説明

プリンター

【課題】高速印刷のページ・プリンター上で必要に応じてラインフィード的な小刻みな印刷をも可能にしたプリンターを提供すること。
【解決手段】改頁コマンドと改行コマンドとを有するプリンター制御コード体系で印刷制御がなされるページ・プリンターであって、受信データのコマンド解析の結果が改行コマンドである場合は(S122)、印刷開始を指示することはないが、計時された時間がタイムアウト設定時間を超えていれば(S126:YES)、印刷開始を指示することにより(S127)、既に解析した受信データ内の最後の改行がなされるまでの印刷を開始し(受信した行分だけのデータを印刷し)、受信データのコマンド解析の結果が改頁コマンドである場合は(S122)、印刷開始を指示することにより(S123)、最初の改頁がなされるまでの印刷(残りのデータを全部印刷又は通常のページ印刷)を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改頁コマンドと改行コマンドとを有したプリンター制御コード体系によって印刷制御がなされるプリンターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のプリンターを印刷単位で着眼してみると、高速印刷に適したページ・プリンターと、小刻みな印刷に適したライン・プリンターとに大別できる。ページ・プリンターは、例えば、改頁コマンドを受信したときに印刷を開始することにより、一頁ごとに出力する。一方、ライン・プリンターは、例えば、改行コマンドを受信したときに印刷を開始することにより、一行ごとに出力(ラインフィード)する。従って、双方のプリンターでは、印刷データを受信しても、改頁コマンド又は改行コマンドを受信しなければ、印刷が開始されないので、未印刷の印刷データが残ってしまうことになる。
【0003】
もっとも、下記特許文献1に記載のページ・プリンター制御装置によれば、未印字データが残る場合には、プリントアウト命令が入力されなくても、所定時間経過後必ず印字排紙されるので、ページ・プリンター内に残る未印字データに内容の異なる新たな印字データが追加されることがない。
【0004】
さらに、下記特許文献1に記載の上記技術をライン・プリンターに適用したケースでも、同様であると考えられ、未印字データが残る場合には、プリントアウト命令が入力されなくても、所定時間経過後必ず印字排紙させれば、ライン・プリンター内に残る未印字データに内容の異なる新たな印字データが追加されることはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭63−182130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載のページ・プリンター制御装置では、例えば、間欠的に出力され続けるログを即時に入力しながら用紙に連続して印刷しようとしても、ログの出力間隔が所定時間を超えてしまうと、ログを印字する前に自動排紙が行われるので、一枚の用紙にログを連続して印刷することができなかった。
【0007】
さらに、上記特許文献1に記載の上記技術をライン・プリンターに適用したケースでも、同様であると考えられ、間欠的に出力され続けるログを即時に入力しながら用紙に連続して印刷しようとしても、ログの出力間隔が所定時間を超えてしまうと、ログを印字する前に自動排紙が行われるので、一枚の用紙にログを連続して印刷することができなかった。
【0008】
そこで、本発明は、上述した点を鑑みてなされたものであり、高速印刷のページ・プリンター上で必要に応じてラインフィード的な小刻みな印刷をも可能にしたプリンターを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するためになされた請求項1に係る発明は、改頁コマンドと改行コマンドとを有するプリンター制御コード体系で印刷制御がなされるプリンターであって、前記プリンター制御コード体系のデータを受信するデータ受信部と、前記データ受信部で受信したデータが蓄積されるデータバッファと、前記データバッファに蓄積されているデータを解析するデータ解析部と、前記データ解析部の解析結果に応じた処理を実行するコマンド処理部と、前記コマンド処理部によってプリントイメージが格納されるプリントイメージバッファと、前記プリントイメージバッファに格納されているプリントイメージを印刷媒体に印刷する印刷部と、経過時間を計時するための計時手段と、を備え、前記コマンド処理部は、以下(1)〜(3)の各処理を実行し、(1)前記データ解析部で解析したデータが改頁コマンドである場合には、最初の改頁がなされるまでの印刷を前記印刷部に開始させるとともに、前記計時手段による計時を停止し、(2)前記データ解析部で解析したデータが改行コマンドである場合には、前記計時手段による計時を開始し、(3)前記計時手段で計時された経過時間がタイムアウト設定時間を経過したときには、前記データ解析部で既に解析したデータ内の最後の改行がなされるまでの印刷を前記印刷部に開始させるとともに、前記計時手段による計時を停止すること、を特徴とする。
