説明

プリンタ、プリンタの制御方法、及びネットワークシステム

【課題】ネットワークに接続された環境等においても効率的に給排紙を実行し、処理の高速化を図ることのできるプリンタ等を提供する。
【解決手段】印刷用紙をページ毎に給紙し、前記給紙した印刷用紙に対して印刷を行い、前記印刷後の印刷用紙を排紙する、処理を実行するプリンタにおいて、処理中である先行ページの前記処理が完了する前に、次に前記処理を実行すべき後続ページがあると判断した場合には、前記先行ページが、前記後続ページの前記給紙が可能な位置に達した以降、前記後続ページの前記給紙を、前記先行ページの処理に関わらず、開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のページを連続して処理するプリンタ等に関し、特に、ネットワークに接続された環境等においても効率的に給排紙を実行し、処理の高速化を図ることのできるプリンタ等に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、インクジェットプリンタなどの印刷装置においては、印刷要求元のホストコンピュータ等から印刷データを受信すると、まず、印刷媒体である用紙を供給(給紙)し、当該用紙に対して印刷機構が印刷処理を実行し、その後、印刷済みの用紙を排出(排紙)する。そして、印刷要求が複数枚のページにおよぶ場合には、ページ毎に当該処理を繰り返し実行していた。すなわち、次のページの給紙処理は、先行するページの排紙処理が終了した後に行われていた。
【0003】
かかる給排紙制御について、処理の高速化等の観点から下記特許文献1では、先行ページについての排紙処理と後続ページの給紙処理を同時期に行うための技術について提案されている。かかる提案は、ホストコンピュータに実現される印刷制御装置が、印刷要求に基づくデータを実画像データに展開するときに、後続ページが存在することを表すページ情報を実画像データの前領域に付加し、そのデータを印刷装置に送出することで、先行ページの排紙処理と後続ページの給紙処理とを印刷装置に同時期に行わせようとするものである。
【特許文献1】特開平11−232065号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来技術では、印刷装置が、印刷の1ジョブに複数ページが存在するデータを受信した場合には、その印刷要求を出したホストコンピュータにおいて上述のページ情報が付加されるので、先行ページの排紙処理と後続ページの給紙処理とを同時期に行わせることが可能である。
【0005】
しかしながら、印刷装置が、ネットワークに接続された複数のホストコンピュータから、それぞれ、同時期に印刷ジョブを受信する場合には、異なるジョブ間における処理において、実際には連続した印刷処理が行われるにもかかわらず、先行ジョブの最終ページには、他のホストコンピュータから要求される印刷ジョブについては当然に知り得ないため、前述したページ情報が付加されず、従って、先行ページの排紙処理と後続ページの給紙処理は同時期に行われないことになる。また、印刷要求元のアプリケーションによっては、実際には1ジョブ複数ページの印刷要求が、1ページ1ジョブの複数ジョブとして上記印刷制御装置(ドライバ)に認識され、各ページに上記ページ情報が付加されない場合も発生する。かかる場合にも、やはり、印刷装置において先行ページの排紙処理と後続ページの給紙処理は同時期に行われないことになる。
【0006】
従って、上述の従来技術では、連続印刷時における給排紙処理に非効率な点が残されていた。
【0007】
そこで、本発明の目的は、ネットワークに接続された環境等においても効率的に給排紙を実行し、処理の高速化を図ることのできるプリンタ等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の一つの側面は、印刷用紙をページ毎に給紙し、前記給紙した印刷用紙に対して印刷を行い、前記印刷後の印刷用紙を排紙する、処理を実行するプリンタにおいて、処理中である先行ページの前記処理が完了する前に、次に前記処理を実行すべき後続ページがあると判断した場合には、前記先行ページが、前記後続ページの前記給紙が可能な位置に達した以降、前記後続ページの前記給紙を、前記先行ページの処理に関わらず、開始することである。
【0009】
更に、上記の発明において、好ましい態様は、前記後続ページがあるとの判断は、前記プリンタが受信した前記先行ページの印刷データに、前記後続ページがあることを示すページ情報が付加されている場合、あるいは、前記ページ情報が付加されておらず、前記プリンタが前記後続ページの印刷データを受信している場合になされることを特徴とする。
【0010】
