説明

プリンタードライバー

【課題】ドキュメント作成者の意図に合うように、各印刷設定項目の既定値を、ドキュメントデータの印刷設定に反映する技術を提供する。
【解決手段】プリンタードライバー120は、アプリケーション110から、印刷対象のドキュメントデータとともに、印刷設定項目ごとの既定値を含む、少なくとも1つのプリセットデータを取得する取得ステップと、取得ステップで取得したプリセットデータから、推奨されるプリセットデータを特定する推奨プリセット特定ステップと、推奨プリセット特定ステップで特定したプリセットデータに含まれる既定値を、当該プリンタードライバー120の設定値として設定する設定ステップと、を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタードライバーに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンターおよびプリンタードライバーの多機能化に伴ってこれら設定項目の数は増加する傾向にあり、ユーザーの設定にかかる負担を低減する方策として、所定の印刷設定項目群をまとめて設定可能な機能(「一括設定機能」という)が用意されている。例えば、ドラフト印刷、テキストアンドイメージ印刷、などの「印刷形式」ごとに、その「印刷形式」で印刷を実行するための印刷設定項目群の既定値が登録されている。そして、一括設定を受け付けるためのアイコンを表示し、選択された場合は、その「印刷形式」に対応する既定値群を、現在の印刷設定に適用する。
【0003】
この「印刷形式」の種類は、1つではなく、多数設けることができ、必要に応じて使い分けることができる(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平11−149361号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ワード(登録商標)などの一般的なエディターを用いて作成されたドキュメントデータの印刷設定に、登録されている各印刷設定項目の既定値を自由に反映すると、ドキュメント作成者の意図に反した印刷結果が出力されてしまう場合がある。
【0005】
本発明は、ドキュメント作成者の意図に合うように、各印刷設定項目の既定値を、ドキュメントデータの印刷設定に反映する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本願発明は、プリンタードライバーであって、アプリケーションから、印刷対象のドキュメントデータとともに、印刷設定項目ごとの既定値を含む、少なくとも1つのプリセットデータを取得する取得ステップと、前記取得ステップで取得したプリセットデータから、推奨されるプリセットデータを特定する推奨プリセット特定ステップと、前記推奨プリセット特定ステップで特定したプリセットデータに含まれる既定値を、当該プリンタードライバーの設定値として設定する設定ステップと、を実行する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0008】
図1は、本発明の一実施形態が適用された印刷システム10の機能構成の一例を示すブロック図である。図示するように、印刷システム10は、情報処理装置100と、プリンター200と、を備える。情報処理装置100とプリンター200は、例えば、USBケーブル等のケーブルを介して相互に接続されている。しかし、本発明は、これに限定されず、例えば、情報処理装置100とプリンター200は、インターネットやLAN等のコンピューターネットワークを介して、相互に通信可能に接続されていてもよい。
【0009】
情報処理装置100は、例えば、不図示の、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、ハードディスクと、ディスプレイ等の表示装置と、キーボードやマウス等からなる入力装置と、プリンター200とデータの送受信を行う通信インターフェイスと、などを備えた一般的なコンピューター(パーソナルコンピューター)で実現される。
【0010】
情報処理装置100上には、図示するように、アプリケーション110と、プリンタードライバー120と、記憶部130と、が少なくとも構築される。アプリケーション110、及び、プリンタードライバー120は、情報処理装置100が備えるROMなどからRAMにロードされたコンピュータープログラムを、CPUが実行することにより構築される。記憶部130は、ROMやハードディスクなどの記憶装置により構築される。
【0011】
アプリケーション110は、印刷対象のドキュメントデータ(以下では、「ドキュメント」とよぶ)を作成する処理を行う。ここで、ドキュメントは、文書作成ソフトウェアが生成するデータ(例えば、ワード(登録商標)ファイル)や、表計算ソフトウェアが生成するデータ(例えば、エクセル(登録商標)ファイル)や、描画ソフトウェアが生成するデータ(例えば、パワーポイント(登録商標)ファイル)などを含む。アプリケーション110は、情報処理装置100にインストールされた、一般的なドキュメント作成プログラムに従って機能する。このドキュメント作成プログラムには、例えば、ワード、エクセル、パワーポイントなどが含まれる。
【0012】
プリンタードライバー120は、プリンター200における印刷設定を行うとともに、プリンター200を制御する。図示するように、プリンタードライバー120は、設定部121と、実行部122と、を有する。
【0013】
設定部121は、プリンター200における印刷設定を行う。ここで、「印刷設定を行う」とは、プリンタードライバー120(後述する実行部122)が印刷データを生成するときに参照するパラメーター(以下では、単に「設定値」とよぶ)を決定することをいい、具体的には、設定部121が、設定項目ごとの設定値を所定の格納場所(メモリー上)に格納することをいう。また、上記の設定項目には、例えば、「解像度」、「カラー」、「給紙装置」、「用紙サイズ」、「用紙タイプ」、「印刷品質」などの項目が含まれる。
【0014】
また、一般に、プリンター200を利用するユーザーは、同一の印刷設定で何度も印刷を行うことが多い。そのため、設定部121は、再利用可能な印刷設定(以下では、「印刷形式」とよぶ)を、予め記憶部130に登録しておく機能を有している。
【0015】
具体的には、設定部121は、設定項目の設定値として適用可能な値を、1つのグループ(設定項目群)にまとめてプリセット登録テーブル131に登録する。なお、以下では、プリセット登録テーブル131に登録される値を「既定値」とよび、複数の既定値を1つのグループ(設定項目群)にまとめた集合を「既定値群」とよぶ。
【0016】