【0010】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載するプリンターであって、データを受信中であるか否かを示すフラグを備え、前記計時手段による計時の開始とともに前記フラグがセットされ、前記計時手段による計時の停止とともに前記フラグがクリアされ、前記フラグがセットされている場合のみ前記タイムアウト設定時間を経過したか否かの判断が行われること、を特徴とする。
【0011】
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載するプリンターであって、前記印刷媒体が連続用紙であること、を特徴とする。
【0012】
また、請求項4に係る発明は、改頁コマンドと改行コマンドとを有するプリンター制御コード体系で印刷制御がなされるプリンターであって、前記プリンター制御コード体系のデータを受信するデータ受信部と、前記データ受信部で受信したデータが蓄積されるデータバッファと、前記データバッファに蓄積されているデータを解析するデータ解析部と、前記データ解析部の解析結果に応じた処理を実行するコマンド処理部と、前記コマンド処理部によってプリントイメージが格納されるプリントイメージバッファと、前記プリントイメージバッファに格納されているプリントイメージを印刷媒体に印刷する印刷部と、経過時間を計時するための計時手段と、データを受信中であるか否かを示すフラグと、を備え、前記コマンド処理部は、以下(1)〜(3)の各処理を実行し、(1)前記データ解析部で解析したデータが改頁コマンドである場合には、最初の改頁がなされるまでの印刷を前記印刷部に開始させるとともに、前記フラグのクリアと前記計時手段による計時を開始し、(2)前記データ解析部で解析したデータが改行コマンドである場合には、前記フラグのセットと前記計時手段による計時を開始し、(3)前記フラグがセットされている場合に、前記計時手段で計時された経過時間がタイムアウト設定時間を経過したときには、最後の改行がなされるまでの印刷を前記印刷部に開始させるとともに、前記フラグのクリアと前記計時手段による計時を開始すること、を特徴としている。
【0013】
また、請求項5に係る発明は、請求項4に記載するプリンターであって、前記印刷媒体が連続用紙であること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
すなわち、本発明のプリンターは、改頁コマンドと改行コマンドとを有するプリンター制御コード体系で印刷制御がなされるプリンターであって、受信したデータが改行コマンドである場合は印刷を開始しないが、経過時間がタイムアウト設定時間を経過すると、既に解析したデータ内の最後の改行がなされるまでの印刷を開始し(受信した行分だけのデータを印刷し)、受信したデータが改頁コマンドである場合は、最初の改頁がなされるまでの印刷(残りのデータの全部印刷又は通常のページ印刷)を開始するので、高速印刷のページ・プリンター上で必要に応じてラインフィード的な小刻みな印刷をも可能にする。
【0015】
特に、本発明のプリンターでは、印刷媒体が連続用紙であれば、ページ単位にとらわれない印刷がハード構成上可能となるので、高速印刷のページ・プリンター上で必要に応じてラインフィード的な小刻みな印刷をも行う用途が大きく広がる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係るプリンターの使用例が表わされた図である。
【図2】同プリンターの印刷例が表された図である。
【図3】同プリンターの印刷制御を説明するためのブロック図である。
【図4】同プリンターの印刷制御を説明するためのフローチャート図である。
【図5】同プリンターが実行するデータ受信部処理を説明するためのフローチャート図である。
【図6】同プリンターが実行するコマンド処理を説明するためのフローチャート図である。
【図7】同プリンターが実行する印刷部処理を説明するためのフローチャート図である。
【図8】同プリンターが実行するモーター処理(割込処理)を説明するためのフローチャート図である。
【図9】同プリンターが実行するコマンド処理を説明するためのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[1.本発明の概要]
