説明

プリテンショナ

【課題】薬剤の燃えカスによる詰りを防止又は効果的に抑制でき、しかも、不要に多くのガスが抜けることがないプリテンショナを得る。
【解決手段】フィルタ部材62に形成された通気孔64の個々の開口形状は、ガス流量調節孔60の開口形状よりも小さく、通気孔64の開口形状とガス流量調節孔60の開口形状とを重ねると、ガス流量調節孔60の開口形状が通気孔64の開口形状からはみ出る。また、フィルタ部材62の端面における通気孔64の設定範囲はガス流量調節孔60の開口形状よりも大きく、ガス流量調節孔60の開口形状とフィルタ部材62のガス流量調節孔60とは反対側の端面形状とを重ねると、複数の通気孔64の何れかはガス流量調節孔60の範囲の外に位置する。このため、燃えカスに何れかの通気孔64が塞がれても、他の何れかの通気孔64は燃えカスに塞がれない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のシートベルト装置を構成するプリテンショナに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示されたプリテンショナはシリンダの内部で摺動可能なピストンを備えている。シリンダに装着されたガスジェネレータが作動することで発生したガスの圧力でピストンが摺動すると、ピストンと一体のラックバーがピニオンを回転させ、このピニオンの回転でスプールが巻取方向に回転してウェビングがスプールに巻取られるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−241863の公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、不要になったシートベルト装置を車両から取り外すに際しては、プリテンショナのシリンダ内のガスが予め抜かれていることが好ましい。但し、この小孔は内径寸法が小さ過ぎるとガスを発生させるために燃焼された薬剤の燃えカスが詰りやすく、小孔は内径寸法が大きすぎるとプリテンショナ作動している状態で不要にガスが抜けてしまう。このように、ガスを抜くための孔の形状の設定が難しかった。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、薬剤の燃えカスによる詰りを効果的に抑制でき、しかも、不要に多くのガスが抜けることがないプリテンショナを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の本発明に係るプリテンショナは、作動することで薬剤を燃焼させてガスを発生させるガス発生手段と、前記ガス発生手段が取り付けられ、前記ガス発生手段にて発生した前記ガスが内部に供給されるプリテンショナ本体と、前記プリテンショナ本体内に設けられ、前記プリテンショナ本体内に供給された前記ガスの圧力で移動し、この移動によりスプールを回転させて前記スプールにウェビングを巻取らせるスプール駆動部材と、ガス通過方向下流側が前記プリテンショナ本体内における前記スプール駆動部材の前記ガス発生手段側とは反対側に直接又は間接的に連通し、通過させるガスの流量に応じて内周形状が設定されたガス流量調節部と、ガス通過方向上流側が前記プリテンショナ本体内における前記ガス発生手段と前記スプール駆動部材との間の空間に連通していると共に、ガス通過方向下流側が前記ガス流量調節部のガス通過方向上流側に連通し、前記ガス発生手段にて発生したガスが通過してガス流量調節部へ向かう通気部を有し、又は、前記通気部を形成するフィルタ手段と、を備え、更に、前記ガス流量調節部の開口形状と前記通気部の開口形状とを重ねた場合に前記ガス流量調節部の開口形状が前記通気部の開口形状からはみ出るように前記ガス流量調節部及び前記通気部の各々の開口形状を設定すると共に、前記通気部における前記ガスの通過方向上流側での全体的な開口面積を前記ガス流量調節部の開口面積よりも大きく設定している。
【0007】
請求項1に記載の本発明に係るプリテンショナでは、ガス発生手段が作動し、これにより、ガス発生手段に設けられた薬剤が燃焼するとガスが発生し、このガスがプリテンショナ本体に供給される。プリテンショナ本体にガスが供給されと、このガス圧でプリテンショナ本体内のスプール駆動部材が移動する。これにより、スプールが巻取方向に回転して、ウェビングをその基端側から巻取る。
【0008】
一方、スプール駆動部材にはガス流量調節部が形成される。ガス流量調節部はガス通過方向下流側がプリテンショナ本体内におけるスプール駆動部材のガス発生手段側とは反対側に直接又は間接的に連通している。これに対してガス流量調節部のガス通過方向上流側はフィルタ手段の通気部におけるガス通過方向下流側に連通している。
【0009】
この通気部のガス通過方向上流側は、プリテンショナ本体内におけるガス発生手段とスプール駆動部材との間の空間に連通しており、プリテンショナ本体内におけるガス発生手段とスプール駆動部材との間のガスは、フィルタ手段の通気部及びガス流量調節部を通過してプリテンショナ本体内におけるスプール駆動部材のガス発生手段側とは反対側に抜け出ることができる。したがって、本プリテンショナの作動が終了した後に、プリテンショナ本体内におけるガス発生手段とスプール駆動部材との間のガスがスプール駆動部材のガス発生手段側とは反対側に抜け出ることで、プリテンショナ本体内におけるガス発生手段とスプール駆動部材との間の高圧状態を解消できる。
【0010】
また、上記のように、ガス流量調節部及びフィルタ手段の通気部を介してスプール駆動部材の両側が繋がっていることで、上記のようにガスがスプール駆動部材のガス発生手段側とは反対側に抜け出るが、例えば、スプールを回転させてウェビングを巻取ることに支障がでない流量となるようにガス流量調節部の開口形状が設定されるので、上記のように、プリテンショナ本体に供給したガスの圧力で、スプールにウェビングを巻取らせて乗員の身体をそれまでよりも強く拘束することができる。
【0011】
一方、ガス発生手段にて発生したガスがプリテンショナ本体内に供給される際には、ガスを発生させるために燃焼された薬剤の燃えカスもプリテンショナ本体内に送り込まれる。ここで、本発明に係るプリテンショナでは、通気部のガス通過方向上流側での通気部の設定範囲とガス流量調節部の開口形状とを重ねた場合に、通気部の開口形状からガス流量調節部の開口形状がはみ出るように通気部及びガス流量調節部の各形状が設定される。しかも、通気部におけるガスの入口側での全体的な開口面積がガス流量調節部の開口面積よりも大きく設定されるので、薬剤の燃えカスに塞がれた状態での通気部におけるガスの入口側での全体的な開口面積とガス流量調節部の開口面積との差異を小さくできる。
【0012】
したがって、この状態であってもガス流量調節部にて設定された流量のガスを燃えカスの外側からガスが通気部に流れ込ませることができ、通気部及びガス流量調節部を通過してプリテンショナ本体内におけるスプール駆動部材のガス発生手段側とは反対側に抜け出ることができる。これにより、プリテンショナ本体内におけるガス発生手段とスプール駆動部材との間の高圧状態を効果的に解消できる。
【0013】
請求項2に記載の本発明に係るプリテンショナは、請求項1に記載の本発明において、 前記通気部の設定範囲を前記ガス流量調節部の設定範囲よりも大きく設定している。
【0014】
請求項2に記載の本発明に係るプリテンショナでは、通気部の設定範囲がガス流量調節部の設定範囲よりも大きい。このため、ガス流量調節部を通過できる程度の大きさの薬剤の燃えカスが通気部を塞いでも、燃えカスの側方で通気部が開口する。
【0015】
請求項3に記載の本発明に係るプリテンショナは、請求項1又は請求項2に記載の本発明において、前記通気部を複数設定すると共に、前記通気部の個々の開口面積を前記ガス流量調節部の開口面積よりも小さく設定すると共に、全ての前記通気部の開口面積の総和を前記ガス流量調節部の開口面積よりも大きく設定している。
【0016】
請求項3に記載の本発明に係るプリテンショナによれば、複数設定された通気部の個々の開口面積はガス流量調節部の開口面積よりも小さく、しかも、これらの通気部の開口面積の総和がガス流量調節部の開口面積よりも大きくなるように通気部の個々の開口面積が設定される。
【0017】
このため、薬剤の燃えカスが如何なる姿勢でフィルタ手段に引っ掛かっても、燃えカスの外側における通気部の開口面積の総和とガス流量調節部の開口面積との差異を小さくでき、十分な量のガスをガス流量調節部側へ通過させることができる。
【0018】
請求項4に記載の本発明に係るプリテンショナは、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の本発明において、前記ガス流量調節部よりも前記ガス通過方向上流側で前記スプール駆動部材に形成され、前記ガス通過方向上流側の端部が前記スプール駆動部材における前記ガス発生手段側の端面にて前記ガス流量調節部の開口面積よりも大きく開口し、前記ガス通過方向下流側の端部が前記ガス流量調節部の前記ガス通過方向上流側に直接又は間接的に連通した装着孔を前記スプール駆動部材に形成すると共に、前記装着孔の内周部に内接するように前記フィルタ手段を前記装着孔に装着し、更に、前記装着孔に装着された前記フィルタ手段における前記ガス通過方向両端部にて開口した前記通気部を前記フィルタ手段に形成している。
【0019】
請求項4に記載の本発明に係るプリテンショナによれば、スプール駆動部材におけるガス流量調節部よりもガス通過方向上流側には装着孔が形成される。この装着孔はガス通過方向下流側の端部にてガス流量調節部に直接又は間接的に連通している。また、この装着孔のガス通過方向上流側の端部はスプール駆動部材におけるガス発生手段側の端面にてガス流量調節部の開口面積よりも大きく開口している。この装着孔にはフィルタ手段が装着される。フィルタ手段には通気部が形成され、装着孔に装着されたフィルタ手段のガス通過方向両端部にて通気部が開口している。
【0020】
このような構成としていることで、予め通気部が形成されたフィルタ手段を装着孔に装着するだけでよいので、構成を簡単にできる。
【0021】