図2は、プリセット登録テーブル131の概略データ構造の一例を示す図である。図示するように、プリセット登録テーブル131は、「印刷形式」ごとのレコード1316からなる。各レコード1316には、「印刷形式」を識別する識別情報(ID)1311と、「印刷形式」の設定内容(既定値群)を印刷設定として適用させるか否かを決定する適用情報1312と、「印刷形式」の名称を示す印刷形式名1313と、「印刷形式」が属するカテゴリー1314と、「印刷形式」の設定内容(既定値群)を特定する設定項目情報1315と、が対応付けて格納されている。
【0017】
識別情報(ID)1311は、「印刷形式」を識別するための情報を含む。例えば、識別情報(ID)1311は、所定の文字列(数字列を含む)などからなる。
【0018】
適用情報1312は、「印刷形式」の設定内容(既定値群)を印刷設定として適用させるか否かを決定するデータを含む。例えば、適用させること示す「ON」や、適用させないことを示す「OFF」等の文字列からなる。
【0019】
印刷形式名1313は、「印刷形式」の名称を示す情報を含む。例えば、印刷形式名1313は、「ドラフト印刷」、「テキストアンドイメージ印刷」、「WEB印刷」、「N−Up印刷」等といった、ユーザーにとって印刷設定の内容について連想しやすい名称を示す文字列(数字列も含む)からなる。
【0020】
カテゴリー1314は、「印刷形式」を分類するための情報を含む。例えば、カテゴリー1314は、プリンター200の製造会社により作成された「印刷形式」を分類するための「メーカー定義」や、プリンター200を購入したユーザーにより作成された「印刷形式」を分類するための「ユーザー定義」等の文字列(数字列を含む)からなる。
【0021】
設定項目情報1315は、「印刷形式」の設定内容(既定値群)を特定するデータを格納している。
【0022】
具体的には、設定項目情報1315は、図示するように、設定項目の設定値として適用可能な既定値を、設定項目ごとに格納している。また、設定項目ごとの各既定値は、設定項目の種類(適用レベル)によって区分けされて格納されている。例えば、設定項目ごとの各既定値は、プリンター200がどのような機種であっても汎用的に使用可能な「基本(共通)設定」と、異なる機種では汎用性がない「機種依存設定」と、によって分類される。
【0023】
また、設定項目情報1315は、設定項目ごとに、当該設定項目の名称を示す設定項目名1317と、当該設定項目についての既定値1318と、当該既定値1318を印刷設定に適用するか否かを決定する適用可否1319と、を対応付けて格納する。なお、既定値1318には、例えば、設定項目名1317が「解像度」であれば、「600dpi」などのデータが格納され、設定項目名1317が「カラー」であれば、「B/W」などのデータが格納され、設定項目名1317が「給紙装置」であれば、「カセットG」などのデータが格納され、設定項目名1317が「用紙サイズ」であれば、「A4」などのデータが格納され、設定項目名1317が「用紙タイプ」であれば、「厚紙」などのデータが格納され、設定項目名1317が「印刷品質」であれば、「水墨画」などのデータが格納される。
【0024】
図1に戻り、設定部112は、また、1又は複数のプリセットデータ(インポート用の「印刷形式」)が格納されたファイルを読み込み、読み込んだファイルに格納されているプリセットデータを、再利用可能な印刷設定(「印刷形式」)として登録する機能を有している。このような機能を有することにより、プリンタードライバー120は、他のプリンタードライバーで用いられているプリセットデータを、自プリンタードライバー120でも使用することができるようになる。以下では、プリセットデータが格納されたファイルを、「設定ファイル132」とよぶ。情報処理装置100は、設定ファイル132を、USBメモリーなどの可搬性メモリーを媒介して、他の情報処理装置から取得するようにしてもよいし、インターネットやLANなどのコンピューターネットワークを介して取得するようにしてもよい。
【0025】
図3は、設定ファイル132の概略データ構造の一例を示す図である。図示するように、設定ファイル132は、設定ファイル全体のヘッダー部となるメインヘッダー1321と、プリセットデータ1324と、を含む。図示する例では、設定ファイル132は、メインヘッダー1321と、n個のプリセットデータ1324と、を有している。ここで、プリセットデータ1324は、例えば、図示するように、プリセットデータ1324ごとのヘッダー部となるサブヘッダー1322と、プリセットデータの設定内容(既定値群)を格納するデータ部1323と、を含む構成からなる。
【0026】
メインヘッダー1321は、プリセットの適用対象であるプリンタードライバー120で制御可能なプリンター200の機種名を示す機種名11と、設定ファイル132に含まれているプリセットデータ1324の総数を示すプリセット数12と、印刷設定に最も適した「印刷形式」として設定ファイル作成者から推奨されているプリセットデータを示す指定プリセット13と、を有している。
【0027】
例えば、機種名11は、プリンター200の型番を示すデータを含む。また、プリセット数12は、整数値「n」を示す数字列を含む。また、指定プリセット13は、設定ファイル132に含まれているプリセットデータ1324を特定するデータ(後述するプリセットナンバー15)を含む。
【0028】
また、各プリセットデータ1324のサブヘッダー1322は、当該プリセットデータ1324の名称を示す設定名14と、当該プリセットデータ1324を識別するためのプリセットナンバー15と、を有している。
【0029】
例えば、設定名15は、プリセットデータ1324の特徴を表すような名称を示す文字列を含む。また、プリセットナンバー15は、プリセットデータ1324に固有の識別情報(例えば、「1」、「2」など)となる数字列を含む。
【0030】
また、各プリセットデータ1324のデータ部1323は、設定項目ごとのレコード19からなる。各レコード19には、設定項目の名称を示す設定項目名16と、当該設定項目についての既定値17と、当該既定値17を印刷設定として適用させるレベルを示す適用レベル18と、が対応付けて格納される。
【0031】
例えば、設定項目名16は、プリセット登録テーブル131の設定項目情報1315に含まれている設定項目名1317に相当するデータを含む。また、既定値17についても同様に、プリセット登録テーブル131の設定項目情報1315に含まれている既定値1318に相当するデータを含む。
【0032】