更にまた、上記の発明において、好ましい態様は、前記後続ページがあると判断するための判断処理は、前記先行ページが、前記後続ページの給紙が可能な位置に達した時点で行われることを特徴とする。
【0011】
更に、上記の発明において、好ましい態様は、前記判断処理の結果、前記後続ページがないと判断した場合に、前記判断処理が、前記先行ページの前記処理が完了する前に再度行われることを特徴とする。
【0012】
更にまた、上記の発明において、好ましい態様は、前記判断処理の結果、前記後続ページがあると判断した場合に、当該判断の時点で、前記後続ページの給紙が開始されることを特徴とする。
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明の別の側面は、印刷用紙をページ毎に給紙し、前記給紙した印刷用紙に対して印刷を行い、前記印刷後の印刷用紙を排紙する、処理を実行するプリンタの制御方法において、処理中である先行ページの前記処理が完了する前に、次に前記処理を実行すべき後続ページがあると判断した場合には、前記先行ページが、前記後続ページの前記給紙が可能な位置に達した以降、前記後続ページの前記給紙を、前記先行ページの処理に関わらず、開始することである。
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明の更に別の側面は、印刷データを送信して印刷要求を行なう複数のホスト装置と、前記ホスト装置とネットワークで接続され前記印刷要求に応じて印刷処理を実行するプリンタとを備えるネットワークシステムにおいて、前記プリンタによる印刷処理は、印刷用紙をページ毎に給紙し、前記給紙した印刷用紙に対して印刷を行い、前記印刷後の印刷用紙を排紙する、処理であり、前記ホスト装置から送信される印刷データには、各ページについて、次のページの有無を示すページ情報が付加され、前記プリンタは、処理中である先行ページの前記印刷データに付加された前記ページ情報が次のページのあることを示している場合、あるいは、当該先行ページのページ情報が次のページのあることを示しておらず、前記先行ページの次に前記印刷処理を実行すべき後続ページの前記印刷データを、前記先行ページの前記印刷処理が完了する前に受信している場合には、前記先行ページが、前記後続ページの前記給紙が可能な位置に達した以降、前記先行ページの前記印刷処理が完了する前に、前記後続ページの前記給紙を開始することである。
【0015】
本発明の更なる目的及び、特徴は、以下に説明する発明の実施の形態から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、図において、同一又は類似のものには同一の参照番号又は参照記号を付して説明する。
【0017】
図1は、本発明を適用したプリンタの実施の形態例に係る構成図である。図1に示すプリンタ2が本実施の形態例に係るプリンタであり、処理中のページが後続ページの給紙可能位置に達した際に、後続ページありを示すページ情報がある場合、または、当該ページ情報がなくても後続ページのデータを受信している場合には、処理中の先行ページの処理に関わらず後続ページの給紙処理を開始し、連続印刷における給排紙を従来よりも更に効率的に行おうとするものである。
【0018】
本実施の形態例に係るプリンタ2は、一例として、インクジェットプリンタであり、図1に示すように、ネットワーク3を介して複数のホストコンピュータ1と接続され、各ホストコンピュータ1からの印刷要求を受信可能に構成される。各ホストコンピュータ1には、当該プリンタ2用のドライバが備えられ、印刷要求時には当該ドライバがプリンタ2用の印刷データを生成してプリンタ2へ送信する。この際、通常の場合には、印刷要求の1ジョブが複数ページを含む時に、最終ページ以外の各ページには後続ページがあることを示すページ情報が付加される。
【0019】
プリンタ2は、図1に示すように、いわゆるコントローラである制御部21と各機構部が備えられる。まず、制御部21は、データ解析部22と機構制御部23から構成される。データ解析部22は、前記ホストコンピュータ1から送信される印刷データを、順次、受信して格納し、格納したデータを順次解析してその結果に基づく指示を機構制御部23に発する部分である。当該データ解析部22が行う処理、特に、連続印刷時の後続ページの給紙開始制御に特徴があり、具体的な処理内容については後述する。なお、データ解析部22は、処理内容を指示するプログラム等を収めたROM、当該プログラムに従って処理を実行するCPU、前記受信した印刷データ等を格納するRAM(データバッファ)などによって構成することができる。
【0020】
