説明

プリンタ用複写カット紙及びプリンタ

【課題】印字後に感熱紙と複写紙を剥がし易くするとともに、感熱紙と複写紙を剥がれ易くすることなくスムーズに印字の搬送をすることができ、また、しわの発生や印字品質の低下をおこさない複写カット紙を提供する。
【解決手段】複写カット紙30は、感熱紙30bと複写紙30cとで構成され、第一の糊付け部31と第二の糊付け部32とにより、感熱紙30bと複写紙30cを貼り合わせた状態でプリンタ1へ供給し、同時に印刷することができる。第一の糊付け部31は、感熱紙30bと複写紙30cの用紙の搬送方向先端同士を糊付けするものであり、用紙の搬送方向先端側の端部30aに用紙の幅方向に沿って細長く設けられる。第二の糊付け部32は、用紙の幅方向両端同士を糊付けするものであり、第一の糊付け部31より搬送方向末尾側で用紙の幅方向両端部に点状に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ用複写カット紙に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリンタに用いられる用紙として、複写紙等、2枚の用紙(感熱紙と複写紙)が糊付けにより接着されて1枚組構成になっている、いわゆる複写カット紙がある。従来の複写カット紙は、用紙の搬送方向先端側において感熱紙と複写紙が糊付けされている。
【0003】
この複写カット紙がプリンタに用いられる際には、複数枚積層した状態でプリンタの給紙部にセットされ、この給紙部に設けられるピックアップローラにより、1枚組構成として糊付けされた2枚の用紙が一緒になって、搬送されて印字される。印字後には糊付け部分を剥がして2枚を分離して使用することになる。
【0004】
ここで、複写カット紙は1枚組構成として糊付けされた2枚の用紙(感熱紙と複写紙)に同時に印字を行うものであるから、プリンタ内で搬送を行う際には、両用紙の糊付け部が剥がれたり、一方の用紙が他方の用紙に対して位置ズレしないようにする必要がある。
【0005】
このような要請から、搬送方向先端側の他に両側部の辺同士(両サイド)も細長く糊付けする等して、糊付け量を増大させた複写カット紙も知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記の構成では、糊付け部分が多くなってしまい、感熱紙と複写紙とを剥がす作業に手間がかかり、また用紙が破れたりして剥がし跡の見た目も良好でないという問題があった。
【0007】
また、複写カット紙の両サイドを糊付けにより規制する構成では、複写紙を湾曲させながら搬送する際に、しわの発生や、印字品質のムラが発生するという問題があった。特に、径の小さいローラの周面に沿って用紙を送るような構成の小型のプリンタ装置の場合は、複写カット紙は搬送時に強く湾曲されてしまい、しわが発生し易く、前記問題が生じやすくなっていた。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてされたものであり、印字後に感熱紙と複写紙を剥がし易くするとともに、用紙の搬送の際には感熱紙と複写紙が剥がれにくく、かつ、しわの発生や印字品質の低下をおこさない複写カット紙を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために本発明の請求項1に記載の複写カット紙は、二枚の用紙の一部同士が貼り合わされた状態でプリンタへ供給し、当該二枚の用紙に同時に印字できるように構成した、複写カット紙であって、該複写カット紙を構成する第一の用紙と第二の用紙とは、用紙の搬送方向先端同士を糊付けする、用紙の幅方向に沿って細長く設けられる第一の糊付け部と、前記第一の糊付け部より搬送方向末尾側で用紙の幅方向両側部同士を糊付けする、点状の第二の糊付け部と、により、互いに貼り合わされていることを特徴とする。
【0010】
この請求項1の構成によると、第二の糊付け部で用紙幅方向の両端同士を固定することができるから、搬送中に二枚の紙が剥がれてしまうトラブルを防止することができる。従って、その分だけ第一の糊付け部の糊の量を少なくすることができ、印字後に剥がしやすく、また剥がし跡もきれいである。
【0011】
そして、第二の糊付け部は点状に糊付けすることから、印字後に剥がすのも容易である。また、用紙のサイドの辺を細長く糊付けしてしまう構成に比しても、用紙のサイドを規制する度合いが強くないから、搬送時における用紙のしわの発生を防止することができ、印字品質のムラも防止することができる。
【0012】
本発明の請求項2に記載の複写カット紙は、請求項1に記載のプリンタ用複写カット紙であって、前記点状の第二の糊付け部と、用紙の搬送方向先端側の端部との距離をX、プリンタのピックアップローラの繰出し位置から、該ピックアップローラにより繰り出された用紙を最初に把持するローラのニップ位置までの搬送距離をLとすると、X≧Lであることを特徴とする。
