説明

プラムリンチドの製造方法

【課題】プラムリンチドの効率的な製造方法、およびそれを製造するための新規な中間体を提供する。
【解決手段】アミノ酸セグメントの段階的合成およびこれらのセグメントを一緒にカップリングしてプラムリンチドを製造する。プラムリンチドの調製のための4つの新規な中間アミノ酸セグメントは固相合成において合成され、カップリング反応は液相において行われる。保護された所定のアミノ酸を不溶性固体樹脂担体に共有結合されている成長するペプチド鎖にカップリングすることによってセグメントが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2008年9月3日に出願された米国仮特許出願第61/190,928号の優先権を主張する。この明細書の全体の内容は本願明細書に含まれるものとする。
発明の分野
本発明は、プラムリンチド、ペプチドホルモンであるヒトアミリンの合成類似体を製造するための効率的な商業的合成に関する。プラムリンチドは、インスリンを用いる1型および2型糖尿病を治療するために必要とされる。プラムリンチドの製造方法は、実質的に、ポリペチドの種々の断片を合成し、これらの断片をカップリングして、プラムリンチドを得ることを含む。
【背景技術】
【0002】
プラムリンチドの調製および使用は米国特許第5,686,411号に開示され、この明細書の記載は本願明細書に全体で含まれるものとする。プラムリンチドは、望ましいアミノ酸を成長するペプチド鎖に連続して付加する固相合成によって調製されることが知られている。典型的には、α-N-カルバモイル保護アミノ酸と樹脂担体上の成長するペプチド鎖に結合されたアミノ酸を、塩基の存在下にジシクロヘキシルカルボジイミド1-ヒドロキシベンゾトリアゾールのようなカップリング剤の存在下に不活性溶媒中室温で反応させる。得られたペプチドからα-N-カルバモイル保護基をトリフルオロ酢酸またはピペリジンのような試薬で除去し、次の望ましいN-保護アミノ酸によってカップリング反応を反復する。適切なN-保護基は、当該技術において既知であり、本明細書においてt-ブチルオキシカルボニルが好ましい。米国特許第5,424,394号には、アミリンおよびアミリン類似体の合成について古典的な段階的方法が示されている。固体樹脂担体に共有結合されている成長するペプチド鎖に単一のアミノ酸残基が共有結合される。いくつかのカップリングと脱保護の工程が反復されなければならないので、合成経路は非常に長く且つ非効率的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明により、先行技術と比較して、最終生成物の収率および純度が向上したプラムリンチドのより効率的な合成を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明により、収率が高く且つ商業的生産に拡張可能なプラムリンチドの効率的な製造方法を提供する。この方法は、アミノ酸セグメントの段階的合成およびこれらのセグメントを一緒にカップリングしてプラムリンチドを得ることを含む。本発明により、プラムリンチドの調製のための4つの新規な中間アミノ酸セグメントを提供する。本発明の好ましい実施態様において、4つのセグメントは固相合成において合成され、カップリング反応は液相において行われる。好ましくは、保護された所定のアミノ酸を不溶性固体樹脂担体に共有結合されている成長するペプチド鎖にカップリングすることによってセグメントが得られる。「保護された所定のアミノ酸」は、通常はカルボキシ末端側終端からアミノ末端側終端まで進んで指定された配列のペプチドを得る単一のアミノ酸(保護された側鎖とアミノ末端を有する)を意味する。「成長するペプチド鎖」は、樹脂結合アミノ酸またはペプチドのα-アミノ基を脱保護し、続いてα-アミノ遊離基とあるカルボキシル活性型の次のα-アミノ保護アミノ酸とを反応(カップリング)させて、ペプチド結合を形成するとともに担体結合ペプチドを得ることを含む一般合成サイクルを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明の理解を援助するために、一連の実験の結果を記載する以下の実施例が含まれる。本発明に関する以下の実施例は、もちろん、本発明を詳しく制限するものとして解釈されてはならない。当業者の範囲内である、現在既知でありまたは後に開発される本発明のこのような態様は、下文に特許請求される本発明の範囲内に包含するとみなされる。