また、適用レベル18は、設定項目ごとに異なるレベルが割り当てられ、当該レベルに応じて、既定値17を印刷設定に適用させる容易度(汎用性)を決定するためのデータである。例えば、適用レベル18は、その容易度(汎用性)を示す「B」、「C」、「D」といった文字列を含む。なお、設定項目が上述した「基本(共通)設定」に該当する場合には、当該設定項目の適用レベル18には「B」が割り当てられ、設定項目が上述した「機種依存設定」に該当する場合には、当該設定項目の適用レベル18には「C」が割り当てられている。
【0033】
設定部121は、上記のような設定ファイル132を読み込むと、各プリセットデータ1324のレコード1316を、プリセット登録テーブル131に追加(登録)する。
【0034】
図1に戻り、実行部122は、印刷データを生成し、生成した印刷データをプリンター200に送信して印刷を行わせる。具体的には、実行部122は、設定部121によって行われた印刷設定に基づく印刷をプリンター200に行わせるための制御コマンドを、印刷データとともにプリンター200に送信する。
【0035】
記憶部130は、図示するように、プリセット登録テーブル131と、設定ファイル132と、を記憶する。例えば、プリセット登録テーブル131については、プリンタードライバー120のインストール用パッケージに予め格納されており、情報処理装置100へのインストールを契機に、記憶部130に記憶される。また、設定ファイル132については、設定ファイル作成者により、任意のタイミングで記憶部130に記憶される。
【0036】
次に、プリンター200について説明する。
【0037】
プリンター200は、例えば、不図示の、CPUと、RAMと、ROMと、ネットワークインターフェイスと、印刷エンジンと、入力装置(ボタン、タッチパネルなど)と、表示装置(表示パネルなど)と、を備えている。ただし、プリンター200の構成はこれに限定されるものではなく、例えば、特定の処理を行うASIC(Application Specific Integrated Circuit)などを備えていてもよい。また、プリンター200は、プリンターに限定されず、例えば、複合機、FAX装置などでもよい。
【0038】
プリンター200上には、少なくとも印刷実行部210が構築される。印刷実行部210は、プリンター200が備えるRAMにロードされたコンピュータープログラムを、CPUが実行すること、及び、印刷エンジンが動作すること、により構築される。或いは、印刷実行部210が有する機能を実現する専用のASICなどが動作することにより構築されてもよい。
【0039】
印刷実行部210は、情報処理装置100から送信された印刷データを印刷する。具体的には、印刷実行部210は、情報処理装置100のプリンタードライバー120(実行部122)が生成した印刷データと、印刷についての制御コマンドを受信する。そして、印刷実行部210は、受信した制御コマンドに従って印刷エンジンを制御し、受信した印刷データの印刷処理を実行する。なお、印刷実行部210は、プリンタードライバー120から受信した印刷データをそのまま印刷できない場合には、受信した印刷データに対して所定の画像処理を施し、印刷可能な印刷データに変換してから、印刷を実行する。
【0040】
なお、上記の各構成要素は、印刷システム10の構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。各構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。印刷システム10の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0041】
また、印刷システム10における各機能部は、ハードウェアにより構築されている場合には、各機能部の処理が1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0042】
<印刷設定処理>
次に、上記構成からなる印刷システム10の特徴的な動作について説明する。図4は、情報処理装置100で行われる印刷設定処理について説明するフローチャートである。
【0043】
情報処理装置100のプリンタードライバー120は、ユーザーから入力装置を介して印刷設定の指示を受け付けると、印刷設定処理を開始する。
【0044】
印刷設定処理を開始すると、プリンタードライバー120の設定部121は、まず、ユーザーから印刷設定について指示を受け付けるためのインターフェイス(設定画面300)を、表示装置に表示する(ステップS101)。
【0045】
図5は、設定部121が表示する設定画面300の一例を示す図である。図示するように、設定画面300には、基本設定(Basic Settings)タブ310と、応用レイアウト(Advanced Layout)タブ320と、オプション設定(Optional Settings)タブ330と、設定情報(Setting information)タブ340と、が設けられる。設定部121は、ユーザーからいずれかのタブ(310〜340のいずれか)が選択されると、各タブ(310〜340)ごとに異なる設定画面を表示し、印刷設定に関する各種設定を受け付ける。例えば、基本設定タブ310がユーザーから選択されると、基本的な印刷設定(カラー印刷設定、用紙サイズ設定など)を行うための設定画面を表示し、各種設定を受け付ける。また、設定情報タブ340がユーザーから選択されると、「印刷形式」を構成する複数の設定項目について追加、削除する設定や、各設定項目の設定値(既定値)を変更する設定などを行うためのインターフェイス(後述する編集画面500)を表示し、各種設定を受け付ける。なお、設定部121は、ユーザーからいずれのタブ(310〜340のいずれか)も選択されなければ、基本設定タブ310が選択されているものと判定し、図示するような画面を表示する。
【0046】
また、設定画面300には、「印刷形式」が属するカテゴリーごとに、カテゴリーエリア(410〜430)が設けられる。図示する例では、3つのカテゴリー(「Category A」、「Category B」、「Category C」)についてのカテゴリーエリア(410〜430)が設けられている。なお、上述したいずれのタブ(310〜340のいずれか)が選択されている場合にも、共通して、カテゴリーエリア(410〜430)を表示しておくようにする。
【0047】
各カテゴリーエリア(410〜430)には、図示するように、プリセット登録テーブル131の「印刷形式」ごとに設けられる所定のアイコンや、設定対象や編集対象の「印刷形式」を選択するためのラジオボタンなどが設けられる。
【0048】
次に、設定画面300で設定情報タブ340が選択された場合に表示する編集画面500について説明する。
【0049】
図6は、設定部121が表示する編集画面500の一例を示す図である。図示するように、編集画面500には、印刷形式一覧510と、設定項目一覧520と、インポートボタン530と、エクスポートボタン540と、インポートレベル選択ボックス550と、が設けられる。