請求項5に記載の本発明に係るプリテンショナは、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の本発明において、前記ガス流量調節部よりも前記ガス通過方向上流側で前記スプール駆動部材に形成され、前記ガス通過方向上流側の端部が前記スプール駆動部材における前記ガス発生手段側の端面にて前記ガス流量調節部の開口面積よりも大きく開口し、前記ガス通過方向下流側の端部が前記ガス流量調節部の前記ガス通過方向上流側に直接又は間接的に連通した装着孔を前記スプール駆動部材に形成すると共に、前記装着孔に装着される前記フィルタ手段の外周形状を前記装着孔の内周部に内接可能で且つ前記装着孔の内周形状とは異ならせ、前記装着孔の内周部と前記フィルタ手段の外周との間に形成される隙間を前記通気部としている。
【0022】
請求項5に記載の本発明に係るプリテンショナによれば、スプール駆動部材におけるガス流量調節部よりもガス通過方向上流側には装着孔が形成される。この装着孔はガス通過方向下流側の端部にてガス流量調節部に直接又は間接的に連通している。また、この装着孔のガス通過方向上流側の端部はスプール駆動部材におけるガス発生手段側の端面にてガス流量調節部の開口面積よりも大きく開口している。
【0023】
この装着孔にはフィルタ手段が装着される。ここで、フィルタ手段の外周形状は、装着孔の内周部に内接するが装着孔の内周形状とは異なる形状とされている。このため、装着孔にフィルタ手段を装着すると、装着孔の内周部とフィルタ手段の外周部との間に隙間が形成され、この隙間が通気部となる。
【0024】
請求項6に記載の本発明に係るプリテンショナは、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の本発明において、前記ガス流量調節部よりも前記ガス通過方向上流側で前記スプール駆動部材に形成され、前記ガス通過方向上流側の端部が前記スプール駆動部材における前記ガス発生手段側の端面にて前記ガス流量調節部の開口面積よりも大きく開口し、前記ガス通過方向下流側の端部が前記ガス流量調節部の前記ガス通過方向上流側に直接又は間接的に連通した装着孔を前記スプール駆動部材に形成すると共に、外周形状が前記装着孔の内周形状とは異なる形状に形成されて、前記装着孔に挿し込まれることで外周一部が前記装着孔の内周部に当接して前記装着孔の内周部との間の摩擦で保持されると共に、外周部と前記装着孔の内周部との間に形成される隙間の少なくとも一部が前記ガス流量調節部に連通する挿込部と、前記挿込部が前記装着孔に挿し込まれた状態で前記スプール駆動部材の前記ガス発生手段側に位置すると共に、外周面に形成された開口が前記装着孔の内周部と前記挿込部の外周部との間の隙間に連通した頭部とを有するプラグを前記フィルタ手段としている。
【0025】
請求項6に記載の本発明に係るプリテンショナによれば、スプール駆動部材におけるガス流量調節部よりもガス通過方向上流側には装着孔が形成される。この装着孔はガス通過方向下流側の端部にてガス流量調節部に直接又は間接的に連通している。この装着孔にはフィルタ手段としてのプラグが装着される。
【0026】
プラグは挿込部を有しており、挿込部が装着孔に挿し込まれる。挿込部はその外周一部が装着孔の内周部に当接するように外周形状が設定されており、挿込部の外周一部が装着孔の内周部に接した状態では、挿込部の外周一部と装着孔の内周部との間の摩擦によって挿込部、ひいてはプラグが装着孔の内周部(すなわち、スプール駆動部材)に保持される。したがって、本発明に係るプリテンショナでは、装着孔に挿込部を挿し込むだけでプラグ(すなわち、フィルタ手段)をスプール駆動部材に装着できる。
【0027】
ここで、挿込部の外周形状は装着孔の内周形状とは異なる形状に設定されている。したがって、挿込部の外周部において装着孔の内周部に接している部分とは異なる部分では、挿込部の外周部が装着孔の内周部から離間しており、挿込部の外周部と装着孔の内周部との間に隙間が形成される。
【0028】
また、このように装着孔に挿し込まれる挿込部には頭部が形成されている。この頭部は挿込部が装着孔に挿し込まれた状態でスプール駆動部材のガス発生手段側に位置しており、その外周部に形成された開口は挿込部の外周部と装着孔の内周部との間の隙間に連通している。この隙間の少なくとも一部はガス流量調節部に連通しているので、ガスは頭部の外周部に形成された開口から挿込部の外周部と装着孔の内周部との間に隙間に流れ込み、更に、ガス流量調節部を通過する。
【0029】
なお、この請求項6に記載の本発明が請求項4又は請求項5に記載の本発明従属するのであれば、挿込部の外周部と装着孔の内周部との間の隙間が通気部となる。しかしながら、請求項6に記載の本発明が請求項1から3の何れか1項に従属するのであれば、通気部が挿込部の外周部と装着孔の内周部との間の隙間に限定されず、例えば、頭部の外周部に形成された開口が通気部になりうる。
【0030】
請求項7に記載の本発明に係るプリテンショナは、請求項6から請求項8の何れか1項に記載の本発明において、前記装着孔に挿し込まれた状態で外周一部が前記装着孔の内周部に接する挿込部本体と、前記挿込部本体の前記頭部とは反対側で外周形状が前記挿込部本体よりも細く形成された小径部と、を含めて前記プラグを構成している。
【0031】
請求項7に記載の本発明に係るプリテンショナでは、プラグの挿込部が挿込部本体と小径部とを含めて構成される。小径部は挿込部本体の頭部とは反対側に形成され、プラグの挿込部を装着孔に挿し込むに際しては挿込部本体よりも先に装着孔に挿し込まれる。ここで、小径部の外周形状は挿込部本体よりも細く、装着孔へ挿入しやすい。したがって、先ず、小径部が装着孔に挿入されることで、続いて挿込部本体を容易に装着孔に挿入できる。
【0032】
請求項8に記載の本発明に係るプリテンショナは、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の本発明において、前記スプール駆動部材の前記ガス発生手段側の端部よりも前記ガス発生手段側で前記スプール駆動部材に対して一体的に前記フィルタ手段を設けて、前記スプール駆動部材の前記ガス発生手段側の端部と前記フィルタ手段との間の空間に前記ガス流量調節部を直接又は間接的に連通させると共に、前記フィルタ手段の前記スプール駆動部材側と前記ガス発生手段側とを連通する前記通気部を前記フィルタ手段に形成している。
【0033】
請求項8に記載の本発明に係るプリテンショナによれば、スプール駆動部材のガス発生手段側の端部よりもガス発生手段側にはフィルタ手段がスプール駆動部材に対して一体的に設けられる。このフィルタ手段には通気部が形成され、この通気部を介してフィルタ手段のスプール駆動部材側とガス発生手段側とが連通している。このような構成のフィルタ手段とスプール駆動部材との間にガス流量調節部が直接又は間接的に連通しており、フィルタ手段に形成された通気部を通過したガスは、フィルタ手段とスプール駆動部材との間を通過して更にガス流量調節部を通過する。
【0034】
請求項9に記載の本発明に係るプリテンショナは、請求項1、請求項2、請求項3、及び請求項8の何れか1項に記載の本発明において、前記スプール駆動部材の前記ガス発生手段側の端部よりも前記ガス発生手段側で前記スプール駆動部材に対して一体的に前記フィルタ手段を設けて、前記スプール駆動部材の前記ガス発生手段側の端部の外周部と前記フィルタ手段の外周部との間の隙間を前記通気部とし、前記スプール駆動部材の前記ガス発生手段側の端部と前記フィルタ手段との間の空間に前記ガス流量調節部を直接又は間接的に連通させている。
【0035】
請求項9に記載の本発明に係るプリテンショナによれば、スプール駆動部材のガス発生手段側の端部よりもガス発生手段側にはフィルタ手段がスプール駆動部材に対して一体的に設けられる。このフィルタ手段の外周部とスプール駆動部材のガス発生手段側の端部の外周部との間は通気部とされ、フィルタ手段の外周部とスプール駆動部材のガス発生手段側の端部の外周部との間を通過したガスが更にガス流量調節部を通過する。
【0036】
ここで、本発明に係るプリテンショナでは、上記のように、フィルタ手段の外周部とスプール駆動部材のガス発生手段側の端部の外周部との間が通気部とされ、薬剤の燃えカスはフィルタ手段の外周部とスプール駆動部材のガス発生手段側の端部の外周部との間を通過できずに引っ掛かる。
【0037】
このようにフィルタ手段の外周部とスプール駆動部材のガス発生手段側の端部の外周部との間を燃えカスが引っ掛かった状態でも、燃えカスの外側におけるフィルタ手段の外周部とスプール駆動部材のガス発生手段側の端部の外周部との間をガスが通過できる。
【0038】
請求項10に記載の本発明に係るプリテンショナは、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の本発明において、外周形状が前記プリテンショナ本体の内周形状よりも小さな駆動部材本体と、前記駆動部材本体の外周部を囲むように前記駆動部材本体に装着され、前記駆動部材本体に装着された状態では内周部が前記駆動部材本体の外周部に接する環状部材と、を含めて前記スプール駆動部材を構成すると共に、前記駆動部材本体の外周部に形成されて、前記駆動部材本体の前記ガス発生手段側の端部にて開口していると共に、前記ガス流量調節部に直接又は間接的に連通し、更に、前記駆動部材本体の外周部にて開口して前記駆動部材本体に前記環状部材が装着された状態では、前記環状部材の内周部から離間した溝部を前記通気部とし、前記駆動部材本体及び前記環状部材を含めて前記フィルタ手段を構成している。
【0039】
請求項10に記載の本発明に係るプリテンショナによれば、スプール駆動部材を構成する駆動部材本体は外周形状がプリテンショナ本体の内周形状よりも小さく設定され、この駆動部材本体の外周部に環状部材が装着される。
【0040】
ここで、駆動部材本体の外周部には駆動部材本体の外周部にて開口すると共に駆動部材本体におけるガス発生手段側の端部で開口した溝部が通気部として形成されている。上記のように駆動部材本体に環状部材を装着すると駆動部材本体の外周部は環状部材の内周部に接するが、溝部は環状部材の内周部に接することはなく、このため溝部における駆動部材本体の外周部での開口は環状部材により閉止される。
【0041】
駆動部材本体のガス発生手段側での溝部の開口から溝部の内側に流れ込んだガスは、溝部に対して直接又は間接的に連通したガス流量調節部へ向かう。
【発明の効果】
【0042】
以上説明したように、本発明に係るプリテンショナは、薬剤の燃えカスによる詰りを効果的に抑制でき、しかも、不要に多くのガスが抜けることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】第1の実施の形態に係るプリテンショナの側面図である。