【0013】
この請求項2の構成によると、ピックアップローラにより用紙の先端側が送り出された後も、その次のローラで用紙の先端側がニップされるまでは、第二の糊付け部は必ず、ピックアップローラの繰出し位置、あるいはそれより搬送上流側に位置することとなる。
【0014】
ここで、用紙の先端側がピックアップローラの次のローラでニップされるまでは、用紙に接触して搬送力を伝えるのはピックアップローラのみである。このピックアップローラは二枚の用紙のうち一方にのみ接触して搬送力を伝えることになるが、該搬送力が第二の糊付け部の働きにより他方の用紙にも伝えられるので、二枚の用紙は確実に同時に搬送される。即ち、糊付け部以外の部分(用紙搬送方向先端側以外の部分)において、ピックアップローラに接触する一方の用紙が他方の用紙に対してズレないようにすることができ、用紙の搬送がスムーズである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の複写カット紙によると、複写カット紙の搬送方向先端側の糊付け部分を極力少なくすることにより印字後に感熱紙と複写紙を剥がし易くするとともに、必要な部分のみ点状に糊付け補強することにより感熱紙と複写紙を剥がれ易くすることなく印字の搬送をすることができる。また、複写カット紙の両側部の糊付けも点状であって、用紙の両側部を規制する度合いが強くないから、しわの発生や印字品質の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、発明の実施の形態を説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係るプリンタ用複写カット紙を分解して示す平面図である。図2は、プリンタ装置の用紙分離部および印刷機構部の詳細を示した断面拡大図である。
【0018】
まず、プリンタ装置1の概略構造を、図2を参照しながら説明する。
【0019】
プリンタ装置は、平面視で長方形状(A6〜A7サイズ程度の大きさ)とされ、かつ、厚みが略2cmあるいはそれ以下となる、コンパクトな構成とされている。
【0020】
プリンタ装置1の本体ケース2は、枠体3の下面を下カバー4で覆うとともに、上面の一部を上カバー5で覆って形成されている。
【0021】
枠体3の上面側のうち前記上カバー5で覆われた箇所を除いた残りの部分には、用紙収容部(給紙部)6が形成される。この用紙収容部6には、A6〜A7サイズのカットシート状の感熱紙(被記録媒体。以下「用紙」と称する)30をパッケージ材8の内部に複数枚収納した用紙パッケージ9を収容可能としている。なお、用紙30として、本実施形態に係るプリンタ用複写カット紙が用いられる。
【0022】
前記用紙収容部6の上方は蓋体10にて覆われ、この蓋体10は回動自在とされる。本体ケース2側には図示しないロック機構が設けられており、前述のように用紙収容部6に用紙パッケージ9をセットした状態で、蓋体10を閉じてロックできるようになっている。
【0023】
用紙収容部6の一側の端部には、用紙分離部11としてのピックアップローラ12および分離ブロック13等が配置されている。また、上カバー5の下方には、後に詳述する印刷機構部14としてのサーマルヘッド15、プラテンローラ(ローラ)16、ペーパーガイド17が配置される。
【0024】
用紙分離部11を説明する。
【0025】
前記用紙収容部6の、前記印刷機構部14に近い側の端部には、ピックアップローラ12と分離ブロック13とが設けられている。前記蓋体10の用紙収容部6側を向く内面には、押圧板18が回動自在に支持されている。
【0026】
この押圧板18と蓋体10との間にはコイル状の付勢バネ19が介在され、押圧板18に対し、該押圧板18を下方へ回動させる向きの付勢力を常時作用させている。
【0027】
用紙パッケージ9は、印字面を下側へ向けながら積層された状態で内部に収納されている用紙30のうち、最も下側に位置する用紙30の下面をパッケージ材8から一部露出させた状態で、用紙収容部6にセットされる。そして、前記蓋体10を閉じてロックした際には、前述の付勢バネ19により下方へ付勢される押圧板18が、パッケージ材8を介して、用紙30の前記露出した部分をピックアップローラ12側へ押し付け、該用紙30の下面を該ピックアップローラ12に接触させる。ここで、該用紙30の下面と該ピックアップローラ12とが接触する位置を、ピックアップローラの繰出し位置12aとする。
【0028】
前記ピックアップローラ12に近接させて分離ブロック13が設けられ、この分離ブロック13は、ピックアップローラ12の用紙送り出し方向に対して傾斜した分離案内面13aを備えている。