【0050】
印刷形式一覧510には、「印刷形式」を特定する印刷形式アイコンの一覧が表示される。図示するように、各印刷形式アイコンは、属するカテゴリーごとに区分されて(点線)表示される。
【0051】
そして、設定部121は、印刷形式一覧510において、入力装置を介してユーザーから選択されている印刷形式アイコン511をハイライト表示する。設定部121は、ここで選択されている「印刷形式」に対応するレコード1316をプリセット登録テーブル131から検索し、検索したレコード1316に対応付けられている設定項目情報1315のデータ構造およびデータ内容に基づいて、設定項目一覧520を表示する。すなわち、設定部121は、設定項目情報1315に格納されている設定項目ごとの設定項目名1317、設定値(既定値1318)、適用可否1319を、その格納順序に従って設定項目一覧520に表示する。設定部121は、設定項目一覧520の各データの編集をユーザーから受け付け、受け付けた変更内容を、プリセット登録テーブル131に反映させる(格納する)。
【0052】
また、インポートボタン530は、設定ファイル132に格納されているプリセットデータ1324を、プリセット登録テーブル131に登録させる(インポートする)指示を行うためのボタンである。インポートボタン530が操作されたときの設定部121の動作については後述する。
【0053】
また、エクスポートボタン540は、プリセット登録テーブル131に登録されている「印刷形式」に基づいて、設定ファイル132を生成する(エクスポートする)指示を行うためのボタンである。エクスポートボタン540をタッチする操作がユーザーによってなされると、設定部121は、プリセット登録テーブル131に格納されている設定項目情報1315を、「印刷形式」ごと(レコード1316ごと)に読み出し、図3に示すようなプリセットデータ1324のデータ部1323を生成する。「印刷形式」ごとに生成した各データ部1323には、それぞれ図3に示すサブヘッダー1322を付加し、設定ファイル132を生成する。設定部121は、生成した設定ファイル132を記憶部130に記憶する。
【0054】
なお、設定ファイル132の生成する方法については、必ずしも上記のようの方法で行う必要はない。例えば、一般的なエディターなどを用いて、「印刷形式」ごとの設定内容(既定値群)について記入、編集などし、設定ファイル132を生成してもよい。
【0055】
また、インポートレベル選択ボックス550は、設定ファイル132をプリセット登録テーブル131にインポートする場合に、インポートレベルの選択を受け付けるためのボックスである。ここで、インポートレベルは、例えば、上述した適用レベル18に対応している。すなわち、インポートレベルは、「A」、「B」、「C」、「D」といった複数のレベルから選択可能とする。
【0056】
図4に戻り、ステップS101において編集画面500を表示中に、設定部121は、インポートレベルの選択をユーザーから受け付ける(ステップS102)。具体的には、設定部121は、インポートレベル選択ボックス550をタッチする操作がユーザーによりなされると、インポートレベルの選択候補(例えば、「A」〜「D」)の一覧(プルダウンメニュー)を表示し、選択候補の中から1つのインポートレベルを選択する指示を受け付ける。なお、以下では、ステップS102でユーザーに指定されたインポートレベルを「指定インポートレベル」とよぶ。
【0057】
そして、設定部121は、インポートレベルの選択を受け付けた後に、インポートボタン530をタッチする操作を受け付けると、設定ファイル132に格納されているプリセットデータ1324をプリセット登録テーブル131にインポートするためのプリセット登録処理を行う(ステップS103)。このプリセット登録処理については、後述する。
【0058】
設定部121は、ステップS103におけるプリセット登録処理を終了すると、プリセット登録テーブル131に登録したプリセットデータ(「印刷形式」)を、印刷設定に適用するか否かについて指示を受け付ける(ステップS104)。具体的には、設定部121は、図5に示す設定画面300において、各カテゴリーエリア(410〜430)のいずれかの(1又は複数の)ラジオボタンについて選択を受け付ける。
【0059】
設定部121は、各カテゴリーエリア(410〜430)において、少なくとも1つのラジオボタンが選択されるまでは、印刷設定への適用指示はされていないと判定する(ステップS104;No)。そして、設定部121は、各カテゴリーエリア(410〜430)において、少なくとも1つのラジオボタンが選択されると、印刷設定への適用指示がされたと判定し(ステップS104;Yes)、処理をステップS105に移行する。
【0060】
処理がステップS105に移行すると、設定部121は、ステップS104においてユーザーにより選択されたラジオボタンに対応する「印刷形式」の設定内容(既定値群)を、印刷設定に適用する(ステップS105)。具体的には、設定部121は、ステップS104において選択されたラジオボタンに対応するレコード1316を、プリセット登録テーブル131から検索し、検索したレコード1316に対応付けられている設定項目情報1315に含まれる既定値1318を、プリンタードライバー120における印刷の設定値として決定する。ただし、「適用否」の適用可否1319に対応付けられている既定値1318については、プリンタードライバー120の設定値として設定しないようにする。
【0061】
設定値を決定した後、設定部121は、印刷設定処理を終了する。
【0062】
以上の印刷設定処理を、情報処理装置100で行うことにより、プリセット登録処理で設定ファイル132からインポートされたプリセットデータを、印刷設定に適用することができる。なお、実行部122は、印刷設定処理の後に、その時点で適用されている設定値に基づいて印刷データおよび制御コマンドを生成し、プリンター200に送信することができる。これにより、印刷システム10では、設定ファイル132で定義される印刷設定に基づく印刷を、プリンター200にさせることができる。
【0063】
<プリセット登録処理>
次に、プリセット登録処理について説明する。図7、図8は、情報処理装置100で行われるプリセット登録処理について説明するフローチャートである。
【0064】
上記の印刷設定処理において、処理がステップS104に移行すると、設定部121は、プリセット登録処理を開始する。
【0065】