次に、機構制御部23は、いわゆるメカコンであり、前記データ解析部22の指示に基づいて各機構部の動作制御を行なう部分である。例えば、印刷媒体である用紙4の給紙処理時には、データ解析部22からの給紙開始指示に従ってASFモータ25を起動し、用紙4を所定の位置まで搬送した後に、給紙終了をデータ解析部22に通知する。
【0021】
プリンタ2の機構部には、図1に示すように、ASFモータ25、センサ26、印刷機構27、PFモータ28等が備えられる。ASF(オートシートフィーダ)モータ25は、給紙トレイ24の用紙4を印刷機構27付近の所定位置まで案内するために起動される、給紙処理のためのモータである。
【0022】
一方、PF(ペーパフィード)モータ28は、給紙された用紙4を排紙方向に搬送するために起動されるモータであり、その搬送過程で印刷機構27による印刷処理が実行され、印刷処理後は用紙4が排紙トレイ29に排紙される。
【0023】
センサ26は、給紙されて搬送される用紙4の上端及び下端を検出するための部分であり、用紙4の位置検出は、例えば、当該センサ26の検出とASFモータ25及びPFモータ28による搬送量に基づいて行われる。
【0024】
また、印刷機構27には、プリンタ2がインクジェットプリンタであるので、インク吐出を行う複数のノズルを備えたヘッドがあり、キャリッジに搭載されて用紙4上を主走査方向に移動しながらインクの吐出により印刷を行う。
【0025】
以上説明したような構成を有する本実施の形態例に係るプリンタ2では、印刷処理時に以下のような手順で処理を実行する。
【0026】
ホストコンピュータ1においてアプリケーションから印刷要求がなされると、ホストコンピュータ1のプリンタ2用のドライバが印刷データを生成し、順次、所定の単位でプリンタ2へ送信してくる。例えば、印刷1パス分のイメージデータが生成される度にデータ送信が行われる。
【0027】
プリンタ2のデータ解析部22は、送信されたデータを順次データバッファに格納すると共に、その格納したデータを順次読み出して解析する。図3は、ホストコンピュータ1から送信されてデータ解析部22によって処理されるページ毎の印刷データを模式的に例示した図である。図3の(a)は、1ジョブの先頭ページのデータを例示している。図に示すように、通常、ジョブの最初にはプリンタ内部の状態を初期化するためのコマンド(1)が付けられ、その後に、後続ページの有無を示すページ情報(2)、そして、印刷画像のためのイメージデータ(3)、さらに、そのページを排紙するための排紙コマンド(4)がそれぞれ生成される。2ページ目以降のページについては、上記初期化コマンド(1)を除くデータ((2)−(4))が生成され、最終ページには、図3の(b)に示すように、初期化コマンド(5)が付加される。なお、ページ情報(2)は、後続ページの有無を示すデータとして後続ページがある場合にもない場合にも生成するものとしているが、後続ページがある場合のみ付加するようにしてもよい。また、ジョブの最終ページにおける初期化コマンド(5)は省略しても構わない。
【0028】
データ解析部22は、まず、初期化コマンド(1)を解析して、初期化のための指示を出す。そして、当該データが印刷のためのデータであることを認知し、給紙の指示を出す。当該指示を受けた機構制御部23は、ASFモータ25を起動して用紙4を所定位置まで搬送させ、当該搬送が完了するとそのことをデータ解析部22に通知する。
【0029】
それを受けてデータ解析部22は、印刷準備の完了を認知し、順次、次のデータ(コマンド)の解析に移行する。次に読み出されるページ情報(2)は、後述する後続ページの給紙判断に用いられるため、データバッファの所定箇所等に保持される。その後、イメージデータ(3)を順番に読み出して解析し、前記給紙された用紙4への印刷処理を指示する。イメージデータ(3)には適宜紙送りコマンドが含まれており、イメージデータによるヘッドへの印刷指示と、PFモータ28への用紙4の紙送り指示が順次繰り返されることになる。
【0030】
その後、当該ページのイメージデータ(3)についての処理が終了すると、排紙コマンド(4)が読み出されて、印刷処理された用紙4の排紙処理が指示される。当該指示を受けて、機構制御部23は、PFモータ28を制御して印刷済みの用紙4を排紙トレイ29に排出する。このようにして1ページ分の印刷データについて処理が実行され、それ以降のページについても、そのページについては概ね同様に処理が実行される。
【0031】
次に、本プリンタ2の特徴である後続ページの給紙開始処理について説明する。図2は、後続ページの給紙開始処理について例示したフローチャートである。図2に示す処理は、データ解析部22によって行われる内容が示されており、まず、データ解析部22は、現在処理中のページ(先行ページと呼ぶ)が予め定められた所定位置に達したことを検知する(ステップS1)。