【実施例】
【0006】
実施例1: 保護断片S1(1-8)
【0007】
【化1】

【0008】
保護ペプチドの合成を、2-Cl-Trt-Cl樹脂(CTC樹脂)にFmoc-Ala-OHを装填することから開始する段階的Fmoc SPPS(固相ペプチド合成)手順によって行った。洗浄後のCTC樹脂(4g)を、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA、2.3g)の存在下にDMF中のFmoc-Ala-OH(1.49g)の溶液と1.5時間撹拌した。樹脂を、更に、DCM/MeOH/DIEAの5:4:1の容積比の混合溶媒で0.5時間処理することによって覆った。樹脂を洗浄した後、DMF中の20%ピペリジンで2回それぞれ10分間と30分間処理することによってFmoc保護基を除去した。残留試薬を洗浄した後、第2のアミノ酸(Fmoc-Cys(Acm)-OH)を導入して、第1のカップリング工程を開始した。Fmoc保護アミノ酸をDMF中HBTU(O-ベンゾトリアゾール-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)/HOBt (N-ヒドロキシベンゾトリアゾール)/DIEAの1:1:2のモル比をその場で用いて活性化し、引き続き樹脂上の成長するペプチドに3時間カップリングした。カイザーテストによってカップリングの完了が示された。樹脂を洗浄した後、DMF中の20%ピペリジンで2回それぞれ10分間と30分間、α-アミン上のFmoc保護基を除去した。ペプチド配列の他のアミノ酸についてこれらの工程を各回反復した。配列Boc-Lys(Boc)-OHにおける最後のアミノ酸を除いて用いられるすべてのアミノ酸をFmoc-Nα保護した。三官能性アミノ酸を以下のように側鎖保護した: Lys(Boc)-OH、Asn(Trt)-OH、Thr(tBu)-OH。3当量の活性化アミノ酸をカップリング反応に使った。合成の終わりに、ペプチド樹脂をDMF、MeOH、続いてMTBEで洗浄し、減圧下で乾燥して、樹脂上の乾燥ペプチドを得た。
DCM中の20% TFE溶液を2時間用いて、上記のように調製した樹脂上のペプチド(8g)からペプチドを切断した。ペプチド溶液の溶媒をMeOHに置き換え、濃縮した(30mL)。濃縮残留物を冷却し、水(30mL)を添加することによって生成物を沈殿させた。沈殿した生成物をろ過によって分離し、MeOH/水(10mL/10mL)の混合溶媒で2回洗浄して、
Boc-Lys(Boc)-Cys(Acm)-Asn(Trt)-Thr(tBu)-Ala-Thr(tBu)-Cys(Acm)-Ala-OH(S1a)
を得た。
10gのS1aを、DMF/ピリジン/MeOHの混合溶媒に溶解し、次に、DMF/MeOH中I2を有する溶液を2.5時間添加した。1時間後、この混合物を水中のビタミンC/酢酸アンモニウムで急冷した。より多くの水を添加して粗S1を得た。更に精製をシリカゲルによって行い、S1
【0009】
【化2】

【0010】
実施例2: 保護断片S2(9-19)
Fmoc-Thr(tBu)-Gln(Trt)-Arg(Pbf)-Leu-Ala-Asn(Trt)-Phe-Leu-Val-His(Trt)-Ser(tBu)-OH
の調製