【図2】第1の実施の形態に係るプリテンショナの要部の構成の拡大分解斜視図である。
【図3】第1の実施の形態に係るプリテンショナの要部の構成の拡大側面断面図である。
【図4】第1の実施の形態に係るプリテンショナの要部の構成の拡大平面断面図である。
【図5】第1の実施の形態の第1変形例を示す図4に対応した拡大平面断面図である。
【図6】第1の実施の形態の第2変形例を示す図4に対応した拡大平面断面図である。
【図7】第1の実施の形態の第3変形例を示す図4に対応した拡大平面断面図である。
【図8】第1の実施の形態の第4変形例を示す図2に対応した拡大分解斜視図である。
【図9】第1の実施の形態の第4変形例を示す図4に対応した拡大平面断面図である。
【図10】第1の実施の形態の第5変形例を示す図2に対応した拡大分解斜視図である。
【図11】第1の実施の形態の第6変形例を示す図4に対応した拡大平面断面図である。
【図12】第1の実施の形態の第7変形例を示す図4に対応した拡大平面断面図である。
【図13】第1の実施の形態の第8変形例を示す図2に対応した拡大分解斜視図である。
【図14】第1の実施の形態の第9変形例を示す図2に対応した拡大分解斜視図である。
【図15】第1の実施の形態の第9変形例を示す図3に対応した拡大側面断面図である。
【図16】第1の実施の形態の第10変形例を示す図2に対応した拡大分解斜視図である。
【図17】第1の実施の形態の第11変形例を示す図3に対応した拡大側面断面図である。
【図18】第2の実施の形態に係るプリテンショナの要部の構成を示す図2に対応した拡大分解斜視図である。
【図19】第2の実施の形態に係るプリテンショナの要部の構成を示す図3に対応した拡大側面断面図である。
【図20】第2の実施の形態の第1変形例を示す図19に対応した拡大側面断面図である。
【図21】第2の実施の形態の第2変形例を示す図19に対応した拡大側面断面図である。
【図22】第2の実施の形態に係るプリテンショナの要部の構成を示す図2に対応した拡大分解斜視図である。
【図23】第2の実施の形態に係るプリテンショナの要部の構成を示す図3に対応した拡大側面断面図である。
【図24】第3の実施の形態の第1変形例を示す図23に対応した拡大側面断面図である。
【図25】第3の実施の形態の第1変形例を示す拡大平面断面図である。
【図26】第4の実施の形態に係るプリテンショナの要部の構成を示す図2に対応した拡大分解斜視図である。
【図27】第4の実施の形態に係るプリテンショナの要部の構成を示す図3に対応した拡大側面断面図である。
【図28】第4の実施の形態に係るプリテンショナの要部の構成を示す図3に対応した拡大平面断面図である。
【図29】第4の実施の形態におけるフィルタ手段としてのプラグの斜視図である。
【図30】プラグを装着した状態を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
次に、本発明の実施の形態を図1から図25の各図に基づき説明する。なお、以下の各実施の形態を説明するに際して、説明している実施の形態や変形例よりも前出の実施の形態や変形例と基本的に同一の部位に関しては、同一の符号を付与してその詳細な説明を省略する。
【0045】
<第1の実施の形態の構成>
(プリテンショナ10の基本構成)
図1には第1の実施の形態に係るプリテンショナ10が側面図により示されている。この図に示されるように、プリテンショナ10はプリテンショナ本体としてのシリンダ12を備えている。シリンダ12は軸方向が車両上下方向に対して車幅方向に傾いた円筒形状に形成されている。このシリンダ12は、ウェビング巻取装置14のフレーム16を構成する脚板18の外側に配置されており、所定の固定金具等によって脚板18に固定されている。
【0046】
このシリンダ12の軸方向上端部にはガス発生手段としてのガスジェネレータ20が装着されている。ガスジェネレータ20は制御手段としてのECUを介して車両に搭載されたバッテリーや、車両衝突時における車両の加速度を検出する加速度センサ等に電気的に接続されている。車両衝突時における車両の加速度を検出した加速度センサからの検出信号がECUに入力されると、ECUがガスジェネレータを作動させる。作動したガスジェネレータは、ガス発生剤等の薬剤を燃焼させ、シリンダ12の内部(シリンダ12の下方)へ向けてガスを噴出する。
【0047】
シリンダ12の内側にはスプール駆動部材としてのピストン22が設けられている。ピストン22は駆動部材本体としての略円柱形状のピストン本体24を備えている。ピストン本体24は軸方向がシリンダ12の軸方向と同方向とされていると共に、外径寸法がシリンダ12の内径寸法よりも短く設定されている。このピストン本体24にはピストン本体24と共にピストン22を構成する封止部材(環状封止部材)としてのXリング26が装着されている。
【0048】
Xリング26は全体的にリング形状に形成されており、Xリング26をその半径方向に切った断面形状は略「X」字形状とされている。Xリング26はゴムのような弾性変形が可能な合成樹脂材により形成されており、拡径されるように弾性変形された状態でピストン本体24の外周部に装着されている。このように、ピストン本体24に装着されたXリング26は、その内周部がピストン本体24の外周部に圧接して、ピストン本体24の外周部とXリング26の内周部との間を封止していると共に、Xリング26の外周部がシリンダ12の内周部に圧接して、シリンダ12の内周部とXリング26の外周部との間を封止している。
【0049】
ピストン本体24の軸方向下端部にはピストン本体24やXリング26と共にピストン22を構成するフランジ部28が形成されている。フランジ部28は外径寸法がシリンダ12の内径寸法よりも僅かに短い円板形状とされている。このフランジ部28はピストン本体24に対して同軸的に形成されており、シリンダ12の内側にピストン22が配置された状態では、シリンダ12の内周部とフランジ部28の外周部との間に僅かな隙間が形成される。
【0050】
フランジ部28のピストン本体24とは反対側にはラックバー30が設けられている。ラックバー30は長手方向がシリンダ12の軸方向に沿った断面形状矩形の棒状に形成されており、その長手方向基端部にてフランジ部28に一体的に繋がっている。このラックバーの幅方向一端にはラック歯32が形成されている。ラック歯32は、ラックバー30の長手方向先端から長手方向中間部までの間に所定間隔毎に形成されている。
【0051】
一方、シリンダ12の下方にはピニオン34が設けられている。ピニオン34は棒状の軸部36に回転自在に支持されている。軸部36の軸方向基端部は、スプール38の軸方向一端部又はスプール38に対して同軸的に設けられてスプール38に対して相対回転不能に繋げられたトーションシャフトの軸方向一端部からスプール38に対して同軸的に突出形成されている。
【0052】
このピニオン34にはクラッチ部材40が取り付けられている。ピニオン34がその中心軸線周りの一方である巻取方向に回転すると、クラッチ部材40の一部が変形してスプール38に略一体的に連結する。これにより、変形したクラッチ部材40を介してピニオン34がスプール38に対して同軸的且つ一体的に連結される。スプール38には長尺帯状のウェビング42の長手方向基端側が係止されており、スプール38が巻取方向に回転するとウェビング42がその長手方向基端側からスプール38に巻取られる。
【0053】
(プリテンショナ10の特徴的構成)
ところで、上記のピストン22にはガス抜き孔52が形成されている。ガス抜き孔52は装着孔54を備えている。装着孔54は深さ方向がピストン22の軸方向に沿った円形の孔とされており、その一端はピストン本体24のフランジ部28と反対側の端面、すなわち、ピストン22(スプール駆動部材)におけるガスジェネレータ20(ガス発生手段)側の端面にて開口している。
【0054】
また、装着孔54の他端からは連続して規制孔58が装着孔54に対して同軸的に形成されている。規制孔58は一端の内径寸法が装着孔54の内径寸法に等しく、ピストン22の軸方向に沿って装着孔54から離間するにつれて漸次内径寸法が小さくなる円錐台形状に形成されている。この規制孔58の他端(規制孔58の装着孔54とは反対側の端部)からは連続してガス流量調節部としてのガス流量調節孔60が形成されている。ガス流量調節孔60はシリンダ12内におけるガスジェネレータ20とピストン22との間の内圧が所定の値の場合に、単位時間当たりにガス流量調節孔60を通過させるガスの流量に基づいて開口形状が設定されており、ガス流量調節孔60における規制孔58とは反対側の端部がフランジ部28のピストン本体24とは反対側の端面にて開口している。
【0055】
一方、上記の装着孔54にはフィルタ手段としてのフィルタ部材62が圧入されている。フィルタ部材62は基本的に円柱形状とされており、その外径寸法は装着孔54の内径寸法に等しく、軸方向寸法は装着孔54の軸方向長さに等しい。このフィルタ部材62には各々が通気部としての多数の通気孔64が形成されている。通気孔64は一端がフィルタ部材62の軸方向一端面にて開口し、他端がフィルタ部材62の軸方向他端面にて開口した断面円形の孔とされている。これらの通気孔64は基本的にその両端のみで開口しているが、フィルタ部材62の成形やフィルタ部材62に通気孔64を形成する際の工程や形成方法等の関係で両端の他にフィルタ部材62の外周面にて開口しているものが存在していてもよい。
【0056】
この通気孔64の個々の開口形状はガス流量調節孔60の開口形状よりも小さく、通気孔64の開口形状とガス流量調節孔60の開口形状とを重ねると、ガス流量調節孔60の開口形状が通気孔64の開口形状からはみ出る。また、フィルタ部材62のガス流量調節孔60とは反対側の端面における通気孔64の設定範囲はガス流量調節孔60の開口形状よりも大きく、ガス流量調節孔60の開口形状とフィルタ部材62のガス流量調節孔60とは反対側の端面形状とを重ねると、複数の通気孔64の何れかはガス流量調節孔60の範囲の外に位置する。このため、燃えカス56がどのような姿勢でフィルタ部材62の軸方向一端面に接し、これにより何れかの通気孔64が塞がれても、他の何れかの通気孔64が燃えカス56に塞がれない。
【0057】