【0032】
かかる検知は、例えば、センサ26により先行ページの下端が検出された後、所定量の搬送が行われたことを認知して行われる。そして、この予め定められた所定位置は、次のページ(後続ページ)用の用紙4を給紙処理することが可能な位置であり、例えば、その時点で後続ページの給紙を行ってもその上端が先行ページの下端とぶつからない位置である。
【0033】
かかる先行ページの位置は、プリンタ2の設計により変わってくるが、例えば、給紙処理後の用紙4の上端位置が印刷位置に近く、先行ページの印刷範囲に関わらず印刷処理が終了後でないと上記所定位置に達しないプリンタでは、上記位置の検知(S1)は、先行ページの印刷処理が終了したタイミングでなされることになる。従って、データ解析部22は、先行ページのイメージデータ(3)の処理が済んだ後、例えば、排紙コマンド(4)を処理するタイミングで当該検知を行う。図3の(a)に示すデータが先行ページのデータであるとすると、例えば、図の矢印Bで示すタイミングで前記検知を行うことになる。
【0034】
一方、給紙処理後の用紙4の上端位置が印刷位置よりもかなり手前であり、先行ページの印刷処理が終了する前に上記所定位置に達する可能性のあるプリンタでは、先行ページの印刷範囲により、イメージデータ処理中に前記検知を行うタイミングとなる。図3の(a)に示すデータが先行ページのデータであるとすると、例えば、図の矢印Aで示すタイミングで前記検知を行うことになる。
【0035】
このようにして先行ページが所定位置に達したことが検知されると(ステップS1のYes)、次に、データ解析部22は、当該先行ページについて保持しておいた前述のページ情報(2)を読み出して後続ページの有無を判断する(ステップS2)。ここで、ページ情報(2)が後続ページありを示すものである場合には(ステップS2のYes)、データ解析部22は、後続ページの給紙開始を指示する(ステップS6)。一方、ページ情報(2)が後続ページなしを示すものである場合には(ステップS2のNo)、ステップS3に移行する。
【0036】
図3に示す例において、(a)及び(b)は、2ページからなる1ジョブの1ページ目と2ページ目であり、(c)は、その次のジョブのデータである。この例において、先行ページが(a)に示すページである場合には、ページ情報(2)が後続ページありを示すものであるので、後続ページ、すなわち、(b)に示すページの給紙開始が指示される。また、先行ページが(b)に示すページである場合には、ページ情報(2)が後続ページなしを示すものであるので、処理がステップS3に移行する。
【0037】
また、図3の(c)は、例えば、1ページのジョブの場合、あるいは、(a)及び(b)の要求元のホストコンピュータ1とは異なる、ページ情報(2)を付加しないドライバを備えたホストコンピュータ1からの要求によるものの場合であり、先行ページが(c)に示すページである場合には、ページ情報(2)がないので、後続ページなしと判断して処理がステップS3に移行する。
【0038】
ステップS3に移行した場合には、データ解析部22は、後続ページのデータがあるか否かを判断する(S3)。具体的には、プリンタ2内に後続ページの印刷データが受信されてデータバッファに格納されているか否かをチェックする。先行ページがそのジョブの最終ページである場合には(例えば、先行ページが図3の(b)である場合には)、次の印刷ジョブのデータが受信されて格納されているか否かをチェックする。より具体的には、例えば、格納されている次のジョブデータに印刷データ又は紙送りコマンドがある場合、あるいは、次のジョブデータが一定量以上蓄積されている場合に、後続ページのデータがあると判断する。
【0039】
当該判断の結果、後続ページのデータがあると判断した場合には(ステップS3のYes)、データ解析部22は、後続ページの給紙開始を指示する(ステップS6)。一方、後続ページのデータがないと判断した場合には(ステップS3のNo)、ステップS4に移行する。
【0040】
図3に示す例においては、先行ページが(b)の場合に、この時点で(c)に示すページのデータが受信されていれば後続ページの給紙開始を指示し、受信されていなければステップS4に移行する。
【0041】
ステップS4に移行した場合には、すなわち、後続ページのデータがないと判断した場合には、データ解析部22は、予め定められた所定時間が経過するのを待って、当該所定時間が経過した時点で(ステップS4のYes)、再度、後続ページのデータがあるか否かを判断する(ステップS5)。この所定時間は、先行ページについての処理が完了する前に、すなわち、先行ページの排紙処理が完了する前に、当該再判断がなされるような時間に設定される。当該判断は、前記ステップS3と同様にして行う。その結果、後続ページのデータがあると判断した場合には(ステップS5のYes)、データ解析部22は、後続ページの給紙開始を指示し(ステップS6)、後続ページのデータがないと判断した場合には(ステップS5のNo)、当該後続ページの給紙開始処理を終了する。
