説明

プリンタの処理時間を予測する方法および関連アプリケーション

【課題】プリントショップワークフローのより効率的な管理のためのプリントショップ管理システムを提供する。
【解決手段】プリンタによる印刷ジョブの処理時間を予測するための、プリントショップ管理システムに実装されるアルゴリズムである。アルゴリズムは、処理時間を計測する際にジョブの印刷要求およびプリンタ性能を勘案する。予測される処理時間は、プリントショップのワークフロー管理を改良するために用いる。アプリケーションとしては、管理システムによる印刷ジョブ割当てを改良する予測処理時間を用いることと、ジョブがいつ処理を終了するのかの実時間予測を示すために、プリンタに送出された印刷ジョブのステータスを表示することと、終了期限を守るためにその時間までにジョブが開始しなくてはならない時間前に警告を発することと、印刷ジョブがワークフローの次のステップにいつ進むかを下流オペレータに通知すること、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリントショップ環境において、印刷ジョブの処理時間を予測する方法、および、当該方法に関連する実用的アプリケーションに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のプリンタおよび後処理装置を使用する印刷ジョブを大量に処理する環境においては、体系化された方法で効率的に印刷ジョブを管理する必要性があった。そのような環境の例として、商業的なプリントショップおよび大組織における印刷/コピー部門がある。そのような環境においては、大量の複製および大きな文書の印刷など様々な印刷要求が、短いターンアラウンドタイム内に複数のプリンタによって処理され完了される必要がある。これらの環境は、この出願では集合的に「プリントショップ」と称される。典型的に、各印刷ジョブは、印刷されるべき文書と共に、用紙指定、レイアウト指定、および後処理指定などの印刷ジョブについての様々な要求を特定するジョブチケットを電子的に含む、ソースファイルを含む。コンピュータによって実装されるプリントショップ管理システムは、印刷ジョブを実現するために一以上のプリンタおよび後処理装置に各印刷ジョブを送出することを含む、複数の印刷ジョブを管理する。従来では、プリントショップ管理システムは、印刷終了するまでに各印刷ジョブがどのくらいの時間を要するのかについての正確な予測を提供しない。
【0003】
中枢となる印刷ジョブ管理サーバを有さず、一以上のクライアントコンピュータが一以上のプリンタへ接続されている典型的なオフィス環境では、いくつかのプリンタはそれらのキューに加えられた各ジョブの印刷時間を予測でき、ジョブをタイミングよく完了することを確証するために、キュー内にあるジョブをスケジューリングするジョブスケジューリング機能を実装できる。そのような機能は個々のプリンタへ実装され、スケジューリングは個々のキュー内のジョブについて行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、印刷ジョブの処理時間を予測する方法およびその実用的アプリケーションに関する。
【0005】
本発明の目的は、プリントショップワークフローのより効率的な管理のため、改良されたプリントショップ管理システムを提供することである。
【0006】
本発明のさらなる特徴および利点は以下の記載に説明され、部分的には当該記載から明らかであり、または、本発明を実施することを通して理解される。本発明の目的およびその他の利点は、添付の図面同様、記載される内容および特許請求の範囲に特に指摘された構成によって理解され、達成されうる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
具体的かつ広義に記載されるとおり、これらおよび/またはその他の目的を達成するために、本発明は、プリントショップにおいて複数のプリンタへ接続されたプリントショップ管理装置に実装される方法を提供する。当該方法は、(a)印刷される文書および複数の印刷要求を特定する印刷ジョブを受信するステップと、(b)複数のプリンタから、前記印刷ジョブの全ての印刷要求を満たす性能を有する全ての候補プリンタを確定するステップと、(c)前記印刷要求および候補プリンタの性能に基づいて、各候補プリンタによる印刷ジョブの処理時間を計算するステップと、を含む。
【0008】