以下、本発明の実施の形態を図面を参照にして説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るプリンター1の使用例が表わされた図である。図1に表わされたように、本実施形態に係るプリンター1は、接続ケーブルLを介して、ホスト機器101に接続されている。図1の例では、ホスト機器101は、所謂据置型のパーソナル・コンピューターである。
【0018】
本実施形態に係るプリンター1は、所謂モバイル型のプリンターであって、カット用紙又は連続用紙に印刷するものである。図1の例では、本実施形態に係るプリンター1には、連続用紙2がセットされている。尚、本実施形態に係るプリンター1は、所謂据置型のプリンターであってもよい。
【0019】
図2は、本実施形態に係るプリンター1の印刷例が表わされた図である。尚、図2の例では、印刷スタイルは五行/頁である。
【0020】
本実施形態に係るプリンター1は、ページ・プリンターであって、ホスト機器101からの改頁コマンドを受信すると印刷を開始し、図2(C)に表わされたように、一頁分(図2の例では五行分)が出力されるフィード・ライン3まで連続用紙2を送りながら印刷を行う。
【0021】
さらに、本実施形態に係るプリンター1は、ホスト機器101からの改行コマンドを受信すると、その改行コマンドの受信後から新たな改行コマンド又は改頁コマンドのいずれも受信しない時間がタイムアウト設定時間を過ぎたときには、その受信した改行コマンド迄の印刷を行う。
【0022】
この点を図2の例で具体的に説明すると、本実施形態に係るプリンター1は、一行目の改行コマンドの受信後からタイムアウト設定時間内に二行目の改行コマンドを受信したけれども、二行目の改行コマンドの受信後から改行コマンド又は改頁コマンドのいずれも受信しない時間がタイムアウト設定時間を過ぎたときには、図2(A)に表わされたように、二行分が出力されるフィード・ライン3まで連続用紙2を送りながら印刷を行う。
【0023】
その印刷後、本実施形態に係るプリンター1は、三行目の改行コマンドを受信したけれども、三行目の改行コマンドの受信後から改行コマンド又は改頁コマンドのいずれも受信されない時間がタイムアウト設定時間を過ぎたときには、図2(B)に表わされたように、一行分(三行目分のみ)が出力されるフィード・ライン3まで連続用紙2を送りながら印刷を行う。
【0024】
その印刷後、本実施形態に係るプリンター1は、残り二行分の改行コマンド受信の後、改頁コマンドを受信すると、図2(C)に表わされたように、一頁分までの残り二行分(四行目分と五行目分)が出力されるフィード・ライン3まで連続用紙2を送りながら印刷を行う。
【0025】
もっとも、本実施形態に係るプリンター1は、電源オン後や印刷後において、改行コマンドを受信しなければ、改行コマンド又は改頁コマンドのいずれも受信されない時間がタイムアウト設定時間を経過しても、印刷を行うことはない。
【0026】
[2.本発明の内部構成]
図3は、本実施形態に係るプリンター1の印刷制御を説明するためのブロック図である。図3に表されたように、本実施形態に係るプリンター1は、ホスト機器101に接続される。ホスト機器101には、上記図1で表されたパーソナル・コンピューターの他に、例えば、ノートブックサイズのパーソナル・コンピューター、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話機等がある。また、本実施形態に係るプリンター1とホスト機器101と間のインターフェースには、上記図1で表された接続ケーブルL(有線接続)の他に、無線接続がある。尚、接続方式としては、例えば、ブルートゥース(登録商標)、赤外線通信、USB(Univesal Serial Bus)、シリアル通信(例えば、RS−232C)等がある。
【0027】
また、本実施形態に係るプリンター1は、図3に表されたように、データ受信部11、データ解析部12、コマンド処理部13、印刷部14を備える。さらに、本実施形態に係るプリンター1は、図3に表されたように、データバッファ15、タイマー16、フラグ17、プリントイメージバッファ18、モーター19、及び印刷ヘッド20を備える。
【0028】
データバッファ15では、データ受信部11によって受信データが書き込まれ、その受信データがデータ解析部12によって読み込まれる。タイマー16は、コマンド処理部13によって時間が読み込まれるものであるが、ソフトウエアで構成してもよい。フラグ17は、コマンド処理部13によってセットまたはクリアされる。プリントイメージバッファ18では、データバッファ15の受信データに基づくデータ解析部12の指令を通じコマンド処理部13によって印刷イメージが書き込まれ、その印刷イメージが印刷部14によって読み込まれる。
