じて光量の値を規定することを特徴とするプラネタリウム装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−153936(P2006−153936A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−340308(P2004−340308)
【出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(595086410)コニカミノルタプラネタリウム株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(595086410)コニカミノルタプラネタリウム株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]