その他の側面では、本発明は、プリントショップにおいて複数のプリンタに接続されたプリントショップ管理装置に実装される方法を提供する。当該方法は、(a)各プリンタのキュー内にある係属中の各印刷ジョブについて、当該印刷ジョブの印刷要求およびこれを担当するプリンタの性能に基づいて、当該印刷ジョブの処理時間を計算するステップと、(b)エラー状況による各プリンタのいかなる遅延時間も継続的に計測するステップと、(c)ステップ(a)で計算された対象印刷ジョブと対象印刷ジョブの前にある同じキュー内の全ての印刷ジョブとの処理時間、および、ステップ(b)で計測された遅延時間に基づいて、プリンタのキュー内にある前記対象印刷ジョブの終了時間を計算するステップと、を含む。
【0009】
その他の側面では、本発明は、プリントショップ管理装置に実装される方法を提供する。当該方法は、(a)印刷ジョブの印刷要求およびプリンタの性能に基づいて、選択されたプリンタによる印刷ジョブの処理時間を計算するステップと、(b)印刷ジョブについて事前に決められた終了期限、およびステップ(a)で計算された処理時間に基づいて、前記終了期限までに終了するためにその時間までに印刷ジョブがプリンタに送出されるべき開始時間を計測するステップと、(c)ステップ(b)で計測された前記開始時間前に警告を発するステップと、を含む。
【0010】
その他の側面では、本発明は、プリントショップにおいて複数のプリンタへ接続されたプリントショップ管理装置に実装される方法を提供する。当該方法は、(a)各プリンタのキュー内にある各係属中の印刷ジョブについて、印刷ジョブの印刷要求およびこれを担当するプリンタの性能に基づいて印刷ジョブの処理時間を計算するステップと、(b)エラー状況による各プリンタのいかなる遅延時間も継続的に計測するステップと、(c)ステップ(a)で計算されたキュー内にある全ての係属中の印刷ジョブの処理時間と、ステップ(b)で計測された遅延時間とに基づいて、各プリンタの待ち時間を計算するステップと、(d)ステップ(c)で計算された待ち時間と、前記対象印刷ジョブの印刷要求およびプリンタ性能とに基づいて、前記対象印刷ジョブの最短終了時間を計測するステップと、を含む。
【0011】
その他の側面では、本発明は、プリンタによる印刷ジョブの処理時間を予測するためのプリントショップ管理装置に実装される方法を提供する。当該プリンタは後処理を実行するための一以上の後処理部を有し、当該方法は、(a)印刷ジョブのカラーページの合計ページ数と、印刷ジョブの白黒ページの合計ページ数と、プリンタのカラー印刷スピードと、プリンタの白黒印刷スピードと、に基づいて印刷時間を計算するステップと、(b)ページ単位の後処理時間コストと、印刷ジョブの合計ページ数と、セット単位の後処理時間コストおよび印刷ジョブのコピー部数と、に基づいて後処理時間を計算するステップと、(c)印刷時間と後処理時間とを合計することにより処理時間を計算するステップと、を含む。
【0012】
その他の側面では、本発明は、コンピュータ読取可能なプログラムコードを有するコンピュータ使用可能な媒体を含む、コンピュータプログラムプロダクトを提供する。当該プログラムコードは当該媒体に具備され、プリントショップ管理装置に上記方法を実行させるように構成される。
【0013】
以上の概説および以下の詳細な説明は共に、例示的および解説的であり、請求の範囲の発明のさらなる説明を提供するように意図されるものと解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】本発明の実施形態による、印刷ジョブ割当方法を示す。
【図1B】本発明の実施形態による、印刷ジョブ割当方法を示す。
【図2】本発明の実施形態による、印刷ジョブステータスを監視する方法を示す。
【図3】本発明の実施形態による、開始必須時間警告を発する方法を示す。
【図4】本発明の実施形態による、印刷ジョブの終了時間を予測する方法を示す。
【図5】本発明の実施形態による、印刷ジョブ最短終了時間を予測する方法を示す。
【図6】本発明の実施形態による、プリントショップシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態は、印刷ジョブが印刷および後処理(ここでは処理時間と称する)を完了するのにどのくらいの時間を要するかを予測し、および、プリントショップのワークフロー管理を改良するためにこの情報を使用する、プリントショップ管理システムに実装されるアルゴリズムを提供する。
【0016】