【0029】
印刷部14には、モーター19や印刷ヘッド20が接続されている。印刷部14は、モーター19や印刷ヘッド20を駆動制御することにより、プリントイメージバッファ18から読み込んだ印刷イメージを連続用紙2に印刷する。印刷ヘッド20は、本実施の形態では、サーマル・ヘッドであるが、その他の印刷方式のものであってもよい。
【0030】
尚、本実施形態に係るプリンター1は、図示されないが、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)等のプリンター1自身を動作させるための基本的なハードウエアを備える。これらの基本的なハードウエアによって、データ解析部12やコマンド処理部13やフラグ17等が構成され、後述するフローチャート図で表された制御プログラムが実行される。
【0031】
[3.本発明の動作]
図4は、本実施形態に係るプリンター1の印刷制御を説明するためのフローチャート図である。図4に表されたように、本実施形態に係るプリンター1では、電源がオンされると(S101:YES)、データ受信部処理(S102)と印刷部処理(S103)とが繰り返し行われ、電源がオフされると(S101:NO)、動作終了となる。
【0032】
図5は、本実施形態に係るプリンター1が実行するデータ受信部処理(上記図4のS102)を説明するためのフローチャート図である。図5に表されたデータ受信部処理では、本実施形態に係るプリンター1は、S111において、受信データがあるか否かを判断する。この判断は、データ受信部11が使用されて行われる。ここで、受信データがないと判断された場合には(S111:NO)、上記図4に戻って、印刷部処理(S103)に進む。一方、受信データがあると判断された場合には(S111:YES)、S112に進む。
【0033】
S112では、本実施形態に係るプリンター1は、受信データをデータバッファ15に格納する。この格納は、データ受信部11が使用されて行われる。その後は、S113に進む。
【0034】
S113では、本実施形態に係るプリンター1は、プリンター1自身が印刷中でないか否かを判断する。この判断では、印刷部14の状態(ステータス)に基づいて行われる。ここで、プリンター1自身が印刷中であると判断された場合には(S113:NO)、後述するコマンド処理を行うことなく、上記図4に戻って、印刷部処理(S103)に進む。一方、プリンター1自身が印刷中でないと判断された場合には(S113:YES)、S114に進む。
【0035】
S114では、本実施形態に係るプリンター1は、コマンド処理を実行する。図6は、本実施形態に係るプリンター1が実行するコマンド処理(上記図5のS114)を説明するためのフローチャート図である。
【0036】
図6に表されたコマンド処理では、本実施形態に係るプリンター1は、S121において、コマンド解析処理を実行する。この処理は、データ解析部12やコマンド処理部13が使用されて行われる。さらに、この処理では、データバッファ15から受信データが読み込まれ、その読み込まれた受信データが解析されて、その受信データがコマンドであると、そのコマンドの内容に応じた処理が行われる。その後は、S122に進む。
【0037】
S122では、本実施形態に係るプリンター1は、コマンド解析の結果を判断する。この判断は、コマンド処理部13が実行し、上記S121のコマンド解析処理の結果が使用されて行われる。ここで、コマンド解析の結果が改頁コマンドである場合には、S123に進む。
【0038】
S123では、本実施形態に係るプリンター1は、印刷部14に印刷開始を指示する。この処理は、コマンド処理部13が使用されて行われる。さらに、この処理では、上記S121のコマンド解析処理の結果である改頁コマンド迄の印刷イメージが、データバッファ15の受信データを解析したデータ解析部12の指令に基づいて、プリントイメージバッファ18に書き込まれる。その後は、S124に進む。
【0039】
S124では、本実施形態に係るプリンター1は、計時の停止を行う。この処理は、コマンド処理部13が使用されて行われる。そして、この処理では、タイマー16による計時が停止される。その後は、上記図4に戻って、印刷部処理(S103)に進む。
【0040】
一方、上記S121のコマンド解析処理の結果が改行コマンドである場合には、S125に進む。
【0041】