さらに、フィルタ部材62の端面における全ての通気孔64の開口面積の総和は、フランジ部28側でのガス流量調節孔60の開口面積よりも大きくなるように各通気孔64の開口面積や通気孔64の数が設定されている。
【0058】
なお、通気孔64の個々の開口形状に関して補足すると、例えば、燃えカス56の形状が既知であるならば、燃えカス56を様々な向きからみて最も幅寸法が小さくなった場合の、この幅寸法よりも通気孔64の個々の開口形状を小さく設定することが好ましい。また、燃えカス56の形状が不明の場合には、燃焼前の薬剤を様々な向きからみて最も幅寸法が小さくなった場合の、この幅寸法よりも通気孔64の個々の開口形状を小さく設定することが好ましい。
【0059】
また、フィルタ部材62が圧入される装着孔54の内径寸法はフィルタ部材62の外径寸法と等しいが、装着孔54に繋がっている規制孔58は、装着孔54から離間するにつれて内径寸法が短くなる円錐台形状とされている。このため、装着孔54に圧入されたフィルタ部材62が規制孔58まで入り込むことはなく、装着孔54に圧入された側のフィルタ部材62の端面における通気孔64の開口端が規制孔58の内周面等に塞がれることはない。
【0060】
<第1の実施の形態の作用、効果>
(プリテンショナ10の基本動作)
車両のシートに着座した乗員が、ウェビング42を装着した状態で、車両前方の障害物に車両が衝突した場合と同様の急減速状態が発生し、このときの車両の加速度を加速度センサが検出すると、ECUがガスジェネレータ20を作動させる。ガスジェネレータ20が作動すると、ガスジェネレータ20内のガス発生剤等の薬剤が燃焼され、これにより、瞬時にガスが発生する。このようにしてガスジェネレータ20にて発生したガスはシリンダ12内に供給される。
【0061】
これにより、シリンダ12内におけるピストン22とガスジェネレータ20との間で内圧が上昇するとピストン22が下降し、ピストン22と一体のラックバー30のラック歯32がピニオン34に噛み合ってピニオン34を巻取方向に回転させる。ピニオン34が巻取方向に回転すると、ピニオン34に対して相対回転不能に装着されたクラッチ部材40において変形が生じ、クラッチ部材40がスプール38に一体的に繋がる。このようにしてクラッチ部材40を介してピニオン34がスプール38に同軸的且つ一体的に繋がると、ピニオン34の巻取方向への回転がスプール38に伝わり、スプール38を巻取方向に回転させる。スプール38が巻取方向に回転すると、乗員の身体に装着されているウェビング42はその長手方向基端側からスプール38に巻取られ、これにより、それまでよりも強く乗員の身体がウェビング42により拘束される。
【0062】
(プリテンショナ10の特徴的な動作及びその効果)
ところで、本プリテンショナ10では、ピストン22に形成されたガス流量調節孔60は規制孔58を介して装着孔54に繋がっている。装着孔54にはフィルタ部材62が圧入されているが、通気孔64がフィルタ部材62の両端で開口しているので、規制孔58は通気孔64に繋がっている。したがって、シリンダ12内におけるピストン22よりも上側(ガスジェネレータ20側)と、シリンダ12内におけるピストン22よりも下側(ガスジェネレータ20とは反対側)とは、ガス流量調節孔60、規制孔58、及びフィルタ部材62の通気孔64を介して連通している。
【0063】
このため、シリンダ12内の内圧の上昇によるピストン22の摺動が規制された後には、ガスがフィルタ部材62の通気孔64、規制孔58、及びガス流量調節孔60を通過して、シリンダ12内におけるピストン22よりも下側、更には、シリンダ12の下側開口端からガスが抜ける。これにより、プリテンショナ10が作動した後に、シリンダ12内のピストン22よりも上側の内圧が高い状態で維持されることがない。
【0064】
また、シリンダ12内の内圧の上昇でピストン22が摺動している際にも、ガスがフィルタ部材62の通気孔64、規制孔58、及びガス流量調節孔60を通過する。しかしながら、この状態におけるフィルタ部材62の通気孔64、規制孔58、及びガス流量調節孔60のガスの通過量はガス流量調節孔60の内径寸法(ガス流量調節孔60の内周形状)により決まり、ピストン22の下降と、ラックバー30がピニオン34を巻取方向に回転させるのに支障がないようにガス流量調節孔60の内径寸法(ガス流量調節孔60の内周形状)、ひいては、ガスの通過量が設定されている。したがって、シリンダ12内の内圧の上昇でピストン22が摺動している際にもガスは抜けるが、十分にピストン22を下降させて、ピニオン34、ひいては、スプール38を巻取方向に回転させることができる。
【0065】
一方、ガスジェネレータ20が作動すると、ガスジェネレータ20にてガスが生じると共に、ガスを発生させるためのガス発生剤等の薬剤が燃焼され、この薬剤の燃えカス56がガスと共にシリンダ12内に放出される。ここで、本プリテンショナ10では、通気孔64の個々の開口形状はガス流量調節孔60の開口形状よりも小さく設定されるものの、フィルタ部材62のガス流量調節孔60とは反対側の端面における通気孔64の設定範囲はガス流量調節孔60の開口形状よりも大きい。しかも、ガス流量調節孔60の開口形状とフィルタ部材62のガス流量調節孔60とは反対側の端面形状とを重ねると、複数の通気孔64の何れかはガス流量調節孔60の範囲の外に位置する。
【0066】
このため、燃えカス56がどのような姿勢でフィルタ部材62の軸方向一端面に接し、これにより何れかの通気孔64が塞がれても、他の何れかの通気孔64が燃えカス56に塞がれない。
【0067】
しかも、フィルタ部材62の端面における全ての通気孔64の開口面積の総和は、フランジ部28側でのガス流量調節孔60の開口面積よりも大きくなるように各通気孔64の開口面積や通気孔64の数が設定されている。このため、燃えカス56がどのような姿勢でフィルタ部材62の軸方向一端面に接し、これにより何れかの通気孔64が塞がれても、他の何れかの通気孔64が燃えカス56に塞がれない。このため、燃えカス56が何れかの通気孔64を塞いでも、燃えカス56に塞がれていない通気孔64の開口面積の総和とガス流量調節孔60の開口面積との差異を小さくでき、ガス流量調節孔60の開口面積できまる流量のガスを放出することができる。
【0068】
<第1の実施の形態の変形例>
次に、本実施の形態の変形例について説明する。
【0069】
(第1変形例)
上記のように本実施の形態は、フィルタ部材62に各々が通気部としての多数の通気孔64を形成した。しかしながら、通気部は燃えカス56が通過できず且つその設定範囲が燃えカス56よりも大きければ1つであってもよい。すなわち、図5に示される本実施の形態の第1変形例では、フィルタ手段としてのフィルタ部材72には、湾曲したスリット状の通気孔74が1つ形成されている。この通気孔74は長手寸法が燃えカス56の「最大投影形状」よりも大きく、幅寸法が燃えカス56の通過が可能な大きさとされており、このような通気孔74を備える構成であっても、前記第1の実施の形態と同様の作用を奏し、前記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0070】
(第2変形例)
また、本実施の形態では、各々が通気部としての多数の通気孔64をフィルタ部材62の外周部の内側に形成した。しかしながら、装着孔の内周部と装着孔に装着されたフィルタ手段の外周部との間に隙間が形成される構成とし、この隙間を通気部とする構成であってもよい。
【0071】
すなわち、図6に示される本実施の形態の第2変形例では、フィルタ手段としてのフィルタ部材82は外径寸法が装着孔54の内径寸法に略等しい円柱形状であるものの、その外周部には各々が通気部とされた複数の溝84がフィルタ部材82の周方向に所定間隔毎に形成されている。これらの溝84はフィルタ部材82の軸方向両端にて開口していると共に、フィルタ部材82の外周部で開口している。このような溝84が形成されたフィルタ部材82は厳密には円柱形状ではなく、このため、溝84と装着孔54の内周部との間に、装着孔54の両端にて開口する通気部としての隙間が形成される。このような構成であっても、前記第1の実施の形態と同様の作用を奏し、前記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0072】
(第3変形例)
また、図7に示される本実施の形態の第3変形例では、フィルタ手段としてのフィルタ部材92の外周形状が、装着孔54の内周形状に対して内接する多角形(この変形例では特に六角形)とされている。このため、このフィルタ部材92を装着孔54に圧入すると、装着孔54の内周部とフィルタ部材92の外周部との間に、装着孔54の両端にて開口する各々が通気部としての隙間94が複数形成される。このような構成であっても、前記第1の実施の形態と同様の作用を奏し、前記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0073】
(第4変形例)
さらに、図8及び図9に示される本実施の形態の第4変形例では、フィルタ手段としてのフィルタ部材102は断面円形の棒状部材を略V字形状に屈曲させることで形成され、屈曲部分側からフィルタ部材102が装着孔54に代わる装着孔103に圧入されている。この装着孔103は断面円形が装着孔54とは異なり、開口幅寸法がガス流量調節孔60の直径寸法とフィルタ部材102の外径寸法との和よりも小さな長孔形状(又は楕円形状)とされている。このため、装着孔103に圧入されたフィルタ部材102の外周部と装着孔103の内周部との間に、装着孔103の両端にて開口する各々が通気部としての隙間104が複数形成される。このような構成であっても、前記第1の実施の形態と同様の作用を奏し、前記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0074】
(第5変形例)
また、図10に示される本実施の形態の第5変形例では、フィルタ手段としてのフィルタ部材112は幅寸法が装着孔54の深さ寸法程度とされた板材が幅方向を軸方向とする軸周りに略V字状に屈曲されることで形成され、フィルタ部材112が装着孔54に圧入された状態では、フィルタ部材112の長手方向両端と、屈曲部分が装着孔54の内周部に圧接している。このため、装着孔54に圧入されたフィルタ部材112の外周部と装着孔54の内周部との間に、装着孔54の両端にて開口する各々が通気部としての隙間が複数形成される。このような構成であっても、前記第1の実施の形態と同様の作用を奏し、前記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0075】