アルゴリズムおよび関連する方法は、プリントショップ管理装置1(たとえば、コンピュータ)の記憶装置(たとえば、ハードディスクドライブ)に格納されたプリントショップ管理システムソフトウェアによって実装され、プリントショップ管理装置1によって実行される。プリントショップ管理装置1は、図6に概略的に示されるように、LAN(Local Area Network)などのデータ通信システムを介して、プリンタ2およびプリントショップのその他の装置に接続される。
【0017】
アルゴリズムは、予測処理時間を計測する際、ジョブの印刷要求およびプリンタ性能を勘案する。ジョブの印刷要求は、たとえば、印刷される文書のページ数、ジョブのコピー部数(文書のコピーが何部印刷されるか)、ジョブのデュプレックス/シンプレックスモード設定、ジョブのカラーインテント(カラー、白黒(B&W)、または混合色およびB&W)、ジョブの後処理要求などを含む。プリンタ性能は、エンジンスピード(たとえば、プリンタの毎分のページカウント(PPM))、インラインでの後処理スピードなどを含む。エンジンスピードは、典型的に、印刷要求に依存する。たとえば、エンジンは、典型的に、カラーと白黒印刷とでは異なる印刷速度を有し、シンプレックスとデュプレックスとでは異なる印刷速度を有する。処理時間は、ジョブの印刷要求に従って適切なプリンタ性能を用いることにより予測される。
【0018】
例示的な処理時間予測アルゴリズムが、以下に記載される。以下の記載は例示のみであり、その他の適したアルゴリズムが実装されてもよい。第1に、印刷ジョブのカラーページおよび白黒ページの合計ページ数が計算される。合計ページ数は、印刷される文書のカラーおよび白黒のページ数それぞれにジョブのコピー部数を乗じた値に等しい。続いて、ジョブのデュプレックス/シンプレックスモード設定が確認される。デュプレックスまたはシンプレックスモード、ならびに、カラーおよび/または白黒印刷に対応するエンジンスピードが取得される。プリンタは、典型的に、カラーおよび白黒ページを異なるスピードで印刷する。あるプリンタはまた、デュプレックスおよびシンプレックス処理を異なるスピードで実行する。続いて、カラーおよび白黒ページの合計ページ数が対応するエンジンスピードにより除算されることにより、印刷処理の時間予測が取得される。
【0019】
次に、印刷ジョブがインライン後処理操作を必要とする場合、各後処理操作に必要とされる時間が予測される。インライン後処理とは、離れた後処理装置に出力を運ぶオペレータが必要とならないように、プリンタの一部、またはプリンタと接続された後処理部によって実行される後処理操作を意味する。いくつかの後処理操作は、ステープル(セット単位で一操作)のように追加要素単位で実行される一方で、その他の処理はパンチ処理などシート単位で実行される。結果的に、各後処理操作に要する時間が予測される。よって、印刷およびインライン後処理の両方を含むジョブの合計処理時間予測は、以下のように計算される。
【0020】
【数1】

【0021】
上記計算式において、ページ単位の後処理時間コストとは、全てのページ単位の後処理操作の時間コストの合計であり、また、セット単位の後処理時間コストとは、全てのセット単位の後処理操作の合計である。上述の後処理操作に加えて、インライン後処理のその他の例は、製本/中綴じ、折り加工、ワイヤ綴じ等を含む。
【0022】
予測処理時間は、プリントショップ管理システムおよび印刷ジョブのワークフローの様々な側面を改良するために用いられうる。いくつかの応用例が、より詳細に以下に記載される。
【0023】
第1の例では、予測処理時間は、管理システムによる印刷ジョブ割当てを改良するために用いられる。印刷ジョブ割当方法は、公衆に入手可能な「ユーザ優先順位付けを可能とする印刷ジョブ割当方法」と題される、2008年1月11日出願の米国特許出願第12/028,971号に記載される。当該出願に記載されるように、プリントショップ管理システムによって受信される各印刷ジョブは、ジョブの印刷要求と管理システムによって管理されるプリンタ性能とを比較することによって処理される。プリンタがジョブの全ての印刷要求を満たせない場合、予測処理時間は候補プリンタについて予測される。続いて、ジョブの全ての印刷要求を満たすことのできる全ての候補プリンタから、予め決められた優先度に基づいて、または最短待ち時間を有するプリンタを選択することにより、ジョブを送出するために一プリンタが選択される。上記方法の最終ステップは、本発明の実施形態による予測処理時間を用いることにより変更されうる。