S125では、本実施形態に係るプリンター1は、計時の開始を行う。この処理は、コマンド処理部13が使用されて行われる。そして、この処理では、タイマー16による計時が初めから行われる。その後は、上記図4に戻って、印刷部処理(S103)に進む。
【0042】
一方、上記S121のコマンド解析処理の結果がコマンド(改頁コマンド及び改行コマンド)でない場合には、S126に進む。
【0043】
S126では、本実施形態に係るプリンター1は、印刷開始条件が満たされているか否かを判断する。この判断は、コマンド処理部13が使用されて行われる。そして、この判断では、タイマー16によって計時された時間がタイムアウト設定時間を超えていれば、印刷開始条件が満たされているとされる。尚、タイムアウト設定時間は、デフォルトの設定値が使用されるが、ユーザーによる設定値が使用されてもよい。
【0044】
ここで、印刷開始条件が満たされていないと判断された場合には(S126:NO)、上記図4に戻って、印刷部処理(S103)に進む。一方、印刷開始条件が満たされていると判断された場合には(S126:YES)、S127に進む。
【0045】
S127では、本実施形態に係るプリンター1は、印刷部14に印刷開始を指示する。この処理は、コマンド処理部13が使用されて行われる。さらに、この処理では、印刷開始条件が満たされていると判断された際の最後の改行コマンド迄の印刷イメージが、データバッファ15の受信データを解析したデータ解析部12の指令に基づいて、プリントイメージバッファ18に書き込まれる。その後は、S128に進む。
【0046】
S128では、本実施形態に係るプリンター1は、計時の停止を行う。この処理は、コマンド処理部13が使用されて行われる。そして、この処理では、タイマー16による計時が停止される。その後は、上記図4に戻って、印刷部処理(S103)に進む。
【0047】
図7は、本実施形態に係るプリンター1が実行する印刷部処理(上記図4のS103)を説明するためのフローチャート図である。図7に表された印刷部処理は、印刷部14が使用されて行われる。そして、図7に表された印刷部処理では、本実施形態に係るプリンター1は、S131において、印刷部14に対する指示内容を判断する。ここで、印刷部14に対する指示内容がコマンド処理部13の印刷開始である場合には、S132に進む。
【0048】
S132では、本実施形態に係るプリンター1は、印刷ライン数を設定する。この処理は、プリントイメージバッファ18の印刷イメージを印刷部14が読み込んで行われる。その後は、S133に進む。
【0049】
S133では、本実施形態に係るプリンター1は、モーター19の停止位置を設定する。この処理は、上記S132で設定された印刷ライン数に基づいて行われる。その後は、S134に進む。
【0050】
S134では、本実施形態に係るプリンター1は、後述する図8に表されたモーター処理(割込処理)を起動させる。その後は、S135に進む。
【0051】
S135では、本実施形態に係るプリンター1は、印刷部14の状態(ステータス)を「印刷中」とした後、上記図4のS101に戻る。
【0052】
一方、上記S131において、印刷部14に対する指示内容がコマンド処理部13の印刷開始でない(指示なしの)場合には、S136に進む。
【0053】
S136では、本実施形態に係るプリンター1は、印刷部14の状態(ステータス)が「印刷中」であるか否かを判断する。ここで、印刷部14の状態(ステータス)が「印刷中」でない場合には(S136:NO)、上記図4のS101に戻る。一方、印刷部14の状態(ステータス)が「印刷中」である場合には(S136:YES)、S137に進む。
【0054】
S137では、本実施形態に係るプリンター1は、印刷終了か否かを判断する。この判断は、上記S132で設定された印刷ライン数等に基づいて行われる。ここで、印刷終了でないと判断された場合には(S137:NO)、上記図4のS101に戻る。一方、印刷終了であると判断された場合には(S137:YES)、S138に進む。
【0055】
S138では、本実施形態に係るプリンター1は、印刷終了通知を行う。この処理では、データ受信部11等を介して、ホスト機器101に印刷終了の通知がなされる。その後は、S139に進む。
【0056】
S139では、本実施形態に係るプリンター1は、印刷部14の状態(ステータス)を「停止」とした後、上記図4のS101に戻る。
【0057】
次に、図8に表されたモーター処理(割込処理)について説明する。図8は、本実施形態に係るプリンター1が実行するモーター処理(割込処理)を説明するためのフローチャート図である。図8に表されたモーター処理(割込処理)は、印刷部14が使用されて行われる。そして、図8に表されたモーター処理(割込処理)では、本実施形態に係るプリンター1は、S141において、モーター19の位置が停止位置を超えているか否かを判断する。この判断は、上記図7のS133で設定されたモーター19の停止位置等に基づいて行われる。ここで、モーター19の位置が停止位置を超えていないと判断された場合には(S141:NO)、S142に進む。