(第6変形例)
さらに、図11に示される本実施の形態の第6変形例では、ガス抜き孔52は装着孔54に代わる装着孔122を備えている。この装着孔122は装着孔54とは異なり、開口形状が楕円形状とされている。一方、フィルタ手段としてのフィルタ部材124は外径寸法が装着孔122の短径寸法に略等しい円柱形状とされ、このフィルタ部材124を装着孔54に圧入すると、フィルタ部材124よりも装着孔54の長径方向両側に各々が通気部としての隙間126が2つ形成される。このような構成であっても、前記第1の実施の形態と同様の作用を奏し、前記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0076】
(第7変形例)
さらに、図12に示される本実施の形態の第7変形例では、ガス抜き孔52は装着孔54に代わる装着孔132を備えている。この装着孔132は装着孔54とは異なり、開口形状が多角形(この変形例では特に六角形)とされている。一方、フィルタ手段としてのフィルタ部材124は外径寸法が装着孔122の内接可能な長さに設定されており、フィルタ部材124を装着孔54に圧入すると、装着孔132の内周部とフィルタ部材124の外周部との間に各々が通気部としての隙間136が複数形成される。このような構成であっても、前記第1の実施の形態と同様の作用を奏し、前記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0077】
(第8変形例)
さらに、図13に示される本実施の形態の第8変形例では、フィルタ手段としてのフィルタ部材142を備えている。フィルタ部材142は円柱部144を備えている。この円柱部144は外径寸法が装着孔54の内径寸法よりも十分に小さく設定されている。この円柱部144の軸方向中間部よりも上側では円柱部144の外周部から一対の圧接部146が円柱部144の半径方向外方へ向けて延出されている。一方の圧接部146は円柱部144を介して他方の圧接部146に対して対向するように形成されており、円柱部144の半径方向に沿った一方の圧接部146の先端から他方の圧接部146の先端までの距離は装着孔54の内径寸法に略等しい。
【0078】
このため、フィルタ部材142を装着孔54に装着すると装着孔54の内周部に両圧接部146の先端が圧接する。さらに、この状態では、円柱部144と装着孔54の内周部との間に通気部としての隙間が形成される。このような構成であっても、前記第1の実施の形態と同様の作用を奏し、前記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0079】
(第9変形例)
また、本実施の形態では、フィルタ手段としてのフィルタ部材62を円柱形状としたが、フィルタ手段の構成(形状)がこのような円柱形状に限定されるものではない。すなわち、図14及び図15に示される本実施の形態の第9変形例では、フィルタ手段としてのフィルタ部材152は有底円筒形状に形成されている。このフィルタ部材152は各々が通気部としての多数の通気孔156が形成された底部154の下方にフィルタ部材152の開口端が位置しており、フィルタ部材152の開口端側から装着孔54に圧入される。このような構成であっても、前記第1の実施の形態と同様の作用を奏し、前記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0080】
しかも、フィルタ部材152が円筒形状であるため、フィルタ部材152をその開口端側から装着孔54に圧入した状態では、底部154が装着孔54の底から離間している。このため、装着孔54とガス流量調節孔60との間に規制孔58を設けなくても、底部154に形成された通気孔156が装着孔54の底に塞がれることがない。
【0081】
(第10変形例)
また、本実施の形態では、フィルタ手段としてのフィルタ部材62を装着孔54に圧入することでフィルタ部材62をピストン22に固定する構成としたが、フィルタ手段の固定構造がこのような構成に限定されるものではない。
【0082】
すなわち、図16に示される本実施の形態の第10変形例では、フィルタ手段としてのフィルタ部材162は外周形状が装着孔54の内周形状よりも大きな円板状のフィルタ部164を備えている。このフィルタ部164には各々が通気部としての多数の通気孔166が貫通形成されている。このフィルタ部164の外周一部からは板状の固定片168が延出されている。固定片168は延出方向中間部にて略V字形状に屈曲されている。
【0083】
この固定片168に対応してピストン本体24には固定孔170が形成されている。固定孔170は長手法が固定片168の幅寸法に略等しく、且つ、幅寸法が固定片168の厚さ寸法の2倍よりも僅かに大きな矩形状とされ、フィルタ部164がピストン本体24の端面に節するまで固定孔170に固定片168を挿し込むと、固定片168の弾性でフィルタ部材162がピストン22に固定される。このような構成であっても、前記第1の実施の形態と同様の作用を奏し、前記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0084】
(第11変形例)
また、図17に示される本実施の形態の第11変形例では、フィルタ手段としてのフィルタ部材192がピストン22側へ向けて開口した有底円筒形状に形成されており、その底部193に各々が通気部としての多数の通気孔194が形成されている。このフィルタ部材192の内周部には雌ねじ195が形成されており、ピストン本体24の外周部に形成された雄ねじ196に雌ねじ195を螺合させると、底部193がピストン本体24の端面から離間した状態でフィルタ部材192がピストン22に固定される。このような構成であっても、前記第1の実施の形態と同様の作用を奏し、前記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0085】
なお、以上の各変形例において、通気孔74、156、溝84、隙間94、104、124、134等の通気部に対応する構成の形成条件(開口形状や形成範囲)は前記第1の実施の形態における通気孔74の形成条件(開口形状や形成範囲)に倣うものであることは言うまでもない。
【0086】
<第2の実施の形態の構成>
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0087】
図18には第2の実施の形態に係るプリテンショナ200の要部の構成が前記第1の実施の形態を説明した図2に対応する分解斜視図により示されている。この図に示されるように、本プリテンショナ200はフィルタ手段としてのフィルタ部材202を備えている。フィルタ部材202は円板形状の円板部204を備えている。円板部204は、外径寸法が装着孔54の内径寸法及び燃えカス56における「最大投影形状」の最大長さの何れか大きい方よりも更に大きく、ピストン本体24の外径寸法以下とされている。
【0088】
この円板部204の厚さ方向一方の面には1乃至複数の突起206が形成されており、図19に示されるように、この突起206がピストン本体24の端面に接するようにピストン本体24の端面上に円板部204を配置すると、円板部204とピストン本体24の端面との間に通気部としての隙間208が形成される。ここで、円板部204の外周部を直線的に展開すると、円板部204の外周部に沿った隙間208の開口形状は細長い矩形状になるが、この場合の隙間208の開口形状(以下、このような形状を便宜上「展開開口形状」と称する)とガス流量調節孔60の断面形状とを重ねた場合、隙間208の展開開口形状からガス流量調節孔60の断面形状がはみ出るように円板部204からの突起206の突出寸法が設定されている。しかも、円板部204の外周形状はガス流量調節孔60の断面形状よりも大きいので、隙間208の設定範囲はガス流量調節孔60の設定範囲よりも大きくなる。
【0089】
さらに、円板部204の外周一部には一対の挟持片210が形成されている。これらの挟持片210は、一方に対して他方が円板部204を介して互いに対向するように形成されている。これらの挟持片210は、シリンダ12の下方へ向けて延出されており、延出方向中間部で円板部204の半径方向内方へ略V字形状に屈曲又は湾曲している。一方の挟持片210における屈曲部分と他方の挟持片210における屈曲部分との間隔は、ピストン本体24の外径寸法よりも短く設定されている。上記の突起206がピストン本体24の端面に接するようにピストン本体24の端面上に円板部204を配置した状態では、双方の挟持片210がXリング26よりも上側でピストン本体24の外周部を弾性的に挟持する。これにより、フィルタ部材202がピストン22に固定される。
【0090】
<第2の実施の形態の作用、効果>
本実施の形態では、円板部204を貫通するような通気孔が形成されていないため、シリンダ12内に供給されたガスは円板部204の外周部とピストン本体24の外周部との間を通過して円板部204とピストン本体24の端面との間に流れ込み、更に、ガス抜き孔52を通過してピストン22よりも下側、ひいては、シリンダ12の外側へ流れ出る。
【0091】
ここで、隙間208の展開開口形状からガス流量調節孔60の断面形状がはみ出るように設定され、しかも、上記のように隙間208の設定範囲はガス流量調節孔60の設定範囲よりも大きいので、隙間208にて燃えカス56が引っ掛かっても、燃えカス56の外側で隙間208が開口しており、燃えカス56が引っ掛かっていない部分での隙間208の開口面積とガス流量調節孔60の断面積との差異を小さくできる。これにより、ガス流量調節孔60の断面積で決められた流量のガスを放出できる。
【0092】
(第1変形例)
なお、本実施の形態では、突起206をピストン本体24の端面に当接させた状態で一対の挟持片210にピストン本体24の外周部を挟持させることにより、円板部204をピストン本体24の端面から離間させた状態でフィルタ部材202をピストン22に固定する構成であった。しかしながら、フィルタ手段をピストン本体24の端面から離間させた状態でピストン22に固定する構成がこのような構成に限定されるものではない。
【0093】