プリセット登録処理を開始すると、設定部121は、設定ファイル132を取得し、設定ファイル132に付加されているメインヘッダー1321について解析する(ステップS201)。具体的には、設定部121は、まず、記憶部130に格納されている設定ファイル132を読み出し、読み出した設定ファイル132に付加されているメインヘッダー1321を特定する。そして、設定部121は、特定したメインヘッダー1321に含まれている各情報(機種名11、プリセット数12、指定プリセット13)を読み出し、設定対象のプリンター200の機種名、設定ファイル132に含まれているプリセットデータ1324の総数、設定ファイル132の作成者によって推奨されているプリセットデータ1324、などを特定する。ここで、設定部121は、特定した各情報について、メモリーなどに一時的に保存しておく。
【0066】
メインヘッダー1321について解析が終了すると、設定部121は、上記のステップS102で指定された指定インポートレベルがレベル「A」であるか否か判別する(ステップS202)。
【0067】
設定部121は、レベル「A」でないと判定した場合には(ステップS202;No)、処理を図8のステップS210に移行する。一方、レベル「A」であると判定した場合には(ステップS202;Yes)、処理をステップS203に移行する。
【0068】
ここで、インポートレベルがレベル「A」であるということは、既定値17を印刷設定に適用する容易度(既定値17の汎用性)が、低レベルであることを意味する。インポートレベルが低レベルに設定されると、設定部121は、自プリンタードライバー120が、設定ファイル132の適用対象である場合に限り、プリセットデータ1324に格納されている全ての既定値17についてインポートし、設定ファイル132の適用対象でない場合には、全ての既定値17をインポートしないようにする。
【0069】
そのため、設定部121は、処理がステップS203に移行すると、ステップS201での解析結果に基づき、自プリンタードライバー120が設定ファイル132で適用対象とされているか否か判別する(ステップS203)。具体的には、設定部121は、メインヘッダー1321の機種名11と、プリンタードライバー120が制御可能なプリンター200(プリンタードライバー120に接続されているプリンター200)の機種名と、が一致しているか否か判別する。ここで、設定部121は、両機種名が一致する場合には、自プリンタードライバー120が設定ファイル132で適用対象とされていると判定し、両機種が一致しない場合には、適用対象とされていないと判定する。
【0070】
なお、プリンタードライバー120が制御可能なプリンター200の機種名については、予め、プリンタードライバー120が有しているものとする。ただし、設定部121が、ステップS203に処理が移行する毎に、情報処理装置100に接続されているプリンター200から取得するようにしてもよい。
【0071】
設定部121は、自プリンタードライバー120が設定ファイル132で適用対象とされていないと判定した場合には(ステップS103;No)、処理をステップS209に移行して、エラーメッセージを表示する(ステップS209)。具体的には、設定部121は、ステップS201で読み込んだ設定ファイル132が自プリンタードライバー120の印刷設定には適用できない旨のメッセージを表示装置に表示する。
【0072】
エラーメッセージを表示すると、設定部121は、処理をステップS208に移行する。
【0073】
一方、ステップS203において、設定部121は、自プリンタードライバー120が設定ファイル132で適用対象とされていると判定した場合には(ステップS103;Yes)、処理をステップS204に移行する。
【0074】
処理がステップS204に移行すると、設定部121は、処理対象のプリセットデータ1324を読み出し、読み出したプリセットデータ1324のデータ部1323に格納されている全ての設定項目についての既定値17を、プリセット登録テーブル131に登録する(ステップS204)。
【0075】
具体的には、設定部121は、まず、処理対象のプリセットデータ1324を特定する。処理対象のプリセットデータ1324を特定する方法については、任意の方法でよいが、例えば、設定部121は、カウント値に一致するプリセットナンバー15を有するプリセットデータ1324を処理対象として特定すればよい。なお、カウント値(初期値は「0」)は、設定部121が保持しており、例えば、設定部121は、ステップS202に処理が移行する毎にインクリメントする。
【0076】
処理対象のプリセットデータ1324を特定すると、設定部121は、特定したプリセットデータ1324のデータ部1323に格納されている各レコード19の内容を、プリセット登録テーブル131に追加(登録)する。例えば、設定部121は、プリセット登録テーブル131に新たなレコード1316を追加し、既に存在する他のレコード1316とは重複しないようなID1311及びプリセット名1313を対応付けて登録する。さらに、設定部121は、同レコード1316に、「OFF」の適用情報1312と、「メーカー定義」或いは「ユーザー定義」のカテゴリー1314と、を対応付けて登録する。さらに、設定部121は、同レコード1316の設定項目情報1315に、プリセットデータ1324の設定項目名16と、既定値17と、を登録(インポート)する。より詳細には、設定項目情報1315の設定項目名1317に、プリセットデータ1324の設定項目名16が登録(インポート)され、設定項目情報1315の既定値1318に、プリセットデータ1324の既定値17が登録(インポート)され、設定項目情報1315の適用可否1319には、「適用可」が登録される。ここで、プリセットデータ1324のデータ部1323で対応付けられているデータ(各レコード19)は、プリセット登録テーブル131に登録(インポート)された後も、その対応関係が保持される。
【0077】
プリセット登録テーブル131に1つのプリセットデータ1324(データ部1323に含まれる全ての既定値17)を登録すると、設定部121は、処理をステップS205に移行し、ステップS204で登録した既定値1318に、適用できない値が存在するか否か検証する(ステップS205)。具体的には、設定部121は、ステップS204で登録した一部の設定項目(名)1317又は既定値1318が、自プリンタードライバー120或いはプリンター200に対応していない場合に、適用できない既定値1318が存在していると判断する。また、ステップS204で登録した全ての既定値1318を組み合わせて印刷設定に適用できない(矛盾が生じる)場合にも、適用できない既定値1318が存在していると判断する。
【0078】