【0058】
S142では、本実施形態に係るプリンター1は、モーター駆動相切り替えを行う。この処理では、モーター19が駆動され、さらに、印刷ヘッド20が駆動される。これを繰り返すことにより、プリントイメージバッファ18の印刷イメージが連続用紙2に印刷されていく。その後は、S143に進む。
【0059】
S143では、本実施形態に係るプリンター1は、モーター19の位置を取得し更新する。その後は、S144に進む。
【0060】
S144では、本実施形態に係るプリンター1は、モーター19の位置と設定距離との和が停止位置を超えているか否かを判断する。この判断は、上記図7のS133で設定されたモーター19の停止位置や上記S143で更新されたモーター19の位置に基づいて行われる。ここで、モーター19の位置と設定距離との和が停止位置を超えていない場合には(S144:NO)、後述するS146に進む。一方、モーター19の位置と設定距離との和が停止位置を超えている場合には(S144:YES)、S145に進む。
【0061】
S145では、本実施形態に係るプリンター1は、モーター19の速度制限を行う。この処理では、モーター19が最高速度からいきなり停止できないことに鑑み、モーター19の減速処理が予め必要となることを考慮して、モーター19がいきなり停止しても良い速度までモーター19の速度を制限する。すなわち、上記S144の設定距離には、モーター19の性能等を考慮した設定値が使用される。その後は、S146に進む。
【0062】
S146では、本実施形態に係るプリンター1は、モーター処理(割込処理)の再起動時間をセットした後、すなわち、次回のモーター処理(割込処理)を起動するまでの時間をセットした後、今回のモーター処理(割込処理)を終了させる。
【0063】
一方、上記S141において、モーター19の位置が停止位置を超えていると判断された場合には(S141:YES)、S147に進む。
【0064】
S147では、本実施形態に係るプリンター1は、モーター停止を行う。この処理では、モーター19が停止された後、今回のモーター処理(割込処理)を終了させる。
【0065】
尚、本実施形態に係るプリンター1では、印刷部14の状態(ステータス)が「停止」である場合には、ユーザーによる操作又はホスト機器101からの指令によって、連続用紙2をフィードさせることが可能である。
【0066】
[4.まとめ]
すなわち、本実施形態に係るプリンター1は、図6のコマンド処理に表されたように、改頁コマンドと改行コマンドとを有するプリンター制御コード体系で印刷制御がなされるページ・プリンターであって、受信データのコマンド解析の結果が改行コマンドである場合は(S122)、印刷部14に印刷開始を指示することはないが、タイマー16によって計時された時間がタイムアウト設定時間を超えていれば(S126:YES)、印刷部14に印刷開始を指示することにより(S127)、既に解析した受信データ内の最後の改行がなされるまでの印刷を開始し(受信した行分だけのデータを印刷し)、受信データのコマンド解析の結果が改頁コマンドである場合は(S122)、印刷部14に印刷開始を指示することにより(S123)、最初の改頁がなされるまでの印刷(残りのデータを全部印刷又は通常のページ印刷)を開始するので、高速印刷のページ・プリンター上で必要に応じてラインフィード的な小刻みな印刷をも可能にする。
【0067】
特に、本実施形態に係るプリンター1では、「印刷媒体」として連続用紙2を使用しており、ページ単位にとらわれない印刷をハード構成上可能にするので、高速印刷のページ・プリンター上で必要に応じてラインフィード的な小刻みな印刷をも行う用途が広がる。
【0068】
従って、例えば、工場や実験室のような場所で、一定時間ごとに少しずつ出力されるログが連続用紙2に印刷される場合のように、間欠的に出力され続けるログを即時に入力しながら連続用紙2に連続して印刷したい場合に有効である。
【0069】
もっとも、本実施形態に係るプリンター1に「印刷媒体」としてカット用紙がセットされた場合でも、上述した印刷制御によって、高速印刷のページ・プリンター上で必要に応じてラインフィード的な小刻みな印刷をも行うことは可能である。このような場合には、本実施形態に係るプリンター1が「出力ボタン」と「排出ボタン」を備え、「出力ボタン」をユーザーが押すと、1行印刷が行われ、「排出ボタン」をユーザーが押すと、1枚のカット用紙が排出されるような印刷制御がなされれば、高速印刷のページ・プリンター上で必要に応じてラインフィード的な小刻みな印刷をも行う用途が更に広がる。