保護ペプチドの合成を、2-Cl-Trt-Cl樹脂(CTC樹脂)にFmoc-Ser(tBu)-OHを装填することから開始する段階的Fmoc SPPS(固相ペプチド合成)手順によって行った。洗浄後のCTC樹脂(10g)を、ジイソプロピルエチルアミン(2.3g)の存在下にDMF中のFmoc-Ser(tBu)-OH(4.6g)の溶液と1.5時間撹拌した。樹脂を洗浄した後、DMF中の20%ピペリジンで2回それぞれ10分間と30分間処理することによってFmoc保護基を除去した。残留試薬を洗浄した後、第2のアミノ酸(Fmoc-His(Trt)-OH)を導入して、第1のカップリング工程を開始した。Fmoc保護アミノ酸をDMF中HBTU/HOBt/DIEAの1:1:2のモル比をその場で用いて活性化し、引き続き樹脂上の成長するペプチドに3時間カップリングした。カイザーテストによってカップリングの完了が示された。樹脂を洗浄した後、DMF中の20%ピペリジンで2回それぞれ10分間と30分間、α-アミン上のFmoc保護基を除去した。ペプチド配列の他のアミノ酸についてこれらの工程を各回反復した。すべてのアミノ酸をFmoc-Nα保護した。三官能性アミノ酸を以下のように側鎖保護した: Asn(Trt)-OH、Arg(Pbf)-OH、Gln(Trt)-OHおよびThr(tBu)-OH。3当量の活性化アミノ酸をカップリング反応に使った。合成の終わりに、ペプチド樹脂をDMF、MeOH、続いてMTBEで洗浄し、減圧下で乾燥して、樹脂上の乾燥ペプチドを得た。
DCM中の20% TFE溶液を2時間用いて、上記のように調製した樹脂上のペプチド(24g)からペプチドを切断した。ペプチド溶液の溶媒をMeOHに置き換え、濃縮した(50mL)。濃縮残留物に冷MeOH(50mL)を添加することによって生成物を完全に沈殿させた。生成物をろ過によって分離し、冷MeOH(20mL)で2回洗浄して、S2
(Fmoc-Thr(tBu)-Gln(Trt)-Arg(Pbf)-Leu-Ala-Asn(Trt)-Phe-Leu-Val-His(Trt)-Ser(tBu)-OH、12g)を得た。
【0011】
実施例3: 保護断片S3(20-29)
Fmoc-Ser(tBu)-Asn(Trt)-Asn(Trt)-Phe-Gly-Pro-Ile-Leu-Pro-Pro-OH
の調製
保護ペプチドの合成を、2-Cl-Trt-Cl樹脂(CTC樹脂)にFmoc-Pro-OHを装填することから開始する段階的Fmoc SPPS(固相ペプチド合成)手順によって行った。洗浄後のCTC樹脂(3g)を、ジイソプロピルエチルアミン(2.3g)の存在下にDMF中のFmoc-Pro-OH(1.2g)の溶液と1.5時間撹拌した。樹脂を洗浄した後、DMF中の20%ピペリジンで2回それぞれ10分間と30分間処理することによってFmoc保護基を除去した。残留試薬を洗浄した後、第2のアミノ酸(Fmoc-Pro-OH)を導入して、第1のカップリング工程を開始した。Fmoc保護アミノ酸をDMF中HBTU/HOBt/DIEAの1:1:2のモル比をその場で用いて活性化し、引き続き樹脂上の成長するペプチドに3時間カップリングした。カイザーテストによってカップリングの完了が示された。樹脂を洗浄した後、DMF中の20%ピペリジンで2回それぞれ10分間と30分間、α-アミン上のFmoc保護基を除去した。ペプチド配列の他のアミノ酸についてこれらの工程を各回反復した。すべてのアミノ酸をFmoc-Nα保護した。三官能性アミノ酸を以下のように側鎖保護した: Ser(tBu)-OH、およびAsn(Trt)-OH。3当量の活性化アミノ酸をカップリング反応に使った。合成の終わりに、ペプチド樹脂をDMF、MeOH、続いてMTBEで洗浄し、減圧下で乾燥して、樹脂上の乾燥ペプチドを得た。
DCM中の20% TFE溶液を1.5時間用いて、上記のように調製した樹脂上のペプチド(10g)からペプチドを切断した。ピリジンで中和した後、ペプチド溶液を濃縮した(15mL)。濃縮残留物をヘプタン(50mL)に添加することによって生成物を沈殿させた。生成物をろ過によって分離し、DCM/ヘプタン(1mL/3mL)の混合溶媒で3回洗浄して、S3
(Fmoc-Ser(tBu)-Asn(Trt)-Asn(Trt)-Phe-Gly-Pro-Ile-Leu-Pro-Pro-OH、5.2g)を得た。
【0012】
実施例4: 保護断片S4(30-36)
Fmoc-Thr(tBu)-Asn(Trt)-Val-Gly-Ser(tBu)-Asn(Trt)-Thr(tBu)-OH
の調製