【0024】
特に、図1Aに示されるように、プリントショップ管理システムが、ジョブの全ての印刷要求を満たすことのできる全ての候補プリンタを確定(ステップS11)した後、管理システムは、各候補プリンタによる予測処理時間(つまり、ジョブを処理するために各プリンタが費やす時間)を計算し(ステップS12)、結果をオペレータへ示す(ステップS13)。その結果、オペレータは、ジョブを送出するための所望のプリンタを選択できる(ステップS14)。または、図1Bに示されるように、候補プリンタを確定し(ステップS11)、各候補プリンタによる予測処理時間を計算(ステップS12)した後、管理システムは最短の予測処理時間を有する候補プリンタに自動的にジョブを送出する(ステップS15)。このようなジョブ割当方法は、生産性および全体的なワークフローを改良できる。
【0025】
第2の例では、プリントショップ管理システムは、プリンタに送出された印刷ジョブのステータスを表示し、ジョブがいつ印刷および後処理操作を完了するかの実時間予測(日時または現時点からの相対的な時間のいずれかでありうるが、ここでは終了時間と称する)を示す。終了時間を予測するためのアルゴリズムは、以下を勘案する;対象ジョブ(監視されているジョブ)の予測処理時間、対象ジョブ前にある同じプリンタに割り当てられた各係属中のジョブの予測処理時間(全てのそのようなジョブは、プリンタキュー内に格納される)、遅延を引き起こしキュー内の全てのジョブ終了時間に影響を及ぼしうるジャムおよびその他のエラー状況、など。
【0026】
図2に示されるように、終了時間は、対象ジョブ、および対象ジョブ前にあるプリンタキュー内の全てのジョブの処理時間を用いて予測される(ステップS21)。現在印刷されているジョブについては、残りの処理時間が予測される。対象ジョブの終了時間が継続的にリアルタイムに更新されるように、ジャムまたはその他エラーによるいかなる遅延も継続的に監視され、追加待ち時間に加算される(ステップS22)。たとえば、エンジンがジャム状況に遭遇した場合、ジャムが解消されるまでエンジン停止される毎秒ごとに1秒が対象ジョブの予測終了時間に加算される。
【0027】
対象印刷ジョブに対し処理を完了する期限が与えられた場合、終了時間情報は、ジョブが要求される期限内に完了されうるか否かを動的に判定するために用いられる。期限は、顧客によってピックアップされなくてはならない時間、発送期限等、現実的な考慮事項により課される。さらに、現プリンタの追加待ち時間により、対象ジョブが指定期限内に終了しない(すなわち、終了時間が期限より遅くなる)場合、対象ジョブは、異なるプリンタ(ジョブの全ての印刷要求を満たすことができると事前に決定された他の候補プリンタ)に再割り当てされるか、または、時間内の完了を確証するために現プリンタのキューの先頭側へ移動される(ステップS23)。
【0028】
再割当ては、オペレータによってなされるか、または、プリントショップ管理システムにより自動的になされる。
【0029】
第3の例では、プリントショップ管理システムは、事前に決められた期限を守るように、ジョブが所定の時間までに開始されなくてはならないことをオペレータにリマインダする警告を発するために、ジョブの予測処理時間を用いる。図3に示されるように、プリントショップ管理システムは、選択されたプリンタによるジョブの予測処理時間を計算し(ステップS31)、事前に決められた期限から処理時間を減算することにより開始必須時間を決定し(ステップS32)、開始必須時間においてまたはその前に警告を発し(ステップS33)、オペレータにジョブを準備し開始する時間を与える。選択的に、ステップS32における計算は、エラーまたはその他の遅延に時間的余裕を与えるために「バッファ時間」を考慮する。したがって、ステップS32では、開始必須時間を計算するために、事前に決められた期限から事前に決められたバッファ時間をさらに減算する。より広義には、プリントショップ管理システムは、できるだけ多くのジョブが期限内に終わるように、ジョブスケジューリングする際、全てのジョブの予測処理時間を用いる。スケジューリングアルゴリズムは、一般的に、コンピュータ科学およびその他の分野で知られ、全てのジョブの予測処理時間が計算された後は、いかなるそのようなアルゴリズムが実装されてもよい。
【0030】