すなわち、図20に示される本実施の形態の第1変形例では、フィルタ手段としてのフィルタ部材222の円板部204におけるピストン本体24側の端面の中央から円柱形状のボス224が円板部に同軸的に形成されている。このボス224の高さ(ボス224の軸方向長さ)は上記の突起206の突出寸法と同様に設定さてれている。このボス224のピストン本体24側の端面からは雄ねじ226がボス224に対して同軸的に形成されており、この雄ねじ226に対応してピストン本体24の中心軸線上にはピストン本体24の端面にて開口した雌ねじ228が形成されている。
【0094】
ボス224のピストン本体24側の端部がピストン本体24の端面に接するまで雄ねじ226を雌ねじ228に螺合させると、円板部204がピストン本体24の端面から離間した状態でフィルタ部材222がピストン22に固定される。しかも、ボス224の軸方向長さは上記の突起206の突出寸法と同様に設定されるので、フィルタ部材222がピストン22に固定された状態での円板部204とピストン本体24との間の隙間(通気部)の間隔は前記第2の実施の形態における隙間208と同じになる。
【0095】
したがって、このような構成でも前記第2の実施の形態と同様の作用を奏し、前記第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、この変形例では円板部204に多数の通気孔230を貫通形成している。これらの通気孔230は前記第1の実施の形態においてフィルタ部材62に形成した通気孔64と同様に設定することで、この変形例でも前記第1の実施の形態と同様の作用を奏し、前記第1の実施の形態と同様の効果を得ることもできる。
【0096】
(第2変形例)
また、図20に示される本実施の形態の第2変形例では、雄ねじ226に代わりボス224のピストン本体24側の端部に軸方向がボス224の軸方向に沿ったコイルスプリング244が形成されている。これに対して、ピストン本体24の中心軸線上には雌ねじ228に代わりピストン本体24の端面にて開口した円孔248がピストン本体24に対して同軸的に形成されている。ボス224のピストン本体24側の端部がピストン本体24の端面に接するまでコイルスプリング244の弾性に抗して円孔248にコイルスプリング244を圧入することで円板部204がピストン本体24の端面から離間した状態でフィルタ部材222がピストン22に固定される。したがって、このような構成でも上記の本実施の形態の第1変形例と同様の作用を奏し、本実施の形態の第1変形例と同様の効果を得ることができる。
【0097】
<第3の実施の形態の構成>
次に、第3の実施の形態について説明する。
【0098】
図22には第3の実施の形態に係るプリテンショナ260の要部の構成が前記第1の実施の形態を説明した図2に対応する分解斜視図により示されている。この図に示されるように、本プリテンショナ200はピストン22に代わるスプール駆動部材としてのピストン262を備えている。このピストン262はフィルタ部材を構成するピストン本体264を備えている。ピストン本体264は、これまで説明したピストン本体24のような円柱形状の外周部に、軸方向両端にて開口した通気部としての溝266を周方向に所定間隔毎に形成した形状となっている。
【0099】
また、フランジ部28のピストン本体264側の面には環状溝268が形成されている。環状溝はピストン本体264の外周部に沿ったリング状で、全ての溝266は、そのフランジ部28側の端部で環状溝268に連通している。また、フランジ部28のピストン本体264側の面にはガス流量調節部としてのガス流量調節溝270が形成されている。ガス流量調節溝270はフランジ部28の半径方向に沿って長手とされ、その一端は環状溝268に連通しており、他端はフランジ部28の外周部にて開口している。このガス流量調節溝270をその長手方向に対して直交する向きに切った断面の面積は、シリンダ12内におけるガスジェネレータ20とピストン22との間の内圧が所定の値の場合に、単位時間当たりにガス流量調節孔60を通過させるガスの流量に基づいて設定されている。
【0100】
ここで、フランジ部28の外周部の一部にて開口しているガス流量調節溝270の断面形状(フランジ部28の外周部での開口形状)と溝266の開口形状とを重ねた場合、溝266の開口形状からガス流量調節孔60の断面形状がはみ出るように溝266の開口形状やガス流量調節孔60の断面形状が設定されている。さらに、フランジ部28の外周部の一部にて開口しているガス流量調節溝270の開口形状の範囲の大きさは、ピストン本体264の外周部に沿った溝266の設定範囲よりも狭く、また、ガス流量調節溝270の開口面積は、全ての溝266におけるピストン本体24の端面側での開口面積の総和よりも小さい。
【0101】
また、このピストン262にはピストン本体264と共にフィルタ手段を構成する環状部材としてのスリーブ272が装着される。スリーブ272は筒状部274を備えている。筒状部274は、内径寸法がピストン本体264に溝266を形成していない場合での円柱形状のピストン本体264の外径寸法に等しく、外径寸法はシリンダ12の内径寸法よりも短い軸方向がシリンダ12の軸方向に沿った円筒形状に形成されている。この筒状部274の軸方向下端部からは筒状部274の半径方向外方へ向けてフランジ部276が延出されている。
【0102】
フランジ部276の外径寸法はシリンダ12の内径寸法よりも短く、特に本実施の形態ではピストン22のフランジ部28の外径寸法に略等しい。図23に示されるように、筒状部274の内側にピストン本体264を入り込ませてフランジ部276の端面をフランジ部28に当接させるようにスリーブ272をピストン262に装着すると、溝266におけるピストン本体264の外周部側での開口が筒状部274により閉止されると共に、フランジ部28の端面側での環状溝268及びガス流量調節溝270の開口がフランジ部276により閉止される。
【0103】
<第3の実施の形態の作用、効果>
本プリテンショナ260によれば、ガスジェネレータ20にて発生したガスは、ピストン本体264の外周部に形成された各溝266を通過すると環状溝268に到達する。環状溝268に到達したガスは環状溝268内を通過してガス流量調節溝270に到達する。ガス流量調節溝270に到達したガスはガス流量調節溝270を通過してフランジ部28の外側へ抜け、フランジ部28の外周部とシリンダ12の内周部との間を通過してピストン262よりも下方へ放出される。このように、ガスの通過経路こそ異なるが、本実施の形態も前記第1の実施の形態と同様にガスを抜くことができるので、プリテンショナ260が作動した後に、シリンダ12内のピストン262よりも上側の内圧が高い状態で維持されることがない。
【0104】
また、シリンダ12内の内圧の上昇でピストン262が摺動している際にも、ガスが溝266、環状溝268、及びガス流量調節溝270を通過する。しかしながら、この状態における溝266、環状溝268、及びガス流量調節溝270のガスの通過量はガス流量調節溝270の断面積により決まり、ピストン262の下降と、ラックバー30がピニオン34を巻取方向に回転させるのに支障がないようにガス流量調節溝270の断面積、ひいては、ガスの通過量が設定されている。したがって、シリンダ12内の内圧の上昇でピストン262が摺動している際にもガスは抜けるが、十分にピストン262を下降させて、ピニオン34、ひいては、スプール38を巻取方向に回転させることができる。
【0105】
さらに、フランジ部28の外周部の一部にて開口しているガス流量調節溝270の断面形状(フランジ部28の外周部での開口形状)と溝266の開口形状とを重ねた場合、溝266の開口形状からガス流量調節溝270の断面形状がはみ出るように溝266の開口形状やガス流量調節孔60の断面形状が設定されており、フランジ部28の外周部の一部にて開口しているガス流量調節溝270の開口形状の範囲の大きさは、ピストン本体264の外周部に沿った溝266の設定範囲よりも狭い。このため、各溝266の何れかが燃えカス56に塞がれても他の溝266が開口しているため燃えカス56に塞がれていない溝266をガスが流れることができる。
【0106】
さらに、ピストン本体264の端面における各溝266の開口面積の総和は、ガス流量調節溝270の断面積よりも大きいので、何れかの溝266が燃えカス56に塞がれても、他の溝266の開口面積の総和と、ガス流量調節溝270の断面積との差異を小さくでき、ガス流量調節溝270の断面積の大きさに対応した十分なガスの通過量を確保できる。
【0107】
(第1変形例)
なお、本実施の形態では、複数の溝266をピストン本体264の外周部に形成した構成であったが、ピストン本体264の外周部に形成する溝266の数に関しては何ら限定されるものではない。また、本実施の形態では、溝266は環状溝268及びガス流量調節溝270を介してフランジ部28の外周部の外側に連通し、フランジ部28の外周部とシリンダ12の内周部との間を介してピストン262よりも下側と連通した構成であったが、溝266は最終的にピストン262よりも下側と連通していればよく、ガスの通過経路に関しては何ら限定されるものではない。さらに、本実施の形態ではスリーブ272を環状部材とした。しかしながら、環状部材の構成がこのようなスリーブ272に限定されるものではない。
【0108】
すなわち、図24及び図25に示される本実施の形態の第1変形例によれば、ピストン本体264の外周部に1本の溝266が形成されている。また、この第1変形例では、環状溝268やガス流量調節溝270が形成されておらず、代わりにガス流量調節部としてのガス流量調節孔292が形成されている。ガス流量調節孔292は一端がフランジ部28のピストン本体264側の端面におけるピストン本体264の側方で開口しており、他端がフランジ部28のピストン本体264とは反対側の端面で開口した貫通孔とされている。このガス流量調節孔292の断面形状は円形とされており、その断面積は前記第1の実施の形態におけるガス流量調節孔60と同様に、シリンダ12内におけるガスジェネレータ20とピストン22との間の内圧が所定の値の場合に、単位時間当たりにガス流量調節孔292を通過させるガスの流量に基づいて開口形状が設定されている。
【0109】