【0070】
[5−1.その他]
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、本実施形態に係るプリンター1では、図6に表されたコマンド処理に代えて、図9に表されたコマンド処理を行ってもよい。以下、図9に表されたコマンド処理について説明する。
【0071】
図9に表されたコマンド処理では、本実施形態に係るプリンター1は、S121において、コマンド解析処理を実行する。この処理は、データ解析部12やコマンド処理部13が使用されて行われる。さらに、この処理では、データバッファ15から受信データが読み込まれ、その読み込まれた受信データが解析されて、その受信データがコマンドであると、そのコマンドの内容に応じた処理が行われる。その後は、S122に進む。
【0072】
S122では、本実施形態に係るプリンター1は、コマンド解析の結果を判断する。この判断は、コマンド処理部13が実行し、上記S121のコマンド解析処理の結果が使用されて行われる。ここで、コマンド解析の結果が改頁コマンドである場合には、S123に進む。
【0073】
S123では、本実施形態に係るプリンター1は、印刷部14に印刷開始を指示する。この処理は、コマンド処理部13が使用されて行われる。さらに、この処理では、上記S121のコマンド解析処理の結果である改頁コマンド迄の印刷イメージが、データバッファ15の受信データを解析したデータ解析部12の指令に基づいて、プリントイメージバッファ18に書き込まれる。その後は、S124に進む。
【0074】
S124では、本実施形態に係るプリンター1は、最終受信時刻の更新を行う。この処理は、コマンド処理部13が使用されて行われる。そして、この処理では、タイマー16から現在時刻が取得されて更新される。その後は、S124の2に進む。
【0075】
S124の2では、本実施形態に係るプリンター1は、フラグ17のクリアを行う。この処理は、コマンド処理部13が使用されて行われる。その後は、上記図4に戻って、印刷部処理(S103)に進む。
【0076】
一方、上記S121のコマンド解析処理の結果が改行コマンドである場合には、S125に進む。
【0077】
S125では、本実施形態に係るプリンター1は、最終受信時刻の更新を行う。この処理は、コマンド処理部13が使用されて行われる。そして、この処理では、タイマー16から現在時刻が取得されて更新される。その後は、S125の2に進む。
【0078】
S125の2では、本実施形態に係るプリンター1は、フラグ17のセットを行う。この処理は、コマンド処理部13が使用されて行われる。その後は、上記図4に戻って、印刷部処理(S103)に進む。
【0079】
一方、上記S121のコマンド解析処理の結果がコマンド(改頁コマンド及び改行コマンド)でない場合には、S126に進む。
【0080】
S126では、本実施形態に係るプリンター1は、印刷開始条件が満たされているか否かを判断する。この判断は、コマンド処理部13が使用されて行われる。さらに、この判断では、フラグ17がセット状態にあり、且つ、タイマー16によって更新された時刻からタイムアウト設定時間を経過していれば、印刷開始条件が満たされているとされる。尚、タイムアウト設定時間は、デフォルトの設定値が使用されるが、ユーザーによる設定値が使用されてもよい。
【0081】
ここで、印刷開始条件が満たされていないと判断された場合には(S126:NO)、上記図4に戻って、印刷部処理(S103)に進む。一方、印刷開始条件が満たされていると判断された場合には(S126:YES)、S127に進む。
【0082】
S127では、本実施形態に係るプリンター1は、印刷部14に印刷開始を指示する。この処理は、コマンド処理部13が使用されて行われる。さらに、この処理では、印刷開始条件が満たされていると判断された際の最後の改行コマンド迄の印刷イメージが、データバッファ15の受信データを解析したデータ解析部12の指令に基づいて、プリントイメージバッファ18に書き込まれる。その後は、S128に進む。
【0083】
S128では、本実施形態に係るプリンター1は、最終受信時刻の更新を行う。この処理は、コマンド処理部13が使用されて行われる。そして、この処理では、タイマー16から現在時刻が取得されて更新される。その後は、S128の2に進む。
【0084】
S128の2では、本実施形態に係るプリンター1は、フラグ17のクリアを行う。この処理は、コマンド処理部13が使用されて行われる。その後は、上記図4に戻って、印刷部処理(S103)に進む。