【0042】
一方、上述したいずれかの場合で後続ページの給紙処理を指示(ステップS6)した場合には、その後にデータ解析部22による当該後続ページの給紙開始処理を終了する。
【0043】
この給紙開始処理により、後続ページの給紙開始を指示(ステップS6)した場合には、先行ページの処理中に後続ページの給紙処理が開始されることになり、先行ページのその後の処理と後続ページの給紙処理が並行して実行されることになる。前述の通り、先行ページが所定位置に達したことの検知が行われる(ステップS1)タイミングは、プリンタによって異なるので、この後続ページの給紙開始指示のタイミングもプリンタによって異なり、例えば、先行ページの印刷処理中に後続ページの給紙開始がなされ、先行ページの印刷処理と後続ページの給紙処理が並行して行われる、あるいは、先行ページの印刷処理及び排紙処理と後続ページの給紙処理が並行して行われる、ことになる。また、前記ステップS1の検知が遅いタイミングで行われるプリンタでは、後続ページの給紙開始指示のタイミングも遅くなり、先行ページの排紙処理と後続ページの給紙処理が並行して行われることになる。
【0044】
一方、後続ページの給紙開始を指示(ステップS6)しないで終了した場合には、先行ページの処理中に後続ページの給紙開始はなされないので、後続ページの給紙処理は先行ページの処理と並行して行われることはなく、先行ページの排紙処理が完了した後に行われる。
【0045】
なお、前述したステップS4及びS5では、先行ページが所定位置に達した後、所定時間経過後に後続ページのデータ有無について再判断を行ったが、先行ページが所定位置に達した後、先行ページを所定距離搬送した後に当該再判断を行うようにしてもよい。前述のように、プリンタによっては、先行ページが印刷処理中に前記所定位置に達する場合もあり、かかる場合には、印刷範囲により、前記所定位置に達した後の(排紙完了までの)処理時間が変わるので、前記再判断を一定時間後に行おうとすれば、その時間は、処理時間の短い場合にあわせる必要があり、後続ページの給紙処理を先行ページの処理と並行して行う機会を損失する割合が大きくなる。従って、このような場合には、所定距離搬送した後に当該再判断を行うようにした方が適している。
【0046】
また、このステップS4及びS5は省略してもよい。かかる場合には、先行ページが所定位置に達した時点で、ページ情報が後続ページなしを示し、後続ページのデータも受信していなければ、後続ページの給紙処理は先行ページの処理と並行して行われない。
【0047】
また、このステップS4及びS5による再判断は1回でなく、2回以上実施するようにしてもよい。かかる場合にも全ての再判断は、先行ページについての処理が完了する前に、すなわち、先行ページの排紙処理が完了する前に、行われるように設定される。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態例に係るプリンタ2では、先行ページに後続ページありの情報が付いている場合、あるいは、当該情報が付いていなくとも先行ページの処理中に後続ページのデータを受信している場合には、先行ページ処理中の所定タイミングで後続ページの給紙処理が開始される。従って、ネットワーク3で接続された複数のホストコンピュータ1から印刷ジョブを受ける場合など、先行ページと後続ページが異なるジョブに属して先行ページに後続ページありの情報が付いていない場合にも、先行ページの処理中に後続ページの給紙処理を開始することができ、従来よりも、印刷処理の高速化を図ることができる。
【0049】
また、上記後続ページの給紙開始判断は、先行ページが、後続ページ用の用紙4を給紙処理することが可能な位置に達した時点で行われ、給紙開始と判断されれば、先行ページの処理に関わらず後続ページの給紙を開始する。従って、プリンタの仕様によっては、後続ページの給紙開始を先行ページの排紙開始以前に行なうこととなり、従来よりも早いタイミングで後続ページの給紙を行うことが可能である。
【0050】
さらに、後続ページありの情報がない場合に、先行ページが前記所定位置に達した時点で後続ページのデータを受信していなくても、その後の所定タイミングで再度当該データの受信が判断され、受信していればその時点で後続ページの給紙が開始されるので、この点においてもさらに印刷処理の高速化を図ることができる。
【0051】