第4の例では、印刷ジョブがオフライン後処理、箱詰めおよび搬送などの下流での処理をさらに必要とする場合、プリントショップ管理システムは、印刷ジョブがワークフローの次のステップにいつ進むのかを下流のオペレータへ通知する。オフライン後処理とは、プリンタに接続されていないスタンドアロンの後処理機器によって処理される後処理操作を意味する。それは、典型的に、印刷された出力をプリンタから後処理機器に手作業で運搬するオペレータを必要とし、後処理操作を実行するためにも後処理機器を手作業で操作するオペレータを必要とする。よって、いつ印刷が完了するかを下流オペレータに通知することにより、下流オペレータは次ステップの操作を準備し、ジョブが印刷している際の休止時間をより効率的に利用することができる。図4に示されるように、プリントショップ管理システムは、ジョブの終了時間を計測し(ステップS41)、下流オペレータに終了時間を示す(ステップS42)。終了時間を計測するステップ(ステップS41)は、図2に示されるように、ステップS21およびS22を含む。つまり、対象ジョブおよび同じキュー内にある対象ジョブ前の他の係属中ジョブの処理時間を計算し、そして、プリンタのエラー状況によるいかなる遅延時間をも勘案することによる。
【0031】
第5の例では、予測されたジョブ処理時間は、顧客要求の終了期限が守られうるか否かを決定するために用いられる。図5に示されるように、プリントショップ管理システムは、各プリンタキューの待ち時間をリアルタイムで継続的に監視する(ステップS51)。これは、プリンタキュー内にある全ての係属中のジョブの追加処理時間を予測し、プリンタのジャムおよびプリンタのその他のエラー状況によるいかなる遅延をも継続的に監視することによって達成される(図2のステップS21およびS22と同様)。続いて、顧客が印刷ジョブ要求をプリントショップに送出したいとき、プリントショップ管理システムは、ジョブの印刷要求に基づいて、最短予測終了時間がいつであるか、および/または、顧客により指定される終了期限が守られるか否かを判定する(ステップS52)。これは、ジョブの印刷要求に基づいてジョブが割り当てられうる全ての候補プリンタを確定(図1AのステップS11と同様)し、各候補プリンタによるジョブの予測処理時間を計算(図1AのステップS12と同様)し、各候補プリンタによる終了時間を算出するために、ステップS51で計測された各候補プリンタの待ち時間に対応する処理時間を加算し、最短終了時間を確定することにより達成される。
【0032】
顧客が実際にジョブをプリントショップへ送出する前に、プリントショップ店員が顧客に適宜アドバイスできるように、ステップS52における判定結果が示される(ステップS53)。この特徴はまた、プリントショップがウェブに基づくオンラインジョブ送出システムを有する場合に有用である。そのようなシステムによれば、顧客はインターネットを介して印刷要求を指定でき、ステップS52の判定結果がインターネットを介して顧客に送信され表示される(ステップS53)。これにより、顧客はプリントショップに印刷ジョブを送出するか否かを決定する。
【0033】
上記記載から、処理時間の正確な予測をすることにより、プリントショップがワークフローおよびオペレータ人員の管理を改良できるものと解されうる。それは、どのプリンタにジョブが処理用に送出されるべきかを、オペレータが決定するのに役立つ。既に送出されたジョブについては、それが、各ジョブのリアルタイムの予測終了時間を提供し、下流処理操作のオペレータがそのような操作を準備することを可能とする。それは、プリントショップが、顧客の印刷ジョブがオンタイムで納品されることを確証することに役立つ。
【0034】
上記では、「印刷する」という用語は、凡そコピーすることを含み、たとえば、元となるハードコピーの文書から複数部のコピーを作成することを含む。コピーとは、典型的に、ハードコピーをスキャンし、複数部のコピーを印刷することを伴う。さらに、「プリンタ」は、凡そ、インライン後処理部を有するコピー機およびプリンタを含む、印刷されたコピーを生成するいかなる装置も含む。
【0035】
本発明の思想または範囲から乖離することなく、様々な改変および変形が本発明の処理時間予測方法および関連する実用的なアプリケーションについてなされうることは、当業者に明らかである。ゆえに、本発明は、添付された請求の範囲およびそれと同等な範囲内での改変および変形を包含するものと解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリントショップにおいて複数のプリンタに接続されたプリントショップ管理装置に実装される方法であって、