保護ペプチドの合成を、2-Cl-Trt-Cl樹脂(CTC樹脂)にFmoc-Pro-OHを装填することから開始する段階的Fmoc SPPS(固相ペプチド合成)手順によって行った。洗浄後のCTC樹脂(10g)を、ジイソプロピルエチルアミン(2.3g)の存在下にDMF中のFmoc-Thr(tBu)-OH(4.8g)の溶液と1.5時間撹拌した。樹脂を洗浄した後、DMF中の20%ピペリジンで2回それぞれ10分間と30分間処理することによってFmoc保護基を除去した。残留試薬を洗浄した後、第2のアミノ酸(Fmoc-Asn(Trt)-OH)を導入して、第1のカップリング工程を開始した。Fmoc保護アミノ酸をDMF中HBTU/HOBt/DIEAの1:1:2のモル比をその場で用いて活性化し、引き続き樹脂上の成長するペプチドに3時間カップリングした。カイザーテストによってカップリングの完了が示された。樹脂を洗浄した後、DMF中の20%ピペリジンで2回それぞれ10分間と30分間、α-アミン上のFmoc保護基を除去した。ペプチド配列の他のアミノ酸についてこれらの工程を各回反復した。すべてのアミノ酸をFmoc-Nα保護した。三官能性アミノ酸を以下のように側鎖保護した: Ser(tBu)-OH、Asn(Trt)-OHおよびThr(tBu)-OH。3当量の活性化アミノ酸をカップリング反応に使った。合成の終わりに、成長するペプチド樹脂をDMF、MeOH、続いてMTBEで洗浄し、減圧下で乾燥して、樹脂上の乾燥ペプチドを得た。
DCM中の20% TFE溶液を2時間用いて、上記のように調製した樹脂上のペプチド(23g)からペプチドを切断した。ペプチド溶液の溶媒をMeOHに置き換え、濃縮した(60mL)。濃縮残留物にMeOH(50mL)を添加することによって生成物を沈殿させた。生成物をろ過によって分離し、MeOH/水(20mL)で2回洗浄して、S4
(Fmoc-Thr(tBu)-Asn(Trt)-Val-Gly-Ser(tBu)-Asn(Trt)-Thr(tBu)-OH、10.6g)を得た。
【0013】
実施例5: カップリングおよび脱Fmoc反応
S4
(FmocThr(tBu)Asn(Trt)ValGlySer(tBu)Asn(Trt)Thr(tBu)OH)
(1.0kg; 1.0当量)、H-Tyr(tBu)-NH2(0.45kg; 3.0当量)および1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt)(0.26kg; 3.0当量)を、窒素下で適切なリアクタへ充填する。1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)(20.7Kg)を充填し、0.5時間撹拌する。得られた混合物を0〜10℃に冷却する。次に、得られた冷却混合物にN,N-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)(0.24Kg; 3.0当量)と1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)(10.3Kg)の溶液を0〜10℃の温度を維持しながら1時間入れる。
この反応混合物を20〜30℃に温め、15時間保持する。温度を25℃に維持しながらジエチルアミン(DEA)(0.42Kg; 10.0当量)を充填する。この反応混合物を20〜30℃で2時間撹拌する。この反応混合物に35℃の温度を維持しながら酢酸エチル(EA)(7.38Kg)と飲用の軟水(SPW)(50.0Kg)を曇り点が見られるまで徐々に添加し、曇り点で1時間保持する。残ったSPWを35℃の温度に維持しながら添加する。固形物をろ過し、混合溶媒MeOH/SPW = 1/1で2回、n-ヘプタンで2回洗浄する。湿ったケークを窒素で1時間パージし、50℃で5時間乾燥して、M2
(Thr(tBu)Asn(Trt)ValGlySer(tBu)Asn(Trt)Thr(tBu)Tyr(tBu)-NH2)(約0.81Kg)を得る。
【0014】
実施例6: カップリング反応
M2(0.81Kg; 1.0当量)、S3
(Fmoc-Ser(tBu)Asn(Trt)Asn(Trt)PheGlyProlleLeu ProProOH)