【0029】
この構成でピックアップローラ12が回転駆動することにより、該ピックアップローラ12に接触する最下層の用紙30に搬送力が加えられる。そして、前記分離ブロック13の分離案内面13aの分離作用とあいまって、最下層に位置する一枚の用紙30のみが分離されて送り出される。
【0030】
印刷機構部14を説明する。
【0031】
分離ブロック13に隣接してプラテンローラ16が回転自在に設けられ、その外周面に近接させてペーパーガイド17が配置される。
【0032】
このペーパーガイド17には、前記プラテンローラ16の外周面に沿うように、断面が横向き略「U」字状となるような凹湾曲状の摺接面17aが形成されている。該ペーパーガイド17と本体ケース2との間には押圧コイルバネ20が設けられており、前記摺接面17aをプラテンローラ16の外周面に向けて付勢するようになっている。
【0033】
ここで、前記押圧コイルバネ20の付勢力により、プラテンローラ16の外周面と前記摺接面17aとの間で用紙30が最初に把持される部分を、ローラのニップ位置16aとする。また、図2に示すように、前記ピックアップローラの繰出し位置12aと、ローラのニップ位置16aと、の間の距離をLとする。
【0034】
この構成において、前述の用紙分離部11で分離された用紙30は、ピックアップローラ12により搬送されて、分離ブロック13の下端と、用紙の向きをプラテンローラ16側へ向けるためのガイド板21の間を通過する。
【0035】
用紙30はこのガイド板21により案内され、プラテンローラ16の下面側から、該プラテンローラ16とペーパーガイド17との間に送られる。そして用紙30は、プラテンローラ16の外周面とペーパーガイド17の摺接面17aとの間で保持されつつ、プラテンローラ16の回転駆動により横向きU字状に反転されながら搬送され、印字面を上側に向けながらプラテンローラ16の上面側に至る。
【0036】
プラテンローラ16の上面側に位置する前記サーマルヘッド15は、印字部たる発熱体部15aを有している。該サーマルヘッド15は回動軸15bまわりに回動可能に設けられて、前記発熱体部15aがプラテンローラ16の上面に接離可能とされている。
【0037】
なお、このようにサーマルヘッド15を回動自在に構成したのは、前記プラテンローラ16とペーパーガイド17との間で用紙30が詰まった場合におけるジャム紙除去作業において、サーマルヘッド15が作業の邪魔にならないようにするためである。
【0038】
サーマルヘッド15には捩りコイルバネタイプのスプリング22の一端が係止されて、該サーマルヘッド15の発熱体部15aがプラテンローラ16上面に近接する方向の付勢力を常時加えている。
【0039】
この構成で、前述のように印字面を上側に向けながらプラテンローラ16により送られてくる用紙の上面にサーマルヘッド15の発熱体部15aが接触し、この接触する箇所において用紙30に印字がなされる。
【0040】
サーマルヘッド15はラインヘッド型とされ、搬送されてくる感熱型の用紙30に対し、該用紙30の搬送方向に直交する方向に延びるライン毎に、任意の文字や画像を印刷することができる。一本のラインにつき印刷する際の印刷幅は、印刷対象の用紙30の幅に略等しく設定されている。
【0041】
このようにサーマルヘッド15を印刷ヘッドとして用いるのは、被記録媒体として感熱紙を用いることで、インクやインクリボンなどの消耗品が不要とできるほか、インクの供給のための機構などを省略でき、プリンタ装置1をコンパクトに構成できるからである。
【0042】
感熱紙としては、サーマルヘッド15の加熱により発色する発色層を有する感熱発色タイプのものや、加熱により穿孔される穿孔層を基材層上に積層した感熱穿孔タイプのもの等、種々のものを使用できる。
【0043】
前記分離ブロック13には、プラテンローラ16の用紙送り出し方向に対して傾斜した排紙ガイド面13bが形成されている。
【0044】
この構成において、サーマルヘッド15の発熱体部15aにより印字がなされた後の用紙30は、この排紙ガイド面13bにより案内されて、本体ケース2の上カバー5と前記蓋体10とがなす隙間から、蓋体10の上側へ排紙される。
【0045】
次に、上述した構成のプリンタ1に用紙30として用いられるプリンタ用複写カット紙(以下「複写カット紙」と称する。)の実施形態の構造を、図1を参照しながら説明する。複写カット紙30は、A6〜A7サイズのカットシート状であり、サーマルヘッド印字面である感熱紙(第一の用紙)30bと、印刷もしくは転写面である複写紙(第二の用紙)30cとから形成される。
【0046】