本発明の保護範囲は、上記の実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明を適用したプリンタの実施の形態例に係る構成図である。
【図2】後続ページの給紙開始処理について例示したフローチャートである。
【図3】ホストコンピュータ1から送信されてデータ解析部22によって処理されるページ毎の印刷データを模式的に例示した図である。
【符号の説明】
【0053】
1 ホストコンピュータ、 2 プリンタ、 3 ネットワーク、 4 用紙、 21 制御部、 22 データ解析部、 23 機構制御部、 24 給紙トレイ、 25 ASFモータ、 26 センサ、 27 印刷機構、 28 PFモータ、 29 排紙トレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷用紙をページ毎に給紙し、前記給紙した印刷用紙に対して印刷を行い、前記印刷後の印刷用紙を排紙する、処理を実行するプリンタであって、
処理中である先行ページの前記処理が完了する前に、次に前記処理を実行すべき後続ページがあると判断した場合には、前記先行ページが、前記後続ページの前記給紙が可能な位置に達した以降、前記後続ページの前記給紙を、前記先行ページの処理に関わらず、開始する
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
請求項1において、
前記後続ページがあるとの判断は、
前記プリンタが受信した前記先行ページの印刷データに、前記後続ページがあることを示すページ情報が付加されている場合、あるいは、
前記ページ情報が付加されておらず、前記プリンタが前記後続ページの印刷データを受信している場合になされる
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項3】
請求項1あるいは請求項2において、
前記後続ページがあると判断するための判断処理は、前記先行ページが、前記後続ページの給紙が可能な位置に達した時点で行われる
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項4】
請求項3において、
前記判断処理の結果、前記後続ページがないと判断した場合に、前記判断処理が、前記先行ページの前記処理が完了する前に再度行われる
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項5】
請求項3あるいは請求項4において、
前記判断処理の結果、前記後続ページがあると判断した場合に、当該判断の時点で、前記後続ページの給紙が開始される
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項6】
印刷用紙をページ毎に給紙し、前記給紙した印刷用紙に対して印刷を行い、前記印刷後の印刷用紙を排紙する、処理を実行するプリンタの制御方法であって、
処理中である先行ページの前記処理が完了する前に、次に前記処理を実行すべき後続ページがあると判断した場合には、前記先行ページが、前記後続ページの前記給紙が可能な位置に達した以降、前記後続ページの前記給紙を、前記先行ページの処理に関わらず、開始する
ことを特徴とするプリンタの制御方法。
【請求項7】
印刷データを送信して印刷要求を行なう複数のホスト装置と、前記ホスト装置とネットワークで接続され前記印刷要求に応じて印刷処理を実行するプリンタとを備えるネットワークシステムであって、
前記プリンタによる印刷処理は、印刷用紙をページ毎に給紙し、前記給紙した印刷用紙に対して印刷を行い、前記印刷後の印刷用紙を排紙する、処理であり、
前記ホスト装置から送信される印刷データには、各ページについて、次のページの有無を示すページ情報が付加され、
前記プリンタは、処理中である先行ページの前記印刷データに付加された前記ページ情報が次のページのあることを示している場合、あるいは、当該先行ページのページ情報が次のページのあることを示しておらず、前記先行ページの次に前記印刷処理を実行すべき後続ページの前記印刷データを、前記先行ページの前記印刷処理が完了する前に受信している場合には、前記先行ページが、前記後続ページの前記給紙が可能な位置に達した以降、前記先行ページの前記印刷処理が完了する前に、前記後続ページの前記給紙を開始する
ことを特徴とするネットワークシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−23961(P2008−23961A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−202297(P2006−202297)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】