(0.85Kg; 0.9当量)および1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt)(0.21Kg; 3.0当量)を、窒素下で適切なリアクタへ充填する。次に、1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)(16.7Kg)を充填し、0.5時間撹拌する。得られた混合物を0〜10℃に冷却する。
得られた混合物にエチル(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDCI)(0.30Kg; 3.0当量)を20〜30℃の温度を維持しながら充填し、3時間撹拌する。この反応混合物に35℃の温度を維持しながら酢酸エチル(EA)(5.1Kg)とSPW(43.6Kg)を曇り点が見られるまで徐々に添加し、曇り点で1時間保持する。残ったSPWを35℃の温度に維持しながら添加する。固形物をろ過し、MeOHで2回洗浄する。湿ったケークを窒素で1時間パージし、50℃で5時間乾燥して、M3
(FmocSer(tBu)Asn(Trt)Asn(Trt)PheGlyProlleLeuProProThr(tBu)Asn(Trt)ValGly Ser(tBu)Asn(Trt)Thr(tBu)Tyr(tBu)-NH2)(約1.56Kg)を得る。
【0015】
実施例7: 脱Fmoc反応
M3(1.56Kg; 1.0当量)およびジクロロメタン(DCM)(12.5Kg)を適切なリアクタへ充填する。次にピペリジン(0.60Kg; 15.0当量)を20〜30℃の温度に維持しながら充填し、2時間撹拌する。メチル-t-ブチルエーテル(MTBE)(34.7Kg)を30℃の温度を維持しながら曇り点が見られるまで徐々に添加し、曇り点で1時間保持する。残ったMTBEを30℃の温度に維持しながら添加する。生成物をろ過し、MeOH/SPW = 1/1の混合溶媒で2回、メチル-t-ブチルエーテル(MTBE)で2回洗浄する。湿ったケークを窒素で1時間パージし、50℃で5時間乾燥して、M4
(Ser(tBu)Asn(Trt)Asn(Trt)PheGlyProlleLeuProProThr(tBu)Asn(Trt)ValGlySer(tBu) Asn(Trt)Thr(tBu)Tyr(tBu)-NH2(約1.32Kg)を得る。
【0016】
実施例8: カップリング反応
M4(1.32Kg; 1.0当量)、S2
(FmocThr(tBu)Gln(Trt)Arg(Pbf)LeuAlaAsn(Trt)PheLeuValHis(Trt)Ser(tBu)OH)(1.03 Kg; 0.95当量)および1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt)(0.17kg; 3.0当量)を、窒素下で適切なリアクタへ充填する。1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)(27.17Kg)を充填し、0.5時間撹拌する。得られた混合物を0〜10℃に冷却する。
得られた冷却混合物にN,N-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)(0.16Kg; 3.0当量)と1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)(6.80Kg)の溶液を0〜10℃の温度を維持しながら1時間入れる。この反応混合物を20〜30℃に温め、15時間保持する。この反応混合物に酢酸エチル(EA)(9.47Kg)を充填する。MeOH/SPW = 1/1(86.8 Kg)の混合溶媒を35℃の温度を維持しながら曇り点が見られるまで徐々に添加し、曇り点で1時間保持する。残ったSPWを35℃の温度に維持しながら添加する。固形物をろ過し、MeOH/SPW = 4/1の混合溶媒で洗浄する。湿ったケークを窒素で1時間パージし、50℃で5時間乾燥して、M5