ここで、感熱紙30bの厚みは薄く(40〜50μm程度)、かつ、複写紙30cの厚みは厚く(65μm以上)なるように複写カット紙30を形成することが望ましい。
【0047】
このように構成することにより、複写紙30cの厚みを厚くすることで複写カット紙30の腰が確保され、複写カット紙30が前記分離ブロック13の前記分離案内面13aに当たった際に、腰が弱いと分離されずに重送されるという問題を回避することができる。また、感熱紙30bの厚みを薄くすることで、適度な印刷濃度が得られ、感熱紙30bが厚いことにより複写紙30cに印刷或いは転写が困難になるという問題を回避することができる。
【0048】
複写カット紙30は、図1に示すように、感熱紙30bと複写紙30cとが、第一の糊付け部31と第二の糊付け部32において糊付けされ貼り合わされている(なお、図1では分解した状態が示されている)。
【0049】
第一の糊付け部31と第二の糊付け部32は、共に、感熱紙30bの裏面と複写紙30cの表面とを貼り合わせるように糊付けする。糊付けには公知の粘着材が用いられている。
【0050】
第一の糊付け部31は、感熱紙30bと複写紙30cの上部に、用紙搬送方向先端の、幅方向(用紙搬送方向に垂直な方向)に沿って細長く設けられており、感熱紙30bと複写紙30cの用紙搬送方向先端同士を糊付けしている。
【0051】
第二の糊付け部32は、前記第一の糊付け部31よりも用紙搬送方向末尾側の感熱紙30bと複写紙30cの幅方向両端部に小さい円状に設けられており、感熱紙30bと複写紙の幅方向両端部同士を糊付けしている。なお、本実施形態では第二の糊付け部32は円状に設けられているが、それに限らず、点状であればどのような形であってもよい。例えば、略四角状になるように設けてもよい。
【0052】
また、第一の糊付け部31は、本実施形態では用紙の幅方向に沿って全長に設けられているが、必ずしも全長に設ける必要はなく、所々に切れ間があってもよい。
【0053】
前記第二の糊付け部32は、第二の糊付け部32が設けられる位置と、複写カット紙30の用紙搬送方向先端側の端部30aと、の距離をXとしたとき、この距離Xが、前述の距離L(ピックアップローラの繰出し位置12aと、ローラのニップ位置16aと、の間の距離)以上の長さになるように形成される(X≧L)。
【0054】
この構成の複写カット紙を用紙30として、感熱紙30bがサーマルヘッド15に接触する向き(本実施形態においては、感熱紙30bがピックアップローラ12に接触する向き)で給紙部6に積層収容して上述のプリンタ装置1に用いると、ピックアップローラ12に接触する最下層の感熱紙30bと複写紙30cの一組の複写カット紙30がピックアップローラ12により搬送されて、プラテンローラ16により把持された瞬間には、複写カット紙30の第二の糊付け部32は、未だピックアップローラの繰出し位置12aから送り出されていない。
【0055】
即ち、ピックアップローラ12により複写カット紙30が送り出された後も、その次のプラテンローラ16で複写カット紙30の搬送方向先端側の端部30aがニップされるまでは、第二の糊付け部32は必ず、ピックアップローラの繰出し位置12a、あるいはそれより搬送上流側に位置する。
【0056】
ここで、用紙の先端側30aがピックアップローラ12の次のローラ(プラテンローラ16)でニップされるまでは、用紙に接触して搬送力を伝えるのはピックアップローラ12のみである。このピックアップローラ12は二枚の用紙のうち一方(感熱紙30b)にのみ接触して搬送力を伝えることになるが、該搬送力が第二の糊付け部32の働きにより他方の用紙(複写紙30c)にも伝えられるので、二枚の用紙は確実に同時に搬送される。即ち、第一の糊付け部31以外の部分(用紙搬送方向先端側30a以外の部分)において、ピックアップローラ12に接触する感熱紙30bが複写紙30cに対してズレないようにすることができ、用紙の搬送はスムーズである。
【0057】
なお、第二の糊付け部32がピックアップローラ12の繰出し位置12aを通過したときは、既に用紙搬送方向先端側30aはプラテンローラ16にニップされていることになるから、今度はプラテンローラ16から搬送力が伝えられる形となって、用紙30の搬送はスムーズに継続することになる。
【0058】
このように、本実施形態に係る複写カット紙30によれば、第二の糊付け部32で複写カット紙30の幅方向の両端同士を固定することができるため、搬送中に感熱紙30bと複写紙30cとが剥がれてしまうトラブルを防止することができる。
【0059】
従って、その分だけ第一の糊付け部31の糊の量を少なくすることができ、印字後に感熱紙30bと複写紙30cとを剥がし易く、また剥がし跡もきれいにすることができる。
【0060】