図25の(A)及び(B)に示されるように、本変形例における溝266は、ガス流量調節孔292の中心軸線を曲率の中心としてガス流量調節孔292の半径寸法よりも大きな曲率半径で湾曲した構成であるが、溝266の形状がこのような形状に限定されるものではない。さらに、これまでに説明したXリング26と基本的に同じ構成である環状部材としてのXリング294をピストン本体264に装着することで、溝266及びガス流量調節孔292によるガス通過経路が構成される。
【0110】
<第4の実施の形態の構成>
次に、第4の実施の形態について説明する。
【0111】
図26には本実施の形態に係るプリテンショナ310の要部を拡大した分解斜視図が示されており、図27には本プリテンショナ310の要部を拡大した側面断面図が示されている。さらに、図28には本プリテンショナ310の要部を拡大した平面断面図が示されている。なお、図28において一点鎖線の円Bは図28中における一点鎖線の円A内の拡大図である。
【0112】
これらの図に示されるように、プリテンショナ310のピストン22に形成されたガス抜き孔52には、装着孔54側からフィルタ手段としてのプラグ312が装着されている。図26及び図29に示されるように、プラグ312は挿込部314を備えている。この挿込部314は挿込部本体316を備えている。挿込部本体316は外周形状が多角形の一態様である矩形、特に、本実施の形態においては正方形とされ、円形とされている装着孔54の内周形状とは挿込部本体316の外周形状が異なっている。
【0113】
図28に示されるように、挿込部本体316の断面形状における対角線長は、装着孔54の内周部における直径寸法に等しく(厳密には僅かに小さく)設定されており、挿込部本体316が装着孔54の内側に挿し込まれた状態では、挿込部本体316の外周部におけるコーナ部(四隅)が装着孔54の内周部に当接し、挿込部本体316の外周部におけるコーナ部を除いた外周面は装着孔54の内周部よりも内側に位置する。このため、装着孔54の内周面と挿込部本体316のコーナ部を除く外周面との間には図27及び図28に示されるような通気部としての隙間318が装着孔54の貫通方向に沿って形成される(すなわち、本実施の形態においては、プラグ312のなかで、特に、挿込部本体316が実質的にフィルタ手段を構成しているとも言える)。
【0114】
この隙間318の最大開口幅、すなわち、装着孔54の内周部と挿込部本体316の外周部とで最も離間している部分での装着孔54の内周部と挿込部本体316の外周部との間隔は、0.2mm程度で詳細には0.1mm以上0.3mm以下とされている。このような大きさに開口幅が設定された隙間318は、長手方向寸法がガス流量調節孔60の内周部における直径寸法よりも大きく、最大幅寸法(上記の最大開口幅寸法)がガス流量調節孔60の内周部における直径寸法よりも小さく設定されている。このため、個々の隙間318の開口形状とガス流量調節孔60の開口形状とを重ねると、ガス流量調節孔60の開口形状が隙間318の開口形状からはみ出る。また、全ての隙間318の開口面積の総和は、ガス流量調節孔60の開口面積よりも大きくなる。
【0115】
図26及び図29に示されるように、挿込部本体316の長手方向一端からは連続してテーパ部320が形成されている。テーパ部320は挿込部本体316側の端部が挿込部本体316の断面形状と同じ形状とされている。しかしながら、テーパ部320の外周形状は挿込部本体316側の端部での外周形状と相似形状であるものの、一端側(挿込部本体316とは反対側)へ向けて漸次小さくなっており、一端側へ向けて先細形状となっている。このテーパ部320の挿込部本体316とは反対側の端部からは連続して小径部322が形成されている。小径部322の一端(小径部322のテーパ部320とは反対側の端部)から挿込部本体316の他端(挿込部本体316のテーパ部320とは反対側の端部)までの長さは、ガス抜き孔52における装着孔54の深さ寸法以下とされている。
【0116】
また、小径部322は外周形状がテーパ部320の挿込部本体316とは反対側の端部と同じ形状とされている。すなわち、小径部322においては対角線長が装着孔54の内周部の直径寸法よりも短い。このため、挿込部本体316が装着孔54内に挿し込まれた状態で、小径部322のコーナ部(四隅)は装着孔54の内周部から離間している。なお、本実施の形態では、テーパ部320及び小径部322は挿込部本体316に対して相似形状としたが、テーパ部320や小径部322の外周形状(断面形状)が挿込部本体316の外周形状(断面形状)に対して相似形状でなくてもよい。テーパ部320は挿込部本体316から離間するにつれて細くなるテーパ状(先細形状)であればよい。また、小径部322は挿込部本体316よりも外周形状が小さく、挿込部本体316が装着孔54に挿し込まれた状態で小径部322の外周部全域が装着孔54の内周部から離間するような形状であればよい。
【0117】
一方、図26及び図29に示されるように、挿込部本体316のテーパ部320とは反対側にはフィルタ部としての頭部332が形成されている。頭部332は外径寸法が装着孔54の内径寸法よりも大きな円板形状(又は、軸方向寸法が比較的短い円柱形状)に形成されている。頭部332は挿込部本体316と同心とされており、図27や図30に示されるように、挿込部本体316を装着孔54に挿し込んだ状態では、装着孔54に対して頭部332が同軸的に覆い被さり、頭部332を挿込部本体316とは反対側から見ると、ピストン本体24における装着孔54の開口端が全て頭部332に重なって隠れる。
【0118】
このように、頭部332は装着孔54に挿入することができないため、挿込部本体316を装着孔54に挿し込むに際して頭部332が装着孔54の開口端の周囲でピストン本体24の端面に当接することで挿込部本体316を装着孔54に挿し込みすぎることがない(すなわち、頭部332は挿込部本体316を装着孔54に挿し込む際のストッパの機能を有している)。
【0119】
なお、本実施の形態では、頭部332の外周形状を円形としたが、頭部332の外周形状は装着孔54の内周形状よりも大きく、装着孔54に挿込部本体316を挿し込んだ状態で、装着孔54の開口端が全て頭部332に重なって隠れる形状であれば、頭部332の外周形状は円形でなくてもよい。
【0120】
また、図26及び図29に示されるように、頭部332には周壁334が形成されている。周壁334は外径寸法が頭部332の外径寸法に等しい環状に形成されており、頭部332の挿込部本体316側の端面から頭部332に対して同軸的に形成されている。この周壁334の内径寸法は、挿込部本体316の対角線長よりも長く、このため、図29に示されるように、周壁334の内周部と挿込部本体316の外周部との間には周壁334の内周方向に繋がった環状連通部336が形成される。また、周壁334には切欠部338が複数形成されている。各切欠部338は周壁334の頭部332とは反対側の端部にて開口していると共に、周壁334の内周面及び外周面にて開口している。なお、これらの切欠部338は、周壁334の外周面における頭部332の周方向に沿った開口寸法が1.4mm程度で、頭部332の軸方向に沿った開口寸法が0.4mm程度に設定されている。
【0121】
これらの切欠部338は挿込部本体316の断面形状である正方形の各辺と対向するように形成されており、これらの切欠部338は環状連通部336を介して挿込部本体316の外周部と装着孔54の内周部との間の隙間318に繋がり、更に、隙間318を介してガス流量調節孔60に繋がっている。
【0122】
このため、挿込部本体316を装着孔54に挿し込むことにより頭部332が装着孔54の開口端の周囲でピストン本体24の端面に当接しても、周壁334の外周面にて開口した切欠部338と環状連通部336とを介して、シリンダ12の内側の空間におけるピストン本体24のラックバー30とは反対側の部分と上記の隙間318とが連通している。
【0123】
なお、本実施の形態では、ガス流量調節孔60の内周部の直径寸法は、0.5mm程度で、詳細には0.4mm以上0.6mm以下に設定されている。
【0124】
すなわち、本実施の形態において周壁334の外周面における頭部332の周方向に沿った切欠部338の開口寸法はガス流量調節孔60の内周部における直径寸法よりも大きく、頭部332の軸方向に沿った切欠部338の開口寸法はガス流量調節孔60の内周部における直径寸法よりも小さく設定されている。このため、個々の切欠部338の開口形状とガス流量調節孔60の開口形状とを重ねると、ガス流量調節孔60の開口形状が切欠部338の開口形状からはみ出る。また、周壁334の外周面側における全ての切欠部338の開口面積の総和は、ガス流量調節孔60の開口面積よりも大きくなる。
【0125】
なお、切欠部338の個々の開口形状に関して補足すると、例えば、燃えカス56の形状が既知であるならば、燃えカス56を様々な向きからみて最も幅寸法が小さくなった場合の、この幅寸法よりも切欠部338の個々の開口形状を小さく設定することが好ましい。また、燃えカス56の形状が不明の場合には、燃焼前の薬剤を様々な向きからみて最も幅寸法が小さくなった場合の、この幅寸法よりも通気孔64の個々の開口形状を小さく設定することが好ましい。
【0126】
<第4の実施の形態の作用、効果>
以上のような構成の本実施の形態では、ガスジェネレータ20が作動すると、ガスジェネレータ20にてガスが生じると共に、ガスを発生させるためのガス発生剤等の薬剤が燃焼され、この薬剤の燃えカス56がガスと共にシリンダ12内に放出される。ここで、装着孔54の内周面と挿込部本体316のコーナ部を除く外周面との間に形成される隙間318の個々の開口形状はガス流量調節孔60の開口形状よりも小さく設定されるものの、周壁334の外周側における全ての切欠部338の開口面積の総和はガス流量調節孔60の開口面積よりも大きい。
【0127】
しかも、隙間318は挿込部本体316の周囲、特に、本実施の形態では、挿込部316の軸方向を中心に90度毎に4箇所形成される。このため、燃えカス56によって何れかの隙間318が塞がれても、他の何れかの切欠部338は燃えカス56に塞がれない。このため、燃えカス56が何れかの切欠部338を塞いでも、燃えカス56に塞がれていない切欠部338の開口面積の総和とガス流量調節孔60の開口面積との差異を小さくでき、ガス流量調節孔60の開口面積で決まる流量のガスを放出することができる。
【0128】
すなわち、本実施の形態でも、基本的にこれまでに説明した各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0129】