(FmocThr(tBu)Gln(Trt)Arg(Pbf)LeuAlaAsn(Trt)PheLeuValHis(Trt)Ser(tBu)Ser(tBu)Asn(Trt)Asn(Trt)PheGlyProlleLeuProProThr(tBu)Asn(Trt)ValGlySer(tBu)Asn(Trt)Thr(tBu)Tyr(tBu)-NH2)(約2.16 Kg)を得る。
【0017】
実施例9: 脱Fmoc反応
M5(2.16Kg; 1.0当量)およびジクロロメタン(DCM)(28.7Kg)を適切なリアクタへ充填する。次にピペリジン(0.32Kg; 10.0当量)を20〜30℃の温度に維持しながら充填し、2時間撹拌する。メチル-t-ブチルエーテル(MTBE)(47.9Kg)を0〜10℃の温度を維持しながら曇り点が見られるまで徐々に添加し、曇り点で1時間保持する。残ったMTBEを0〜10℃の温度に維持しながら添加する。生成物をろ過し、MeOH/SPW = 4/1の混合溶媒で2回、メチル-t-ブチルエーテル(MTBE)で2回洗浄する。湿ったケークを窒素で1時間パージし、50℃で5時間乾燥して、M6
(Thr(tBu)Gln(Trt)Arg(Pbf)LeuAlaAsn(Trt)PheLeuValHis(Trt)Ser(tBu)Ser(tBu)Asn(Trt)Asn(Trt)PheGlyProlleLeuProProThr(tBu)Asn(Trt)ValGlySer(tBu)Asn(Trt)Thr(tBu)Tyr(tBu)-NH2(約1.87Kg)を得る。
【0018】
実施例10: カップリング反応
M6(1.87Kg; 1.0当量)、S1
【0019】
【化3】

【0020】
および1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt)(0.14kg; 3.0当量)を、窒素下で適切なリアクタへ充填する。1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)(19.3Kg)を充填し、0.5時間撹拌する。得られた混合物を0〜10℃に冷却する。
得られた冷却混合物にN,N-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)(0.13Kg; 3.0当量)と1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)(9.63Kg)の溶液を0〜10℃の温度を維持しながら1時間入れる。この反応混合物を0〜10℃の温度に維持しながら0.5時間維持し、続いて20〜30℃に温め、17時間撹拌する。この反応混合物に酢酸エチル(EA)(8.39Kg)を充填する。SPW(8.39Kg)を35℃の温度を維持しながら曇り点が見られるまで徐々に添加し、曇り点で1時間保持する。残ったSPWを35℃の温度に維持しながら添加する。固形物をろ過し、MeOH/SPW = 4/1の混合溶媒で3回洗浄する。
湿ったケークを窒素で1時間パージし、30℃で乾燥して、M7
(Boc-S1S2S3S4Try(tBu)NH2)(約2.09Kg)を得る。
【0021】
実施例11: 脱遮断反応
M7(2.09Kg)を窒素下でリアクタIに充填する。固形物を温度0〜10℃に保持する。SPW(0.52Kg)、トリフルオロ酢酸(TFA)(29.38Kg)および、トリイソプロピルシラン(TIS)(0.47Kg)を窒素下でリアクタIIに充填する。
リアクタII内の混合溶液を0〜10℃に冷却し、25℃でリアクタIに充填する。反応混合物を20〜30□で3時間撹拌する。
この反応混合物を0〜10℃に冷却し、予め冷却した(0〜10℃)メチル-t-ブチルエーテル(MTBE)(61.85Kg)を15℃で徐々に充填し、1時間撹拌する。固体生成物をろ過し、メチル-t-ブチルエーテル(MTBE)で2回、テトラヒドロフラン(THF)で2回洗浄する。湿ったケークは、窒素で1時間パージし、50□で6時間乾燥して、プラムリンチド酢酸塩(約1.21Kg)を得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

のプラムリンチドの製造方法であって、
(a)式(II):
P1-Thr(P2)-Asn(P2)-Val-Gly-Ser(P2)-Asn(P2)-Thr(P2)-OH (II)