更に、第二の糊付け部32は点状に糊付けすることから、印字後に感熱紙30bと複写紙30cとを剥がすのも容易である。また、複写カット紙30の両サイドを細長く糊付けする構成に比して、搬送時における複写カット紙30のしわの発生を防止することができ、印字ムラも防止することができる。
【0061】
また、前述のX≧Lの条件を満たす構成とすることにより、用紙の搬送方向先端側30aがプラテンローラ16にニップされるまでの間において、ピックアップローラ12が感熱紙30bに対し加える搬送力が第二の糊付け部32の働きにより複写紙30cにも伝えられるので、両紙30b・30cが互いにズレずにピックアップローラ12によって搬送されることが確保される。
【0062】
なお、本発明に係るプリンタ用複写カット紙の実施形態は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいてさまざまな設計変更が可能である。
【0063】
例えば、前述のプラテンローラ16の「ニップ位置」とは、ピックアップローラ12により搬送される用紙30の先頭側の先端がプラテンローラ16と前記摺接面17aの両者に挟まれる形となり、摺接面17aが用紙30をプラテンローラ16の周面に押し付ける結果、該プラテンローラ16による搬送力が用紙30に作用し始めた瞬間の当該用紙30の先頭側先端位置を意味する。従って、このニップ位置16aは図2に図示した位置に限られず、ペーパーガイド17の摺接面17aの形状によっては、より搬送方向上流側の位置となったり、あるいは下流側の位置となったりするので、それに応じて距離Lの値も異なってくることになる。
【0064】
また、本発明に係るプリンタ用複写カット紙は、前述したプリンタ装置1に限定されず、特許請求の範囲に記載した限りにおいてさまざまなプリンタに適用することができる。
【0065】
例えば、ペーパーガイド17の代わりにプラテンローラ16側に向けて付勢される適宜の従動ローラを設け、従動ローラとプラテンローラ16とで用紙30をニップする構成が考えられる。この場合には、従動ローラとプラテンローラ16とが接触する箇所が、前記「ニップ位置」となる。
【0066】
また、感熱紙30bと複数枚の複写紙30cとで構成される複写カット紙30にもついても、本発明の適用は可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本実施形態に係るプリンタ用複写カット紙を分解して示す平面図である。
【図2】プリンタ装置の用紙分離部および印刷機構部の詳細を示した断面拡大図である。
【符号の説明】
【0068】
1 プリンタ
12 ピックアップローラ
12a ピックアップローラの繰出し位置
16 プラテンローラ(ローラ)
16a ローラのニップ位置
30 プリンタ用複写カット紙
30a 用紙の搬送方向先端側の端部
30b 感熱紙(第一の用紙)
30c 複写紙(第二の用紙)
31 第一の糊付け部
32 第二の糊付け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二枚の用紙の一部同士が貼り合わされた状態でプリンタへ供給し、当該二枚の用紙に同時に印字できるように構成した、複写カット紙であって、
該複写カット紙を構成する第一の用紙と第二の用紙とは、
用紙の搬送方向先端同士を糊付けする、用紙の幅方向に沿って細長く設けられる第一の糊付け部と、前記第一の糊付け部より搬送方向末尾側で用紙の幅方向両側部同士を糊付けする、点状の第二の糊付け部と、
により、互いに貼り合わされていることを特徴とする、
プリンタ用複写カット紙。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタ用複写カット紙であって、
前記点状の第二の糊付け部と、用紙の搬送方向先端側の端部との距離をX、
プリンタのピックアップローラの繰出し位置から、該ピックアップローラにより繰り出された用紙を最初に把持するローラのニップ位置までの搬送距離をLとすると、
X≧Lであることを特徴とする、
プリンタ用複写カット紙。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−216685(P2007−216685A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−45003(P2007−45003)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【分割の表示】特願2002−88979(P2002−88979)の分割
【原出願日】平成14年3月27日(2002.3.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】