(a)印刷される文書および複数の印刷要求を特定する印刷ジョブを受信するステップと、
(b)複数のプリンタから、前記印刷ジョブの全ての印刷要求を満たす性能を有する全ての候補プリンタを確定するステップと、
(c)前記印刷要求および前記候補プリンタの性能に基づいて、前記各候補プリンタによる前記印刷ジョブの処理時間を計算するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記各候補プリンタについて、前記ステップ(c)は、
(c1)前記印刷ジョブのカラーページの合計ページ数と、前記印刷ジョブの白黒ページの合計ページ数と、前記プリンタのカラー印刷速度と、前記プリンタの白黒印刷速度とに基づいて、印刷時間を計算するステップと、
(c2)ページ単位の後処理時間コストと、前記印刷ジョブの合計ページ数と、セット単位の後処理時間コストと、前記印刷ジョブのコピー部数と、に基づいて後処理時間を計算するステップと、
(c3)前記印刷時間と前記後処理時間とを合計することにより、前記処理時間を計算するステップと、
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、
(d)前記ステップ(c)で計算された処理時間に基づいて、前記印刷ジョブの最短処理時間を有する選択された前記候補プリンタに前記印刷ジョブを送出するステップをさらに含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、
(d)前記ステップ(c)で計算された処理時間をオペレータに示すステップをさらに含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
プリントショップにおいて複数のプリンタに接続されたプリントショップ管理装置に実装される方法であって、
(a)前記各プリンタのキュー内にある係属中の各印刷ジョブについて、当該印刷ジョブの印刷要求およびこれを担当する前記プリンタの性能に基づいて、当該印刷ジョブの処理時間を計算するステップと、
(b)エラー状況による前記各プリンタのいかなる遅延も継続的に計測するステップと、
(c)前記ステップ(a)で計算された対象印刷ジョブと、当該対象印刷ジョブの前にある同じ前記キュー内の全ての印刷ジョブとの処理時間、および、前記ステップ(b)で計測された遅延に基づいて、前記プリンタのキュー内にある当該対象印刷ジョブの終了時間を計算するステップと、
を含む方法。
【請求項6】
前記係属中の各印刷ジョブについて、前記ステップ(a)は、
(a1)前記印刷ジョブのカラーページの合計ページ数と、前記印刷ジョブの白黒ページの合計ページ数と、前記担当するプリンタのカラー印刷速度と、前記担当するプリンタの白黒印刷速度とに基づいて、印刷時間を計算するステップと、
(a2)ページ単位の後処理時間コストと、前記印刷ジョブの合計ページ数と、セット単位の後処理時間コストと、前記印刷ジョブのコピー部数と、に基づいて後処理時間を計算するステップと、
(a3)前記印刷時間と前記後処理時間とを合計することにより前記処理時間を計算するステップと、
を含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、
(d)前記ステップ(c)で計算された終了時間が、前記対象印刷ジョブの事前に決められた終了期限より遅い場合、前記対象印刷ジョブを他のプリンタへ再割り当てするか、または前記キュー内で前記対象印刷ジョブを移動するステップ
をさらに含む、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、
(d)前記ステップ(c)で計算された終了時間を、前記印刷ジョブの下流処理オペレータに示すステップをさらに含む請求項5または6に記載の方法。
【請求項9】
プリントショップ管理装置に実装される方法であって、
(a)印刷ジョブの印刷要求およびプリンタの性能に基づいて、当該プリンタによる当該印刷ジョブの処理時間を計算するステップと、
(b)前記印刷ジョブについて事前に決められた終了期限、および、前記ステップ(a)で計算された処理時間に基づいて、当該終了期限までに終了するためにその時間までに前記印刷ジョブが前記プリンタに送出されるべき開始時間を計測するステップと、
(c)前記ステップ(b)で計測された開始時間においてまたは開始時間前に警告を発するステップと、
を含む方法。
【請求項10】
前記ステップ(a)は、