しかも、装着孔54に嵌め込まれるプラグ312の先端側は小径部322とされ、この小径部322の対角線長は装着孔54の内周部の直径寸法よりも短い。このため、プラグ312を装着孔54へ嵌め込むにあたり、簡単に小径部322を装着孔54に挿入できる。このように装着孔54に小径部322を挿入してから、次いで、テーパ部320が装着孔54に挿入されるが、テーパ部320は挿込部本体316側へ向けて漸次対角線長が長くなる。
【0130】
このため、テーパ部320のコーナ部を装着孔54の内周部に干渉させつつテーパ部320を装着孔54内へ挿入することで、最終的に挿込部本体316の中心軸線と装着孔54の中心軸線とを合わせることができ、挿込部本体316を容易に装着孔54に嵌め込むことができる。このようにして挿込部本体316が装着孔54に嵌め込まれると、挿込部本体316のコーナ部が装着孔54の内周部に圧接するので、特別な固定手段や保持手段を用いなくても、装着孔54の内周部と挿込部本体316のコーナ部との摩擦によりプラグ312をピストン本体24に保持させることができる。
【0131】
なお、本実施の形態は、装着孔54の内周面と挿込部本体316のコーナ部を除く外周面との間に形成される隙間318を通気部とした。しかしながら、プラグ312の頭部332を構成する周壁334に形成した切欠部338を通気部とするように、周壁334の外周面における頭部332の周方向に沿った切欠部338の開口寸法や頭部332の軸方向に沿った切欠部338の開口寸法を適宜に設定してもよい。
【符号の説明】
【0132】
10 プリテンショナ
12 シリンダ(プリテンショナ本体)
14 ウェビング巻取装置
20 ガスジェネレータ(ガス発生手段)
22 ピストン(スプール駆動部材)
38 スプール
42 ウェビング
54 装着孔
56 燃えカス
60 ガス流量調節孔(ガス流量調節部)
62 フィルタ部材(フィルタ手段)
64 通気孔(通気部)
72 フィルタ部材(フィルタ手段)
74 通気孔(通気部)
82 フィルタ部材(フィルタ手段)
84 溝(通気部)
92 フィルタ部材(フィルタ手段)
94 隙間(通気部)
102 フィルタ部材(フィルタ手段)
104 隙間(通気部)
112 フィルタ部材(フィルタ手段)
122 装着孔
124 フィルタ部材(フィルタ手段)
126 隙間(通気部)
132 装着孔
136 隙間(通気部)
142 フィルタ部材(フィルタ手段)
152 フィルタ部材(フィルタ手段)
154 底部
156 通気孔(通気部)
162 フィルタ部材(フィルタ手段)
166 通気孔(通気部)
192 フィルタ部材(フィルタ手段)
194 通気孔(通気部)
200 プリテンショナ
202 フィルタ部材(フィルタ手段)
208 隙間(通気部)
222 フィルタ部材(フィルタ手段)
230 通気孔(通気部)
260 プリテンショナ
262 ピストン(スプール駆動部材)
264 ピストン本体(駆動部材本体、フィルタ手段)
266 溝(通気部)
270 ガス流量調節溝(ガス流量調節部)
272 スリーブ(環状部材)
292 ガス流量調節孔(ガス流量調節部)
294 Xリング(環状部材)
310 プリテンショナ
312 プラグ(フィルタ手段)
314 挿込部
316 挿込部本体
318 隙間
322 小径部
332 頭部
336 環状連通部
338 切欠部(通気部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動することで薬剤を燃焼させてガスを発生させるガス発生手段と、
前記ガス発生手段が取り付けられ、前記ガス発生手段にて発生した前記ガスが内部に供給されるプリテンショナ本体と、
前記プリテンショナ本体内に設けられ、前記プリテンショナ本体内に供給された前記ガスの圧力で移動し、この移動によりスプールを回転させて前記スプールにウェビングを巻取らせるスプール駆動部材と、
ガス通過方向下流側が前記プリテンショナ本体内における前記スプール駆動部材の前記ガス発生手段側とは反対側に直接又は間接的に連通し、通過させるガスの流量に応じて内周形状が設定されたガス流量調節部と、
ガス通過方向上流側が前記プリテンショナ本体内における前記ガス発生手段と前記スプール駆動部材との間の空間に連通していると共に、ガス通過方向下流側が前記ガス流量調節部のガス通過方向上流側に連通し、前記ガス発生手段にて発生したガスが通過してガス流量調節部へ向かう通気部を有し、又は、前記通気部を形成するフィルタ手段と、
を備え、更に、前記ガス流量調節部の開口形状と前記通気部の開口形状とを重ねた場合に前記ガス流量調節部の開口形状が前記通気部の開口形状からはみ出るように前記ガス流量調節部及び前記通気部の各々の開口形状を設定すると共に、前記通気部における前記ガスの通過方向上流側での全体的な開口面積を前記ガス流量調節部の開口面積よりも大きく設定したプリテンショナ。
【請求項2】
前記通気部の設定範囲を前記ガス流量調節部の設定範囲よりも大きく設定した請求項1に記載のプリテンショナ。
【請求項3】
前記通気部を複数設定すると共に、前記通気部の個々の開口面積を前記ガス流量調節部の前記ガスの出口側開口面積よりも小さく設定すると共に、全ての前記通気部の開口面積の総和を前記ガス流量調節部の開口面積よりも大きく設定した請求項1又は請求項2に記載のプリテンショナ。
【請求項4】
前記ガス流量調節部よりも前記ガス通過方向上流側で前記スプール駆動部材に形成され、前記ガス通過方向上流側の端部が前記スプール駆動部材における前記ガス発生手段側の端面にて前記ガス流量調節部の開口面積よりも大きく開口し、前記ガス通過方向下流側の端部が前記ガス流量調節部の前記ガス通過方向上流側に直接又は間接的に連通した装着孔を前記スプール駆動部材に形成すると共に、
前記装着孔の内周部に内接するように前記フィルタ手段を前記装着孔に装着し、更に、前記装着孔に装着された前記フィルタ手段における前記ガス通過方向両端部にて開口した前記通気部を前記フィルタ手段に形成した請求項1から請求項3の何れか1項に記載のプリテンショナ。
【請求項5】
前記ガス流量調節部よりも前記ガス通過方向上流側で前記スプール駆動部材に形成され、前記ガス通過方向上流側の端部が前記スプール駆動部材における前記ガス発生手段側の端面にて前記ガス流量調節部の開口面積よりも大きく開口し、前記ガス通過方向下流側の端部が前記ガス流量調節部の前記ガス通過方向上流側に直接又は間接的に連通した装着孔を前記スプール駆動部材に形成すると共に、
前記装着孔に装着される前記フィルタ手段の外周形状を前記装着孔の内周部に内接可能で且つ前記装着孔の内周形状とは異ならせ、前記装着孔の内周部と前記フィルタ手段の外周との間に形成される隙間を前記通気部とした請求項1から請求項4の何れか1項に記載のプリテンショナ。
【請求項6】
前記ガス流量調節部よりも前記ガス通過方向上流側で前記スプール駆動部材に形成され、前記ガス通過方向上流側の端部が前記スプール駆動部材における前記ガス発生手段側の端面にて前記ガス流量調節部の開口面積よりも大きく開口し、前記ガス通過方向下流側の端部が前記ガス流量調節部の前記ガス通過方向上流側に直接又は間接的に連通した装着孔を前記スプール駆動部材に形成すると共に、
外周形状が前記装着孔の内周形状とは異なる形状に形成されて、前記装着孔に挿し込まれることで外周一部が前記装着孔の内周部に当接して前記装着孔の内周部との間の摩擦で保持されると共に、外周部と前記装着孔の内周部との間に形成される隙間の少なくとも一部が前記ガス流量調節部に連通する挿込部と、前記挿込部が前記装着孔に挿し込まれた状態で前記スプール駆動部材の前記ガス発生手段側に位置すると共に、外周面に形成された開口が前記装着孔の内周部と前記挿込部の外周部との間の隙間に連通した頭部とを有するプラグを前記フィルタ手段とした請求項1から請求項5の何れか1項に記載のプリテンショナ。
【請求項7】
前記装着孔に挿し込まれた状態で外周一部が前記装着孔の内周部に接する挿込部本体と、
前記挿込部本体の前記頭部とは反対側で外周形状が前記挿込部本体よりも細く形成された小径部と、
を含めて前記プラグを構成した請求項6から請求項8の何れか1項に記載のプリテンショナ。
【請求項8】
前記スプール駆動部材の前記ガス発生手段側の端部よりも前記ガス発生手段側で前記スプール駆動部材に対して一体的に前記フィルタ手段を設けて、前記スプール駆動部材の前記ガス発生手段側の端部と前記フィルタ手段との間の空間に前記ガス流量調節部を直接又は間接的に連通させると共に、前記フィルタ手段の前記スプール駆動部材側と前記ガス発生手段側とを連通する前記通気部を前記フィルタ手段に形成した請求項1から請求項3の何れか1項に記載のプリテンショナ。
【請求項9】
前記スプール駆動部材の前記ガス発生手段側の端部よりも前記ガス発生手段側で前記スプール駆動部材に対して一体的に前記フィルタ手段を設けて、前記スプール駆動部材の前記ガス発生手段側の端部の外周部と前記フィルタ手段の外周部との間の隙間を前記通気部とし、前記スプール駆動部材の前記ガス発生手段側の端部と前記フィルタ手段との間の空間に前記ガス流量調節部を直接又は間接的に連通させた請求項1、請求項2、請求項3、及び請求項8の何れか1項に記載のプリテンショナ。
【請求項10】
外周形状が前記プリテンショナ本体の内周形状よりも小さな駆動部材本体と、
前記駆動部材本体の外周部を囲むように前記駆動部材本体に装着され、前記駆動部材本体に装着された状態では内周部が前記駆動部材本体の外周部に接する環状部材と、
を含めて前記スプール駆動部材を構成すると共に、
前記駆動部材本体の外周部に形成されて、前記駆動部材本体の前記ガス発生手段側の端部にて開口していると共に、前記ガス流量調節部に直接又は間接的に連通し、更に、前記駆動部材本体の外周部にて開口して前記駆動部材本体に前記環状部材が装着された状態では、前記環状部材の内周部から離間した溝部を前記通気部とし、前記駆動部材本体及び前記環状部材を含めて前記フィルタ手段を構成した請求項1から請求項3の何れか1項に記載のプリテンショナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2012−144239(P2012−144239A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176102(P2011−176102)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】