【0085】
[5−2.その他]
また、本実施形態に係るプリンター1では、連続用紙2として、ロール紙がホルダーを介してセットされてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 プリンター
2 連続用紙
11 データ受信部
12 データ解析部
13 コマンド処理部
14 印刷部
15 データバッファ
16 タイマー
17 フラグ
18 プリントイメージバッファ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
改頁コマンドと改行コマンドとを有するプリンター制御コード体系で印刷制御がなされるプリンターであって、
前記プリンター制御コード体系のデータを受信するデータ受信部と、
前記データ受信部で受信したデータが蓄積されるデータバッファと、
前記データバッファに蓄積されているデータを解析するデータ解析部と、
前記データ解析部の解析結果に応じた処理を実行するコマンド処理部と、
前記コマンド処理部によってプリントイメージが格納されるプリントイメージバッファと、
前記プリントイメージバッファに格納されているプリントイメージを印刷媒体に印刷する印刷部と、
経過時間を計時するための計時手段と、を備え、
前記コマンド処理部は、以下(1)〜(3)の各処理を実行し、
(1)前記データ解析部で解析したデータが改頁コマンドである場合には、最初の改頁がなされるまでの印刷を前記印刷部に開始させるとともに、前記計時手段による計時を停止し、
(2)前記データ解析部で解析したデータが改行コマンドである場合には、前記計時手段による計時を開始し、
(3)前記計時手段で計時された経過時間がタイムアウト設定時間を経過したときには、前記データ解析部で既に解析したデータ内の最後の改行がなされるまでの印刷を前記印刷部に開始させるとともに、前記計時手段による計時を停止すること、
を特徴とするプリンター。
【請求項2】
請求項1に記載するプリンターであって、
データを受信中であるか否かを示すフラグを備え、
前記計時手段による計時の開始とともに前記フラグがセットされ、
前記計時手段による計時の停止とともに前記フラグがクリアされ、
前記フラグがセットされている場合のみ前記タイムアウト設定時間を経過したか否かの判断が行われること、を特徴とするプリンター。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載するプリンターであって、
前記印刷媒体が連続用紙であること、を特徴とするプリンター。
【請求項4】
改頁コマンドと改行コマンドとを有するプリンター制御コード体系で印刷制御がなされるプリンターであって、
前記プリンター制御コード体系のデータを受信するデータ受信部と、
前記データ受信部で受信したデータが蓄積されるデータバッファと、
前記データバッファに蓄積されているデータを解析するデータ解析部と、
前記データ解析部の解析結果に応じた処理を実行するコマンド処理部と、
前記コマンド処理部によってプリントイメージが格納されるプリントイメージバッファと、
前記プリントイメージバッファに格納されているプリントイメージを印刷媒体に印刷する印刷部と、
経過時間を計時するための計時手段と、
データを受信中であるか否かを示すフラグと、を備え、
前記コマンド処理部は、以下(1)〜(3)の各処理を実行し、
(1)前記データ解析部で解析したデータが改頁コマンドである場合には、最初の改頁がなされるまでの印刷を前記印刷部に開始させるとともに、前記フラグのクリアと前記計時手段による計時を開始し、
(2)前記データ解析部で解析したデータが改行コマンドである場合には、前記フラグのセットと前記計時手段による計時を開始し、
(3)前記フラグがセットされている場合に、前記計時手段で計時された経過時間がタイムアウト設定時間を経過したときには、最後の改行がなされるまでの印刷を前記印刷部に開始させるとともに、前記フラグのクリアと前記計時手段による計時を開始すること、
を特徴とするプリンター。
【請求項5】
請求項4に記載するプリンターであって、
前記印刷媒体が連続用紙であること、を特徴とするプリンター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−40792(P2012−40792A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184651(P2010−184651)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】