設定部121は、プリセット登録テーブル131に登録した全ての既定値1318が、適用可能と判定した場合には(ステップS205;No)、プリセット登録テーブル131に登録したレコード1316について何の修正もせずに、処理をステップS208に移行する。
【0079】
一方、設定部121は、プリセット登録テーブル131に登録した既定値1318に、適用できない値が存在すると判定した場合には(ステップS205;Yes)、処理をステップS206に移行して、ワーニングメッセージを表示する(ステップS206)。具体的には、設定部121は、具体的には、ステップS204で登録(インポート)した既定値17に適用不可能な設定項目又は値(或いは、組み合わせ)がある旨のメッセージを表示装置に表示する。
【0080】
そして、設定部121は、ステップS204でプリセット登録テーブル131に登録したレコード1316の設定項目情報1315について修正を加える(ステップS207)。具体的には、設定部121は、ステップS205で適用不可能と判定した既定値1318を、他の既定値1318で置き換える。例えば、設定部121は、適用不可能な既定値1318を、(a)「ユーザー定義」の既定値1318、(b)「メーカー定義」の既定値1318、(c)現時点での設定値、のいずれかで置き換える。
【0081】
なお、「ユーザー定義」の既定値1318とは、プリセット登録テーブル131において、「ユーザー定義」に分類されるカテゴリー1314に対応付けられている既定値1318のことである。また、「メーカー定義」の既定値1318とは、プリセット登録テーブル131において、「メーカー定義」に分類されるカテゴリー1314に対応付けられている既定値1318のことである。また、現時点での設定値とは、実行部122が印刷データを生成するときに参照するパラメーターとして設定されている値である。
【0082】
また、設定部121は、ステップS205で適用不可能と判定した既定値1318を、他の既定値1318で置き換えずに、適用不可能と判定した既定値1318に対応付けられている適用可否1319の値を、「適用否」に変更してもよい。なお、複数の既定値1318について適用不可能と判定された場合には、最小限の変更で適用可となるように適用可否1319の値を変更する。
【0083】
そして、設定部121は、以上のような修正を終えると、処理をステップS208に移行する。
【0084】
処理がステップS208に移行すると、設定部121は、未処理の(インポートしていない)プリセットデータ1324が有るか否か判別する(ステップS208)。具体的には、設定部121は、保持しているカウント値が、ステップS201で特定したプリセットデータ1324の総数(プリセット数12)と一致するか否か判別する。ここで、設定部121は、両値が一致しない場合には、未処理のプリセットデータ1324が有ると判定して(ステップS208;Yes)、処理をステップS202に戻し、未処理のプリセットデータ1324について上記ステップS202〜S207の処理を繰り返す。一方、設定部121は、両値が一致する場合には、設定ファイル132に含まれる全てのプリセットデータ1324について処理済みであると判定して(ステップS208;No)、本フロー(プリセット登録処理)を終了する。
【0085】
次に、ステップS202からステップS210に処理が移行した場合の処理について、図8を参照して説明する。
【0086】
処理がステップS210に移行すると、設定部121は、上記のステップS102で指定された指定インポートレベルがレベル「B」であるか否か判別する(ステップS210)。
【0087】
設定部121は、レベル「B」でないと判定した場合には(ステップS210;No)、処理をステップS212に移行する。一方、レベル「B」であると判定した場合には(ステップS210;Yes)、処理をステップS211に移行する。
【0088】
ここで、インポートレベルがレベル「B」であるということは、既定値17を印刷設定に適用する容易度(既定値17の汎用性)が、通常レベルであることを意味する。インポートレベルが通常レベルに設定されると、設定部121は、どのような機種でも汎用的に使用可能な「基本(共通)設定」に分類される既定値17に限りインポートし、「基本(共通)設定」に分類されない既定値17についてはインポートしないようにする。
【0089】
そのため、設定部121は、処理がステップS211に移行すると、処理対象のプリセットデータ1324を読み出し、読み出したプリセットデータ1324のデータ部1323に格納されている設定項目(レコード19)のうち、適用レベル18にレベル「B」を有するレコード19のみを、プリセット登録テーブル131に登録する(ステップS211)。
【0090】
設定部121は、ステップS204における処理と同様に、処理対象のプリセットデータ1324を特定すると、特定したプリセットデータ1324のデータ部1323に格納されている各レコード19のうち、適用レベル18にレベル「B」を有するレコード19の内容に限り、プリセット登録テーブル131に追加(登録)する。各データ(1311〜1315、1317〜1319)の登録については、適用レベル18にレベル「B」を有さないレコード19については登録(インポート)を行わないことを除き、ステップS204における処理と同様に行われる。
【0091】
適用レベル18にレベル「B」を有するレコード19の既定値17を全て登録し終えると、設定部121は、処理をステップS205に移行して、上述したステップS205〜S207の処理を行う。
【0092】
一方、処理がステップS212に移行すると、設定部121は、上記のステップS102で指定された指定インポートレベルがレベル「C」であるか否か判別する(ステップS212)。
【0093】
設定部121は、レベル「C」でないと判定した場合には(ステップS212;No)、処理をステップS214に移行する。一方、レベル「C」であると判定した場合には(ステップS212;Yes)、処理をステップS213に移行する。
【0094】
ここで、インポートレベルがレベル「C」であるということは、既定値17を印刷設定に適用する容易度(既定値17の汎用性)が、高レベルであることを意味する。インポートレベルが高レベルに設定されると、設定部121は、「基本(共通)設定」のみならず、異なる機種の間では汎用性がない「機種依存設定」に分類される既定値17までインポートし、「基本(共通)設定」及び「機種依存設定」に分類されない既定値17についてだけインポートしないようにする。
【0095】
そのため、設定部121は、処理がステップS213に移行すると、処理対象のプリセットデータ1324を読み出し、読み出したプリセットデータ1324のデータ部1323に格納されている設定項目(レコード19)のうち、適用レベル18にレベル「B」又は「C」を有するレコード19を、プリセット登録テーブル131に登録する(ステップS213)。