(a1)前記印刷ジョブのカラーページの合計ページ数と、前記印刷ジョブの白黒ページの合計ページ数と、前記プリンタのカラー印刷速度と、前記プリンタの白黒印刷速度とに基づいて、印刷時間を計算するステップと、
(a2)ページ単位の後処理時間コストと、前記印刷ジョブの合計ページ数と、セット単位の後処理時間コストと、前記印刷ジョブのコピー部数と、に基づいて後処理時間を計算するステップと、
(a3)前記印刷時間と前記後処理時間を合計することにより前記処理時間を計算するステップと、
を含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
プリントショップにおいて複数のプリンタに接続されたプリントショップ管理装置に実装される方法であって、
(a)前記各プリンタのキュー内にある係属中の各印刷ジョブについて、当該印刷ジョブの印刷要求およびこれを担当する前記プリンタの性能に基づいて、当該印刷ジョブの処理時間を計算するステップと、
(b)エラー状況による前記各プリンタのいかなる遅延も継続的に計測するステップと、
(c)前記テップ(a)で計算された前記キュー内の全ての係属中の印刷ジョブの処理時間と、前記ステップ(b)で計測された遅延とに基づいて、前記各プリンタキューの待ち時間を計算するステップと、
(d)前記ステップ(c)で計算された待ち時間と、対象印刷ジョブの前記印刷要求および前記プリンタの性能とに基づいて、当該対象印刷ジョブの最短終了時間を計測するステップと、
を含む方法。
【請求項12】
前記各係属中の印刷ジョブについて、前記ステップ(a)は、
(a1)前記印刷ジョブのカラーページの合計ページ数と、前記印刷ジョブの白黒ページの合計ページ数と、前記担当するプリンタのカラー印刷速度と、前記担当するプリンタの白黒印刷速度とに基づいて、印刷時間を計算するステップと、
(a2)ページ単位の後処理時間コストと、前記印刷ジョブの合計ページ数と、セット単位の後処理時間コストと、前記印刷ジョブのコピー部数と、に基づいて後処理時間を計算するステップと、
(a3)前記印刷時間と前記後処理時間とを合計することにより前記処理時間を計算するステップと、
を含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ステップ(d)は、
(d1)前記複数のプリンタから、前記対象印刷ジョブの全ての印刷要求を満たす性能を有する全ての候補プリンタを確定するステップと、
(d2)前記対象印刷ジョブの印刷要求および前記候補プリンタの性能に基づいて、前記各候補プリンタによる前記対象印刷ジョブの処理時間を計算するステップと、
(d3)前記ステップ(c)で計算された待ち時間、および、前記ステップ(d2)で計算された処理時間に基づいて、最短終了時間を計測するステップと、
を含む請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
後処理を実行するための一以上の後処理部を有するプリンタによる印刷ジョブの処理時間を予測するために、プリントショップ管理装置に実装される方法であって、
(a)前記印刷ジョブのカラーページの合計ページ数と、前記印刷ジョブの白黒ページの合計ページ数と、前記プリンタのカラー印刷速度と、前記プリンタの白黒印刷速度とに基づいて、印刷時間を計算するステップと、
(b)ページ単位の後処理時間コストと、前記印刷ジョブの合計ページ数と、セット単位の後処理時間コストと、前記印刷ジョブのコピー部数と、に基づいて後処理時間を計算するステップと、
(c)前記印刷時間と前記後処理時間を合計することにより前記処理時間を計算するステップと、
を含む方法。
【請求項15】
前記後処理は、穴開け処理およびステープル処理を含み、
前記ページ単位の後処理時間コストは前記穴開け処理の時間コストを含み、前記ページ単位の後処理時間コストはステープル処理の時間コストを含む、請求項14に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−225136(P2010−225136A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−14571(P2010−14571)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(507031918)コニカ ミノルタ システムズ ラボラトリー, インコーポレイテッド (157)
【Fターム(参考)】