(式中、P1およびP2は、保護基である)
の保護側鎖ペプチドとH-Tyr(P2)-NH2とを反応させて、式(III)
P1-Thr(P2)-Asn(P2)-Val-Gly-Ser(P2)-Asn(P2)-Thr(P2)-Tyr(P2)-NH2 (III)
の保護側鎖ペプチドを得る工程;
(b)末端P1保護基を除去し、式(IV)
P1-Ser(P2)-Asn(P2)-Asn(P2)-Phe-Gly-Pro-Ile-Leu-Pro-Pro-OH (IV)
(式中、P1およびP2は、上で定義した通りである)
の保護側鎖ペプチドと反応させて、
式(V)
P-Ser(P2)-Asn(P2)-Asn(P2)-Phe-Gly-Pro-lle-Leu-Pro-Pro-
Thr(P2)-Asn(P2)-Val-Gly-Ser(P2)-Asn(P2)-Thr(P2)-Tyr(P2)-NH2 (V)
の保護側鎖ペプチド(V)を得る工程;
(c)末端P保護基を除去し、式(VI)
P1-Thr(P2)-Gln(P2)-Arg(P2)-Leu-Ala-Asn(P2)-Phe-Leu-Val-His(P2)-Ser(P2)-OH (VI)
(式中、P1およびP2は、上で定義した通りである)
の保護側鎖ペプチドと反応させて、式(VII)
P1-Thr(P2)-Gln(P2)-Arg(P2)-Leu-Ala-Asn(P2)-Phe-Leu-Val-
His(P2)-Ser(P2)-Ser(P2)-Asn(P2)-Asn(P2)-Phe-Gly-Pro-lle-Leu-
Pro-Pro-Thr(P2)-Asn(P2)-Val-Gly-Ser(P2)-Asn(P2)-Thr(P2)-Tyr(P2)-NH2 (VII)
の保護側鎖ペプチドを得る工程;
(d)末端P保護基を除去し、式(VIII)
【化2】

(式中、P1およびP2は、上で定義した通りである)
の保護側鎖ペプチドを反応させて、式(IX)
【化3】

の保護側鎖プラムリンチドを得る工程;
(e)側鎖と末端アミノ保護基を脱保護して、プラムリンチド(I)を得る工程
を含む、前記方法。
【請求項2】
P1が、FmocまたはBocである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(d)におけるP1が、Bocである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
P2が、tBu、TrtおよびPbfより選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程(a)〜(e)が、溶液中で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程a)〜d)のカップリング反応の少なくとも1つが、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール、1-メチル-2-ピロリジノン、エチル(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N,N-ジイソプロピルカルボジイミドおよびこれらの組み合わせより選ばれる試薬で達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
脱保護工程が、保護基がBocである場合にはピペリジンでまたは保護基がFmocである場合にはトリフルオロ酢酸で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
式(III)
P1-Thr(P2)-Asn(P2)-Val-Gly-Ser(P2)-Asn(P2)-Thr(P2)-Tyr(P2)-NH2 (III)
(式中、P1およびP2は、保護基である)
の保護側鎖ペプチド。
【請求項9】
Fmoc-Thr(tBu)Asn(Trt)ValGlySer(tBu)Asn(Trt)Thr(tBu)Tyr(tBu)-NH2
である、請求項8に記載のペプチド。
【請求項10】