【0096】
設定部121は、ステップS204における処理と同様に、処理対象のプリセットデータ1324を特定すると、特定したプリセットデータ1324のデータ部1323に格納されている各レコード19のうち、適用レベル18にレベル「B」又は「C」を有するレコード19の内容を、プリセット登録テーブル131に追加(登録)する。各データ(1311〜1315、1317〜1319)の登録については、適用レベル18にレベル「B」又は「C」を有さないレコード19については登録(インポート)を行わないことを除き、ステップS204における処理と同様に行われる。
【0097】
適用レベル18にレベル「B」又は「C」を有するレコード19の既定値17を全て登録し終えると、設定部121は、処理をステップS205に移行して、上述したステップS205〜S207の処理を行う。
【0098】
また、処理がステップS214に移行する場合には、設定部121は、処理対象のプリセットデータ1324を読み出し、読み出したプリセットデータ1324のデータ部1323に格納されている設定項目(レコード19)のうち、適用レベル18に指定インポートレベル(例えば、「D」)を有するレコード19のみを、プリセット登録テーブル131に登録する(ステップS214)。
【0099】
ここで、設定部121は、ステップS204における処理と同様に、処理対象のプリセットデータ1324を特定すると、特定したプリセットデータ1324のデータ部1323に格納されている各レコード19のうち、適用レベル18に指定インポートレベルを有するレコード19の内容に限り、プリセット登録テーブル131に追加(登録)する。各データ(1311〜1315、1317〜1319)の登録については、適用レベル18に指定インポートレベル以外のレベルを有するレコード19については登録(インポート)を行わないことを除き、ステップS204における処理と同様に行われる。
【0100】
そして、設定部121は、既定値17の登録(インポート)を終えると、処理をステップS205に移行して、上述したステップS205〜S207の処理を行う。
【0101】
以上のプリセット登録処理を、情報処理装置100で行うことにより、ユーザーに指定されたインポートレベルに応じて、設定ファイル132からインポートさせる設定項目(既定値)と、インポートさせない設定項目とを、区別して登録(インポート)することができる。その結果、1つの設定ファイル132から、印刷システム10の使用環境などに適した設定項目(既定値)のインポートが可能となり、設定ファイル132の汎用性は高くなる。
【0102】
(第2の実施形態)
以下、上記第1の実施形態とは別の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0103】
本実施形態の印刷システム10は、上記第1の実施形態と同様のハードウェア構成、機能構成を有している。
【0104】
本実施形態において、上記第1の実施形態と異なる点は、上述した印刷設定処理、プリセット登録処理とは別に、情報処理装置100のアプリケーション110とプリンタードライバー120が、推奨プリセットの適用処理を行う点である。
【0105】
<推奨プリセットの適応処理>
図9は、情報処理装置100で行われる推奨プリセットの適用処理について説明するフローチャートである。
【0106】
情報処理装置100のアプリケーション110は、ユーザーから入力装置を介してアプリケーション110を起動する指示を受け付けると、本フロー(推奨プリセットの適用処理)を開始する。
【0107】
本フローを開始すると、アプリケーション110は、ユーザー(ドキュメント作成者)の指示に基づき、印刷対象のドキュメントを作成する(ステップS301)。
【0108】
アプリケーション110は、ドキュメントの作成中において、ユーザーから印刷要求を受け付けるまで、印刷要求の有無について判別を繰り返す(ステップS302;No)。
【0109】
アプリケーション110は、ユーザーから印刷要求を受け付けると(ステップS302;Yes)、作成中のドキュメントに適した印刷設定をプリンタードライバー120に通知するための設定ファイル132(第1の実施形態と同様の設定ファイル132)を生成する(ステップS303)。
【0110】
具体的には、アプリケーション110は、作成中のドキュメントに含まれる特徴(例えば、ドキュメントのファイル形式、画像データの有無、など)を抽出し、抽出した特徴に応じて、予め定められたアルゴリズムにより設定ファイル132(プリセットデータ1324)を生成する。ここで、アプリケーション110は、設定ファイル132に、1つのプリセットデータ1324を付加するようにしてもよいし、複数のプリセットデータ1324を付加するようにしてもよい。ただし、複数のプリセットデータ1324を付加する場合には、メインヘッダー1321の指定プリセット13に、作成中のドキュメントに最適な印刷設定であるプリセットデータ1324を示す情報(プリセットナンバー)を付加する。
【0111】
そして、アプリケーション110は、ステップS303で生成した設定ファイル132と、ステップS101で作成した印刷対象のドキュメントと、をプリンタードライバー120に渡す。その後、アプリケーション110は、本フローを終了してもよいし、ユーザーから終了の指示を受け付けるまで、待機するようにしてもよい。
【0112】
一方、プリンタードライバー120は、アプリケーション110から設定ファイル132と、ドキュメントと、が渡されると、本フロー(推奨プリセットの適用処理)を開始する。
【0113】
本フローを開始すると、プリンタードライバー120の設定部121は、上述したプリセット登録処理におけるステップS201の処理と同様に、設定ファイル132に付加されているメインヘッダー1321について解析する(ステップS304)。
【0114】
ここで、設定部121は、指定プリセット13を読み込んで、ドキュメント(或いは、設定ファイル132)の作成者によって推奨されている推奨(指定)プリセットデータを特定する。具体的には、設定部121は、指定プリセット13が示すプリセットナンバー15を有するサブヘッダー1322を、設定ファイル132から検索し、検索したサブヘッダー1322を含むプリセットデータ1324を、推奨(指定)プリセットデータとして特定する。
【0115】
続いて、設定部121は、ステップS304で特定した推奨プリセットデータに対応するプリセットデータ1324の設定内容(既定値群)を読み出し、読み出した設定内容(既定値群)を、プリセット登録テーブル131に登録する(ステップS305)。ここで、設定ファイル132から読み出した設定内容(既定値群)を登録する方法は、任意の方法でよい。例えば、設定部121は、読み出した設定内容(既定値群)について、上述したプリセット登録処理におけるステップS202〜S207、S209〜S214を、実行する。
【0116】
推奨(指定)プリセットについてプリセット登録処理が終了すると、設定部121は、ステップS305で登録した設定の適用指示をユーザー(印刷者)から受け付けずに(上述した印刷設定処理におけるステップS104の処理を行わずに)、ステップS305で登録した設定内容(既定値群)を設定値に適用する(ステップS306)。ここで、設定部121が、ステップS305で登録した設定内容(既定値群)を設定値に適用する処理は、上述した印刷設定処理におけるステップS105の処理と同様である。ただし、推奨プリセットデータは、必ず1つしか存在しないため、設定部121は、ステップS305で登録した設定内容(既定値群)をそのまま(印刷者からの選択指示を受け付けずに)設定値に適用する。
【0117】
続いて、プリンタードライバー120の実行部122は、ステップS306で適用された設定値に基づいて印刷制御を行う(ステップS307)。具体的には、実行部122は、ステップS306で適用された設定値に基づいて印刷データおよび制御コマンドを生成し、プリンター200に送信する。
【0118】
その後、プリンタードライバー120は、本フローを終了する。
【0119】
以上の推奨プリセットの適用処理を、情報処理装置100で行うことにより、アプリケーション110で作成したドキュメントの印刷に適した印刷設定で、ドキュメントを印刷することができる。
【0120】
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されず、種々の変形、応用が可能である。
【0121】
例えば、上記第1の実施形態では、設定項目ごとの各既定値は、「基本(共通)設定」と、「機種依存設定」と、のどちからに分類される。しかし、これに限定されず、設定項目ごとの各既定値は、3種類以上の項目に分類されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明の実施形態に係る印刷システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【図2】プリセット登録テーブルの概略データ構造の一例を示す図である。
【図3】設定ファイルの概略データ構造の一例を示す図である。
【図4】印刷設定処理を示すフローチャートである。
【図5】設定画面の表示例を示す図である。
【図6】編集画面の表示例を示す図である。
【図7】プリセット登録処理(S201〜S209)を示すフローチャートである。
【図8】プリセット登録処理(S210〜S214)を示すフローチャートである。
【図9】推奨プリセットの適用処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0123】
10・・・印刷システム、11・・・機種名、12・・・プリセット数、13・・・指定プリセット、14・・・設定名、15・・・プリセットナンバー、16・・・設定項目名(設定ファイル)、17・・・既定値(設定ファイル)、18・・・適用レベル、100・・・情報処理装置、110・・・アプリケーション、120・・・プリンタードライバー、121・・・設定部、122・・・実行部、130・・・記憶部、131・・・プリセット登録テーブル、132・・・設定ファイル、200・・・プリンター、210・・・印刷実行部、300・・・設定画面、410・・・カテゴリーエリア、500・・・編集画面、510・・・印刷形式一覧、520・・・設定項目一覧、530・・・インポートボタン、540・・・エクスポートボタン、550・・・インポートレベル選択ボックス、1311・・・識別情報(ID)、1312・・・適用情報、1313・・・プリセット名、1314・・・カテゴリー、1315・・・設定項目情報、1317・・・設定項目名(プリセット登録テーブル)、1318・・・既定値(プリセット登録テーブル)、1319・・・適用可否、1321・・・メインヘッダー、1322・・・サブヘッダー、1323・・・データ部、1324・・・プリセットデータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリケーションから、印刷対象のドキュメントデータとともに、印刷設定項目ごとの既定値を含む、少なくとも1つのプリセットデータを取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得したプリセットデータから、推奨されるプリセットデータを特定する推奨プリセット特定ステップと、
前記推奨プリセット特定ステップで特定したプリセットデータに含まれる既定値を、当該プリンタードライバーの設定値として設定する設定ステップと、
を実行することを特徴とするプリンタードライバー。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタードライバーであって、
前記プリセットデータのヘッダーには、推奨されるプリセットデータを指定する指定情報が含まれており、
前記推奨プリセット特定ステップでは、
前記取得ステップで取得したプリセットデータに含まれる前記指定情報を用いて、推奨されるプリセットデータを特定する、
ことを特徴とするプリンタードライバー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプリンタードライバーであって、
前記プリセットデータの印刷設定項目ごとの既定値には適用レベルが付加されており、
前記取得ステップで取得したプリセットデータをインポートする指示とともに、インポートレベルの指示を受け付ける指示受付ステップと、
前記指示受付ステップで受け付けた前記インポートレベルと、前記適用レベルと、に応じて、当該適用レベルが付加された既定値についてインポートの可否を判定し、インポート可と判定された既定値を、一括設定用のデータとしてインポートするインポートステップと、を実行し、
前記設定ステップでは、
前記インポートステップでインポートした既定値を、当該プリンタードライバーの設定値として設定する、
ことを特徴とするプリンタードライバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−152601(P2010−152601A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329380(P2008−329380)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】