Fmoc-Thr(tBu)Asn(Trt)ValGlySer(tBu)Asn(Trt)Thr(tBu)Tyr(tBu)-NH2
の製造方法であって、
Fomc-Thr(tBu)Asn(Trt)ValGlySer(tBu)Asn(Trt)Thr(tBu)-OH
とH-Tyr(tBu)-NH2とを反応させることによる、前記方法。
【請求項11】
Fomc-Thr(tBu)Asn(Trt)ValGlySer(tBu)Asn(Trt)Thr(tBu)-OH
が、保護された所定のアミノ酸を不溶性固体樹脂担体に共有結合された成長するペプチド鎖にカップリングして、
Fomc-Thr(tBu)Asn(Trt)ValGlySer(tBu)Asn(Trt)Thr(tBu)-OH
を得る工程を含む固相合成によって得られる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
式(IV)
P1-Ser(P2)-Asn(P2)-Asn(P2)-Phe-Gly-Pro-Ile-Leu-Pro-Pro-OH(IV)
(式中、P1およびP2は、保護基である)
の保護側鎖ペプチド。
【請求項13】
Fmoc-Ser(tBu)-Asn(Trt)-Asn(Trt)-Phe-Gly-Pro-Ile-Leu-Pro-Pro-OH
である、請求項12に記載のペプチド。
【請求項14】
Fmoc-Ser(tBu)-Asn(Trt)-Asn(Trt)-Phe-Gly-Pro-Ile-Leu-Pro-Pro-OH
の製造方法であって、保護された所定のアミノ酸を不溶性固体樹脂担体に共有結合された成長するペプチド鎖にカップリングして、
Fmoc-Ser(tBu)-Asn(Trt)-Asn(Trt)-Phe-Gly-Pro-Ile-Leu-Pro-Pro-OH
を得ることを含む、前記方法。
【請求項15】
式(VI)
P1-Thr(P2)-Gln(P2)-Arg(P2)-Leu-Ala-Asn(P2)-Phe-Leu-Val-His(P2)-Ser(P2)-OH
(VI)
(式中、P1およびP2は、保護基である)
の保護側鎖ペプチド。
【請求項16】
Fmoc-Thr(tBu)-Gln(Trt)Arg(Pbf)-Leu-Ala-Asn(Trt)-Phe-Leu-Val-His(Trt)-Ser(tBu)-OH
である、請求項15に記載のペプチド。
【請求項17】
Fmoc-Thr(tBu)-Gln(Trt)Arg(Pbf)-Leu-Ala-Asn(Trt)-Phe-Leu-Val-His(Trt)-Ser(tBu)-OH
の製造方法であって、保護された所定のアミノ酸を不溶性固体樹脂担体に共有結合された成長するペプチド鎖にカップリングして、
Fmoc-Thr(tBu)-Gln(Trt)Arg(Pbf)-Leu-Ala-Asn(Trt)-Phe-Leu-Val-His(Trt)-Ser(tBu)-OH
を得る工程および脱保護工程を含む、前記方法。
【請求項18】
式(VIII)
【化4】

(式中、P1およびP2は、保護基である)
の保護側鎖ペプチド。
【請求項19】
【化5】

である、請求項18に記載のペプチド。
【請求項20】
【化6】

の製造方法であって、保護された所定のアミノ酸を不溶性固体樹脂担体に共有結合された成長するペプチド鎖にカップリングする工程、およびシステイン残基を選択的に脱保護し、ペプチド鎖上のシステイン残基間に分子内のジスルフィド結合を形成した後、ペプチド鎖を固体担体から切断して、
【化7】

を得る工程を含む、前記方法。

【公表番号】特表2012−502045(P2012−502045A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526194(P2011−526194)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/055867
【国際公開番号】WO2010/028131
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(503345569)サイノファーム タイワン リミテッド (18)
【Fターム(参考)】